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平成24年度研究開発実施報告書 : 第3年次

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(1)

平成24年度

研究開発実施報告書

-第3年次-

教科等ならびに総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を図る ための、教科横断型「情報の時間」開設を核とした教育課程の研究開発

滋賀大学教育学部附属中学校

(2)

本報告書に記載されている内容は,学校教育法施行規則第79条において準用する第 55条の規定に基づき,教育課程の改善のために文部科学大臣の指定を受けて実施した 実証的研究です。 したがって,この研究内容のすべてが直ちに一般の学校における教育課程の編成・ 実施に適用できる性格のものでないことに留意してお読みください。 *本報告書には「別冊資料」がございます。併せてご覧ください。 (『平成24年度 研究開発実施報告書 別冊資料・第3年次 教科書,学習指導要領,評価規準・評 価方法等 合本』滋賀大学教育学部附属中学校) *本報告書の様式や内容,項立て(目次のゴシック体部分)は,文部科学省初等中等教育局の 通知に依っています。

(3)

目 次

第1部

平成24年度研究開発実施報告書(要約)

1

1 研究開発課題 …… 3 2 研究の概要 …… 3 3 研究の目的と仮説等 (1)研究仮説/(2)教育課程の特例 …… 3 4 研究内容 (1)教育課程の内容/(2)研究の経過/(3)評価に関する取組 …… 3 5 研究開発の成果 (1)実施による効果 ①生徒への効果/②教員への効果/③保護者などへの効果 …… 9 (2)実施上の問題点と今後の課題 ……12 別紙1 滋賀大学教育学部附属中学校 教育課程表(平成24年度) ……13 別紙2 学校等の概要 ……14 第2部

平成24年度研究開発実施報告書

本編

15

ア 研究開発の概要 1 研究開発課題 ……17 2 研究仮説(育てたい生徒像,本研究の到達目標) ……17 3 要旨(問題の所在,研究の主旨,結論) ……17 4 特設「情報の時間」(教科兼領域)の概要 ……18 イ 研究開発の経緯 5 研究の経過 ……18 6 本年度の研究日程 (1)特設「情報の時間」/(2)校内研究会/(3)運営指 ……20 導委員会/(4)視察・成果発表/(5)教育研究発表協議会/(6)本校への視察 ウ 研究開発の内容 7 教育課程の編成 (1)研究開発課題/(2)研究仮説(育てたい生徒像,本研究 ……22 の到達目標)/(3)教育課程の特例/(4)編成した教育課程の特徴 8 特設「情報の時間」の開発 (1)目標/(2)「教科」か「領域」か/(3)内 ……23 容/(4)年間学習指導計画/(5)指導の系統性/(6)評価規準,教科書,指導 者,教材/(7)時間割,使用教室/(8)実施した単元/(9)指導方法等/(10) 授業時間数確保上の課題 エ 実施の効果 9 生徒への効果 (1)生徒の変容/(2)生徒による授業評価 ……31 10 教員への効果 ……34 11 保護者への効果 ……35 オ 研究開発実施上の問題点及び今後の研究開発の方向 12 成果 ……36 13 課題 ……36 別添1「情報の時間」学習指導案の実例 *11 月 2 日 「教育研究発表協議会」で公開 ① 伝える学級劇 (学級活動的単元,学級担任が担当) ……39 ② 論理的に理解しよう (両方可能な単元,本年度は社会科教諭が担当) ……42 ③ 分析しよう (両方可能な単元,本年度は保健体育科教諭が担当) ……45 ④ データの質とディジタルデータ(専門教科的単元,本年度は国語科教諭が担当) ……48 ⑤ 論理的に表現しよう (両方可能な単元,本年度は英語科教諭が担当) ……51 別添2 シンキングツールと生徒使用実例*本校「BIWAKO TIME 」ワークブックより ……55 第3部

平成24年度研究開発自己評価書

63

Ⅰ 研究開発の内容 1 教育課程 (1)編成した教育課程の特徴 ……65 (2)教育課程の内容は適切であったか ……69 (3)授業時間等についての工夫 ……69 2 指導方法・教材等 (1)実施した指導方法等の特徴 ……69 (2)指導方法等は適切であったか ……70 Ⅱ 実施の効果 1 生徒への効果 ……72 2 教師への効果 ……74 3 保護者等への効果 ……74 Ⅲ 研究実施上の問題点と今後の課題 ……75

(4)
(5)

第1部

平成24年度

研究開発実施報告書

(6)

25 滋賀大学教育学部附属中学校 22~24

平成24年度研究開発実施報告書(要約)

研究開発課題

教科等ならびに総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を図るための、教科横断型「情報の時間」 開設を核とした教育課程の研究開発

研究の概要

言語活動を充実させることを目指し,情報を吟味したり生産したりするための基本的な知識や思考法を,中 学生に必要な範囲で教科の枠を超え横断的に学ばせるために「情報の時間」を第1学年~第3学年に開設した。 「情報の時間」は各学年50時間で,うち35時間は全教員が単元ごとにリレーし,残り15時間は各学級担任が 指導した。その単元群は,総合学習や各教科での生徒の実態を踏まえ,授業での反応等を見ながら帰納的に加 除修正を続けた末残ったものである。結果として,学習内容は各教科での思考力・判断力・表現力等を高める 「情報の活用と取扱い」,コンピュータ操作でなく情報そのものの性質を学ぶ「情報の本質的な理解」,生徒 間のコミュニケーションや相互理解の改善に資する「情報社会でのコミュニケーション」の三つにまとめられ, 情報教育の3観点(情報活用の実践力,情報の科学的な理解,情報社会に参画する態度)と対応することが確 認できた。

研究の目的と仮説等

(1)研究仮説

開設する「情報の時間」を核として,情報教育の3観点(情報活用の実践力,情報の科学的な理解,情報社 会に参画する態度)のいずれかに関わる学習を行うようにすれば,生徒の感性がより磨かれ,論理的に考える 力がより高まり,各教科等や総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を図ることができるであろう。

(2)教育課程の特例

年間授業時数1015時間を確保するとともに,各必修教科の授業時数を各学年各教科2~8時間ずつ削減して 確保した全学年各50時間を用いて「情報の時間」を開設する。(表1ならびに別紙1参照)

研究内容

(1)教育課程の内容

3(2)の特例のもと,「情報の時間」を開設し,3(1)の研究仮説に基づく学習を系統的に指導した。 研究開発の第1年次当初の時点では「三つの視点(情報の本質探究/情報の活用実行/情報の内容吟味)と, 補完する三つの中間の視点(本質を知って活用/内容を吟味して活用/本質を知って内容を吟味)」から指導 内容を定め単元を開発していくという演繹的な手法を採った。とはいえ,実際に指導した教員の考えや,その ときの生徒の反応,指導した内容の定着状況や他の教科等への活用状況などを勘案することも重視したため, その後の「情報の時間」の教育課程は,単元ごと差し替えたり実施学年を変えたりするなど,単元ベースで練 り上げ,帰納的に開発を進めていくという過程をたどった。 その過程を経て整備された本年度の本校「情報の時間」の単元構成は,本研究開発の成果が仮に全国で実施 されるときに想定される2種類の姿を念頭に置き,そのどちらに対しても参考に供するものが得られるよう考 慮し,各学年とも次のような形で実践した。(単元の内容は表2~4を参照/教育課程の変更に伴う他教科の

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的 確 に 表 す 世 界 各 地 の 生 活 正 ・負 の 数 の 花 の つ く り と 鑑 賞 「 春 」 シ ン ボ ル マ ー 器 械 運 動 1 技 術 を 見 つ け 自 己 紹 介 を

2 と 環 境 1 加 法 減 法 1 は た ら き 1 1 ク 2 よ う 1 し よ う 4

と も に わ か 古 代 ま で の 日 本 文 字 と 式 の 葉 茎 根 の つ く 鑑 賞 「 魔 武 道 1 材 料 と 環 境 と 人 を 紹 介 し り 合 う 3 1 利 用 1 り と 働 き 1 王 」 1 の 関 わ り 1 よ う 4 論 理 的 に 考 中 世 の 日 本 2 一 次 方 程 式 力 の 働 き 1 ダ ン ス 1 消 費 者 の 権 利 え る 2 の 利 用 1 と 責 任 1 多 角 的 に 考 世 界 の 様 々 地 域 関 数 の 利 用 火 山 活 動 と 火 球 技 ( ゴ ー 販 売 方 法 と 悪 え る 1 の 調 査 2 1 成 岩 1 ル 型 ) 3 質 商 法 1 図 形 の 性 質 地 震 と 地 球 内 の 利 用 1 部 1 近 似 値 ・ 資 地 層 の 重 な り 料 の 活 用 3 と 過 去 1

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的 確 に 表 す 日 本 の 諸 地 域 図 形 の 合 同 回 路 と 電 流 電 鑑 賞 「 フ ー マ ル チ メ デ ィ 器 械 運 動 1 エネルギー変 換 と 日 記 2

2 2 1 圧 1 ガ ト 短 調 」1 ア 2 利 用 1

的 確 に 読 み 身 近 な 地 域 の 調 確 率 電 流 電 圧 と 抵 鑑 賞 「雅 楽 」 武 道 動 力 伝 達 機 構 対 話 を つ な 解 く 2 査 2 2 抗 1 1 1 と 利 用 1 げ よ う 3 判 断 し て 説 近 代 の 日 本 と 世 確 率 の 求 め 電 磁 誘 導 と 発 ダ ン ス 1 安 全 な 室 内 環 賛 成 や 反 対 明 す る 2 界 2 方 1 電 1 境 2 の 意 見 を 3 言 葉 の 感 覚 確 率 の 利 用 刺 激 と 反 応 1 球 技 ( ゴ ー を 磨 く 2 2 物 質 の 分 解 , ル 型 ) 3 化 合 2 霧 や 雲 の 発 生 2

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的 確 に 表 す 人 間 尊 重 と 憲 法 い ろ い ろ な 遺 伝 規 則 性 と 鑑 賞 「 ブ ル ピ ク ト グ ラ ム 器 械 運 動 1 コンピュータと 情 報 ウ ェ ブ ス ト

2 の 原 則 2 関 数 1 遺 伝 子 1 ダ バ 」 1 2 処 理 1 ア の メ ー ル

運 動 の 速 さ と 2 判 断 し て 説 民 主 政 治 と 政 治 標 本 調 査 向 き 1 鑑 賞 「 オ ペ 武 道 1 園 児 を 学 校 へ ホ ー ム ペ ー 明 す る 2 参 加 2 2 エ ネ ル ギ ー の ラ 」 1 招 待 1 ジ 学 校 紹 介 保 存 1 2 と も に わ か 市 場 の 働 き と 経 標 本 調 査 の 中 和 と 塩 1 ダ ン ス 1 Mother Tere り 合 う 2 済 2 利 用 2 日 周 運 動 ・ 年 sa2 よ り よ い 社 会 を 総 合 問 題 演 周 運 動 2 球 技 ( ゴ ー 有 名 人 に イ 目 指 し て 2 習 3 エ ネ ル ギ ー と ル 型 ) 3 ン タ ビ ュ ー そ の 変 換 2 2

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▲表1 本校の教育課程変更に伴う,各教科で圧縮した単元の実際(平成24年度の場合) *本表は,「情報の時間」50時間のために,実際に各教科のどの単元が圧縮されたかを示している。 *本研究開発では平成24年度の場合,全教科から一様に時間を捻出した。しかし,特に内容教科(理・社など)では情報教 育との関連度が学年ごと変化するため,本表は必ずしも「情報教育と関係の深い単元」をそのまま示すものではないこ とに留意されたい。

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単元への影響は表1の通り。) ① 専門教科的単元…教科(「情報科」)に生かせる専門性の強い単元 …… 15時間 ② 学級活動的単元…学級担任等による指導が効果的な単元 …… 15時間 ③ 両方可能な単元…①と合わせて専門教科として指導することも,②と合わせて総合的な学習 の時間に似た形態で指導することも,両方可能である単元 …… 20時間 このとき想定した全国実施時の2種類の姿とは,次のAまたはBである。この両方を想定し同時に試行した ため,各学年とも計50時間を要することとなった。 A 教科(例えば「情報科」)として専任教員が指導する場合 …… ①+③=年間35時間 B 領域的に(例えば道徳・学級活動・総合的な学習の時間)学級担任あるいは複数教員 の連携で指導する場合 …… ②+③=年間35時間 このうち①は,技術・家庭科技術分野の内容のうち「情報に関する技術」や高等学校共通教科情報科の各指 導内容との関連を重視し,情報,情報社会及び情報技術に関する基礎的・基本的な内容について系統的な学習 指導ができるよう編成した単元群である。 また②は,コミュニケーション改善やモラルに関わる学習指導ができるよう編成した単元のうち,研究開発 第1年次の試行後「学級担任が指導した方がいい」あるいは「学級担任で指導してみたい」という声が教員間 から出たことを踏まえて,学級担任に指導を任せる趣旨で第2年次にまとめられた単元群である。もちろん, コミュニケーション改善やモラルに関わる学習指導ができる単元は①や③にも含まれており,教科「情報科」 の系統性の面では,言わば〝オプション的〟な位置にある。 一方③は,①と併せて「情報科」として系統的に指導することが望まれる内容を持つ単元群であるが,学級 担任や,内容の近い各教科担任が指導することも可能だと考えられる単元群である。 本年度この実施を行うに当たっては,前述の試行錯誤の結果まとめられた表2~4の「情報の時間」単元案 を踏まえ,Aの想定に耐えうるよう,①+③(②は含まず)の部分について年度当初に「『情報の時間』学習 指導要領(試案)」を策定し,3年間の目標,内容,指導上の留意点を明文化した(資料1)。また同時に, その学習指導要領に則って,どの指導事項をどの単元で指導するかを明示した「年間学習指導計画表」を作成 し,各単元における具体的な「評価規準」を設定して,単元ごとに観点別評価を実施した。その評価の手順に ついては,実例を交えて「評価規準の作成,評価方法等の工夫改善のための参考資料」にまとめた。さらに, これまで実践のたびに単元ごと担当指導教員が執筆を進めてきた「『情報の時間』教科書」原稿を,従来は必 要に応じて単元ごと生徒に印刷配布していたが,本年度は全て印刷製本して冊子の形で全生徒に配布した。 なお,これらの単元を指導するに当たっては,現時点で情報教育の免許保有教員がいるわけではもちろんな いので,①と③は内容的に比較的専門の近い教科免許を持つ者を中心にして,単元ごと1人ずつ担当者を決め, 本校で独自に情報教育支援のために配置している非常勤講師とティーム・ティーチング(T・T)で指導に当 たった。また③については原則学級担任が自学級の指導に当たったが,情報教育支援の非常勤講師も可能な限 り補助やT・Tの形で指導に加わった。 ▼資料1 平成24年度に本校が試作し使用した「情報の時間」学習指導要領(試案)と,全国で教科(例えば 「情報科」)として実施する場合に考えられる修正の一案(二重線部と下線部)

「情報の時間」 情報科 学習指導要領(試案)

1 目標 実践的・体験的な活動を通して,情報を適切に取り扱う基礎的・基本的な知識・技能を習得させ,情報に関する多面的・ 多角的な見方や考え方を養うとともに,生涯にわたって生きて働く情報活用能力を育てる。 2 内容

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ア 問題解決の基本的な考え方 問題の発見,明確化,分析及び解決の方法を身に付けさせ,問題解決の目的や状況に応じてこれらの方法を適切に 選択することの重要性を考えさせる。 イ 情報の表現と伝達 手段や素材を適切に選択し利用する方法を身に付けさせ,情報を分かりやすく表現し効率的に伝達できるようにす る。 ウ 情報の共有と問題解決 問題解決における情報通信ネットワークの活用方法を身に付けさせ,情報を共有することの有用性を理解させる。 エ 問題解決の評価と改善 問題解決の過程と結果が適切かどうかを評価させ,改善することの意義や重要性を理解させる。 オ 問題解決の応用モデル化とシミュレーション モデル化やとシミュレーションなどの考え方や方法を理解させ,実際の問題解決に活用できるようにする。 (2) 情報の本質的な理解 ア 情報とメディアの特徴 情報の特徴とメディアの意味を理解させ,情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用できるようにする。 イウ 情報のディジタル化 情報のディジタル化の基礎的な知識と技術,情報機器の特徴と役割,また,ディジタル化された情報が統合的に扱 えることを理解させる。 ウエ 情報通信ネットワークの仕組み 情報通信ネットワークの仕組みと情報セキュリティを確保するための方法を理解させる。 エイ 情報システムの働き 情報システムとサービスについて,情報の流れや処理の仕組みと関連付けながら理解させ,それらの利用の在り方 や社会生活に果たす役割と及ぼす影響を考えさせる。 (3) 情報社会での進展と情報安全コミュニケーション ア 情報化の影響と課題 情報化が社会に及ぼす影響を考えさせ,望ましい情報社会の在り方と情報技術を適切に活用することの必要性を理 解させる。 イ 情報社会における責任 多くの情報が公開され流通している現状を認識させ,情報を保護することの必要性とそのための法規及び個人の責 任を理解させる。 ウ 情報通信ネットワークの利用 情報通信ネットワークの特性を踏まえ,効果的なコミュニケーションの方法を身に付けさせ,情報の受信及び発信 時に配慮すべき事項を理解させる。 エ 情報社会の安全と情報技術 情報社会の安全とそれを支える情報技術の果たす働き活用を理解させ,情報社会の安全性を高めるために個人 が果たす役割と責任を考えさせる。 3 指導計画の作成と内容の取扱い (1) 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。 ア 各学校においては,校長の方針の下に,「情報の時間」の推進を主に担当する教師を中心に,専門性を生か した単元ごとの担当指導教師と,生徒所属学級の学級担任教師とで,カリキュラムを分担しながら全教師が協 力して「情報の時間」を展開するため,次に示すところにより,指導計画を作成するものとする。 アイ 各学校においては,生徒や学校,地域の実態に応じて,学年ごとの目標を適切に定め,3学年間を通して「情報の 時間」の目標の実現を図るようにすること。 イウ 生徒の学習を確実なものにするために,同一の指導事項についての既習の内容を意図的に再度取り上げ,新たな内 容と関連付ける機会を設定することに配慮すること。 ウエ 各教科等で養われる思考力・判断力・表現力等が,「情報の時間」での学習を通して一層伸長されるよう十分留意 すること。また,総合的な学習の時間と「情報の時間」との関連性にも配慮すること。 エオ 技術・家庭科技術分野の内容のうち「情報」や高等学校情報科の各指導事項との関連を考慮し,情報,情報社会や 情報技術に関する系統的な指導ができるよう配慮すること。 オカ 中学校学習指導要領第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間など との関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,「情報の時間」の特質に応じて適切な指導をするこ と。 (2) 内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。 ア 学習に取り上げる話題や資料などの素材については,第1学年では主に学校や地域の日常生活から,第2・3学年で は主に地域や我が国,また国際関係などの社会生活から求めること。 イ 学習に取り上げる思考や操作については,第1学年ではできるかぎり具体的な内容を伴い平易に理解できるもの,第 2・3学年では,将来自立して社会生活を営む際に必要となる範囲で抽象的な内容を含むものとすること。 ウ 特に第3学年での学習は,情報社会に参画する一員としての自分の立場や役割を考える活動に重点を置くこと。 エ 知識や作品制作に偏り過ぎた学習にならないようにするため,3学年とも,作業や操作などを通じて情報の概念や本 質を生徒が自ら気づき考えることに重点を置くこと。その際,自分の考えをもとに書いたり討論したりするなどの表現 する機会を充実し,ペアワークやグループワークなどの学習形態も取り入れて,自分とは異なる考えに接する中で,自 分の考えを深め,自らの成長を実感できるよう工夫すること。また,必要に応じ情報機器や情報通信ネットワークなど を適切に活用し,学習の効果を高めるよう配慮すること。

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▼表2 平成24年度「情報の時間」第1学年の単元と配当時間数ならびに前年度からの変更点 学 年 種 別 内 容 ・ 時 数 単 元 時 数 変 更 点 ① 専 門 教 コ ン ピ ュ ー タ サ イ エ ン ス メ デ ィ ア に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 5 科 的 単 元 15 ネ ッ ト ワ ー ク ・ フ ォ ル ダ 操 作 5 名 称 → コ ン ピ ュ ー タ ネ ッ ト ワ ー ク デ ー タ の 表 現 と ア ル ゴ リ ズ ム 5 名 称 → ア ル ゴ リ ズ ム 1 年 ③ 両 方 可 情 報 を 活 用 し よ う ア イ デ ア を 練 ろ う 8 50時 間 能 な 単 元 20 分 析 し よ う 6 発 表 し よ う 6 ② 学 級 活 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ① 人 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 5 名 称 動 的 単 元 15 → 学 級 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 級 劇 の 決 定 に 向 け て 5 → 6 名 称 → 伝 え る 学 級 劇 1 時 数 学 級 劇 の 表 現 を 考 え る 1 5 → 4 名 称 → 伝 え る 学 級 劇 2 時 数 ▼表3 平成24年度「情報の時間」第2学年の単元と配当時間数ならびに前年度からの変更点 学 年 種 別 内 容 ・ 時 数 単 元 時 数 変 更 点 ① 専 門 教 デ ー タ と 情 報 デ ー タ 量 と 情 報 量 5 科 的 単 元 15 デ ー タ の 質 と デ ィ ジ タ ル デ ー タ 5 デ ー タ を 活 か そ う 5 名 称 → デ ー タ の 活 用 2 年 ③ 両 方 可 情 報 を 処 理 し よ う デ ー タ を 集 め よ う 6 50時 間 能 な 単 元 20 情 報 を 表 現 し よ う 1 6 情 報 を 表 現 し よ う 2 8 ② 学 級 活 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ② 韓 国 の 中 学 生 と の メ ー ル 交 流 5 → 6 内 容 動 的 単 元 15 → 魅 せ る 学 級 劇 1 時 数 学 級 劇 の 表 現 を 考 え る 2 5 → 4 名 称 → 魅 せ る 学 級 劇 2 時 数 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と ル ー ル 5 名 称 → BIWAKO TIMEで の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ▼表4 平成24年度「情報の時間」第3学年の単元と配当時間数ならびに前年度からの変更点 学 年 種 別 内 容 ・ 時 数 単 元 時 数 変 更 点 ① 専 門 教 情 報 技 術 の 活 用 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 5 名 称 科 的 単 元 15 → 計 算 と シ ミ ュ レ ー シ ョ ン こ れ か ら の 社 会 5 領 域 → ネ ッ ト ワ ー ク と 情 報 共 有 ( 旧 ク ラ ウ ド ) 名 称 情 報 の 本 質 5 領 域 → こ れ か ら の 情 報 社 会 名 称 3 年 ③ 両 方 可 論 理 的 に 考 え 論 理 的 に 理 解 し よ う 6 50時 間 能 な 単 元 情 報 を 活 か そ う 論 理 的 に 表 現 し よ う 6 → 情 報 を 正 し く 捉 え よ う ク ラ ウ ド コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ 8 領 域 20 → 情 報 社 会 に つ い て 考 え よ う 名 称 → 情 報 の 本 質 に つ い て 考 え よ う 再 変 更 ② 学 級 活 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ③ 学 級 劇 の 題 材 を 熟 考 す る 5 → 6 名 称 動 的 単 元 15 → ひ び き 合 う 学 級 劇 1 社 会 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 5 名 称 → 職 場 体 験 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 級 劇 マ ス タ ー 編 5 → 4 名 称 → ひ び き 合 う 学 級 劇 2

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(2)研究の経過

実施内容等 第1年次 ・情報学について専門家から学ぶとともに,「中学生版の情報学」の単元開発を行った。 ・「情報の時間」が今般の情報教育と比べて,どこが優れ,どのような問題点を持つものであるの か,授業研究を行った。授業研究を通じて内容を改め,専門家を招聘して研修し,いわゆる情報 学との接続の関係を明確にするとともに,常に生徒の発達段階に即した内容を探り,「情報の時 間」の完成を目指した。 (1)「情報の時間」を新設し,授業研究を通じて「情報の時間」の内容を検討した。 (2)「情報の時間」を教科として実践するために必要な学習指導要領の作成にとりかかった。 (3)「情報の時間」の内容を,教科等,総合的な学習の時間に生かした。 ・関連する学会・研究大会に参加して情報収集・実践報告を行い,「情報の時間」を含めた教育課 程の開発に生かした。 ・教育研究発表協議会を行い,「情報の時間」の授業を公開し,広く意見を求めた。協議会では 「情報の時間」の公開授業とともに各教科の公開授業も実施し,各教科で「情報の時間」で得ら れた知識や学んだ手法を生かした授業を行った。 第2年次 ・「情報の時間」の評価を行い,その普遍性を検証した。「情報の時間」の実施に伴い,内容中心 から活動中心へと移行する中で,学習指導法の研究を行った。 ・「情報の時間」の拡充を行い,教科としての「情報の時間」と領域としての「情報の時間」の双 方に対応できる指導計画へと移行した。 (1)「情報の時間」の各単元において,目指す学習効果が得られたかを検証した。 (2)「情報の時間」を教科として実践するための学習指導要領に当たるものを作成し,それら をもとに教育課程全体を検証した。 (3)「情報の時間」の内容を,教科等,総合的な学習の時間に生かした。 (4)「情報の時間」の内容を三つに分けそれぞれの学習効果や運用面での問題点を整理した。 ・夏季休業中に集中的な研究会を実施し,「情報の時間」の新単元の検討を行った。 ・情報に関する内容について講師を招聘し,教員の研修会を行った。 ・関連する学会・研究大会に参加して情報収集を行い,「情報の時間」を含めた教育課程の開発に 生かした。 第3年次 ・「情報の時間」の内容と教科等,総合的な学習の時間の関連性を重視した教育課程を整理し,授 業研究を行った。 (1)「情報の時間」と教科等,総合的な学習の時間の関連性を捉える。他教科・高等学校の教 科などとの関係を明確化した。 (2)「情報の時間」を教科として実践するための学習指導要領の作成を完了した。教科として の「情報の時間」のねらいや内容の実現状況について知識や技能の習得状況を含めて確認 した。 (3)「情報の時間」の指導と評価の一体化について具体的な評価方法や,評価結果を踏まえた 指導の改善などについて研究を進めた。 (4)「情報の時間」の各単元において,目指す学習効果が得られたかを検証するとともに,教 科等,総合的な学習の時間における言語活用能力の育成効果について調査した。 (5)三つに分けた「情報の時間」の構造とそれぞれの学習効果や,運営面での問題点を整理 し,「情報の時間」に適する単元とその系統について検討した。 (6)学級(担任)で指導する内容について再検討を行い,内容を吟味した。 (7)関連する学会・研究大会に参加して情報収集を行い,「情報の時間」を含めた教育課程の 開発と評価に生かした。

(3)評価に関する取組

評価方法等 第1年次 ・「情報の時間」や「情報の時間」を生かした教科等,総合的な学習の時間についての授業研究会 を10回行った。授業者の知見,生徒アンケート,参観者の知見から教育効果を吟味した。 ・「情報の時間」の毎時間の生徒の実態調査を行い,発達段階に即しているか等について内容を検 討した。 ・イメージマップなどの手法を用い,「情報の時間」の実施によって生徒の情報の取扱いについて の意識変化を探った。 ・専門家を研究会に招聘して,「情報の時間」と総合情報学との接続の関係を調査した。

(12)

・情報教育などに関連する学会(日本情報科教育学会,教育情報学会など)研究発表を行った。 ・7月に教育研究発表大会を開催し,広く知見を集め,以降の研究に生かした。 第2年次 ・月2回の研究会を通じて,「情報の時間」,「情報の時間」を生かした教科等,総合的な学習の 時間の内容と学習指導法の改善を行った。「情報の時間」の学習を生かした教科等,総合的な学 習の時間についての授業研究会を10回程度行った。 ・「情報の時間」や教科等,総合的な学習の時間についての波及効果を,授業研究会と単元ごとの 生徒アンケートと教員のアンケート等によって調査した。 ・情報教育などに関連する学会(日本情報科教育学会,教育情報学会など)に参加し,研究発表を 行った。8月に教育研究発表大会を開催し,研究の成果を広く発表した。 第3年次 ・「情報の時間」の学習を生かした教科等,総合的な学習の時間についての授業研究会を,10回程 度行った。 ・授業者の知見,生徒アンケート,参観者の知見から教育効果を確認した。 ・前年度までの研究を踏まえ,「情報の時間」と教科等,総合的な学習の時間の関連性を生徒アン ケート等によって明らかにした。 ・「情報の時間」の各単元において,目指す学習効果が得られたかを検証するとともに,教科等, 総合的な学習の時間における言語活用能力の育成効果について調査した。 ・中学校に教科「情報」を設置するための教育課程について,生徒・教員に対するアンケート調査 や,専門家の意見などを参考に効果を検証した。 ・情報教育などに関連する学会(日本情報科教育学会,教育情報学会など)に参加し,研究発表を 行った。11月に教育研究発表協議会を開催し,研究の成果を発表し協議した。

研究開発の成果

(1)実施による効果

① 生徒への効果

本研究開発では,冒頭の通り〝開設する「情報の時間」を核として,情報教育の3観点(情報活用の実践力, 情報の科学的な理解,情報社会に参画する態度)のいずれかに関わる学習を行うようにすれば,生徒の感性が より磨かれ,論理的に考える力がより高まり,各教科等や総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を 図ることができるであろう〟という研究仮説を設定した。 この仮説に照らせば,次の二つが特筆できる。 一つは,「情報の時間」での学習を各教員が各教科で積 極的に生かし,生徒間交流による各生徒の言語活動を仕組 むことが増えたため,各教科において生徒の学習意欲が高 まり,他人の意見に追随か批判を述べるだけでなく,自分 の意見も述べる生徒が増えつつあることである。 もう一つは,総合学習「BIWAKO TIME」を「情報の時間」 で学習した思考整理法を実際に試す場と位置づけ,ハンド ブックにも「シンキングツール」のページを設け,「イメ ージマップ」「マインドマップ」「樹形図」「ベン図」 「KJ法」などと,本年度はこれに加え生徒が書いた使用実 例も掲載して,生徒が課題解決の場でより一層利用しやす いようにした結果,各グループで研究課題(リサーチ・ク エスチョン)を練る段階や,調査した様々な知識をまとめ 整理する段階では,特にこれらのツールを活用して,積極 的にグループ内で議論し合う生徒が増えつつあることであ る。このような生徒の姿は,「領域別発表会」という名の 本校総合学習の終末における研究発表会においても観察で (%) 設 問 全国 本校 【国語】 B1三 言葉の使い方を述べる 13.1 1.7 3三 朗読の仕方を述べる 12.8 0.9 【数学】 A15(2) シュートの最頻値の算出 16.1 0.9 B2(1) 3連続自然数の和の説明 22.5 1.7 2(2) 3連続偶数の和の説明 23.4 0.9 4(2) 2直線が垂直だと証明 21.1 4.3 5(1) 木の高さABの算出 10.8 0.0 5(3) AEの算出方法の説明 41.2 6.8 6(2) 正多角形の頂点の関数 29.4 0.0 【理科】 1(2) カエル飼育の理由説明 11.0 0.9 2(2) 回路の測定方法の説明 18.5 2.6 2(3) 電球LED消費電力比較 10.8 2.6 2(6) 電球LED電力差算出 39.7 12.0 4(3) 食塩水での卵浮力算出 38.4 7.7 4(4) 食塩水濃度限界の説明 25.5 3.4 ▲表5 平成24年度全国学力・学習状況調査で無 答率が全国で10%以上だった、2語以上または 立式を経て答える設問に対する本校での無答率

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きる。従来は他グループの発表に対してフロ アから質問や意見が出にくく,出ても発表方 法や発表形態への感想(例えば,字がきれい で見やすい,イラストが効果的だ,クイズが あって分かりやすいといった程度)がほとん どを占めるという課題が長年見られたが,本 年度の発表会では,例えば「そのグラフはパ ーセントしか書いていませんが,何人に聞い たアンケートですか」といった質問が出るよ うになった。また発表会では「私達はこんな 仮説を立てたが調べたらこうだったので,仮 説を立て直した」という発表をした班や,そ れを評価した聞き手の生徒も出現するなど, 生徒が関心や意欲をもって深く思考し,適切 な判断を加えて表現する姿が現れてきた。 以上の2点の効果は,観察者の主観的な印 象に過ぎないのかもしれない。しかしこれら の効果を裏づける数値として,全国学力・学 習状況調査において無答率が低い(表5), あるいは全国平均を下回る層の分布が減った (資料2)といったデータが実際に得られ た。本校の生徒は毎年入学当初は学力面で上位の生徒から下位の生徒まで幅広く分布している集団であるため, これらのデータは,「情報の時間」を核として情報教育の3観点に関わる学習を行い,思考過程の活発な生徒 間交流を通して「各教科や総合的な学習の時間における言語活用能力の向上」を図ること(すなわち研究仮 説)が,特に〝学力の底上げ効果〟を果たす面で有効であることを,如実に示している。近年,全国的な学力 分布の二極化が指摘されているだけに,このデータは,本研究開発の有効性を明確に示しているといえる。 以上は「情報の時間」の波及効果について述べたものであるので,「情報の時間」の授業自体の効果につい ても言及する必要がある。これを調べるために,イメージマップを用いて「情報」という用語に関する生徒の イメージの変化を毎年度問うたところによると,第1学年当初,生徒の持つ「情報」のイメージはコンピュー タやインターネットに強く結びついていたが,学年が進むにつれ情報そのものへの認識が広がっていくことが 確認できた。また,生徒へのアンケートから,「情報の時間」に対する生徒の関心や意欲が大変強いことが読 み取れた(イメージの変化や生徒の関心・意欲の調査結果は,「自己評価書」に詳述)。 以上の成果は,特に本年度は学習指導要領(試案)3(2)「内容の取扱い」エで定めたように,「情報の時 間」を「知識や作品制作に偏り過ぎた学習にならないようにするため,3学年とも,作業や操作などを通じて 情報の概念や本質を生徒が自ら気づき考えることに重点を置くこと。その際,自分の考えをもとに書いたり討 論したりするなどの表現する機会を充実し,ペアワークやグループワークなどの学習形態も取り入れて,自分 とは異なる考えに接する中で,自分の考えを深め,自らの成長を実感できるよう工夫すること。また,必要に 応じ情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるよう配慮すること。」という 学習にしたことや,同じくイに定めたように「学習に取り上げる思考や操作については,第1学年ではできる かぎり具体的な内容を伴い平易に理解できるもの,第2・3学年では,将来自立して社会生活を営む際に必要 となる範囲で抽象的な内容を含むものとすること。」という単元構成にしたことが奏功したと考えられる。 ▼資料2 全国学力・学習状況調査の正答率(%)分布の変化 (平成22・24年度比較) ※◎全国平均 ○本校平均

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② 教員への効果

本校「情報の時間」は4(1)で述べたように,単元ごと に決められた担当者と本校独自配置の情報教育支援非常勤 講師とのT・T,または学級担任の指導に当該非常勤講師 が可能な限り補助やT・Tで加わる形で授業を行った。 「情報の時間」の多くの授業に立ち会うこととなるこの非 常勤講師(1名)が,研究開発の3年間,実際に行われてい る授業のほぼ全容を把握できていた。そのため,もちろん 全教員での議論を踏まえて各教員が単元を開発していった のではあるが,議論では決して埋まらない知識・技能・経 験の不足,そこからくる生徒の反応予想がつかず授業が構 想しづらいことなど,慣れない分野で授業を行うための大 小様々の支障について,彼に聞けば多くが解消されたの は,「情報の時間」の推進にとって重要な要素であった。 教育課程の面では研究開発第3年次の本年度は学習指導 要領(試案),教科書,評価規準が整備できたが,運用面 では鍵となるこの講師を得てはじめて,全教員が「情報の 時間」で何を目指し,どのような授業を行えばよいか,大 きな方向性から実際の具体的で細かな指導法まで職員室等 で様々に交流し共有しつつ各専門教科での指導にも当たる ことができたと言っても過言ではない。 次に,このような3年間の実践を経て「情報の時間」の コンセプトが教員間で明確に共有されるようにもなった。 研究開発当初は〝コンピュータ利活用指導にとどまらない,文化情報論まで含み文系理系全般にわたる情報学 に基づいたカリキュラムを有する〟というこの「情報の時間」のコンセプトについて,「情報学とは何か」 「自分は情報学を学んでこなかったのでよく分からない」など不安の声が教員間に多数あったことは事実であ る。しかしながら最終年次の現時点では,教員間の共通の認識として,例えば国語科が国語学にそのまま対応 せず,社会科が社会学にそのまま対応していないように,「情報の時間」は情報学を参考にはするものの〝ミ ニ情報学〟ではなく〝日常の生活や学習に見られる課題を「情報の出入り」あるいは「情報の出し入れ」とい う観点から横断的に解決しようとするとき,中学生に効果のありそうな情報の吟味・生産のための基本的な知 識や思考法に関する学習内容を,なるべく系統的に配列したもの〟だと理解され,各教員に自信が見られるよ うになった。 この自信が背景となって,各教員が自身の担当する専門教科や学級でも,その指導に「情報の時間」で指導 した内容や方法,特に「シンキングツール」を活用することが日常的になってきた(資料3)。生徒にもその 定着が見られることについては前述(①)の通りである。 これらの活用が進むにつれ,教員間で〝「思考」の中身を明らかにして授業に当たろう〟という意識も広が った。シンキングツールを使うと,これまでの指導では生徒にただ「よく考えろ」と要求するばかりで,具体 的にどこに目を向けてどういう思考をさせればよいのかを指導者自身が意識できていなかったことがよく分か る。この意識が広がり,本年度は教員間の申し合わせとして,「学習指導案で『思考』の語を使うのは目標レ ベルまでとする。学習活動や学習内容のレベルでは,必ず和語や別の漢語に置き換えて『思考』の中身を明示 すること」が確認された。これにより,授業で生徒の思考が把握しやすくなり,生徒同士も互いの思考の過程 や下した判断の違いを表現し合うことで望ましい思考や判断の在り方を探らせるような指導方法が各教科で積 極的に取り入れられることにもつながった。 ▼資料3 各教科で活用されるシンキングツール

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③ 保護者などへの効果

学校公開日に,来校された第1学年保護者の1人から「子どもが『情報の時間が面白いよ,見に来て』と言 われたので,見に来たのですが,本当に楽しそうに,けっこう難しいことを学んでいるんだなあと思いまし た」という感想をいただいた。また,総合学習「BIWAKO TIME」公開参観の保護者アンケートでは「仲間と 調べものを追求し考える力をつけさせて頂き感謝致します」「同じ疑問を持つ異学年の仲間と研究を重ねてい く過程が,とても楽しかったようです。何の知識もない人に分かりやすく伝えるプレゼン力が問われるいい機 会だと思いました」などの声が寄せられた。批判的な感想は特になかった。 本校の「情報の時間」の実践について,校内外の各種媒体を通じて保護者に内容を知らせ,公開の機会も確 保したことから,実際の「情報の時間」や総合学習,各教科等における生徒の学習ぶりや,本校が目指す学習 の姿を概ね理解していただけたようである。

(2)実施上の問題点と今後の課題

5(1)②で述べたように,情報教育の専任の非常勤講師がいたことは,本校ですら,全校で実践を進めるの に重要な要素であった。したがって,4(1)で示した2種類の想定,つまりA(教科)またはB(領域等)ど ちらになるにせよ,全国で実施する際には専任の担当教員の存在が欠かせない。 本校の立場としては指導事項や評価規準がより明確で,全国どの学校でも教科書が用意され,授業時間が明 確に確保され,さらに専門免許を持つ教員まで配置されるAを提案したいが,仮にBとして具体化されるとき でも,少なくとも,単にカリキュラムマネジメントあるいは機器操作ができるというのではなく,情報学,特 に文化情報論分野に関する専門的知識を身に付けたコーディネーターの配置が欠かせないように思われる。ま た,「総合的な学習の時間」の全国での運用状況とそれへの世評を踏まえれば,もしBとする場合には,教科 書に近いサブテキストや,指導事項が明確な学習指導要領またはそれに準じたもの,評価規準とその参考資料 が全国の学校にあまねく用意されないことには,成果を上げるどころか実施すら難しいようにも思われる。 ただし,本校の「情報の時間」の成果が上がったのには,教科担任の分かれる中学校で全教員が同じ「情報 の時間」を舞台にして,小学校のように盛んに授業交流ができたことも大きく影響した。その点からいえば, 仮にAの形で全国で実施されるにしても,専任教員に指導を委ねるだけでなく,情報の教科授業への他教科教 員のT・Tなどでの参加や,あるいは各教科等の授業への専任教員のT・Tなどでの参加など,学級担任が主 軸の「道徳の時間」とは異なる方策によって全校的な推進体制を確保する必要がある。そうであってこそ,情 報教育が教科横断的に言語活用能力を高めるのに効果を上げ,授業改善や学力向上につながるはずである。 また,情報教育の全校的推進体制の確保が欠かせないのには,教員研修上の利点よりももっと重要で本質的 な理由がある。それは,中学生は一般的に,具体的操作期から抽象的操作期へと,思考の移行期を迎える頃だ からである。「情報の時間」の中でも「情報の本質的な理解」と「情報の活用と取扱い」の学習は,具体的内 容を伴う「情報社会でのコミュニケーション」の学習に比べて抽象的な内容が多く,生徒の思考に形式的操作 が求められる。そこで,「情報の時間」で形式的操作を取り出して学習させた後には次の段階として,その操 作を教科等での学習における具体的な内容にあてはめ,具体的操作を通してその効果や妥当性を検証させる学 習(形式的操作と具体的操作を往復させる学習)も,思考の移行期にある中学生にはとりわけ必要になる。 本研究開発により,Aでの実施に堪えうるだけの学習指導要領(試案),評価規準,教科書,評価事例集は 作成できた。他方,本校としてはAとBを併せて実施することの効果の大きさも,身をもって知っている。限 られた年間授業時間数の中ではAもBもとはいかないが,Bの整備にはまずその足掛かりとしてAが不可欠で あることは,3年間の実践から指摘できる。そのような制度的整備が可能かどうかが,今後の課題である。

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別紙1

滋賀大学教育学部附属中学校

教育課程表(平成24年度)

各 教 科 の 授 業 時 数 道 特 選 総 情 総 国 社 数 理 音 美 保 技 外 別 択 学 合 報 授 健 術 国 活 教 習 的 の 業 体 家 語 徳 動 科 の な 時 時 語 会 学 科 楽 術 育 庭 時 間 数 間 第 1 132 99 132 99 43 43 99 66 132 35 35 0 50 50 1015 学 (-8) (-6) (-8) (-6) (-2) (-2) (-6) (-4) (-8) (+50) 年 第 2 132 99 99 132 33 33 99 66 132 35 35 0 70 50 1015 学 (-8) (-6) (-6) (-8) (-2) (-2) (-6) (-4) (-8) (+50) 年 第 3 99 132 132 132 33 33 99 33 132 35 35 0 70 50 1015 学 (-6) (-8) (-8) (-8) (-2) (-2) (-6) (-2) (-8) (+50) 年 計 363 330 363 363 109 109 297 165 396 105 105 0 190 150 3045 (-22) (-20) (-22) (-22) (-6) (-6) (-18) (-10) (-24) (+150)

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別紙2

学 校 等 の 概 要

学校名、校長名

滋賀大学 教 育学部附属 中 学校

し が だ い が く きよう い く が く ぶ ふ ぞ く ちゆうが つ こ う

犬伏 純子

い ぬ ぶ し す み こ

所在地、電話番号、FAX番号

滋賀県大津市昭和町10番3号 電話 077-527-5255 FAX 077-527-5261

学年・課程・学科別幼児・児童・生徒数、学級数

第 1 学 年 第 2 学 年 第 3 学 年 計 生 徒 数 学 級 数 生 徒 数 学 級 数 生 徒 数 学 級 数 生 徒 数 学 級 数 1 2 0 3 1 1 9 3 1 2 0 3 3 5 9 9

教職員数

校 長 副 校 長 教 頭 主 幹 教 諭 指 導 教 諭 教 諭 助 教 諭 養 護 教 諭 養 護 助 教 諭 栄 養 教 諭 1 1 0 1 0 1 6 0 1 0 0 講 師 A L T ス ク ー ル カ 事 務 職 員 司 書 計 ウ ン セ ラ ー 8 2 1 2 0 3 3 ※ ス ク ー ル カ ウ ン セ ラ ー と 事 務 職 員 は 幼 稚 園 な ら び に 小 学 校 と 兼 任 で 配 置

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第2部

平成24年度

研究開発実施報告書

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(20)

平成24年度研究開発実施報告書

滋賀大学教育学部附属中学校

ア 研究開発の概要

研究開発課題

教科等ならびに総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を図るための, 教科横断型「情報の時間」開設を核とした教育課程の研究開発

2 研究仮説(育てたい生徒像,本研究の到達目標)

開設する「情報の時間」を核として,情報教育の3観点(情報活用の実践力,情報の科学的な理解,情 報社会に参画する態度)のいずれかに関わる学習を行うようにすれば,生徒の感性がより磨かれ,論理的 に考える力がより高まり,各教科等や総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を図ることができ るであろう。

3 要旨(問題の所在,研究の主旨,結論)

本校では総合学習「BIWAKO TIME」(以下 BT と略記,開始当初は「びわ湖学習」と呼称)を30年近く継 続して実践している。BT は,第1学年から第3学年までの混成4~8人グループによる調査研究型学習であ り,実地調査や実験を重んじ,ポスターセッションや発表会などの機会を通して「学び方を学ぶ」全学年30時 間/年の学習である。 この学習は,現在の「総合的な学習の時間」のモデルの一つとなったものでもある。しかし,インターネッ トが急速に普及した平成12年(2000年)頃から,生徒が深く考えずにwebサイトの情報を丸写しする傾向が目立 ち始め,生徒が深く考えないことや,発表会などで批判的に見て質問や意見を出さないことが,職員間で問題 視されるようになってきた。本校で既にこのとき取り組んでいた情報教育は,発表会で人の関心を引く話題提 示や情緒的なBGM の放送など,〝豊かに表現する〟ことには役立っていたが,〝深く思考する〟〝的確に判 断する〟〝適切に表現する〟ことについては十分な効果を上げていなかった。 そこで今回,文部科学省「研究開発学校」の指定を受け全学年50時間/年の「情報の時間」を特設して,本校 情報教育の課題を克服し,かつ全国における次回の教育課程改善にも資するよう,「情報の時間」の教科書, 学習指導要領,評価規準,評価事例参考資料等を開発した。 この研究開発の過程で,「情報の時間」で多用された各種のシンキングツールが,各教員の各教科の授業で も次第に自発的に使用されるようになるとともに,生徒も一部で授業中に自発的にツールを使用する事例も観 察されるようになった。それとともに,生徒が授業の中で相互に話し合いをする場面が増えた。また,授業者 が各教科の授業で「もっとよく考えて」「ここはしっかり考えよう」などと漠然と指示することがツールの使 用とともに減り,「ここでは○○と○○とを対比しよう」「二者の共通点と相違点を挙げよう」など,ツール を通して思考の在り方を授業者が意識して具体的に指示するようになってきた。

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このような変化の末,「情報の時間」における情報分析の観点やシンキングツールが各教科に波及し,協同 的な学びを促進したり,思考をより深めたりすることが明らかとなり,研究仮説を裏づける成果が得られた。 それとともに,全国学力・学習状況調査の平成24年度結果からは,記述問題での無答率が低く,学業面で低位 の生徒に対する〝底上げ〟効果が生まれていることも併せて確認できた。

特設「情報の時間」(教科

領域)の概要

言語活動を充実させることを目指し,情報を吟味したり生産したりするための基本的な知識や思考法を,中 学生に必要な範囲で教科の枠を超え横断的に学ばせるために「情報の時間」を第1学年~第3学年に開設した。 「情報の時間」は各学年50時間で,うち35時間は全教員が単元ごとにリレーし,残り15時間は各学級担任が 指導した。その単元群は,総合学習や各教科での生徒の実態を踏まえ,授業での反応等を見ながら帰納的に加 除修正を続けた末残ったものである。各学年50時間としたのは,専門教科(例えば「情報科」)として専門教 員が年35時間授業するケースと,領域(例えば「情報の時間」)として学級担任や各教科教員らが年35時間授 業するケースの両方を想定し,同時に実践してその長短を見ることにしたためである。 結果として,学習内容は各教科での思考力・判断力・表現力等を高める「情報の活用と取扱い」,コンピュ ータ操作でなく情報そのものの性質を学ぶ「情報の本質的な理解」,生徒間のコミュニケーションや相互理解 の改善に資する「情報社会でのコミュニケーション」の三つにまとめられ,情報教育の3観点(情報活用の実 践力,情報の科学的な理解,情報社会に参画する態度)と対応することが確認できた。 本研究開発により,専門教科での実施に堪えうるだけの学習指導要領(試案),評価規準,教科書,評価事 例集は作成できた。全教員で「情報の時間」を実践することの波及効果は非常に大きいが,限られた年間授業 時間数の中で「情報の時間」を全国一斉に領域的に展開するには人的あるいは制度的な困難を伴う。全国で領 域的に展開するにしても,まずはその足掛かりとして教科(例えば「情報科」)としての整備が必要であろう。

イ 研究開発の経緯

研究の経過

本研究開発3年間の年次ごとの進捗状況の概要は,次の通りであった。 上段・研究の実施内容等/下段・研究の評価方法等 第1年次 ・情報学について専門家から学ぶとともに,「中学生版の情報学」の単元開発を行った。 ・「情報の時間」が今般の情報教育と比べて,どこが優れ,どのような問題点を持つものであ るのか,授業研究を行った。授業研究を通じて内容を改め,専門家を招聘して研修し,いわ ゆる情報学との接続の関係を明確にするとともに,常に生徒の発達段階に即した内容を探 り,「情報の時間」の完成を目指した。 (1)「情報の時間」を新設し,授業研究を通じて「情報の時間」の内容を検討した。 (2)「情報の時間」を教科として実践するために必要な学習指導要領の作成にとりかか った。 (3)「情報の時間」の内容を,教科等,総合的な学習の時間に生かした。 ・関連する学会・研究大会に参加して情報収集・実践報告を行い,「情報の時間」を含めた教 育課程の開発に生かした。 ・教育研究発表協議会を行い,「情報の時間」の授業を公開し,広く意見を求めた。協議会で は「情報の時間」の公開授業とともに各教科の公開授業も実施し,各教科で「情報の時間」

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で得られた知識や学んだ手法を生かした授業を行った。 ・「情報の時間」や「情報の時間」を生かした教科等,総合的な学習の時間についての授業研究会を10 回行った。授業者の知見,生徒アンケート,参観者の知見から教育効果を吟味した。 ・「情報の時間」の毎時間の生徒の実態調査を行い,発達段階に即しているか等について内容を検討し た。 ・イメージマップなどの手法を用い,「情報の時間」の実施によって生徒の情報の取扱いについての意 識変化を探った。 ・専門家を研究会に招聘して,「情報の時間」と総合情報学との接続の関係を調査した。 ・情報教育などに関連する学会(日本情報科教育学会,教育情報学会など)研究発表を行った。 ・7月に教育研究発表大会を開催し,広く知見を集め,以降の研究に生かした。 第2年次 ・「情報の時間」の評価を行い,その普遍性を検証した。「情報の時間」の実施に伴い,内容 中心から活動中心へと移行する中で,学習指導法の研究を行った。 ・「情報の時間」の拡充を行い,教科としての「情報の時間」と領域としての「情報の時間」 の双方に対応できる指導計画へと移行した。 (1)「情報の時間」の各単元において,目指す学習効果が得られたかを検証した。 (2)「情報の時間」を教科として実践するための学習指導要領に当たるものを作成し, それらをもとに教育課程全体を検証した。 (3)「情報の時間」の内容を,教科等,総合的な学習の時間に生かした。 (4)「情報の時間」の内容を三つに分けそれぞれの学習効果や運用面での問題点を整理 した。 ・夏季休業中に集中的な研究会を実施し,「情報の時間」の新単元の検討を行った。 ・情報に関する内容について講師を招聘し,教員の研修会を行った。 ・関連する学会・研究大会に参加して情報収集を行い,「情報の時間」を含めた教育課程の開 発に生かした。 ・月2回の研究会を通じて,「情報の時間」,「情報の時間」を生かした教科等,総合的な学習の時間 の内容と学習指導法の改善を行った。「情報の時間」の学習を生かした教科等,総合的な学習の時間 についての授業研究会を10回程度行った。 ・「情報の時間」や教科等,総合的な学習の時間についての波及効果を,授業研究会と単元ごとの生徒 アンケートと教員のアンケート等によって調査した。 ・情報教育などに関連する学会(日本情報科教育学会,教育情報学会など)に参加し,研究発表を行っ た。8月に教育研究発表大会を開催し,研究の成果を広く発表した。 第3年次 ・「情報の時間」の内容と教科等,総合的な学習の時間の関連性を重視した教育課程を整理 し,授業研究を行った。 (1)「情報の時間」と教科等,総合的な学習の時間の関連性を捉える。他教科・高等学 校の教科などとの関係を明確化した。 (2)「情報の時間」を教科として実践するための学習指導要領の作成を完了した。教科 としての「情報の時間」のねらいや内容の実現状況について知識や技能の習得状況を 含めて確認した。 (3)「情報の時間」の指導と評価の一体化について具体的な評価方法や,評価結果を踏 まえた指導の改善などについて研究を進めた。 (4)「情報の時間」の各単元において,目指す学習効果が得られたかを検証するととも に,教科等,総合的な学習の時間における言語活用能力の育成効果について調査し た。 (5)三つに分けた「情報の時間」の構造とそれぞれの学習効果や,運営面での問題点を

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整理し,「情報の時間」に適する単元とその系統について検討した。 (6)学級(担任)で指導する内容について再検討を行い,内容を吟味した。 (7)関連する学会・研究大会に参加して情報収集を行い,「情報の時間」を含めた教育 課程の開発と評価に生かした。 ・「情報の時間」の学習を生かした教科等,総合的な学習の時間についての授業研究会を,10回程度行 った。 ・授業者の知見,生徒アンケート,参観者の知見から教育効果を確認した。 ・前年度までの研究を踏まえ,「情報の時間」と教科等,総合的な学習の時間の関連性を生徒アンケー ト等によって明らかにした。 ・「情報の時間」の各単元において,目指す学習効果が得られたかを検証するとともに,教科等,総合 的な学習の時間における言語活用能力の育成効果について調査した。 ・中学校に教科「情報」を設置するための教育課程について,生徒・教員に対するアンケート調査や, 専門家の意見などを参考に効果を検証した。 ・情報教育などに関連する学会(日本情報科教育学会,教育情報学会など)に参加し,研究発表を行っ た。11月に教育研究発表協議会を開催し,研究の成果を発表し協議した。

本年度の研究日程

本研究開発の本年度の研究日程のうち主要なものは,次の通りであった。

(1)特設「情報の時間」

「情報の時間」は4月当初から開始し,生徒全員を対象に学級単位で,毎週1時間のペースで授業を行った。 そのうち「学級活動的単元」群については学級担任が自学級で指導したが,残る「専門教科的単元」群と「両 方可能な単元」群は全教員が単元ごとにリレーする形で指導した。 4月のうちに学習指導要領案と評価規準案を固め,それに沿って授業を行いつつ単元ごと,また1時間ごと に絶対評価も進めていき,「指導と評価の一体化」を図りながら評価事例も集めるよう努めた。また,毎単元 終了時には生徒に単元末評価のための小テストや小レポートなどを課すとともに,生徒にアンケート調査やイ メージマップによる調査を行い,指導によって生徒の身に付いた力や生徒の関心・意欲・態度などを多面的・ 多角的に捉えるよう心がけた。

(2)校内研究会

教員全員が放課後に集まり研究内容を議論する校内研究会を,本年度も例年通り毎月2回のペースで計18回 行った。このうち4月から7月は,順に学年3学級ずつ生徒を残して7時間目を特設し校内研究授業を実施し, 他の全教員が参観して議論する場を集中して設け,期間中に全教員が自教科で校内研究授業を行った。 特に,各教科における言語活動の充実と「情報の時間」との関係,またその時間において伸ばしたい思考力 ・判断力・表現力と「情報の時間」で指導している観点や思考法との関係については,授業者各自が何らかの 提案を盛り込んだ学習指導案を作って実際に校内研究授業を行い,授業で観察された生徒の事実を通して授業 後に具体的に議論することを重点的に行った。この期間には各教科とも,できるだけ滋賀大学教育学部の教科 教育学の教員を招き,校内研究授業やその後の議論で指導を仰ぐよう努めた。 8月以降は11月の教育研究発表協議会へ向けて各自が提案性のある学習指導案を作り,教員間で交流し議論 することを繰り返した。また「情報の時間」や総合学習BT の実践の進捗状況と成果・課題についても随時情 報交換と議論を行った。 12月以降は次年度の研究へ向けて,研究開発3年間の成果と課題について繰り返し議論した。 なお,校内研究会では全体会と少人数でのグループ討議を随時組み合わせ,議論が活性化するよう努めた。

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(3)運営指導委員会

本年度は運営指導委員会を4回開いた。日程と案件は次の通りであった。 ・第1回 8月10日 松原伸一委員出席 「情報の時間」授業内容,研究発表協議会の詳細,研究のまとめ方について ・第2回 9月24日 松原伸一委員出席 「情報の時間」学習指導要領案ならびに評価規準,評価参考事例集案について ・第3回 11月1日 水越敏行委員出席 「情報の時間」研究のまとめ方と本校研究の今後の方向性について ・第4回 11月2日 水越敏行委員・山田奨治委員・松原伸一委員出席 「情報の時間」授業内容・研究発表協議会の詳細,研究のまとめ方について

(4)視察・成果発表

本研究の内容と関連性のある各種の研究発表会や学会には本校教員をできるだけ派遣し,情報の収集に努め た。視察した教員には校内研究会でのレポート提出を求め,視察内容の共有化を図った。 また,本校の研究成果を関連する学会や研究会で積極的に発表し,広く意見を求めた。得た意見については 校内研究会で紹介し,実践研究の改善に生かした。発表した会と発表題目は,次の通りであった。 ・5月13日 情報教育学研究会(IEC) 大阪電気通信大学寝屋川市駅前学舎(大阪) 小中高大の連携も視野に入れた中学校における情報教育の実践 ・6月16~17日 日本情報科教育学会第5回全国大会 信州大学長野工学キャンパス(長野) 中学校教育の学習の核として開設する「情報の時間」の実践と成果の報告 ・8月3日 IMETS フォーラム2012 第39回教育工学研修中央セミナー(東京) 紙と鉛筆ではじめる情報“学”教育 ~「情報の時間」の実践の報告~ 言語活動の充実につながる思考力の育成を目指して ・8月25~26日 日本教育情報学会第28回年会 聖徳大学松戸キャンパス(千葉) 中学校における情報教育の実践報告 ~シンキングツールを用いたICT 活用の成果と課題~ ・10月6~7日 日本教育学方法学会第48回大会 福井大学文教キャンパス(福井) 現代社会における教育方法の模索 ―言語活動の充実を意図した紙と鉛筆で始める「情報“学”教育」より― ・11月24日 第8回情報教育合同研究会 園田女子大学(兵庫) 中学校における情報教育 「情報の時間」の実践報告 ~1年生から学ぶ情報の創造・分析・発信~

(5)教育研究発表協議会

11月2日に標記協議会を行い,全国各地や大韓民国から教員,研究者,教育行政担当者,大学院生,また来 日中の中華人民共和国からの留学生など,300名を超える参加者が来校した。 大会の概要は次の通りであった。 ・大会テーマ 明日に生かせる「情報の時間」~思考・判断・表現の力を伸ばすために~ ・日程 9時~ 開会行事 来賓代表ご挨拶:水越敏行運営指導委員(大阪大学名誉教授) 9時15分~ 基調提案(本校研究主任) 9時45分~ 公開授業1(国・数・保体・技・家・英・「情報の時間」2学級)

参照

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