Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№4:臨床実習生における全身的偶発症シミュレーショ
ン実習の経験
Author(s)
塩崎, 恵子; 井出, 智子; 松木, 由起子; 松浦, 信幸;
一戸, 達也
Journal
歯科学報, 114(3): 284-284
URL
http://hdl.handle.net/10130/3336
Right
目的:Malassez 上皮遺残は歯根膜のセメント質側 の部分に存在している歯原性上皮で,刺激がなけれ ば増殖しない細胞である。根尖性歯周炎は細菌感染 により生じる炎症性疾患であるが,罹患した際に Malassez 上皮遺残細胞が増生し,時として歯根嚢 胞が形成される。しかしながら,Malassez 上皮遺 残細胞と細菌刺激の関係は不明な点が多い。本研究 では Malassez 上皮遺残細胞に対してグラム陰性菌 の細胞壁成分である lipopolysaccharide(LPS)に より刺激を行い,toll like receptor4(TLR4),NF
-κB の発現を検索した。 方法:実験には,ブタ由来 Malassez 上皮遺残細胞 (北海道医療大学・安彦善裕教授より供与)を用い た。培 地 に は D-MEM(10%FBS,1% penicillin-streptomycin 添加)を使用し,35mm ディッシュに 1×105 cells/well の密度にて播種した。24時間後, 培養液に E. coli 由来 LPS(Sigma-Aldrich)を1μg /ml の濃度で添加し,12時間後に TRIzolⓇ にて RNA を抽出し,定量ならびに逆転写後,TLR4と NF-κB に対する TaqManⓇ プローブを用いて定量的 Real-time PCR 法にて発現を検索した。なお内在性コン トロール遺伝子には18S rRNA を用い,対照群とし ては LPS の代わりに D-MEM を添加したものを用 いた。 成 績 お よ び 考 察:定 量 的 Real-Time PCR 法 の 結 果,LPS を添加した群では TLR4と NF-κB の遺伝 子発現量は対照群と比較し,どちらも発現減少がみ られた。これまでの報告ではブタ Malassez 上皮遺 残由来細胞を LPS で6時間刺激することで炎症性 サイトカインの発現上昇がみられるという報告があ るが,今回の結果からは TLR4経路のシグナルは LPS 刺激後から12時間では発現のピークが過ぎ, 減少が生じたと考えられた。 目的:安心・安全な医療を提供できる歯科医師とし て,全身的偶発症の診断と対応は必須の項目であ り,国家試験の出題数も増加している。実際に臨床 実習中の学生が担当している患者が血管迷走神経反 射などの全身的偶発症に陥ることもある。全身的偶 発症はしばしば遭遇するものではないので,座学だ けの知識ではその対応を技能として身につけること は難しい。そこで,ロールプレイとして学生同士が 歯科医師と患者を演じ,全身的偶発症発生時の状況 のシミュレーションと講義を組み合わせることで, 知識の整理,および急変時の診断と対応の習得を目 指すことを目的として,新しい臨床実習に取り組ん だので,その概要を報告する。 方法:臨床実習の学生119名,1グループ6名の中 で歯科医師役3名と患者役3名に分けて実習を行っ た。歯科診療において重要と考えられる全身的偶発 症を想定し,教員が患者背景を設定した。患者役は 事前学習として自覚・他覚症状を自習し,当日は自 覚症状の演技を行い,事前に用意された複数のモニ ター画面から正しいものを選び,他覚症状を提示し た。歯科医師役が正しく診断,対応できた場合は回 復に向かうようにした。歯科医師役は患者役の自覚 症状や提示された他覚症状から患者の病状を診断 し,酸素投与や複数の薬物から適切なものを選択さ せた。これらのシミュレーション実習の後にフィー ドバックと補足講義を行った。 結果および考察:学生のアンケートでは満足度が高 く,口頭試問においてもシミュレーション実習を 行った範囲はよく答えることができた印象であっ た。歯科診療における全身的偶発症の診断と対応を 学べるシミュレーション教育の資源は少なく,この ような心肺蘇生以外の救急処置に対する体験型実習 は初めての試みであった。しかし,学生が事前に学 習し,実際に酸素マスクなどに触れて体験した後に フィードバックと補足講義を行うことで,医療従事 者として誰もが対応できなければならない救急処置 を楽しみながら学習することができ,このシミュ レーション実習は非常に効果が高かったと考える。 今後は実習内容を改善するとともに,歯科麻酔学講 座の教員が患者役を演じ,学生が歯科医師役となっ て,適切な診断と対応を行えるかを臨床実習の成績 評価方法にも応用していきたいと考えている。