• 検索結果がありません。

日本植民地研究会編『日本植民地研究の論点』(紹介)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "日本植民地研究会編『日本植民地研究の論点』(紹介)"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

日本植民地研究会編『日本植民地研究の論点』(紹

介)

著者

早瀬 晋三

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジア経済

60

1

ページ

103-103

発行年

2019-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00050758

(2)

日本植民地研究会編

『日本植民地研究の論点』

岩波書店 2018 年 xv + 288 ページ 早 瀬 晋 三 本書の挑戦は,帝国主義研究とポスト帝国主義研 究の乖離と対話回路の乏しさを補うため,「研究視 角や問題意識の間に対話の回路をリレーさせ,どの ような対話可能性を展望できるか」(viii ページ)を 示すことにある。その背景として,「はじめに」で, 帝国主義研究として 1992∼1993 年に刊行された『岩 波講座 近代日本と植民地』全 8 巻,ポスト帝国主 義研究として 2006 年に刊行された『岩波講座 「帝 国」日本の学知』全 8 巻を例に比較,検討を行い, 両研究の相違と乖離を確認している。 本書は,1986 年に設立された日本植民地研究会の 2016 年全国大会共通論題「日本植民地研究の論点」 がもとになっており,『日本植民地研究の現状と課 題』[日本植民地研究会 2008]の更新・補完を目的と して出版された。2008 年発行のものとの大きな違 いは,「研究の細分化と研究者間の相互不理解が地 域分断的に進展しつつあるという積年の問題に対応 して,従来のような地域別の編成ではなく,テーマ 別の編成とした」(xi ページ)ことである。 本書は,「はじめに」,3 部(22 章,13 コラム),「あ とがき」からなる。「はじめに」で本書の構成を次の ように説明している。「第Ⅰ部『植民地支配の基盤』 では政治や経済を中心に取り上げ,第Ⅱ部『植民地 の社会と文化』では主に社会や文化を取り扱う」(xi ページ)。「第Ⅰ部と第Ⅱ部は,『分断から分業へ』と いう本書のメイン・テーマを体現する役割を担って いる」(xi ページ)。つまり「『帝国』の構造や植民地 支配のあり方を総体として把握するためには,政 治・経済の制度と文化的側面の双方に目を配る必要」 があり,「双方の研究動向をワンストップで把握し うる本書の意義は大きい」(xi ページ)。そして「第 Ⅲ部『視角と方法』では,研究を進めるために必要 な視角や方法論を紹介」し,「これまでに示されてき た研究の視角や方法論を整理しつつ,隣接分野との 関連性や研究を進めるうえで必要となる具体的な手 法について言及する」(xi∼xii ページ)。 本書は,30 年にわたる学術研究団体の活動の成果 で,10 年前に刊行したものを補う意味で出版された ことから,よく整理され,洗練された論点をわかり やすく解説している。問題のひとつは,「あとがき」 で指摘しているように「台湾・朝鮮および満洲以外 の地域を対象とする研究の多くが本書から欠落」 (288 ページ)したことである。引き続く過去として の日本植民地研究を考えたとき,日中韓を中心とす る狭い意味での「東アジア」を枠組みとするのか,東 南アジアまで含めた広い意味での「東アジア」にする のか,さらに南洋群島,樺太などまで含めるのかでは, 議論の方向性がずいぶん違ってくる。台湾・朝鮮お よび満洲だけではおさまりきらない問題が多々ある。 それは,大国主導の視角や方法論だけではなく,流動 性の激しい海域世界の論理などをも考慮に入れた地 域社会を総体として把握しなければならないことを 意味する。支配した側の論理ではなく,支配された 側を主体的にみる論理である。今後の展望を示すな ら,どの地域枠組みで考えるのかが重要になってくる。 もうひとつは,日本植民地研究の担い手が誰であ るかが今後問題になってくるだろう。すでに本書の 参考文献一覧が日・韓・中文になっているように, 日本語による植民地研究ではおさまりきらず植民地 支配・占領された韓国,台湾,中国の研究者の視点 で議論が進められている。さらに,東南アジアや南 洋群島などの研究者が加わったとき「『帝国』の構造 や植民地支配のあり方」(xi ページ)はどのような分 析対象となって日本人研究者の前に立ち現れるのだ ろうか。支配・被支配を超えた第三者を加えたとき や植民地支配を経験した世代がいなくなったときの 新たな研究視座に備えなければならなくなる。その ときのためにも本書で論点を整理した意義は大きい。 文献リスト 日本植民地研究会 2008.『日本植民地研究の現状と課題』 アテネ社. (早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授) 『アジア経済』LⅩ-1(2019.3) ⓒ IDE-JETRO 2019 https://doi.org/10.24765/ajiakeizai.60.1_103 紹 介

参照

関連したドキュメント

第四。政治上の民本主義。自己が自己を統治することは、すべての人の権利である

●協力 :国民の祝日「海の日」海事関係団体連絡会、各地方小型船安全協会、日本

社会学文献講読・文献研究(英) A・B 社会心理学文献講義/研究(英) A・B 文化人類学・民俗学文献講義/研究(英)

国際地域理解入門B 国際学入門 日本経済基礎 Japanese Economy 基礎演習A 基礎演習B 国際移民論 研究演習Ⅰ 研究演習Ⅱ 卒業論文

出典: 2016 年 10 月 Interferry Conference 資料 “THE CHALLENGE OF FERRY RO-RO TO SUPPORt INDONESIAN CONNECTIVITY”. このうち、南ベルトについては、

海外の日本研究支援においては、米国・中国への重点支援を継続しました。米国に関して は、地方大学等小規模の日本関係コースを含む