音楽的表現活動における“好き嫌いに関わる原因"と“心"の関係性について 自己肯定意識・他者意識・自尊感情の視点から 専攻 人間教育専攻 コース 幼年発達支援コース 氏名 高 口 典 子 1
、
目的 音楽は、人間の生活に深く関わっている芸 術の一分野であるといえる。例えば、赤ちゃ んを眠らせる時には子守唄を歌う。また、気 分が落ち着かない時には、音楽を聴いたり歌 ったりすることで、心が癒されたり、ストレ スが発散できたりする。このように、音楽が 人間にもたらす影響は多くある。しかし、音 楽を好きと感じる人もいれば、嫌いと感じる 人もいる。この意見の違いはどこから来るも のなのであろうか。その答えとして、性格に よる物事の感じ方の違いが大きく関わってい るのではなし、かと考えられる。そこで、本研 究では f音楽的表現活動の好き嫌いの原因に なると考えられるものそれぞれについて、そ の影響を受けたか受けていなし、かという違い が、性格によって左右されるj とう仮定のも と、人間の音楽に対する好き嫌いの原因と心 の面(自己肯定意識、他者意識、自尊感情) とが関係しているのか否かについて調査する。 また、これらの関係を明らかにすることで、 音楽の種類の違いによる好き嫌いのきっかけ と心の関係性の“違い"をも知ることができ るのではないかと期待される。なお、本研究 では、音楽行動の種類を、人によって好き嫌 いの差が激しく、より心の面が大きく影響し ているのではないかと考えられる f歌うj f演奏する Jr
音楽に合わせて動くjの3つ 指導教員 悶村隆宏 のみに限定し、調査するものとする。 2、方法 予備調査は、 2008年12月にN大学学生 8名を対象におこない、その結果を基に、 本調査の質問紙を作成した。本調査は、 2仮 泊 年5月に、 S大学学生 101名を 対象に行った。調査方法は質問紙法を用 いた。調査内容は、『歌うこと』、『演奏す ることふ『音楽に合わせて動くこと』の 3つについての“好き嫌い"や“きっか け"、また、各活動に対しての“心理"を 問うものであった。 結果の分析方法は、 きっかけについて問う項目(音楽行動の 種類別に各15項目)について、 fあては まるjを5
点、 fあてはまらないjを1
点 といったように、 5段階で配点し、点の 高い『上位層』と点の低い『下位属』に、 それぞれ約 20名ずつに分け、各項目別の 上位層・下位層をそれぞれ心理測定尺度 (66項目)の結果と比較し考察した。 なお、本研究では、各きっかけに影響さ れたかどうかという視点において研究す るものとし、好き嫌いを混同して考えて いる。 3、結果と考察 f歌うこと J•r
演奏すること J•r
音楽 F h υ ﹁ Dに合わせて動くことjのそれぞれについて、 “音楽的表現活動の好き嫌いの原因となると 考えられるもの (15項目)"と“心"の関係 性について調査した。 『音楽的表現活動の好き嫌いの原因となる と考えられるもの (15 項目)~の内容は、 f友達の言動j、f先生の言動j、f家族の言動j、 f音楽の成績j、f賞や発表会の代表等に選ば れることj、f自分の思い通りにできる技術が ある・ないJ、f友達と比べて優れているj、 fストレス発散ができるj、 f練習すれば上達 できるj、f多くの人と 1つのものを作り上げ る喜びj、fリラックスできるj、f楽しいj、 fェクササイズできるj、f発表の場所などが あり、目立てるj、 f演奏などができる機会や 環境があった