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小・中学校学習指導要領(理科)及び教科書における「問題解決」と「探究」の変遷

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Academic year: 2021

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(1)日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 35 No. 7(2021). 小・中学校学習指導要領 理科

(2) 及び教科書における「問題解決」と「探究」の変遷 Changes in "Problem Solving" and "Inquiry" in the Elementary / Middle School Science Course of Study and Science Textbooks. . ○白山由希子 ,栢野彰秀  Yukiko SHIROYAMA*1, Akihide KAYANO*2  島根大学教職大学院,  島根大学教育学部 *1 Professional School of Teacher Education , Shimane University, *2Shimane University  [要約]  年に告示された『中学校学習指導要領 平成  年告示

(3) 解説理科編』 

(4) には「探究の過程」が示され るとともに小・中・高等学校でも同様の学習過程が重要であることが強調された。しかし小学校理科では「問 題解決」という言葉が用いられ中学校理科では「探究」という言葉が用いられている そこで本稿では①現在小学校では「問題解決」中学校では「探究」として用いられている言葉が 年改訂 以降の小・中学校学習指導要領にどのように記載されていたか② 年改訂以降の小・中学校学習指導要領の もとで編纂された理科教科書に「問題解決」と「探究」に関する学習の流れがどのように記載されていたか検討 を加えた その結果次のことが明らかになった①中学校理科では「探究」の趣旨は  年以降脈々と受けつがれてい る② 年改訂以降の学習指導要領 理科

(5) では「探究」と「問題解決」は同等の意味内容を表す③ 年に改 訂された学習指導要領公表後すぐに発行された教科書から既に「探究の過程」及び「問題解決」の過程を意識し た構成になっている [キーワード]小・中学校理科,問題解決,探究,学習指導要領, 教科書 Ⅰ.研究の目的. 的に探究する学習を充実した」と記載されている 文.  年に新しい学習指導要領が告示されそれに基. 科省 E

(6) 新小学指導要領解説でも新中学指導要. づいて出版された『中学校学習指導要領 平成  年告. 領解説でも自然の事象について観察実験を行い結. 示

(7) 解説理科編』 D

(8) 以降新中学指導要領解説と. 果を得て結果から言えることを児童・生徒に考えさ. 略す

(9) では「探究の過程」が示された「探究の過程」. せる流れになっているしかし 新中学指導要領解説. の注意書きには「小学校及び中学校においても基本. では「探究」という言葉が用いられているのに対し. 的には高等学校の例と同様の流れで学習過程を捉え. 新小学指導要領解説では「問題解決」という言葉が用. ることが必要である」と記載さている 文科省. いられている. D

(10) このことから小・中・高等学校を通して「探究 の過程」を経る授業が重要視されたことがわかる. そこで本稿では現在小学校では「問題解決」中学 校では「探究」として用いられている言葉が 年. 『小学校学習指導要領 平成  年告示

(11) 解説理科編』. 以降の小・中学校学習指導要領にどのように記載され. 

(12) 以降新小学指導要領解説と略す

(13) に示された. ていたか資料として整理することを目的とした合. 学習指導要領改訂に当たっての基本的な考え方には. わせて 年以降の最近の小・中学校の理科教科書. 「自然に親しみ見通しをもって観察実験などを行. では「問題解決」と「探究」に関する学習の流れ 「探. いその結果を基に考察し結論を導き出すなどの問. 究の過程」

(14) がどのように記載されているか資料とし. 題解決の活動を充実した」と記載された 文科省. て整理することを目的とした. 

(15) 一方 新中学指導要領解説に示された学習指. . 導要領改訂に当たっての基本的な考え方には「自然の. Ⅱ.研究の方法. 事物・現象に進んで関わり見通しをもって観察実験. 理科授業に「探究」が取り入れられたのは新中学. などを行いその結果を分析して解釈するなどの科学. 指導要領解説からではない 年に改訂され. ― 15 ―.

(16) 日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 35 No. 7(2021). た小・中学校の学習指導要領 理科

(17) で探究学習が強. 継がれていると捉えられる. 調されたことはよく知られているこのことから . 詳細に検討を加えると年年年では. 年 年改訂以降の小・中学校学習指導要領 理科

(18). 「改訂の趣旨」と「改訂の要点」「教科の目標」のい. に記載された「探究」及び「問題解決」に関する記. ずれかに「探究の過程」という言葉が使われていたそ. 述の変遷をたどる. して 年では「課題解決のために探究する活動」. その方法として 年から  年までの『中学. 「課題解決の過程」に置き換わっていたこれは. 校指導書理科編』『中学校学習指導要領解説理科. 年の『中学校学習指導要領解説理科編』には「生徒が. 

(19). 編』合計  冊を収集し検討を加えた  年から. 自然の中から自ら問題を見いだしたり観察や実験を.  年までの『小学校指導書理科編』『小学校学習. 繰り返し行ったり確認のための観察実験をするな. 指導要領解説理科編』合計  冊を収集し検討を加え. どの学習を展開することが大切である」と記載され. 

(20). た . ていることから「探究の過程」の趣旨は引き継がれて. 『中学校指導書理科編』は現在の『中学校学習指導要. いると思われる 文部省 

(21) その後 年は「科. 領解説理科編』に相当する書籍である『小学校指導書. 学的に探究する学習活動」「課題解決の過程」という. 理科編』とは現在の『小学校学習指導要領解説理科編』. 言葉が使われたそして 年で再び「探究の過程」. に相当する書籍である. という言葉が用いられていた. 教科書の検討については 年以降の小・中学校 の理科教科書を出版する主要  社 学校図書教育出版.  ②小学校の場合. 啓林館大日本図書東京書籍

(22) を対象としそれぞれ.  年の『小学校指導書理科編』に「自然の事物・. の教科書を収集した後「探究の過程」が見られるか検. 現象から問題を見出し解決していく探究の過程にお. 

(23). 討を加えた . いて育てていくことをねらいとしている」という記. . 載が見られた 文部省 

(24) このことから小学校に. Ⅲ.検討結果. おいても  年に「探究」が取り入れられていたこと. 

(25) 学習指導要領に見られる「探究」の変遷. がわかる. ①中学校の場合.  年の改訂の趣旨・要点には「探究の過程」に.  年以降に出版された『中学校指導書理科編』. 関する記載がなかったが教科の総括的目標の説明に. 『中学校学習指導要領解説理科編』に記載された「改. は「探究の過程」という記載があった 年では改. 訂の趣旨」と「改訂の要点」「教科の目標」等に「探. 訂の趣旨・要点に「探究」に関する記載があり教科の. 究」に関連する言葉がどのように記載されているか検. 目標の説明には「問題の解決」という記載があっ. 討を加えた. た 年 年には改訂の趣旨・要点及び教科の. その結果 年以降に改訂された学習指導要領で. 目標に「問題解決」「問題解決の過程」に関する記載. は毎回の改訂時の「改訂の趣旨・要点」には必ず「探. が見られた 年の改訂の趣旨・要点には再び「探. 究」や「探究の過程」等の記述があった. 究」に関する記載が見られるようになり 年では. 「教科の目標」に関する記述に眼を転ずると. 「課題の把握」→「課題の探究」→「課題の解決」と. 年と  年を除いて「科学的に探究」等の記述があっ. いう明確な定義のもとに「探究の過程」という表現が. た「探究」に関する記述がなかった  年の学習指. 見られた 年 年ともに教科の目標の説明に. 導要領では「科学的に調べる過程」 年では「問. は「問題解決の過程」という記載がなされていた  年 年 年の改訂の趣旨・要点及び教. 題解決的な学習を進めていく」と記載されていた  年の学習指導要領改訂以降 年と  年. 科の目標の文章記述のみからではあるがそこに書か. の教科「理科」の目標の中には「探究」という言葉こ. れたことをまとめると「問題解決の過程」に現れるの. そ用いられていないだが学習指導要領改訂の趣旨・. が「探究」なのか「探究の過程」を通して「問題解決. 要点には  年以降欠かさずに「探究」という言葉が. の能力」を育てるのかはよくわからないしかし「探. 用いられているこのことから中学校理科では基本. 究」と「問題解決」には少なくとも何某かの関連があ. 的に「探究」に関連する学習が  年以降脈々と受け. ることは言える. ― 16 ―.

(26) 日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 35 No. 7(2021). 「問題解決の過程」という表現がなされた  年. 書では全ての出版社の教科書に「探究の過程」の記載. の『小学校指導書理科編』には教科の目標の中に「問. が見られたわけではなかったが「探究の過程」を意識. 題解決の能力」が記載されていたそして問題解決の. した構成が見られる教科書の方が多かったことが言. 能力を育てることについて「児童が身体的な自然の. える. 事物・現象から問題を見いだしこれを主体的に解決. . しようとして観察実験などを行いそれによって得. ②中学校の場合. た情報を整理しながら知識や経験と関連付けたり意. 新中学指導要領解説に基づいて編纂された教科書. 味づけたりして結論を得るといったいわゆる問題解. は今年  年

(27)  月に発行されたため現行学習指導. 決の過程と体験させ問題を児童自ら解決する能力を. 要領より一つ前の学習指導要領である  年改訂学. 育てることを意味している」と記載があった 文部省. 習指導要領のもとで編纂された教科書に検討を加え. 

(28) このことは子どもが課題を捉えて主体的に観. た. 察実験を行い結果を得て結果からわかることを考 えて結論に至るいわゆる「探究の過程」と捉えられる 学習指導要領に加えた検討結果をまとめると小・. 小学校と同様に中学校でも  年の学習指導要領 から年に一度発行され 年に改訂版が発行さ れている. 中学校ともに  年・ 年の学習指導要領改訂時. その結果  年検定済教科書において 中学校. から概ねかつ既に「探究」及び「問題解決」に関する. 理科教科書出版社社の教科書を検討したところ社. 記載が学習指導要領では既になされていたことがわ. 中  社は  年から  年までの全ての学年で単元の学. かる. 習が始まる前の最初のページに「探究の過程」に関す. . る記載が見られた 全学年に記載が見られなかった . 

(29)  年以降の教科書の変遷. 社中  社は 年にのみ単元の学習が始まる前の最初. ①小学校の場合. のページに「探究の過程」に関する記載が見られたそ. 新小学指導要領解説の全面実施にあたって令和 . して残りの  社は  年にのみ  分野の  番始めの単. 年度から新しく編纂された教科書が使用されている. 元の学習の序盤に「探究の過程」に関する記載が見ら. 新小学指導要領解説でもいわゆる「探究 問題解決

(30) 」. れた. が求められたことにより教科書に「探究の過程」の記 載が見られるか検討を加えた.  年検定済教科書においては教科書出版社によ って異なる取り扱い方がなされていた 社中  社に. その結果新小学指導要領解説のもとで編纂された. 全ての学年で単元の学習が始まる前の最初のページ. 理科の教科書  年検定済教科書

(31) の単元学習に入. に「探究の過程」に関する記載が見られた 年にのみ. る前の初めのページには「探究の過程」に該当する活. 単元の学習が始まる前の最初のページに「探究の過程」. 動段階が主要  社中  社ともに見られたこれは  年. に関する記載が見られた教科書出版社が  社であった. 生から  年生ほぼ全学年共通の内容であった. これには 年検定済の検討の時と同じ教科書出版. 教科書は学習指導要領ごとに  回出版される. 社  社を含む 年にのみ  分野の  番始めの単元の学. 年の学習指導要領では  年に一度検定済教科書が. 習の序盤に「探究の過程」に関する記載が見られたの. 発行され 年に改訂版が再度発行されている. が社であったこれは年検定済みと同じ出版社.  年検定済教科書においても「探究の過程」に. である「探究の過程」に関する記載は全学年にあるが. 該当する記載が小学校理科教科書を出版する主要 . 各単元の学習後に「探究の過程」を用いて探究学習が. 社中  社全てに見られたただしそのうち  社は  年. できていたか振り返らせる記載方法がなされたのが . 生の単元の学習が始まる前の初めのページに「探究の. 社であった. 過程」に該当する記載が見られたが残る  社は  年. これまでのことをまとめると 年に改訂された. 生の  分野の単元の前のページから記載が見られた. 学習指導要領に基づいて編纂された最初の  年検.  年検定済教科書においては主要出版社  社中. 定済の中学校理科教科書においては全学年に「探究.  社に「探究の過程」に該当する記載が見られた平. の過程」に該当する記載が見られるのは  社中  社で. 成  年の学習指導要領の改訂直後に編纂された教科. あった 年生にのみ「探究の過程」に該当する記載が. ― 17 ―.

(32) 日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 35 No. 7(2021). 見られるのは教科書会社  社中  社であったしたが. 教育出版: 『地球となかよし小学理科 』. って一部の学年のみであっても主要出版社  社とも. 教育出版: 『未来をひらく小学理科 』. に既に「探究の過程」が取り入れられていたことが言.  啓林館: 『わくわく理科 』. える.  大日本図書: 『たのしい理科 』. 教科書に加えた検討結果をまとめると小・中学校 ともに平成  年の学習指導要領改訂時から概ねかつ. 大日本図書: 『新版たのしい理科 』  東京書籍: 『新しい理科 』. 既に「探究の過程」を意識した構成が教科書ではなさ. 東京書籍: 『新編新しい理科 』. れていたことが言える. 収集した中学校の教科書は次のとおりである.  年以降の小・中学校の教科書に加えた検討結果 をまとめると小・中学校の教科書においては 年. 学校図書: 『中学校科学 』S 教育出版: 『自然の探究中学校理科 』. 以降「探究」は実質的に取り入れられていたと言える. 啓林館: 『未来へひろがるサイエンス 』. . . Ⅴおわりに. 大日本図書: 『理科の世界 』. 新中学指導要領解説で「探究の過程」が明確に示さ. 大日本図書: 『新版理科の世界 』. れた中学校における「探究」は小学校においては「問. 東京書籍: 『新しい科学 』. 題解決」として言い換えられていることを踏まえると. 東京書籍: 『新編新しい科学 』. 小学校で授業を行う場合においても教科書に示され. . た「問題解決の過程」を参考に授業を行えば「探究の. 文献. 過程」を経る理科授業になることが言える. 文部科学省 

(33) 小学校学習指導要領 平成  年告. . 示

(34) 解説理科編. 付記. 文部科学省 D

(35) 中学校学習指導要領 平成  年告. 本研究は白山栢野 

(36) :昭和  年以降の小・中学. 示

(37) 解説理科編. 校学習指導要領 理科

(38) に見られる「問題解決」と「探. 文部科学省 E

(39) 中学校学習指導要領 平成  年告. 究」学校教育実践研究に掲載されたものに. 示

(40) 解説理科編. 改訂を加えて再掲したものである. 文部省 

(41) :小学校指導書理科編 . . 文部省 

(42) :小学校指導書理科編. 註. 文部省 

(43) :中学校指導書理科編. )収集した書籍は次のとおりである 文部省:中学校指導書理科編 文部省:中学校学習指導要領 平成  年  月

(44) 解 説理科編  文部科学省:中学校学習指導要領解説理科編 文部科学省:中学校学習指導要領 平成  年告示

(45)   )収集した書籍は次のとおりである 文部省:小学校指導書理科編 文部省:小学校学習指導要領解説理科編  文部科学省:小学校学習指導要領 平成  年告示

(46)  解説理科編 

(47) 収集した小学校の教科書は次のとおりである 学校図書: 『みんなと学ぶ小学校理科 』 . ― 18 ―.

(48)

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