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教育改革とジェンダー 教育基本法改正問題を中心に

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Academic year: 2021

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教 育 改 革 とジ ェ ンダ ー

― 教 育基本法改正 問題 を中心 に ―

(畿央大学)

2006年 教 育 基 本 法 が 改 正 され 、教 育 改 革 も新 た な段 階 に入 っ て い る とい え る。 す で に、1980 年代 の 臨 時教 育 審 議会 答 申 に も見 られ る よ う に、 教 育 の 市 場 化 ・私 事化 の 動 きは顕 著 で あ るが 、 この こ と と教 育基 本 法 改 正 との 関連 に注 目 し、 そ こ に ジ ェ ン ダー との 関 連 が どの よ うに あ らわ れ て い るか を考 察 す る こ とが 重 要 とな っ て い る。 その 際 、 これ まで の教 育 改 革 の歴 史 を振 り返 っ て 参 照 す る こ とが 必 要 に な る 。教 育 基 本 法 の改 正 につ い て 論 じた もの や 、教 育 改 革 を取 り上 げ た論 稿 は多 い1)が 、 これ ら を重 ね あ わせ て ジ ェ ンダ ー との 関 連 で とら えた もの は多 い とは 言 えな い 。 本稿 は、 この 点 に 着 目 して 、今 日に お け る教 育 改 革 を ジ ェ ン ダー の 観 点 で 分析 す る もの で あ る 。 1、 男 女 共 学 規 定 の 削 除 教 育 基 本 法 の改 正 で論 議 が多 か っ た の は 、教 育 の 目標 が5項 目に よっ て示 され 、 そ の 中 で 「伝 統 と文 化 を尊 重 し、 そ れ ら をは ぐ くん で きた我 が 国 と郷 土 を愛 す る と と もに、 … 」 と、 愛 国心 に か か わ る項 目が 設 け られ た こ とや 、教 育 行 政 が 国民 に直 接 責 任 を負 う こ とが 削 除 され た こ とな ど で あ り、 これ らは 、 国家 に よる 国民 の統 制 に つ なが る もの と して 批 判 の 対 象 と な った 。 同 時 に注 目 され るべ き もの と して 、 義務 教 育年 限 の条 項 と と もに男 女 共 学 に関 す る条 項 が 削 除 され た こ と が あ る。 ま た 、家 庭 教 育 に 関 す る条 項 が 新 設 され 、 「父 母 そ の他 の 保 護 者 は、 子 の 教 育 に つ い て 第 一 義 的 責 任 を有 す る もの で あ っ て 、生 活 の た め に必 要 な習 慣 を身 に付 け させ る と と も に、 自立 心 を 育 成 し、 心 身 の調 和 の とれ た発 達 を 図 る よ う努 め る もの とす る。」 と明記 さ れ 、 さ らに学 校 、 家 庭 、 地 域住 民 の 連携 協 力 に つ い て の努 力 義 務 を示 した条 項 が 設 け られ た。 こ の う ち 、 「男 女 は、 互 に敬 重 し、協 力 し合 わ な け れ ば な らな い もの で あ っ て、 教 育 上 男 女 の 共 学 は、 認 め られ な け れ ば な ら な い。」 とい っ た条 項 の廃 止 は 、共 学 が 一 般 化 して い て い ま さ ら 特 記 を必 要 と し ない との理 由 が あ げ られ て い るが 、 高 等 学 校 等 で男 女 別 学 の もの の 多 くが 、 旧 制 中学 校 や 高 等 女 学 校 の伝 統 保 持 を 理 由 と した り、 進 学 指 導 に力 を入 れ る もの であ る2)。 この よ う な状 況 の 下 で 、 共 学 尊重 の 条項 削 除 は 、 む しろ伝 統 と文 化 尊 重 項 目の 挿 入 と関 連 して い る こ と も 考 え られ る。 この こ とは 、 近年 ジ ェ ンダ ー概 念 を、 誤 解 した り批 判 す る向 き もあ り、 国 の男 女 共 同参 画 基 本 計 画 の 改 訂 に お い て 、 ジ ェ ンダ ー を社 会 的 性 別 と し、 あ えて 「文 化 的 」 とい う言葉 を 抜 い て い る こ と と も関係 が あ る 。何 が 伝 統 か につ い て は、 論 議 が あ る と こ ろで あ り、伝 統 と され て い る もの には 明 治 以後 に つ く られ た ものが 多 いが 、 そ れ らが 古 くか らの もの で あ るか の よ うに 思 わ れ て い て 、 男 女 の 文化 に つ い て も固定 的 な見 方 が な さ れ て い る。 ジ ェ ン ダー フ リー の 名 の も と に トイ レ も風 呂 も男女 別 が な く され る とい っ た批 判 が あ るが 、 これ ら は ジ ェ ン ダー 問 題 が論 じ

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られ る以 前 に多 か っ た現 象 で あ る。 男 女 共 学 の趣 旨 と して は 、 男 女 同一 種 の 学 校 原共 通 の 教 育 課 程 で 学 ぶ こ とが あ り、 た と え 同 じ学 校 で 学 ん で い て も、 男 女 原 異 な っ た 教 育 課 程 の 下 に あ れ ば 、 厳 密 な 共 学 と は言 え な い が 、 1960年 代 か ら80年 代 半 ば に か け て 、 中 学校 や 高 等 学 校 で こ の こ とが見 られ た 。 一方 、 男 女 別 学 で も、 同 一 種 の学 校 で 同一 教 育 課 程 で あ れ ば、 共 学 の 精 神 に反 し ない との見 方 も あ り得 る。 ま た 、男 女 が 共 に学 んで も、 学 校 内 で性 別役 割 が 強 か っ た り、女 子 が わ きに追 いや られ る こ とが な い とは言 え な い。 女 子 校 の 中 に は、 女 子 だ け で あ る が ゆ え に気 兼 ねせ ず に性 別 を超 え た役 割 を と る こ とに意 義 を 見 出 す もの もあ り得 る3)。た だ し当時 共 学 に抵 抗 を示 した の は 、伝 統 の あ る中 学 校(旧 制)な どで あ り、積 極 的 に男 女 平等 を進 め る立 場 原 は な か っ た。 社 会 教 育 に あ っ て も、 占領 軍 は母 親 学 級 な ど性 別 の 学 習 を認 め な か っ た と され て きた が 、 女 性 の軍 政 官 な ど に は、 京都 の 奥村 女 子 会 館 に対 す る態 度 や母 親 対 象 の教 室 の容 認 の よ う に、 女性 のみ の学 習 を認 め る例 もあ った 。男 性 優 位 の な か 原女 性 を ま じえ て も、 効 果 はあ が らず 、 む しろ 女 性 のみ 原 そ の 力 量 形 成 に努 め る こ とが有 効 との見 方 も成 り立 つ 。 旧教 育 基 本 法 に男 女 共 学 につ い て の条 項 が 入 る 際 に も、多 様 な考 え が あ り、 そ れ を反 映 した 条 文 に な っ てい る4)。そ れ で も、 こ の条 項 の あ る こ と に よ って 、教 育 に お け る男 女 平 等 の方 向 に進 む こ とが あ った と言 え る。 時 間 の 経 過 の 中 で 、 男 女 別 学 を過 渡 的 措 置 とす る 必 要 性 は弱 ま り、 共 学 へ の 支 障 は 以 前 よ り少 な く な っ てい る。 そ の よ うな折 に この条 項 が消 え る こ とは、 別 学 の維 持 を図 る意 味 を持 つ の で あ る 。 2.家 庭 教 育 の 重 視 家 庭 教 育 に つ い て は、 す で に1960年 代 に 家 庭 づ く り政 策 が と られ 、 少 年 非 行 の 戦 後 第2の ピ ー ク で あ る1964年 に は家 庭 教 育 学 級 が 国 の補 助 事 業 と して大 々 的 に 展 開 さ れ る よ うに な っ た 。 そ れ も当 時 は 文部 省 婦 人教 育課 の所 管 事 業 で あ り、 両 親 学 級 で あ る と言 わ れ なが ら も、 そ の 費 用 は婦 人教 育 費 の一 環 と して位 置 づ け られ た とこ ろ に も、 性 別 役 割 分 担 意 識 を見 る こ とが で き る。 婦 人教 育 費 の 増大 が家 庭 教 育学 級 費 の計 上 に よ る もので 、 そ れ を除 くとむ しろ 減 少 して い る と き もあ った の で あ る 。 この ころ 、高 度 経 済 成 長 期 に あ っ て、 農 業 な ど 自営 業 の 減 少 の 一 方 、女 性 の雇 用 労 働 化 が 進 む と と もに、 家 事 専 業 女 性 も増 え て きた。1960年 代 か ら 中学 校 の 技 術 家 庭 科 で の 技 術 分 野(男 子 向 き)、 家 庭 分 野(女 子 向 き)と い っ た男 女 別教 育 課 程 が 登 場 して い て 、 性 別 役 割分 担 が 強化 され る傾 向 に あ っ た の で あ る。 現 実 に は、 労 働 力 の 不足 か ら女性 の 雇用 労 働 も多 くな る の に対 して 、 「主 婦 よ、 家 庭 に 帰 れ 」 とい っ た主 張 の あ る こ と は、 女 性 の 就 労 を ノ ー マ ル な もの と して扱 わ ず 、 低 賃 金 を支 え る機 能 を 持 つ こ とに な るの で あ る 。1960年 代 後 半 に始 ま っ た文 部 省 補 助 に よ る留 守 家 庭 児 童 会 が1970年 度 で 打 ち切 り に な り、 校 庭 開 放 事 業 へ の吸 収 と な った の も、 一 般 の子 ど も と溝 が で きな い よう に との表 立 った 理 由 と は別 に、 家庭 重 視 策 と矛 盾 す る との と ら え方 に よる 。 家 庭 像 に 関 して は 、 農 業 を は じめ とす る 自営 業 が 多 数 派 で あ り、 夫 婦 共 働 き が 一般 的 で あ っ た に もか か わ らず 、 少 数 の サ ラ リー マ ン家 庭 に お け る家 事 専 業 女 性 の 存 在 が 、 あ た か も多 数 で あ った か の よ うな 言説 が な され 、 そ れが 家 庭 のモ デ ル と して提 示 され る こ とが まれ で な い 。 か つ て は共働 きの 子 ど もが い わ ゆ る留 守 家 庭 児 童 と して問 題 と され なか った の は 、 地域 に 自由 な異 年

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齢 の 子 ど も集 団 が あ り、 お とな も含 め た近 隣集 団が 機 能 して いた こ とが あ る。 家 族 自体 が 地域 に 支 え られ て 存 在 し得 た の で あ り、規 範 も地域 を意識 して の もの で あ った5)。子 育 て も、 地域 共 同 で な され 、 地域 の教 育力 に よっ て子 ど もの成 長 が 促 進 さ れ て いた の で あ る。 家 族 に お け る規 範 も、 社 会 の秩 序 づ け の観 点 か ら、 妻 の 夫 に対 す る 態 度 、 子 の親 に対 す る態 度 な ど、 距 離 を置 い た 上 下 関係 が支 配 的 な武 士 家 族 にお け る規 範 を、 学 校 教 育 等 を通 じて 民衆 に まで 及 ぼす こ とが 明治 以 後 行 わ れ6)、そ れ が 古 来 の もの で あ るか の よ うに見 られ て きた 。今 日で は、 友 愛 家 族 の 側 面 が 強 くな っ て い る が 、規 範 の モ デ ルが 過 去 に求 め られ る こ とが な くな っ て い るわ けで はな い 。 家 、 家 族 、 家庭 の概 念 が重 ね て考 え られ る こ と も多 い 。 1975年 の 国 際婦 人 年 、1976年 ∼1985年 の 国 連婦 人 の10年 の 取 組 、1985年 の 女 子 差 別 撤 廃 条 約 の批 准 、1999年 の 男 女 共 同 参 画 社 会 基 本 法 の 制 定 な ど に よ り、 男 女 平 等 に 向 け て の 動 きが 強 ま り、 今 回 の 教 育 基 本 法 改 正 で も、 教 育 の 目標 の 中 に 「男 女 の 平 等 」 の 文 言 は見 る こ とが 原 き る。 そ の 一 方 で 、 家 庭 教 育 、 親 の責 任 の 強 調 は、2001年 の 社 会 教 育 法 改 正 に も見 られ 、 家 庭 教 育 に関 す る学 習 機 会 の 充 実 や 、社 会 教 育 が学 校 教 育 と連 携 す る こ と、 家 庭 教 育 の 向 上 に資 す る こ とが 、 教 育 基 本 法 の 改 正 に 先 立 っ て規 定 され た 。家 庭 教 育 の重 視 は、 両 親 の責 任 に言 及 す るな ら た だ ち に ジ ェ ン ダー 問 題 に つ な が る よ うに は 見 え な いが 、父 母 の役 割 分 担 を伝 統 文 化 と して と ら え る立 場 の 存 在 は、 子 ど もの教 育 に つ い て母 親 に もっ ぱ ら責 任 を負 わせ る こ と に な りや す い 。 父 親 の 長 時 間 労 働 を家 事専 業 も し くはパ ー トタイ ム労 働 の母 親 が 支 え、 育 児 プ レ ッ シ ャー を感 じ る こ と も多 く、 孤 立 状 態 に あ る と き、 一層 そ の 問題 は深 刻 に な る。 旧教 育 基 本 法 の 下 で は、 家 庭 教 育 は社 会 教 育 の 条 項 に 含 ま れ、 そ の 奨 励 の責 務 を国 や 地 方 公 共 団体 に負 わ せ る もの で あ っ たが 、 改 正 教 育 基 本 法 第10条 は 、 家 庭 教 育 を 親 の 責 任 とす る部 分 と、 家 庭 教 育 の 国 や 地 方 公 共 団体 に よる 支援 を うた う部 分 か らな り、 後 者 の社 会 教 育 に関 わ る と こ ろ に加 えて 前 者 の 家庭 教 育 の 内 容へ の 踏 み 込 み が見 られ る の で あ る。 こ の よ う に、 私 事 と され て きた家 庭 教 育 を法 で 規 定 す る こ とに対 して 、 自由 を侵 害 し、 国家 統 制 を強 め る との 批 判 が な さ れ た。 しか し、 そ れ 以 上 に 、今 日、教 育 の 民営 化 が 進 め られ 、教 育 が 私 事 的 な もの に な って い く の と軌 を一 に して い る こ とが 問 わ れ る状 況 に あ る 。子 ど もを社 会 の子 と して と ら え、 教 育 の 公 共 性 を論 じる こ とが 課 題 とな っ て い る7)。 少 子 化 対 策 もあ って 、 保 育 所 の 拡 充 も課 題 と さ れ て い るが 、 家 庭 教 育 重 視 の 考 え の下 で は 、 集 団保 育 は 「保 育 に欠 け る 子 ど も」 を対 象 と した や む を え な い措 置 と して、 一 般 化 が 避 け られ 、 対 象 を広 げ た と して も、 多 くの 自己負 担 を前 提 とす る もの に な りや す い 。 日本 にあ って は、家 単 位 の 考 えが 強 く、 家 制 度 が 変 わ っ て か ら も家 族 単 位 、 世 帯 単 位 が 多 くて、 個 人 と して 、 特 に女性 が 個 人 と して 認 め られ 活 躍 す る こ とが 阻 ま れ て きた。 財 産 も夫 の名 義 で あ る こ とが 多 い 。 地域 の 自治 会 やPTAに お い て も、今 日で は、 女 性 も個 人 の 名 で役 員 に な る例 が 増 えて い るが 、 家 族 単 位 、 世 帯 単 位 の 考 えは残 っ て い て 、個 人 が単 位 とな っ て い る 自治 体 と は異 な って 家 族代 表 の よ う に な って い る。 そ こ には 、依 然 と して家 族 を社 会 秩 序 の基 礎 とす る考 えが 介 在 して い る。 選択 制 で あ っ て も夫 婦 別 姓 に 反 対 す る 一 部 の 動 きに も、 そ の こ と を見 る こ とが で きる 。19世 紀 末 の民 法 制 定 以 前 は 、 太 政 官布 告 で夫 婦 同姓 が 禁 止 さ れ て い た歴 史 や 、 家 族 制 度 の 強 い 中 国 や韓 国 で も 夫 婦 別 姓 で あ る事 実 が存 在 す る に もか か わ らず で あ る。 ドイ ツ の 基 本 法 で も、 子 ど もの養 育 及 び教 育 は親 の 自然 的 権 利 で あ り、 親 に課 せ られ た義 務

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で あ る と の規 定 が あ る。 こ の こ と に よっ て 、 子 ど もの 学校 滞 在 時 間 は 午 前 を 中 心 と して い て 短 く、保 護 者 の迎 え な どが 伴 って い て 、 特 に女性 の就 労 に支 障 を きた して い る面 が あ る。 また 、 学 校 選 択 の 自 由 の 観 点 原 複 線 型 の 学 校 体 系 が 維 持 され て きた 。 ドイ ツ民 主 共 和 国(東 ドイ ツ)で は、 女 性 の 就 労 保 障 と子 ど もの教 育 充 実 との観 点 か ら終 日学 校 と単 線 型 学 校 体 系 が 採 られ て きた が 、 統 合 に よ って ドイ ツ連 邦 共和 国(西 ドイ ツ)の ものが モ デ ル に な っ たの で あ る。 しか し、 こ の こ とがPISAの 結 果 に見 られ る 家庭 間格 差 、 平 均 学 力 の 低 さ を もた ら して い る と ころ か ら、 終 日学 校 を増 加 させ る動 き も強 ま って きた 。 ドイ ツ の場 合 、午 後1時 に下 校 して も、 職 住 近 接 の親 も帰 宅 して昼 食 を 共 に す る例 が 少 な くな い な ど、 日本 と異 な った状 況 に あ る 。 また 、学 校 教 育 は公 費 で まか な われ る もの との と ら え方 が 強 い。 日本 は 、 ワ ー ク ラ イ フバ ラ ンス が 問 題 に な っ て い る上 に、GDP比 原教 育へ の 公 費 投 入 が OECD加 盟 国 の 中 で も最 低 の部 類 に あ り、 そ こ での 教 育 の私 事 性 の 強 調 は、 家庭 間格 差 を広 げ 、 子 ど もの 養 育 ・教 育 に 多 くの私 費負 担 を招 い て い る。 そ の こ とが 少 子 化 の 要 因 とな って い る こ と は、2005年 に行 わ れ た 国立 社 会 保 障 ・人 口 問 題 研 究 所 の既 婚 女 性 対 象 の 調 査 か ら も うか が わ れ る。 予 定 子 ど も数 が理 想 子 ど も数 を下 回 る理 由 と して、 「子 育 て や教 育 に金 が か か りす ぎるか ら」 が65.9%原 、最 も多 く、 次 い で多 い 「高 年 齢 で生 む の は いや だか ら」 の38.0%を 大 き く上 回 っ て い る ので あ る8)。教 育 の私 事 化 、 家庭 へ の 依 存 は、 経 済 資 本 、 文 化 資 本 に規 定 さ れ る こ とを多 く して 、社 会 階 層 の 再生 産 とな りやす い の で あ る。 家 庭 基 盤 の整 備 を抜 き に して の 家庭 教 育へ の傾 斜 に は、 限 界 が 大 きい 。 3.新 自 由 主 義 の 下 で の 教 育 と ジ ェ ン ダ ー 競 争 に よ っ て経 済 ・社 会 が 活 性 化 す る とす る新 自 由 主 義 の 政 策 が 展 開 され 、 そ こ に生 じる ス トレス に対 処 す るた め に も、 セ ー フ テ ィ ネ ッ トと して家 庭 の 役 割 が 強 調 され る こ とに な る 。癒 し の 場 と して 、 家庭 の情 緒 安 定 機 能 の重 視 は、 家 庭 の 人 間関 係 へ の 期 待 を大 きい もの に す る と と も に、 「母 性 」 観 の 強 い と き、 女 性 に表 出 的役 割 を割 り当 て る こ とに な る 。不 安 定 労 働 が 多 くな っ て い るな か にあ っ て 、家 事 に支 障 の少 な い範 囲で の 就 労 に 限定 し、 家 族 の 不 安 の しず め と して の 役 割 を果 た す 女性 が 求 め られ る の で あ る。 伝 統 の 強 調 も、 競 争 原 分 裂 が 生 じや す い 国 民 の統 合 の よ りど ころ とす るた め で あ り、 そ の成 立 の時 期 の あい まい さ もあ って 、 恣 意 的 に 用 い られ て 、男 女 原 異 な る文化 を伝 統 と して 、 そ の尊 重 を説 くこ とに もな る。 教 育 の世 界 に も競 争 原 理 が 導 入 され て、 義 務 教 育 に あ っ て も特 区 を 設 けて 一 つ の 学 区 に複 数 の 公 立 学校 を存 在 させ 、学 校 選 択 を認 め る な どの政 策 が 広 が って い る。 競 争 の 激 化 は モ ラル ・ハ ザ ー ドにつ な が りか ね ない だ け に、 「心 の教 育 」 に力 が 入 れ られ る 。 そ こ原 は、 心 理 へ の傾 斜 と 道 徳 の 重視 が 入 り混 じる か た ち で教 育 の柱 とな る。 人 権 教 育 にあ って も、 思 い や りな どに ア ク セ ン トを置 くもの が 多 くな っ て い る。 教 育 に お い て は、 し くみ を問 題 とす る よ りも心 が け と して の 処 理 が 目立 つ の で あ る9)。 新 自由 主 義 の下 で は 、 規 制 緩 和 が 図 られ 、 性 に よ る 制 約 も減 少 の 方 向 に進 ん だ 。 そ こ で は 、 個 人 が 責 任 主体 と して 、 自己責 任 を負 う もの とされ る。 こ の こ と は、 性 の 前 に個 性 を重視 す る こ と に な るが 、機 会 を活 用 す る 、 しな い は個 人 の 自 由 とされ 、 そ の 結 果 は 自 らが 責 め を負 う もの と

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な る。 機 会 利 用 の前 提 と な る もの につ い て は 不 問 に付 され る こ と もま れ で は ない 。 多 様 な教 育 選 択 も、個 性 に応 じる こ とや 、 親 の 教 育権 の 行 使 原 あ る こ とで合 理 化 さ れ るが 、 学 校 格 差 を生 み 出 しか ね な い こ とや 地 域 と学 校 の 遊 離 が 懸 念 さ れ、 ジ ェ ン ダ ー に と らわ れ た意 識 の 強 い と ころ で は 、男 女 に よる偏 り も もた ら し得 る。 新 自 由主 義 で の 個 性 重 視 は 性 別 を超 え る一 方 、 男 女 を集 団 原 と ら え る こ と を避 け る可 能 性 も 持 つ。現 実 に は集 団 と して克 服 す べ き課 題 が 、 個 人 の 努 力 に 還元 され る こ とに な る場 合 もあ る。 四年 制大 学 へ の進 学 者 にお け る女 性 の 比 率 も、OECD加 盟 の他 の 国 々 に く らべ 低 く、 専 攻 分 野 の 偏 りも大 きい 。 欧 米 の多 くの 国 で2005年 大 学 卒 業 者 の 女 性 比 率 が50%以 上 とな っ て い る の に、 日本 で は43%で あ る。 日本 原 は短 期 大 学 が 存 在 し、 そ の 学 生 の大 半 が 女 性 原 あ る 。 また 、 多 く の 国 で は社 会 科 学 ・商 業 ・法 科 ・サ ー ビス を学 ぶ 男 女 差 は ほ とん どな い の に 、 日本 原 は 、 それ ら を学 ぶ 者 の37%が 女 性 で あ る10)。そ こ に は 、 単 に個 人 の 問 題 にす る こ との 原 き な い 問 題 が 横 た わ っ て い る の 原 あ る。 女 子 の方 が 活 発 で あ る こ と を あ げ て 、 ジ ェ ンダ ー 問 題 が 学 校 で は解 決 して い る か の よ う な言 説 も見 られ る 。 そ の場 合 、 男 子 が 進 路 等 で 家 族 の 過 剰 期 待 を背負 っ て 、 萎縮 し、 そ の よ うな過 剰 期 待 が よ り少 な い女 子 が の び の び と して い る こ とが あ るの 原 あ っ て 、 そ こに も性 別 に よる異 な っ た扱 い が あ る の で あ り、 男 子 に とって の ジ ェ ン ダー 問 題 が 見 られ る の 原 あ る 。 ま た 、児 童 期 に は 活発 原 あ っ た女 子 が 、思 春 期 、 青 春 期 に な る につ れ て 、 社 会 の 中 で の 女性 へ の役 割 期 待 に気 づ い て 、 自己抑 制 的 に な る こ と も多 い。 内 閣府 の 世 論 調 査 や 自治 体 の住 民 調査 な どで見 て も、学 校 原 は す 原 に男 女 平 等 に な っ て い る との反 応 が 多 い が 、 社 会 の 影 響 が 及 ぶ こ と を考 え る と、 隠 れ た カ リキ ュ ラムへ の気 づ き と と もに、 意 識 的 に問 題 を と りあ げ て の 教 育 が 必 要 とな っ て い る。 社 会 教 育 にお い て も、教 育基 本 法 の改 正 に よっ て、 これ まで 「勤 労 の場 所 、 そ の他 社 会 に お い て 行 わ れ る教 育 は、 国及 び 地 方 公 共 団 体 に よ っ て奨 励 され な けれ ば な らな い。」 とあ っ た のが 、 「勤 労 の場 所 」 は削 除 さ れ た。 現 実 に社 会 教 育 の 多 くが 地 域 をべ ー ス と して展 開 され て い て、 そ れ にあ わせ た と も と られ るが 、 勤 労 の 場 所 で の 学 習 機 会 の 保 障 は 、 男 女 と も重 要 で あ り、 そ れ に 対 す る 国 や 地 方公 共 団体 の責 務 が 規 定 か ら外 れ る こ と に よ って 、 企 業 の利 益 に 沿 っ た学 習 以外 の 学 習 が 一層 後 退 す る こ と もあ り得 る。 社 会 教 育 職 員 の 専 門 職 制 度 の不 十 分 さ もあ っ て 、一 般 公 務 員 が 関 わ る こ との多 い公 的社 会 教 育 で は、 家 事 専 業 の 女 性 や 高 齢 者 以外 は参 加 しに くい昼 間 の事 業 が 多 い こ と もあ っ て、 雇 用 労 働 に従 事 す る男 女 の 学 習 参 加 が 容易 で な い だ け に 、 この こ との意 味 は 大 きい 。 4.男 女 共 同 参 画 に お け る 教 育 男 女 共 同参 画 の 名 の下 に 、 男 女 平 等 を 目指 す 教 育 が 展 開 され て い る が 、 意 思 決 定 へ の 参 加 を 意 味 す る参 画 が 、 必 ず し も正 確 に理 解 され て い る とは 限 らな い 。 「家 庭 や 地域 に も っ と男 性 の参 画 を」 とい っ た表 現 が 行 政 文 書 に も散 見 され る。 む しろ 家庭 や 地域 の 意 思 決 定 が男 性 中心 に な さ れ て きた経 緯 が あ り、 男 性 に不 足 して い るの は一 般 的 な 参加 で あ る 。参 画 は単 な る参 加 の置 き換 え で は な い こ とへ の認 識 が あ らため て 問 わ れ て い る。 四 年 制大 学 へ の女 性 の進 学 率 も、OECD加 盟 国 中 で は 最低 と して も、 以前 に く らべ て上 昇 して

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きた。就 職 率 も以 前は 大 学 卒 の女 性 に不 利 で、 短 期 大 学 が 勝 って い た が 、 今 日で は逆 転 が み られ る。 そ の 背 後 には 、 か つ て は 、大 学 卒 の女 性 は採 用 しない とす る企 業 が 多 か っ た が 、雇 用 機 会 均 等 法 原 そ れ が 違 法 とな っ た こ とや、 か つ て の高 校 卒 の ポ ス トが 短 大 卒 原 占 め られ て い た のが 、 今 日原 は四 年 制大 学 卒 に も割 り当 て られ る よ う に な って い る こ とが あ る 。 そ こに 、女 性 の学 卒 は、 一 般 職 か総 合 職 か の選 択 を迫 られ る こ とが あ り、 性 に よ る異 なっ た扱 い が依 然 と して存 在 して き た 。21世 紀 に な っ て 、 雇 用 機 会 均 等 法 の改 正 な ど原 、 間接 差 別 の 禁 止 もあ り、 是 正 は 図 られ て きた 。 学 校 に お け る児 童 ・生 徒 の 出席 名 簿 の 多 くが 男 女 別 で 、男 が 先 、 女 が 後 で あ る こ と を問 題 と して 、男 女 混 合 名 簿 の採 用 が な され る学 校 も増 えて きた 。 この こ とは 、男 女 の序 列 の 問題 だ けで な く、性 別 が 個 人 に先 立 っ て と らえ られ が ちで あ った の に対 し、個 の重 視 の立 場 か ら、 ひ と りひ と りの子 ど もを把 握 す る教 育 本 来 の あ り方 と重 ね て 考 え られ るべ き もの で あ る。 小 学 校 に くらべ 中 学 校 ・高 等 学 校 原 採 用 が 遅 れ が ち で あ り、 思 春 期 に 性 を強 く意 識 して の こ とが 関 係 して い る が 、個 人 を十 分 把 握 す れ ばあ えて 性 別 出 席 名 簿 が 必 要 とな る わ け で は な くい こ とは、 こ れ まで 男 女 原分 け な い名 簿 を採 用 して きた学 校 が 示 す と ころ で あ る 。 国 の男 女 共 同 参 画基 本 計 画(第2次)で も、 女性 の理 工 系 分 野 へ の 進 出 が 課 題 と され て い る。 全 体 と して も理 科 離 れ が 問 題 と な って い て 、 実験 等 で 自然 科 学 へ の 関心 を持 たせ る教 育 の時 間 が 不 足 して い る こ とな どが 指 摘 され て い る こ との ほ か に 、新 制 高等 学 校 の発 足 当時 に は なか った 文 系 ・理 系 とい っ た コー ス 分 けが 、 進 路 を限 界 づ け 、 旧 来 の性 別役 割 分 業 と も関連 して、 女 性 の 理 系 へ の道 を 阻 ん で い る と こ ろが あ る。 進 路 指 導 に お け る積 極 的 な サ ポ ー トとと もに、 早 期 の 分 化 よ り も、 可 能 性 を は ぐ くむ共 通 基礎 の 形 成 に重 点 を置 く こ と も課 題 とな っ てい る。 社 会 教 育 に あ って も、 従 来 は 女 性 の社 会 参 加 や 地 位 向 上 を うた い なが ら も、性 別 役 割 に 沿 っ た 内容 の プ ロ グ ラ ムが 多 か った 。 育 児教 室 が 母 親対 象 と され る な どが そ の例 で あ る。 近 年 は、 男 女 共 同参 画 の観 点 か ら、 両 性 を対 象 とす る学 習 が 多 くな っ て い る。 そ の な かで 、 従 来 の 性 別 役 割 を超 え る こ とを意 識 して の プ ロ グ ラム につ い て は 、男 性 の料 理 教 室 や 、女 性 の政 治 参 加 の よ う な 性 別 学 習 もあ り得 る こ と に な る。 雇 用 形 態 との 関係 で学 習 が就 労 と結 びつ きに くい 状 況 が あ る こ とへ の対 応 も課 題 と な って い る。 教 育 は、 所 期 の 達 成 が み られ なか っ た と き、 個 人 の 努 力 不 足 と して 、 ク ー リ ン グ ア ウ トの 機 能 を果 た させ られ る こ とが 少 な くな い 。 新 自由 主 義 の 下 で は 、男 女 平 等 に 関 して もこの 傾 向 は強 ま る。 そ れ だ け に、 社 会 の し くみ を解 明 し、 そ の改 革 を進 め る力 を引 き出す 教 育 が 意 識 的 に追 求 され な けれ ば な らない の で あ る。 1)た と え ば 、大 内 裕 和 「「改 正 」 教 育 基 本 法 と これ か らの教 育 」 日本 教 育 学 会 『教 育 学 研 究 』 第74巻 、 第4号 、2007年 、440-452頁 。 国 際 的 な 教 育 改 革 に つ い て は、 大 桃 敏 行 ・上 杉 孝 實 ・井 ノ口 淳 三 ・植 田健 男 編 『教 育 改 革 の国 際 比 較 』 ミネ ル ヴ ァ書 房 、2007年 。 2)こ の こ とに 関 して は次 の もの な どが 参 考 にな る 。教 育 の 明 日を考 え る会 編 『われ ら新 制 高 校 生 』 か もが わ 出版 、1999年。

3)Thompson, Jane, Learning Liberation,Croom Helm,London, 1983, p34.上 杉 孝 實 ・大 庭 宣 尊 ・奥 田 実 ・北 岡 宏 章 ・森 繁 男 訳 『解 放 を 学 ぶ 女 た ち 』 勁 草 書 房 、1987年 、45-46頁 。

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4)上 村 千 賀 子 『女 性 解 放 を め ぐ る 占 領 政 策 』 勁 草 書 房 、2007年 、141-167頁 。 5)作 田 啓 一 『価 値 の 社 会 学 』 岩 波 書 店 、1972年 、430-434頁 。 6)川 島 武 宣 『日本 社 会 の 家 族 的 構 成 』 日 本 評 論 社 、1950年 。 7)桜 井 智 恵 子 『市 民 社 会 の 家 庭 教 育 』 信 山 社 、2005年 。 8)国 立 社 会 保 障 ・人 口 問 題 研 究 所 『第13回 出 生 動 向 基 本 調 査 』2005年 。 9)元 文 部 官 僚 に も こ の こ と を 指 摘 す る 論 が 見 ら れ る 。 岡 本 薫 『日 本 を 滅 ぼ す 教 育 論 議 』 講 談 社 、2006年 、126141頁 。

10)OECD,Education at aGlance:OECD Indications2007.森 永 優 子 他 訳 『図 表 で 見 る 教 育 』2007 年 版 、 明 石 書 店 、74-75頁 、2007年 。

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