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金融機関のリスク管理と資産運用ビジネス

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Academic year: 2021

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(1)金融機関のリスク管理と資産運用ビジネス 河 西 洋 文 CMA・CIIA (証券アナリストジャーナル編集委員会委員). 1.はじめに. なった「統合的リスク管理」は、共通のリスク尺. 昨今、銀行や保険会社などの金融機関では、リ. 度(VaRなど)を用いて各セグメントのリスク量. スクアペタイト・フレームワークあるいはERM. を計測して統合し、全体での資本の十分性を確認. (Enterprise Risk Management)と呼ばれるリス. するとともに、上限となる管理会計上の資本を配. ク管理が行われるようになっている。金融危機で. 賦することで各セグメントに健全なリスクテイク. の教訓から従来のリスク管理方法が進化している. を行わせる仕組みである。資本(許容リスク量). と言えるが、国際金融規制強化により必要とされ. の配賦に当たっては、通常、リスクを勘案した収. る資本が増えたことや、グローバルな低金利環境. 益性指標(例えばRAROC(注1))が資本効率の. で厳しい収益状況に直面していることなどで、よ. 測定に用いられる。. り精緻な資本のマネジメントが必要となっている. しかしながら、例えば証券化商品で見られたよ. ことも背景にあろう。資産運用業界では、そのビ. うに、リスクの定量化が難しい場合などにはリス. ジネスの性格もあって資本管理へのプレッシャー. クが過小評価され、また、資本効率を追求する裁. は銀行ほどではないが、発展するリスク管理の方. 量とインセンティブを与えられた部門は、過度な. 法から学ぶところは多いと思われる。. ポジションをとりかねないという構造を内包して. 本稿では金融機関で進むリスク管理と、その資. いた。実際、金融危機の際に多くの金融機関が想. 産運用ビジネスへの示唆について概観したい。. 定を大きく上回る損失を被ったこともあり、その 後、資本規制の強化とともにリスク管理のあり方. 2.リスクアペタイト・フレームワークあるいは ERM. も見直されてきたのは周知の通りである。金融安 定化理事会(FSB)や各国規制当局によって、統. まず、リスクアペタイト・フレームワークある. 合的リスク管理を発展させたリスクアペタイト・. いは保険会社でのERMについての概要である。. フレームワーク(RAF)の導入が促され、日本で もメガバンクをはじめとする金融機関で取り組ま. ⑴ リスクアペタイト・フレームワーク. れている。. 今世紀に入り金融機関で広く用いられるように. RAFは、 「リスクアペタイト、すなわち『戦略. (注1) リスク調整後収益率(risk-adjusted return on capital). 50. 証券アナリストジャーナル 2018. 5.

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