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都市ごみ焼却処理を中心とした経済発展に伴うエネルギー・環境問題に関する実証分析

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成蹊大学

博士(工学)学位論文

都市ごみ焼却処理を中心とした経済発展

に伴うエネルギー・環境問題に関する

実証分析

2011年 3 月

成蹊大学大学院工学研究科応用化学専攻

プロセスシステム研究室

博士後期課程 D083302

張 文卿

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目次 本論文の概要と構成 i 第一部 序論 エネルギー・環境問題を引き起こす背景 第一章 高度経済成長下における輸出の役割 1 1 はじめに 2 経済成長への純輸出の寄与 2.1 日本の高度経済成長期における純輸出の寄与率 2.2 中国における純輸出の寄与 3 中国輸出の特徴 3.1 中国の貿易依存度の動向 3.2 貿易構造の変化 3.3 外資系企業の活躍 3.4 利益なき繁忙 3.5 輸入の急拡大 3.6 貿易赤字に転落の懸念 4 貿易摩擦とその対応 4.1 中国の双子の黒字 4.2 人民元切り上げの圧力 4.3 貿易摩擦への対応 5 おわりに 注 参考文献 第二章 高度経済成長下における貯蓄と投資の特徴 14 1 はじめに 2 日本の高度経済成長期における貯蓄と投資の特徴 2.1 旺盛な民間投資 2.2 高い投資率の源泉 2.3 高い貯蓄率の役割 3 中国における貯蓄と投資の特徴 3.1 個人貯蓄率が高い要因 3.2 高い貯蓄率の問題点 4 日本と中国との投資効率の比較 4.1 「一般論的」資本係数の比較 4.2 「一般論的」資本係数の比較に関する検証 4.3 新たな限界資本係数の比較 4.4 キャッチアップ効果 4.5 エネルギー・資源の超過投入 5 中国における投資の動向 5.1 「下請け工場」から産業高度化への転換 5.2 投資主導から消費主導への経済構造の転換 5.3 金融システムの改革

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II 注 参考文献 第二部 エネルギー・環境問題の展開と中国におけるごみ焼却処理の現 第三章 高度経済成長下におけるエネルギー消費効率および技術移転の役割 31 1 はじめに 2 原油価格高騰を招く要因 2.1 中国の石油需要の増大 2.2 石油供給余力の低下 2.3 投資マネーの介入 2.4 大きい産油国の地政学リスク 3 中国・日本のエネルギー需給の相違と問題点 3.1 需要面において 3.2 エネルギーの安定供給と消費効率化面の問題点 4 中国のエネルギー需給の動向 4.1 “電力不足”の要因 4.2 石炭需要の増加の要因 4.2.1 石炭に依存する火力発電 4.2.2 中国における鉄鋼産業の拡大 4.2.3 先進諸国のエネルギー多消費型産業のシフト 4.2.4 石炭供給面の課題 4.3 石油需要の動向 5 エネルギーに関わる技術移転の役割 5.1 火力発電技術の役割 5.2 新エネルギー資源開発における技術の役割 5.2.1 太陽光熱エネルギーの開発 5.2.2 バイオマス技術の発展 5.2.3 原子力発電の技術の役割 5.3 先行事例から見る技術移転の役割 5.3.1 山東省黄台石炭火力発電所への技術導入の効果 5.3.2 石炭からのガソリンや軽油製造技術の中国への移転 5.3.3 コークス乾式消火設備(CDQ)の中国への移転 5.3.4 ごみ発電技術の中国への移転 5.4 技術移転先である中国の役割 6. おわりに 参考文献 第四章 中国におけるごみ焼却発電の特徴に関する予備的考察 52 1 はじめに 2 ごみ問題の流れ 3 中国のごみ発電事業拡大の背景 4 中国におけるごみの特徴 5 中国におけるごみ焼却発電効率が高い要因 5.1 ごみ発電効率の試算 5.2 ごみ発電効率が日本より高い要因

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5.3 中国の石炭添加率の推算 6 ごみ焼却発電における石炭過剰添加の是正 6.1 政策の修正 6.2 ごみ発電に関する中国への提言―石炭添加に代わるプラスチックごみの添加 7 日本における不適切なごみ再利用方式の例-RDF の製造 7.1 RDF 製造プロセス 7.2 RDF の特徴 7.3 RDF 失敗の例 8 中国におけるごみ処理の動向 9 終わりに 注 参考文献 第三部 プラスチックゴミ混合焼却に関する環境工学的手法による研究 第五章 既存設備を用いたプラスチックごみ混合焼却試験時のダイオキシン類等の有害ガス 生成挙動―武蔵野市におけるケーススタディ― 67 1 はじめに 2 既存焼却装置の概要 3 試験 3.1 投入ごみ 3.2 灰 3.3 ガス 4 試験結果 4.1 投入ごみ質の分析結果 4.2 ダイオキシン濃度の測定 4.3 その他の排出ガス濃度と炉温の測定結果 4.3.1 一酸化炭素 4.3.2 炉温のコントロール 4.3.3 窒素酸化物 4.3.4 塩化水素 4.3.5 硫黄酸化物および排水 5 考察 5.1 ダイオキシン発生の抑制 5.2 バグフィルタの役割 6 おわりに 参考文献 第六章 既存焼却施設における廃プラ混合焼却開始 81 後のダイオキシン類の挙動 1 はじめに 2 排出物中のダイオキシン類濃度の長期変化 2.1 煙突からの排出ガス中のダイオキシン類濃度 2.2 焼却灰等の中のダイオキシン類濃度 3 ガス流路中濃度測定結果と考察

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IV 3.2 集塵器出口でのダイオキシン類濃度 4 施設改善後にみられた新たな問題点 4.1 排ガス流出に伴うダイオキシンの挙動 4.2 排ガス流出に伴うダイオキシンの挙動(バグフィルタ設置後の詳細) 4.3 新たな問題点に関する考察 5 おわりに 参考文献 第四部 都市ごみ焼却灰・飛灰からの重金属溶出 第七章 都市ごみ焼却飛灰からの酸浸出における主要・少量元素の溶出・析出が浸出挙動に 及ぼす影響 93 1 はじめに 2 試料と実験方法 2.1 試料と試薬 2.2 実験装置と方法 2.3 試料の採取と分析 3 結果と考察 3.1 飛灰中の元素量に関する実験結果 3.2 浸出液のカラム透過後の pH の変化 3.3 透過速度の変化 3.4 pH と流出速度の変化のまとめと考察 3.5 Na と Ca の溶出特性と pH 変化への影響 3.6 Al,Zn,Fe の溶出析出特性と浸出透過速度に対する影響 3.7 SEM 写真から考察する飛灰の主要元素の溶出性 4 おわりに 参考文献 第八章 焼却飛灰からの有害重金属類の溶出と環境に対する影響についての考察 108 1 はじめに 2 試験における有害重金属の溶出挙動 2.1 Pb の特性・用途,溶出特性と環境影響 2.2 Cd の特性・用途,溶出特性と環境影響 2.3 As の特性・用途,溶出特性と環境影響 2.4 Cr の特性・用途,溶出特性と環境影響 2.5 Se の特性・用途,溶出特性と環境影響 2.6 Mo の特性・用途,溶出特性と環境影響 2.7 Hg の特性・用途,溶出特性と環境影響 2.8 B の特性・用途,溶出特性と環境影響 3 おわりに 参考文献 第五部 結論 第九章 まとめと展望 134 謝辞 137 研究業績 138

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本論文の概要と構成

本 論 文 では,日 本 をかわきりに,アジア諸 国 で次 々とおこりつつある高 度 経 済 成 長 がもたらすエネルギー・環 境 問 題 への影 響 を,特 に近 年 (1978年 末 から)の中 国 の高 度 経 済 成 長 の背 景 と発 展 要 因 を,実 際 中 国 に先 立 つこと約 20-25年 前 に高 度 経 済 成 長 を経 験 した日 本 のたどった道 と比 較 することにより,将 来 予 測 をも含 め てまず行 っている。その結 果 を踏 まえ,今 後 中 国 をはじめとする諸 国 では,工 業 化 によってもたらされた大量生産が,民生レベルでの大量流通,大量消費に向かうで あろうことを予見すると共に,これに伴うエネルギー・環境問題も異なる側面を迎える であろうことを示 唆 している。実 際 日 本 では,現 在 中 国 が直 面 している「公 害 問 題 」 はすでにほとんど沈静化しており,極言すれば地球環境問題とごみ問題とが残され た環 境 問 題 となっているともいえる。このような観 点 からも今 後 中 国 でのエネルギー 資 源 消 費 は運 輸 そして民 生 へと向 かい,その結 果 としての大 量 廃 棄 があらたな環 境問題であるごみ問題を深刻化させるであろうことを予想している。 本論文では,このような観点から,第一部として経済発展の特徴として,輸出,貯 蓄と投資,エネルギーの投入による環境への影響を議論している。第二部では,経 済成長に伴うごみ処理問題の位置づけを検討している。これらの議論に基づき,日 本 におけるごみ処 理 とそれに伴 う環 境 問 題 に関 する先 進 事 例 の研 究 の必 要 性 が 浮き彫りにされている。 このような背 景 に基 づき,第 三 部 では,日 本 の高 度 経 済 成 長 期 後 に運 転 開 始 さ れたごみ焼 却 場 における環 境 問 題 への取 り組 み,特 に非 常 に大 きな問 題 であった プラスチックごみを混 焼 した際 のダイオキシン発 生 抑 制 に関 する検 討 を,化 学 工 学 ・環 境 工 学 の視 点 から考 察 分 析 を行 っている。さらに第 四 部 では,もう一 つの重 要 な環 境 側 面 である焼 却 灰 からの微 量 (有 害 )元 素 溶 出 に関 する実 験 的 検 討 を行 い,その際にみられる特異な現象の解明を行っている。 最 後 に第 五 部 では,中 国 における環 境 の現 状 を把 握 したうえで,経 済 のグロー バル化を背景に,他の途上国の現在と将 来におけるごみ処理への対応について, 今後の課題について議論している。 本論文は具体的には,以下のように構成されている。 第一部は,第一章と第二章とで構成され,序論として,中国における経済成長の 特 徴 についての分 析 を行 ったこれまでの経 済 分 野 での研 究 の結 果 を述 べるともに, 本論文の課題,研究の構成,研究の方法などを明らかにしている。 第 一 章 は,「高 度 経 済 成 長 下 における輸 出 の役 割 」と題 し,中 国 の高 度 経 済 成 長下における輸出の位置づけを明らかにしている。純輸出の経済成長への「寄与」, 輸出に占める多国籍企業と外国直接投資の割合,貯蓄率の動向等と輸出の副作 用 について検 討 し,また,貿 易 黒 字 の拡 大 は,外 国 からの人 民 元 切 り上 げ圧 力 な どを誘発し,その結果,輸出主導型の高 度成長は続けられなくなるリスクがあり,内 需主導型の成長に転換すべきであることを指摘している。 第二章は,「高度経済成長下における貯蓄と投資の特徴」と題し,中国における 経 済 成 長 の最 も重 要 な要 素 である貯 蓄 と投 資 の特 徴 を分 析 している。中 国 のこれ

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ii までの成 長 は技 術 革 新 などによる生 産 性 の向 上 や国 内 消 費 の拡 大 に先 導 された ものではなく,それは外資導入による輸出の拡大と,固定資産投資の増大,および エネルギーの超過投入に依存したものであるという指 摘を検証し,さらに,エネルギ ー消 費 大 国 での目 覚 しい高 度 経 済 成 長 に伴 い,環 境 問 題 が深 刻 な状 況 になるこ とは投資効率が劣化する一因と考えられるとしている。 第二部は,第三章と第四章とで構成され,「エネルギー・環境問題の展開と中国 におけるごみ焼却処理の現 状」と題 し,経済の成長に伴うエネルギー・需給の特 徴, また,生産と消費により環境にもたらされる負荷を分析している。 第 三 章 は,「高 度 経 済 成 長 下 におけるエネルギー消 費 効 率 および技 術 移 転 の 役 割 」と題 し,高 度 経 済 成 長 下 における現 在 の中 国 のエネルギー問 題 について, 今日の原油価格高騰を招 く要 因,中国・日本のエネルギー需給の相 違と問題点, 中 国 のエネルギー需 給 の動 向 ,エネルギーに関 する技 術 の変 化 および日 中 協 力 への展 望 などの分 析 を通 じて,考 察 を行 っている。さらに,環 境 共 同 体 としての日 中間での技術移転の役割が重要であることを指摘している。 第四章は,「中国におけるごみ焼却発電の特徴に関する予備的考察」と題し,大 量生産,大量流通,大量廃棄を背景に生み出されたごみの問題に着目し,中国の ごみ処 理 方 法 についてごみ発 電 を取 り上 げ,中 国 ごみの排 出 の現 状 ,特 徴 またそ の処 理 方 法 の分 析 を行 なっている。さらに,ごみ発 電 における問 題 点 を,日 本 と比 較した上で,政策上の対応の違いを明らかにしている。 第 三 部 は,第 五 章 と第 六 章 とで構 成 され,「プラスチックごみ混 合 焼 却 に関 する 環 境 工 学 的 手 法 による研 究 」と題 し,プラスチックごみを燃 やした際 のダイオキシン 類 の生 成 の制 御 手 法 を概 説 すると共 に,実 際 の焼 却 炉 におけるプラスチックごみ 混 焼 試 験 および実 混 焼 以 降 のデータを基 づき,ごみ焼 却 におけるダイオキシン類 有害ガスの生成動向を解明している。 第五章は,「既存設備を用いたプラスチックごみ混合焼却試験時のダイオキシン 類等の有 害ガス生成挙動―武蔵野市におけるケーススタディ―」と題 し,世界にお ける先端技術事例として日 本のプラスチックごみ処理技術について取り上げている。 武 蔵 野 市 クリーンセンターでの混 合 試 験 焼 却 によるダイオキシン類 などの有 害 ガス 発生挙動を計測した結果を報告した上で,実操業時における有害ガスの抑制方法 を解 析 している。これにより,大 規 模 新 設 施 設 はもちろんのこと,武 蔵 野 市 のような 中等規模の既存施設でも,バグフィルターへの転換など十分なダイオキシン対策を 施した後であれば,プラスチックごみを混焼しても,ダイオキシン類の発生抑制は十 分 可 能 であることを示 している。さらにプラスチックごみの高 い発 熱 量 は廃 熱 として 回 収 利 用 できることから,中 国 では「白 色 汚 染 」と称 されるプラスチックごみ汚 染 の 解 決 方 法 として現 在 の中 国 におけるごみ発 電 に用 いる助 燃 用 石 炭 をこれにより代 替 しうることも示 唆 している。しかしながら,バグフィルター通 過 後 より煙 突 出 口 の方 が高いダイオキシン濃度を示しており,この疑問点の解明は次章に譲られている。 第 六 章 は,「既 存 焼 却 施 設 における廃 プラ混 合 焼 却 開 始 後 のダイオキシン類 の 挙 動 」と題 し, 廃 プラを焼 却 することにより,特 に中 小 規 模 の焼 却 施 設 で焼 却 した 際の問題点を,武蔵野市クリーンセンターの長期的な焼却経験に基 づき,ストーカ 式,中小規模の既存焼却施設のダイオキシン類の排出挙動の解析を行っている。

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プラスチックごみ焼却前後のダイオキシン類の測定データを比較分析し,煙突出口 のダイオキシンの排 出 濃 度 はごみ質 の変 化 とは明 確 な関 係 がないと結 論 した。さら に,第五章で指摘した疑問点は,バグフィルター直後の濃度は低いまま推移したが, 煙突出口ではその後徐々に減少し,ついにこの1-2年にはバグフィルター出口程度 まで減少したことから,以下が原因であると推定している。すなわち,特にバグフィル ターに変 更 後 ,ダイオキシン濃 度 が急 激 に削 減 されたため,以 前 の高 濃 度 排 出 時 のダイオキシン類 が停 滞 部 に蓄 積 し,再 放 出 されたため排 出 濃 度 がなかなか下 が らなかったのではないかとしている。また,物質収支からもこの量は妥当であるとして いる。このような現 象 は,今 後 他 の市 町 村 の炉 でも,みられるようになる可 能 性 があ るとしている。 第 四 部 「都 市 ごみ焼 却 灰 ・飛 灰 からの重 金 属 溶 出 」と題 し,第 七 章 と第 八 章 と で構 成 され,ごみ焼 却 灰 (飛 灰 )からの主 要 ・少 量 元 素 および微 量 有 害 元 素 の溶 出挙動を分析している。 第 七 章 は「都 市 ごみ焼 却 飛 灰 からの酸 浸 出 における主 要 ・少 量 元 素 の溶 出 ・析 出が浸出挙動に及ぼす影響」と題し,ごみ焼却灰・飛灰のカラム溶出試験を行い, ごみの焼 却 灰 からの主 要 ・少 量 元 素 の溶 出 挙 動 を解 析 した結 果 を述 べている。カ ラム溶出試験では,溶出速度が一度低下し,溶出濃度とともに低く保たれる期間が 長く続いた後,突然急激な pH の低下と溶出速度の増大が始まるとの現象が何度 か再現された。このような現象は,Ca の溶出により層上部から下部に向けて pH が 上昇してゆく過程で,Al,Fe,あるいは Zn といった元素が層上部で溶出後層下部 で流路中に析出し,このことで溶出速度が低下するが,Ca がすべて溶出した後に 層下部でも pH が低下し始めるとこれらの元素も溶出を始め,その結果,突然急激 な溶出速度の増大と pH の低下がおこると説明された。この現象は,埋立地での浸 透性が突然変化する可能性を示唆しており,次章の検討とあわせて微量重金属の 溶出性の長期変動を考察する必要がある。 第 八 章 は「焼 却 飛 灰 からの有 害 重 金 属 類 の溶 出 と環 境 に対 する影 響 について の考察」と題し,第七章に続き,ごみ焼却飛灰中に存在する Pb, Cd などの有害重 金属元素溶出挙動およびそれらの元素が環境に与える影響を考察している。各々 の溶 出 性 試 験 の結 果 によると,Pb は本 試 験 で扱 う元 素 の中 では最 も飛 灰 中 の含 有率が高く,両性金属であることが顕著に見られる溶出挙動を示した。Cd は「アル カリ性 水 溶 液 には不 溶 」という性 質 を検 証 した上 で,水 にも溶 けやすい物 質 である ことが推測される。As は中性でも溶出性を示し水にも溶出するものと考えられる。Cr, Mo,Se は酸性度にはあまり影響されず,いずれの条件でも溶出しにくいと考えられ る。なお,Hg は含有量も低く溶出濃度が定量限界以上の濃度にいたらなかった可 能 性 がある。本 結 果 は日 本 での一 般 的 な中 規 模 ストーカー炉 からの飛 灰 に対 する ものであったが,世界特に今後さらに問題が顕在化する可能性がある途上国では, 規 模 ・条 件 も異 なるプロセスも多 く用 いられており,これらからの排 出 灰 に対 する同 様の試験も必要と提 言している。それぞれの元素に注目した対策も以下のように提 案されるが,実際の灰への適用については経済性なども含めた検討が必要となろう。 たとえば Pb のような明らかな両性金属の場合,ごみ焼却灰のアルカリ性元素の溶 出を利用し一部分を除去,その後は酸性溶液で除去する。Cd,As は水洗による。 Cr,Se,Mo などはむしろ安定化剤の添加が必要である。

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iv 以 上 第 七 章 と第 八 章 との結 果 をあわせて考 えると,長 期 間 埋 め立 て場 所 からの 重 金 属 の溶 出 がみられていない場 所 でも,酸 性 雨 や酸 性 の地 下 水 の浸 透 により, 突然急激な微量重金属の溶出が始まる可能性が,すべてではないものの多くの元 素について示唆される。 第 五 部 は「結 論 」と題 し,第 九 章 「総 括 」では以 上 の結 果 考 察 をまとめるともに, 今後の展望を述べている。

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第一部 序 論

エネルギー・

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1 第 一 章 高 度 経 済 成 長 下 における輸 出 の役 割 についての考 察

Chapter 1 Consideration of Role of Export under High Economic Growth

1 はじめに 1980年 改 革 開 放 以 後 の30年 間 ,中 国 の実 質 GDPの伸 び率 は,ほとんどが二 桁 に近 い線 を上 下 しながら年 平 均 9.9%の高 い伸 び率 で推 移 している。2010年 の名 目 GDP は 5.8 兆 ド ル を 超 え , 対 前 年 比 伸 び 率 が 10.3 % に 達 し た 。 こ の 結 果 , 日 本 は 1968年 から守 り続 けていた世 界 第 2位 の座 を明 け渡 すことが確 実 な情 勢 であった。 中 国 経 済 の目 覚 しい成 長 の要 因 の一 つとして,改 革 開 放 による国 際 貿 易 の伸 長 がある。中 国 における現 在 の貿 易 総 額 は,1978年 の「改 革 ・開 放 政 策 」に転 換 して から28年 間 に,40倍 を超 える規 模 となっている。2005年 の貿 易 総 額 (輸 出 額 と輸 入 額 の合 計 )は,約 1.4兆 ドルで,日 本 の貿 易 総 額 を追 い越 し,米 国 ,ドイツに次 ぐ世 界 第 三 位 となった。特 に1987年 から実 施 した輸 出 指 向 戦 略 ,および為 替 レートの切 下 げによって,輸 出 が急 激 に増 えた。これにより多 くの年 次 で経 常 収 支 は黒 字 化 し, 貿 易 依 存 度 は上 昇 の一 途 をたどった。1980年 代 における貿 易 依 存 度 は20%に過 ぎ ないが, 2003 年 に 50 %を突 破 ,2004 年 における それは67 % 程 度 へと 大 幅 上 昇 し, 2005年 には70%を突 破 した。 本 章 では中 国 の高 度 経 済 成 長 下 における輸 出 の役 割 を検 証 する。本 章 は純 輸 出 の経 済 成 長 への「寄 与 」,輸 出 に占 める多 国 籍 企 業 と外 国 直 接 投 資 の割 合 ,貯 蓄 率 の動 向 等 と輸 出 の副 作 用 を検 討 する。その上 で,純 輸 出 は中 国 の経 済 成 長 の 主 役 ではなかったが,輸 出 は経 済 の牽 引 役 であったことを論 証 する。また,貿 易 黒 字 の拡 大 は,外 国 からの人 民 元 切 り上 げ圧 力 などを誘 発 し,その結 果 ,輸 出 主 導 型 の高 度 成 長 は続 けられなくなるリスクがあり,内 需 主 導 型 の成 長 に転 換 すべきであ ることを指 摘 する。もう一 方 ,中 国 による資 源 輸 入 の急 拡 大 は,国 際 市 場 での需 給 バランスを崩 すこととなり,資 源 ・エネルギーの市 場 価 格 高 騰 を招 く要 因 となったと指 摘 する。 2 経 済 成 長 への純 輸 出 の寄 与 2.1 日 本 の高 度 経 済 成 長 期 における純 輸 出 の寄 与1 ) 吉 川 (1997)は,日 本 の高 度 経 済 成 長 は輸 出 主 導 であるか否 かについて次 のよう に分 析 している―「戦 後 の高 度 成 長 が「輸 出 主 導 」というよりは「国 内 需 要 主 導 」であ ったということは,様 々な方 法 で示 すことができる。最 も直 接 の方 法 は,経 済 成 長 率 を消 費 ,設 備 投 資 ,財 政 支 出 ,輸 出 マイナス輸 入 (純 輸 出 )など需 要 項 目 別 に分 解

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し,それぞれの項 目 がどれだけ成 長 に貢 献 したか百 分 率 (パーセント)で示 す「寄 与 率 」を調 べる方 法 である。この寄 与 率 を計 算 してみると,高 度 成 長 期 (1955-72年 ) の「純 輸 出 」の寄 与 率 は1%に過 ぎない,純 輸 出 は,成 長 の説 明 要 因 としてまったく マイナーなのである。むしろ高 度 成 長 が終 わった後 の「安 定 成 長 期 」(1973-85年 ) の方 が,純 輸 出 の寄 与 率 は13%と高 まっていた。アメリカとの貿 易 摩 擦 が激 化 した 80年 代 の前 半 には純 輸 出 の寄 与 率 は38%にまで上 昇 した」2 ) 2.2 中 国 における純 輸 出 の寄 与 吉 川 (1997)の分 析 に続 き,本 稿 でも,中 国 の高 度 成 長 について同 様 の分 析 を進 めたい。 Table 1.1は,中 国 の経 済 成 長 への三 大 需 要 項 目 の寄 与 率 と寄 与 度 を示 したも のである。1978年 から2005年 まで28年 間 ,最 終 消 費 支 出 (年 平 均 値 ,以 下 同 じ)の 寄 与 率 は56.7%であり,資 本 形 成 の寄 与 率 は36.2%であり,純 輸 出 の寄 与 率 は7% にすぎなかった。吉 川 (1997)は「日 本 の高 度 経 済 成 長 期 (1955-72年 )における純 輸 出 の寄 与 率 は1%に過 ぎない」と指 摘 したが,中 国 の純 輸 出 の経 済 成 長 への寄 与 率 も,日 本 と同 じく低 かったのである。しかし,日 本 では高 度 成 長 が終 わった後 ,中 国 でも80年 代 半 ば以 後 ,純 輸 出 の寄 与 率 の上 昇 傾 向 があり,純 輸 出 は需 要 面 から も成 長 に寄 与 していると考 えられる。 なお,「寄 与 度 」の平 均 値 から見 ると,28年 間 の年 平 均 GDP成 長 率 9.9%のうち, 最 終 消 費 支 出 の寄 与 度 は5.5%で,資 本 形 成 の寄 与 度 は3.9%であり,純 輸 出 の寄 与 度 はわずか0.3%に過 ぎなかった。(Table 1.1参 照 )。 もう少 し詳 しく調 べると,純 輸 出 の寄 与 率 はGDP成 長 率 と逆 に動 くことが多 かったと 言 える。たとえば,1978~79年 ,1983~85年 ,1992~93年 には,すべて負 の数 値 で あり,この負 の数 値 であったときは,経 済 の成 長 はすべて極 めて好 況 であった。もう一 方 で , 1989 年 , 1990 年 , 1997 年 に は 経 済 成 長 へ の 純 輸 出 の 寄 与 率 は そ れ ぞ れ , 44.0%,50.3%,70.4%と非 常 に高 く,最 終 消 費 支 出 と資 本 形 成 の寄 与 率 を大 幅 に 上 回 っていた。しかし,GDPの成 長 率 から見 ると,1989年 は4.4%,1990年 は3.3%で あり,高 度 経 済 成 長 はほぼ中 断 されていた。その原 因 は1989年 の天 安 門 事 件 によ る米 国 など西 側 諸 国 の経 済 制 裁 のため中 国 経 済 が大 ショックを受 け,国 内 需 要 が 大 幅 に減 少 したことである。したがって,1989年 ,1990年 の純 輸 出 の寄 与 率 が国 内 需 要 の寄 与 率 を上 回 ったのは,国 内 需 要 が激 減 した結 果 である。また,1997年 の成 長 率 は9.2%で,純 輸 出 の寄 与 率 は70.4%であった。これは,1996年 以 後 ,国 有 企 業 の「予 算 制 約 」が銀 行 の「貸 し渋 り」によってハードになったことをきっかけに中 国 は インフレからデフレの時 代 に突 入 したためである。すなわち,1997~98年 のアジア金 融 危 機 と相 まって,国 内 需 要 が顕 著 に不 足 し,銀 行 の「貸 し渋 り」により,投 資 過 熱 が抑 制 され,経 済 成 長 は輸 出 に頼 らざるをえなかった。しかし,1998年 以 後 ,中 国 の

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3 マクロ経 済 のコントロールによって,デフレが沈 静 化 した。その結 果 ,国 内 需 要 ,特 に 投 資 が回 復 することにより,純 輸 出 の高 い寄 与 率 は一 時 的 なものとなり,それ以 後 , 消 費 需 要 ,資 本 形 成 の寄 与 率 を上 回 ることはなかった。

Table 1.1 Contributions (fraction in total growth) and growth rate of GDP by three major demands in China

年 分 最 終 消 費 支 出 資 本 形 成 総 額 財 ・サービスの純 輸 出 成 長 率 寄 与 率 (%) 寄 与 度 (%) 寄 与 率 (%) 寄 与 度 (%) 寄 与 率 (%) 寄 与 度 (%) (%) 1978 39.4 4.6 66.0 7.7 -5.4 -0.6 11.7 1979 87.3 6.6 15.4 1.2 -2.7 -0.2 7.6 1980 71.8 5.6 26.5 2.1 1.8 0.1 7.8 1981 93.4 4.9 -4.3 -0.2 10.9 0.6 5.3 1982 64.7 5.9 23.8 2.2 11.5 1.0 9.1 1983 74.1 8.1 40.4 4.4 -14.5 -1.6 10.9 1984 69.3 10.5 40.5 6.2 -9.8 -1.5 15.2 1985 85.5 11.5 80.9 10.9 -66.4 -9.0 15.4 1986 45.0 4.0 23.2 2.0 31.8 2.8 8.8 1987 50.2 5.8 23.5 2.7 26.2 3.0 11.5 1988 49.6 5.6 39.4 4.5 11.0 1.2 11.3 1989 39.6 1.6 16.4 0.7 44.0 1.8 4.1 1990 47.8 1.8 1.8 0.1 50.3 1.9 3.8 1991 65.1 6.0 24.3 2.2 10.5 1.0 9.2 1992 72.5 10.3 34.2 4.9 -6.7 -1.0 14.2 1993 59.5 8.3 78.6 11.0 -38.1 -5.3 14.0 1994 30.2 4.0 43.8 5.7 25.9 3.4 13.1 1995 44.7 4.9 55.0 6.0 0.3 0.0 10.9 1996 60.1 6.0 34.3 3.4 5.6 0.1 10.0 1997 37.0 3.4 -7.4 -0.7 70.4 6.5 9.2 1998 57.1 4.4 29.3 2.3 13.6 1.1 7.8 1999 76.8 5.8 52.8 4.0 -29.6 -2.2 7.8 2000 63.8 5.4 21.7 1.8 14.4 1.2 8.4 2001 50.0 4.1 50.1 4.2 -0.1 0.0 8.3 2002 43.6 4.0 48.8 4.4 7.6 0.7 9.1 2003 35.3 3.5 63.7 6.4 1.0 0.1 10.0 2004 38.7 3.9 55.3 5.6 6.1 0.6 10.6 2005 36.1 3.7 38.1 3.9 25.8 2.6 10.0 平 均 値 56.7 5.5 36.2 3.9 7.0 0.3 9.9 出 所 :『中 国 統 計 年 鑑 』2006年 版 より作 成 。 寄 与 率 と寄 与 度 から見 ると,純 輸 出 は中 国 の経 済 成 長 の「主 役 」ではなく,日 本 の 高 度 経 済 成 長 期 と同 じように,国 内 需 要 (投 資 と消 費 )の「脇 役 」であったと考 えられ る。中 国 の純 輸 出 の寄 与 率 は低 かったにもかかわらず,中 国 の貿 易 依 存 度 は高 か

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った。 3 中 国 輸 出 の拡 大 しかし,中 国 の輸 出 拡 大 がその経 済 成 長 の原 因 であり,結 果 でもあるという論 調 が 多 い。例 えば,日 本 経 済 研 究 所 センター(2006)は次 のように述 べている。 「中 国 経 済 の急 速 な成 長 は,他 の東 アジア諸 国 と同 様 に「投 資 と輸 出 の好 循 環 」 によって説 明 することができる。工 業 製 品 の輸 出 は中 国 に外 貨 をもたらし,その外 貨 を用 いて中 国 は先 進 技 術 が「体 化 」された資 本 財 を輸 入 した。こうして設 備 投 資 を拡 大 し生 産 能 力 を増 強 することにより,中 国 は工 業 製 品 の輸 出 をさらに拡 大 させること に成 功 した」3 ) さらに,輸 出 は中 国 の経 済 成 長 の主 因 であることについて南 (2005)は次 のように 指 摘 している。「第 1に,輸 出 は有 効 需 要 の1つの要 因 であり,輸 出 の増 加 は需 要 面 から経 済 成 長 を支 える。第 2には輸 出 によって輸 入 の拡 大 が可 能 となり,経 済 成 長 に必 要 な資 材 が大 量 に国 内 に入 ってくる。中 国 では生 産 し得 ない,あるいは生 産 で きても質 が悪 く価 格 が高 い,さまざまな原 材 料 ・消 費 財 ・資 本 財 を輸 入 することは, 経 済 の効 率 化 をもたらす。とくに途 上 国 にとって資 本 財 の輸 入 は重 要 な意 味 を持 つ。 それは新 しい技 術 を導 入 する近 道 である。戦 前 の日 本 でもこのルートからの技 術 の 導 入 はきわめて重 要 であった」4 ) 中 国 の輸 出 拡 大 政 策 は,対 外 開 放 政 策 を深 めるために,1980年 代 後 半 に打 ち 出 された新 たな経 済 発 展 戦 略 の一 部 であった。宋 全 成 (2004)が指 摘 するように,こ の時 期 の戦 略 として,「大 進 大 出 」(大 いに輸 入 し,大 いに輸 出 する),また原 材 料 と 販 売 市 場 の双 方 を国 際 市 場 に求 める「両 頭 在 外 」の方 針 の下 に,中 国 の豊 富 な労 働 力 を利 用 した委 託 加 工 を振 興 し,労 働 集 約 的 産 業 の発 展 を目 指 す「沿 海 地 区 発 展 戦 略 」が打 ち出 された。この時 期 の輸 出 の特 徴 は先 進 技 術 の導 入 や外 貨 獲 得 を目 的 として行 われたものである。 3.1 中 国 の貿 易 依 存 度 の動 向 前 述 し た よ う に , 中 国 の 純 輸 出 の 需 要 項 目 と し て の 寄 与 率 は 低 か っ た , し か し , Table1.2に示 されるように,他 国 に比 べて,中 国 の貿 易 依 存 度 は高 かった。理 論 的 には,国 が大 きいほど貿 易 の依 存 度 が低 いとされる,なぜなら,生 産 に使 う原 材 料 ・ エネルギーを国 内 で調 達 しやすいからである。また,国 は豊 かなほど貿 易 の依 存 度 は高 い,これは,国 民 の消 費 需 要 が多 様 化 しているからであるとされる。中 国 のような, 貿 易 依 存 度 が 高 い 途 上 国 は 類 を 見 な い ほ ど 珍 し い 。 と こ ろ が , も し , こ の 「 両 頭 在 外 」の部 分 を控 除 すれば,中 国 の貿 易 依 存 度 は他 の「大 国 経 済 」と同 程 度 の水 準 であると推 定 される。

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5 countries (2005) 中 国 米 国 日 本 ドイツ イギリス イタリア 韓 国 貿 易 依 存 度 63.6 21.3 24.5 62.9 38.9 43.0 69.3 総 純 輸 出 額 1021.8 -8,241 802.6 1,963.9 -1,112.4 -119.2 230.4 一 人 当 たり 純 輸 出 額 78 -2,784 627 2,395 -1,854 -202 480 出 所 :『世 界 国 勢 図 会 』07/08年 版 pp.343-345より算 出 作 成 Fig.1.1は ,中 国 の輸 出 と輸 入 対 GDP比 (輸 出 依 存 度 と輸 入 依 存 度 )および輸 出 入 差 額 すなわち貿 易 収 支 の対 GDP比 を示 したものである。 年 0 10 20 30 40 50 60 70 199 4 199 5 199 6 199 7 1998 1999 2000 2001 2002 200 3 200 4 200 5 G D P に 占め る 比率(%) 輸出/GDP 輸入/GDP 純輸出/GDP 貿易依存度

Fig.1.1 Change of contributions (%) of export and import of China 出 所 『世 界 国 勢 図 会 』各 年 版 より作 成 Fig.1.1によると,中 国 の貿 易 依 存 度 (輸 出 と輸 入 の和 の対 GDP比 )と貿 易 黒 字 の 対 GDP比 は年 々増 加 している。1994年 には貿 易 依 存 度 は37.2%であったのに対 し て,貿 易 黒 字 の対 GDP比 はわずかの0.8%であった,2000年 貿 易 依 存 度 は42.2% で貿 易 黒 字 対 GDP比 は4%であり,2005年 にはそれぞれ63.6%,4.6%であった。3.2 貿 易 構 造 の変 化 「大 進 大 出 」の政 策 の下 に進 められた国 際 貿 易 の拡 大 が中 国 の産 業 高 度 化 を促 進 した。輸 出 に占 める農 産 物 ・原 材 料 などの1次 産 品 のシェアは大 きく低 下 し,工 業 品 などの資 本 集 約 的 品 目 の輸 出 輸 入 の増 加 が著 しい。

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Table1.3からわかるように,1985年 の中 国 の輸 出 品 の中 で農 産 品 ・原 材 料 などの 一 次 産 品 の割 合 は50.6%を占 めたが,1989年 になると,28.7%まで急 減 した。逆 に 工 業 品 な ど の 資 本 集 約 的 品 目 の 輸 出 は 49.4 % か ら 一 躍 71.3 % ま で 急 上 昇 し た 。 2004年 になると,一 次 産 品 の割 合 はわずか6.8%で,工 業 品 などの割 合 は93.2%に 上 昇 した。 改 革 ・開 放 の始 めには,対 外 貿 易 は国 内 需 給 の不 均 衡 ,特 に供 給 不 足 を補 填 す る補 助 的 手 段 であり,輸 出 は輸 入 のファイナンス手 段 に過 ぎない。そのため80年 代 の半 ばまで,国 内 ではエネルギー不 足 の深 刻 化 にもかかわらず原 油 が最 大 の輸 出 商 品 となった,当 時 の中 国 の原 油 の公 定 価 格 は国 際 価 格 の5分 の1程 度 の水 準 に 過 ぎず,石 油 部 門 は低 価 格 で国 内 調 達 した原 油 を対 外 貿 易 会 社 に引 き渡 し,それ だけで巨 額 の利 益 を手 にすることができたのである。 3.3 外 資 系 企 業 の活 躍 中 国 の工 業 製 品 の輸 出 の拡 大 の原 因 は,外 資 系 企 業 の急 増 と加 工 貿 易 の急 速 拡 大 によりもたらされたものである。対 外 開 放 は中 国 に空 前 の経 済 繁 栄 をもたらすと ともに,経 済 改 革 推 進 の原 動 力 となった。一 方 ,外 資 は低 コストの輸 出 加 工 基 地 と 広 大 な国 内 市 場 を求 めて中 国 進 出 を加 速 した。もとより,一 般 貿 易 の主 な担 い手 は 国 有 企 業 であり,中 国 の産 業 ・通 商 政 策 を反 映 して一 般 貿 易 にはさまざまな制 約 を 伴 う。これに対 して外 資 系 企 業 が従 事 する輸 出 加 工 では,投 入 財 の輸 入 と最 終 財 の輸 出 を非 課 税 で実 施 することが認 められ,事 実 上 自 由 貿 易 に近 い取 引 が可 能 で ある。このように,外 資 に対 して税 制 のみならず対 外 貿 易 面 でも「双 軌 制 」的 な優 遇 措 置 が適 用 され,加 工 貿 易 は外 資 の中 国 進 出 の重 要 なインセンティブとなった。 加 工 貿 易 は,「来 料 加 工 」や「進 料 加 工 」と分 けられる,前 者 は投 入 財 を免 税 で輸 入 することが認 められ,輸 出 生 産 に対 して中 国 の受 託 企 業 は加 工 賃 をうけとる。後 者 では投 入 原 材 料 が通 関 輸 入 され,輸 出 にあたり戻 し税 が適 用 される。この背 景 のも とに,外 資 企 業 は設 備 機 械 や原 材 料 を輸 入 し,中 国 が優 位 を持 つ低 廉 な労 働 力 を 活 用 し,中 国 の対 外 貿 易 に占 める外 資 系 企 業 の 比 率 は2004年 に輸 出 で57.1%, 輸 入 で57.8%に達 している。また工 業 総 生 産 額 に占 める輸 出 の比 率 は2003年 に国 内 企 業 が16.7% ,外 資 系 企 業 が45.9%であった。しかし,中 国 から輸 出 される製 品 の多 くは,外 国 企 業 のブランド名 で輸 出 されることから,世 界 第 3位 の貿 易 大 国 とな ったにもかかわらず,世 界 の人 々にしられる中 国 企 業 や中 国 のブランドほとんどない 状 態 である。

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Table 1.3 Change in composition of export from China

出所:『中国統計年鑑』2005 年版表 18-4,18-5 より算出作成 年 份 輸出総額 初級産品 割合(%) 工業製品 割合(%) 輸入総額 初級産品 割合(%) 工業製品 割合(%) 貿易収支 1985 273.50 138.28 50.6 135.22 49.4 422.52 52.89 12.5 369.63 87.5 -149.02 1989 525.38 150.78 28.7 374.60 71.3 591.40 117.54 19.9 473.86 80.1 -66.02 1990 620.91 158.86 25.6 462.05 74.4 533.45 98.53 18.5 434.92 81.5 87.46 1991 719.10 161.45 22.5 556.98 77.5 637.91 108.34 17.0 529.57 83.0 81.19 1992 849.40 170.04 20.0 679.36 80.0 805.85 132.55 16.4 673.30 83.6 43.55 1993 917.44 166.66 18.2 750.78 81.8 1039.59 142.10 13.7 897.49 86.3 -122.15 1994 1210.06 197.08 16.3 1012.98 83.7 1156.14 164.86 14.3 991.28 85.7 53.92 1995 1487.80 214.85 14.4 1272.95 85.6 1320.84 244.17 18.5 1076.67 81.5 166.96 1996 1510.48 219.25 14.5 1291.23 85.5 1388.33 254.41 18.3 1133.92 81.7 122.15 1997 1827.92 239.53 13.1 1588.39 86.9 1423.7 286.20 20.1 1137.50 79.9 404.22 1998 1837.09 204.89 11.2 1632.20 88.8 1402.37 229.49 16.4 1172.88 83.6 434.72 1999 1949.31 199.41 10.2 1749.90 89.8 1656.99 268.46 16.2 1388.53 83.8 292.32 2000 2492.03 254.60 10.2 2237.43 89.8 2250.94 467.39 20.8 1783.55 79.2 241.09 2001 2660.98 263.38 9.9 2397.60 90.1 2435.53 457.43 18.8 1978.10 81.2 225.45 2002 3255.96 285.40 8.8 2970.56 91.2 2951.70 492.71 16.7 2458.99 83.3 304.26 2003 4382.28 348.12 7.9 4034.16 92.1 4127.60 727.63 17.6 3399.96 82.4 254.68 2004 5933.26 405.49 6.8 5527.77 93.2 5612.29 1172.67 20.9 4439.62 79.1 320.97

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3.4 利 益 なき繁 忙 自 動 車 産 業 を例 にすると,外 資 各 社 の新 規 参 入 や増 産 計 画 が乱 立 し,中 国 の地 方 都 市 の多 くが「中 国 のデトロイト」を目 指 している。米 ビッグスリーが集 まる米 デトロ イトのように自 動 車 産 業 を集 積 させ地 元 経 済 を振 興 する狙 いで,優 遇 政 策 により増 産 や新 規 参 入 を促 し2010年 までに生 産 を2-3倍 に拡 大 する。自 動 車 中 核 拠 点 の 座 を巡 る 地 域 間 競 争 は外 資 自 動 車 メーカーの進 出 機 会 拡 大 につ ながる一 方 ,国 内 の生 産 力 過 剰 に拍 車 をかけることになる。 各 都 市 が増 産 を急 ぐ理 由 は,商 務 省 が2007年 までに生 産 台 数 などにより自 動 車 十 大 都 市 を選 定 することである,これらの都 市 の自 動 車 工 場 に減 免 税 など優 遇 措 置 を与 えるほか外 資 メーカーに進 出 先 として推 薦 する。各 省 に自 動 車 工 場 が乱 立 し 過 当 競 争 に陥 った状 態 を改 める狙 いがある。十 大 都 市 以 外 の都 市 は自 動 車 産 業 の育 成 が困 難 になる見 通 しで,中 央 政 府 の「選 別 」が始 まる前 の駆 け込 み増 産 の様 相 を呈 している。 中 国 汽 車 工 業 協 会 によると,2005年 の中 国 の自 動 車 生 産 は2004年 比 12.7%増 の 約 570万 台 になっている。実 際 の年 生 産 力 は800万 台 前 後 で,生 産 力 の過 剰 感 が 一 層 強 まるのは確 実 で,値 引 き競 争 の激 化 で「利 益 なき繁 忙 」に陥 いり,国 外 市 場 に依 存 せざるをえない,自 動 車 輸 出 が急 増 して,国 際 貿 易 摩 擦 を招 きかねない。中 国 は米 国 など先 進 国 向 けの輸 出 拡 大 で摩 擦 が頻 発 したため,途 上 国 で新 しい市 場 の開 拓 を急 いでおり,貿 易 摩 擦 が途 上 国 へ飛 び火 する原 因 にもなっている。 3.5 輸 入 の急 拡 大 中 国 の 輸 出 額 の全 世 界 輸 出 額 に 占 め るシェアは ,1980 年 の0.9 %から2003 年 の 5.9%に上 昇 し,世 界 ランキングは1980年 の26位 から2003年 の4位 に飛 躍 した。輸 入 額 の全 世 界 ランキングも26位 から3位 に上 がっている。2004年 の輸 入 総 額 は5,608億 ドルに達 し,前 年 比 35.7%増 ,対 GDP比 は29.7%に達 した。また,中 国 の輸 入 品 で 中 心 を占 めているのは一 貫 して工 業 製 品 で,輸 入 全 体 に占 める比 率 は1985年 87. 5%に達 し,その後 2004年 まで80%以 上 となっている。2004年 では79.4%,05年 では 77.6%を下 降 の趨 勢 になっている。 また,鉄 鋼 や化 学 製 品 の生 産 に必 要 な原 油 ,鉄 鉱 石 ,石 炭 などの資 源 需 要 が増 大 している。たとえば中 国 国 内 の鉄 鋼 生 産 規 模 が急 拡 大 していることに伴 い,鉄 鉱 石 の消 費 も急 拡 大 している。中 国 国 内 で生 産 される鉄 鉱 石 では鉄 の含 有 量 が低 い という事 情 もあり,鉄 鉱 石 輸 入 を行 わざるをえない。鉄 鋼 生 産 用 のコークスも,同 様 な 理 由 で輸 入 に頼 らざるを得 ない。国 内 需 要 の急 拡 大 はアルミの輸 入 など幅 広 い品 目 での輸 入 増 を招 来 している。中 国 による資 源 輸 入 の急 拡 大 は,国 際 市 場 での需 給 バランスを崩 すこととなり,資 源 の市 場 価 格 高 騰 を招 く要 因 となった。このため,現 在 の中 国 は米 国 や日 本 など従 来 の資 源 輸 入 国 との貿 易 摩 擦 がますます複 雑 化 し

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9 ている。 3.6 貿 易 赤 字 に転 落 の懸 念 2007年 の初 頭 税 関 から中 国 の貿 易 黒 字 が減 少 に向 かっていることを指 摘 されてい る5 ) 一 つの理 由 は,中 国 が農 産 物 の純 輸 入 国 に転 じたことである。中 国 農 業 部 による と,2004年 の農 産 物 の貿 易 は,輸 出 額 が234億 ドルと前 年 比 9.2%増 にとどまったの に対 して, 輸 入 額 は280 億 ドルと 48.1%の 大 幅 増 を記 録 し,46 億 4000 万 ドルの貿 易 赤 字 がでた。二 つの理 由 は,輸 出 税 制 優 遇 政 策 の転 換 を求 められた。「中 国 政 府 は輸 出 (入 )に優 遇 税 制 を認 める加 工 貿 易 制 度 の対 象 品 目 から燃 料 油 やディーゼ ル油 などを26日 から除 外 する。中 国 の輸 入 関 税 や増 殖 税 を減 免 する制 度 は186品 目 を除 外 する。中 国 政 府 は2006年 11月 にも804品 目 を加 工 貿 易 禁 止 品 目 に加 えて ばかりで,低 付 加 価 値 の加 工 工 場 への優 遇 縮 小 で産 業 高 度 化 を急 ぐ姿 勢 が鮮 明 になった」5 ) もう一 つの理 由 は原 材 料 とエネルギー輸 入 の急 増 である。中 国 では,成 長 におけ るサービス産 業 より製 造 業 が重 要 な役 割 が果 たしてきた。したがって中 国 の成 長 は, 目 覚 しい勢 いで増 大 したエネルギー需 要 や鉱 物 資 源 に対 する需 要 を伴 ってきた。そ の故 で,1993 年 に石 油 輸 入 国 に転 じて,1996 年 には原 油 輸 入 国 になった。その後 も 原 油 輸 入 は 大 幅 に 増 加 し てお り, 石 油 の 世 界 消 費 量 に 占 め る 中 国 の 消 費 量 は 1990 年 の 3.5%から 2003 年 の 7.7%に上 昇 した。中 国 は 2003 年 に日 本 を抜 いてア メリカに次 ぐ世 界 第 二 位 の石 油 消 費 大 国 となった。2004 年 の最 終 消 費 が前 年 比 17.1%増 え,中 国 の消 費 増 加 率 は世 界 の平 均 値 の 4 倍 で,中 国 だけで世 界 全 体 の 消 費 増 加 の三 割 弱 を占 めるに至 っている。 4 貿 易 摩 擦 とその対 応 輸 出 拡 大 の副 作 用 としては外 資 優 遇 措 置 と公 平 な市 場 競 争 との矛 盾 と外 資 系 汚 染 企 業 の中 国 への移 転 ,貿 易 摩 擦 の激 化 等 がよく指 摘 されるが,本 稿 では後 者 の 貿 易 摩 擦 に焦 点 をあてたい。 4.1 中 国 の双 子 の黒 字 1990年 代 以 後 ,中 国 は一 貫 して経 常 収 支 黒 字 と資 本 収 支 黒 字 を維 持 している。 この現 象 について,海 外 からいろいろの分 析 ,批 判 が行 われてきた。たとえば,日 本 からの批 判 には,次 のようなものである。 「通 常 は,経 常 収 支 赤 字 と資 本 収 支 黒 字 ,もしくは経 常 収 支 黒 字 と資 本 収 支 赤 字 となるはずである。金 融 危 機 に直 面 した場 合 にのみ双 子 の黒 字 となり,経 済 を安 定 させるために外 貨 準 備 高 が増 大 する。中 国 のような超 大 国 が15年 以 上 も一 貫 して 双 子 の黒 字 を維 持 し続 けることは極 めて稀 である。」6 )

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「 中 国 の 2005 年 の 貿 易 黒 字 額 が 前 年 の 3 倍 に 膨 ら み , 過 去 最 高 の 1019 億 ド ル (約 12兆 円 )に達 した。2005年 の日 本 の貿 易 黒 字 額 を上 回 った公 算 が大 きい。世 界 最 大 級 の「貿 易 黒 字 大 国 」に躍 り出 た中 国 は今 後 ,米 国 や欧 州 との貿 易 摩 擦 がさら に激 しくなる可 能 性 がある。対 中 貿 易 赤 字 が膨 らむ米 国 が中 国 ・人 民 元 の再 切 り上 げを強 く求 めるのは確 実 だ」7 ) 4.2 人 民 元 切 り上 げの圧 力 輸 出 額 の急 増 は外 貨 準 備 の急 増 をもたらし,為 替 レートの問 題 で国 際 摩 擦 が激 化 した。これは中 国 の高 度 経 済 成 長 と日 本 の著 しい共 通 点 である。 高 度 成 長 期 の日 本 では輸 出 は高 度 成 長 を支 える一 つの要 因 と考 えられたように, 中 国 の高 度 成 長 も輸 出 を抜 きには語 れない。2004年 における中 国 の輸 出 の依 存 度 は31%に達 した。輸 出 の急 増 に伴 い,外 貨 準 備 の量 も激 増 した。中 国 は今 ,日 本 を 抜 いて,世 界 最 大 の外 貨 準 備 をもつ国 であり,その結 果 ,為 替 レートの問 題 で日 本 の高 度 成 長 期 と同 じように,アメリカの経 常 収 支 の赤 字 の原 因 になるとバッシングさ れ,国 際 摩 擦 も激 しくなった。しかし,中 国 の輸 出 総 額 の40%強 はアメリカと日 本 向 けが占 めることから見 れば,日 米 2カ国 の景 気 動 向 が今 後 の中 国 の動 向 のカギを握 っている。したがって,できるだけこの両 国 と摩 擦 を起 こさないようにすることが大 切 で ある。 4.3 貿 易 摩 擦 への対 応 さて,中 国 はどのようにすれば「四 面 楚 歌 」の窮 境 に陥 らないであろうか。「前 車 の 覆 る後 車 の戒 め」で,高 度 成 長 期 の日 本 の経 験 が貴 重 な教 訓 を提 供 しているように 思 われる。 この観 点 から考 えられる第 1の方 略 は現 地 生 産 を増 やすことである。改 革 ・開 放 の 初 期 段 階 では,先 進 国 が中 国 の安 価 な労 働 力 を利 用 し,豊 富 なエネルギー・資 源 を利 用 するため,自 国 のエネルギー・資 源 多 消 費 型 企 業 を中 国 にシフトする。中 国 はそれに頼 って「世 界 の工 場 」になった。この経 験 は中 国 も生 かしており,近 年 ,中 国 政 府 は貿 易 摩 擦 を回 避 するために,「走 出 去 」の方 針 を打 ち出 し,すなわち,生 産 拠 点 の海 外 移 転 を推 進 する。この方 策 により,輸 出 先 国 との貿 易 摩 擦 を抑 えつつ, 海 外 市 場 を維 持 して現 地 の労 働 雇 用 も拡 大 していく。また,第 三 国 に生 産 拠 点 を 設 立 し,第 三 国 経 由 で輸 出 国 に迂 回 輸 出 するケースも増 えている。たとえば,途 上 国 との貿 易 摩 擦 がもっとも頻 発 しているインドについては,中 国 企 業 はインドに進 出 して工 場 を設 立 し,原 材 料 や部 品 ,半 製 品 を中 国 から輸 入 した上 で,それをインド 国 内 で加 工 してインド市 場 で販 売 することで,インドとの貿 易 障 壁 を乗 り越 えようとし ている。欧 米 のクォータ(輸 入 割 当 )を回 避 するためには,第 三 国 へ生 産 拠 点 を移 し, その国 の製 品 として欧 米 市 場 に輸 出 するケースが多 い。典 型 例 は,中 国 の紡 績 業 で,ベトナムやカンボジアなどに工 場 を設 立 し,これらの国 で生 産 を行 い,それらの国

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11 の製 品 として欧 米 諸 国 へ輸 出 するのである。 第 2の方 略 は,中 米 間 の中 米 の貿 易 赤 字 を解 消 するために,先 端 的 な機 械 を輸 入 することである。中 国 では生 産 し得 ない,あるいは生 産 できても質 が悪 く価 格 が高 い機 械 を,米 国 から輸 入 する。たとえば,中 国 は2005年 11月 ,ブッシュ大 統 領 の訪 中 直 前 ,737型 ボーイング航 空 機 150機 (90億 ドル)を購 入 し,これから首 脳 外 交 に 合 わせて大 量 購 入 する意 思 を明 示 した。「今 後 20年 で,2500~3000機 が必 要 であ る」8 )と予 測 され,米 国 の対 中 赤 字 への不 満 を和 らげるために努 めているとされる。 第 3の方 略 は,「内 需 主 導 」への転 換 である。日 本 は外 資 を大 規 模 に導 入 した経 験 はないが,輸 出 拡 大 に伴 う極 端 な対 外 不 均 衡 に直 面 した,71年 のニクソン・ショッ クと85年 のプラザ合 意 をきっかけとして,円 高 ・内 需 主 導 型 経 済 への転 換 した。中 国 における内 需 主 導 型 成 長 パターンへの転 換 は,2005年 の「第 11次 5ヵ年 規 画 に関 す る提 案 」で明 確 に提 起 されている。しかし,消 費 主 導 型 成 長 を目 指 すには,「社 会 安 全 網 」の構 築 や「三 農 問 題 」の改 善 が不 可 欠 である。現 在 の中 国 では,社 会 保 障 の 不 備 や教 育 ・住 居 費 の支 出 増 加 が過 剰 貯 蓄 の原 因 となっており,一 方 では圧 倒 的 な数 の農 家 の消 費 が活 性 化 しない限 り,持 続 的 な消 費 拡 大 は見 込 めないからであ る。 5 おわりに 30年 わたる中 国 の高 度 経 済 成 長 期 において,純 輸 出 は経 済 成 長 の主 役 ではなか ったが,輸 出 は成 長 の牽 引 役 であったと言 えよう。中 国 が貯 蓄 ・外 貨 不 足 を克 服 し た今 日 では,外 資 優 遇 措 置 による輸 出 拡 大 は不 用 となった。逆 に,輸 出 拡 大 による 貿 易 摩 擦 ,外 貨 準 備 高 の増 加 と過 剰 流 動 性 などの問 題 が生 じている,さらに先 進 諸 国 がエネルギー多 消 費 型 産 業 と汚 染 産 業 を,中 国 にシフトすることには拍 車 がか かっている。この一 連 の副 作 用 に直 面 する中 国 は,高 度 経 済 成 長 を維 持 するために, 「外 向 型 外 資 経 済 」から内 需 主 導 型 の経 済 を転 換 することが今 日 の緊 急 な課 題 で ある。 注 1)『経 済 ビジネス用 語 辞 典 』により,寄 与 度 と寄 与 率 の概 念 :「寄 与 度 」と「寄 与 率 」は, あるデータ全 体 の変 化 に対 して,その構 成 要 素 である個 々のデータの変 化 がどのよ うに貢 献 しているかを示 す指 標 である。「寄 与 度 」はあるデータ(統 計 値 )の構 成 要 素 の増 減 が,全 体 の伸 び率 を何 ポイント(%表 示 )押 し上 げ(押 し下 げ)ているかを示 す もので,各 寄 与 度 の合 計 が全 体 の伸 び率 と一 致 する。

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  当該構成項目の増減 寄与度(%)=---  ×100   前期の統計値(全体値) 経 済 成 長 率 の変 動 について,GDP統 計 では輸 出 から輸 入 を差 し引 いた外 需 の寄 与 度 が良 く利 用 される。GDPの成 長 率 は1%であり,外 需 だけで成 長 率 を0.5%押 し上 げた場 合 は,外 需 の寄 与 度 は0.5ポイントということになる。 寄 与 率 は寄 与 度 を構 成 比 視 点 から見 た指 標 で,データ全 体 としての増 減 を100と したときの各 構 成 要 素 の増 減 に占 める割 合 (%表 示 )」で,合 計 すれば,100%にな る。 当該構成項目の増減 寄与率(%)=--- ×100    統計値全体の増減 2)吉 川 (1997)『高 度 成 長 』 pp.154‐155 3)日 本 経 済 研 究 センター(2006)p.202 4)南 (2005)P.140 5)たとえば,日 経 2007年 4月 11日 は次 のように述 べている。「中 国 の税 関 総 署 は 十 日 ,三 月 の貿 易 黒 字 が前 年 同 月 比 38%減 の68億 7千 万 ドル(約 8千 2百 億 円 )にな ったと発 表 した,輸 入 が前 年 同 月 比 で14.5%増 えたのに対 して輸 出 の伸 びは6.9% にとどまり,貿 易 黒 字 が減 った」。また,「中 国 政 府 は輸 出 入 時 に優 遇 税 制 を認 める 加 工 貿 易 制 度 の対 象 品 目 から燃 料 油 やディーゼル油 などを26日 から除 外 する。中 国 の輸 入 関 税 や増 殖 税 を減 免 する制 度 は186品 目 を除 外 する。中 国 政 府 は昨 年 十 一 月 にも804品 目 を加 工 貿 易 禁 止 品 目 に加 えてばかりで,低 付 加 価 値 の加 工 工 場 への優 遇 縮 小 で産 業 高 度 化 を急 ぐ姿 勢 が鮮 明 になった」。 6))深 尾 (2006)p.239 7)朝 日 新 聞 2006年 1月 22日 8)ボーイング社 の副 社 長 ,中 国 販 売 担 当 ロバート・ラードの発 言 参 考 文 献 日 本 語 文 献 1.吉 川 洋 (1997)『高 度 成 長 』読 売 新 聞 社 2.伊 藤 正 直 (1988)『高 度 成 長 から「経 済 大 国 」へ』岩 波 書 店 3.南 亮 進 牧 野 文 夫 編 (2005)『中 国 経 済 入 門 』第 二 版 日 本 評 論 社 4.関 志 雄 (2005)『中 国 経 済 革 命 の最 終 章 』経 済 新 聞 社 5.ファンガン著 関 志 雄 訳 (2004)『中 国 未 完 の経 済 改 革 』岩 波 書 店 6.関 志 雄 (2004)『人 民 元 切 り上 げ論 争 』東 洋 経 済 新 報 社

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13 7.日 本 経 済 研 究 センター編 (2005)『大 解 説 中 国 経 済 』日 本 経 済 新 聞 社 8.沈 才 彬 (2006)『中 国 暴 食 経 済 』時 事 通 訊 出 版 局 9.日 本 経 済 新 聞 社 編 (2006)『中 国 大 国 の虚 実 』日 本 経 済 新 聞 社 10.読 売 新 聞 中 国 取 材 団 (2006)『膨 張 中 国 』中 央 公 論 新 社 11.日 本 経 済 研 究 センター 清 華 大 学 国 情 研 究 センター(2006)『中 国 の経 済 構 造 改 革 』日 本 経 済 新 聞 社 12.深 尾 光 洋 編 (2006)『中 国 経 済 のマクロ分 析 』日 本 経 済 新 聞 社 13.玉 置 知 己 編 (2006)『中 国 が世 界 市 場 を席 巻 する日 』時 事 通 信 出 版 局 14.福 井 義 高 (2006)『中 国 がうまく行 くはずがない30の理 由 』徳 間 書 店 中 国 語 文 献 : 1.宋 全 成 (2004)『邁 向 貿 易 強 国 ――中 国 外 貿 競 争 力 研 究 』中 国 商 務 出 版 社 2.賀 燦 飛 (2005)『外 商 直 接 投 資 区 位 :理 論 分 析 与 実 証 研 究 』中 国 経 済 出 版 社 3.李 徳 水 ( 2005)『第 一 次 全 国 経 済 普 査 取 得 重 要 成 果 我 国 GDP総 量 和 結 構 均 有 新 的 変 化 』中 国 統 計 局 出 版 社 4.熊 小 奇 (2004)『海 外 直 接 投 資 風 険 防 犯 』経 済 科 学 出 版 社 データ 1.『中 国 統 計 年 鑑 』(2005,2006)中 国 統 計 出 版 社 編 2.『日 本 国 勢 図 会 』(1965~1992)各 年 版 国 勢 社 編 3.『世 界 国 勢 図 会 』(1992~07/08)各 年 版 矢 野 恒 太 記 念 会 編 4.『世 界 統 計 白 書 』(2006)木 本 書店 ・編 集 部 編

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第二章 高度経済成長下における貯蓄と投資の特徴

Chapter 2 Features of Saving and Investment during Periods of Rapid Economic Growth 1. はじめに 資本形成すなわち投資は,固定投資と在庫投資の合計である。固定投資はプラン ト,機械設備,工場建物,鉄 道・運輸・通信などのインフラ,住宅などの建設に対する 支出である。固定資本の価値は年々減耗していくが,この減耗部分に対する補填(減 価 償 却 費 )を差 し引 く前 の投 資 額 が粗 固 定 投 資 であり,差 し引 いた後 の額 が純 固 定 投 資 である。純 固 定 投 資 がプラスの時 には資 本 の純 増 があり,経 済 規 模 が拡 大 して いることを表す。 資 本 形 成 は二 つの異 なる影 響 を経 済 にもたらす。第 一 は有 効 需 要 の増 大 である。 固 定 投 資 は資 本 財 に対 する需 要 であり,在庫 投 資 も物 資 に対 する需 要 である(製品 在庫,仕掛品・原材料の在庫)。第二は生産力の増大である。固定投資によって,固 定資本ストックが増加し生産力が高まる。したがって資本形成の動向は,経済成長の パフォーマンスを規定する重要な要因である。 いま実 質 GDP を Y,その増 分 を⊿Y,粗資 本 形 成 をIとすると次 式 が得 られる。⊿

Y/Y=I/Y・⊿Y/I,ここで⊿Y/Yは経済成長率,I/Y は投資率,⊿Y/Iは投資効率であ る。投資効率は,1 単位の資本形成によって生産がどれだけ増えるかを表す。この式 は投 資 効 率 が一 定 であれば,経 済 成 長 率 は投 資 率 と正 の関 係 である。したがって, 投資が高ければ高いほど経済成長は急速になる。 改革開放に踏み切った 1978 年から 2005 年までの 28 年間,中国の実質 GDP の 年平均伸び率は 9.9%であり,高い成長を続けてきた。中国は発展途上国であり,投 資率は極めて高水準にある。1978 年から 2005 年まで,投資率は 40%前後に達して いる。 しかし,これまでの成 長 は外 資 導 入 による輸 出 の拡 大 と,公 共 投 資 と企 業 の設 備 投 資 を合 わせた固 定 資 産 投 資 の増 大 に依 存 したものである。技 術 革 新 などによる生 産 性 の向 上 や国 内 消 費 の拡 大 に先 導 されたものではなかった1 )という指 摘 が「一 般 論 」2 )として語 られる。そこで本 章 では,現 在 の中 国 の資 本 形 成 のパターンはどのよう な特徴を持ち,日本の高度経済成長期の資本形成とはどのような点が異なるのかを, データによってまず考 察 する。次 に「一 般 論 」に指 摘 されている上 記 の指 摘 を検 証 す る。最 後 に,最 近 の中 国 が投 資 政 策 を転 換 したことを示 すことにより,在 中 国 の日 本 企業が中国への理解を深めることに貢献できれば幸いである。

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2. 日本の高度経済成長期における投資の特徴 2.1 旺盛な民間投資 高度成長期の日本では,「1955 年から 70 年の間の国内総固定資本形成(政府民 間が行う国内での設備,建設,住宅の各投資)の対GNP比率は 30%前後,うちの三 分 の二 が民 間 設 備 投 資 で,ほかの先 進 資 本 主 義 諸 国 の二 倍 近 く,その平 均 伸 び率 は 16%で,これはアメリカの五倍,イギリスの三倍,西ドイツの二倍の高さである」3) Table.2.1 によると,1955 年の日本の国内総資本形成の対 GNP 比率は 25.1%で あり,そのうち,固定資本形成が 20%を占め,在庫投資は 5.1%である。固定資本形 成の中で,民間投資は 13.7%を占め,固定資本形成の 68.5%を占める。1969 年に なると,国内総資本形成は 39.7%になり,その中で,固定資本形成が 35.6%を占め, 在 庫 投 資 は 4.1 % で あ る 。 固 定 資 本 形 成 の 35.6 % の う ち 民 間 投 資 に よ る も の が 27.5%であり,固定資本形成の 77.2%を占めている,このように民間投資の比率は極 めて高い水準になっている。

Table 2.1 Composition of gross national expenditure high growth period in Japan

年 度 1955 1962 1963 1968 1969 1970 1971 個 人 消 費 支 出 63.7 53.2 52.8 52.0 50.8 51.4 52.5 国 内 総 資 本 形 成 25.1 25.6 27.8 38.6 39.7 39.1 35.9 固 定 資 本 形 成 20.0 22.6 21.8 34.0 35.6 34.9 34.4 民 間 13.7 ーー ーー 25.4 27.5 26.4 24.6 政 府 6.3 ーー ーー 8.6 8.1 8.5 9.8 在 庫 増 加 5.1 3.0 6.1 4.6 4.1 4.2 1.5 政 府 サービス購 入 10.2 21.2 20.9 8.3 8.2 8.2 8.8 海 外 余 剰 1.0 0.1 -1.6 1.1 1.3 1.3 2.8 出所:『日本国勢図会』1965 年版 p.71,71 年版 p.91,73 年版 p.81 より作成. 2.2 高い投資率の源泉 日 本 の高 度 成 長 の特 徴 は高 い貯 蓄 率 に支 えられた高 い投 資 率 にある。日 本 人 は 欧米人と比べて貯蓄率が高く,年収の 25%以上を貯蓄している。貯蓄が当時高かっ た理由は「年金制度をはじめとする社会保障制度が,まだわが国では欧米のように充 分確立されておらず,自ら老後や病気に備えて蓄えをしなければならなかったことと, さらには住 宅 や金 融 資 産 の蓄 積 が不 十 分 で,急速 にそれらを充 実 させる必 要 に迫 ら れていたことなどが指摘できる。他方,高度成長の結果,所得水準が向上して貯蓄で きるだけの余 裕 がでてきたことも,高 い貯 蓄 率 を説 明 しうる要 因 であるから,高い貯蓄 15

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率は高度成長の原因でありかつ結果でもあるわけである。」4) 2.3 高い貯蓄率の役割 吉 川 (1997)は高 い貯 蓄 率 の役 割 について,次 のように指 摘 している。まず,高 い 貯 蓄 率 はインフレーションの抑 制 に役 に立 つ。企 業 が旺 盛 な投 資 を行 い,家 計 (個 人 )も貯 金 せずに所 得 をほとんど消 費 に回 したら,消 費 と投 資 とあわせた「総 需 要 」は 日本経済が年々作り出すことができる最大の生産能力を超えて,インフレが起きるし, そもそも計画された設備投資が実行できなくなる。 次 に,高 い貯 蓄 は消 費 過 熱 を抑 制 する。投 資 水 準 が高 ければ必 然 的 に生 産 に使 われる原材料が増大していく。資源を持たない日本は輸入に頼らざるを得 ないため, この場合消費は輸入の増大を意味する。輸入が輸出を上回るようになれば,1 ドル= 360 円 という「固 定 相 場 制 」の下 では政 府 の手 持 ちの外 貨 (ドル)が減 少 し,「国 際 収 支 天 井 」にぶつかって国 際 収 支 は赤 字 に転 落 する。高 度 成 長 期 の高 い貯 蓄 は輸 入 を抑 制 する意 味 があった。このように,個 人 の高 い貯 蓄 率 は消 費 需 要 を抑 え資 源 を 投資に回すことにより旺盛な設備投資を側面から支えたのである。 3. 現在の中国における投資の特徴 中国の投資率は発展途上国として,極めて高い水準にある。Table 2.2にみられるよ うに,1978年 から2004年 まで,投 資 率 は40%前 後 に達 している。従 って,投 資 は中 国 経済成長の牽引役であることが指摘される。

Table 2.2 percentage of gross national expenditure in China (2005)

年分 資本形成率 最終消費率 1978 38.2 62.1 1980 34.9 65.4 1985 38.5 65.7 1990 35.2 62.0 1993 43.5 58.5 1996 39.3 58.5 2000 36.6 61.1 2003 42.4 55.4 2004 44.2 53.0 2005 42.6 57.4 出所:『中国統計年鑑』2006 年版 3.1 投資の主体 まず,固定資産に対する投資は中国経済の成長を推し進める重要な要素である。

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『中 国 統 計 年 鑑 』(2005 年 版 )によると,2004 年 には全 社 会 固 定 資 産 投 資 総 額 が 70,477.4 億元に達し,前年より 26.6%増加した。うち建築工事業における投資額は 前年より 27.7%増,設備および機具の仕入れにおける投資額は前年より 30.3%の増 であった。各 種 経 済 団 体 における固 定 資 産 の効 果 をみると,もっとも成 長 しているの は集団経済5)で,2004 年に固定資産投資額は 24.1%増加した。次は国有経済で, 同 期 固 定 資 産 の 成 長 率 は 15.4 % , 個 人 経 済 で 同 期 固 定 資 産 投 資 の 成 長 率 は 27.4%で,外 資 投 資 経 済 の固 定 資 産 投 資 額 は 52.2%増 (香 港 ,マカオ,台 湾 投 資 経済の固定資産投資額は 30.5%成長した)であった。 改革開放以前,投資活動の主体は政府であり,国有企業の固定資産投資に占め る政府投資の割合は 1980 年までは 60~80%であったが,80 年代から急速に低下し, Table2.3 によると,1981~1990 年 28.1%~8.7%まで低下したが,21 世紀初頭には わずか 6%となり,さらに 2003 年には 4.6%に低下した。政府投資の代わりに企業自 身 による貯 蓄 が増 加 した。その理 由 は,企 業 利 潤 の上 納 税 が廃 止 され,税 金 (増 値 税 と所 得 税6 ))を支 払 った後 の利 潤 は,企 業 留 保 として企 業 が自 由 に処 分 できるよう になったことにある。企業自己投資は改革開放以前には全体のわずか 30%であった が,1980 年代から次第に増えていき,1981 年 55.4%を占め,1990 年に 65.4%になっ て,21 世紀初頭には 70%まで上昇した。もう一つの資本調達手段である国内金融機 関などからの借金は 80 年以前の 5%未満から 80 年代後半以降の 20%へと増加して いる。

Table 2.3 Composition of total fixed capital formation formation in Chian

年 分 資源来源 構成 政府投資 借り入れ 外資 自己投資 建 築 設 備 その他 1981 28.1 12.7 3.8 55.4 71.8 23.3 4.9 1985 16.0 20.1 3.6 60.3 65.1 28.2 6.7 1987 13.1 23.0 4.8 59.1 65.3 27.4 7.3 1988 9.3 21.0 5.9 63.8 65.2 27.5 7.3 1990 8.7 19.6 6.3 65.4 66.6 25.8 7.6 1993 3.7 23.5 7.3 65.5 62.7 25.4 11.9 1996 2.7 19.6 11.8 66.0 66.0 21.5 12.5 2000 6.4 20.3 5.1 68.2 62.4 23.7 13.9 2003 4.6 20.5 4.4 70.5 60.2 22.8 17.0 2004 5.7 18.5 5.3 70.5 60.7 23.5 15.8 出所:『中国統計年鑑』2005 年版 p.186 より作成 3.2 資本形成の源泉 以上のように,中国の高度成長は日本と同じように高い投資率により特徴づけられ る。投 資 の源 泉 (貯 蓄 )はかつて主 に政 府 であったが改 革 以 後 次 第 に家 計 へと変 貌 した。中国の個人貯蓄率は世界的にみても極めて高い水準であり,中 国の経済の強 17

Table  1.1  Contributions  (fraction  in  total  growth)  and  growth  rate  of  GDP  by  three major demands in China
Table 1.3 Change in composition of export from China
Table 2.1  Composition of gross national expenditure high growth period in Japan
Table 2.3 Composition of total fixed capital formation formation in Chian
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