• 検索結果がありません。

Microsoft Word - 23_27_32#001HayashiY.doc

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Microsoft Word - 23_27_32#001HayashiY.doc"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

歴史地震

第 23 号(2008) 27-32 頁

受付日 2007/11/30, 受理日 2008/02/07

明治以降の日本の噴火・火山性異常カタログの時間的均質性

気象研究所 地震火山研究部* 林 豊

Temporal homogeneity in catalogue of eruptions and remarkable

non-eruptive volcanic events in Japan since 1868

Yutaka HAYASHI

Seismology and Volcanology Research Department, Meteorological Research Institute, Japan Meteorological Agency,

1-1 Nagamine, Tsukuba, 305-0052 Japan

The homogeneity of a catalogue of volcanic eruptions and remarkable non-eruptive volcanic events in Japan since 1886 has been examined. Based on the catalogue, which was compiled from official reports, the number of volcanoes that erupted in each year has remained almost constant since the 1930s; and the annual number of volcanoes that had remarkable non-eruptive volcanic events has remained almost constant since the 1960s. However, the corresponding numbers of events prior to these periods are lower. Moreover, these turning points correspond to the major transitions in the national volcano observation system in Japan. Therefore, such inhomogeneity may be attributable to the incompleteness of the catalogue owing to the lower sensitive of the old systems.

Keywords: detectability of eruption, Meiji era, volcanic event catalogue

* 〒305-0052 つくば市長峰 1-1 電子メール: yhayashi•••mri-jma.go.jp §1. はじめに 火山活動に変化が認められると,しばしば,「△△ 山で発生した水蒸気爆発は,○○年以来の噴火」, 「△△山で火山性地震が群発したが,このような異常 は観測史上初めて」,などと表現される.これらの表 現には,それぞれ,「○○年以降に△△山で噴火が あれば,決して見逃すことはない」,「観測開始以降 であれば,いつ△△山に同様の現象が発生しても必 ず把握できた」とする暗黙の仮定が含まれていること になる.しかし,果たしてそのような仮定,すなわち, 噴火および噴火に至らないような顕著な火山現象 (以下,火山性異常)のカタログの完全性は,どの程 度まで成立するのだろうか?近代以降の日本国内の 噴火は全て把握されていると考えてよいのだろうか? 本稿では,既刊の公式な報告書から抽出した日本 国内の明治以降の噴火・火山性異常のカタログを使 って,そのカタログの時間的均質性を検証する. §2. データと手法 2.1 1903~2002 年 1903~2002 年の 100 年間については,林・宇平 (2008)による「100 年活動度指数を算出するための基 礎データ」表(以下,基礎データ表)を用いる.これは, 年毎・火山毎に,噴火および火山性異常の有無など をまとめたものである.また,この基礎データ表は,火 山噴火予知連絡会が2003 年 1 月に新しい活火山の 定義に基づいて活火山を選定し,火山活動度によっ てランク分けしたが[気象庁(2003)],その際に活火山 の活動度を算出するために用いられている. 基礎データ表では,噴火については,目撃されて いなくても,ある年に発生したと特定できる十分な証 拠が得られる場合(例えば,降灰)も,採用されている. 火山性異常は,最近 100 年間の観測データの時間 的また各火山間の均質性を保つ目的から,人間の感 覚によって認知しうる異常(火山性地震・微動,地殻 変動,噴煙活動,海底火山では変色水域など)だけ が採用されている.例えば,麓で震度1 に達しない火 山性地震が地震計により観測されていた場合,異常 として取り扱う基準を満たさないと判断されている.実 際には,判定基準の性格上,基礎データ表の火山性 異常の部分は,ある程度は判定者の主観が入る余地 があると考えられる.

(2)

表1 既刊の公的報告書から抽出した 1868~1902 年の年毎・火山毎の噴火の有無 (1/2)

Table 1. The number of volcanoes that erupted in each year from 1868 to 1902, based on the catalogue compiled from official reports. No. 火山名 1 8 6 8 1 8 6 9 1 8 7 0 1 8 7 1 1 8 7 2 1 8 7 3 1 8 7 4 1 8 7 5 1 8 7 6 1 8 7 7 1 8 7 8 1 8 7 9 1 8 8 0 1 8 8 1 1 8 8 2 1 8 8 3 1 8 8 4 1 8 8 5 1 8 8 6 1 8 8 7 1 8 8 8 1 8 8 9 1 8 9 0 1 8 9 1 1 8 9 2 1 8 9 3 1 8 9 4 1 8 9 5 1 8 9 6 1 8 9 7 1 8 9 8 1 8 9 9 1 9 0 0 1 9 0 1 1 9 0 2 No. 1 知床硫黄山 A A A 1 2 羅臼岳 2 3 摩周 3 4 アトサヌプリ 4 5 雌阿寒岳 5 6 丸山 A 6 7 大雪山 7 8 十勝岳 A 8 9 利尻山 9 10 樽前山 A A A A A A 10 11 恵庭岳 11 12 倶多楽 12 13 有珠山 13 14 羊蹄山 14 15 ニセコ 15 16 北海道駒ケ岳 16 17 恵山 A 17 18 渡島大島 18 19 恐山 19 20 岩木山 20 21 八甲田山 21 22 十和田 22 23 秋田焼山 A A 23 24 八幡平 24 25 岩手山 25 26 秋田駒ケ岳 A A 26 27 鳥海山 27 28 栗駒山 28 29 鳴子 29 30 肘折 30 31 蔵王山 A A A 31 32 吾妻山 A A A 32 33 安達太良山 A A 33 34 磐梯山 A 34 35 沼沢 35 36 燧ケ岳 36 37 那須岳 A 37 38 高原山 38 39 日光白根山 A A A A 39 40 赤城山 40 41 榛名山 41 42 草津白根山 A A A A 42 43 浅間山 A A A A A A A A A A A 43 44 横岳 44 45 新潟焼山 45 46 妙高山 46 47 弥陀ヶ原 47 48 焼岳 48 49 アカンダナ山 49 50 乗鞍岳 50 51 御嶽山 51 52 白山 52 53 富士山 53 54 箱根山 54 55 伊豆東部火山群 55 注)表中のAは噴火があったことが知られている年.

(3)

表1 (2/2) Table 1. (continued) No. 火山名 1 8 6 8 1 8 6 9 1 8 7 0 1 8 7 1 1 8 7 2 1 8 7 3 1 8 7 4 1 8 7 5 1 8 7 6 1 8 7 7 1 8 7 8 1 8 7 9 1 8 8 0 1 8 8 1 1 8 8 2 1 8 8 3 1 8 8 4 1 8 8 5 1 8 8 6 1 8 8 7 1 8 8 8 1 8 8 9 1 8 9 0 1 8 9 1 1 8 9 2 1 8 9 3 1 8 9 4 1 8 9 5 1 8 9 6 1 8 9 7 1 8 9 8 1 8 9 9 1 9 0 0 1 9 0 1 1 9 0 2 No. 56 伊豆大島 A A A 56 57 利島 57 58 新島 58 59 神津島 59 60 三宅島 A 60 61 御蔵島 61 62 八丈島 62 63 青ヶ島 63 64 ベヨネース列岩 A A A A 64 65 須美寿島 A 65 66 伊豆鳥島 A 66 67 孀婦岩 67 68 西之島 68 69 海形海山 69 70 海徳海山 70 71 噴火浅根 A 71 72 硫黄島 A 72 73 北福徳堆 73 74 福徳岡ノ場 74 75 南日吉海山 75 76 日光海山 76 77 三瓶山 77 78 阿武火山群 78 79 鶴見岳・伽藍岳 79 80 由布岳 80 81 九重山 81 82 阿蘇山 A A A A A A 82 83 雲仙岳 83 84 福江火山群 84 85 霧島山 A A A A A A A A A A A 85 86 米丸・住吉池 86 87 若尊 87 88 桜島 88 89 池田・山川 89 90 開聞岳 90 91 薩摩硫黄島 91 92 口永良部島 92 93 口之島 93 94 中之島 94 95 諏訪之瀬島 A A A 95 96 硫黄鳥島 A 96 97 西表島北北東海底火山 97 98 茂世路岳 A 98 99 散布山 99 100 指臼岳 100 101 小田萌山 101 102 択捉焼山 102 103 択捉阿登佐岳 103 104 ベルタルベ山 104 105 ルルイ岳 105 106 爺爺岳 106 107 羅臼山 A A 107 108 泊山 108 注)表中のAは噴火があったことが知られている年.

(4)

基礎データ表では,噴火及び火山性異常は,「日 本噴火志 上編・下編」[震災豫防調査會(1918a, b)], 「日本活火山総覧(第2 版)」[気象庁編(1996)],「本邦 海域火山通覧(改訂第 2 版)」[土出・ほか(1999)],気 象要覧,験震時報,地震月報,火山報告(以上,気 象庁または中央気象台発行)の記述から抽出され, 火山観測研究の実施機関の点検などを経ている. 2.2 1868~1902 年 1868~1902 年については,林・宇平(2008)の基礎 データ表との均質性を保つため,2.1 節で示した基準 にならって作成した(表1).ただし,この期間は,噴火 のみを対象としたこと,記述を抽出・確認する文献に 「日本周辺海域火山通覧(第 3 版)」[大谷・ほか (2004)]と「日本活火山総覧(第 3 版)」[気象庁編 (2005)]を加えたこと,火山観測研究の実施機関への 照会はしていないこと,の三点が林・宇平(2008)の方 法とは異なる. §3. 結果 林・宇平(2008)による基礎データ表と,表 1 を用い て,明治以降の噴火や火山性異常が知られている活 火山数の推移をまとめた(図1).なお,日本の国土の 範囲や個々の活火山の範囲は,時期により異なるが, 均一な基準で比較するため,2003 年 1 月に火山噴火 予知連絡会が選定した活火山リスト[気象庁(2003)] に合わせた. 明治以降で噴火が知られている活火山数(図 1 の A)のおおよその推移は,次の通りであることが,図 1 から読み取れる.1870 年代は年平均 2 火山程度で, 1890 年頃に階段状に急増して年平均 3 火山程度に なる.1930 年頃に年平均 5 火山程度に達し,その後 は多少の増減がみられるが長期的にはほとんど変化 していない. 人間の感覚によって認知しうる火山性異常(図1 の B)について,2.1 節で示した基準に該当するような現 象が記録されている活火山の数は,1920 年代までは 年平均一火山以下と少ない.1930 年代に増え始め, 1960 年代以降はほぼ一定になる(図 1). §4. 議論 4.1 明治以降の日本の噴火カタログの均一性 噴火が知られている活火山数について,1890 年頃 の階段状の変化と,1930 年頃までの緩やかな増加は, それぞれ地震・火山観測史上の重要な出来事があっ た時期とよく対応する.従って,日本の活火山の活動 が全国的に次第に活発になったと考えるより,観測体 制の違いを反映して,このような変化が見られると考 えるべきである. 0 5 10 15 20 1860 1870 1880 1890 1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 火山/年 年 Aの数 Aの数の11年移動平均 AとBの数の合計 AとBの合計数の11年移動平均 A: 当該年に噴火があった火山 B: 噴火はないが、当該年に人間の 感覚によって認知できる顕著な火 山性異常現象が知られている火山 図1 噴火・火山性異常が知られている年毎の活火山数の変化(1868~2002 年)

Fig.1. Time-series of the number of volcanoes that erupted or had remarkable non-eruptive volcanic events in each year from 1868 to 2002, based on the catalogue compiled from official reports.

(5)

階段状の変化が認められる1890 年頃は,1891 年 に発生した濃尾地震を教訓に,文部省内に震災予 防調査会が設立された1892 年と時期が一致する.震 災予防調査会は,地震と震災防止の研究のみならず, 火山活動の情報も組織的に収集する仕組みを確立 したので,これにより,それまで見逃されていたあるい は記録されることがなかった活動も記録に残されるよ うになったことを示しているといえよう. 緩やかな増加が終わる1930 年頃は,1923 年の関 東大地震を機に,中央政府が地震対策をより充実さ せるため,震災予防調査会が廃止され,東京帝国大 学(いまの東京大学)に研究機関としての地震研究 所が設立された1925 年とほぼ一致する. 以上のことから,年毎の噴火の有無に着目する場 合は,1930 年代以降であれば,既往の文献から,時 間的に均質な日本の噴火カタログが得られるといえ る. 4.2 明治以降の火山性異常カタログの均一性 噴火あるいは火山性異常のいずれかが認められた 活火山数は,1960 年代以降でほぼ一定である(図 1). このことは,第一次火山噴火予知計画が始まる 1973 年の時点ですでに,噴火だけでなく,顕著な火山性 異常についても,ほぼ確実に捕捉されるようになって いたことを示唆している. したがって,年毎の噴火と火山性異常の有無に着 目し,人間の感覚により認知しうる火山性異常に限れ ば,1960 年代以降については,既往の文献から,時 間的に均質な日本の活火山の噴火・火山性異常カタ ログが得られると考えられる. §5. まとめ 既刊の公式報告書から,時間的に均質な日本の 活火山活動のカタログを得ることが可能な期間は,噴 火については 1930 年代以降,火山性異常について は 1960 年代以降が目安となる.ただし,これは年毎 の現象の有無に着目し,かつ,火山性異常は計器を 用いずに人間の感覚により認知しうる現象を対象とし た場合である. 以上のことを踏まえると,本稿の冒頭での疑問への 一般的な答えは,次の通りとなる. 「△△山で発生した水蒸気爆発は,○○年以来の 噴火」は,知られている前回の噴火が 1930 年以降な らば,おそらく正しい.しかし,1920 年代以前にも噴 火がないと言及する場合は,見逃された未知の噴火 の存在の可能性に注意した表現にするか,特別な証 拠がない限り,一般には正しいとは言えない.なお, この場合,「△△山の最新の噴火記録は○○年」と表 現すると,正確ではあっても,気象庁の火山情報等 の情報提供に求められている「分かりやすさ」[林・ほ か(2004, 2005),山里・ほか(2004)]に欠けるので,例 えば,「△△山で発生した水蒸気爆発は,おそらく○ ○年以来の噴火」と表現することが適切であろう. また,「△△山で火山性地震が群発したが,このよ うな異常は観測史上初めて」は,1960 年代以降に観 測を開始し,かつ,有感地震が短期間にまとまって発 生する群発地震に限定して述べるならば,おそらく正 しい. 謝辞 査読者の林信太郎氏からは,本論文の改善に有 益なコメントを頂きました.記して感謝いたします. 文 林 豊・宇平幸一,2008,最近一万年間の火山活動 に基づく火山活動度指数による日本の活火山 のランク分けについて,験震時報,71, 59-78. (印刷中) 林 豊・山里 平・新井伸夫,2004,地方自治体と報 道機関の視点による火山情報の問題点,災害 情報,no.2, 62-70. 林 豊・山里 平・白土正明・新井伸夫・工藤泰子, 2005,富士山の火山活動に関する情報発信の あり方,災害情報,no.3, 60-67. 気象庁(編),1996,「日本活火山総覧(第 2 版)」, 500p. 気象庁,2003,火山噴火予知連絡会による活火山の 選定及び火山活動度による分類(ランク分け)に つ い て , 火 山 噴 火 予 知 連 絡 会 会 報 ,no.84, 101-136. 気象庁(編),2005,「日本活火山総覧(第 3 版)」, 635p. 大谷康夫・土出昌一・芝田 厚・加藤 茂・岩渕義郎, 2004,日本周辺海域火山通覧(第3版),海洋情 報部研究報告,no.40, 1-61. 震災豫防調査會,1918a,日本噴火志 上編,震災豫 防調査會報告,no.86, 236p. 震災豫防調査會,1918b,日本噴火志 下編,震災豫 防調査會報告,no.87, 116p.

(6)

土出昌一・大谷康夫・芝田 厚・加藤 茂・岩渕義郎, 1999,本邦海域火山通覧(改訂第2版),水路部 研究報告,no.35, 15-71. 山里 平・林 豊・白土正明・新井伸夫・工藤泰子, 2004,気象庁の富士山情報の今後―富士山に おける火山情報はどうあるべきか―,月刊地球, 号外48 号「富士火山の総合的研究」, 199-204.

表 1 (2/2)  Table 1. (continued)  No. 火山名 18 6 8 1869 1870 1871 1872 1873 1874 1875 1876 1877 1878 1879 1880 1881 1882 1883 1884 1885 1886 1887 1888 1889 1890 1891 1892 1893 1894 1895 1896 1897 1898 1899 1900 1901 1902 No

参照

関連したドキュメント

If condition (2) holds then no line intersects all the segments AB, BC, DE, EA (if such line exists then it also intersects the segment CD by condition (2) which is impossible due

The approach based on the strangeness index includes un- determined solution components but requires a number of constant rank conditions, whereas the approach based on

In Section 3, we study the determining number of trees, providing a linear time algorithm for computing minimum determining sets.. We also show that there exist trees for which

The main problem upon which most of the geometric topology is based is that of classifying and comparing the various supplementary structures that can be imposed on a

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

Our method of proof can also be used to recover the rational homotopy of L K(2) S 0 as well as the chromatic splitting conjecture at primes p > 3 [16]; we only need to use the

The first result concerning a lower bound for the nth prime number is due to Rosser [15, Theorem 1].. He showed that the inequality (1.3) holds for every positive

We study the classical invariant theory of the B´ ezoutiant R(A, B) of a pair of binary forms A, B.. We also describe a ‘generic reduc- tion formula’ which recovers B from R(A, B)