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“色”の個人差

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Academic year: 2021

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視覚の個人差―色の見え方の場合― せるよ

“色”の個人差

内 川 惠 二

(東京工業大学大学院 合理工学研究科) 人間の感覚に個人差はあるか.こう聞かれれば誰でも「あるに決まっている」と答 えるだろう.感覚が鈍い,鋭いなどという表現は一般的によく われる.むしろ,感 覚の違いこそが人との違いであり,個性の本質であるともいえなくはない. では,物の色に個人差はあるだろうか.こう聞かれてもピンと来ない人がほとんど だろう.色は物に付いているものだから誰が見ても変わるわけがなく,その時々の照 明の具合で多少異なって見えるかもしれないが,本質的には変わらないものである と,一般的には信じられている.物の形に個人差はあるかという問いがナンセンスな ように,物の色に個人差はあるかとの問いもナンセンスであると えられている.し かし,これは世の中に蔓 している大変な誤解であり,「光の波長成 =色」ではない のである. 色は視覚-大脳系が生む感覚である.したがって,色には個人差があり,本質的には 私たちが感じる他の感覚と同質のものである.ところが,現実にはこのような色の個 人差はほとんど問題とされていない.これは色が感覚でないからではなく,脳が感覚 としての色を物の属性としての色に見 重点的 うに,実に巧妙なメカニズムで個人差を 消し去っているからである. 最近,カラーマネージメントが盛んになり,カラー表示メディア間の色合わせの技 術が進んでいる.カラー表示メディアは色のメタメリック等色(波長組成の異なる光 が等しい色に見えること)を原理とし,さまざまな三原刺激(原色)を用いている. もし 3種の錐体の 光感度に個人差が存在すると,脳がいくら巧妙であっても原理的 に錐体 光感度の違いまで補正できないので,カラー表示メディア間で色が異なって 見える人が出てきてしまう.本特集はこの等色の個人差の問題を の個人 に取り上げ, 色の個人差がどこに起因して,どの程度のものであるか,また色の個人差を解消する 手だてはないか,といった研究の最前線を紹介する. 自 が赤と呼んでいる“色”を他の人も赤と呼ぶだろうか.日本人の“赤”と他の 国の人の“赤”は同じだろうか.“色” “色” 差は何も等色だけに留まらず,色の認識 にも及ぶ奥の深い問題である.今後のカラーマネージメント技術が色感覚特性を取り 込んで, の個人差を解決し,いつどこで誰が見ても正確に色情報が伝わる世界 いる. を 生み出すことに期待して

巻頭言

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