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松下電器産業の進出と北河内郡の工業化について -- 戦前昭和期の門真・守口地域の動向 --

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Academic year: 2021

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(1)商経学叢 第46巻第3号 2000年3月. 松下電器産業の進出と北河内郡の工業化について 戦前昭和期の門真・守口地域の動向一一. 概要. 彦. 衣. 筐. 本. 松下電器産業については, これまでその創業者の経営理念やその経営組織. に対して経営学や経営史の側面から, 多くの研究がなされた。 また 20 世紀を代 表する家電メ. ー. カ. ー. として産業論や産業史の研究対象となってきた。 本稿は, そ. のような研究視点に組みするのでなく, 昭和8年の松下電器の北河内進出を地元 の地域がどのように受け止めていたのかを, 当時の新聞記事(大阪朝日新聞)よ り読取り, また松下電器の進出条件に検討を加えて, その経済効果の一つとして の工業化による地域の変化がどの程度みられたのかを考察した。 新聞記事が地元 の民意を反映するものとすれば, 次のような結論になる。 地元では, 松下電器に 対する期待は大きく, また, 松下幸之助のフロンティア ・ スピリットも「計算さ れた経営感覚」に裏打ちされたものであることが指摘できる。. キーワー ド. 松下幸之助. 人材教育, 鬼門, 松下電器の本拠, 大阪市東北部工業 地帯. フロンティア ・ スビリット. 地元の期待. は. し. が. き. 「大阪此花区大開町二丁目松下幸之助氏は北河内郡門真村大字門真に電器具製作工場を 設置することになり, 守口署を経て別に認可申請中のところ, 十三日認可があった。 同エ 場は木造二階建(建坪二百六十七坪)で職工百名を使う方針であり, 近く工場に着手明年 六月末に竣工のはず」と大阪朝日新聞が報じたのは, 昭和7年5月14日のことである。 そして, 8月14日になると, 同新聞は,「新築中の同社員養成所の横に工場を建設するこ とになり, 十三日守口署を経て, 府に認可方を申請した。 同工場は敷地三千五百四十一 坪 建築面積千三百六十坪で, 木造二階建事務所のほか鍛冶工場, 金属工場, 製材工場など七 棟である」との詳細な内容を報じた。 -155(531)-.

(2) 第46巻 あたる. 105 工場が紡織工業である。. 第3号. 30 工場 (17.2. 次に多いのが「その他の工業」で,. %). である。 この地域では, 総じて紡織工業中心の軽工業活動が主に展開していたといえる。. 訟 場 合. ガス ・電 気. 食料品. 印刷 •製 本. 製材 •木 製品. 化 学. 2 1 42 1 2. 17 2 1. 2. 2. 3 2 3. ー ゜. 2 -3 ー. 8. 14. 4 7 3 6 1 , 3 7 46 6 13 5 8 8 8 6 5 4 16 2 5 5 2 2 3 12 7. l 1. 2. 2 11. 105. 2. 計. 2. 樟葉村 牧野村 氷室村. 窯 業. 磐船村 菅原村. 2. 交野村. 計. 4 l l. 津田村 川越村 星田村. 5. 甲可村 寝屋川村 豊野村 田原村. 5. 四條村. 15 ー6 1 47 12 12 1. 友呂岐村 磋詑村. 4. 南郷村 住道村 九個荘村. 機械器具. 四宮村 大和田村 二島村 諸堤村 古宮村. 属. 門真村 三郷村 庭窪村. 6 16 0 4 16 12. 枚方町. 金. 紡 織 守口町. 北河内郡の工場分布(昭和4年). 工 そ の他 の工 業 (. 表1. (注)商工省編纂『全国工場通覧』より作成。ただし, 山田 村, 招提村, 水本村は記載された工場がないため省略 する。. さて, 紡織工業の中心的な町村としては, 庭窪村, 九個荘村, 三郷村, 甲可村, 大和田 村, 門真村, 友呂岐村, 守口町, 四條村, 交野村が挙げられる。 倉敷紡績の枚方工場や鐘. -158(534)-.

(3) 表3 紡. i. (現). A. 門真村 大和田村 四宮村 二島村. (現). B. 6. 10. 6. 8. 1. A. 属. 機械器具. A. B. 6. B. 窯 業. A. 3. 化. B. A. 学. 製材・木製品 印刷• 製本. B. A. B. B. A. 1. 食料品. A. B. (工場数) ガス・電気 その他工業. A. B. 1. 1. , 1. 守口町 三郷町 庭窪村. 24. 25. 計. 53. 67. 6 l. 5. ゜. 2 l. 8. 1. A. B. A 6. 14. 1. 2. 7. 11. 2 4. 3. 3. 4. 14. 5. 15. 15. (注)商工省編纂「全国工場通覧」より作成. ゜. I. l. 4. ゜. 3 7. ゜ ゜ ゜ ゜ ゜ ゜. 1. 8. B. 1. 7. 16. 2 2. 11. 30. 24. 33. 24. 63. 123. 1. 6. 計. � 3�. 168 (544)|. 13. 1. 合. 渫46�. ー. 10. 合. 金. 織. 松下電器周辺町村の工場分布(A: 昭和4年末現在, B: 昭和12年末現在). 表4. 大阪府の地域別生産特性(昭和10年). (%). \. 大阪市. 堺市. 岸和田市. 三島郡. 豊能郡. 泉北郡. 泉南郡. 南河内郡. 中河内郡. 北河内郡. 計. (A)工業2043.7. 76.3. 4.0. 1.0. 2.6. 0.6. 3.5. 7.6. 1.3. 2.5. 0.6. 100.0. 46.3. 3.9. 1.3. 0.3. 12.2. 7.6. 12.6. 14.5. 16.5. 15.7. 15.5. 100.0. 工 業. 工 業. 生産額. 百万円. (B)農業. 特色(A or B). 工. 業. 農. 業. (注)大阪府総務部統計課「統計上ヨリ観タル大阪府ノ概況」より作成. 農. 業. 農. 業. 農. 業. 農. 業. 農. 業. 農. 業.

(4) 松下電器産業の進出と北河内郡の工業化について(衣本) 電器産業にとっては, 経営メ リットの高い地域であったといえる。 創意工夫に富んだ松下 電器産業にとっては, 格好の選択地であった。 そして松下幸之助にとっては, 先発資本と して一 種のフロンティア ・ スピリットの啓発を感じることになったと思われる。 「農村地 帯から工業地域への変化」の可能性が松下自身の経営努力の成果という考え方が強調され ることになった。 このことが松下幸之助の決断のなかに表れている。 「松下の門真進出が 成功するかしないかは, 迷信を打破して, この地区を多くの企業が進出する士地にするか, 鬼門恐るべしの迷信を深くさせるかの分れ道になる」と(30) 。 この地域への松下電器産業に対する期待は当然高いものであった。 そのことが, 冒頭で 紹介した新聞記事での,「松下電器製作所の偉観」に表れているのである。 その中の 一 節 を最後に紹介しておこう。「輝しき大松下の存在「電界のダ ー クホ ー ス松下」といふ事は, 我々のこれ迄再々耳にした言葉であるが, 併し, 今ではかうした呼称にも早ふさはしから ざるものとなってゐる。 松下電器の現容は, 押しも押されもせぬものであり, その 一 挙 ― 動は常に, 異常の注目を惹きつヽある。 殊にその見事なる躍進振りは, 明確なる先見的閃 めきに裏付けられ, 他をして之に追随せしめ, 明るい営業, 親切な商ひ, 吟味を重ねて製 作さるヽ優良品等に於て, 断然他をリ ー ドし, 夙に業界発展向上の先駆者として, 多大の 貢献を致しつ\ある。 」. (30). 前掲『松下電器五十年の略史』110頁参照。 171 C 547).

(5)

参照

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