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中学校・社会科教育における「性の指導」の問題点と              その実践的研究

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(1)

中学校・社会科教育における「性の指導」の問題点と

       その実践的研究 石 島 光夫* 内 山 鳥**

1 学校性教育の関連教科実践の問題点と本実践的授業の主な特徴

 これまで保健教育の専門家と称する者が,どれほど「関連教科の重要性」を強調し,実践の必要 を再々述べてきたことであろう。だが,それらが実践として実り,提示されたことは皆無に近い。

このように述べると「そんなことはない,ちゃんと理科でも家庭でもやっているし,道徳教育や学 級活動・指導でもやっている」という者が出てくる。

 確かに理科の時間の中で性に関する指導をしたり,道徳教育の時間の中で性の指導を実施してい るものがある。だが,これらの多くは「学校性教育」なのか「理科教育」「道徳教育」なのか不明・

曖昧なものばかりである。道徳教育の中の「時間」をとって性教育を実施するのであれば,それら は教科の目標や性格と独立・無関連なものになるから,道徳教育の中の,道徳教育としての性教育 ではない。同じようなことが理科教育等でもなされていることがある。

 石島実践はあくまでも社会科教育の目標や性格において,性の題材を取り扱っており,その時間 の性教育利用ではない。つまり,社会科教育の①「在来線」型の制度の中での性教育の実践であ る。学校性教育はこれまで,全教育活動の中で行うことが基本として指示,指導されている。特定 の教科だけが「占有領域」のように「突出的」に実施しても学校性教育として意味がないからであ り,Genderに関する内容は,それでは無理であることがわかっているからである。

 これまで性教育実践で「マスコミ有名型」なるものは②「一過的」「突出的」実践・特設的時間 設定によるものであり,日常的で「在来線」型のものは皆無の状況にある。これでは定着しないわ けだ。も一つの型は③ 「インシデンタル・偶発的」な性指導であり「後追い」「事後処理的指導」

である。これも一過的であり,何か事件が新聞ざたになったりすると,一時的に急拠対応したりす るものである。

 石島実践は社会科担当の指導者であれば,誰でも共通に担うべき課題を意識的に掘り下げている。

 在来線の社会科教育でも,性や公衆衛生・安全等に関する関連教材を持ちながらその実践となる と「甘く,浅い」取扱いが少なくない。「われわれは社会科だから,そこまで…」が主な理由とさ れてきた。この種の理由が学校教育として成立するとすれば「教科間の関連統合」とか「教科と教 科外活動の関連統合」等は論理的にも実践的にも成立しないことになる。つまり,学校教育におけ

る種々の教育活動は「ばらばら」に存在することになる。

 これまで性教育というと教科保健や理科に焦点があてられてきたが,これはSexualityのGender を見るとき,明らかにおかしなものであり,偏りとなるものである。その意味からしても社会科学 系の教科学習や非科学等の教科や教科外活動におけるGenderに関わる教育は意識的に実践がなさ

*茨城大学教育学部付属中学校  **茨城大学教育学部教育保健

(2)

166 茨城大学教育学部教育研究所紀要第24号(1992)

れなければならない。

 さて,石島実践の主な特徴にふれてみよう。

①歴史的分野で「差別」を取扱っているが,その中で「性差別・女性差別」が取り上げられ,性  教育の社会・文化領域の「つなぎ」となっており,補足,拡大,強化の意義は大きい。

②日常的な話題や身近な生活体験と性差別を結びつけたり,ME方式等で,歴史的視点(タテ)

 の他に(ヨコ)の視点で国際的視野も含めている。

③性教育でも事実認識は重要であるが,それは身体的側面の自然科学的認識に留まることが多かっ  たが,ここでは逆の方向・Genderの側面で社会的事実認識がNIEやC一②のアプローチで深めら  れている。

④事実認識から問題(群)認識問題(性)認識問題(レベル・水準)認識へ教授・学習内容  を構成することが健康教育のカリキュラム構成原理のC一①の一部(第一次元・科学的認識)

 (第二次元・問題性認識)となっているが,性教育のカリキュラムの基本的構造も類似し,共通  項をもつものとなっている。この構造は社会科カリキュラム・教材の構造との共通する側面であ  り,性教育の学習過程にとって転移性のッナギ・強化が期待できる。但し,事実認識から問題性  認識等までは性教育の独自性があり,その差異性については性教育の方で研究や実践が深められ  る必要がある。

⑤保健教育と同様内容・教材が過剰であり,「…熱心な教師ほど…社会科嫌い…」の傾向がな  くはなく,性教育の側から見ると「女性の差別の歴史」だけで深めることの希望をもつ。それに  しても「小集団学習・思考」に学習内容の展開は深く広い。理解することで新たに問題群認識等  と自己の課題の発見等である。

⑥性教育も保健教育の目標と同様,「行動の変容」をその一つとしているが,これは主体の行動  の変容にのみ関心や焦点が向けられている。行動の変容はそれだけではない。他者・社会,環境  の改善・維持・保全・増進に向けなされるべきものである。この実践では後者のそれらとの関連  を示すものとなっている。この他,社会科授業の方法,技術面の問題点があるがこれは除外する  ことにした。

      (内 山   源)

2 社会科教育における性に関する題材の実践

一歴史的分野の学習で「差別と人権」を取り上げた実践例・第2学年一 1) 歴史学習の中で「差別」の問題を取り扱う

(1)歴史的分野の最後の単元で「差別」の問題を取り扱う理由

  今までの歴史学習の中で,生徒は,人々が人間尊重の考え方に基づきながら人間としての権利  を獲得してきた事実や,豊かな社会の形成を目指してさまざまな社会の問題を解決しながら民主  主義の社会を築いてきたことを学んできた。しかし,現実には民主主義の考え方がしっかりと根  をおろしていないために,不幸な事態も起こっている。まずこの事実に目を向かせていきたい。

  なにげなく社会生活を送っている中に,部落差別や女性差別,人種差別等の問題が潜んでいる  ことに気づかせ,これらの問題を解決していくためには,一人ひとりが,今後どのように生きて  いかねばならないのか考えさせ,ほんとうの意味での自由のあり方や平等の考え方をとらえさせ

(3)

 ていきたい。

(2)授業の実際

  ○単元現代の世界と日本(民主主義をめざして)

  ○目 標 民主主義の社会といわれる現在の社会には,差別と偏見といったさまざまな問題が        潜んでいることに気づかせ,差別が生まれてきた歴史や背景,権利の回復の歩みを        理解させ,真の自由・平等を実現するためにはどのようにすればよいか考えさせる。

 ①資料について

  民主主義の社会と言われる中にも,

 さまざまな差別や偏見があることを  具体的にとらえさせるために,身近  な話題を新聞記事から取り上げるこ  とにした。また,女性差別の問題に  ついては,事前に生徒の生活体験や  日常目にしている事柄などを調べさ  せ,学習への興味づけを図った。さ  らに,男女雇用機会均等法の記事や  女性問題に対する国際比較のグラフ  を用意し,他の国と意識の違いをと  らえさせることにした。

  なお,人権という考え方に立って  差別や偏見について考えさせるため  に,世界人権宣言の一部をコピーし  て配布した。

②現在の社会にはさまざまな人権に  関する問題があるこという事実認識   新聞記事や女性の地位に関する国  際比較調査から同和問題・人種間ee e  女性差別問題の事実があることをっ  かむ。

 ○事実認識における発問と生徒の反   応

  T 民主主義の社会というけど,

女性差別の解消

☆祉会通念・慣習・しきたりなどで,

O,20/e一= rr 5,6ere l.9%

・】o堰@2ま1   潰 本%

躯殉

7  ︐0%5エノ

ウテス︸

28

26%    11%

 ・7縫師 勿。,リ85%

  ヒノ   699%

 zO3%     42%

25% 一    レズをい

   戴5鵯

男%/222   西トイツ

55.1%

男女の地位は平等と思うか。

1.6%一一7 r4.90/0

4,99ere

非れカさ方遇の優る生こ︑男常て

い優るとカしか性てら男れちぱさどえ遇

い優るとカしか性てら女れちばさどえ遇囮□ 罪れがさ方遇の優る生二︑女常て

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%%−︵∠

∩︶d・     2    48%

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   ギ   イ   7 彦30彿

    女子生徒の事前調査用紙から

 戦後,男女は平等になったといっているけど,

結婚すれば男性の名字を名のらなければならない し,会社に勤めても結婚すれば早く辞めさせられ ちゃうし,まだまだ女性の地位は低い。

    男子生徒の事前調査用紙から

 出席簿は男子が常に先。社会の中でも重労働は 男子。管理者はほぼ男子で占められている。賃金 も女性は低い。こういう点からすると男性上位社 会といえる。しかし,差別と区別を混同している

こともあるのではないか。

  現在の社会の中にどんな差別や問題がみられるだろうか。

Si今でも,職業につくときや結婚のときに自分の好きにできないひとがいる。

S、アイヌとかアパルトヘイトのような民族差別や人種差別がある。

S、結婚したら女性は退職とか,女性は管理職につけない場合が多い。セクハラなんかも…。

T 女性問題に関する国際比較調査を見ると,日本と他の国ではどんな違いが見られるかな。

S、日本では,男性の方が優遇されていると考えている人が,他の国と比べるとずっと多い。

S、男女平等と考えている人が1番少ないや。

(4)

168 茨城大学教育学部教育研究所紀要第24号(1992)

○事実認識の場面からの考察

  なにげなく生活している中に,さまざまな差別や偏見が見られるという事実をとらえてい  る。特に,事前調査や新聞記事の活用によって,具体的な事実をとらえることができた。歴  史的には女性の地位向上に関してさまざまな取り組みや運動がなされてきているが,実際の  生活の中には慣習的ともいえる意識が残り,それらが,差別的な態度や行動として表れてい  ることを認識できた。この中で,差別的扱いだとわかっているのに,なぜいまだに解決され  ないのかという問題意識の深まりが見られた。また,先の男子生徒のように差別と区別とい  う点での問題提起もなされた。

  このような差別や偏見が見られる事実をとらえたうえで,本島の学習課題を確認し,各自  が選択した問題について資料から調べさせていった。

○本丁の学習の流れ

ね   ら  い 学 習 内 容  ・ 話 動 教 師の 働 き か け 指導上の留意点

○現在の社会には多 玉新闘記事や女性の地位に関する匡1際ヒ㈱査 ○聖旨に関する問題を単に列挙す ・新聞記事は,いずれも社会に潜む くの入権に関する問題 を見て,現在の社会に潜んでいる入欄謂題にっ るだけでなく,具体的な場面でど 問題を浮きぼりにしたもので,生徒 があることを指摘でき いて話し合い,本蒔の学習課題を作る。 のような差別や偏見が見られるか が内容をとらえやすいものを用意す

る。 0 同和問題   ・・…結婚。職業の差窪1 西畑させたい。 る。

○人種問題  ……アパルトヘイト ○人権に関する問題は,どんな場 ・ 礪旧事嶽外にもさまざまな間題

○女性差瑠1醐題……女子定年制 面に現れているだろうか。 点があれば自由に出させる。

○日時の学r…………・

K課題を確i

   匿.....一−.」..・P.,・冒「n・「噛,h,,【,劉「「炉「,,,7P「hr,「F,劉劉,,7

l闇の自由・平等は,どのように実現されてきただろうi

0女牲の地位を例に上げ;女性問

@題に関する調査結果を提示して日

・ 女性の地位の向上が歴史的にど フような事実や背累のもとでなされ 認できる・iか・また 残された問題を解決し真の自曲・平等を実現i 本と他の国を一中し,日本での女 てきたかまた,現在も解決されな

iするには どのようにしていけばよいのだろうか。 性の地位の低さをとらえさせたい い問題は何かを具体的に出させるよ

■幽,P■【, F■囚り町一一【■四一■■一−一■■一■■一■一一■■醒匿一■■−一■■一一■■■冒一■一一一一■■一一■■−一■■醒一■醒一■・ うにする。

○差別や黒棚力嘘まれ 2 岡和問題・人種問題・女性差別問題の中から ○歴史や単射をまとめる時は,歴 ・調べる内容は,歴史と背景・権利 た歴史や背蟻権利の 各自一つを選択しその歴史や背景について 史の流れがわかるように年表形式 匝腹の歩みにしぼり,作業の観点を 回復の歩みを調べるこ 今まで学習したことをもとに調べ話し合う。 にまとめさせ,まとめたものをも 明確にする。

とができる。 ω差別が生まれた歴史や背景を調べる。 とに差別や偏晃をなくすにはどう ・人種問題を調べている生徒には,

O潮llや偏見が生まれた歴史背禦 すればよいか生徒各自に意見や 地理的分里弛ン学習内容も取り_ヒζゴ㍉

○潮llや偏見と櫨徊復の歩み 考えを持たせたい。 地図緩や資料集を活用させる。

○自分の考えをもって (2)同じ門田を選択した者同士で小グループを ○ 自分の意見を明確にもたせてか ・ 自分の考えや意晃を言う時は論拠 討論に参簾きる。 作り,差別を生みだした曹景や残された課題 ら話し合いをさせたい。友達の意 をはっきりさせる。

自由,平等を実現するために方法についてグ 見を聞いて考えが変わった場合は ・ グループ討論の叢後に,話し合っ ループ討論をする。 メモさせるようにする。 た内容について簡潔に発表させる。

○自由と平等を実現す 3 自由と平等の実現を求めてどのようにすれば O人権宣言や憲法の申で,人権に ・人種問題のように,圏内だけでな るための方法や世界の よいのカ、また,世界の中で日本はどのような ついて明記されている部分に線を く世界的な視野から問題の解決を陣 中で日本の役割を考え 役翻を果たしていけばよいのカ、懲法や世界人 引かせ具体的な内容をつかませ らなければならないものについては

ることができる。 権宣言の内容をもとに話し合う。 たい。 世界における日本の立場や役割とい

o赦の入間撃健ウ1嘗衝 ○真の自由や平等を実現していく

@には何をしていけばよいのだろう

@か。

つた観点から考えさせる。

○自由と平等について 4 話し合ったことをもとに,真の自由・平等を ○様々な問題解決には,人間の権 ・ B本のかかえる課題の解決や役劉 日本の課題や役割をま 実現するための手だてや日本研贈1についてま 利をいかに尊重するかという視点 をこれから生きる日本人としての とめることができる。 とめる。 が大切であることに気づかせたい 立場からまとめさせる。

③事実認識から課題把握,調査の過程

  上が二時における学習の流れである。導入部分で,生徒一人ひとりがとらえた事実認識に基  づいて,同和問題・人種差別・女性差別の中から一つを選択させ,その歴史や背景・権利の回  復の歩みを調べさせていった。

  調べる内容は,歴史と背景・権利の回復の歩みにしぼり,作業の観点を明確にした。また,

 まとめ方としては歴史の流れがわかるように年表形式にまとめさせ,まとめたものをもとに差  別や偏見をなくすにはどうすればよいか生徒各自に意見や考えを書かせた。

 ○課題解決のための調査追究から

   調査結果から,同和問題を取り上げた生徒は17名,人種問題を取り上げたのは9名,女性   の差別問題について調べたのは17名であった。

(5)

 同和問題について調べた生徒は,江戸時代の身分制度によって階級の差別が政策的になさ れたことをとらえ,明治になってからの解放令で平民の扱いを受けたが,実質的には以前の 生活と変わらず,明治〜大正以降の権利回復の運動によって人権の平等を獲得し,貧困と差 別からの解放をめざした過程を年表形式にまとめた。

 また,人種問題について調べた生徒はアメリカの奴隷解放令や南米へのヨーロッパ人によ る侵略,南アのアパルトヘイFを事例として取り上げ,リンカーンの政策や黒人運動による 権利の回復を調べた。

 女子差別問題を調べた生徒は,生産活動の主導権が男性の手に移っていったころから,女 性蔑視の動きが見られたことをとらえ,もっとも差別と偏見が広がった時期を家長の権利が 強くなった江戸時代の身分制度の確立期とした。このころから,女性は家庭を守り,男性の 生産活動を陰で支える存在として位置づけられたことを年表形式にまとめた。

 調査追究は,事実

認識の過程の中で, ◎ 女性の差別の歴史を調べた結果例 生徒一人ひとりが気    (グループでまとめたもの)

ついた差別や偏見の 中から選択・調査さ せていったので,差 別に対する問題意識 や関心も高く意欲的 に取り組む姿が見ら れた。女性の差別に ついては,労働との 関わりの中で男性を 中心とする社会が作 られ,それとともに 女性の地位が下がっ ていったことをとら えている。本来,人 間生活における育児 や労働といった役割 分担が,生産性を優 先する考え方ととも に,無意識のうちに 差別という意識に変 わっていったのでは ないかということを 考えた生徒もいた。

歴史学習の中では,

単に差別や偏見の事

(女    性)差別の歴史と権利の回復の歩み    年  組

時  代 (女性) 差 別 の 歴 史 権 利 の 回 復 の 歩 み 古  代@ ︸飛鳥〜奈良疇代平安時代一高時代  1江戸時代明治時代  1大正時代戦1前︵昭和︶戦i後 ・ 卑弥呼の時代は,1000人もの召

gいを従えていたので,このころ ヘまだ女性上位時代であった。

E 天皇にも女性がいた。まだこの アろは女性の力は今のように男子

@との差はなかったようだ。

@(推古天皇や,持統天皇など)・ 律令政治になって,口分田の割

№ェ男子より少なかった。少し,

j子との差が見られてきた。

E 女性は仮名文字をおもに使う。

カ活の中に差別意識がみられる。

ナも,求婚は男子が女性のもとへ ハった。 (このころの男子は下竪 I?)・ 源平の戦いで,女性はにげまど

「,いくさでの女性は活躍する場 ェなかった。 (中には男まさりも

「たかも?)

E 北条政子は,家来にさしずした。1

@このころは強い女性もいた。

E 家長のカが強くなり,女性は家 ーの中で,一段低く見られた。

u女大学3を学び,女性の生き方が

ュ制させられた。・ 労働の中心は男になり,女性の

?躍する場が閉ざされてしまった。・ 大奥はいったい何のためにあっ

スのだ!

E 安い労働力として,女性がねら 墲黷ス。女性が道具のようにこき gわれ,売り買いされだ。

B 米騒動では,女性が活躍。

E 戦争にもいかず,もっぱら勤労 ョ員。空襲の中を逃げまどう。

E ようやく選挙権をもらう。始め

トの女性議員・ 相変わらずの女性差別。給料は

「まだに男子より低い。

   それほど差があるという意識

@  はなかったように思う。

E 女性の楽しみとして和歌や読み物 ェできた。ときには男子を読み物の

「界でひにくったかも?

E 北条政子が,執権政治の土台を作

@つたQ

E 女性はじっとがまんの子であった。

牛・相手は自分の意見がとおらなか チた。せいぜいかけおちで,抵抗す 驍フみ。

@なんと将軍には何人もの奥さんが

「た。

E 男子は,組合らしきものができて J働条件が少しずつよくなり,それ ノつれて女性もほんのちょっぴりよ

@くなった?・ 正義の味方 平塚雷鳥が女性解放 求める。女性差別を抗議。・ 戦争で権利回復どころではない。

E 国会で,女牲の権利を主張した。

ナも,出しゃばり女というイメージ

ェ強かった?・ 職場での女性の進出。

(6)

170 茨城大学教育学部教育研究所紀要第24号(1992)

  実を追うのではなく,時間的な流れの中で,歴史的事象のもつ歴史的な意味をとらえさせる   ことが大切であると考える。そういう意味では,差別や偏見の見られた歴史的な過程を年表   形式にまとめさせ,社会的な背景をとらえさせていったのは有効であったと考える。

④調査結果を基にしたグループ討論

  生徒一人ひとりが差別や偏見の歴史についてまとめた調査結果を基に,グループ討論を行っ  た。女性差別について調べた17名の生徒は,4人1グループで4班編成(1班は5人)にした。

 グループの討論テーマは,「差別や偏見を生み出した背景は何か。差別や偏見のない社会を実  現するにはどうすればよいのか。」にした。グループ討論の中で,活発な意見が出されたが,

 テーマが広すぎてややもすると具体性に欠けた意見がでたり,話の内容が広がりすぎてまとま  りのないものになってしまった。しかし,差別や偏見のない社会にするために具体的な方法が  いくつか出された。

  討論の内容(女性の差別を取り上げた班)の例を紹介すると次のようである。

 Siやっぱり,労働は男,家庭は女という当時としては当然といった風潮が差別を生んだのだ    と思う。

 S・昔の労働は力仕事が主だったから,力のない女性は,役に立たないとか能力がないと思わ    れていたんだと思う。だから,社会的には男より低く見られていたんじゃない。

 S・でも,最初からそうなっていたわけじゃないと思う。最初は.男子と女子では,役割分担    があって,そんなに大きな差別意識はなかったと思うよ。

 S4男子にとってみれば,女性が陰の存在みたいにいてくれる方がいいという意識があったの    じゃないかな。江戸時代の身分制度や家長制度でも,あれだけはっきりさせられると女性    は身動きできなくなってしまう。幕府は,女性にも厳しい規制をひいたわけだ。その影響    が明治のころまで続いた…。

 S、女子は力がないから,力のある男の人にとってはどうにでもなるという意識があって,労    働条件なんかでは,うんと厳しい条件を押し付けられたりしたのだと思う。文句も言えな    かったにちがいない…。

 S・だから平塚雷鳥なんて,当時としてはかなり厳しい周囲の目の中で,女性の権利の回復を    したわけだ。「青鞘」という雑誌の名前からして,なんかはばかっている感じがする。

 S、女子の給料を男子と同じに引き上げるべきだ。家庭と職場の両立をしているのだから,男    子よりむしろ女子の方がたいへんな条件のもとで仕事をしている。女子の職場をもっと広    げるべき。

 S、男子と女子でそれぞれいいところをうまく出せばそれでいいんじゃないか。能力のある人    はそれに応じて自分の良さを生かせばいい。すべて男子と同じというのも逆差別にもなり    かねない。

 S、女子が活躍できる場をもっと拡大していくべきだと思う。女子に対する職種や職業内の差    別はまだまだ見られるし,男女雇用機会均等法ができても,まだまだ実質的には差別が見    られると思う。

⑤真の自由と平等の実現に向けての話し合い

  ここでは,人権の考え方として世界人権宣言の内容や憲法をあげ,どのようにすれば自由と

(7)

 平等が実現できるか話し合わせた。道徳的な話し合いではなく,歴史的な事実に基づいて差別  が生まれた背景をもとにした話し合いへ方向づけるようにした。

  おもに労働の生産性(おもに農業を中心とした社会だったので)を中心に考える社会では,

 男子の労働力が女子の労働力に比べて,生産性が高いために,女子の地位が一段低く見られた  ことが話し合いの話題として取り上げられた。また,子供を産むという中で,労働を継続でき  ないこともあげられた。農業を中心とする社会では,「女子は家庭・男子は作業」という考え  方がむしろ生産を上げるには都合が良かったという意見や,一度できあがった差別的な意識は  根強く残って,解決には時間がかかり,それは歴史的にも証明されているという意見が出され  た。

  男女平等という意識は,昔から比べるとだいぶ浸透してきているが,実際の生活の場面では  具体的な条件規制の形で残されており,今は,生活の中で個々の差別的な扱いを取り払ってい  くことが大切であり,そのためには,一人ひとりが人権についての考え方をしっかり持って,

 差別を見ぬいていくことが必要であるということが話し合いの中で出された。

  生徒の中から,人権ということぼや人間の権利ということばが出されたことにより,歴史の  学習の最後の単元は,3年の社会科学習(公民的分野の人権の学習)のつながりを持たせるこ  とにもなった。

⑥学習を通しての生徒の意識の変容

  この学習を終えて,生徒に,差別や偏見について自分の考えを書かせてみた。一つは,女子  生徒に,女性としての叫び(こんなことが言いたい!)を書かせてみた。また,全員に人権が  侵害されている具体例を上げさせ,それについての意見を書かせた。

 ○女性としてこんなことが言いたい!

 私が今いちばん日本にいて悔しい と思うのは,男性優位の社会である ことだ。憲法の上では 平等 とい われているものの,実際は仕事をす るにも「女だから…」という性別が まとわりつく。これから私は,男性 の中にまじってでも,自分のやりい ことをやっていきたい。(O,H)

 絶対,今の世の申男女差別がのさばってると思う。ど うして息子や娘を(自分の)という意味に「子女」とい うことばを使うのか。「子」は息子で女が娘なのか。憲 法でさえ,差別を認めないといいっっ差別したきまりを 作っている。どうして女は16歳で男は18歳で結婚できる のか。教科書も男性回心であるし…。男子は自分を何様 だと思っているのだ!優遇されてきた男子にはわからな いと思うけど。(H,K)

 憲法が細かく制定されているのに もかかわらず,人権が侵害されてい る例は多い。「入権の侵害」と聞い てまず,思い浮かべるのは,黒人の 差別である。私は,はだの色の違い だけで差別するのは絶対おかしいと 思うけれど,実際,初めて目の前で 黒人を見た時は驚いたし,全く抵抗 がなかった,と言えばうそになる。

でも決して「嫌だな」とは思わなかっ た。私たちは,はだの色も,個性の

1っだと考えるような寛容な心をも っことが必要だと思う。(KJ)

 今の社会で同和問題と名のる問題は,江戸時代の時か らずっと,国民の心の申に伝えられているものである。

そして,今の世の中の立派な人権侵害だと私は思う。何 故,今の平等な世の中で,被差別部落出身だからという だけで,結婚できなかったり,差別されてしまうのだろ うか?そして,何故,差別や人権侵害をしている人々に,

非難の目が向けられていかないのだろうか?やはり,ま だ,いろいろなことを言いながらも,差別的な目で見て いる憎々が多いのだと思う。日本人は人一倍,そういう のは強くないだろうか?早く,国内でこういうことが失

くなり,世界の人々とも,平等に見ていられるよう,1 人1人が心がけていきたいものだ。(R.T)

(8)

172 茨城大学教育学部教育研究所紀要第24号(1992)

2) 授業を終えて

 授業の展開を「女性差別」に中心をしぼってのべてきたが,実際の授業の中では,上の生徒の 文章に見られるように人種差別や同和問題などもとり上げられ,幅広い角度から自由・平等のあ

り方について考えを深めることができた。差別や偏見の歴史を調べ話し合う中で,生徒は,差別 や偏見は人間によって作られたものなので,これからは一入ひとりが自由と平等のほんとうの意 味をしっかりととらえ差別や偏見を,今度は人間の力でなくしていかなければならないというこ

とに気づいたようであった。

 今回の授業では,あくまで歴史的な観点から差別や偏見をとらえさせていったので,一つ一つ の差別と人権侵害の内容にまで深入りすることは避けた。これは3年の公民的分野でさらに詳し  く学ぶ内容であることを生徒に知らせ,公民の学習へ向けての方向づけを図る程度にとどめた。

参 考文 献

 一倉栗山山小小内内

︶ ヘノ ︶ ︶魂⊥ 9々 ◎0 4 学:「現代教育学14,身体と教育」259 一 263岩波書店1962

好:「学校保健概説」55−72光生館 1960

源: 学校性教育の課題と展望 体育科教育 39(13)11−13 1991 源:「調査研究のまとめ方と発展の仕方」24 一 26 ぎょうせい 1988

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