社会 復 帰 の意 向 を持 つ長期 入 院精神 分裂 病者 の現 状
お よ び退 院 につ いて の認識
奥 村 太 志
要 約 本 研 究 は 、 退 院 の 意 向 を 持 ち な が ら、10年 以 上 の 長 期 入 院 に 至 っ て い る2名 の精 神 分 裂 病 患 者 が 持 つ 、 現 状 や 退 院 に 対 す る意 識 の 特 徴 につ い て 、 半 構 成 的 面 接 を 通 して述 べ られ た患 者 の体 験 に基 づ い て 検 討 した もの で あ る。 そ の結 果 、 以 下 の点 が 明 らか に な った 。 1)患 者 は、 退 院 が 現 実 的 に困 難 な理 由 と して 、 社 会 資 源 利 用 に つ い て の 情 報 が 不 足 して い る こ と や 、 家 族 の 状 況 と して 受 け入 れ が 難 しい こ と を認 識 して い た。 2)患 者 は、 保 護 的 環 境 で あ る病 院 の 中 で、 病 院 に順 応 す る と い う形 で無 理 を し な い生 き方 を獲 得 して き た に も か か わ らず 、 社 会 に 適 応 す る た め の 準 備 を す る とい う意 味 で は無 理 を しな くて は な らな い とい う矛 盾 を 抱 え て い た。 つ ま り、 今 の 自分 に と って 社 会 復 帰 が 実 現 不 可 能 か も しれ な い とい う 自己 評 価 の 低 下 が 、 リハ ビ リテー シ ョ ンな ど へ の 活 動 意 欲 の 低 下 へ と つ なが り、 現 実 に は長 期 入 院 に至 って い た。 3)患 者 は、 自分 自身 が 入 院 に至 っ た理 由 を病 気 に よ る もの で は な く、 家 族 や 周 囲 の 理 解 不 足 や、 生 育 歴 に 影 響 され た 自分 の対 応 の まず さ に あ っ た と考 え 、 さ らに長 期 入 院 と い う経 過 そ の もの が 、 自 分 の 社 会 適 応 を 阻 ん で い る と して い た 。 同 時 に、 過 去 の 体 験 を 消 化 で き ず、 未 だ に 拘 り続 け る 自 分 を認 識 して お り、 それが現実 レベ ル の 不 安 と な り、 対 処 方 法 が 見 つ か らず に い た 。 4)患 者 は、 面 接 を 通 して 、 病 院 の 中 で ど の よ うな 生 活 を し、 どの よ う な体 験 を して き た か を 言 語 化 す る こ と に よ って 、 客 観 的 に 自 己 を 捉 え 、 現 状 を認 識 し、 洞 察 す る こ と が で きた と考 え られ た。 キ ー ワ ー ド:精 神 分 裂 病 、 長 期 入 院 、 主 観 的 な 体 験 、 社 会 状 況 、 対 人 関 係 1は じ め に 精 神 分 裂 病 を 発 病 し急 性 期 を 離 脱 した患 者 の 多 く は、 回 復 期 に入 る と引 き こ も りが ち に な っ た り、 感 情 表 出 が 不 活 発 で あ った り して 、 そ れ に対 して様 々 な ア プ ロ ー チ が 行 わ れ て い る1-3)。多 くの 看 護 者 は 、 患 者 の病 気 の経 過 や 個 別 性 を 踏 ま え な が ら関 わ る が 、 患 者 の 入 院 期 間 が 長 くな れ ば な る ほ ど、 慢 性 で 固 定 的 な 状 態 に あ る と捉 え が ち に な る。 つ ま り、 こ こで 看 護 者 の 陥 りや す い状 況 と し て 、 長 期 入 院 患 者 が 内 面 で は感 受 性 に富 み 、 決 して 画 一 的 で は な い4)とい う こ と を見 過 ご して しま う こ と に な る。 こ れ が 看 護 者 の マ ン ネ リ化 した ア プ ロ ー チ に つ な が り、 患 者 へ の 働 きか け が 「あ せ り」 か ら 「あ き らめ 」 へ と移 行 して しま う こ と も考 え られ る。 こ の よ う な 患 者 の個 別 性 や 歴 史 を 無 視 した ア プ ロー チ は、 患 者 の 主 体 性 を 阻 む こ と に な り、 自分 の 力 で 道 を 切 り拓 い て い く意 欲 を 妨 げ る こ と に な りか ね な い。 患 者 を 身 近 で 支 持 し援 助 す る立 場 に あ る看 護 者 は 、 患 者 を 「主 体 的 に生 き る存 在 」 と し て 、 そ の生 き方 を 共 に模 索 しな け れ ば な らな い と考 え る。 こ う した意 味 に お いて 、 患 者 が長 期 入 院 と い う状 況 の 中 で 、 自分 の 人 生 を どの よ う に考 え、 ど の よ う な体 験 を して き たか 具 体 的 に知 る こ とが 大 切 で あ る と考 え られ る。 筆 者 は、 患 者 の 「受 動 的 な体 験 で 主 体 性 が 低 下 して い る 生 活 か ら の解 き ほ ぐ し」 と い う視 点 に た っ て5)、 看 護 者 側 か らの判 断 だ け で は な く、 患 者 自身 に よ る主 体 的 な 意 志 を 明 確 に す る こ とで 、 患 者 一 人 一 人 に 具 体 的 な 援 助 方 法 が見 出 せ 、 そ れ が 今 後 の 治 療 活 動 に役 立 つ と考 え て い る。 今 回 、 筆 者 は4ヶ 月 間 に お よ び、 精 神 分 裂 病 の 患 者2 名 と関 わ りを 持 ち、 半 構 成 的 面 接 を 用 い て 、 長 期 入 院 の 名 古屋市立 大学看護学 部(精 神看 護学)体 験 を 聞 く機 会 を 得 た。 彼 らは 退 院 の意 向 を持 ち な が ら も、 長 期 入 院 に至 っ て い る現 状 を 語 りつ つ 、 今 まで あ ま り表 に 出 さな か った 自分 の 人 生 の 一 部 と して の 入 院 体 験 を振 り返 っ た。 ま た、 彼 らは 、 なん とな く感 じて い た も の を 言 語 化 す る こ と に よ って意 識 化 し、 自分 の 現 状 お よ び退 院 の 実 現 の 可 能 性 につ い て 、 現 実 的 な検 討 を 行 って きた と思 わ れ る 。 菊 池 は、10年 以 上 の 長 期 入 院 患 者 の う ち 退 院 希 望 者 は49.5%で あ る の に 対 し、 退 院 の 可 能 性 あ り とす る もの は12.4%と して6)、患 者 の意 向 と医 療 従 事 者 の評 価 に は 大 き な 差 異 が あ り、 患 者 の 自己 検 討 能 力 の 甘 さ を 指 摘 して い る。 しか し一 方 で 、 患 者 の 社 会 復 帰 に向 け て 日常 生 活 で の指 導(小 遣 い や 薬 の 自 己管 理 な ど) が 、 看 護 者 側 か らの 一 方 的 な 判 断 と指 示 に よ る もの で あ る7)とい う反 省 もあ る。 この よ う に受 動 的 な環 境 の 中 で 、 病 棟 ス ケ ジュ ー ル を あ る程 度 達 成 し た こ とで 、 退 院 が 可 能 だ と思 い込 む 患 者 が い る と も考 え られ、 菊 池 の示 す 患 者 自 身 と医 療 従 事 者 の退 院 に つ い て の差 異 が この よ うな 所 か ら発 生 して い る の で あ れ ば、 患 者 を よ り現 実 的 な視 点 で 捉 え サ ポ ー トす る こ とが 肝 心 で あ る。 本 研 究 で は 、 精 神 分 裂 病 の 長 期 入 院 の 問 題 に つ いて 、 患 者 の 語 る主 観 的 な 体 験 を 通 して 、 長 期 入 院 に 至 って い る現 状 や 退 院 に対 す る患 者 の意 識 の特 徴 を 明 らか にす る と と も に、 そ の 要 因 を分 析 検 討 した の で 、 こ こ に報 告 す る。 今 回 筆 者 は、 以 前 勤 務 して い た精 神 病 院 に お い て、 関 わ り の あ っ た2名 の精 神 分 裂 病 患 者 と利 害 関 係 の な い 状 況 で 面 接 を 行 っ た。 この こ と は、 彼 ら の主 観 的 な体 験 を 表 出 しや す く させ 、 他 者 に対 して猜 疑 心 を持 ちや す か っ た り、 依 存 しや す い傾 向 に あ る患 者 と の関 わ り を ス ム ー ズ に して い た と推 測 で き る。 そ の 上 で 、 半 構 成 的面 接 に お い て 、 「今 ま で ど の よ うな体 験 を して き た か 」 「どの よ う な 思 い で 現 在 の 自 分 を 受 け 止 め て い るか 」 「今 後 ど の よ うに した い か 」 と い う内 容 を 中 心 に話 題 を 展 開 した。 ま た、 主 体 的 な存 在 と して 患 者 を 受 け止 め る と い う姿 勢 で 臨 む こ と に よ り、 以 前 、 筆 者 が 関 わ った 時 に は 知 りえ な か っ た患 者 の体 験 が 表 出 さ れ 、 彼 らが 自分 の 世 界 を開 い て くれ た と考 え られ る。 そ の 反 面 、 患 者 は意 識 化 し言 語 化 して い く こ とで 、 結 果 と して 自分 の 問 題 と、 置 か れ て い る状 況 に必 然 的 に 直 面 す る こ とに な り、 そ れ に よ っ て起 こ る 不 安 が 問 題 に な る(こ の不 安 は、 他 方 で は主 体 的 に生 き る方 向 へ の 動 機 と も な る)。 筆 者 は信 頼 で き る 聞 き手 と して 、 受 容 的 ・支 持 的 に 関 わ る こ と に心 が け、 患 者 が 感 情 的 に揺 れ て 辛 い 場 合 に は、 自 己 を 客 観 視 で き る よ う援 助 す る こ とが 必 要 で あ る と、 意 識 して 面 接 に 臨 ん だ 。 Ⅱ 研 究 方 法 1.研 究 期 間: 平 成13年4月12日 ∼8月30日 の 毎 週 木 曜 日 2.研 究 対 象:長 期 入 院 の 精 神 分 裂 病 患 者2名 この2名 を 選 択 した の は、 筆 者 が 以 前 看 護 者 と して 関 わ っ た患 者 で あ り、 実 際 の 入 院 状 況 を理 解 しや す い こ と と、 関 係 を 築 き や す い と い う理 由 に よ る。 ま た 、 今 回 研 究 者 と して 関 わ り、 半 構 成 的 面 接 か ら得 られ た 情 報 を 研 究 に活 用 す る こ と、 倫 理 的 な配 慮 を した 上 で 発 表 す る とい う こ とを 伝 え 、 協 力 を 求 め た と ころ 同 意 を得 られ た 。 事 例 の 概 略: 事 例1;老 年 期 、 男 性 、 精 神 分 裂 病 。 大 学 卒 業 後 、 就 労 し結 婚 。20歳 代 後 半 に発 病 し離 婚 、25回 の入 退 院 を繰 り返 し、 そ の間 積 極 的 に さ ま ざ ま な社 会 復 帰 活 動 に参 加 して きた 。 今 回25回 目の 入 院 は15年 間 とい う長 期 入 院 に な った が 、 現 在 で も 社 会 復 帰 を 強 く望 ん で い る。 家 は 弟 が 跡 を 継 ぎ、 年 数 回 の患 者 の外 泊 は受 け入 れ るが 、 退 院 は拒 否 して い る。 事 例2;初 老 期 、 男 性 、 精 神 分 裂 病 。 少 年 院 入 所 中15 歳 の時 に 発 病 、 以 後 ほ とん ど を 精 神 病 院 で 生 活 して きた 。 今 回3回 目の 入 院 は10年 間 に及 ん で い る。 入 院 当 初 は、 社 会 復 帰 を め ざ し作 業 所 へ の 通 所 や 、 病 院 で の レク リ ェ ー シ ョ ン療 法 ・作 業 療 法 に積 極 的 に参 加 した が 、 しだ い に意 欲 を 喪 失 し、 現 在 は開 放 病 棟 で退 屈 な 日 々 を過 ご し て い る。 家 族 は老 人 ホ 一 ム に入 所 中 の母 親 の み で、 患 者 は単 身 で の アパ ー ト退 院 を望 ん で い る。 発 病 後 の社 会 で の 生 活 経 験 は ほ とん で な い。 3.研 究 方 法: 1)対 象 と した2名 の精 神 分 裂 病 患 者 に対 して 、 これ ま で の 生 活 史 が ど の よ うで あ り、 現 在 の 自分 と自 分 を取 り巻 く今 の状 況 を ど の よ うに 捉 え て い る か、 今 後 どの よ う に した い か 、 と い う内 容 を半 構 成 的面 接 に よ り、 週1回1時 間 聴 取 した。 面 接 は 、 あ らか じめ準 備 した上 記 の 質 問 内容 を 含 み つ つ 、 彼 らが い ろ い ろ な 話 を 自 由 に 語 る 中 で 、 病 院 生 活 者 と して 体 験 して き た こ と を 聞 い て い くと い う形 を と っ た。 2)毎 回 語 られ た 内 容 を 文 脈 ご と に分 類 し項 目立 て、 全 体 像 と して 表 現 す る こ とで 、 長 期 入 院 に 至 って い る現 状 や 退 院 に対 す る意 識 の 特 徴 を 明 らか に した 。 同 時 に、 そ の 項 目 を 導 き 出 した面 接 内 容 を 示 しな が
ら分 析 検 討 した 。 3)患 者 が 自分 の 思 い を語 る こ と 、 ま た そ れ を促 す た め に受 容 的 ・支 持 的 に関 わ る こ とが 、 どの よ うに 患 者 に影 響 して い る か を 確 認 した。 毎 回 の面 接 終 了 時 に 「い ろ い ろ 話 しが 出 て きた が 、 こ の よ う な話 を し て ど うで あ った か 」 と い う質 問 を し、 語 る こ と で 患 者 自身 が 気 づ い て きた こ とを 言 語 化 して も ら った 。 そ れ に よ っ て、 患 者 が あ らた め て 自分 自身 に関 す る 体 験 を 深 め る こ と に役 立 て る よ うに した。 Ⅲ 患 者 が 語 っ た こ と の 全 体 像 1.全 体 像 患 者 が 、 長 期 入 院 に 至 って い る現 状 や退 院 に対 す る 意 識 に つ い て 、 ど の よ う に受 け止 め て い る の か 、 及 び、 面 接 に つ い て ど の よ うに 感 じた の か を 半 構 成 的 面 接 か ら導 き 出 した。 毎 回 の 面 接 で 語 られ た 具 体 的 な 内 容 か ら、 文 脈 ご と に整 理 し10項 目 に ま とめ た。 2.10項 目 の デ 一 夕 に つ い て の 分 析 検 討 全 体 像 と して ま と め た10項 目 に つ い て 、 具 体 的 な デ ー タ を示 しな が ら分 析 検 討 した。 ① 社 会 資 源 利 用 に つ い て の情 報 が 不 足 して い る 長 期 入 院 か ら退 院 ー地 域 生 活 の実 現 一一に 向 け て、 患 者 が 最 も心 配 して い た の が 、 「生 活 して い くの に ど の く らい お 金 が か か る の か 」 とい う こ とで あ った 。 家 族 の 受 け 入 れ が 期 待 で き な い 患 者 に と って 、 単 身 アパ ー ト暮 ら しに は 強 い 関 心 が あ り、 そ の実 態 につ い て 、 外 来 や デ イ ケ ア に通 所 し て く る人 に、 「食 費 や 光 熱 費 、 ア パ ー ト代 な ど は い く らか か る か 、 娯 楽 に使 うお 金 は あ るか 」 な ど の 質 問 を して は、 自分 が 受 けて い る年 金 や 生 活 保 護 で 本 当 に生 活 で き る の か を真 剣 に考 え て い る と言 って い た。 ま た 、 年 金 や 生 活 保 護 だ けで は生 活 す る の に余 裕 が な い こ と を、 退 院 し た患 者 か ら情 報 と して 得 て い て 、 そ の た め に 「働 き た い 」 と考 え て い る よ うで あ っ た。 しか し、 そ の 情 報 は 限 られ て い る た め、 実 際 に ど の よ う な 社 会 資 源 が 活 用 で き るか 知 り た い と 望 ん で い る。 こ う し た事 柄 は 、 現 実 に は 、PSWや 医 師 に は 相 談 し に く い よ うで 、 そ の 理 由 と して 、 「忙 し そ う に して い て 以 前 も応 え て く れ な か っ た 」 「退 院 の 時 期 が きて か ら と 言 わ れ た 」 な ど、 過 去 に相 談 が で き な か っ た経 験 に よ る抵 抗 を表 現 した 。 この よ うに 、 退 院 後 の 実 生 活 の イ メ ー ジが つ か め な い こ と は、 患 者 に と って 退 院 が い つ ま で も現 実 的 な もの と して 意 識 で き な い大 き な 要 因 とい え る 。 この 項 目 は2事 例 の 患 者 に 共 通 して い た 。 ② 現 実 的 に受 け 入 れ 困 難 な家 族 に 対 して 、 受 け入 れ て ほ しい とい う思 い は続 い て い る 事 例1の 患 者 は、 「で きれ ば 家 族 と暮 ら した い が 、 精 神 病 で あ る と して 受 け 入 れ て くれ な い」 「世 代 交 代 を して お り外 泊 な ど も兄 弟 に は頼 み に く い し、 言 って も叱 られ る」、 事 例2の 患 者 は 、 「父 親 が 亡 くな り母 親 が 老 人 ホ ー ム に入 所 した た め、 家 を 処 分 し帰 る所 が な くな っ た」 な ど、 長 期 入 院 に と もな っ て 家 族 との 関 係 も疎 遠 に な って きて 、 現 実 的 に患 者 を 受 け 入 れ て くれ な い 状 況 を理 解 して い た。 面 会 や 外 泊 の 回 数 が 、 入 院 が 長 期 に な れ ば な る ほ ど減 少 して き た こ と、 そ れ に と もな って、 患 者 も しだ い に 家族 へ期 待 しな い よ うに な っ て きて た こ とを 語 っ た。 しか し、 事 例1の 患 者 は 、 「弟 が 定 年 に な って 自営 業 を は じめ た ら手 伝 い た い」、 事 例2の 患 者 は、 「叔 父 に 連 絡 を つ け て 、 退 院 の 受 け 入 れ を して も ら い た い 」 と ど こか で 、 両 親 以 外 の血 族 と の つ な が りを 求め た り、 「で き れ ば結 婚 して 、 嫁 さ ん に世 話 して も らい た い」 な ど、 退 院 後 の 生 活 の イ メ ー ジ に 「誰 か に受 け入 れ て も らい た い」 と い う考 え が 基 底 に あ る こ と を示 して い た。 ③ 長 期 入 院 に は さ ま ざ ま な 矛 盾 が あ り、 活 動 意 欲 が 低 下 す る 患 者 の病 状 が あ る程 度 落 ち 着 い て くる と、 社 会 復 帰 に 向 けて リハ ビ リテ ー シ ョ ンに入 るが 、精 神 病 院 と い う保 護 され た環 境 の中 で 、 長 期 間 過 ご して き た患 者 は、 あ る 矛 盾 を 抱 え る よ う に な る。 事 例1の 患 者 は 、 「リ ハ ビ リテ ー シ ョ ン活 動 に参 加 す る と、 個 人 の 診 療 点 数 に 跳 ね返 り、 頑 張 れ ば 頑 張 る ほ ど医 療 費 が 高 くな る こ とが 納 得 で き な い 」 と言 っ て い た。 リハ ビ リテ ー シ ョ ンを 始 め た 頃 は 意 欲 的 に 参 加 して い た が 、意 欲 とは逆 に 経 済 的 な 負 担 を 考 え るよ う に な っ た と い う。 ま た 、 「作 業 報 奨 金 が2時 間 で40円 とい うの は あ ま り に も安 い 、 自分 の 能 力 は そ れ だ けの 評 価 だ と思 え て し ま う」 と して 、 賃 金 の低 さが 自分 の 評 価 につ な が って い る と い う不 安 を感 じて い た 。 事 例2の 患 者 は、 「何 年 も入 院 して いて 、 リハ ビ リテ ー シ ョ ンが 段 階 的 に進 ま な い と、 何 の た め して い るの か 、 一 生 この ま ま か と思 う よ う に な る」 と語 り、 病 院 生 活 が 今 後 もず っ と続 くの で は な い か と い う不 安 や 虚 しさ を 感 じて い た。 こ の こ と が 活 動 へ の 意 欲 低 下 に つ なが って い るよ うで あ る。 ま た 、 事 例1の 患 者 は 、 「病 棟 の 日課 に参 加 す る た め に は、 自分 が そ れ に無 理 に 合 わ せ な けれ ば な らな い し、 小 遣 い 金 も制 限 さ れ 、 結 果 的 に、 病 院 の 中 で しか 動 け な い か ら閉 じ こ め られ て い る こ と と同 じに な る 」、 事 例2の 患 者 は 、 「毎 日毎 日 が 同 じパ タ ー ンで 、 何 の 変 化 もな い 生 活 を して い る と、 自分 が ど う した い の か が
分 か らな くな る」 な ど、 長 期 入 院 に よ って 患 者 は 、 積 極 性 ・主 体 性 の維 持 が 困 難 と な り、 結 果 と して意 欲 の 低 下 を き た した こ と を示 して い た 。 ④ 医 師 や 看 護 者 か ら受 け る影 響 は大 き い 医 師 に つ い て は、 事 例1の 患 者 は、 「医 者 が 病 棟 に 入 って き て 話 を し た り、 一 緒 に ゲ ー ム を す る と身 近 な 存 在 と思 え る」 「障 害 年 金 の 手 続 き に苦 心 して くれ た 医 師 に は心 か ら感 謝 して い る」、 事 例2の 患 者 は、 「患 者 の 気 持 ち を 聞 い て 、 今 後 の方 針 を きめ て くれ る医 者 か らは 、 安 心 感 が 得 られ る 」 「患 者 が 必 要 な と き に イ ン タ ビ ュ ー に応 じて くれ る と信 頼 で き る」 と、 患 者 の 意 志 を尊 重 して くれ る 医 師 を評 価 して い た。 そ の 一 方 で 、 「要 望 を い っ て も応 え て くれ な い 医 者 に は、 聞 か れ た こ と しか 話 さ な い 」 「診 察 室 で しか 患 者 と接 しな い 医 者 は、 本 当 の患 者 の生 活 を 知 らな い。 診 察 の み で 判 断 され て は か な わ な い」 と、 身 近 に感 じ られ な い 医 師 に は 信 頼 感 を 得 られ な い と して い た。 この よ うに 医 師 が 、 ど の よ う な 場 所 で患 者 と交 流 す る か 、 患 者 の 意 志 を尊 重 して い る か が 、 治 療 者 と患 者 相 互 の 関 係 に 少 な か らず 影 響 して い る こ と を示 唆 して い た 。 看 護 者 に つ い て は 、 事 例2の 患 者 は 、 「病 棟 の 規 則 だ か ら とか 、 主 治 医 の方 針 だ か らと言 わ れ る と、 患 者 の 状 況 を 理 解 して くれ な い と感 じる」 「い い 加 減 な 対 応 や 面 倒 くさ そ う な表 情 な ど は、 自分 の こ とを 分 か っ て も ら え て い な い 感 じが す る」 「患 者 の ペ ー ス に 合 わ せ た対 応 を して くれ な い と混 乱 を きた す 」 な ど、 身 近 で あ る はず の 看 護 者 と の心 理 的 距 離 感 を訴 え 、 自分 を 受 け 入 れ て も らえ な い 辛 さ を 感 じて い る。 事 例1の 患 者 は 、 「そ の 日 に 勤 務 す る 看 護 者 に よ って 動 きを か え て い る」 こ とを 明 らか に した。 この よ うに、患 者 に と っ て 、 医 師 や 看 護 者 は最 も身 近 な 存 在 で、 自分 を受 け入 れ て くれ るか ど うか 、 誠 実 な対 応 を して くれ るか ど う か は 、 患 者 の 行 動 に大 き く影 響 して い る と考 え られ た 。 ⑤ 他 の 入 院 患 者 と の 関 係 か ら受 け る影 響 が あ る 多 く の 患 者 が 共 同 で 生 活 す る病 院 の 中 で は 、 「他 の 入 院 患 者 」 と 「自分 」 と い う関 係 が 存 在 す る。 患 者 の 言 葉 の 中 に 、 「隣 の 人 は、 優 し くて 静 か な 喋 り方 の 人 だ か ら好 きだ 」 「あ の 人 に声 を か け られ る と緊 張 す る 」 とあ り、 人 の話 し方 や声 の 抑 揚 で 快 ・不 快 を感 じて い る よ うで あ った 。 ま た、 「他 の 患 者 と比 較 して 、 主 治 医 や 看 護 婦 の 対 応 に不 公 平 を 感 じる 」 「周 り の人 を 見 て い て 、 こ の 病 気 は動 機 や 感 情 を な く して、 人 と して ま と ま ら な く な る と思 う」 「他 の 患 者 と比 べ た ら自分 は まだ ま しだ と思 う」 な ど 、他 の 患 者 と接 す る こ とで 、 自分 の現 状 や 病 気 を考 え る よ うに な っ た と話 して い た。 あ る い は ま た、 「自分 は反 論 しな い タ イ プ だ か ら損 を す る」 「ど う見 て も僕 よ り も状 態 が 悪 い の に退 院 で き る の は お か しい」 な ど、 他 の 患 者 と比 較 す る こ とで 、 自 己 反 省 を した り不 満 を持 って い た り して い た。 同 時 に 、 事 例1の 患 者 は 、 「あ の 患 者 と 看 護 婦 の や り と り を 観 て い て 、 看 護 婦 は ど うい う タイ プ か、 ど の よ う に 接 して い こ うか と参 考 に して い る 」 な ど、 自分 の 行 動 を 病 院 生 活 に支 障 を き た さな い よ う に合 わ せ て い る。 この よ うに 、 他 の 入 院 患 者 の 存 在 や 他 の患 者 と ス タ ッ フ と の 関 わ り方 に よ り、 さ ま ざ ま な 感 情 が 刺 激 され 、 患 者 自身 の行 動 に も影 響 を 与 え て い る こ とが分 か っ た。 ⑥ 自 己 評 価 は他 者 か らの 評 価 に影 響 さ れ る 事 例1の 患 者 は、 「身 の 回 り の こ と が 自分 で で き な い」 「仕 事 が 続 けれ な か っ た か ら だ め だ」 と表 現 し、 事 例2の 患 者 は、 「人 に お 上 手 が 言 え な い し要 領 が 悪 い」 な ど、 自分 の行 動 を あ る程 度 客 観 的 に見 て い る発 言 が あ っ た。 しか し、 事 例1の 患 者 は、 「体 力 が 落 ち て きて 散 歩 も き つ く、 自信 が な くな っ た 」 「ペ ニ ス が 勃 起 しな くな っ た こ とで 、 一 人 前 の男 で は な くな った 気 が して 、 人 生 の 目標 もな くな っ た 」、 事 例2の 患 者 は 、 「男 な の に女 性 の乳 房 み た い で 笑 わ れ て い る気 が す る」 な ど、 身 体 的 な 衰 え や 特 徴 に よ り、 自 己評 価 は 低 くな り、 そ うい う場 面 で は、 か な り感 情 的 な ニ ュ ア ンス で 語 って い た 。 そ の 一 方 で 、 事 例1の 患 者 は 、 「頭 皮 の 湿疹 の た め に丸 刈 りに さ れ た時 は シ ョ ック だ っ た 」 「外 出 す る と き は 身 な り を き ち ん と した い 」 な ど 外 見 に つ い て は敏 感 で 、 「汚 ら しい 格 好 を して い る と 近 所 で 病 気 だ と思 わ れ る と家 族 に 言 わ れ る」 「き ち ん と した 服 装 で 外 出 しな い と危 険 な精 神 病 者 だ と思 わ れ る か も しれ な い」 と して い た。 社 会 復 帰 を意 識 して い る患 者 に と って 、 「社 会 と 自分 」 「他 の 人 と 自分 」 とい う比 較 は 、 今 の 自分 へ の評 価 につ な が る。 身 体 的 な 衰 え や 、 生 活 上 の 自信 の 無 さ は、 患 者 を 不 安 に さ せ 、 諦 め に似 た感 情 を抱 か せ て い る。 この よ うに、 患 者 に は 、 社 会 的 な 評 価 や他 者 か らの 評 価 に よ って 、 自分 を 規 定 しよ う と して い る面 もあ る こ とが 分 か っ た。 ⑦ 社 会 状 況 の 変 化 に と も な う不 安 が あ る 社 会 か ら距 離 を 置 い た生 活 を して い る に もか か わ ら ず 、 患 者 は 、 新 聞 や テ レ ビの 報 道 か ら、 社 会 の状 況 や そ の 変 化 を 敏 感 に感 じ取 って い る よ う で あ っ た。 事 例 1の 患 者 は、 「精 神 病 者 が 小 学 生 を殺 した とい う ニ ュ ー ス を 聞 い て 、 二 度 と外 出 が で き な い と思 っ た」 「最 近 は働 か な いで 事 件 を起 こす 大 人 が 増 え て き た。 こ れ か ら社 会 は ど うな る ん だ 」 な ど、 批 判 的 な こ とを 述 べ て い た。 ま た、 「政 府 が 障 害 年 金 を 引 き下 げ る と 聞 い て、
シ ョ ッ ク で 混 乱 状 態 に な った 」 「万 博 の た め に 中 間 施 設 が 廃 止 に追 い 込 ま れ た 」 な ど、 公 的 な 援 助 で 生 活 し て い る現 在 の 自 分 へ の 不 安 と、 か つ て 、 入 寮 して い た 援 護 寮 が 、 財 源 縮 小 の た め に廃 止 さ れ 、 病 院 に戻 され た怒 り を表 現 して い た。 長 期 入 院 して い る患 者 に と っ て 、 社 会 の 現 状 は 直 接 に 実 感 で き な い も の で あ る か も しれ な い が 、 自分 が 社 会 に 出 て 生 活 す る基 盤 が 確 保 で き な い 不 安 を 感 じと って い る。 ま た、 精 神 障 害 者 に よ る 凶 悪 な事 件 が 増 え て物 騒 な世 の 中 に な って き た こ と を 心 配 す る 一 方 、 「精 神 病 者 と見 られ る こ とで 社 会 は 受 け 入 れ て くれ な い 」 と い う、 障 害 者 が 社 会 か ら危 険 視 さ れ 、 自分 が 疎 外 さ れ た 存 在 に な る の で は な い か と い う不 安 を抱 い て い る よ うで あ った 。 ⑧ 自分 や 自分 の 症 状 につ い て 彼 らな り に 客 観 視 して き て い る 事 例1の 患 者 は 、 「自 分 が 混 乱 す る と き は原 因 が あ る。 金 銭 的 な 余 裕 が な くて追 い込 ま れ た と き に、 気 分 が 落 ち込 ん だ り、 家 族 と の感 情 的 な もつ れ か ら混 乱 状 態 に な った 」、 事 例2の 患 者 は、 「過 去 に暴 力 を受 け た 怖 い 体 験 が あ り、 特 定 の タ イ プ の人 を 苦 手 と して い る の か も しれ な い」 な ど、 自分 が 精 神 的 混 乱 状 態 に 陥 っ た と き や、 極 度 の 緊 張 を 感 じ る理 由 に つ い て 、 彼 ら な りに 客 観 的 に判 断 して い た。 ま た、 事 例1の 患 者 は、 「自分 が 追 い つ め られ て 自 殺 した くな る と、 精 神 症 状 が 出 て 混 乱 状 態 に な り、 自殺 で き な くな る とい う保 護 反 応 が 働 く」 な ど 、 自 らの 症 状 を 比 較 的 冷 静 に 見 て お り、 そ れ を一 つ の 反 応 と して 受 け 入 れ る姿 勢 が うか が え た。 ⑨ 過 去 の 体 験 を 消 化 で き ず 、 拘 り続 け て い る 人 生 の 大 半 を 病 院 で 過 ご して き た と い う現 実 に つ い て 、 事 例1の 患 者 は 、 「入 院 時 に 家 族 と の お 金 の ト ラ ブル が な か った ら こ ん な 人 生 じ ゃ な か った 」 「も し社 会 で 生 活 で き る条 件 が 揃 って い た ら、 こ ん な に長 くは 入 院 して い な か っ た 」 「プ ライ ドが あ っ た た め に職 場 に不 適 応 を き た した」、 事 例2の 患 者 は、 「少 年 院 に 入 れ られ る よ う な馬 鹿 な こ と を しな か った ら精 神 病 院 に は入 院 しな か っ た」 「家 族 が 受 け入 れ て くれ た ら も つ と早 く退 院 して い る」 な ど、 入 院 に至 っ た経 緯 を 悔 や む 言 葉 が 多 く語 られ た 。 ま た 、 事 例1の 患 者 は 、 「お 金 の こ と は未 だ に拘 り続 けて い る 」、 事 例2の 患 者 は、 「入 院 して い て も お 金 を 盗 ん で し ま っ た」 な ど、 長 期 の 入 院 生 活 を経 て も、 過 去 の 体 験 を 引 きず っ て い る と い う こ とが 分 か っ た。 ⑩ 話 を し な が ら振 り返 る こ とで 、 現 実 の 自分 と、 今 後 自 分 が ど う した いか の か に 気 づ く こ の よ う に、 半 構 成 的 面 接 を行 って きた こ と で 、 患 者 は これ ま で の 自分 の 行 動 を 振 り返 り、 言 語 化 す る機 会 を 得 た わ け で あ る。 そ れ に つ い て 、 事 例1の 患 者 は、 「じ っ く り 自 分 の こ と を話 して きて 、 自分 が ど うい う 時 に 精 神 的 に追 い 込 ま れ 、 どの よ う な反 応 を す るの か 分 か って き た」 「退 院 して ア パ ー ト暮 ら し を す る こ と が ど の く ら い大 変 か は っ き り して き た」 「も う老 人 に な っ た か ら病 院 で 世 話 を して も ら う方 が い い か も しれ な い」 とい う よ うに、 自分 の 症 状 を認 識 で き た こ とや、 実 際 の 社 会 生 活 の 難 し さが 分 か っ て きた こ と、 あ る い は、 老 齢 とな った 自分 の 現 状 を 把 握 で き た こ とを 語 っ た。 事 例2の 患 者 は 、 「周 り の 人 の 態 度 や 表 情 に 揺 さ ぶ られ る 自分 が あ り、 そ う い う時 の 自分 の 気 持 ちや 行 動 の パ タ ー ンが 分 か って き た」 「若 い 頃 に勉 強 を して こ な か っ た か ら勉 強 が した くな っ た 」 「自分 が 本 当 は ど う した い の か は っ き り して い な い こ とが 分 か っ た」 と 自分 の 性 格 傾 向 の理 解 や 、 過 去 へ の振 り返 り、 そ し て 今 の 自分 を見 つ め 直 す こ とが で き た よ うで あ っ た。 患 者 自身 が 自分 につ い て 語 る と い う こ と は、 語 る こ と で 今 の 自分 を再 認 識 し、 「自分 は こ う して い こ う と思 う」 とい う こ と を導 き出 す こ と で あ る。 今 回 の 面 接 は、 患 者 に と って 、 あ る程 度 満 足 の 得 られ る体 験 で あ っ た と考 え られ る。 そ れ と 同 時 に 、 今 ま で 、 こ の よ うに語 る体 験 が 患 者 に は 少 な く、 人 に 自分 の 思 い や 気 持 を受 け止 め て も らい た い が 、 そ れ が な か な か 実 現 で きず 、 逆 に 自 己評 価 を 下 げ る こ とで 、 抑 え 込 ん で き て しま っ た よ うで あ る。 そ の 意 味 で 長 期 入 院 の 患 者 が 、 自分 の こ と を じ っ くり語 らな い傾 向 が あ る の は 、 語 る相 手 を 見 い だ せ な か っ た た め で あ る こ とが 示 唆 され た。 IV 考 察 菊 池 らは 、10年 以 上 入 院 して い た長 期 入 院 の 精 神 分 裂 病 患 者 の 約50%に 退 院 の意 向 が あ る と い う8)。ま た 、 在 院 期 間 が 長 くな って も条 件 さ え整 え ば、65歳 く ら い ま で な ら退 院 の希 望 が 患 者 の 中 に は あ るが 、 現 実 に は退 院 し た い こ と と、 退 院 で き る こ と に は 隔 た りが あ り、 そ れ は 患 者 自身 の 現 実 検 討 能 力 や 自 己洞 察 力 の 低 さ に よ る こ と が 指 摘 さ れ て い る8)。今 回 、 筆 者 が 面 会 を 行 っ た2事 例 は 、 退 院 の 意 向 を 強 く持 ち、 実 際 に 長 期 間 リハ ビ リテ ー シ ョ ン活 動 に参 加 して 社 会 復 帰 を め ざ して き た もの の、 現 在 も退 院 で きず に い る患 者 で あ る 。 筆 者 は、 彼 らの 体 験 や 気 持 を 、 彼 らの 視 点 か ら捉 え て み た い と考 え 、 定 期 的 な半 構 成 的 面 接 を 行 って き た 。 以 下 に述 べ る の は 、 前 述 の10項 目 を ま とめ た もの で あ る。
1.退 院 が 現 実 的 に 困 難 な理 由 の認 識 退 院 し、社 会 の一 員 と して 生 活 した い と願 う患 者 に と っ て 、 「ど こで 生 活 す る か 」 「どれ く ら い の お 金 が か か る の か 」 は重 要 な 問 題 で あ る。 患 者 は 、 で きれ ば 家 族 と共 に 暮 ら した い と思 い な が ら も、 家 族 に受 け 入 れ を 拒 否 さ れ た り、 親 や 兄 弟 の老 齢 化 や 世 代 交 代 に よ り家 族 と疎 遠 に な って き て い る現 実 が あ り、 「戻 る場 所 が な い 」 と い う 疎 外 感 や 孤 独 感 を抱 え て い る。 しか し、 退 院 し た い気 持 は持 ち続 け、 そ の た あ に アパ ー トで の一 人 暮 ら しを イ メ ー ジ し、 そ れ にか か る 費 用 や 手 だ て を通 所 して く る人 に 尋 ね た り して い る。 菊 池 の い う、 長 期 入 院患 者 の 過 半 数 が、 現 実 的 ・具 体 的展 望 が 明 確 で な くて も、 退 院 を 前 向 き に 考 え て い る こ と と通 ず る8)。も と も と閉 鎖 的 な状 況 で 生 活 す る患 者 は、 情 報 が 限 られ て い る た め 、 実 際 に ど の よ うな 社 会 資 源 が活 用 で き るか 分 か らず 、 そ の た め、 漠 然 と した イ メ ー ジの 中 で 退 院 後 の 生 活 を 考 え る た め に 、 退 院 に対 す る不 安 や 焦 り は 解 消 で き な い の が 実 状 で あ る。 社 会 資 源 の情 報 不 足 に つ い て は、 病 院 側 の対 応 も関 与 す る と こ ろが 大 き く、 彼 らの 求 め る ニ ー ズ に答 え る 必 要 が あ る。 2.長 期 入 院 が 患 者 に与 え る 影 響 長 期 間 精 神 病 院 で 入 院 生 活 を して き た患 者 と って 、 病 院 は住 み 慣 れ た 安 心 で き る場 所 に な って い る と考 え られ る。 患 者 は、 長 い間 病 院 の 中 で 、 自分 の ペ ー ス で 生 活 す る とい う 「無 理 を しな い生 き方 」 を 獲 得 して き て い る の で あ る。 と こ ろが 、 退 院 を考 え た 時 、 社 会 に合 わ せ て い く と い う、 患 者 に と って 「無 理 を しな けれ ば な らな い生 き方 」 を す るわ け で 、 リハ ビ リテ ー シ ョ ン活 動 に参 加 す るの だ が 、 医 療 費 が か さ む と い う現 実 に突 き当 た った り す る。 しか も、 リハ ビ リテ ー シ ョ ン活 動 が 段 階 的 に進 む わ け で は な く、 退 院 と い う 目標 に向 けて の達 成 感 が 得 ら れ な い場 合 は、 自信 を喪 失 す る こ とに な り、 虚 し さを 感 じる よ う に な る。 そ れ に加 え、 作 業 報 奨 金 の 安 さ は 、 そ の ま ま 自 分 の 社 会 的 評 価 の 低 さ に通 じ る と考 え 、 しだ い に 意 欲 が 萎 え て い く こ と も患 者 の 言 葉 か ら明 らか に な っ た。 ま た 、 病 院 とい う多 くの入 院 患 者 が 生 活 す る場 所 は、 患 者 相 互 の対 人 関 係 や 日常 生 活 に大 き く影 響 す る。 人 に 対 す る好 き嫌 い や 苦 手 意 識 は 、 患 者 の行 動 の様 式 を あ る 程 度 規 定 して お り、 他 者 に対 して 積 極 的 に な った り、 逆 に 引 き こ も った りす る よ うで あ る。 ま た 、 他 の 患 者 を 観 察 す る こ とに よ り、 自分 を 客 観 的 に意 識 で きた り、 他 の 患 者 の 立 ち 居 ふ る ま い を 見 な が ら 自分 は ど の よ うに 行 動 した らよ い の か を 学 習 し よ う と して い る。 一 方 、 医 師 や 看 護 者 と患 者 との 関 係 も患 者 自身 の 感 情 表 出 に お い て 、 大 き な ウ エ イ トを 占め て い る。 心 理 的 な す れ 違 い や 、 距 離 が あ った りす る と、 患 者 は本 当 の 自分 の 気 持 を 見 せ よ う と しな くな り、 医 師 や 看 護 者 は 、 患 者 の 何 気 な い 言 動 の 中 の メ ッ セ ー ジを 見 過 ご して しま う こ と に な る。 この こ と は、 患 者 と接 す る場 合 に最 も重 要 な点 で あ るが 、 医 師 や 看 護 者 は、 長 期 入 院 して い る 患 者 に 対 して 、 「病 状 が 比 較 的 固 定 して お り、 自主 性 の な い人 」 と い う捉 え方 を しが ち に な る こ と につ なが る。 そ して、 患 者 の 気 持 は、 医 師 や看 護 者 の 何 気 な い 対 応 に よ って 、 常 に揺 れ 動 き、 安 心 感 や 親 近 感 、 あ る い は、 疎 外 感 や 絶 望 感 を 抱 い て い る こ と が 、 面 接 を 通 して 明 らか に な った 。 3.退 院 で き な い理 由 長 期 入 院 生 活 を経 て 、 患 者 は 、 あ る程 度 自分 自身 を客 観 的 に 捉 え る こ とが で き る よ う に な る。 患 者 は 、 自分 が 入 院 に 至 った経 緯 を 、 家 族 との トラ ブル や 逸 脱 行 為 の結 果 で あ る と し、 長 期 間 経 過 した 今 で も、 そ の こ と に拘 っ た り、 後 悔 して い る気 持 が 続 い て い る こ と を 明 らか に し た。 そ の 拘 りや 後 悔 の 気 持 ち が な くな らな い 限 り退 院 が 難 しい こ と も理 解 して い る よ うで あ っ た。 そ れ に加 え 、 自分 の 対 人 関 係 づ く り の ま ず さ、 長 い 入 院 生 活 に よ る老 齢 化 や 体 力 の 衰 え 、 退 院 後 の 経 済 的不 安 な どが 、 自分 の 社 会 復 帰 を 阻 ん で い る と して い た。 ま た、 「今 で は地 下 鉄 や 市 バ ス の 乗 り方 も分 か らな い し、 街 も変 わ っ て 、 行 って もわ か ら な い だ ろ うな あ」 と 感 慨 深 く述 べ て い た こ とか ら、 自分 を取 り巻 く社 会 状 況 が 著 し く変 化 し、 病 院 生 活 の長 い 自分 が 、 「浦 島 太 郎 」 状 態 に な る の で は な い か と い う よ うな不 安 を抱 え て い た。 ま た 、 世 間 が 精 神 病 患 者 を ど の よ う に見 て い る か 、 自分 を 受 け入 れ て くれ るか ど うか とい う思 い も、 常 に つ き ま と うよ うで あ った 。 今 回 の 面 接 を 通 して 注 目す べ き こ と は、 病 状 も比 較 的 安 定 して き て い る長 期 入 院 患 者 が 、 実 は冷 静 に 自分 を 見 つ め、 退 院 し病 院 の外 で 生 活 し た い と思 い な が ら も、 自 分 に は ま だ そ の 準 備 が 整 って い な い と い うよ う な、 客 観 的 に 自己 分 析 す る能 力 を 有 して い る こ とが 明 らか に な っ た点 で あ る。 従 来 、 看 護 者 の立 場 か らす る と、 「だ か ら 社 会 に適 応 で き な い 人 」 「空 想 的 な こ とば か りを 言 う人 」 と判 断 さ れ が ち で あ るが 、 こ の よ うな 患 者 の 「気 づ き」 こそ が 、 患 者 自身 が 自主 的 に 自分 に 適 した 目標 を 設 定 す るた め の動 機 づ け に な り、 退 院 に 向 け て努 力 す る計 画 づ く りへ の 手 が か り に な る と筆 者 は 考 え る。 4.面 接 の 効 果 長 期 に 入 院 生 活 を して い る 患 者 は、 病 状 が安 定 した と は い え 、 病 院 で の 生 活 や 出来 事 、 現 在 に至 るま で の経 緯 な ど を 、 組 織 立 て て 、 統 合 し、 把 握 して い るわ け で は な い。 例 え ば、 倒 れ た こ と は しき りに 強 調 す るが 「倒 れ た
原 因 は わ か ら な い」 と い う よ うに 記 憶 が 断 片 的 で あ っ た り、 「あ る人 を見 る と特 に 緊 張 す る」 と感 情 に 偏 りが あ っ た り、 あ るい は 「入 院 時 に何 が 起 こ っ た か わ か らな い」 と入 院 に至 っ た経 緯 を 無 意 識 に心 の 中 に 閉 じ こめ て い る と も考 え られ る。 そ う い う患 者 の 内 面 を、 円 滑 な人 間 関 係 の もと で語 り合 う こ とで 、 少 しで も患 者 自身 が 理 解 で き る こ とが 面 接 の 目 的 で あ っ た。 そ の 結 果 、 患 者 は 自 分 の気 持 を言 語 化 す る こ とで 、 自 分 の現 状 や 性 格 傾 向 、 実 社 会 で の生 活 の難 し さ に気 づ く こ とが で き た と考 え られ る。 退 院 後 の 生 活 に 関 して、 初 め 「家 族 が 受 け入 れ て くれ な い 」 か ら 「単身 アパ ー ト暮 ら しが した い 」 が 、 そ の た め の 「情 報 が 不 足 して い る」 こ と に よ っ て 「退 院 で きな い 」 と して い た が 、 「障 害 者 年 金 の 引 き下 げ」 「金 銭 的 な 余 裕 の な さ」 「家 族 と の感 情 的 な もつ れ 」 が 原 因 で 、 「自分 は混 乱 しや す い 傾 向 が あ る。 この こ と が お さ ま らな けれ ば 退 院 は難 しい か も しれ な い」 「も う 自分 は年 だ か ら無 理 は で き な い」 と語 る よ う に な って き た 。 そ して 、 「高 齢 だ し、 生 活 す る の に 充 分 な収 入 も得 られ な い。 ま た、 一 人 だ け の 生 活 も難 しい か も しれ な いか ら、 こ の ま ま病 院 の 中 の 生 活 の方 が い い か も しれ な い」 とい う よ うに 変 化 して き た。 患 者 は、 自 分 が 退 院 で き な い理 由 が 家 族 や 社 会 の受 け入 れ の悪 さ に あ る と い って い たが 、 順 序 だ て て話 して い く うち に 、 自 分 の 置 か れ て い る状 況 を 客 観 的 に判 断 す る こ とが で き る よ う に な って き た。 こ こ に、 こ の面 接 の効 果 が あ った と 考 え る。 V ま とめ と今 後 の課 題 10年 以 上 の長 期 入 院 に 至 って い る精 神 分 裂 病 患 者 が 持 つ 、 現 状 や 退 院 に 対 す る意 識 の 特 徴 に つ い て、 面 接 で述 べ られ た 患 者 の体 験 か ら検 討 して き た。 そ の結 果 、 以 下 の 点 が 明 らか に な っ た。 1)患 者 は、 社 会 資 源 利 用 につ い て の情 報 が 不 足 して い て 、 現 実 的 な イ メ ー ジ につ な が って い な い こ と。 身 内 と ど こか で つ な が つて い た い が 、 長 期 入 院 に と も な って疎 遠 と な り、 自分 を 受 け入 れ て も らえ る と い う期 待 も薄 らい で き て い た。 2)患 者 は、 社 会 復 帰 を 目指 しな が ら も、 そ れ は 実 現 不 可 能 か も しれ な い と い う漠 然 と した不 安 を 抱 え 、 目 標 と現 実 の 間 に あ る 「ず れ 」 を修 復 で きな い ま ま 長 期 入 院 して い る と考 え られ た。 3)患 者 は、 面 接 前 に は 、 入 院 が 長 期 に 至 って い る理 由 を家 族 や 周 囲 の 理 解 不 足 に あ る と して い た が 、 面 接 後 に は、 自分 の 対 応 の まず さや 自分 の 病 気 の 特 徴 に 起 因 して い る か も しれ な い と と らえ る姿 勢 が 見 られ た。 4)患 者 は 、 面 接 を 通 して 、 今 ま で の 自分 の 体 験 を 自分 の 言 葉 で 語 り、 そ の体 験 に対 す る 自分 の 考 え を語 る こ とが で き た。 これ ま で 言 葉 に す る こ との な か った 自分 の考 え を表 出 す る こ と に よ って 、 客 観 的 に 自分 を 捉 え 現 状 を 認 識 し、 洞 察 で きた と考 え られ る。 今 回 の 面 接 か ら、2事 例 で は あ る が 、 長 期 入 院 して い る患 者 が 、 生 活 の 中 に 矛 盾 を 抱 え て い た り、 思 い 悩 ん で い る こ とが 意 外 に も多 い こ とが 明 らか に な った 。 菊 池 の 言 う、 退 院 に 向 け て の患 者 の意 向 と 医療 従 事 者 の 評 価 の 差 異 は6)、実 は患 者 の 主 体 的 に 語 る体 験 が 患 者 の意 向 に 即 した援 助 に反 映 さ れ て い な い こ とか ら起 こ る もの で は な いか と も考 え られ る。 こ の面 接 を 通 して 明 らか に な っ た こ とか ら、 今 後 医 療 従 事 者 の求 め られ る もの は、 次 の2点 と言 え よ う。 ・患 者 の必 要 と す る社 会 資 源 の情 報 を で き る限 り具 体 的 に提 供 す る こ と。 ・患 者 と接 す る場 合 の 医療 者 側 の 態 度 も、 患者 が感 情表 出 を しや す い よ う に心 が け、 患 者 の 何 気 な い言 動 の 意 味 す る もの を見 逃 さ な い こ と。 患 者 が 感 情 を表 出 しや す い 関 係 が で き れ ば 、 患 者 は 自 分 を 見 つ め 直 し、 自分 の置 か れ て い る現 実 を 検 討 す る こ と が で きる。 そ の タ イ ミング を見 誤 らな い こ とが 重 要 で、 そ こか ら患 者 の 自主 的 な退 院 に向 け て の 計 画 を患 者 と医 療 者 が 共 に探 り 出 して い く こ とが 可 能 と な る。 医 療 従 事 者 の この よ うな 働 きか けが あ って こそ 、 患 者 は主 体 的 に 自分 を 見 つ め 、 「自分 ら し く生 き る 」 生 き方 が で き る と 考 え る。 た と え 、 現 実 的 に退 院 は難 し く、 病 院 や 施 設 に 生 活 の 基 盤 を 置 く こ と に な っ た と して も、 「自分 の 意 志 に基 づ く選 択 」 と して、 患 者 に は それ が 受 け入 れ られ る はず で あ る。 さ らに、 今 後 この 研 究 を 広 げ る ため の課 題 は次 の こ と が 挙 げ られ る。 ① 対 象 を増 して 面 接 を行 う こ と で、 今 回 得 られ た知 見 が 広 く妥 当 す る か ど うか に つ い て比 較 検 討 す る こ と。 ② 退 院 後 の 精 神 分 裂 病 患 者 が 、 社 会 で ど の よ う な状 況 で 生 活 し、 ど の よ う な体 験 を して い るか を 調 査 し、 入 院 中 に抱 い て い た イ メ ー ジ との違 い を 明 らか にす る こ と。 ③ 精 神 分 裂 病 患 者 の急 性 期 か ら回 復 期 に お け る体 験 や認 識 を探 求 す る こ と。 ④ 看 護 者 が 、 実 際 に患 者 に対 応 す る場 面 で 感 じる 「迷 い」 を明 らか に し、 患 者 の 回 復 の どの 段 階 で 、 ど の よ うな 関 わ り方 が 必 要 か 探 求 して い く こ と。 こ の よ うな 課 題 が 明 らか に な れ ば 、 さ らに 、 精 神 分 裂 病 患 者 の 体 験 の看 護 者 の理 解 が 深 ま り、 よ り効 果 的 な ア プ ロ ー チ に つ なが る こ と が 期 待 で き る と考 え て い る。
謝 辞 本 調 査 研 究 に あ た り、 調 査 を ご承 諾 くだ さ った 患 者 さ ん ・病 院 長 ・看 護 部 長 は じめ看 護 ス タ ッ フ の方 々 に心 か ら感 謝 い た しま す 。 引 用 文 献 1)粕 田 孝 行:セ ル フ と い う個 へ の ア プ ロ ー チ,ナ ー ス デ ー タ,20(3),96-105,1999. 2)水 橋 美 香,安 藤 直 美,小 路 美 樹 子:活 動 意 欲 の 少 な い 患 者 へ の ア プ ロ ー チ,日 本 精 神 科 看 護 学 雑 誌,43(1), 112-114,2000。 3)佐 藤 し お り:作 業 を 通 し て の 患 者 へ の ア プ ロ ー チ, 日 本 精 神 科 看 護 学 雑 誌,42(1),410-412,1999. 4)中 井 久 夫:分 裂 病,岩 崎 学 術 出 版,東 京,1984.5) 佐 竹 良 一,石 田 和 子,河 本 康 信:長 期 入 院 患 者 の2つ の 取 り組 み,精 神 看 護,2(1),10-19,1999. 6)菊 池 謙 一 郎,新 開 淑 子,小 口 徹 他:長 期 在 院 の 精 神 分 裂 病 患 者 の 退 院 の 意 向 と そ れ に 関 す る 要 因,臨 床 精 神 医 学,27(5),563-571,1998. 7)高 橋 美 恵 子:事 例 を 通 して 考 え る 長 期 入 院 患 者 の 看 護,精 神 科 看 護,27(8),38-42,2000. 8)菊 池 謙 一 郎:在 院10年 以 上 の 精 神 分 裂 病 患 者 の 退 院 意 向 調 査,看 護 展 望,23(10),1170一1178,1998. 参 考 文 献 9)大 島 厳,吉 住 昭,稲 沢 公 一 他:精 神 病 院 長 期 入 院 患 者 の 退 院 に 対 す る 意 識 と そ の 形 成 要 因,精 神 医 学, 38(12), 1248-1256, 1996一 10)末 安 民 生:長 期 入 院 者 に 提 供 で き る サ ー ビ ス を 見 定 め る こ と の 意 味,精 神 看 護,2(1),6-9,1999. 11)門 屋 充 郎:長 期 入 院 に 向 け て の 地 域 で の 取 り 組 み,精 神 看 護,2(1),20-23,1999. 12)衛 藤 進 吉:長 期 入 院 分 裂 病 患 者 の 社 会 復 帰 問 題,精 神 神 経 学 雑 誌,99(12),1218,1997。 13)中 井 久 夫:最 終 講 義 ー 分 裂 病 私 見 一,み す ず 書 房, 東 京,1998.
14)Luc Ciompi:The Soteria-Concept,精 神 神 経 学 雑 誌,99(9),635-650,1997.
15)安 永 浩:慢 性 期 の 分 裂 病 者,精 神 科 治 療 学,14(6), 623-629, 1999.
16)Luc Ciompi:Affektlogik-Uber die Strukt-ruktur der Psyche and ihre Entwicklung. Ein Beitrage zur Schizophrenieforschung. Klett-Co-tta, Suttgart, 1989,松 本 雅 彦 他 訳,感 情 論 理,学 樹 書 院,東 京,1994. 17)五 味 渕 隆 志:分 裂 病 臨 床 に あ ら わ れ る 記 憶 の 問 題, 臨 床 精 神 病 理,17,pp.157-165,1996. 18)吉 松 和 哉:臨 床 的 接 近,精 神 神 経 学 雑 誌,85(10), 655-660,1983. 19)黒 丸 正 四 郎,大 段 智 亮:患 者 の 心 理,創 元 医 学 新 書, 大 阪,1996. (平 成13年10月10日 受 稿) (平 成13年12月25日 受 理)
Recognition
of Current
Situation
and Discharge
in
Schizophrenia
Patients
under
Long-term
Hospitalization,
Who Desire
to Return
to Live in Society
OKUMURA
Futosi
Nagoya City University School of Nursing (Mental Health Nursing)
Abstract
The present study investigated the recognition of their current situation and dischage from hospital , characteristic to schizophrenia patients. Two patients , both under long-term hospitalization of more than ten years, and with a desire to return to life in society , described their experiences through a semi-structured interview. The following points were revealed:
1) The patiants realized that the reasons for the practical difficulty in their discharge included cient information on the use of social resources and that they would not be actually accepted by their
families.
2) Although the patients had adapted to the protective environment of the hospital and developed a life style with little stress, the preparation necessary to return to life in society put them under considerable
stress. This caused them more internal state than they could cope with . In other words, the belief that in the present state a return to life in society may actually impossibleled to lower their low self-esteem ,
which in turn weakened their will to participate in the psychiatric rehabilitation . These resulted in
term hospitalization.
3) The patients themselves felt that their hospitalization was not due to their illness , but rather to the lack of understanding on the part of their families and those around them , as well as their own inability
to cope with the situation caused by their development history . They also believed that their long-term
hospitalization hindered their social adaptability . At the same time, they were aware that they could not assimilate their past experiences and adhered to them .These were source of anxiety on the real level and
they could not find ways to cope with them .
4) Verbalizing lives and experiences in the hospital through the interviews helped the patients understand
themselves more objectively, and gain awareness and insight into their current situation .
Key words: schizophrenia, long-term hospitalization , subjective experience, social conditions, interpersonal relations