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ベネズエラ 何が問題か? 1. マドゥーロ大統領の正当性 2. グアイドー暫定大統領の正当性 3. 経済危機の現状 : 厳しい経済状況 4. なぜ 人道的危機 と規定するのか 5. 人権が著しく侵害されているか? 6. 弾圧があるのか? 7. メキシコ ウルグアイの対話案提出される 8. 制裁と内政

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ベネズエラ、何が問題か?

1. マドゥーロ大統領の正当性 2. グアイドー暫定大統領の正当性 3. 経済危機の現状:厳しい経済状況 4. なぜ「人道的危機」と規定するのか 5. 人権が著しく侵害されているか? 6. 弾圧があるのか? 7. メキシコ・ウルグアイの対話案提出される 8. 制裁と内政干渉 9. 外国軍事介入の可能性 10. 米国及び EU の干渉の目的 11. 国民の支持はどこにあるのか 国際的な一般報道では、マドゥーロ大統領を、法的に正当性をもたないとして、米国、EU 諸国の大半、日本を含め52 カ国が認めず、グアイドー臨時大統領を正当な大統領と認めて います。一方、キューバ、ニカラグア、ボリビア、メキシコ、カリコム諸国、アフリカ連合 など、国連加盟国の193 カ国の 4 分の1は、グアイドー政権の正当性を認めていません。 それでは、それぞれは、はたして正当性(合法性)をもっているのか、時系列と法的に見 てみましょう。 1. マドゥーロ大統領の正当性 マドゥーロ政権の正当性の経過は、次の通りです。 2016 年 2 月から野党の MUD は、マドゥーロ大統領退陣に向けた罷免国民投票を求める。 しかし、全国選挙評議会(CNE)の申請承認が大きく遅れる事態が生まれ、罷免国民投票を 2016 年中には実現できず。 2017 年 1 月、国会、多数決により、マドゥーロ大統領が職務放棄(憲法第 233 条の絶対的 不存在)をしているとの宣言を採択。最高裁は、無効と判断する。また国会による閣僚の罷 免要求続く。国会機能不全に。4~5 月過激な暴力デモ続く。 2017 年 5 月 1 日、マドゥーロ大統領は、憲法第 347 条(制憲議会選挙の許可)、348 条(大 統領の招集権限)、349 条(選挙結果の尊重義務)に基づいて制憲議会の招集を提案。野党 MUD、制憲議会選挙の参加の意向を示し、7 月 30 日の選挙前に、与野党会議で従来の国会 と制憲議会が共存すること、議席の配分も合意。その合意書にまさに署名しようとしていた 時、ある大使館から野党側の携帯に電話があり、野党は合意書に署名しないと態度を変える。 与野党双方は、2017 年 9 月 13 日からは、ドミニカ共和国でメディーナ・ドミニカ大統 領、サバテーロ元スペイン首相の仲介で、会談を行う。野党の過激派、大衆意志党は会談に 参加せず。与野党協議継続され、2018 年 1 月 11 日から協議が行われる。協議では、①ベネ ズエラの主権、ベネズエラへの干渉と制裁への反対、②大統領選の選挙日程、選挙の保証、

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2 ③立憲主義国家の強化、④経済・社会政策、⑤真相究明委員会、⑥合意検証委員会にの6 項 目が話し合われ、野党の意見入れ、合意。 31 日再開された与野党協議の結果、最終的には 2 月 5 日にカラカスで両者が協議するこ とで合意する。6 日、政府側は、合意書の署名のためにドミニカを訪問し、合意書に署名し て、野党側の署名を待つことになった。しかし、ホルヘ・ボルヘス野党代表は、コロンビア にいるティラーソン国務長官から電話を受け、署名しないようにとの指示で、署名を断念 (HispanTV, Telesur 18.02.07)。ここからは、マドゥーロ大統領に正当性がないと断罪する のは困難があります。 2. グアイドー暫定大統領の正当性 1 月 5 日輪番制で野党が支配する国会議長に大衆意志党のフアン・グアイドー氏が選出さ れ、グアイドー氏は、「軍部の支持があるならばマドゥーロ氏に代わり臨時大統領に就任し、 その後に自由選挙を実施する用意がある」と表明し、米国とリマ・グループの要望に呼応す る発言。 グアイドー議長は、1 月 23 日、「(憲法)第333 条及び 350 条に基づく責任を私は果たす。 非暴力を約束する。(マドゥーロによる)権限侵害を止めさせるため、ベネズエラの使命を 与えられた大統領として国家行政権を正式に掌握することを誓う」と宣言。しかし、この二 つの条文は、憲法擁護の精神をのべたもので、大統領を宣言する理由は書いておらず。グア イドー議長の宣言の直後、ポンペオ国務長官は、「米国は、憲法第233 条に基づき(絶対的 欠缺=不存在)就任したグアイドー新臨時大統領を承認する」と述べました。 憲法第233条には大統領の絶対的不存在について、以下のように述べられています。 「第233 条【絶対的欠缺(不存在)】 共和国大統領の絶対的欠缺(絶対的不存在)とは、 次のものを言う。死亡、辞任、若しくは最高裁判所の判決により命じられた罷免。または 最高裁判所により任命され、国会の承認を受けた医師団が認定したその身体的あるいは精 神的な恒常的な不能力。または国会により職務放棄と宣言された状態、あるいはその任期 についての国民投票による取消(下線筆者)。 しかし、同じ野党の社会主義運動党(MAS)のフェリーペ・ムヒカ議長(Globovisión, 19.01.2)、エンリケ・カプリーレス正義第一党の指導者(Nuevo Heraldo, 19.01.31)も、自 己宣言に反対しており、23 日にグアイドー議長が暫定大統領を宣言するとは知らなかった と証言しています。 実際は、前夜の22 日、ペンス副大統領がグアイドーに電話し、大統領を宣言するなら、 支持すると約束していたのです。数週間前から、米国政府上層部、同盟国、国会議員、ベネ ズエラの野党と極秘に進められた計画によるものでした (WSJ 19.01.25)。同氏の大統領宣 言は、野党が支配する国会でも事前の承認を得ておらず、正当性は疑わしいものです。 1 月 21 日~2 月 2 日に行われたインテルラセス社による世論調査によると、マドゥーロ氏 が合法的と見る人々は57%、グアイドー氏を正当と認めるのは 32%, 回答なしが 11%でし た(19.02.10 Ultimas Noticias)。 ここで、ベネズエラは、マドゥーロ対野党の対立ではないことを知っておく必要がありま す。与党は拡大祖国戦線(FAP)を結成し、野党は昨年初めまで MUD 民主団結会議を結成

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3 していましたが、過激な街頭闘争、大統領選挙参加を巡って分裂しています。大統領選挙で もマドゥーロか野党統一候補を直接選出するのではなく、それぞれの候補を推薦する政党を 選び、投票するのです。マドゥーロ独裁対民主主義という図式で一般に報道されていますが、 それぞれの政党が独自に活動し、選挙やデモに参加しているのです。デモの写真を見ればそ れは一見してわかるはずです。 グアイドー議長の自己大統領宣言は、野党MUD の総意によるものではなく、米国の指示 によるものであったことは、資料からも明らかです。 3. 経済危機の現状:厳しい経済状況 歴史的な「石油依存体質」(GDP の 16%、輸出額の 90%)からの脱出は未達成。石油価格 の下落、外貨準備高の減少、物資の買い占め、隠匿、横流し、密輸が増加、インフレの高騰、 物資不足の蔓延、人為的な通貨高などは、貧困層、中間層の生活に大きな打撃を与えました。

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4 信頼できる国連ラテンアメリカ・カリブ海経済委員会(CEPAL)が 12 月初めに発表した速 30.9 25.1 26.9 27.6 20.0 56.3 68.5 181 404 967 0.0 200.0 400.0 600.0 800.0 1000.0 1200.0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

インフレ率

1988~2016 %

40,638.15 65,021.00 97,531.00 136,543.40 177,507.00 248,510.00 392,646.46 17.01 17.04 17.07 17.09 17.11 18.01 18.03 2017年1月から2018年1月までに最低賃金は

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5 報値では、「ベネズエラの2017 年のインフレ率は、4 年連続3桁を記録し、300%を超えた のは二度目。しかし、2017 年トランプ政権による経済制裁が強化されて以降、インフレの 性格が変わりました。 ベネズエラ経済は、2013 年以降、他のラテンアメリカ諸国とおなじく、後退傾向にあり ましたが、14 年 12 月にオバマ米大統領が、制裁法、「14 年ベネズエラの人権及び市民社会 擁護法」案に署名し、経済制裁を科して以降、加速して経済が後退しました。 ハイパー・インフレは、2017 年に経済制裁が強化される中で天文学的に悪化し、性質が 変わりました。政府は、懸命の対策を取り、インフレを追っかける最低賃金の上昇という形 を取っています。 実際の生活状況では、いずれも、著しく誇張された数字が報道されています。ベネズエラ 生活状況調査(ENCOVI)で 64%が、この 1 年で体重が 11 キロ減ったとしています。しか し、対象の選択、データ作成に疑問があります。東大の石橋教授も2 月 18 日の同紙のフェ イスブックで、統計への疑問を述べています。食料を保障もできない政府は、政府の資格が ないと断罪するのは、報道の真偽の読みが浅いものと言わざるを得ません。グアイドー国会 議長は、このままでは、20~30 万人の餓死者がでるだろうと演説していますが、その断定 の資料を示していません。17 年 8 月からの米国の経済封鎖及び制裁で 350 億ドルの被害を 受けたと報告されています(19.02.07 El Universal)。 IMF、ベネズエラ 2019 年、1,000 万%のハイパー・インフレの見込みと発表(18.10.09 Reuters)。これは、過剰な予測で、本年、2 月野党が支配する国会の発表では、年率約 40 万%で、インテルラセス社は、年率10,970.2%報道しています(19.02.23 Globovisión)。1,000 マンパーセントというのは、ベネズエラのどの資料からもでてきません。 移民問題は、300 万人が国外に?と言われていますが、正確な統計はありません。しかし、 コロンビア政府統計によると、ベネズエラ=コロンビア国境を通過する9 割近い人々は、買 い物や家族訪問、観光の短期滞在と報道されています(19.02.16 El Universal)。実際は、 60 万人程度でしょうか。 ベネズエラ・コロンビアの国境を通過する人々の割合は次の通りです。ベネズエラ側でな く、コロンビア政府の資料です。 24時間以内の 短期滞在 69% 数カ月以内の 中期滞在 23% 移民目的 5% コロンビア経由 他国に 3%

ベネズエラ・コロンビア国境通過滞在別

18.09 %

24時間以内の短期滞在 数カ月以内の中期滞在 移民目的 コロンビア経由他国に

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6 出所:国際移民機構コロンビア委員会及びコロンビア外務省、Telesur 18.09.19. 出所:国際移民機構コロンビア委員会及びコロンビア外務省、Telesur 18.09.19. 4. なぜ「人道的危機」と規定するのか 2005 年 9 月の国連首脳会合成果文書では、軍事的介入は安保理の承認が必要としていま す。国連の人権部門の独立専門家である米国の弁護士のアルフレド・デ・サヤス氏は、ベネ ズエラを訪問し調査を行い、「もちろん不満、懸念、モノ不足はあるが、ベネズエラの状況は 人道的危機には当たらない」と述べています。 2017 年 4 月、米南方軍司令官のカート・ティッド提督は、米国上院軍事委員会に対して 「ベネズエラの深まりゆく人道的危機が最終的に地域レベルでの対応を要求するかもしれ ない」と断言し、人道的危機と決めつけ、その結果、軍事介入が必要となることを示唆し、 人道危機と問題にする本心を吐露しています。 人道支援には2 つの形があります。 ① 公的な機関を通じて政府が受け取り、全国民に公平に供給する。 ② 特定の国、組織が、特定の組織に供給する。 マドゥーロ政権は、①の形の人道支援を、否定していません。 (例1)18 年 5 月 23 日、大統領選で闘ったベルトゥッシ前候補と会談、人道支援の受諾 に合意。医薬品と食料について何らかの形の人道支援を受け取ることを承認。但し、政治 的色がついてはいけない(18.05.23 Efecto Cocuyo)。 (例2)19 年 2 月 21 日、マドゥーロ大統領は、ベネズエラの国連機関を通じて 20 億ド ルの EU の技術的人道支援を政府が受け取ることを受諾。しかし、20 億ドルは借款とし て、後ほど支払うと。また、国連に、医薬品と食料の購入のため技術的な人道支援リスト を要請。不可能なれば、ベネズエラは年間40 億ドル支払う用意がある(19.02.21 Sputnik) マドゥーロ政権は、②の米国、ブラジルが行おうとしている反政府勢力への直接の引き渡 しを拒否しているのです。 コロンビア在住の国際赤十字委員会代表団長、クリストファ・ハーニッシ氏は、「現在野 党がおこなおうとしている人道支援は、人道支援ではない。赤十字の人道の条件を満たして 52 17 14 10 5 2

ベネズエラ・コロンビア国境通過目的

別18.09 %

買い物 家族訪問 就労 その他 観光 留学

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7 いないので、参加しない、独立、一部に利益を与えない、中立という人道の条件により守ら れなければならない」と述べています(19.02.10 Ultima Noticias)。 5. 人権が著しく侵害されているか? 国連人権理事会は、これまで3 本の報告を発表しています。 ①2017 年 8 月「国連人権高等弁務官の報告」 ②2018 年 6 月「国連人権高等弁務官事務所報告」 ③2018 年 8 月「ベネズエラにおける人権の状況等に関する国連の独立専門家による報告 書」国連人権理事会の独立専門家、アルフレド・デ・サヤス専門官 この①②は同じ人物ザヒール氏が執筆したもので、③のサヤス氏の報告と内容が著しく異な っています。サヤス氏は、①②の執筆者ザヒール氏は、ベネズエラを訪問せず、反政府勢力 の提供した資料に基づいて作成したものと批判しています。ザヒール氏は、キューバに関す る人権報告でも特定のバイアスがかかった報告をしており、同氏の報告を読む際、注意がひ 一方サヤス氏の報告は、ベネズエラで与野党を含め調査した結果の報告であり、より客観性 があると思われます。この3文書について非難決議や勧告を行っていません。 リマ・グループは、17 年 8 月にベネズエラの野党勢力が過激な暴力デモが批判を受け、 活動が行き詰る中、野党勢力を支援するために結成されたもので、結成以来、常にマドゥー ロ政権の批判活動を行っています。リマ・グループは、創立時、カナダ、アルゼンチン、ブ ラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、ホンジュラス、パナマ、パラグアイ、 ペルー、メキシコ、ガイアナ、セントルシアの14 か国でしたが、本年 2 月 25 日にボゴタで 開催された会議では、非加盟国の米国のペンス副大統領が出席し、会議を主宰し、米国の強 硬な対ベネズエラ政策、制裁を述べ、グループに同調を求めました。フリオ・ボルヘス(正 義第一党)国会議員は、米国に軍事介入を要請しました。グループは、軍事的解決には反対 しましたが、外国勢力の干渉そのものには、反対しませんでした。 また、米国によるリマ・グループの結成とその利用は、米国とカナダを抜きにした33 カ 国が加盟する中南米・カリブ海諸国共同体(CELAC)の中に分裂を持ちこみ、機能不全に して、再び米州機構(OAS)を中心に西半球を支配しようという米国の覇権政策であること を見落としてはなりません。 6. 弾圧があるのか? 弾圧があるのかどうかの判断するためには、次の事実を見ておく必要があります。 ① マドゥーロ政権になって、いずれの政党も禁止されていない。 ② 2014 年、2015 年、2016 年、2017 年、2019 年と反政府派の大規模なデモが行われた が、一部が暴徒化し、公共建造物、個人、警察への過激な破壊行為に出た場合を除き、 デモは制圧されていない。 ③ カプリーレス、アジュップ、フリオ・ボルヘ、ベッキオ、コリーナなどの反政府リーダ ーは、逮捕されずに政治活動を自由に行っている。大衆意志党のレオポルド・ロペスは、 2014 年 2 月の破壊活動の中心人物として裁判を受け服役中。 ④ 今回暫定大統領を自己宣言したグアイドー国会議長も弾圧されず、国会議長に今年1 月

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8 選出されている。 ⑤ 今回2 月 22 日にグアイドー氏の方から、カベージョ制憲議会議長に会見を申し込み、 ホテルで会談を行い、翌日の暫定大統領宣言を否定して去り、翌日暫定大統領を自由に 宣言した事実をどう見るか。弾圧機関に、弾圧されている方が生命の危険を顧みず、夜 半に会談を申し込むだろうか。また、弾圧しているのなら、その夜、グアイドー氏をな ぜ逮捕いなかったのか。 ⑥ 2 ページの表のように、ベネズエラでは、与党が 10 政党、野党が 18 政党、どの政党も 禁止閉鎖されず、それぞれ自由に活動しており、また自由にデモを行っています。火器 などを使用した過激な暴力デモ以外はいずれも制圧されていません。TV も新聞も反政 府派が70%以上握って、自由に報道しています。検閲制度はありません。旧ソ連、中国、 ベトナムとの比較はできません。GDP の 60%は私的資本が占めており、ベネズエラは、 完全な資本主義、複数政党制、複数マスメディア主義の国です。 ⑦ ロイター、ニューヨーク・タイムズなどの外信を見る前に、中道から、超保守にいたる Ultima Noticias, Globovisión, El Universal, El Nacional, Tal Cual などの新聞を先ず 読むことが必要です。 7. メキシコ・ウルグアイの対話案提出される 2 月 6 日、メキシコとウルグアイ政府は、カリコム諸国、国連の支持を受けて、無条件の 4 段階に渡る交渉の日程を提案しました。 第一段階:条件なしの早急な双方の対話。その後の双方の対話の条件を作成。 第二段階:双方の交渉、対話の結果の発表、双方の共通点を見出せるような立場の柔軟化を 進める。 第三段階:約束と合意の署名。 第四段階:国際的な支援を受けて、合意の導入と実行。 この提案を、メキシコ、ウルグアイ、カリコム、ボリビアも含め、米国とグアイドー議長を 除く、すべての関係者が合意しました。しかし、グアイドー議長はマドゥーロが退陣するな ら対話を受け入れると述べ、現在でも態度を変えてはいません。 翌日、国際連絡調整グループ(IGC)14 カ国会議が開催され、最終宣言で、民主主義、法 治国家の復活、国会の尊重、基本的自由、人権の尊重、早期の自由、透明、信頼できる選挙 の実施、継続的な人道支援の受入れ、そのための国連難民局及び国際移民機構より使節団の 派遣、3月に閣僚級の会議の開催などを記載した最終宣言を採択しました。賛成は、フラン ス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリス、コス タリカ、エクアドル、ウルグアイの 11 カ国。反対は、ボリビア、メキシコ、カリコム。ボ リビア、メキシコは、選挙の実施、人道支援受け入れの要請は内政干渉として反対しました。 国連、国際赤十字は、人道支援を政治道具にしないようにと提案しました。 8. 制裁と内政干渉 もともと、ベネズエラの問題は、チャベス大統領の時期から、新自由主義と決別しベネズ エラの真の社会変革を推進し、大多数の国民の生活向上を図る勢力、革命の側と、これまで

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9 の富と権利を維持して変革をつぶし、新自由主義政策を復活させようという寡頭勢力、富裕 層の反革命の側の、両者の生存をかけた熾烈な戦いです。左右の勢力が、全力を挙げて正面 から対決している全面的な戦いです。野党勢力、反革命の側は、人権、政治的自由の問題を 提起しますが、真の目的は一つ、革命を推進する政権を打倒することで、クーデターあり、 街頭での暴力的破壊活動あり、経済戦争あり、偽の情報の拡散あり、内政干渉ありです。反 革命の側は、米国を初めとする海外の新自由主義政権に支援を求め、ベネズエラの豊富な資 源の確保も目指して、内政干渉を誘引しているのです。 革命の側は、これに対抗しつつ、社会改革を進めますが、憲法に依拠しながら反革命の策 謀と戦わなければなりません。その中で無法な反政府勢力に対する対応に誤りが出ることも あります。その点を反革命側は利用して反撃します。しかし、そうした複雑な戦いにおいて、 もっとも重要なことは、ベネズエラの問題はベネズエラ国民が決めるというベネズエラの主 権を厳格に尊重することです。 マドゥーロ政権になって、体制変換をめざす内政干渉は、一層頻度を早めています。制裁 は、14 年 12 月にオバマ米大統領が、制裁法、「14 年ベネズエラの人権及び市民社会擁護法」 案に署名した時から、EU 諸国も歩調を合わせて始まり、金融制裁は、16 年 4 月から開始さ れています。 国連のイディリス・ジャザイリ制裁特別報告官は、1月31 日、米国がベネズエラへの制 裁を強化したことについて、飢餓と医薬品不足につながり、ベネズエラの危機の解決にはな らないと強調しています。 制裁は、松井芳郎他『国際法(第5 版)』(有斐閣、2007 年)によれば、「国際法上違法と されるのは,他国の国内管轄事項に命令的に介入すること、すなわち、他国を強制して特定 の行動をとらせ,またはとらせなくすることである。命令的・強制的介入の典型的な手段は 武力であるが。武力による威嚇および武力の行使は国連憲章2条4でそれ自体として禁止さ れているから,武力干渉は不干渉原則と武力行使禁止原則の両方に違反することとなる。 経済援助の停止などの政治的・経済的圧力の行使も,他国による主権的権利の行使を従属さ せたり,他国の政治・経済・文化的体制の選択権を侵害する目的で行われる場合には,違法 な干渉となる(不干渉宣言,友好関係原則宣言)。」ということです(110 頁)。 1970 年に国連総会で採択された「国際連合憲章に従った国家間の友好関係及び協力につ いての国際法の原則に関する宣言(友好関係原則宣言)」では、このように述べられていま す。 「いかなる国又は国の集団も、理由のいかんを問わず、直接又は間接に他国の国内問題又 は対外問題に干渉する権利を有しない。 したがって、国の人格又はその政治的、経済的及び文化的要素に対する武力干渉その他 すべての形態の介入又は威嚇の試みは、国際法に違反する。 いかなる国も、他国の主権的権利の行使を自国に従属させ又は他国から何らかの利益を得 る目的で他国を強制するために、経済的、政治的その他いかなる形の措置も使用してはな らず、またその使用を奨励してはならない。 また、いかなる国も、他国の政体の暴力的転覆に向けられる破壊活動、テロ活動又は武 力行動を組織し、援助し、助長し、資金を与え、扇動し又は、黙認してはならず、また、

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10 他国の内戦に介入してはならない」。 9. 外国軍事介入の可能性 2 月半ば、米軍、カリブ海で空母 2 隻、海兵隊 2,200 人を派遣し、ベネズエラ包囲体制を 展開しています。また、南方軍司令官、幹部が、頻繁にコロンビア、ブラジルを訪問し、両 国の政府・軍幹部と打ち合わせをしています。2 月 9 日、フランシスコ・パルミエリ米国務 省西半球担当主席副次官補は、「もしマドゥーロ政権がベネズエラ国民に食料、医薬品、医 療サービス援助だけを許可するなら、われわれは直接の衝撃を与えるであろう」と述べ、軍 事介入を示唆しました。ボルトン大統領補佐官は、ベネズエラの軍事介入に関して、5,000 名の部隊をコロンビアに派遣するというノートを記者会見で意図的に見せ、「ベネズエラに 侵攻があれば、それは、ベネズエラ軍の責任」と述べ、軍事進攻が行われても、ベネズエラ のせいだと軍事侵攻を弁護しました。ペンス米副大統領は、何度も「今は対話の時でなく、 行動の時である」と述べ、軍事的介入を示唆しています。トランプ大統領は、2 月に入り、 軍事介入の可能性を繰り返し、マドゥーロ大統領との対談を拒否。同大統領は、フロリダ州 マイアミで演説し、「べネズエラのマドゥーロ大統領について『キューバの操り人形だ』と 述べ、退陣を求め、あらゆる選択肢がある」とも主張、改めて軍事介入の可能性をちらつか せて牽制(けんせい)しました。 奇妙なことは、グアイトゥー氏が、「米国の軍事介入は、論議をよぶことだが、米国の人道 支援を受けるため、排除せず」と述べていることです(19.02.08 AFP)。しかし、軍事介入 によってマドゥーロ政権が倒れることはあっても、ベネズエラ国民の 90%以上は、米国の 軍事介入に反対しているのです(19.02.21 Correo del Orinoco)。「暫定大統領」としては、 国民の要望に全く沿わない自己都合の発言ではないでしょうか。 2 月 26 日、米国の要請で国連安保理が1月 26 日ついで2回目に開催されました。大多数 国々は、軍事介入反対。南ア、クエート、インドネシアは、対話による解決を主張。ペルー も、ベネズエラ国民により平和的に解決されるべきと主張。ドミニカ、フランス代表も軍事 介入に反対。ロシア、中国、赤道ギニアは、内政干渉にも軍事介入にも反対しました。世界 の大勢は、米国や、米国と協調したコロンビア、ブラジルの軍事介入に反対なのです(Telesur, Ultima Noticias)。 第二次大戦後のラテンアメリカにおけるアメリカの干渉は、2018 年まで 22 件、内、米軍 の直接侵攻3 件、傭兵による侵攻 3 件あります。こうした歴史からすれば、米国の軍事介入 の可能性は低くありません。 軍事介入には、当然の多くの国が反対していますが、その中には二通りの態度があります。 ①一つは、ベネズエラへの軍事介入には反対するが、現在まで行われてきた、また現在行わ れている内政干渉には反対しない国々があります。それらは、EU 諸国、リマ・グループ諸 国などです。②もう一つは軍事介入にも、内政干渉にも反対する国々です。それらは、キュ ーバ、メキシコ、ウルグアイ、ボリビア、ニカラグア、カリブ共同体、南アなどです。しか し、国際法、国連憲章、友好関係原則宣言などに照らすと、①の政策は、米国の軍事干渉に 反対することによって、むしろ米国、EU、リマ・グループの内政干渉を是認するものとな っています。

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11 10. 米国及び EU の干渉の目的 次のことが考えられます。 ① 少しでも社会主義的用語を掲げる政権は許すことができないという、伝統的な反共主 義(19.02.18 トランプ演説)。 ② かつて勢力圏として支配していた米州を、CELAC(ラテンアメリカ・カリブ海諸国共 同体)を解体して、全面的に支配力を回復すること(18.02.01 ティラーソン演説)。 ③ 左派政権で、反新自由主義国であるベネズエラ、キューバ、ボリビア、ニカラグア政 権を転覆する(18.11.01 ボルトン大統領安全保障補佐官)。 ④ ベネズエラの豊富な資源(石油埋蔵量世界第1位、天然ガス第 8 位、ボーキサイト世 界第7 位、鉄鋼第 17 位)を確保するという帝国主義的野望、 ⑤ EU は、政治的原則として、人権、民主主義、法の支配を掲げ、経済的原則として市場 経済の尊重を掲げている。お互いの国内問題に干渉する下で、共通行動を行い、利益 を得るという統一の原理で成り立っている。内政干渉について考え方が甘いところが ある。 11. 国民の支持はどこにあるのか 筆者は、主権の擁護は、かつてレーニンが、ローザ・ルクセンブルグとの論戦において次 のように述べた政治的傾向の評価よりも上の上位概念と考えます。「ベネズエラのことはベ ネズエラ国民に」と主張することは、ベネズエラの主権、民族自決権の擁護、内政干渉反対、 話合いによる対話と平和の追求を意味するものです。 マドゥーロ政権が、どれだけ国民に支持されているかについて、いろいろな意見がありま す。「グアイドー氏の暫定大統領就任を支持する人々が約8 割」(アジア経済研究所坂口安紀 氏)、あるいは、「国民が飢えている状況で国民の大多数から支持されていると考えることは できないのは常識で当たり前の話」など、マドゥーロ政権は、国民の間でほとんど支持され ていないという見解が飛び交っています。坂口氏の数字は、反政府派の調査会社 Hercon Consultores 社のものと思われますが、しかし、疑問があるのは、グアイドー氏は、それま で国民の間でもほとんど知られていなかった人物だったことです。 マドゥーロ政権に対する情緒的評価からの推測は別として、ベネズエラでおこなわれてい る世論調査はどうでしょうか。 インテルラセス社の調査結果 先ずは、独立系調査会社、インテルラセス社の世論調査を見てみましょう。インテルラセス 社は、政府寄りの調査会社ですが、近年選挙予測では結果に近い数字を報道しており、極端 な誤差はなく、一定の信頼性があります。これを報道した新聞社は、ベネズエラの中道右派 のGlobovisión 紙です(2 月 3 日付)。同社も一定の客観性があると認めたからでしょう。 インテルラセス世論調査は、2019 年 1 月 7 日~20 日、1,580 人を調査したものです。 31%がベネズエラ社会主義統一党を支持、1%が大祖国連合 (GPP)で、与党支持合計は 32% です。一方、野党は、民主行動党 (AD), 3 %、正義第一党 2 %、大衆意志党 6 %、民主団結 会議 (MUD)1 %、キリスト教社会党(Copei) 1 %、進歩的前進党 1 %、その他野党 1 %で、

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12 野党合計は16% です。 このことから、与党支持派は32%、野党支持派は 16%、無党派は 52%となります。 この数字は、2018 年 11 月ジェトロ・アジア経済研究所セミナーにおいて、ベネズエラ人 のブリセーニョ教授が引用したラテンアメリカ最大の世論調査ラティノバロメトロの結果 と一致しています(下記グラフ)。ブリセーニョ教授は、マドゥーロ大統領の退陣を望んで いる野党派の研究者ですが、与党10 政党の合計支持率は、47.6%、野党 8 政党の合計支持 率は38.1%、穏健野党 2 党の合計支持率は 9.5%、その他独立系 1 党の支持率は 4.8%と報告 しています。 大統領選挙、県知事選挙、県議会、基礎行政府選挙、世論調査などをみても、チャベス派 は55~65%、反チャベス派は 45~35%の支持を得ています。毎年のように選挙が行われるベ ネズエラでは、その回ごとに支持者の信念が固まり、固定化しているのが特徴です。 31 1 3 2 6 1 1 1 1 52

ベネズエラ政党支持

19.01

ベネズエラ社会主義統一党 大祖国連合 民主行動党 正義第一党 大衆意志党

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13 2017~2018 年にかけて、ブリセーニョ教授も与野党で大きな支持の差があったことを認め ているのです。 筆者は、主権の擁護は、かつてレーニンが、ローザ・ルクセンブルグとの論戦において次の ように述べた政治的傾向の評価よりも上の上位概念と考えます。「ベネズエラのことはベネ ズエラ国民に」と主張することは、ベネズエラの主権、民族自決権の擁護、内政干渉反対、 話合いによる対話と平和の追求を意味するものです。 「民族自決権は民主主義の原則であり、「この一般民主主義的な内容無条件に支持」しな ければならない(レーニン「民族自決権について」、全集⑳ (440-441)。もしも反動派の支 配にそれらの国がおかれるようになったとしても、それぞれの国の進路は、その国の国民 自身が決定するものである。ブルジョワジーが支配を握れば、勤労人民は、自分たちを解 放するために問題となるのは、資本主義であることをますます理解するようになる」とい う指摘があります(レーニン全集⑳ (457-458))。佐々木一司・聴涛弘『社会主義と民族自 決権』(新日本出版社、1982 年)p.31-32 (2019 年 3 月 3 日 新藤通弘) 赤政府派、青野党、緑無党派

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