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利益・コストの予期が大学生の要請希求に与える影響について : 恋愛関係に着目して

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య඙ೃࡢ㛵㐃㸬࢝࢘ࣥࢭࣜࣥࢢ◊✲㸪34㸪 pp1-8. బ ⸨ ᚨ ࣭ Ᏻ ⏣ ᮅ Ꮚ 2001 ᪥ ᮏ ㄒ ∧ PANAS ࡢసᡂ ᛶ᱁ᚰ⌮Ꮫ◊✲, 9, 2, pp138-139. 㛵㇂኱㍤࣭‮ᕝ㐍ኴ㑻 2009 ᑐே᥼ຓ⫋ ⪅ࡢឤ᝟ປാ࡟࠾ࡅࡿឤ᝟ⓗ୙༠࿴⤒㦂 ࡢ➹グ㛤♧ ᚰ⌮Ꮫ◊✲ ➨80 ᕳ ➨ 4 ྕ pp.295-303.

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利 益 ・ コ ス ト の 予 期 が 大 学 生 の 要 請 希 求 に 与 え る 影 響 に つ い て

-恋愛関係に着目して-

富 永 美 咲 1) 内 海 千 種 2)

On the Effectiveness of the Expected Benefits and Costs on the Desire for Help-seeking in Romantic Relationship

Misaki TOMINAGA1) Chigusa UCHIUMI2) Abstract

The purpose of the study is to consider the desire for help-seeking about moral harassment in romantic relationship. In the course of the study we focused on the magnitude relation between benefits and costs of help-seeking.

We have surveyed four-year college students (N=206) in Tokushima prefecture. They were all asked about i) their awareness of the severity of moral harassment, ii) their desire for help-seeking about moral harassment, and iii) the benefits and costs of help-seeking.

For every type of moral harassment, we examined how the desire for help -seeking can be influenced by the evaluation of the pros and cons of asking for help -seeking. As for the evaluation here, we calculated it from the benefits and the costs that help-seeking may have. In all cases, the severer they, i.e. the students in our survey, considered moral harassment to be, the stronger their desire for help-seeking tended to become. In cases of moral harassments by control and monitor, and by indirect attack as well, the evaluation of pros and cons had a positive influence on the desire for help -seeking, while, in cases of moral harassments by verbal attack, it seemed that the evaluation of pros and cons did not.

Having observed in the study as well as in the preceding studies that moral harassments by verbal attack particularly are more likely to be overlooked, we have thus come to believe that influence that the evaluation of pros and cons has on the desire for help-seeking will change from one harassment type to another.

KeyWords; help-seeking, the benefits and costs, romantic relationship

1) 徳 島大 学大学 院総 合 科学教 育部

Faculty of Integrated Arts and Sciences, Tokushima University 2) 徳 島大 学大学 院総 合 科学研 究部

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問 題 と 目 的 1. 親 密 な 二 者 関 係 で の 不 当 な 行 為 全 国 の 20 歳以上 の 男女の 約 5 人 に 1 人 は 配 偶 者 か ら ,約6 人 に 1 人 は交際 相手 か ら 身 体 的 暴 行 , 心 理 的 攻 撃 , 経 済 的 圧 迫 , 性 的 強 要 の い ず れ か の 暴 力 を 受 け た こ と が あ る ( 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 ,2015). 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 (2014) か ら , 現 在 , 日 本 に お い て は , 婚 姻 届 を 出 し た 法 律 婚 , 婚 姻 届 を 出 し て い な い 事 実 婚 , 生 活 の 本 拠 を 共 に す る 交 際 関 係 に お い て パ ー ト ナ ー か ら 暴 力 を 受 け て い る 者 や , 離 婚 ・ 破 局 以 前 か ら 引 き 続 き パ ー ト ナ ー か ら の 暴 力 を 受 け て い る 者 が , 配 偶 者 か ら の 暴 力 の 防 止 及 び 被 害 者 の 保 護 に 関 連 す る 法 律(DV 防 止 法 ) の 保 護 の 対 象 と な っ て い る . し か し , 法 的 根 拠 の な い 恋 愛 関 係 に お け る デ ー ト ・ バ イ オ レ ン ス ( Dating Violence: DaV) に つ い て は , 法 的 根 拠 を 持 つ 配 偶 者 間 の 暴 力 等 と 違 い ,DV とい う 用 語 を つ け る こ と で あ た か も DV 防 止法 に 適 応 す る か の よ う な 印 象 を 受 け る が ,DV 防 止 法 で 定 め る 保 護 対 象 外 と な っ て い る ( 富 安 ・ 鈴 井 ,2008). そ こ で , 若 年 に お け る 恋 愛 関 係 で の 暴 力 な ど の 問 題 に 焦 点 を 当 て , そ れ ら 被 害 と そ の 対 処 に つ い て 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る . 2. 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト 近 年 で は , 配 偶 者 間 や 恋 愛 関 係 間 と い う 親 密 な 二 者 関 係 で 生 じ る 暴 力 な ど に 加 え て , 不 当 な 行 為 と し て モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト (Moral Harassment)も注 目され てい る. Hirigoyen,M.F.( 1998 高 野 優 訳 ,2011) は ,「 悪 意 を ほ の め か す 」,「 嘘 を つ く 」,「 ち ょ っ と し た 言 動 で 相 手 を 辱 め る 」 な ど に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト を 一 定 期 間 繰 り 返 す こ と に よ っ て , 他 者 を 深 く 傷 つ け , 心 理 的 に 破 壊 し て し ま う よ う な 人 間 関 係 が 存 在 す る こ と を 指 摘 し て い る . モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト は 人 を 人 と 思 わ ず , 嘘 を つ い た り , 相 手 を 操 ろ う と し た り す る こ と か ら 始 ま り , 家 庭 で も 職 場 で も , そ れ が 始 ま っ た 段 階 で 止 め て し ま わ な け れ ば , 次 第 に 悪 辣 な も の に な っ て い き , 被 害 者 の 心 の 健 康 に 重 大 な 影 響 を 及 ぼ す (Hirigoyen,M.F., 1998 高 野 優 訳 ,2011). Hirigoyen,M.F.( 2001 高 野 優 訳 ,2012) が 示 し た 敵 意 の あ る 言 動 リ ス ト の 「 コ ミ ュ ン ケ ー シ ョ ン を 拒 否 し て 相 手 を 孤 立 さ せ る 言 動 」,「 相 手 の 尊 厳 を 傷 つ け る 言 動 」,「 言 葉 に よ る 暴 力 ,肉 体 的 な 暴 力 ,性 的 な 暴 力 」 に 類 似 し た 行 為 は , 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 (2015)の調 査 から ,親密な 二者関 係で も 心 理 的 攻 撃 の 一 環 と し て 行 わ れ て い る と 考 え ら れ る .恋 愛 関 係 で の DaV に ついて 取り 上 げ た 先 行 研 究( 伊 田 ,2010;山田・山田 , 2010;寺 島・宇 井・宮前・竹澤・松井 ,2013) に お い て も Hirigoyen,M.F.( 1998 高 野 優 訳 ,2011; 2001 高 野 優 訳 ,2012) が 述 べ る よ う な モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト が 含 ま れ て お り , 恋 愛 関 係 に お い て も 「 悪 意 を ほ の め か す 」,「 嘘 を つ く 」 等 と い っ た 他 者 を 傷 つ け る 不 当 な 行 為 が 行 わ れ て い る こ と が 推 察 さ れ る . 越 智 ・ 長 沼 ・ 甲 斐 (2014)は,こ う し た ハ ラ ス メ ン ト は 暴 力 と 比 べ る と 問 題 が 小 さ く 思 わ れ が ち で あ る が , そ れ が 蔓 延 し て い る だ け に 直 接 的 な 身 体 的 暴 力 と 比 べ て も 重 要 な 社 会 問 題 で あ る と し て , 交 際 相 手 か ら も た れ さ れ る バ イ オ レ ン ス 行 為 と ハ ラ ス メ ン ト 行 為 の 両 方 に 焦 点 を 当 て 研 究 を 行 っ て い る .し か し ,越 智 ら(2014)のよ う に , 恋 愛 関 係 で の ハ ラ ス メ ン ト 行 為 に も 着 目 し た 研 究 は あ ま り 多 く は な い . ま た , 寺 島 ら(2013)によ っ て,DaV を 受けた 後 の 相 談 行 動 を 含 め た 対 処 行 動 が 異 な る こ と が 示 さ れ て い る . そ こ で , 本 研 究 で は , こ れ ま で に あ ま り 検 討 さ れ て い な い 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 取 り 上 げ , そ の 後 の 対 処 と し て 他 者 へ の 相 談 行 動 を 取 り 上 げ る . ま た , 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト を 含 む DaV が最 もよ く行わ れて いる 年齢 が 10〜 20 歳 代で ある ことか ら,青 年期 に あ る 大 学 生 を 対 象 と し て 調 査 を 行 う . 大 学 生 を 対 象 と し た 牧 野 (2011) は , 男 性 の 59.4%,女 性の 78.7% が,こ れま でに異 性 と 付 き 合 っ た こ と が あ る と 報 告 し て い る . 牧 野(2011)では ,交 際経験 での性 差に つ い て の 有 意 性 を 検 討 し て い な い も の , 性 別 と 交 際 経 験 の 有 無 と の 間 に 関 連 が あ る 可 能 性 が あ る . 3. 援 助 要 請 モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト の よ う な 悩 み 事 を 抱 え た 時 ,「 誰 か に 相 談 す る 」と い う 相 談 行 動 も , 援 助 要 請 の 形 態 の 1 つ で あ る と 考 え ら れ る .援 助 要 請 の 典 型 的 な 例 は ,「 個 人 が 問 題 の 解 決 の 必 要 性 が あ り , も し 他 者 が 時 間 , 労 力 , あ る 種 の 資 源 を 費 や し て く れ る の な ら , 問 題 が 解 決 ・ 軽 減 す る よ う な も の で , そ の 必 要 の あ る 個 人 が そ の 他 者 に 対 し て 直 接 的 に 援 助 を 要 請 す る 行 動 」 で あ る (DePaulo,B.M., 1983). 先 行 研 究 を も と に ,相 川(1989)や 高木1997)は援 助要 請の 生起過 程につ いて 検

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討 し , 援 助 要 請 の 意 思 決 定 に は 援 助 を 要 請 し た 時 ( 要 請 ) ・ 要 請 し な か っ た 時 ( 非 要 請 ) の そ れ ぞ れ に 伴 う と 予 想 さ れ る 利 益 ・ コ ス ト が 関 係 す る と 考 え て い る .利 益 と は , 要 請 ・ 非 要 請 に 伴 う ポ ジ テ ィ ブ な 結 果 で あ る . 一 方 , コ ス ト と は , 要 請 ・ 非 要 請 に 伴 う ネ ガ テ ィ ブ な 結 果 で あ る . 要 請 ・ 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト に は , 経 済 的 ・ 物 質 的 側 面 と 心 理 的 側 面 と が あ り , 特 に 心 理 的 側 面 に お け る 利 益 ・ コ ス ト が 重 要 で あ る と 考 え ら れ て い る( 相 川 ,1989;高木 ,1997).よ っ て , 本 研 究 で も , 援 助 要 請 に 伴 う 利 益 ・ コ ス ト の 心 理 的 側 面 に 着 目 し て い く . 潜 在 的 な 援 助 要 請 者 は , 要 請 ・ 非 要 請 に 伴 う と 予 想 さ れ る 利 益 ・ コ ス ト を 全 体 的 に 検 討 し ,援 助 要 請 の 意 思 決 定 を 行 う( 高 木 , 1997).相川( 1989)は,援 助要 請が行 わ れ る の は 要 請 の コ ス ト が 要 請 の 利 益 よ り も 小 さ く , 非 要 請 の コ ス ト が 非 要 請 の 利 益 よ り も 大 き い 時 で あ り , こ れ ら の 大 小 関 係 が 逆 の 場 合 に は 援 助 要 請 が 行 わ れ な い と し て い る . つ ま り , 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 大 小 関 係 と , 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 大 小 関 係 か ら , 援 助 要 請 を 行 う か 否 か が 決 定 さ れ る と 考 え ら れ て い る . こ れ ま で に も , 要 請 ・ 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 援 助 要 請 に 対 す る 影 響 を 検 討 し た 研 究( 永 井・新 井 ,2007;齊藤・永 井,2015) は あ る が , 要 請 ・ 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 大 小 関 係 か ら 援 助 要 請 へ の 影 響 を 検 討 し た 先 行 研 究 を 見 つ け る こ と は 叶 わ な か っ た . そ こ で , 本 研 究 で は , 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 大 小 関 係 か ら 算 定 さ れ る 援 助 要 請 に 対 す る 意 思 を 「 要 請 意 思 」 , 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 大 小 関 係 か ら 算 定 さ れ る 援 助 要 請 に 対 す る 意 思 を 「 非 要 請 意 思 」 と し て 捉 え , 検 討 す る .相 川(1989)や高野・宇留 田( 2002) か ら , 「 要 請 意 思 」 は 援 助 要 請 を 行 う こ と に つ い て 査 定 す る こ と で 得 ら れ る 為 , 援 助 要 請 に 対 し て 正 の 影 響 を 持 つ と 考 え ら れ る . 一 方 で , 「 非 要 請 意 思 」 は 援 助 要 請 を 行 わ な い こ と に つ い て 査 定 す る こ と で 得 ら れ る 為 , 援 助 要 請 に 対 し て 負 の 影 響 を 持 つ と 考 え ら れ る . な お , 本 研 究 を 行 う に 際 し て , 有 用 な 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト に 関 す る 尺 度 を 見 つ け る こ と は 叶 わ な か っ た . そ の 為 , ま ず は , 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト に 着 目 し , 本 田 ・ 石 隈 (2008)の援 助評価 尺 度を用 いて ,恋愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に 関 す る 援 助 要 請 へ の 「 要 請 意 思 」 の 影 響 を 検 討 す る . ま た , 援 助 要 請 に は , 要 請 ・ 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト 以 外 に も , 様 々 な 変 数 が 関 連 す る と 考 え ら れ て い る . 文 献 研 究 に よ り , 水 野 ・ 石 隅(1999)は,援助要 請に関 する 変 数 を 大 き く4 つ に分 類 してい る.1 つ目 は, デ モ グ ラ フ ィ ッ ク 要 因 で あ り , こ れ に は 性 差 , 年 齢 , 教 育 レ ベ ル , 文 化 背 景 の 違 い が 含 ま れ る .2 つ目 はネ ットワ ーク変 数で あ り , ソ ー シ ャ ル サ ポ ー ト , 事 前 の 援 助 体 験 の 有 無 が 含 ま れ る .3 つ目は パーソ ナリ テ ィ 変 数 で あ り , 自 尊 心 や 帰 属 ス タ イ ル が 含 ま れ る .4 つ 目は ,個 人の問 題の深 刻さ ・ 症 状 で あ る . こ れ ら の う ち , 本 研 究 に お い て は , 性 別 と 個 人 の 問 題 の 深 刻 さ ・ 症 状 を 取 り 上 げ る .水 野 ら(1999)に よっ て,援 助 要 請 に は 性 差 が あ り , ま た 個 人 の 問 題 の 深 刻 さ ・ 症 状 の 程 度 が 高 い ほ ど , 援 助 要 請 を 行 う 可 能 性 が 高 い と さ れ る . 恋 愛 関 係 に お い て 生 じ 得 る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト 等 の 悩 み 事 に つ い て も , 深 刻 で あ れ ば あ る 程 , 我 々 は 周 囲 に 助 け を 求 め る 等 の 援 助 要 請 を 行 う こ と は 容 易 に 推 察 で き る . よ っ て , 個 人 の 問 題 の 深 刻 さ , つ ま り 悩 み の 深 刻 さ は 援 助 要 請 に 対 し て 正 の 影 響 を 及 ぼ す と 考 え ら れ る . ま た , 大 学 生 に お い て は , 対 人 関 係 や 恋 愛 ・ 異 性 に つ い て の 悩 み で は 相 談 相 手 と し て 友 人 が よ り 好 ま れ る と さ れ る ( 木 村 ・ 水 野 ,2004).しか し,相談相 手を限 定し た こ と に よ る 援 助 要 請 へ の 作 用 を さ け る た め に , 本 研 究 で は 援 助 要 請 の 相 手 を 友 人 や , 家 族 な ど と 限 定 せ ず に , 調 査 協 力 者 に と っ て 最 も 援 助 要 請 を 行 い や す い 相 手 を 想 定 し て も ら う こ と と す る . 4. 本 研 究 の 目 的 Hirigoyen,M.F.( 1998 高 野 優 訳,2011; 2001 高 野 優訳 , 2012) が述 べるよ うな モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト は , 日 本 で も 恋 愛 関 係 な ど の 親 密 な 二 者 関 係 で 起 こ っ て い る と 考 え ら れ る . こ う し た モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト 含 む 心 理 的 攻 撃 は ,10〜 20 歳 代に交 際相 手 か ら 行 わ れ た 暴 力 と し て 最 も 多 い ( 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 ,2015).し かし, 交際 相 手 か ら 暴 力 を 受 け た 者 の 約 45%が,親密 な 関 係 に あ る パ ー ト ナ ー か ら の 暴 力 に つ い て , ど こ に も 相 談 を 行 っ て い な い ( 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 ,2015). このこ とから ,恋 愛 関 係 に お け る 不 当 な 行 為 は 周 囲 へ の 相 談 行 動 , つ ま り 援 助 要 請 が 行 わ れ に く い こ と が 考 え ら れ る . そ こ で , 本 研 究 で は , 恋 愛 関 係 で 起 こ り 得 る 不 当 な 行 為 と し て , モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト を 取 り 上 げ , ま ず は 援 助 要 請 へ の 希 求 ( 要 請 希 求 ) に つ い て 検 討 す る . 恋 愛 関 係

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で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て , 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 大 小 関 係 か ら か ら 算 定 さ れ る 要 請 意 思 に つ い て 着 目 し な が ら , 要 請 意 思 の 要 請 希 求 へ の 影 響 に つ い て 検 討 す る こ と を 本 研 究 の 目 的 と す る . こ れ に よ り , 恋 愛 関 係 に お け る 不 当 な 行 為 に つ い て の 援 助 を 求 め る よ う と す る 際 に , 期 待 さ れ る , あ る い は 懸 念 さ れ る も の に つ い て 検 討 し て い く . 仮 説 は , 以 下 の 通 り で あ る . 仮 説 1 : 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は , 要 請 意 思 は 要 請 希 求 に 正 の 影 響 を 及 ぼ す. 仮 説 2 : 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト は 悩 み の 深 刻 さ は , 要 請 希 求 に 正 の 影 響 を 及 ぼ す . 本 研 究 で は 仮 説 を 検 証 す る に あ た り , Figure.1 のよ うに モデ ルを設 定した .ま ず, 性 別 と 交 際 経 験 の 有 無 を 外 生 変 数 と し , そ れ ら の 間 に 相 関 関 係 を 設 定 し た . 次 に , 深 刻 さ 得 点 と 要 請 意 思 得 点 を 設 定 し た . そ し て , 最 後 に , 従 属 変 数 と し て 要 請 希 求 得 点 を 設 定 し た . Figure.1 仮説 モデ ル 方 法 1. 実 施 期 間 2015 年 12 月下 旬か ら 2016 年 1月 上旬 に か け て , 大 学 の 講 義 時 間 の 一 部 を 利 用 さ せ て 頂 き , 質 問 紙 調 査 を 実 施 し た . 2. 調 査 対 象 者 徳 島 県 内 の 4 年 制 大 学 へ 通 う 者 の う ち , 精 神 科 等 へ の 通 院 歴 の な い , 青 年 期 に あ る 大 学 生 206 名 を対象 に 調査を 実施し た( 回 収 率 99.515%).調査 協力に 同意し なか っ た も の や , 途 中 で 回 答 を 止 め た も の , 青 年 期 に 属 さ な い も の を 除 い た 169 名( 男性 67 名 ,女 性 100 名 ,性 別 不明 2 名,平均 年齢 20.056 歳 ,SD=0.974)分の データ を分 析 に 用 い た . 3. 調 査 手 続 心 理 学 を は じ め と す る 調 査 研 究 の 学 び に 関 連 の あ る 講 義 終 了 後 に , 質 問 紙 に よ る 調 査 を 行 っ た . 本 研 究 の 概 要 や 手 続 き , 研 究 協 力 の 任 意 性 , 研 究 へ の 参 加 ・ 不 参 加 が 講 義 の 成 績 に は 関 係 が な い こ と な ど を 説 明 し た 上 で , 調 査 協 力 者 の 自 由 意 志 に よ る 研 究 へ の 協 力 を 求 め た . な お , 調 査 協 力 者 が 質 問 紙 を 裏 返 し て 提 出 し て も , 回 答 し た 内 容 が 周 囲 に 見 え な い よ う に , 質 問 紙 の 最 後 は 白 紙 に し た .な お ,本 調 査 は ,平 成 2015 年 度 徳 島 大 学 総 合 科 学 部 の 倫 理 審 査 委 員 会 の 承 認 を 受 け て 行 わ れ た( 受 付 番 号 92,承 認 日 2015 年 12 月 9 日). 4. 質 問 紙 の 構 成 質 問 紙 は ,大 き く 以 下 の 1)〜 4)で 構成さ れ て い る . 1)フ ェイス シー ト 調 査 協 力 意 思 の 有 無 , 年 齢 , 性 別 , 交 際 経 験 の 有 無 に つ い て 尋 ね た . な お , 本 研 究 に お い て は , 交 際 経 験 の 有 無 を 「 法 的 婚 姻 関 係 に な い パ ー ト ナ ー が い た ・ い る 経 験 」 と し た . 2)モ ラル・ ハラ スメン トの 深 刻さ 恋 愛 関 係 で 起 こ り 得 る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト と し て , デ ー ト バ イ オ レ ン ス ・ ハ ラ ス メ ン ト 尺 度 ( 越 智 ら ,2014)の うち,「間 接 的 暴 力 」6 項目 ,「 支配・監視 」14 項 目 , 「 言 語 的 暴 力 」6 項目 の計 26 項目を 取り 上 げ た . 同 尺 度( 越 智 ら ,2014)は,恋愛 関係で 起 こ り 得 る 暴 力 と ハ ラ ス メ ン ト の 両 方 を 含 む .そ の た め ,心 理 学 を 専 攻 す る 大 学 院 生・ 大 学 生 と ,研 究 実 施 者 の 計 8 名が同 尺度( 越 智 ら ,2014)から ,モ ラル・ハラ スメン ト と 考 え ら れ る 計 26 項 目を選 出した . こ れ ら 項 目 の 選 出 は ,Hirigoyen,M.F.( 2001 高 野 優 訳 ,2012)の 敵意 ある言 動リス トに 合 致 す る , 個 々 人 が モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト で あ る と 感 じ る と い う 視 点 か ら 行 わ れ た . 計 26 項目 の各項 目に つ いて,8 名の 一致 率は 85%を上 回っ ていた . なお, 各項目 中の 交 際 相 手 や 異 性 友 人 な ど の 表 現 を , パ ー ト ナ ー や パ ー ト ナ ー と 同 性 の 人 な ど と 統 一 し た . 交 際 し て い る パ ー ト ナ ー か ら 繰 り 返 し 行 わ れ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト 計 26 項 目 に つ い て 想 定 し て も ら い , そ れ ら 行 為 が 調 査 協 力 者 に と っ て ど の く ら い 深 刻 な 悩 み に な る か を 5 件 法(「 1:深 刻 で な い 」〜「 5: 深 刻 で あ る 」) で 尋 ね た . 得 点 の 範 囲 は , 26〜 130 点 であ る.分 析には ,悩み の深 刻 さ の 素 点 か ら 算 出 し た Z 得点 を用 いた.

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交 際 し て い る パ ー ト ナ ー か ら 繰 り 返 し 行 わ れ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト 計 26 項 目 に つ い て 想 定 し て も ら い , そ れ ら 行 為 が 調 査 協 力 者 に と っ て ど の く ら い 深 刻 な 悩 み に な る か を5 件 法(「 1:深 刻 で な い 」〜「 5: 深 刻 で あ る 」) で 尋 ね た . 得 点 の 範 囲 は , 26〜 130 点 であ る.分 析には ,悩み の深 刻 さ の 素 点 か ら 算 出 し た Z 得点 を用 いた. Table.1 恋 愛関係 にお いて起 こり得 る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト 3)モ ラル・ ハラ スメン トに 関 する 要 請 希 求 交 際 し て い る パ ー ト ナ ー か ら 繰 り 返 し 行 わ れ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト 計 26 項 目 に つ い て 想 定 し て も ら い , そ れ ら 行 為 に つ い て 調 査 協 力 者 が 最 も 相 談 し や す い 相 手 に 相 談 す る か 否 か を 5 件 法(「 1:相 談しな い 」 〜 「5: 相談す る 」)で 尋ねた .得 点 の 範 囲 は ,26〜 130 点 である . 分 析 には , 要 請 希 求 の 素 点 か ら 算 出 し たZ 得点 を用 い た . 4)要 請 希 求 に伴 う 利益 ・コス ト 要 請 希 求 に 伴 う 利 益 ・ コ ス ト の 予 期 に つ い て 測 定 す る た め ,援 助 評 価 尺 度( 本 田 ら , 2008)を 用いた .こ の尺度 は,「 他者か ら の 支 え の 知 覚 」6 項 目 ,「 問 題 状 況 の 改 善 」 6 項目,「対処 の混 乱 」 6 項目 ,「他 者へ の 依 存 」5 項目 の計 23 項目か らなる .こ れら の う ち , 援 助 要 請 の ポ ジ テ ィ ブ な 結 果 を 示 す こ と か ら「 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 」と「 問 題 状 況 の 改 善 」 を 要 請 の 利 益 と し て , ネ ガ テ ィ ブ な 結 果 を 示 す こ と か ら「 対 処 の 混 乱 」 と 「 他 者 へ の 依 存 」 を 要 請 の コ ス ト と し て 捉 え る こ と が 可 能 で あ る と 考 え る . な お , 利 益 ・ コ ス ト の 予 期 を 尋 ね る に あ た っ て , 各 項 目 の 文 末 表 現 を 変 更 し た . 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て , 調 査 協 力 者 が 最 も 相 談 行 動 を 行 い や す い 相 手 に 相 談 す る 際 に 予 期 す る 利 益 ・ コ ス ト に つ い て4 件 法(「 1:当て はまら ない 」 〜 「4:当 てはま る」)で尋ね た.得 点の範 囲 は ,23〜 92 点 で あ る .分 析 に は ,利 益 ・ コ ス ト の 素 点 か ら 算 出 し た Z 得点を 用い た . 5. デ ー タ 分 析 方 法 本 研 究 に お い て , 統 計 処 理 お よ び モ デ ル の 検 討 は ,IBM SPSS Statistics ver.20, お よ び IBM SPSS Amos ver.20 を 用いて 行 っ た . 統 計 学 的 有 意 水 準 は , 両 側 5%未 満 と し た. 結 果 1. 各 尺 度 の 因 子 の 検 討 調 査 協 力 に 同 意 し な か っ た も の や , 途 中 で 回 答 を 止 め た も の な ど を 除 い た 169 名 ( 男 性 67 名 ,女 性 100 名,性別不 明 2 名 , 平 均 年 齢 20.06 歳 ,SD=0.97) 分の デー タ を 分 析 に 用 い た .こ の169 名のデ ータに は, 欠 損 値 を 含 む も の が 存 在 し た . そ こ で , 質 問 ご と に 欠 損 値 を 含 む デ ー タ を 除 い て , 各 質 問 の 因 子 の 検 討 を 行 っ た . い ず れ に つ い て も ,0.350 以上 の因 子負荷 量を持 たな い 項 目 ,2 つ以 上の因 子 に 0.350 以 上の因 子 負 荷 量 を 持 つ 項 目 を 削 除 し , 因 子 の 分 析 を 行 っ た . 1)モ ラル・ ハラ スメン トの 深 刻さに つい て デ ー ト バ イ オ レ ン ス ・ ハ ラ ス メ ン ト ( 越 智 ら ,2014)の計 26 項 目 の 行 為につ いて , 交 際 し て い る パ ー ト ナ ー か ら 繰 り 返 し 行 わ れ る こ と を 想 定 し て も ら い , そ れ が 調 査 協 力 者 に と っ て ど の く ら い 深 刻 な 悩 み で あ る か を 5 件法で 尋ね た. デ ー ト バ イ オ レ ン ス ・ ハ ラ ス メ ン ト 尺 度 ( 越 智 ら ,2014)は ,今まで 男性と の交 際 経 験 の あ る 全 国 の 大 学 院 生 ・ 大 学 生 の 女 性 ( 平 均 年 齢 21.16 歳 ,SD=1.578)を対 象に 調 査 を 行 い , 作 成 さ れ た も の で あ る . 本 研 究 で は , そ の 尺 度 の 一 部 ( 計 26 項目 )を 用 い , ま た 青 年 期 に あ る 男 性 ・ 女 性 の 大 学 生 を 対 象 と し た た め , 因 子 に 含 ま れ る 項 目 や ,因 子 構 造 が 異 な る 可 能 性 が 考 え ら れ た . そ こ で , デ ー ト バ イ オ レ ン ス ・ ハ ラ ス メ ン ト 尺 度 ( 計 26 項目 ) につい て,因 子分 析 ( 主 因 子 法 ,プ ロ マ ッ ク ス 回 転 )を 行 っ た . そ の 結 果 ,固 有 値 が 1.000 以上 の 3 因 子 24 項 目 が 抽 出 さ れ た (Table.2).

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第1 因 子 は「パー ト ナーへ の LINE の 返 事 が 遅 か っ た り , 既 読 な の に 返 事 を 送 ら な か っ た と し て 腹 を 立 て ら れ る 」 な ど , デ ー ト バ イ オ レ ン ス ・ ハ ラ ス メ ン ト 尺 度 ( 越 智 ら ,2014)の 下位因 子「支配・監 視」の 項 目 を 多 く 含 ん だ こ と か ら , 支 配 ・ 監 視 の 深 刻 さ(14 項 目 )と名 付 けた .第 2 因子 は「『ブ サ イ ク 』 な ど と わ ざ と 自 分 が 嫌 が る 呼 び 方 で 呼 ば れ る 」な ど ,元 の 尺 度 の 下 位 因 子「 言 語 的 暴 力 」 に 含 ま れ る 項 目 か ら な る こ と か ら , 言 語 的 攻 撃 の 深 刻 さ (6 項 目) と名付 け た . 第 3 因子 は「パ ートナ ーにも のを 投 げ つ け ら れ る 」 な ど , 元 の 尺 度 の 下 位 因 子 「 間 接 的 暴 力 」 に 含 ま れ る 項 目 か ら な る こ と か ら , 間 接 的 攻 撃 の 深 刻 さ (4 項 目)と 名 付 け た . 各 因 子 の 内 的 整 合 性 を 確 認 す る た め に , α係 数 を 算 出 し た と こ ろ , 支 配 ・ 監 視 の 深 刻 さ(α=0.960),言 語的攻 撃の深 刻さ(α =0.920),間 接的攻 撃 の深刻 さ(α=0.946) で あ っ た . な お , 因 子 間 相 関 に つ い て は , 支 配 ・ 監 視 の 深 刻 さ −言 語 的 攻 撃 の 深 刻 さ (r=0.605), 支 配・ 監 視の深 刻さ−間接的 攻 撃 の 深 刻 さ (r=0.629),言語 的攻撃 の深 刻 さ −間 接 的 攻 撃 の 深 刻 さ (r=0.646) で , そ れ ぞ れ 相 関 が や や あ る こ と が 確 認 さ れ た . 2)要 請希求 につ いて モ ラ ル・ハ ラ ス メ ン ト の 深 刻 さ と 同 様 に , デ ー ト バ イ オ レ ン ス・ハ ラ ス メ ン ト 尺 度( 越 智 ら ,2014)の 計 26 項 目 に ついて ,交 際 し て い る パ ー ト ナ ー か ら 繰 り 返 し 行 わ れ る こ と を 想 定 し て も ら い , そ の こ と に つ い て 調 査 協 力 者 に と っ て 最 も 相 談 し や す い 相 手 に 相 談 す る か 否 か を 5 件法で 尋ねた . 要 請 希 求 の 測 定 に も , デ ー ト バ イ オ レ ン ス ・ ハ ラ ス メ ン ト 尺 度( 越 智 ら ,2014)の 計 26 項 目を用 いた 為 , 先 の モラル ・ハ ラ ス メ ン ト の 深 刻 さ と 同 様 に , 因 子 分 析 ( 主 因 子 法 , プ ロ マ ッ ク ス 回 転 ) を 行 っ た . そ の 結 果 , 固 有 値 が 1.000 以上 の 3 因 子 24 項 目 が 抽 出 さ れ た (Table.3). 第 1 因 子 は「 パート ナーに,パート ナー と 同 性 の 友 人 と の 付 き 合 い ( 会 う こ と や 話 す こ と ) を 制 限 さ れ る 」 な ど , デ ー ト バ イ オ レ ン ス・ハ ラ ス メ ン ト 尺 度( 越 智 ら ,2014) の 下 位 因 子 「 支 配 ・ 監 視 」 の 項 目 を 多 く 含 ん で い た こ と か ら , 支 配 ・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求(14 項 目 )と 名付け た.第 2 因 子 は「『 痩 せ ろ 』な ど ,体 型 の こ と に 関 し て 口 を 出 さ れ る 」な ど ,元 の 尺 度 の 下 位 因 子「 言 語 的 暴 力 」 の 項 目 か ら な る こ と か ら , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 (6 項 目 ) と 名 付 け た . 第 3 因 子は「 パート ナーに もの を 投 げ つ け ら れ る 」 な ど , 元 の 尺 度 の 下 位 因 Table.2 深 刻さに つい ての因 子の検 討

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Table.3 要 請希求 につ いての 因子の 検討 子 「 間 接 的 暴 力 」 か ら な る こ と か ら , 間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 (4 項 目 ) と 名 付 け た . 各 因 子 の 内 的 整 合 性 を 確 認 す る た め にα 係 数 を 算 出 し た と こ ろ , 支 配 ・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 (α=0.957),言 語的攻 撃に つ い て の 要 請 希 求 (α=0.941), 間接 的攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求(α=0.943)で あ っ た . な お , 要 請 希 求 の 因 子 間 相 関 に つ い て は ,支 配・監 視 に つ い て の 要 請 希 求 −言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 (r=0.636), 支 配・監 視 に つ い て の 要 請 希 求 −間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 (r=0.452),言語 的攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 −間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 (r=0.519)で, それぞ れ 相 関 が や や あ る こ と が 確 認 さ れ た . ま た , 深 刻 さ , 要 請 希 求 に つ い て の 因 子 の 検 討 か ら , 本 研 究 で の 恋 愛 関 係 に お け る ハ ラ ス メ ン ト の 因 子 の 構 造 は , 越 智 ら (2014)のデ ートバ イ オレン ス・ハラス メ ン ト 尺 度 と お お よ そ 同 じ で あ る こ と が 確 認 さ れ た . 3)要 請希求 に伴 う利益 ・コス トにつ いて 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て , 調 査 協 力 者 が 最 も 相 談 行 動 を 行 い や す い 相 手 に 相 談 す る 際 に 予 期 す る 利 益 ・ コ ス ト に つ い て4 件 法で 尋ねた . 利 益 ・ コ ス ト の 予 期 の 測 定 に 用 い た , 援 助 評 価 尺 度( 本 田 ら ,2008)は ,大 学生に お い て も 実 施 さ れ て い る ( 齊 藤 ら ,2015) も の の , 元 は 中 学 生 を 対 象 と し た 調 査 か ら 作 成 さ れ た も の で あ る . そ の 為 , 大 学 生 を 対 象 と し た 本 研 究 で は 因 子 に 含 ま れ る 項 目 や ,因 子 構 造 が 異 な る 可 能 性 が 考 え ら れ た . そ こ で , 利 益 ・ コ ス ト の 予 期 に 対 し て も , 同 様 に 因 子 分 析 ( 主 因 子 法 , プ ロ マ ッ ク ス 回 転 )を 行 っ た .そ の 結 果 ,固 有 値 が 1.000 以 上 の 4 因 子 20 項 目 が抽出 された (Table.4). 第 1 因 子 は「 自 分が どうす ればい いか が 余 計 に 分 か ら な く な る 」 な ど , 援 助 評 価 尺 度( 本 田 ら ,2008)の 下位因 子「 対処の 混 乱 」 に 含 ま れ る 項 目 か ら な る こ と か ら , 対 処 の 混 乱 (6 項目) と 名付け た. 第 2 因 子 は 「 悩 ん だ 時 に は こ う す れ ば い い と い う や り 方 が 分 か る 」 な ど , 元 の 尺 度 の 下 位 因 子 「 問 題 状 況 の 改 善 」 の 項 目 か ら な る こ と か ら ,問 題 状 況 の 改 善(6 項目 )と名 付け た. 第 3 因 子は「 自分 が他 の人に 頼りす ぎて い る と 思 う 」 な ど , 元 の 尺 度 の 下 位 因 子 「 他 者 へ の 依 存 」 の 項 目 か ら な る こ と か ら , 他 者 へ の 依 存 (5 項目 ) と名付 けた. 第 4 因 子 は 「 自 分 の 味 方 を し て く れ る 人 が い る と 思 う 」 な ど , 元 の 尺 度 の 下 位 因 子 「 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 」の 項 目 か ら な る こ と か ら , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 (3 項目 )と 名付け

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Table.4 利 益・コ スト の予期 につい ての 因子 の検討 た . 利 益 ・ コ ス ト の 予 期 の 各 因 子 の 内 的 整 合 性 を 確 認 す る た め に α 係 数 を 算 出 し た と こ ろ , 対 処 の 混 乱 (α=0.875),問 題状況 の 改 善(α=0.842),他者 への依 存(α=0.856), 他 者 か ら の 支 え の 知 覚(α=0.885)であ っ た . 各 因 子 の 因 子 間 相 関 は , 対 処 の 混 乱 -問 題 状 況 の 改 善 (r=0.110),対 処の混 乱 -他 者 へ の 依 存(r=0.678).対処 の混 乱 -他 者 か ら の 支 え の 知 覚(r=-0.200),問題 状況の 改 善-他者 への依 存(r=-0.181),問 題状況 の 改 善-他 者から の支 えの知 覚(r=0.424), 他 者 へ の 依 存-他 者か らの支 えの知 覚 (r=-0.237) であ った .よっ て,対 処の 混 乱他 者へ の依存 の間 と,問 題状況 の改 善 -他 者 か ら の 支 え の 知 覚 の 間 で や や 相 関 が み ら れ , そ れ 以 外 で は 相 関 は 殆 ど み ら れ な か っ た . ま た , 本 研 究 で の 利 益 ・ コ ス ト の 予 期 の 因 子 構 造 は ,本 田 ら(2008)とお およ そ 同 様 の 因 子 構 造 で あ る こ と が 確 認 さ れ た . 2. 性 別 や 交 際 経 験 の 有 無 に よ る 差 の 検 討 共 分 散 構 造 分 析 に よ る モ デ ル の 検 討 を 行 う 前 に ,欠 損 値 の な い 138 名(男 性 53 名 , 女 性85 名,平 均年 齢 20.04 歳 ,SD=0.91) 分 の デ ー タ に つ い て ,以 下 の 検 討 を 行 っ た . 1)交 際経験 にお ける性 差につ いて 138 名 に つ い て, 交 際経験 につい て性 差 が あ る か を 検 討 す る た め に ,X2乗 検 定 を 行 っ た(Table.5).その 結果,男女に おけ る 交 際 経 験 の 有 無 に 差 は 認 め ら れ な か っ た (X2=1.033,n.s.,φ=.1.033) . Table.5 交際経 験に お ける性 差につ いて 2)各 変数の 性差 につい て 各 変 数 の 性 差 を 検 討 す る た め ,t検 定 を 行 っ た(Table.6).t検 定 に は ,深 刻 さ( 全 体 ,支 配・監 視 ,言 語 的 攻 撃 ,間 接 的 攻 撃 ), 要 請 希 求( 全 体 ,支 配・監 視 ,言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 ) , 問 題 状 況 の 改 善 , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 , 対 処 の 混 乱 , 他 者 へ の 依 存 の 12 の 変数を 取り 上 げた. 性 差 を 検 討 し た 結 果 , 要 請 希 求 全 体 (t=-2.886,p=0.005,Cohen’s d =0.505), 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求(t=-3.342, p=0.001,Cohen’s d=0.585),間 接的攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求(t=-4.258,p<0.001, Cohen’s d =0.821) , 他者か らの支 えの 知 覚(t=-2.798,p=0.006,Cohen’s d =0.490), 対 処 の 混 乱(t=3.550,p=0.001,Cohen’s d =0.621)で 性差 がみら れた.ま た,間 接的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 で の み , 等 分 散 が 仮 定 さ れ な か っ た . こ れ ら 5 つ の 変 数 に お 男性 女性 合計 φ 交際経験 なし 12 26 38 1.033 あり 41 59 100 合計 53 85 138

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Table.6 各変数 の性 差 Table.7 各 変数の 交際 経験に よる差 い て ,Cohen’s d の 値 の 範 囲 は 0.490~0.821 で , い ず れ の 変 数 で も 中 等 度 , も し く は 高 い 効 果 量 が み ら れ た . 平 均 値 か ら , 要 請 希 求 ( 全 体 , 言 語 的 , 間 接 的 ) , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 は 女 性 の 方 が 高 く , そ の 差 の 効 果 は 中 等 度 以 上 で あ る . ま た , 対 処 の 混 乱 は 男 性 の 方 が 高 く , そ の 差 の 効 果 に つ い て も 中 等 度 で あ る . 3)各 変数 の 交際 経験に よる差 につい て 各 変 数 の 交 際 経 験 に よ る 差 を 検 討 す る た め ,先 と 同 様 の 12 の 変数 を用い て ,t検 定 を 行 っ た (Table.7).各 変数の 得 点 は , Z得 点 を 用 い た . 交 際 経 験 に よ る 差 を 検 討 し た 結 果 , 深 刻 さ 全 体 (t=2.661,p=0.009,Cohen’s d =0.406),言 語的 攻撃 による 悩みの 深刻 さ (t=2.408,p=0.017,Cohen’s d =0.459) で 差 が み ら れ た .Cohen’s dの 値 の 範 囲 は 0.406〜 0.459 で ,いず れの変 数につ いて も 小 さ い 効 果 量 が み ら れ た . 平 均 値 か ら , 悩 み の 深 刻 さ 全 体 , 言 語 的 攻 撃 の 深 刻 さ に つ い て は 交 際 経 験 が あ る と 得 点 が 低 く な る こ と が 確 認 さ れ た . 3. 各 変 数 の 相 関 関 係 の 検 討 各 変 数 の 相 関 関 係 に つ い て 分 析 を 行 っ た (Table.8) . ま ず , 悩 み の 深 刻 さ に つ い て , 悩 み の 深 刻 さ 全 体 は , 支 配 ・ 監 視 の 深 刻 さ , 言 語 的 攻 撃 の 深 刻 さ , 間 接 接 的 攻 撃 の 深 刻 さ , 要 Mean SD Mean SD 深刻さ 48.802 7.925 50.747 11.079 -1.112 0.195  支配・監視 49.101 8.577 50.561 10.804 -0.833 0.146  言語的攻撃 48.509 8.541 50.93 10.755 -1.388 0.243  間接的攻撃 49.01 9.172 50.617 10.489 -0.918 0.161 要請希求 46.969 8.936 51.89 10.21 -2.886** 0.505  支配・監視 48.598 8.655 50.874 10.71 -1.304 0.228  言語的攻撃 46.524 10.065 52.168 9.381 -3.342** 0.585  間接的攻撃 45.292 11.648 52.936 7.51 -4.258*** 0.821 問題状況の改善 48.224 10.327 51.107 9.687 -1.658 0.29 他者からの支えの知覚 47.056 11.353 51.835 8.627 -2.798** 0.49 対処の混乱 83.857 10.514 77.891 8.99 3.550** 0.621 他者への依存 51.807 9.577 48.874 10.147 1.687 0.295 **p<0.01,***p<0.001 男性 女性 t Cohen's d n=53 n=85 Mean SD Mean SD 深刻さ 52.903 6.407 48.897 10.889 2.661** 0.406  支配・監視 52.49 6.988 49.054 10.81 1.819 0.347  言語的攻撃 53.269 7.991 48.758 10.434 2.408* 0.459  間接的攻撃 51.904 7.215 49.276 10.817 1.384 0.264 要請希求 51.454 9.358 49.447 10.224 1.053 0.201  支配・監視 50.834 9.797 49.683 10.106 0.602 0.115  言語的攻撃 51.466 9.969 49.443 10.005 1.062 0.202  間接的攻撃 52.158 8.37 49.18 10.476 1.571 0.299 問題状況の改善 51.608 9.705 49.389 10.09 1.166 0.222 他者からの支えの知覚 51.685 7.834 49.36 10.675 1.222 0.233 対処の混乱 80.194 9.663 80.178 10.173 0.009 0.002 他者への依存 48.939 9.342 50.403 10.255 -0.767 0.146 *p<0.05,**p<0.01 なし あり t Cohen's d n=38 n=100

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Table.8 各変数 にお け る相関 関係 請 希 求 全 体 , 支 配 ・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 問 題 状 況 の 改 善 と の 間 で 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た . 支 配・監 視 の 深 刻 さ は ,言 語 的 攻 撃 の 深 刻 さ , 間 接 的 攻 撃 の 深 刻 さ ,要 請 希 求 全 体 ,支 配・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 問 題 状 況 の 改 善 と の 間 で 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た .言 語 的 攻 撃 の 深 刻 さ は , 間 接 的 攻 撃 の 深 刻 さ ,要 請 希 求 全 体 ,支 配・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 と 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た . 間 接 的 攻 撃 の 深 刻 さ は , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 と の 間 で , 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た . 次 に 要 請 希 求 に つ い て ,要 請 希 求 全 体 は , 支 配 ・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 問 題 状 況 の 改 善 , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 と の 間 で 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た .支 配・監 視 に つ い て の 要 請 希 求 は , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 問 題 状 況 の 改 善 , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 と の 間 で 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た . 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 は ,間 接 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 , 問 題 状 況 の 改 善 , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 と 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た . 間 接 的 攻 撃 の 要 請 希 求 は , 問 題 状 況 の 改 善 , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 と の 間 で 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た . 最 後 に , 要 請 希 求 に 伴 う 利 益 ・ コ ス ト に つ い て , 問 題 状 況 の 改 善 は , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 と 正 の 相 関 が , 他 者 へ の 依 存 と 負 の 相 関 が み ら れ た . 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 は , 対 処 の 混 乱 と の 間 で 有 意 な 負 の 相 関 が み ら れ た . 対 処 の 混 乱 は , 他 者 へ の 依 存 と の 間 で 有 意 な 正 の 相 関 が み ら れ た . 4. 援 助 希 求 に 伴 う 利 益 ・ コ ス ト に つ い て 問 題 状 況 の 改 善 と 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 と の 間 で 中 等 度 の 正 の 相 関 (r=0.471, p<0.010) が みられ , ま た 対 処の混 乱と 他 者 へ の 依 存 と の 間 で 中 等 度 の 正 の 相 関 (r=0.642,p<0.010)がみら れた.よって , 当 初 想 定 し て い た 通 り に , 問 題 状 況 の 改 善 と 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 を 要 請 希 求 に 伴 う 利 益 と し て , 対 処 の 混 乱 と 他 者 へ の 依 存 を 要 請 希 求 に 伴 う コ ス ト と し て 取 り 扱 う こ と と し た . 利 益 は , 問 題 状 況 の 改 善 の 素 点 , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 の 素 点 を 合 計 し ,Z 得 点 を 算 出 し た も の と し た . コ ス ト も 同 様 に , 対 処 の 混 乱 の 素 点 , 他 者 へ の 依 存 の 素 点 を 合 計 し ,Z 得点 を 算出し たもの とし た . 本 研 究 で は , 要 請 意 思 に よ る 要 請 希 求 へ の 影 響 を 検 討 す る こ と を 目 的 と し て い た . 利 益 か ら コ ス ト を 差 し 引 い た も の を 要 請 意 思( 利 益-コス ト)と し て扱い ,要 請希求 へ の 影 響 を モ デ ル 検 討 す る こ と に し た .ま た , よ り 細 か く 要 請 意 思 か ら 要 請 希 求 へ の 影 響 を 検 討 す る た め , 利 益 の 下 位 尺 度 か ら コ ス ト の 下 位 尺 度 を 各 々 差 し 引 い て , 問 題 状 況 の 改 善 か ら 対 処 の 混 乱 を 差 し 引 い た 要 請 意 思( 改 善-混乱 ),問題 状況の 改善か ら他 者 へ の 依 存 を 差 し 引 い た 要 請 意 思 ( 改 善-依 存 ) , 他 者 か ら の 支 え の 知 覚 か ら 対 処 の 混 乱 を 差 し 引 い た 要 請 意 思( 支 え-混乱 ),他 者 か ら の 支 え の 知 覚 か ら 他 者 へ の 依 存 を 差 し 引 い た 要 請 意 思 ( 支 え-依 存 ) を 算 出 し , 分 析 に 用 い た . 利 益 , コ ス ト , 各 々 の 要 請 意 思 の 7 つ の 変 数 に お け る 性 差 , 交 際 経 験 に よ る 差 を 検 討 す る た め ,t検 定 を 行 っ た . 性 差 の 検 討 を 行 っ た 結 果 , コ ス ト を 除 い た , 利 益 (t=-2.366,p=0.019,Cohen’s d=0.414) , 要請意 思 (利益 -コ スト) (t=-3.447,p=0.001,Cohen’s d=1.344), 要 請 意 思( 改 善-混乱 )(t=-3.503,p=0.001, Cohen’s d=3.444),要 請意思(改 善 -依 存 ) (t=-2.195,p=0.030,Cohen’s d=1.209), 要 請 意 思( 支 え-混乱)(t=-4.180,p=0.0005, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 深刻さ - 0.949** 0.831** 0.801** 0.368** 0.343** 0.325** 0.250** 0.191* 0.112 0.026 -0.033 2  支配・監視 - 0.646** 0.650** 0.340** 0.391** 0.214** 0.174* 0.217* 0.108 0.019 -0.035 3  言語的攻撃 - 0.667** 0.414** 0.283** 0.524** 0.289** 0.131 0.119 0.082 0.001 4  間接的攻撃 - 0.162 0.061 0.188* 0.285** 0.078 0.048 -0.054 -0.058 5 要請希求 - 0.925** 0.876** 0.709** 0.388** 0.432** 0.062 0.002 6  支配・監視 - 0.67** 0.494** 0.398** 0.395** 0.067 -0.003 7  言語的攻撃 - 0.605** 0.284** 0.353** 0.086 0.025 8  間接的攻撃 - 0.263** 0.366** -0.043 -0.025 9 問題状況の改善 - 0.471** -0.127 -0.178* 10 他者からの支えの知覚 - -0.208* -0.163 11 対処の混乱 - 0.642** 12 他者への依存 -*p<0.05,**p<0.01

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Table.9 利益・ コス ト と要請 意思の 性差 Table.10 利益 ・コス トと要 請意思 の交 際経 験によ る差 Cohen’s d=3.599),要 請意思(支 え -依 存 ) (t=-2.971,p=0.004,Cohen’s d=1.347) で 性 差 が み ら れ た(Table.9).性 差につ い て ,Cohen’s d は 全 て 中 等 度 以 上 の 値 を 示 し た . 平 均 値 か ら 利 益 , 全 て の 要 請 意 思 に つ い て 女 性 の 方 が 高 い 値 を 示 す こ と が 示 さ れ た . ま た , 交 際 経 験 に よ る 差 に つ い て 検 討 し た 結 果 , ど の 変 数 に お い て も 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た (Table.10) . 5.要 請 希 求 へ の 影 響 に つ い て の モ デ ル 検 討 最 後 に ,Figure.1 に 示した モデル の検 討 を 行 っ た . 深 刻 さ , 要 請 希 求 に つ い て の 因 子 分 析 か ら , 本 研 究 で 取 り 上 げ た 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト の 内 容 は 大 き く 3 つに 分類す るこ とが できる と考え られ る. そ こ で ,モ デ ル 検 討 を 行 う に あ た り ,支 配・ 監 視 , 言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 と い っ た モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト の 種 類 ご と に 検 討 す る こ と と し た .以 降 で は ,深 刻 さ 得 点( 支 配 ・ 監 視 , 言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 ) , 要 請 希 求 得 点 ( 支 配 ・ 監 視 , 言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 ),要 請 意 思 得 点( 利 益-コ スト ,改善 -混乱 ,改 善 -依存, 支 え -混 乱, 支 え -依 存 ) の 各 々 を 組 み 合 わ せ て , モ デ ル の 検 討 を 行 っ た . な お ,t検 定 の 結 果 か ら , 性 差 の み ら れ る 変 数 が 存 在 し た . し か し , 本 研 究 で は 男 女 別 に モ デ ル を 検 討 す る の に 十 分 な デ ー タ を 集 め る こ と は 叶 わ な か っ た . そ こ で , 男 性 を 0, 女性 を 1 と す る性別 のダミ ー変 数 を 用 い た . さ ら に , 交 際 経 験 な し を 0, 交 際 経 験 あ り を 1 と する 交際経 験のダ ミー 変 数 を 用 い た . 以 下 で は , モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト の 種 類 ご と( 支 配・監 視 ,言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 ) に , 交 際 経 験 の 有 無 , 征 伐 , 悩 み の 深 刻 さ , 各 要 請 意 思 , 要 請 希 求 に 関 す る モ デ ル を 検 討 し た 結 果 を 示 す . 1)支 配・監 視に よるモ ラル・ ハラス メン ト 支 配 ・ 監 視 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は ,5 つ の モ デルが 示され た . ま ず ,要 請 意 思( 利 益-コ スト )を 取り扱 っ た モ デ ル (Figure.2) では ,性別 から 要 請 意 思( 利 益-コスト )に正の パスが みら れ た .深 刻 さ ,要 請 意 思( 利 益-コ スト )から は , 要 請 希 求 に そ れ ぞ れ 正 の パ ス が み ら れ た . ま た , パ ス 係 数 か ら 要 請 意 思 ( 利 益 -コ ス ト ) よ り も 深 刻 さ の 方 が 大 き な 影 響 を 与 え て い た . こ の モ デ ル の 適 合 度 は ,CMIN=2.853, df=3(n.s.) ,GFI=0.990,AGFI=0.966, CFI=1.000,RMSEA<0.001 で, 比較的 よ い 適 合 度 が 得 ら れ た .

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Figure.2 支配 ・監 視に よる モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 1 次 に ,要 請 意 思( 改 善-混 乱)を取 り扱っ た モ デ ル (Figure.3) におい て も , 性別 か ら 要 請 意 思( 改 善-混 乱 )に正 のパ ス がみ ら れ た .深 刻 さ ,要 請 意 思( 改 善-混乱 )から は , 要 請 希 求 に そ れ ぞ れ 正 の パ ス が み ら れ た . ま た , パ ス 係 数 か ら 要 請 意 思 ( 改 善 -混 乱 ) よ り も 深 刻 さ の 方 が 大 き な 影 響 を 与 え て い た . こ の モ デ ル の 適 合 度 は ,CMIN=2.799, df=3(n.s.) ,GFI=0.990,AGFI=0.967, CFI=1.000,RMSEA<0.001 で , 比較的 よ い 適 合 度 が 得 ら れ た . Figure.3 支配 ・監 視に よる モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 2 3 つ目 に ,要 請意 思(改善 -依存 )に つい て 取 り 扱 っ た モ デ ル (Figure.4) に おい て も ,性 別 か ら 要 請 意 思( 改 善-依 存)に正の パ ス が み ら れ た .深 刻 さ ,要 請 意 思( 改 善 -依 存 ) か ら は , 要 請 希 求 に そ れ ぞ れ 正 の パ ス が み ら れ た . ま た , パ ス 係 数 か ら 要 請 意 思( 改 善-依存 )よ りも 深刻さ の方が 大き な 影 響 を 与 え て い た . こ の モ デ ル の 適 合 度 は ,RMSEA の 値 が.050 よ り 大 き い も の の ,CMIN=4.384, df=3(n.s.) ,GFI=0.984,AGFI=0.948, CFI=0.957,RMSEA=0.058 で , 比 較 的 よ い 適 合 度 が 得 ら れ た . Figure.4 支配 ・監 視に よる モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 3 4 つ目 に ,要 請意 思(支え -混乱 )を 取り 扱 っ た モ デ ル (Figure.5) におい て も , 性 別 か ら 要 請 意 思( 支 え-混乱)に正 のパス が み ら れ た . 深 刻 さ , 要 請 意 思 ( 支 え-混 乱 ) か ら は , 要 請 希 求 に そ れ ぞ れ 正 の パ ス が み ら れ た . ま た , パ ス 係 数 か ら 要 請 意 思 ( 支 え-混 乱 )より も深 刻さ の方が 大きな 影響 を 与 え て い た . こ の モ デ ル の 適 合 度 は ,CMIN=0.946, df=3(n.s.) ,GFI=0.997,AGFI=0.989, CFI=1.000,RMSEA<0.001 で, 比較的 よ い 適 合 度 が 得 ら れ た . Figure.5 支 配・監 視 による モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に に つ い て 4 最 後 に ,要 請 意 思( 支 え-依存 )を 取り扱 っ た モ デ ル (Figure.6) にお いて も , 性 別 か ら 要 請 意 思( 支 え-依 存)に 正の パスが み ら れ た .深 刻 さ ,要 請 意 思( 支 え-依 存)か ら は , 要 請 希 求 に そ れ ぞ れ 正 の パ ス が み ら れ た .ま た ,パ ス 係 数 か ら 要 請 意 思( 支 え -依 存 ) よ り も 深 刻 さ の 方 が 大 き な 影 響 を 与 え て い た . こ の モ デ ル の 適 合 度 は ,CMIN=1.697, df=3(n.s.) ,GFI=0.994,AGFI=0.980, CFI=1.000,RMSEA<0.001 で, 比較的 よ い 適 合 度 が 得 ら れ た .

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Figure.6 支配 ・監 視に よる モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 5 よ っ て , 支 配 ・ 監 視 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は , い ず れ の モ デ ル に お い て も 深 刻 さ と 要 請 意 思 の 各 々 か ら 要 請 希 求 へ の 正 の 影 響 が み ら れ る こ と が 確 認 さ れ た . 2)言 語的攻 撃に よるモ ラル・ ハラス メン ト 言 語 的 攻 撃 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て も , 性 別 , 深 刻 さ , そ れ ぞ れ の 要 請 意 思 , 要 請 希 求 を 投 入 し た . し か し , い ず れ の 要 請 意 思 か ら も , 要 請 希 求 へ の 影 響 は み ら れ な か っ た (Figure.7) . 言 語 的 攻 撃 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は , 交 際 経 験 の 有 無 か ら 深 刻 さ へ 負 の 影 響 , 深 刻 さ か ら 要 請 希 求 に 正 の 影 響 が み ら れ た . ま た , 性 別 か ら 要 請 希 求 に 正 の 影 響 が み ら れ た . パ ス 係 数 か ら , 言 語 的 攻 撃 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は , 性 別 よ り も , モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト を 深 刻 さ の 方 が 大 き な 影 響 を 与 え て い た . こ の モ デ ル の 適 合 度 は ,CMIN=2.672, df=3(n.s.) ,GFI=0.990,AGFI=0.986, CFI=1.000,RMSEA<0.001 で , 比 較 的 よ い 適 合 度 が 得 ら れ た . Figure.7 言語 的攻 撃に よる モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 3)間 接的攻 撃に よるモ ラル・ ハラス メン ト 間 接 的 攻 撃 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は ,要 請 意 思( 支 え-依 存)からの み 要 請 希 求 へ の 影 響 が み ら れ た(Figure.8). 性 別 か ら 要 請 意 思( 支 え-依 存)に正 のパ ス が み ら れ た .性 別 ,深 刻 さ ,要 請 意 思( 支 え-依 存)から は,要請 希求 に それぞ れ正 の パ ス が み ら れ た . ま た , パ ス 係 数 か ら 性 別 が 要 請 希 求 に 対 し て 最 も 大 き な 影 響 を 与 え て い た . こ の モ デ ル の 適 合 度 は ,CMIN=1.216, df=2(n.s.) ,GFI=0.996,AGFI=0.978, CFI=1.000,RMSEA<0.001 で, 比較的 よ い 適 合 度 が 得 ら れ た . Figure.8 間接 的攻 撃に よる モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 以 上 か ら , 支 配 ・ 監 視 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト , 間 接 的 攻 撃 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は , 要 請 意 思 か ら 要 請 希 求 に 対 し て 正 の 影 響 が み ら れ た .よ っ て , 仮 説 1 は 一 部 の モ ラル・ハラスメ ント に お い て 支 持 さ れ た . ま た , 今 回 取 り 扱 っ た 支 配 ・ 監 視 , 言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に お い て , 深 刻 さ か ら も 要 請 希 求 へ 正 の 影 響 が み ら れ た . よ っ て , 仮 説 2 は す べ て の モ ラ ル・ ハラス メン ト に お い て 支 持 さ れ た . 考 察 1.深 刻 さ ・ 要 請 希 求 の 因 子 の 検 討 本 研 究 に お い て は , 深 刻 さ , 要 請 希 求 の 測 定 に ,越 智 ら(2014)の デート バイ オレ ン ス・ハ ラ ス メ ン ト 尺 度 か ら 選 出 し た 計 26 項 目 を 用 い た . 深 刻 さ , 要 請 希 求 の そ れ ぞ れ に つ い て 因 子 分 析 を 行 っ た と こ ろ , 共 に 十 分 なα係 数 を 有 す る 3 因 子 計 24 項目 が 抽 出 さ れ た . し か し , 同 様 の 項 目 を 用 い た に も 関 わ ら ず , 深 刻 さ , 要 請 希 求 の 各 々 の 因 子 に 含 ま れ る 項 目 が 異 な っ て い た . ま ず , 深 刻 さ , 要 請 希 求 で は 共 に , 項 目 5「 意に 沿わ ないか ら と言っ てにら まれ る」 が 削 除 さ れ た . 項 目 5 は,双方と も ,いず れ の 因 子 に つ い て も 因 子 負 荷 量 が 0.350 以 下 で あ り , 説 明 力 が 低 か っ た 為 に 削 除 す る こ と と な っ た と 考 え ら れ る . 深 刻 さ に 関 す る 因 子 の 検 討 に お い て , 項

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目 12「 携帯の 電話 帳や メール を消せ と命 令 さ れ る 」 は , 支 配 ・ 監 視 の 深 刻 さ , 間 接 的 攻 撃 の 深 刻 さ の 2 つの 因子に 対し て 0.350 以 上 の 因 子 負 荷 量 を 持 っ て い た こ と か ら 削 除 し た . ま た , 要 請 希 求 に 関 す る 因 子 の 検 討 に お い て ,項 目20「 パート ナーへの LINE の 返 事 が 遅 か っ た り , 既 読 な の に 返 事 を 送 ら な か っ た と し て 腹 を 立 て ら れ る 」 も , 支 配 ・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 , 言 語 的 攻 撃 に つ い て の 要 請 希 求 に 対 し て0.350 以上 の 因 子 負 荷 量 を 持 っ て い た こ と か ら 削 除 し た . し か し , 項 目12 は 要 請希求 では支 配・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 に , 項 目 20 は 深刻 さ で は 支 配・監 視 の 深 刻 さ に 含 ま れ て い る . 虐 待 , い じ め , ハ ラ ス メ ン ト な ど の 類 語 よ り , 包 括 的 な 意 味 合 い で 使 わ れ て き た 暴 力 に つ い て ,藤 本(2005)は ,暴力 は加 害 者 が 意 図 を 持 っ て 行 う も の で あ り , 被 害 者 が 暴 力 と 感 じ れ ば , 負 傷 の 深 浅 や 心 理 的 侵 襲 の 大 小 に 関 わ ら ず , 暴 力 と 定 義 さ れ て よ い と し て い る . こ の こ と か ら , モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト を 含 む ハ ラ ス メ ン ト つ い て も , そ れ を 受 け た 人 が 「 ハ ラ ス メ ン ト で あ る 」 と 感 じ れ ば , 負 傷 や 心 理 的 侵 襲 の 大 小 に 関 わ ら ず , 当 該 行 為 が 個 人 に と っ て の ハ ラ ス メ ン ト で あ る と 定 義 さ れ て よ い と 考 え ら れ る .Hirigoyen,M.F.( 1998 高野 優 訳 ,2011) は ,悪 意 を ほ の め か し た り ,嘘 を つ い た り , ち ょ っ と し た 言 葉 で 相 手 を 辱 め た り , と モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト を 行 う 方 法 は た く さ ん あ る と し て い る . よ っ て , モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト を 行 う 方 法 が 多 岐 に 渡 る こ と か ら , 1 つ の モ ラ ル・ハ ラ ス メ ン ト 行 為 が ,支 配・ 監 視 , 言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト の い ず れ に 分 類 さ れ る の か も , 個 々 人 に よ っ て 異 な る こ と が 推 察 さ れ る . こ の こ と か ら , 項 目 12, 項 目 20 で 示 さ れ る よ う な 行 為 は , 個 人 に と っ て 分 類 の 異 な り や す い モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト で あ っ た 可 能 性 が あ る . そ の た め , こ れ ら の 項 目 は 各 々 ,2 因子に 対 する因 子負荷 量が 0.350 以上 となり ,削 除する ことに な っ た と 推 察 す る . 2.要 請 希 求 へ の 影 響 に つ い て の 検 討 支 配 ・ 監 視 , 言 語 的 攻 撃 , 間 接 的 攻 撃 の そ れ ぞ れ に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て 得 ら れ た モ デ ル に つ い て 考 察 す る . 1)支 配・監 視に よるモ ラル・ ハラス メン ト 支 配 ・ 監 視 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て は , 次 の よ う な 結 果 が 得 ら れ た . ま ず , 深 刻 さ か ら 要 請 希 求 に 正 の 影 響 が み ら れ た . よ っ て , 支 配 ・ 監 視 に よ る モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト が 深 刻 で あ る ほ ど , 要 請 希 求 が 高 ま る と 考 え ら れ る . こ れ は , 水 野 ら(1999)の 問題 が深 刻であ るほど 援助 要 請 を 行 い や す い と い う 指 摘 に 一 致 す る . よ っ て , 支 配 ・ 監 視 の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に お い て も , 深 刻 さ の 程 度 が 高 い ほ ど , 要 請 希 求 が 高 ま る と 考 え ら れ る . 次 に , 性 別 か ら 各 々 の 要 請 意 思 に 正 の 影 響 が み ら れ た . 本 研 究 に お い て , 各 変 数 の 精 査 を 検 討 し た 際 に ,5 つの要 請意 思に性 差 が あ る こ と が 確 認 さ れ て い る . 平 均 値 の 値 か ら , い ず れ の 要 請 意 思 に つ い て も , 男 性 と 比 べ て 女 性 の 方 が 高 か っ た(Table.9). 水 野 ら(1999)の 女性 の方が 援助要 請に 肯 定 的 な 態 度 を 示 す と い う 指 摘 も あ り , 本 研 究 に お い て も 女 性 の 方 が よ り 要 請 意 思 が 高 く な る こ と が 示 唆 さ れ た . ま た ,5 つ の要請 意 思から 要 請 希 求 に 正 の 影 響 が み ら れ た(Figure.2,3,4,5,6). 相 川(1989)や高 野ら( 2002)から ,要 請 意 思 は 援 助 要 請 を 行 う こ と に つ い て 査 定 す る こ と で 得 ら れ る も の で あ る た め , 援 助 要 請 に 対 し て 正 の 影 響 を 及 ぼ し た と 考 え ら れ る . ま た , 本 研 究 に お い て は , 質 問 紙 調 査 に お い て , 恋 愛 関 係 で の モ ラ ル ・ ハ ラ ス メ ン ト に つ い て , 調 査 協 力 者 が 最 も 相 談 行 動 を 行 う や す い 相 手 に 相 談 す る 際 に 予 期 す る 利 益 ・ コ ス ト に つ い て 回 答 を 求 め た . 回 答 者 に と っ て ,こ の 設 問 の 表 記 ,お よ び 利 益・ コ ス ト の 予 期 の 各 質 問 項 目 は , 他 者 へ の 相 談 行 動 を す る こ と を 前 提 と し た も の で あ っ た . そ の た め , 要 請 意 思 か ら 要 請 希 求 に 正 の 影 響 が み ら れ た 可 能 性 が あ る . 本 研 究 に お い て ,男 性・女 性 と も に 支 配・ 監 視 に つ い て の 要 請 希 求 で は 正 の 値 を 示 し た(Table.6).し かし ,男性 では す べて の 要 請 意 思 に お い て 負 の 値 を , 女 性 で は 要 請 意 思( 改 善-混 乱),要 請意思(支 え -混 乱 ) で の み 負 の 値 を 示 し て い る(Table.9).こ の こ と か ら , 要 請 の 利 益 よ り も 要 請 の コ ス ト の 方 が 大 き い 場 合 で あ っ て も , 要 請 希 求 に 正 の 影 響 を 与 え て い る と 解 釈 で き る . 本 研 究 で は , 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 大 小 関 係 に の み 着 目 し て お り , 非 要 請 の 利 益 ・ コ ス ト の 影 響 を 検 討 で き て い な い .相 川(1989) や 高 木(1997)は ,援 助要請・非 要請に 伴 う 利 益 ・ コ ス ト を 全 体 的 に 検 討 し た 上 で , 援 助 の 要 請 ・ 非 要 請 の 意 思 決 定 が 行 わ れ る と し て い る .相 川(1989)で は 要 請のコ ス ト が 要 請 の 利 益 よ り も 小 さ く , 非 要 請 の コ ス ト が 非 要 請 の 利 益 よ り も 大 き い 時 に , ま た ,高 木(1997)では 非要請 コスト が要 請 コ ス ト よ り も 大 き く , ま た , 要 請 の 利 益 が

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