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石井 馨先生を偲んで

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Academic year: 2021

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石川

馨先生を偲んで

名誉会員近藤次郎 石川 馨先生とは40年近くの長いお付きあいであるが,突然,去る 4 月 16 日に急逝され た.最近は往年ほどお元気ではなさそうであったが,特にご病気のようにも伺っていなか ったので,突然の悲報にただただ託然とするばかりである. 石川先生は品質管理学の第一人者として,わが国はもとより世界的に有名である.デミ ング賞,米国品質管理学会グラント賞,シュ}ハート・メダルなどを受けておられる.先 生は製造現場の工程の手法としての統計的品質管理の考え方を経営全般に拡げ,アメリカ から導入した品質管理を日本独特の全社的品質管理 (TQC) として確立された.この独 創的な考え方は世界中に普及して,今日では経営全体の戦略として,採用されることとな った.かつて,日本製品は安いが品質が悪いという悪評があったが,これを跳ね返して, 安くて品質が良い製品を作り,日本経済を今日の地位に引き上げたのはまったく先生のご 功績である. 先生は 1915年,東京で生まれ,東京帝国大学工学部応用化学科をご卒業後海軍の技術士官 に採用され,戦時中は主として,燃料の問題に取り組まれた.終戦後,工場が破壊されて, 就職するあてもない困難な時期があった.卒ーし、にして,設備が貧弱でも大学の研究室は戦 禍を免れていたので,復員した若い技術者や研究者が集まってきた.彼らは,ょうやく手 に入れた外国文献などによって貧るように基礎的な勉強をした.品質管理などもその l つ である.石川先生は統計的な方法を用いて,デ}タ解析をすることに興味を持たれ,石炭 のような粉体のサンプリング手法についての論文を提出されて, 1958年,工学博士の学位 を授与された.その後,先生は品質管理の普及に努力され,日科技連の品質管理ベーシッ クコースのセミナーなどで講師として活躍された.そのテキスト「品質管理入門」は多く の読者を獲得し,最近,第 3 版がでたぽかりであり,海外でも広く翻訳活用されている. 先生は生まれっき強靭な体質に恵まれており,その上,激しい情熱と信念を持っておら れた.夜を徹して,講習生のレポートに添削の赤インキを入れられ,一睡もせずに翌朝教 壇に立って熱弁をふるわれることはしぼしばであった.その意気込みには頭の下がる思い がしたものである. 先生の教育法は象牙の塔にこもって数理統計学の研究に専心するに止まらず,製造の現 場に飛び込んで自ら手をとって作業員を指導す・るというようなやり方であった.この先生 の気迫には技師長から工員まで心から敬服したものである.さらに対象を拡げて企業の経

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営者にも憶せず,率直にものをいわれた.日本に品質管理がこのように普及して,それに よって大きな効果があがったのも,このような先生に対する大きな信頼感が基礎になって いると思う. 石川先生は日本オペレーションズ・リサーチ学会に深い関心を寄せられ,創設以来会員 として参加された.また OR があまりにも学究に偏り過ぎないように,現場から問題を拾 い上げ,真に経営に役立つ型でこれを産業に返すよう常に助言をいただいていた.そこで 学会としては,遅まきながらご功績を称え,フェローとして推戴することに決定した.

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月 28 日の総会におけるフェロー記授与式には自ら出席されるといっておられたが,ついに その日を見ることはできなかった.誠に残念の窮みである. 品質管理も先生の提唱される全社的品質管理となると,経営問題に立ち入らざるを得な い.そこで OR との共通の分野が生まれる.現在では, TQC も OR も経営工学の手法と して,互いに緊密に連絡して発展する方向をとっている.これは先生の年来の主張に適う ものである.今,先生を失ったことは本学会にとっても甚だ大きな損失であると思うが, 人聞はいつまでも生きることができないとすれば,先生のご遺志を継ぐ若い研究者が会員 の中にも大勢おられるという事実をもって,先生のご満足がいただけるものと考える次第 である. 1989 年 6 月号 故石川事先生略歴 住所東京都調布市飛田給 2 丁目 11 番 1 号 大正 4 年 (1915年) 7 月 13 日 石川一郎,冨美子の長男として東京に生れる 昭和 14年 3 月 東京帝国大学工学部応用化学科卒業 昭和 14年 4 月 日産液体燃料株式会社入社 5 月海軍造兵中尉 昭和 16年 5 月海軍造兵大尉 昭和 22年 1 月 東京帝国大学助教授 昭和 33年 2 月 工学博士(東京大学) 昭和 35年 4 月 東京大学工学部教授 昭和 51 年 4 月 東京理科大学工学部教授 5 月東京大学名誉教授 昭和 53年 4 月 武蔵工業大学学長 〔本学会関係〕 理 事昭和 34-35年度 評議員昭和 33-46年度・ 59-60年度 フエロ一 平成元年 3 月 平成元年 4 月 16 日逝去脳出血 (3)

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