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フランスにおける電力事業の公営化(その2) -- 公営化の諸動因 --

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(1)フランスにおける 電 力事業 の 公営化 c その 2) ―. 公 営 化 の 諸 動 因 ――. 堀 田 和 宏. さきにフランスの電力事業に対する国家の統制制度の進展と統制範囲の拡 大とを電力事業の公営化を成立せしめた一つの物質的条件であるとしてもっ ばら法制史の上からそれを指摘しておいた叫 本稿は引続いて電力産業の産業構造それ自体が公営化成立のいまひとつの 物質的条件を構成したということを明らかにすると同時に,これら諸条件を 背景として公営化はいかなる直接的要因と意図とをもって成立したのである かを説明かすものである。 電力事業公営化は 1 9 4 6年 4月 8日立憲国民議会に おいて 4 9 0対 6 0の圧倒的 多数で可決された。この意味ではその公営化は国家の代表のほとんど満場一 致の意志を表現したものであったといえる。しかしながら,なにゆえに電力 事業は公営化すべきであるのか。したがってまた , いかなる公営化であるべ きなのか。その管理方式はいかにあるべきか。といった諸点についてはまこ とに多種多様の立場と見解とが見受けられたのである。それらは臨時国民議 会や立憲国民議会での多数の論議や法案提出並びにそれに関する議会報告の 中に表明されているが,その中から少くとも政治的舞台での電力公営化のモ ーテプが浮び上ってくるのである。公営化の動因が公営化 事業のその後の在 り方を法的にも実際的にも規定せずにはおかないだけに,さらには公営化の 評価は必らず公営化の動因との関連において見られるものである以上,電力 事業はなにゆえに公営化されたかという点を種々の視角から把えておく必要 がある。この種の考察は電力公営化事業の統制論,組織論,経営論を後々に. - 6 8( 9 9 6)-.

(2) 展開するに際して無視することのできない部分を構成するのである。 1) 拙稿,フランスにおける 電力事業の公営化(その 1) ー公営化以前の統制制度. の 進 展 ー 商 経 学 叢 昭 和4 笈c f No. 3 2 .. ,•. 電力事業公営化の経済的基盤. 公営化以前のフランスの電力産業は発送配電の各種の企業が多数割拠し, 依然として分散的であったにもかかわらず叫他方では高度の技術的ー機能 的調整と経済的一金融的な側面での顕著な集中化の現象を現出していたとい う点で極めて特徴的であった。 真に独立的な多数の経営単位間の分散的生産配給活動は電力産業の発展の ごく初期の段階に限られた現象であった。技術発展がより規模の大きい発電 設備の建設を利便ならしめ ,と りわけ電力の遠距離輸送を経済的なら しめる に及んで小規模な設備の経営はより大きい発電所に集中されるに至り,諸設 備が結合しはじめ,その結果より大規模な経営単位が,金融的紐帯の より一 層の集中化が形成される という 傾向を帯びるに至っ た 。 この傾向はさらに水力発電の開発の国家的要請 と結びつき,危大な金融手 段の融通の必要と ,と りわけ発電力の最高の経済的利用のためにそれだけ拍 車をかけられ,かくてまた,それぞれの 特色を有する設備間のより 一層の辿 繋の必要性を要求するのであった。 電力産業におけるこの機能的調整と金融的集中がまった<純粋に描き出さ れたのは特に送配電の段階においてであった。 この調整と集中のプロセスの第一の段階は第一次大戦後からすでにはじま り,そこでは 徐々に重要な 5 0の統轄地域が形成されてい った 。送電は実際に 単一の企業に集中され,小規模の配給経営を吸収して ,多くの供電は直接消 費者に配給するか,電力を一手販売 として既存配給業者に 委ねるか,いずれ かの供電方式が採られるようになった。第二の段階では ,種々形態の発電事 業の生産力をより一層経済的に分配する必要から ,高圧線による発電力の遠. -6 9( 9 9 7 )-.

(3) 距離輸送が可能となり ,そこで,それぞれ種々の発電特性を有する火力,水 力設備によって近隣地域の発電事業者や自家発電との間の機能上の緊密な協 同が描かれることになった。 送電企業は各送電線につき , または地方区域を単位として事業者相互が共 同でこれを組織し,. これによって連繋送電網の建設に当るのが通例であっ. た。それというのは,発電の 分散状態すなわち具体的にいえば多数の電力事 業の個々 に独立した自主的経営は由来各電力設備の平均的運営と有効電力の 厳密な調整を確保する上にしばしば大きな障害を与えていたからである。相 互的に連繋されたいく多の発電所はかっては単に地方的需要のみを満たすた めに創設されたもので , したがってその供電区域も各発電所近在の供給可能 の範囲に限られ, もちろんその経営は各自が独立した自立的のものであった が,そ の後連繋送電網の発達に伴なう発電の同時的平行的運営の発生はこの 発電所より在来のイ ニシヤティプを 奪いこれを負荷配給司令に従って行動す べき部分的な一機関たらしめたのである。ただその運営方式は連繋送電網に 関係する発電業者及び配電業者が一つの特殊会社を設立し,各自が送電連繋 組織を利用し 得る程度 に応じて 当該送電事業に 出資 または参 与するという方 式によったのである。この組合的性格の事業には単に電力事業者ばかりでな く,一部自 家発電 を行なう電力消費業者または工業者,例えば電気治金,電 気化学工業等も しばしば 参加したのである。 この協同的性格の送電企業の役割は 資金の 調達,送電料金の決定,電力の 性質または特殊的使用途を考慮した料金調整等の仕事にあり ,他方単にこの 種仕事のみでなく ,送電企業によっては他の一群の送電企業の利 1 史を計って 一種の技術的経営を引受けたり ,また 発電の統制ないし共同経営を指揮して いるものも少なくなかった叫 ただ,かようにして連繋送電網の分担が明らかに定まっておって,必要に 応じて次々に関係単業者を連盟に加盟させてゆく送電企業は一つの有効な協 カ事業をおし進めて来たというものの,この事業の活動はもっぱらすでに建. -7 0( 9 9 8 )-.

(4) 設された送電網の相互連繋の完成えと集注され,結果電力産業の地方的事業 より全国的事業えの進展は充分には行われなかったのである。しかもなほ, 送電連繋は実際的経験的必要性から建設されてきたものであ って, かかる方 法と制度による限り,フランスの送電連繋事業 は前以って予定された単一的 計画に基づくものではなく,全体からみれば,部分的に次から次えと樹立さ れた計画によって遂行されざるをえず,この意味では ,送電連繋事業は統一 的計画なしで進められてきたのであった叉重複的建設使用や単一的計画の なさは 電力産業の より一層の発展を妨げたの であり,ここに国家がこれを統 ーし, 綜合的単一的計画を樹立する余地が存したのである。 それはともかくとして,上述の如き機能上の緊密な協同は当然に諸事業経 営それ自体の 集中 化を促進せしめる。そしてその集中が地方段階の連合組合 一連盟ーの形成に到達し,一見千有余の 諸企業がそれぞれ自立的活動を行な. 0ばかりのグ っている如くであったが,実は 産出電力の 90-95%を支配する 1 ループにより丸結局フランス全域が分割されることとなり,かくてそのそ れぞれの地方では供電は実際にはある一つのグループに統轄管理されていた のである。 通常組合的性格を有するこのグループの中核的経営は先述の如く,送電任 務を負い,グル ープ に属する該地方の経営の発電力を統合する機能を有し , 水力 ,火力の発電所建設の任務をも併有し,さらにまた ,他 の地区グル ープ との 電力交換をも管理 し,実質的には 該グ ループに属する大規模発電所の運 転を指揮したが,グループを創設した諸事業者はそれぞれ通常自己の独立性 はこれを保守しておって,それらが地域間の調整機能をも委ねている中核的 企業に資本的金融的に依存することはなかった。むしろ逆に,これら諸事業 者は財政的に優位であって , 中核的企業の方が財政的に独立的ではなかっ たのである。それというのは,この企業は共同運営を目椋としで竜力諸事業 者が 一 致し •て組織し保持した全体的機関であるからである。. この緊密な調整はグループ間の本質的にはその周辺における機能上の連関. -7 1( 9 9 9 )-.

(5) から生起し制度され,やがて全国的規模において行われたのであるが, 1 9 3 8 年夏には若干の重要な火力 •水力 発電所のすべ てが 平行的に機能するまでに. 急速な連繋の拡大を可能なものにしたのであった。自治体もしくは自治体間 のもっとも重要性の高い設備の中にはこの時期から全体連繋網と結びついた ものもあるのである。 かくて , フランスの電力産業の場合には,イギリににおける如く,不均衡 の特殊の状態を改良する最終的手段として電力事業の公営化を請願するよう な技術的,. 経済的性質の特殊の背景は存在しなかった と見ることもできよ. う。フ ランスでは国土の山岳地形や ,資源の地理的分散が非常に大で ,こ れ が遠距離間の結合を実に鼓舞していたのであった。すなわち ,第一に水力発 電のそれぞれの流域における , さらには火力発電のための県の範囲内におけ る, さらには地方の範囲内における発電所間,同じ地域内での水カ ・火力発 電所間,そのために建設された地方の多種の諸設備間,山 岳鉱山地帯と大消 費地との間,こ れら複雑な調整のプロセスがイ ギリスと 異って ,フランス 電 カ産業の内部組織が非常に便宣よく水資源や利用可能の燃料や関係変電所な どを利用することを可能にせしめていたのである。この現実の担い手が金融 的集中のグループであった。 したがって, 電力産業の公営化に は戦前から尾を引いた技術的,経済的性 質の特殊の背景なるものは存しなく ,専ら解放時の レジスタンスの特殊の雰 囲気の中 で熟した動 因ーアンチ ・トラ ストに表現された反資本主義ーが作用 したと考えることもできる。 しかしながら,われわれには , 電力事業公営 化 に は 経済的技術的な具体 的,個別的背景 が存じたように思われる。そもそも ,技術的ー機能的調整が すでに整序されていて , したがってイギリスにいうその種理由は見当らない ものと前提し,公営化を一律に政治的理由にすべて帰せしめることには大き な飛躍がある。例えば,より一層の技術的ー機能的調整と集中が全国的規模 において統一的計画化の下に促進されねばならないという新たな経済的理由. - 72( 1 0 0 0 )-.

(6) ー経済の計画化ーが発生したという点を等閑視してはならない。さらに重要 なことは,実は,調整や集中化もそれ以上の全国的統一化えの方向には逆動 するものであったということを見落してはならないのである。いわゆる地域 的独占のグループの封土性が作用するからである。つまり,それが全国的な 統一的単一計画と標準化の障害因となったのである。実は ,経済計画の下こ れを除去するために公営化は正当づけられるものであるとみられる。 他国との比較を追求するに急の余り,フランスの電力 産業の独占的封鎖性 に基づく全国的段階での未調整の分野と電力産業に固有の技術的未調整 5) の 部面が存したことを過少に評価してはならないのである。 電 力産業の技術的ー機能的調整と経済的一金融的集中の現象 は電 力の産業 構造を大綱的に把え ,一つの特微を粗描したものにすぎない。なるほどいわゆ るト ラ ス トの形成によって全国的支配の管轄区が定められていたとはいえ, またかかる程度の調 整 と集 中化は例えばイギリスとの比較において 顕著であ ったとしても ,こ の調整と集中化はあくまでいわゆる トラスト の群雄割拠の 地理的分布の確定を 意味するだけであって,他方では,全国的規模からは相 対的にみ てその種々の面での分散性は覆うべくもなかったのである。かかる 現象がむしろ諸設備の厳密な調 整を妨げたことに注意しなければならない. われわれはここに集中化と分散化という矛盾的要素を擁 した 電力の 産業構造 を理解することが肝要であると思う。電力事業 の公営化はこの二つの要素 に 同時にその背景 と根拠を有するものであるといえる。一つは 集 中化に対する 反動としてのアンチ ・トラスト 。一つは分散化に対するより 一層 の統合を要 請する経済計画化である。 電力産業は大衆が賦与した名称によれば , ト ラ ス トであるところの一種の 集 中化方式によって統轄管理され,その高度の技術 的調 整 と経済的 集 中化現 象 は覆 うべくもなかったが,他方ではトラストの封土性ーい わゆる 封鎖性と 全国的段階での分散性と技術的に微細な点での不統一性が厳存し ,ここに 第 二次大戦後の計画化のより一層の全 国的規模 の生産配給の全体的単一組織の. - 7 3( 1 0 0 1 )-.

(7) 形成という極限の集中化の必要とその余地が存したのである。この余地を埋 めしめるものが公営化の方式なのであった。 かかる集中的でありかつ分散的である産業構造の生成と形成の過程におい て , 電力産業の財政状態と産業の経済的伸長状況は実は不充分であった。こ の事実がまた戦後の生産力の増大の 必要を必至ならしめ, 全国 的計画化を要 請するという相乗的効果を果したのである。 フランスでは長い間石炭は枯涸しか つ コスト 高で あったため, 電 力増強の 努力は以前から水力発電力の開発に方向づけられ,資本投資の増加を必要と. 9 1 9年法は水力活動を特許制度に服せしめ , せ ざるを得なかったのである。 1 新たな建設えの躍進を 与えた。電力消費が新設備の連転えの参加 と照応して 発展したため,無限の 繁栄 が開発のイニシアティプに道を開いた如くであっ た。電力関係事業は倍増し ,3 0年来電力消費の増加は経済全体の進歩の一つ. 0年間に 電力消費量は 2倍となり, 1 9 3 0年まで結局電 の指標 となっていた 。2 力需要は毎年 10~15 %増加し ,金融緩和された当産業はこれによく照応し,. もっとも能率的な電力設備を迅速に建設し ていったのである 。 しかしながら 1929 年 ~1932 年の世界恐慌後この電力産 業の私企業の イニシ. ャティプは特に水力 発電部門におい て減退 していった 。 この世界恐慌は 需要 の増大を弛緩せしめ,その結果電力の設備 化努力を停滞せしめるに至った。 そして 資本固定化の少ないより 弾力 的な運営が要求されたことから火力発電. 9 3 6年において,電 の開発が行われた。その結果,デフレ政策の放棄 された 1 力消 費が新設備の建設 よりもより急速に 増加 したのである。その上に,すで に国家は混合会社やその他の諸手法をもっ て設備 化計画に 積極的に参加する ことを試みてきたが,大戦準備の ために因はこの 努力を中止せざるを得ず,. 9 3 8年に至って突如電力 ためにかかる事態はより一岡悪化したのであった。 1 産業は 2 2億 kwh余の電源開発計画を完成するよう余儀なくされた時,戦争 や占領の諸々の困難にかかわらず杭極的に実施されてきた計画であったもの の 凡 し か し な が ら , か か る 計 画 の 施 行 は 事業経営 間の協力を必要とし,必. - 7 4( 1 0 0 2 )-.

(8) 要な場合には国の可能な財政参加の総括的準備を必要としたというこの事実 が,電源開発の大工事は金融集中グループの力を凌駕し,これらグループは 重要諸計画の危険に取組むだけの十分の力をも所持しないことを証明したの であった。加うるに,戦争は 電 力諸設備に若干の損害を与えたが,そのより 深刻な諸結果は既存設備の過重使用と不適切な維持であり.結局 1930年代恐 慌によってすでに引延されていた新規建設のさらに一層の遅滞であった。 かくて,戦後の増大する電力需要に対して電力産業は設備過少の状態に呻 吟し,この困難な条件の中で生産力の回復を迫まられたのである. 。時あた. 9). かも,経済計画化が要請された。経済計画化はいわゆるトラストが果し得な かった電力産業の全国的規模の集中化と標準化を要求した。国の一干渉方法 としての経 済計画化にはまず電力の長期的な将来需要に電力生産力を照応さ せることであった 。この干渉の 一 つの方式こそ電力事業の公営化であると規 定できよう。 要するに ,電力事業公営化の経済的基盤は ,一つは ,電力産業は公営化前 にすでに相対的に過少設備の状態にあったこと,一つはいわゆるトラストの 形成がかえってより以上の全国的集中化に逆動の作用を起こし,技術的,資 本的な全国的統一はこれが達成され得なかったこと,この二つの経済的基盤 を背景にして,戦後の急激な電力需要の増大が全国的集中を条件とする経済 計計化の下{こ要請されたということである。公営化はしたがって経済計画化 における一つの集中化方式の意味を有したのであった。 1) 公営化以前には次のように多数の事業所が散在した。. 発電事業所 発送電事業所. 7 5 8 3 3. 送電事業所. 3 7. 配電事業所. 1 0 5 3. 発送配電事業所 4 9 7. ( L u i g iColombo, La N a z i o n a l i z z a z i o n ed e l l ' I n d u s t r i aE l e c t r i c ae d e !Gazi n Gran Bretagneei nF r a n c i a ,1 9 6 1 .p .2 6 3 ) 年から 1 9 4 6 年まで,各部門の特許業者は次の如くであった。公共配電に 1 9 0 6. 4 , 0 0 0の特許に対して 1 , 5 0 0の業者, セルビス・ビィプリック用配電には は1 3 0 0 件に対し 1 0 0の業者.送電には 1 2 0に対し 9 0の業者が認められていた。 - 7 5( 1 0 0 3 )-.

(9) 他方,発電部門でも, 1 9 4 6 年には数社が 3 00の水力発電所を有し, 5 0社が 85 の火力発配所を有していた。. ( R .G i n o c c h i o , Legis l a t i o ne tO r g a n i s a t i o ndeL ' i n d us t r i ee l e c t r i q u e . 1 9 6 3.p p . 26応 2 6 1 ). 2) 例えば,中央高地の発電業者団体 GPEMC(Groupementd e sProducteurs d'EnergieduMassifC e n t r a l )は何らの送電線を所有せず,いわば一個の 電力取引帳場の如き観を示しているが,数個の送電会社より電力を引継ぎそれ の売捌きに当っていた。この団体は 若干数の送電会社を加盟せしめていたばか りか,さらに発電業者及び電力の買手たる配電業者及び電気化学工業者をも加 入せしめていた。 ビレネー山中の発電業者連盟 UPEPO( Union d e sProducteursd ' E l e c -. t r i c i t ed e sPyrene e sO c c i d e n t a l )も上の団体とほとんど同一の機関であっ て,発電業者の発生電力を販売する任務を有するが,この団体自体は何らの送 電線を所有しない。つまり,本団体は発電会社より販売を委託された電力の大 部分を南部鉄道会社所有の送電線を借り受けて需要地に送電し ,残余の電力は 数個の送電会社によって捌かれていた。. I l e d e これと反対の例としては , 東部フランスのイ ー) レ ・ド・フランス ( France) 送電会社がある。本会社は自ら電力の輸送を行なうとともに,その 株主たる発電会社の電力販売をも引受けていた。 また,アルプス山中の UNIE( UnionPourl ' I n d u s t r i ee tI ' E l ec t ri c i t e ) はより広範な 計画を実施 し,連繋送電網を建設すると共に ,発電業者より電力 を買上げるし,自らも巨費を投じて貯水池を建造し供給電力の季節的調整を計 り , 電力供給の完全を期するという ものであった。. 3) H. Truchy, LaN a t i o n a l i s a t i on del'Ele c t r i c i t e,RevueP o l i t i q u ee t p a r l e m c n t a i r e ,1 9 3 7 .N o . 516p p .1 8 7 1 8 9 . 4) R .C h e n o t , LesE n t r e p r i s e sN a t i o n a l i s e e s ,1 9 5 9 .p .4 8 . 5) この電力産業の分散化現象は特に諸事業の地理的分布,用途別分布,業務的種 別から生ずる技術的分散性によって 温存されていたのである。第一には,発送 配電というそれぞれ異った性質の部門が大多数の諸企業の内部では外見上相互 に緊密に連繋し合っていたとしても ,ある種の配電グ)レ ープは自らの水力発電 設備の管理のために子会社を創設する程に,やはりそれぞれ異った技術に屈し て活動していたのである。第二には, 電力はある種産業例えば鉄道,炭鉱, 電 気化学,電気冶金等において重要な役割を演ずる。かくてこれらの中の強力な 会社は専属の発電所をもって独立性を確保することに専念するものもあった。 それは平時においてフランスの全発電皇の%に相当 し,他方その畜備力は全体 の45%にも達していた。これだけの発電力が調整と集中化の枠外に存したので. - 76( 1 0 0 4 )-.

(10) ある。この数字の示す重要性は非常に鋭く決定的であり,さらに産業用動力と してある産業全体と結合している 発電所は全国的配電網の中に統合されてはい なかったのである 。第三に,先述した連合グ)レープからは独立した特定第三者 に対する電力の発・配電が地域によって非常に異なる諸条件で行われていた。 産業内部の高度の調整,結合の発達にもかかわらず,それぞれの地域の資源の 多哀や設備コストが配電網や料金決定に不可避的に不同 の諸条件を作り出し, 地域的多様性と分散性が現出していた。そこから ,地方のその特殊の機構を尊 璽すると同時に ,そこ に,公営化の理念と不可分の関係にある標準化の努力を 企図する必要性とその余地が存したのである。. 6) l aS o c i e t ed e sf o r c e smotr ic e sduHaute-Doubs.—des S o c i et eded i s t r i b u ti ondugroupedel aC .G .E .の子会社 l as o c i e t ed e sf o r c e s motrices du G u i !-l aC i ee l e c t r i q u e de l a L o i r ee tduCentree tdeJ uC i ec o n t i n e n t a l edugazの子会社 l aS o c i e t ed e sf o r c e sm o t r i c e sd el aS e l v e se tl ' Hydro-e l e c t r i q u e del 'Ean-d1ole 一多数の配給会社の資本出資会社 (ReneR o b e r t , LaNat i o n a l i s a t i o ndugaze tdel ' e l e c t r ic i t e .D r o i ts o c i al ,Mai1 9 4 6 .p. 1 8 0 ) 7) R . Robert .opc i t ,p .1 8 0 . 0 %引上げるよう目論まれたもので ,1 9 4 8 i f = ' . 8) この 計画 は水力発電能力を従来の 5 末に完成予定の ローヌ河発電所を除いて,戦争と占領の諸困難を克服 して大部. M.V e n t e n a t ,L'Experinced e sN a t i o n a l i s 分施工完成 されたのである。 ( a t i o n s .1 9 4 7 .p .1 5 9) 9) 実は設備過少とか,電力需要に対する適応力の不足とい うのは極め て相対的に. 理解されるものである ことに注意 しなければならない。発電力は戦後急速に 回. 9 4舷 F にはそれが 2 2 2億 kwhに達し 1 9 3 沙F 次水準のほぽ20% 復し ,公営化時の 1 を越えたのである。 (W. C .Baum, The French Economyandt h eS t a -. t e, ・ 1 95 8 .p .1 9 3 ) かくて, 生産力不足は将来指向的立場,つまり拡大経済下 における経済計画化の条件において理解さ れ得るのである。. 2 .. 電力産業公営化に際する諸論議. 国民解放委員会並び にレジスタンス 国 民 会 議が「セルビス ・ヒ°イプリック と事 実上 の 独 占 の 国 民 え の 帰属」と し て す で に 公 営 化 を 定 型 化 し て い た 以 上,電 力 産 業 は公営化のその二つの 要 件 に 抵 触 す る も の として,その公営化 は公営化運動の渦中にあってはもはや時間と様式の問題だけが残っているよ うに見えた 。 ところが,そ の 公 営 化 が い か な る 理 由 に 基 づ く の で あ る か , ぃ. - 77( 1 0 0 5 )-.

(11) かなる意図によるのであるか, したが ってはまたいかなる方式と肉付けによ ってそれが断行されねばならないか,について確定的な定見と一定の方向が. 9 4 6年法とし て あったわけではなかったのである。実は ,公営化が具体的に 1 結実した時には多数の立場の妥協の産物としての半透明な性格をさらけ 出 し たの で あった。それが実現されるまでにも , したが って,数段の階梯を踏ま ねばならなかったのであり ,それぞれの中に種々の公営化を必然 としかつそ れを正当づける理由と立場の変転と質的転換が見受けられるのある。公営化 の動因に関するこの種々の立場の多様性とその変転並びに一般を支配してい た趨勢とを議会における 諸 々の 討論 と法案提出の中に見出すことができる。 電力産業の公営化えの少く とも 政治の舞台での進展状況はおよそ次のよう であった。すなわち , 1 944年に工業生産省の 下 でレオン ・プル ー主宰の委員 会が設けられ ,翌年三月 ド ・ ゴー)レ将軍が公営化原則を宣言し て後数力月を 経 てその報告薔が提出さ れ,ついで臨時国民議会がレジスタンス国民会議,. C .G.T をは じめとする 労働組合の掲げた方向で決議を採択するに 至 った 段 階 。 決議案に とどまら ず,いよいよ 立憲 国民議会の下に 主 として左翼諸政党が 具体的な法案の形で公営化を提案するに至 った段階。. 9 4 6年 1月 1 8日に提出し , これが国民 政府(工業生産省)が公営化法案を 1 議会で相 当活発 な議論を呼び ,随所で大きく改訂を受け て結局公営化法が社 会主 義 グル ープの主張する方向え大巾に修正され て成立を見た最終の段階。 以下,各段階 に亘 っての 種 々の立場の公営化の提出理由 書 の中の 諸理由を 一瞥し ,電力の公営化の動因とその意図は少くとも政治の舞台では結局どこ に求められたのかを明らかにしなければならない。その上,さらに進んで,そ の諸理由は理論的 ,客観 的にどこに求 めら れるべきかを問わねばならない。 それというの は,一つは ,公営化という構造改革は主体的行動なしにはあり えない以上,より主体的な立場からの動因が存するが,それとは別に ,より 客観 的な視点か らの 動因を裁別する必要が あるからである。いま 一つは ,ゎ. - 7 8( 1 00 6)-.

(12) れわれの問題意識が公営化一般の全体的規定 とは別の電力産業の公営化の個 別的規定因を探るこ とにあり ,具体的には 他の公営化産業の公営化動 囚との 相違点を摘出す ることにあ るからである。 まず, 1 9 4 5年 3月3 1日社会党の一派により臨時国民議会に出された決議案 は電力産業の技術 的,金融的集中が民衆の 良識が電力産業を支配 していたト ラストをまず 第一に 壊滅さ せ るべきものだと久しく見倣してきた程に強大で あることを明るみに出し,いまや 電カトラストの現在の権力は告発 されるべ きとして,こ の点より国が電力の社会化 ( s o c i a l i s a t i o n)を実現すべきであ ると呼 びかけたのである。電力諸機関が代表する国民資源の開発は緊急に電 カ産業のかかる権カグル ープから奪い去らねばならない。これら資源を価値 あら しめるには 国民経済全体に係らしめなければならない。共同体の利益よ りも直接の利潤を重く見てきた私企業にはもはや委ねるべきではない。国民 一人当りの電力の平均消費羅は異常に低い。かくて ,結局の とこ ろ国家の計 両によって水力設価を開発す る必要があると。いまいう理念は 1 9 4 5年 6月 7 日の決議案にも見受 けられるし,右の二つの決議案 に関する 全国設備 委員会 の名に よるビェ ール ・ルプランの報告書にもうかがわれる とこ ろであ った 。 この段階にあ って は,金融独占企業を消滅させ ,それら 企業を共同体の利 益において社会化するという,反資本主義的攻撃の社会的,政治的動囚がそ の全部を占めていたよう であ る。電力産業に対する懲罰のための公営化が一 部主張され たのもこの初めの段階においてであった巴. 1 9 4 5年 1 1月2 3日,立憲国民議会に提 出された 法案は , さきの社会主義 グ ) レ ープ の決議案の中で展開された諸理由に触れると同時に ,次の ような理 由を も附け加え た。長い困難 な経済回復期には絶えず必要な投資財 と消費財のそ れぞれの生産の配分や,国家の 活動の各種部門間えの諸投資財の配分を,私 企業利益によ る専制的調整に委ねる ことは 不可能であり ,かつそれを容認 し ておくことはできない。さらに, 電力料金の再調整は おそらく必要であろう が,民衆がそれが不可欠であるこ とを確認し ,し かも ,そ の成果が電力産業. - 7 9( 1 0 0 7 )-.

(13) の発展に必要な用途に充てられるのでなければ,その調整を私資本会社の手 中に任せることは認めないであろう,と。 しかしながら , この決議案の重要な意味は次の点は留意すべきである とし たことである。すなわち,第一に,フランスの発電設備は戦前には充分であ ったということ。第二に, 技術水準は発送配電ともにみな優秀であ ったとい うこと,第三に, 電力 の消 費水準は実はほとんど電力の生産とは無関係で独 立したものであって,むしろ全体の一般生活水準や販売料金,賃金の函数で あるということ。 これら三つの留 意点がはじめに社会化を叫んだと同じ社会主義グループに よって主張されこれらが議会の中の電力産業に対する攻撃的姿勢 とアンチ・ ト ラ ス トに よる社会化の議論を奇妙にも鎮める結果 とな ったのである。その 間の事情を分明にすることはできないが,社会主義グループの公営化に対す る態度の方向転換として注 目すべきであり,なぜ公営化がなされねばならな いかについてその理由はやや網羅的,平板的となり ,経済的便宜主義の理由よ くいえば統制経済主義的理由を以ってしたことは注意しなければならない。. 1 9 4 5年 1 2月2 2日の法案も公営化を「セルビス ・ ヒ゜ィブリックの経営の本質 的な諸原則の必然的な修正 2)」として概念し提示した。すなわち ,国家みず からが国民の 電力活動の指揮の テコを手中にすることを共同体の利益が要求 するのである ,と 。 しかしながら,それは 最初のア ンチ・トラストの立場か らではない 。なぜなら 「かっての 経営者の業績を誤解 したり過少に評価した りすることは間違いである」からであり叫そこで ,こ の法案では公営化は 懲罰としてあらわれるべきものではないことが明示されたからである。こう して,アンチ・トラ ス , ト 懲罰公営化 ,産業社会化というような反資本主義的 姿勢の積極的主張が影をひそめて,極めて無定見的にみえるような ,公営化 を立証し正当化する決定的な論理 と主張が見られなくなっ てきているのであ る。ただ,無定見と思われる諸理由の中に社会主義グル ーブも社会化路線に 加えて,徐々にで はあるが「国民経済の回復」のための国家 の経済指揮とい. - 8 0( 1 0 0 8)-.

(14) う経済問題の現実的視点を採ってきたということが留意されねばならない。. 1 9 4 6年 1月1 8日政府が公営化法案を提出したがそ の理由は社会主義グルー プの最初の決議案に同似のものであった。 第一に,国民だけが国の設備に諸需要のために緊急に要する発展を与える ことができる。 第二に発電の不足は戦前から諸々の原因を有し,水力発電設備の不足の 事実から,その調達は 1 9 3 8年以来ある 程度石炭の輸入の停止に左右されてい た状態にあった。 第三に国民一人当りの平均消費量は他国に比して非常に低率であった。 第四に,電力産業の技術的金融的集中は極度に発達し,電力産業は 1 0程度の グループの掌中にある如くであり,これらグループが無数の共通の子会社を 媒介にして相互に連繋していた。 かかる諸理由から,政府案では,電力,ガスの生産・輸送・配給は総合して 公営化されることはもちろんのこと,その輸出入と開発は国のレヂ i 乙地方 段階では組合レ ヂに独占的に委ねることを 予定 していた 。そこで ,組織方式 は新たな公共設立体によらずして,工業生産大臣に直属する電力,ガスに共 通の組織体によることとされた。 いうまでもなく,この種経営管理方式は公営企業の独立的な自由活動を可 成り縮少させるはずであったし,国庫負担が増大するという懸念も手伝って, この政府案に対して直ちに左翼グループが猛烈な反撃を加え,政府案改正の ための諸法案を提出した。ポール・ラマディエを報告者として指名した議会 の国民設備及工業生産委員会の提案は重要な諸点でこの政府案を修正し,当 委員会の法案が結局 1 9 4 6年 4月 8日の公営化法となったのである。 かくして,このラマディエの報告が電力産業の公営化の諸理由を解く重要 な鍵となるが,現にその中に電力産業の公営化の直接的理由とその公営化の 意義を窮い知ることができるのである 5)。 まず一般的性格の理由として,政 治的,社会的,経済的な諸理由が挙げられる。. - 8 1( 1 0 0 9 )-.

(15) 1 . 国の本質的な役務が議会に圧力をかける金融努力の掌中に存する限 り,国民の主権はもはや絶対のものではない以上,公営化は政治的理由を有 する。. 2 . 公営化 は電力産業の運営から金融グル ープを排除する。公営化は企業 目的を 利潤に求めない以上,公営化は社会的理由を有する。労働者は公益の. s e r v i t e u r) となるのであって ,私的利益の賃銀労働者 ( s al a r ie ) 奉仕者 ( では な くな る。労働者の昇進にこれ程好都合の環境は存しない。彼の努力は 一 つの目的に向けられ, それを彼は尊厳なるものと理解し , さらに・道徳的 , 社会的の高い価値をも身につける。企業の 諸 目的えのこのような固執が労働 者を して企業委員会に 下属する地位に結びつけるのではなく経営管理に結合 せし める。かくて ,彼は今後経営管理とその責任の積極的な役割を果さねば ならない。. 3 . 国民の生産諸力 ,特に エネルギー産出産業の調 整は現代技術の影啓の もとにとりわけフ ランスが自国経済を再建するために 国の資源 と諸力を結集 しなければならない現時の困難な時であるだけに ,欠くべからざるものとな っている以上公営化は経済的理由を有する 。 これら 一般的性格の理由に加えて ,電力産業分野 に固 有 の法的 ,経済的諸 理由が指摘され,公営化が正当づけられたのである。 第一の理由は ,電力産 業の具有する 特殊な法的位置にある 。電力の生産諸 手段はすべて公の 利用に充てられ, しかもまた , それ らは公権の諸手法によ って しか設 置 も逓営もされえない公共財産 ( unb ie np u b l i c)を形成するも のである。特許権被賦与者はセルビス ・ヒ °イブリックの継続性を確保しなけ ればならないが,公行政と同じく地表を占拠する。行政当局の統制は存する が,他方では需給法則の作用しないところに位 置せしめられ ,かくてまた , 経済的危険から防禦されるというように ,統制とはいえそれは保護の制度に 照応しているといえる。 かくして ,電力産業の公営化は国民のための収用であるよりは一 つの セル. - 8 2( 1 0 1 0)-.

(16) ビス ・ヒ ° ィプリックの再組織化なのである 6)。つまり,. セルビク ・ヒ ° ィブリ. ックの管理方式の変更を意味するにすぎないという。 第二の理由は ,第二次世界大戦の勃発時より数えて六年間の退歩を取戻す ためには発電力の開発を必要とするということにある。これは巨大な設備計 画に依らねばならないが,その主たる努力は必然的に水力発電設備の開発と なる。しかるに実は , この水力設備はそれが要する旭大な金融負担のために 世界的な経済恐慌以降すでに戦前において私企業がこれを放置したままであ っただけに ,その努力は 一層倍加されねばならない。加うるに ,戦時中には 同じく中断されていた送配電部門の投資努力もなされねばならない。特に地 方の電化は異常に弱く ,持続的拡大的な設備化を要する 。かかる危大な設備 化に独立して対処できるだけの金融グル ープを見出すことができず ,私資本 ではその能力とイ ニ シャティブを越えていることは明らかである。 第三の理由は ,電力産業はますます強力な集中化によって全国的規模の相 互補整 ( C ompe ns a t i on)に依存してゆかなければならないということである。 以上のような一般的ならびに特殊の諸理由を挙げて,ラマディ エは結局の ところ次の如く公営化の結論を下した。資本家のトラス トがフランス全土を 覆い , また 電力生産すべてを包摂するか,国民が自己の 電力の領域の経営を 掌中 に収めるか, というジレンマに追いつめられているのである。公営化は かくして宿命として ,あるいは少くとも必然として現れたのであると 。 ただ,以上のラマディ エの掲げた諸理由は要するに, 電力産業はセルビス ・ビィプリックであること ,経済回復のための負担能力に欠けていること, 全国的調整のためにより一層の集中化を必要とすること , というようにやや 網羅的にすぎてむしろその主張を無性格のものにしているきらいがある。ラ マディ エ 自身「電力公営化とは何か」という問題提起 に対し,っづいて公営 化は電力産業の構造に二つの本質的な修正を持ち込むと答えているが,この 点にこそわれわれが見究めようとする公営化の根本的動因と意図が浮彫りに されているように思われる。一つは ,より強力に押し進められた集中 。二つ. - 8 3( 10 1 1)-.

(17) は資本家に属したものの国民えの移転である。すなわち公営化の中に経済と 電力産業の計画化 と産業の社会化の二つの要素が同時に内在 しているという べきである。ラマディエはそれぞれ次のように説明する。 第一,電力産業の集中化は長い間進行してきたことは疑いない。公営化は それを完成することになる。公営化は若干の点が封建的精神が統一化に反対 していた諸々の抵抗を失墜せしめるであろう 。さらに ,公営化は国家の統制 という概念一善を創り出さずに悪を避けるーに代えて計画の概念一善を促進 させそれを建設するーを持ち込むことになろう。従来,電力政策は即時的に 制禦されて,資本や消費の危機が設備化の中断を惹 き起してきた 。 しかし, 計画は反対に将来を指向し, 将来を識別することができかつそれを枢軸とな し得る限りでの将来の展望を試みるものである。それは換言すれば国の諸資 源の管理に第三の次元を与えるものである。さらに ,計画は諸活動を調整し 統一することができ,それによってその努力をより一岡効果的にすることが できる 。逆方向の迂回や力の消耗などのない ,複雑なイメ ージを明せきな形 にもってゆくように,特異性と不規則性を排除せしめる 。代替的な競争を排 除し,電力の生産と消費を均衝させるであろう 。 それは需要の序列を規律 し,要するに行動と方向を規制するのである。むろん画一性は計画を殺ぐ のであって,事実の運動に適応しえ,また,予言や判断の誤りの不幸な結果 を永続さ せないような柔軟性をもって理解される必要がある。また ,無秩序 を惹起させずにイニシャテイプが 豊富になりうる ようなところでその個人の イニシャティプを尊重する必要がある。それは科学的 ,技術的諸調査,作業 研究,需要えの経営の適応という分野である。現実をある与えられた状態の 中に封鎖することは計画の有する危険である。そうであれば計画は活動せず に死滅する。より大きな柔軟性と可変性を賭けてのみ効果的な公営化が存在 し得るのである。 第二,電力産業の運営は特許会社を支配し, 菅理している金融グループか ら共同体に移される。かくて,電力事業の資本も国民の手中に移転される。. - 8 4( 1 0 1 2 )-.

(18) 同時にこのことは,事業の構成員の転換をもたらし,事業の経営精神の変化 をも創り出す。グループの利益と金融勢力が圧倒的な役割を果していたため に,その中から選任されていた取締役会に代って,国の全般利益の代表,労 働の代表,利用者代表が管理層となり,これらが経営管理に密接に直結する であろう。事業の経営目的はこの交替によって大きく影響を受ける。すなわ ち,その目的はもはや利潤の中には存せず,セルビス・ヒ°ィブリックの中に 存する。かくして事業は社会機構の中によりよく統合され,もはや嚢胚にな った外郭団体を形成する危険はないのである。危険といえば,事業の内部に おいて事業経営自体の利害を除外して,すべての諸利害が代表されていると いうことである。事業をとりまく社会諸集団との,また国の全体的な諸機関 との調整は堅固に保障されている。しかし, 事業 は生気のない機関であった り,首尾一貫しない 機関であ ったりしてはならない。その活動が実り豊かで あるためには,事業の中に自らの生命がなければならない。経営者層が自己 の出身を立証するような接触を固守して公営事業に同化しないのなら,その 成果は得られないであろう。経営者の責任を強力に確立することにおいての みこの成果を達成することができる。 われわれはやや冗談なところもあったが,公営化法の成立時に議会で開陳 された多種の諸概念をほぽありのままに想起し跡づけてきたのである。 要するに公営化の実現までの過程の中に政治的舞台の上においても,一つ の重要な変化が見受けられたということである。それは公営化の動因の政治 的社会的動因から 経済 的動 因えの重心の移行ということである。資本制を前 提した公営化といえどもそれが私的所有権の収奪を意味する以上,公営化は いかなる意味においても政治的社会的動因を有する。電力産業の公営化はと りわけ第二次大戦前に形成されていたいわゆるトラストの金融集中が政治的 社会的な攻撃目標となり ,アンチ・トラストの結果として 実現 されたもので ある。しかし現実の公営化の叫びの中ではかかる論拠に立つ公営化の提唱は むしろ後退し,フランスの経済的現実的視点に立って電力産業の充実と伸長. - 8 5( 1 0 1 3 )-.

(19) が公営化によって目途されてきている。公営化はそのための電力産業の全国 的調整と集中化の一管理方式という理解がなされているのである。)レノーの 懲 罰 , 金融機関の反金融封建主義,. 石 炭 の 産 業 救 済 の 公 営 化 7) とは対照的. に, こ こ に 電 力 産 業 の 公 営 化 の 特 殊 個 別 的 な 動 因 が 存 す る よ う に 思 わ れ る 8)。 公 営 化 の 動 因 は 前 章 で わ れ わ れ が 指 摘 し た 公 営 化 の 経 済 的 背 景 と こ こ においてまった<照応することになるのである。経済計画化のためのより一 層 の 集 中化という論理である 。. 1) 電力産業は比較的収益が早く生ずる火力発電部門 に重点を置きそのため水力発 電の部門を軽視し,もっぱら私的利益を 重んずる政策に終始していた,として 懲罰の対象であるとされた。. (Ahmet Sensoy, Le Mouvement d e s National i s a t i o n s en F r a n c e . 1 9 5 2.p.1 9 4 ). .Bordiere tS .D e g l a i r e,E l e c t ri c i t e .s e r v i c epubl ic .TomeI L1 9 6 3 . 2) E p.1 8 3 3) E . Bordiere tS .D e g l a i r e .o p .c i t . , p.1 8 3. 4) 電力の生産力の増強,そのための危大な資金需要,そのための公営化という 一. 連の論理から,政府案ではレヂ形態の運営を考慮していた。これに対して,国 庫負担が増大するという懸念から,財政自治を与えるという立場もあったので ある。 (AhmetS ensoy, o p .c i t . , p.1 9 5 ). . Bordiere tS .D e g l a i r e .o p .c i t . ,p p .1 8 4 -1 8 8 . 5) E L .Col ombo,op.c i t . ,p p .2 7 0 2 7 3 . 6) コロンボは,その根拠を示さな いがこの理由は脆弱であると指摘する。 ( L u i g i . ヒィ Col ombo. o p .c i t .,p .2 7 1 ) われわれもそう考える。それは,セルビス ・° プリックであ るゆ えに公営化されるということだけで は直ちに何ら説明される ものではない。セルビス ・° ヒ ィプリック には種々の管理方式があり ,従来のセ )レビス ・ビィプリック管理方式が変更される理由が「セルビス ・ ° ヒ ィプリックで あるから」では何をも説明しないからである。セルビス ・ビィプリック管理方 式の変更の理 由が説明されてこそ,公営化の動因が説明されることになろう。 したがってこれを説明するものは公の財産は公が管理する ,私人の掌中に委ね させえないという法的理由ではなく優れて政治的,社会的.経済的理由である。 7) 拙稿,フランス公営企業の管理組織一鼎立管理組織の成立と失敗の諸要因ー商 経 学 叢 第 8巻. 第 3号. 8) しかしこれに対する反対意見は多い。例えばボルディ エによれば平和時のまし. て非常時の諸環境での電力のセルピス ・ビィプ リックの決定的重要性が諸工事 の配備と運営は私企業に委ねられないということを立証したこと ,設備の発展. - 86( 1014)-.

(20) に必要な巨大な資金源は,全く異常な権力を仮定しないのなら,金融グループ によって見出されるのは困難であるということ。これら重要なる諸理由のた め,公営化はセルビス・ヒ°ィプリックの必要なる再組織化として現象したし, より一般的には,フランスの一 1 9 3 9 4 ' . 1 9 4 5の諸事件によってより強められた ところの政治的経済的変革の論理的帰結として現われたのであるという。かく して,この問題が経済を対象とした訴訟の形である人々によって提示されてい たのは間違っているように思われる。つまり,公営化の動因を経済的諸範疇の 中に見出すことはできないのである。 p .1 9 2 . ). ( E ,B o r d i e re tS .D e g l a i r e ,o p .c i t ,. コロンボによっても,公営化の動因は一経済的性質の理由に帰される時でも一 本質的には政党の観念と政治的イデオロギー的政策に照応していることは自明 である。実質的には,政治的範疇の概念に戻るものである。それは解放後のフ ランスに醸成された特殊の環境にお いて電力産業は公営化されざるを得なかっ たのであるとしている。 (L.Colombo, o p .c i t . ,p .2 7 4 ). 3 .. む. す. び. 電力事業の公営化の動因はどこに求められるべきか。一般に公営化の動囚 はそれが経済的性質の理由に帰されるときでも本質的には政党の歓念と政治 イデオロギー的政策に照応していることは自明であり,専ら政治的範疇に属 するものであるという意見が支配的である。われわれはこのことを充分に認 めながらも,電力公営化を規定した特殊の経済的背景と経済的動因が内在す ることを指摘してきた。端的にいえば,その特殊の経済的背景とは一つはい わゆるトラストの形成がかえってより以上の全国的集中化に逆動する作用を もたらし,技術的,機能的な全国的統一と計画の全国的単一性はこれが達成 されえなかったこと,一つは電力産業は公営化以前にすでに過少設備の状態 にあったということである。この二つの要因を背景にして,戦後の急激な電 力需要の増大が全国 的集中を条件とする経済計画化の下に要詰されたのであ る。経済が計画化 ,統制化されるときにはエネルギー 産 業 としての 電 力事業 は常にその用具として役立てられねばならない。より充分の用具たり得るた めには技術的経済的な全国的調整 と集中と標準化がなされていなければなら. - 87( 1 0 1 5 )-.

(21) ない。電力事業の公営化の動因はしたがって経済計画化に求められ,その公 営化はそこにおける 一つの 集中化方式の意味を有したのである。 しかしながら,他方,如何に経済の計画化が必須であり,それが指向され て電力公営化が実現されようとも,電力産業から私資本が排除されるために は,いかなる 意味においてもそこに政治権力が介在しなければならない。 社会主義的政治蟄力の公営化の原則が電力産業にも適用されたということ である 。 すなわち,企業がセルビス・ビィブリックの性格を有するか• ある. いは事実上の独占的性格を持つかしている場合にはその企業の財産及び企業 それ自体が社会共同体の財産に 帰 されねばならない,という原則に触れたの である。電力はいうまでもなく明確なセルビス・ヒ° ィプリックであり,いわ ゆる機能的調整 と資本 的集 中がトラストと呼称される 事実上の独占と目され たのである。 電力産業の公営化を成立せしめた要因はいずれの側に在るかということは 公営化をいか に規定するかによって決められる。公営化を国 家の統制干渉の 一発展形態ないしは集中化方式とみるならば ,公営化の本質的要因は前者の 経済計画化に求められ,公営化を 一つの産業社会化方式 と見るならば, 後者 が公営化の本質的要因であろう。公営化をいかに規定するかが問題ではな く,いかに規定されていたかということが問題であるとするならば,戦後と いう時点において把える限り,公営化は確かに産業の共同社会化であった。 改革は自然法則的には達成され得ないという意味では,主体的モーテイプが 公営化の直接的な要因である。 しかしながら,この二つの要因は本質 と現象形態 との 関係において把握 し 得 ないのであり,また直接 的な相関関係においても把握されないのである。 逆に ,二つの要因はお互い規制し全う矛盾の関係にあるといえる。主体的理 念や目的と客観的 ,現実的条件との矛盾である。国家の全体計画の 下に 経済 政策の テコとして機能しなければならない 電力産業が,国家とは切り離され た共同体管理において機能し,セルビス・ビイプリックとして公営化された. -8 8( 1 0 1 6 )-.

(22) ゆえに収益性の否定も課せられ得る電力産業が,国家財政とは分離した財政 自治において,機能することとなった。この種矛盾は現実には社会化公営化 の理念と方式の否定において溶解したのである。理念的な主体的目的は現実 的な客観的モーティプの前に挫折したといい得る。 現に国家は経済計画化政策に基づいて,電力産業の投資,電気料金,従業 員報酬の主要な 諸要素 を自ら政策決定する主体となった。 電力産業の具有する公益性はセルビス ・ ヒ°ィプリック概念の拡大化と公企 業であるというがために,収益性を否定もしくは無視するところまで発現さ れ,公営電力産業は厖大な欠損を生じ,財政自治において機能し得なく,こ れがため,ひいては多種の国 家の統制 干渉を受けることとなったのである。 産業化された公営化は国家化された公営化に移行せざるを得ない。セルビス ・ ヒ°ィプリックの電力産業は,公営化されただけに,不足経済での経済計画 化の下に経済政策目的に役立てられねばならなかったからである。 特許規制を基礎とした独占と国家の電力産業の一種の共同管理は ,労働を 主体とする共同体の管理に転化したものの ,その管理理念と方式が有する内 在的矛盾は 直ちに公権力の介入をもたらし, 電力産業は国家と「フ ランス 電 気」の共同経営に委ねられることとなった。 電力産業の公営化の評価はその公営化の動因を何に求めるかによって異な るであろうが,いずれにしろ,電力産業は産業化されるよりも国家管理化の 方向に移行せざるを得ない。問題は,国家化の理念とその方式において残る のみである。いかに全般目的に奉仕し,いかに経済産業政策に資するとして も電力公営事業は企業として存在しなければならない。利潤目的の否定は生 産性の否定にも ,収益性の否定にも連がるものではない。企業であるために は,少くとも与えられた枠内での経営管理の権限はその企業に留保されてい なければならない。日常経営活動に対する干渉 が政府や議会からしば しば行 われるならば,これがため ,一種の共 同経営管理が行われ,そのことは電力 公営企業の決定形成の分散を招来することであろう。. - 8 9( 1 0 1 7 )-. 1 9 6 7 .6 . 1 0.

(23)

参照

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