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クロロホルム/Chloroform (67-66-3)

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Academic year: 2021

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急性曝露ガイドライン濃度 (AEGL)

Chloroform (67-66-3) クロロホルム Table AEGL 設定値 Chloroform 67-66-3 (Final) ppm

10 min 30 min 60 min 4 hr 8 hr

AEGL 1 NR NR NR NR NR AEGL 2 120 80 64 40 29 AEGL 3 4,000 4,000 3,200 2,000 1,600 NR: データ不十分により推奨濃度設定不可 設定根拠(要約): クロロホルムは揮発性の液体で、心地良い非刺激性の臭いがある。有機溶媒と混和するが、 水には非常に溶けにくい。クロロホルムは大量に生産および輸入されており、化学合成で溶 媒として使用される他、一部のプラスチックの製造にも使用される。かつては麻酔薬として、 また、医薬品原料としても使用されたが、現在、米国ではこのような用途での使用は認めら れていない。 ヒトにおけるクロロホルムへの急性曝露に関しては、様々な曝露条件(680~7,200 ppm、3~30 分間)で実施された古い試験から得られており、その影響として、強い臭いの感知、頭痛、浮 動性めまい、回転性めまいなどが報告されている。クロロホルムで麻酔した手術患者に関す る文献には、曝露についての正確な詳細が記載されていないが、高濃度(一般的には 13,000 ppm 以上)での曝露により、不整脈や一過性の肝・腎毒性が生じ得ることが示唆されている。 クロロホルムへの急性吸入曝露によるヒトの致死率については、定量的データが得られてい ない。 数種類の動物についてのみ、クロロホルムへの急性曝露による致死に関する試験データが得 られている。ラットでは 4 時間 LC50値(半数致死濃度)が 9,780 ppm、マウスでは 7 時間 LC50 値が 5,687 ppm という、定量的データが報告されている。別の試験データでは、「飽和」濃度(約 25,000 ppm)で 5 分間、ないしは 726 ppm で 12 時間といった量的範囲の曝露において、顕著 な致死性が示されている。実験動物におけるクロロホルムによる非致死的影響としては、肝 毒性を意味する、生化学的数値の変化(血清中酵素活性の上昇)や病理組織学的指標の変化が 挙げられる。動物におけるクロロホルムによる生殖発生毒性の有無については、データから はどちらともいえない。ある試験では、妊娠ラットを 30 ppm の濃度のクロロホルムに曝露し

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2 た場合に、胎仔毒性の証拠が認められているが、別の試験では、2,232 ppm で妊娠中曝露を行 ったが、そのような毒性の証拠は認められていない。 クロロホルムによる発がん反応を証明した吸入曝露試験データは得られていないが、経口曝 露試験では、腫瘍の発生が、ラット(雄における腎腫瘍)およびマウス(雌雄における肝細胞癌) で報告されている。クロロホルムの毒性や腫瘍原性の発現機序に関するデータからは、腫瘍 形成反応が、細胞死や増殖的な細胞再生が引き起こされる濃度で起こることが示唆されてい る。したがって、発がんリスクに関して、低用量での線形推移に基づいて外挿を行うことは、 適切ではない可能性がある。このことから、また、クロロホルムの吸入スロープ係数が経口 曝露試験のデータに基づいていることから、クロロホルムの各 AEGL 値は発がん性以外の影 響に基づいて導出した。 代謝や排泄を検討した試験により、クロロホルムのホスゲンへの代謝が、チトクローム P-450 IIE1 酵素によって媒介されること、そして、ホスゲンが、グルタチオンの枯渇とトリクロロ カーボンラジカル中間体の生成と共に、クロロホルムによる毒性を担っていることが、確認 されている。いくつかの試験により、クロロホルムの代謝と、その結果生じる反応性代謝物 の生成については、ヒトよりげっ歯類の方が速やかであることが示されている。 クロロホルムの AEGL-1 値については、推奨濃度設定を行わなかった。AEGL-1 の定義に整 合する重要な影響を特定しようとしても、根拠が貧弱かつ不確実であると判断した。ヒトを クロロホルムに曝露する際、その濃度を昏睡や場合によっては腎臓や肝臓への影響(AEGL-2 の影響)を引き起こす濃度に近づけても、明らかな徴候や症状は認められない。しかも、クロ ロホルムは刺激性がなく、その臭いも不快ではない。 クロロホルムの AEGL-2 値は、ラットの雌親を妊娠 6~15 日目に 100 ppm のクロロホルムに 1 日 7 時間曝露した試験(Schwetz et al. 1974)で認められた、胚毒性と胎仔毒性に基づいて導出 た。この胚毒性と胎仔毒性は、1 回の 7 時間曝露で引き起こされ得ると仮定した。クロロホ ルムの代謝と動態に関するデータから、げっ歯類はクロロホルムの毒性作用に対する感受性 がヒトより高いことが示唆されているため、種間不確実係数は適用しなかった。一方、代謝 と体内動態の個人差を考慮し、加えて、感受性の高い人(アルコールなどの、P-450 モノオキ シゲナーゼを誘導する他の物質に曝露される人など)を保護するため、種内不確実係数として 3 を適用した。重要な影響について検討されており、またそれが単回曝露により生じ得るも のと仮定しているため、導出の出発点は、安全側に考慮したものとなっている。よって、 AEGL-2 値をさらに小さくすることは不要と判断した。全身に作用する刺激性の蒸気やガス の多くは、曝露の濃度-時間関係を Cn × t = k の式で表すことができ、指数 n は 0.8~3.5 の範

囲の値をとる(ten Berge et al. 1986)。クロロホルムについては、固有のスケーリング指数(n) を経験的に導出するためのデータが得られなかったため、短い曝露時間に外挿する場合は、 デフォルト値の n = 3 を、長い時間に外挿する場合は、n = 1 を用いて、時間スケーリングを 行った。

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3 クロロホルムの AEGL-3 値は、マウスにおける 560 分間 LC50値である、4,500 ppm に基づい て導出した。致死閾値を推定するのに必要なデータが得られなかったため、その LC50値を係 数 3 で除して 1,500 ppm を得た。ヒトや動物における他のデータとの比較に基づくと、この 濃度では、死亡に至る可能性は低い。感受性の高い人を保護するために、不確実係数 3 を適 用した。代謝が誘導された場合でも毒性作用が 1 桁以上も増強される可能性は低いため、 AEGL-2 値の導出と同様に、種内不確実係数は 3 を適用した。げっ歯類は、クロロホルムの 代謝速度がヒトより速く、反応性で有毒な中間体が生成される速度も速いと思われる。生理 学的薬物動態(PBPK)モデルを用いた試験の結果から、げっ歯類(特にマウス)は、クロロホル ムによる致死的影響に対する感受性が、ヒトよりもかなり高いことが示唆されている。した がって、AEGL-3 値は、証拠の重み付け補正係数として 1/3 を適用して、3 倍に増やした。こ の補正の妥当性は、クロロホルムを外科的麻酔薬として使用した場合のデータによって、さ らに支持される。このデータによると、675,000 ppm/分を超えるクロロホルムへの累積曝露、 または 22,500 ppm の濃度で最長 120 分のクロロホルムへの累積曝露によって、外科的麻酔作 用と不整脈が生じたが、死亡には至らなかったことが示されている。n = 3 として時間スケー リングを行い、出発点の 560 分間から、これより短い曝露時間に外挿した。560 分間の曝露 から 10 分間の曝露に外挿することに伴う不確実性を最小限にするため、30 分間 AEGL-3 値 の 4,000 ppm を、10 分間 AEGL 値にも採用した。 クロロホルムへの単回急性曝露による発がん性を評価し、各 AEGL 値を導出した。発がん性 以外の毒性に基づいた AEGL-2 値は、発がんリスクに基づいた AEGL-2 値よりわずかに大き かった。しかし、クロロホルムによる発がん反応は、壊死とそれに続く再生的細胞増殖に応 じて生じると考えられ、単回急性曝露は、そうした事象とは無関係である。 --- 注:本物質の特性理解のため、本文書の最後に、参考として国際化学物質安全性カード(ICSC)を 添付する。

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国際化学物質安全性カード

クロロホルム

ICSC番号:0027 クロロホルム CHLOROFORM Trichloromethane Methane trichloride Formyl trichloride CHCl3 分子量:119.4 CAS登録番号:67-66-3 RTECS番号:FS9100000 ICSC番号:0027 国連番号:1888 EC番号:602-006-00-4 災害/ 暴露のタイプ 一次災害/ 急性症状 予防 応急処置/ 消火薬剤 火災 不燃性。 「注」参照。火災時に刺激性もしく は有毒なフュームやガスを放出す る。 周辺の火災時:適切な消火手段 を用いる。 爆発 火災時:水を噴霧して容器類を冷却する。 身体への暴露 作業環境管理を厳密に!青少年、小児への暴露を避け る! 吸入 咳、めまい、嗜眠、頭痛、吐き 気、意識喪失。 換気、局所排気、または呼吸用 保護具。 新鮮な空気、安静。人工呼吸が 必要なことがある。医療機関に連 絡する。 皮膚 発赤、痛み、皮膚の乾燥。 保護手袋、保護衣。 汚染された衣服を脱がせる。多量 の水かシャワーで皮膚を洗い流 す。医療機関に連絡する。 眼 発赤、痛み。 顔面シールド、または呼吸用保護 具と眼用保護具の併用。 数分間多量の水で洗い流し(でき ればコンタクトレンズをはずして)、 医師に連れて行く。 経口摂取 腹痛、嘔吐。 他の症状については「吸入」参 照。 作業中は飲食、喫煙をしない。 口をすすぐ。多量の水を飲ませる。 安静。医療機関に連絡する。 漏洩物処理 貯蔵 包装・表示 ・危険区域から立ち退く! ・専門家に相談する! ・漏れた液やこぼれた液を密閉式の容器 に出来る限り集める。 ・残留液を砂または不活性吸収剤に吸 収させて安全な場所に移す。 ・この物質を環境中に放出してはならな い。 ・(個人用保護具:自給式呼吸器付完 全保護衣)。 ・食品や飼料、混触危険物質(「化学的 危険性」参照)から離しておく。 ・床面に沿って換気。 ・破損しない包装;破損しやすい包装の ものは密閉式の破損しない容器に入れ る。 ・食品や飼料と一緒に輸送してはならな い。 ・EU分類 記号 : Xn R : 22-38-40-48/20/22 S : (2-)36/37

・国連危険物分類(UN Haz Class):6.1 ・国連包装等級(UN Pack Group):III 重要データは次ページ参照

ICSC番号:0027 Prepared in the context of cooperation between the International Programme on Chemical Safety & the Commission of the European Communities © IPCS CEC 1993

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国立医薬品食品衛生研究所

国際化学物質安全性カード

クロロホルム

ICSC番号:0027 重 要 デ | タ 物理的状態; 外観: 特徴的な臭気のある、揮発性、無色の液体。 物理的危険性: この物質の蒸気は空気より重い。 化学的危険性: 高温面や炎に触れると分解し、有毒で腐食性のフ ューム(塩化水素[ICSC0163], ホスゲン [ICSC0007]、塩素フューム[ICSC0126])を生成す る。強塩基、強力な酸化剤、ある種の金属(アルミ ニウム、マグネシウム、亜鉛など)と激しく反応し、火 災や爆発の危険をもたらす。プラスチック、ゴム、被 膜剤を侵す。 許容濃度: TLV:10 ppm(TWA); A3(動物実験では発がん性 が確認されているが、人との関連は不明な物質) (ACGIH 2004) MAK:0.5 ppm;2.5 mg/m3;ピーク暴露限度カテゴ リー:II(2); 皮膚吸収(H); 発がん性カテゴリー:4; 妊 娠中のリスクグループ:C (DFG 2004)

(訳注:詳細は DFG の List of MAK and BAT values を参照) 暴露の経路: 体内への吸収経路:吸入、経皮、経口摂取。 吸入の危険性: 20℃で気化すると、空気が汚染されてきわめて急 速に有害濃度に達することがある。 短期暴露の影響: 眼を刺激する。中枢神経系、肝臓、腎臓に影響 を与えることがある。これらの影響は遅れて現われる ことがある。医学的な経過観察が必要である。 長期または反復暴露の影響: この液体は皮膚の脱脂を起こす。肝臓、腎臓に影 響を与えることがある。人で発がん性を示す可能性 がある。 物理的性質 ・沸点:62℃ ・融点:-64℃ ・比重(水=1):1.48 ・水への溶解度:0.8 g/100 ml(20℃) ・蒸気圧:21.2 kPa(20℃) ・相対蒸気密度(空気=1):4.12 ・20℃での蒸気/空気混合気体の相対密度(空気 =1):1.7 ・log Pow (オクタノール/水分配係数):1.97 環境に関する データ ・水生生物に対して毒性が強い。 注 ・少量の引火性物質の添加または空気中の酸素濃度の上昇により、可燃性となる。 ・アルコール飲料の使用により有害作用が増大する。 ・暴露の程度によっては、定期検診が必要である。 ・許容濃度を超えても、臭気として十分に感じないので注意すること。 ・火や高温面の近くで、または溶接作業中に使用してはならない。

Transport Emergency Card(輸送時応急処理カード):TEC(R)-61G61c NFPA(米国防火協会)コード:H(健康危険性)2;F(燃焼危険性)0;R(反応危険性)0; 付加情報 ICSC番号:0027 更新日:2000.04 クロロホルム © IPCS, CEC, 1993

参照

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