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The Japanese Assooiation of Management Aooounting
凵本 管 理 会 甜 学 会 誌
管 理 会 計 学1998 年 第6巻 第1号
事例研 究
鉢花生産 に お け る棚 面 積 と灌 水 作 業の 省 力 化 を 考慮 し た 最適 な温 室 サ イ ズ の 決 定 に 関 する一 考 察
丸山 義 博 *
〈研 究 要 旨〉
鉢 花の 生 産 で 面積が一一
定の 用 地 に 温室を設 置し,底面給水方式を導入するこ と で灌 水 と施肥の 作 業 を 省 力 化 し,そ れに よっ て余 裕の で き た 人 手 を 生 産の 増 大 に向 ける と き, 作 業の 省力 化 と棚の 設置に要 する費用は よ り少な く, 生産 量は よ り増 大 する よ う な 温 室のサ イズ と棚の設 置の仕 方 につ い て , 優 劣 分 岐 分 析に より検 討 した.は じ め に,
温 室サ イ ズ と棚 面 積 あるい は温 室サ イ ズ と費 用の 関 係を,固 定 棚 を設 置 し た場 合と可 動 棚 を設 置 した 場 合に分 けて 図で 示し た.次に,こ の 分 析で得 ら れ た最 適 な 奥 行につ
い て,可 動 棚を設 置 し た温 室で 間[]が 10 .Om 以 上 〔12 .6m 以下 )の温 室につ い て,間 口 を よ り広 くす る と き,棚 面 積は よ り大で費 用は よ り小と な るこ と が判 明 し た.本 稿 は,限 ら れ た用 地 面 積の 下で ,作 業の 省 力 化と生 産 能 力の 増 大 を 目 的と した 温 室の サ
で ズ と棚の設置の検 討に有用 と考える.
〈 キ ーワー ド〉
温 室,底 面 給 水 方 式,棚 面 積,費 用.優 劣 分 岐 分 析.
1997年7月 受付 1997 年8月 受 理
呂富 山 県 立 大 学 短 期 た 学 部 ・般 教 育 等 助 教 授
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管 理 会 計 学 第6巻 第1号
1. は じ め に
本 稿で は, 鉢 花 を生 産 する 園 芸 農 家 を研 究の モ デ ル とし, 面 積が一定の 用 地 に温 室 を設 置 し, 人手に よる 鉢 花の 灌水と施肥の 作業の省 力化の ため 底 面 給水方式 (以 下で ST 方 式 と記す)を導入する. こ の とき, 考察の 対 象とする鉢 花の 需要は 十分にある とい う状況の 下 で, 作 業の 省力化で得ら れ た人 的 生 産 能 力はこの鉢 花の 生産の 増 大に向 けるこ と が で き
る もの とする . 生産の 増 大は収 入の 増 大 をもた ら し, 他 方, 生産の増 大 は棚 面積の増 大に よ り得 ら れ る もの とする.
こ の とき, 本 稿は, 作 業の 省 力化と棚 面 積の 増 大 に対 し, こ の ときの総 費用は よ り小で 総棚面積は よ り大を 目標に設 置 する温室の サ イ ズ と棚の 種類お よび 棚の設置の仕 方につ い
て 検討 する. 検 討 にあたり, 千 住 ・伏 見 [3]お よ び中 村 ・山凵 【2亅に よ る経 済性の 考え方 を適 用 する.
さ ら に, 温 室の 間 口 お よ び奥 行は , 国 内の 温 室 建 築の 専門会社 甲 社によ る温 室 基 本 仕 様 と参考農 家の 温 室 サ イズを考慮 する. こ の とき, 間口 は表 1の 基 本 仕 様の サ イズと し, 奥 行はス パ ン (柱 間 隔 )の倍 数の サ イ ズ とする .ST 方 式 に使 用 する資 材は, 国 内の ST 製 造 会社乙社の 規格 品を使 用するもの とする.
温室の 構造 につ い て は, 清水 [4】, 内海 [6 ], [7 】お よ び安井 [8 ]を, 棚の 設置の 仕方に
つ い て は参 考 農 家と鶴 島 [5】 を, さ らに参 考 農 家が使 用 して い る可 動 棚 (一
般 に ロ ーリン グベ ンチ と称さ れ る棚)につ い ては 三 原 [11をおの おの 参考にする.
1.1 参考 農家の施 設の設 置 状 況
富 山県 内に平成 2年 6 月現 在で 家 族 2 人と近 所の 主婦 3 人 (平 成5年 11 月現 在で 家 族 2
人, 親 戚 1人 お よ び近 所の主 婦 2 人 )の労 働 力 と敷 地 内に設 置 し た 生産施 設を使 用 し, 鉢 花 と花 苗の生産に よ り生計 を 立て て い る園芸 農 家が あ る. 本稿は, こ の 園芸農 家を研 究の
モ デ ル とす る.こ の農 家の , 検 討 をは じめ た平成2年 6月現在に お ける敷 地の形 状お よび 施 設 ・設 備の設 置 状 況は図 1 (実線 ) に示 し た と お りで ある. 図 1で No ,1〜No .7 の 7棟
の 温室の サ イズ お よ び 温 室 内に 設置 し てある棚 の種類 とサ イ ズ を表1 に示す .図 1で No.1,
No,3〜No .7の 各温 室は シ ク ラメ ンおよ び他の鉢 花, 花 苗の 仮 植 から出 荷 まで の 生 産に使 用 し, シ ク ラ メ ン の 定 植 期 に灌水 と施 肥の作 業に ST 方 式を使 用して い る. 図 1の No ,2の
温 室は稚 苗の栽 培 に使 用 し, 灌 水お よ び施 肥 は手 作 業で行 っ て い る.
こ の農 家の現在の 生産者は, 昭和40 年代 半ばに図 1で No 。1, No .2 の 2棟か ら鉢花生 産 をは じめ , 10年 余 りの 問に Ne .7 まで の 7棟の 温室を新設 し, さ らに , 平成 2年か ら平成
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鉢 花生産に お け る 棚 面積と潅水 作業の省 力 化を考 慮し た 最 適 な 温 室 サ イ ズの決 定に 関 す る一一考察
5年11 月 までの 期間に , No .8 の 温 室の 新設 とパ イ プハ ウス 2 棟をNo .9 の 温室に改 築 し
No.1の温 室は 間 口9.0 (m ),奥行30 (m )の 温室に改 築 するこ とで ,おの おの 温室の増 設 と 大型化をす すめて き た. 図 1の温 室の 場 合, 温 室の奥行 (以 下で 奥行 と記 す)お よび温 室
の 間口 (以 下で 間口 と記 す )の よ り大 きい 温 室は軒高お よ び棟 高 もよ り高 く, これ らの温 室 内部の 温度 ,湿 度,換気等は,温室サ イ ズの よ り小 さい 温室 に 比 べ , 作 業に よ り快 適な 環 境 を作 り出 し てい る.参考農 家の場 合, 限 ら れ た労 働 力に対 しよ り快 適 な作 業 環 境 を作 り 出 すこ とで , 作 業 能率 を 上 げ, 温 室 内で の長 時 間の作 業を可 能に し, 図 1の施 設 を十 分 に活用 で きる状 況 を作 り 出 して い るもの と考える.
1.2 ST 方式
鉢花の 灌水 と施 肥の作業の省 力 化に ST 方 式 を採 用 する. この ST 方 式に つ い て , 図 1の
参考農 家の場合 を写真 1 に 示 し, 以 下 で, 写真 1に よ る ST 方 式つ い て述べ る.
写 真 1で , 幅が 1.8 (m )の棚 に 8本の トイ (材 質は C 型 鋼)が並び, これ らの トイ上 に 5
号の ST 鉢に定植した (出荷 用)シ ク ラ メ ンが並べ て ある. これ らの ト イに並べ ら れ た シ
クラ メ ン の鉢 数は,1本の ト イで 1m あ た り3.8889 (鉢)で あ る.
写真1 (a), (b)は, 図 1の 温室No .9 の ST 方式を示し,通路に平行に通路脇の 地表に露 出 して い る水 道 管 (VP25 ) は, ST 方 式の設 置工事が完了す るまで に地 中に埋設 さ れ る.
さ ら に,1つ の棚 (幅 1.8m )に 1本の 水 道管 (VP13 )(長 さ は棚 幅 に等 しい )が ト イ 上 に, トイに対 し直角に配置され, こ の水道 管 (VP13 )に空けられ た穴か ら8本の トイそれ ぞ れ
に給 水が行 わ れる . 一 方 , 水 道 管 (VP13 ) は, 通 路 に平 行 に通 路 脇の 地 中に埋 設 (予 定 )
の 水道管 (VP25 )と ホース で連結さ れて い る,さ ら に,水道 管 (VP25 ) は温室中央にある 水 道の蛇 口 と ホース で 連結さ れ て い る.こ の とき,こ れ らの ST 方式に使用 さ れて い る水 道 管は規 格がVP25 (管の 内径 が 25mm )とVP13 (管の 内径が 13mm )の 2種 類 で ある.
また, VP25 の 水道 管 とホース の 接 続に規格が T−25 × 13 の 継手が使用 さ れ, ホ ース と
VP13 の 水 道 管の 接 続に規 格がT−13の継手が使用さ れ てい る,
写真1 (a ), (c)で , トイに送 られ た水 道 水は ST 鉢の底部か ら 出て い る紐に浸透 し鉢内に 給 水 (灌 水 ) さ れ る. 一 方 , ト イに送 ら れ た水 道 水 は トイの両 端か ら流 出 しない よ うに,
ト イの 一方の 端に栓 を し たST キャ ッ プ (材質は塩化 ビニ ール樹 脂 . 以 下で キャ ッ プ と記 す )が, 他方の 端に ミ ラーブロ ック(材 質は発 泡ス チU 一ル)が,おのおの取 り付 けて ある. ST 方 式 に よ る ト イへ の 給 水 に つ い て は, ト イの 端 に取 り付けた キ ャ ッ プ と水道管
(VP25 )を直接ホース で連結し トイに給水 する方法も考えら れ る.
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管理会計 学 第6巻 第1号
(a)参 考 農 家の ST方 式 (図1 No.9の温 室 (平成5 年11月2日現在 ))
(b)可 動棚 に設 置 し た ST 方 式
(図1 No .9の温室 〔平成5年11月2目現 在))
(c)固 定棚 に設 置 した ST方式
(図 1No .8の温室 (平成3年8月5日現在))
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鉢 花生産に おける棚 面 積と潅 水 作 業の省 力 化を考 慮 し た最 適な 温室サ イ ズの決 定に関す る 考 察
写 真1 ST方 式に よる シ クラ メ ン の 灌 水
(a),(b)につ い て
ト イ 上の細い 管 は 水 道 管 (VP13 )。水 道 管 (VP13 )と ホースは 継 手 (T−13)で接 続 ,こ のホース
と 通 路 脇の地 表に露 出し てい る水 道 管 (VP25 >は継 手 (T−25×13)で接 続.
ト イ 上の 白い 物 体は ミ ラーブロ ッ ク.
(b>につ いて,棚 と棚の 支柱 の 間に あ る円 筒 形の金属 棒は,棚の可 動に使 用 さ れ るコ ロ を示 す.
(c)につ い て,ト イ の端に栓を した キヤ ッ プ が取 り付け ら れ てい る.
ト イ 上 に,5号のST鉢に定 植 し た シ ク ラ メ ンが栽 培 さ れ てい る.
トイの サ イズにつ い て , 1.の 乙社の 場 合, 規 格 品と して 4 (m ) と6 (m )の 2種 類があ り,
棚の 長 さに応 じて 10cm 単 位で加工す る と して い る.参考 農 家で は,6 (m )を 越 える固定 棚に対 し, 温室 内で 棚の 長さ に等 しくなるまで 複数の トイ を継手で継 ぎ足 し, 特 注品は使 用 して い ない . さらに ST 方 式の 使 用 期 間は, シ ク ラ メ ン の 生 産で定 植 直 後か ら出荷 終 r
まで の期 間で , こ の 期 間 中の ト イ内の 水量の調 節は全て手動で行っ てい る.
1.3 棚の設 置
間口 と奥 行が与 え られ た温 室で , こ の温室 1棟の棚 面 積は, 設 置 する棚の 幅 と長 さ お よ び棚の 設 置 数に より決ま る. 他 方 ,棚の 幅 と長 さ,棚の 設 置数お よび通路幅は,温室の サ
イ ズ と作業 (灌水, 施肥, 除 草, 病 害虫の 防除等)の し易さを考えて設定さ れ る .こ の と き, 以下の検討で設 置 する棚の形は長 方 形 とし, 棚の サ イズ で寸法の短い 方の 長 さ を棚幅 と定め w あるい は w12 と お き, 寸法の長い 方の 長 さを棚の長 さと定め e とお く.この と
き, 棚 幅w は, 棚の両側 に通 路がある場合で , 作 業者が棚の 一方の側か ら 中央 まで手の 届 く長 さの 2倍の長 さ とする. また, 棚 幅w /2 は, 棚の 片 側 にの み通 路 が ある (他 方の側 は側 面に隣接 する) 場 合で , 作 業 者 が 棚に向 かい棚の 端 まで手の届 く長 さとする.
図 1 につ い て , No .1 〜No .7の 各温 室 に は, 表 1 に示 す ような固定 し た棚 (以 下で 固 定 棚 と記 す)あるい は動かすこ との できる棚 (以下 で 可動棚と記す)の い ずれ かの 棚が設 置 して ある.可動棚を設置した温室で は, 作 業時に作業者が 中央通 路 に立 ち, 棚 に 向かい 作 業をする棚を左 また は右に動か し, 作業に必 要な棚 と棚 の 間 隔を得て い る.ま た, 平 成 2
年以後に新 設 あるい は改 築 し た温室で,可動棚を設 置し た No .1, No.9 の温室で は, 既存
の温 室 No .3, No.5, No .6 に比べ , 棚 の 設 置 数 を減 らし, 作 業 が し易い ように棚 を配 置 し
て い る .
1.4 通 路の配 置 を考 慮 した棚の設 置 と棚の 可 動 距 離D
温 室 内の 通 路は, 灌水, 施 肥, 除 草, 仮 植 ・定 植の各作 業 ある い は出荷 鉢や資 材の 運 搬
お よび薬 剤散布等の作 業に使わ れ る. 図 1の No .1〜No .7の 各温 室の通路 と棚 の 設置 につ
い て 述べ る.No .1, No2 に つ い て ,通 路は妻 面に平行に幅0.4 (m )の 通路を温室の 出 入
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