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I_112 土木学会論文集 B2( 海岸工学 ),Vol. 70,No. 2,2014 NCEP/CFSR Saha et al 2010 ETOPO5 Amante and Eakins 図 -1 pdf FETCH Mistral events 18m/s 図 -1 a 図 -1

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短波重力波領域におけるスペクトル形状とソースバランス

Spectral form and source term balance of short gravity wind waves

田村 仁

・William M. Drennan

・Erik Sahlee

・Hans C. Graber

Hitoshi TAMURA, William M. DRENNAN, Erik SAHLEE and Hans C. GRABER

We investigated the spectral structure and source balance of short gravity waves, based on in situ observations of wavenumber spectra retrieved by air-sea interaction spar (ASIS) buoys. The observed wavenumber spectra showed the spectral power laws described by Toba [1973] and Phillips [1958] in addition to the characteristic nodal point at ~10 rad/ m. The wave model reproduced the spectral form in the higher wavenumber domain using the nonlinear dissipation term. In the equilibrium range, nonlinear transfer played a major role in maintaining equilibrium conditions. On the other hand, in the saturation range, which starts at the upper limit of the equilibrium range, nonlinear transfer did not keep up with other source terms, and the dissipation term was in balance with wind input.

1. はじめに 短波重力波,および表面張力波領域における海洋波は, ピーク領域と比較して無視できるほどエネルギーレベル が小さいものの,大気海洋相互作用における運動量・物 質交換には極めて重要である.また,衛星搭載散乱計 (例えばQuikSCAT)で計測される海面応力は,これら短 波重力波・表面張力波の物理過程を反映していることか ら,これらの波数帯におけるスペクトル形状およびソー スバランスの理解を深めることは精度の高い海面物理量 の推定に極めて重要となる. これまで主に衛星データ(散乱計および合成開口レー ダ)解析の観点から様々な短波重力波(以下SG波,波 数:1-50 rad/m)および表面張力波領域(波数:200 rad/ m以上)におけるスペクトルモデルが提案されてきてい る(例えばElfouhaily et al,1997).しかしながらHwang and Plant(2010)で示されるようにその飽和スペクトル 形状B(k)は各モデルで大幅に異なる.特に本研究で取り 扱うSG波の波数帯域ではそれらの差異が顕著であり,海 面応力と直接関係する平均二乗波形勾配(Mean square slope)の評価は大幅に異なることとなる. 本研究では現地観測データおよび第三世代波浪モデル に基づき, SG波領域における物理特性を研究した.現地 観測データはできるだけ正確に波浪スペクトル形状を推 定 す る た め に, 通 常 用 い ら れ るFFT解 析 で は な く, Wavelet解析をベースとした波数スペクトル推定法を用い た.また,モデル計算では,まず現地観測結果を精度よ 1 正会員 博(工) 海洋研究開発機構 研究員 2 Ph.D マイアミ大学 教授 3 Ph.D ウプサラ大学 准教授 く再現できるよう砕波による散逸項の改良を行い,その 上でSG波領域におけるソースバランスを検討した.その 結果,風波スペクトルの平衡領域(Equilibrium range)お よび飽和領域(Saturation range)でソース項に異なる力 学バランスがあることが確認された. 2. 解析手法 SG波は吹送流やうねりに伴う軌道流速によるドップ ラー周波数シフトの影響を容易に受ける.そのため通常 の定点ブイ観測で得られる周波数スペクトルから分散関 係を仮定して推定される波数スペクトルの解釈には注意 が必要となる.本研究ではマイアミ大学で開発された ASIS(air-sea interaction spar)buoyによって計測(一計 測:20Hz,30分)された4点(20cm間隔)の水位変動に 対 し,Donelan et al (1996) に よ るWavelet Directional Method(WDM)を用いで波数スペクトルを直接推定し た.使用したデータはFETCH(1998年,地中海リオン湾, 852データ)およびDOGEE(2007年,北大西洋スペイン 沖,352データ)の2つの現地観測プロジェクトの際に得 られた海上風,および波数スペクトル(最大波数:10 rad/m)である. また,これらの観測を対象に第三世代波浪モデル WAVEWATCH-IIITM ver 3.14(WW3:Tolman and Chalikov

1996,以下TC96)を用いて波浪ハインドキャストを行っ た.波数領域は現地観測をカバーする最大60 rad/m(~ 4Hz)とし,ソースバランス(海上風外力,砕波散逸, 成分波間相互作用)を検討するために通常用いられるス ペクトルtailは使用せず,ソース項から直接スペクトル形 状を計算した.海上風外力項および砕波散逸項にはWW3 のデフォルトであるTC96,また非線形相互作用にはDIA 法(Hasselmann et al 1985) を 用 い た. 海 上 風 速 に は

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NCEP/CFSRの解析値データ(Saha et al 2010)を用いて 波浪モデルを駆動した.海底地形,海岸線データには ETOPO5(Amante and Eakins 2009)を用いた.

3. 結果 図-1は本研究で用いた波数スペクトルに対して得られ た観測期間中の海象条件の確率密度関数(pdf)を示して いる.FETCHが行われた地中海リオン湾は北西からの強 風イベント(Mistral events)により最大風速が18m/sにま で達している(図-1(a)).一方,観測海域がショート フェッチのため有義波高(図-1(b))は最大で3m程度と なっている.DOGEEでは,北西大西洋のロングフェッチ のため風速に対し波浪の発達が顕著となっている.これ らのことから,波齢の逆数(図-1(d))を見ると,FETCH はyoung windsea(最大u10/cp:2.5)を,一方,DOGEEは

mature sea(u10/cp:0.2-1)を反映しており,一般的な外 洋域における海象条件を広域にカバーした観測データ セットとなっている. 図-2は そ れ ぞ れ の 波 数(k:0.2,0.5,1.0,2.0,5.0, 10.0 rad/m)において,10m海上風速に対する飽和スペク トルB(k)の値を示している.ここで ………(1) ………(2) ………(3) であり,F(k):elevationスペクトル,Y(k,q):極座標表 示での2次元波数スペクトル,h:水位である.観測結 果で確認できるように,波数1(rad/m)以下ではおおむ ね風速に比例するようにB(k)が増加していることがわか る. これはToba(1974)が示した飽和スペクトル(g:重 力加速度,u*:摩擦速度) ………(4) と整合している.一方,波数2 (rad/m)以上では,B(k) の値は風速に対して飽和しつつあり,波数10ではほぼ一 定の値を取ることがわかる.このことはPhillips(1958) によって導入されたものの,その後Phillips(1985)で否 定された飽和スペクトル ………(5) が波数レンジによっては妥当であることを意味している. 図-3(波数レンジ:0.05-1 rad/m)および図-4(波数レ ンジ:1-10 rad/m)はそれぞれの風速レンジに対して平 均した飽和スペクトル形状を示している.観測結果(図 -3(a),図-4(a))では,ピーク領域(波数レンジ:0.1-0.2 rad/m)におけるオーバーシュートとそれに続くTobaスペ クトルおよびPhillipsスペクトルが確認でき,Forristall (1981)によって初めて示されたスペクトル形状の遷移 を支持する結果となっている.また,SG波領域(1-10 rad/m)ではBanner et al(1989)が示した波数に対するB (k)の勾配(~k0.09±0.09)に収まっていることからも,観測 データおよび解析手法(WDM)の妥当性が確認できる. 一方,波浪ハインドキャスト結果(図-3(b),図-4(b)) はピーク領域のスペクトル形状を再現できているものの SG波領域では明らかにスペクトルエネルギーを過大評価 するとともに,波数に対するB(k)の勾配も観測結果とは 異なる.既存のスペクトルモデルElfouhaily spectrum(図 -3(c), 図-4(c)),Hwang spectrum( 図-3(d), 図-4(d)) 図-1  解析に用いたデータの海象条件(pdf) (a)10m高度風速, (b)有義波高,(c)ピーク周期,(d)波齢逆数 図-2  海上風速に対する飽和スペクトル値(青点:FETCH,赤点DOGEE)

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に関しても観測結果と異なるがHwang and Plant(2010) で指摘されたように波数10 rad/mで飽和スペクトルの特 徴的な収束点が確認できる(図-4(d)). 4. 考察 観測された波数スペクトル形状F(k)は波数レンジに対 してk-2.5からk-3へのスペクトル遷移を示しており,既存

の研究結果(Forristall 1981, Hwang and Wang 2001, Resio et al 2004)と整合的である.このことは異なる波数領域 で異なるソースバランスが成り立っていることを示唆し ている.一方,デフォルトのWW3によって得られた波数 スペクトル形状は観測結果と比較して大きく異なること 図-3 異なる海上風速に対する平均飽和スペクトル(波数レンジ:0.05-1 rad/m) 図-4 異なる海上風速に対する平均飽和スペクトル(波数レンジ:1-10 rad/m) 10−3 10−2 B(k)~k0.18 B(k)~k0 (a) ASIS obs

Saturation spectrum B(k) 14m/s 12m/s 10m/s 8m/s 6m/s 4m/s (b) WW3: no diagnostic tail B(k)~k0.5 100 101 102 10−3 10−2 (c) E spectrum: Fetch−unlimited Wavenumber (rad/m) Saturation spectrum B(k) 100 101 102 (d) H4 spectrum: swell Wavenumber (rad/m)

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が示された.この観測結果とモデル結果の違いは何に起 因するものなのか.以下ではこのことを検討するために 新たな砕波散逸項を導入する. Donelan(2001)はSG波に対してバックグラウンドの 流れとなる長波長帯の海洋波が砕波を促すとして(水理 学的変調)新たな非線形散逸モデルを提案している.こ こでDonelan(2001)およびDonelan et al(2012)による 非線形散逸Sdsは式(6)で表される. …(6) A2,A3はモデルパラメータ,mssはMean square slopeで

あり次式で表される. ………(7) ここでlは積分変数.本研究でもこの水理学的変調に伴 う砕波促進の概念を踏まえ,TC96によって提案されてい る砕波散逸項の代わりに式(6)を用いることでソース バランスを検討した. 図-5は,上記の非線形散逸モデルを用いて行った波浪 ハインドキャスト結果から図-4と同一の波数領域におけ る飽和スペクトルを示している.波数帯k:1-2 rad/mの低 風速条件(u10: 4-6 m/s)ではBanner et al(1989)が示し

たB(k)~k0.18,一方,波数帯:1-2 rad/mの高風速(u 10: 10-14 m/s)および波数帯:10-20 rad/mではB(k)~k0のスペクトル 形状の再現に成功している.このことから砕波散逸項が SG波領域でのソースバランスに極めて重要であることが わかる. 安定したスペクトル形状を維持するため,発達中の波 浪は下記の平衡条件を満たす必要がある. ………(8) 改良モデルによって得られたハインドキャスト結果か ら,ソースバランスをプロットすると(図-6),波数帯:1-2 rad/mでは非線形相互作用項Snlと正味のエネルギー入力Sf = Sin+Sdsがバランスしていることがわかる.このことは Tamura et al(2010)で示されたように波浪スペクトルの 平衡領域においてSnlは平衡条件(8)を満たすための調 整機能となっていることがわかる.また,波数スペクト ル形状F(k)はSf が負の場合(u10: 10-14 m/s)はk -3に漸近 し,またゼロに近いとき(u10: 4-6 m/s)はk -2.5に漸近する ことがわかる.一方,波数帯:10-20 rad/mではSnl はSf とバ ランスせず,平衡条件(8)を満たすためにはSinとSdsが バランスする必要がある.つまり平衡領域および飽和領 域においてSnl の役割が異なることがわかる. 5. おわりに 本研究では短波重力波(SG波)領域におけるスペクト ル特性を調べるとともに,ソースバランス(海上風外力, 砕波散逸,成分波間相互作用)を理解するため非線形散 図-5 非線形散逸項による平均飽和スペクトル 図-6  正味のエネルギー入力Sfと非線形相互作用項Snlのバラン ス(a)波数:1-2 rad/m,(b)波数:10-20 rad/m

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逸項を導入して解析を行った.観測された波浪スペクト ルから,これまでいくつかの研究で示されてきたスペク トル形状の遷移が確認され,また波数10 rad/m周辺では 海上風に依存しない特徴的な収束点があることが確認さ れた.第三世代波浪モデルWW3は,ピーク領域における スペクトルの再現性は良いものの,SG波を含む高波数領 域では観測結果と比較してスペクトルエネルギーを過大 評価する結果となった.一方,非線形散逸項を導入する ことでエネルギーレベルおよびスペクトル形状は大幅に 改善された.ソースバランスの議論から,平衡領域にお いては成分波間相互作用項は,平衡条件を維持するため の重要な役割を果たす.また正味のエネルギー入力が負 の時は波数スペクトル形状F(k)はk-3に漸近し,一方ゼロ に近いときはk-2.5に漸近することが確認された.飽和領 域では波数スペクトル形状F(k)はk-3に漸近し,この領域 では成分波間相互作用項は他のソース項と比較して小さ く,平衡条件を維持するために海上風外力と砕波散逸が バランスする. 最 後 に 本 研 究 の 成 果 は 科 学 研 究 費 補 助 金(No. 24760403,代表:田村)によるものであることを付記 する. 参 考 文 献

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