− 431 − 義務教育における教育公平についての日中比較 耕ヰ・領域教育専攻 国際教育コース 李 家 摺 一、訪問背景 現在の情報H奇代、国家の総併句な実力と国際 競争能力は、教育の発展度合いや科学技術と知 識革薪のレベルにより決定されているがゆえに、 教育はつねに優先的な地位の中に置かれている。 教育は個人カ溌展する重要な要因の一つであり、 一つの現代国家と民族発展レベルの最も根材句 な要因の一つで、もある。教育公平は直張に政治 の安定と国民モラルを高めること、国家の発展 にも関わることである。 改革開放以来、中国の教育事業は飛躍的な発 展を実現し、スタンダードレベル段階に突入し だ。しかし、現在の教育発展には未だ不公正問 題が栴主し、また義務教育発展の不均衡問題も 存在する。都市と農村の問、地区の問、同一地 区の異なる学校聞において、教育環境、教育品 質に大きな差が存在している。 中国の1995年『教育法』規定にとると、公民 は法律に照らして平等な教育機会があり、教育 部の2005年『推進義務教育均衡発展の若干の意 見』では教育の均衡発展を要求しており、明文 をもって義務教育段階で学宅設駅は抑制されて いる。しかし、義務教育段階の学防聾択ブーム の激しさはおさまらず、一部地域の小学校では 受験熱が過酷なものとなっている。 2003年の南 京の小学生を例にとると、小学校五年の 104名 の児童の調査によれば、一人当たり 3.25か所の 1 1978改革関踊官により義務教育の品質、環境、教師の質、入 学率等は改善された。 指導教員 石 村 雅 雄 塾に通っており、一避間平均
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時間の学習を 行っている。「学校選択」は、義務教育公平につ いての割織と破壊であり、教育分野の腐敗と不 公平を誘発しやすしL
「学区房J
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学防謝央費」 などの社会問題も児童の親たちに注目され、学 校を選択するため、家庭に大きな出費を余儀な くされている。さらに子どものため、家を買っ たり、戸籍まで移転するなどが行われている。 二、研究目的 中国では、義務教育公平に関する改革に取り 組んでいるが、未だ不十づ士である。これに対し、 日本では教育に対する公平についての研究が中 国より進んでいる。よって、日中の比較により 問題点を明らかにし、原因分析を進めることで 将来の中国での教育公平改革について模索する。 三、研究方法 「義務教育公平」に関した先行研究や資料を集 め、分析する。義務教育に荊生した不公平現象 についての出現原因などを明確にするため、中 国吉林省の中小学校の100
人の学生と100
人の教師にアンケートを行う。 四、結論 本稿では義務教育段階の生徒に焦点を当て、 日本と中国における教育公平の問題について整 理した。そして、日中比較を行った。日本は義 務教育を実施するモデ、ルとして、比騨句義務教− 432 −
育法律体制、執行と監督制度、教育期Ij度と完 壁な教師制度が定められており、教育公平が保 障されている。この比較により中国における教 育公平の問題を解決する方法を模索している。