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熱ルミネッセンス法による土器の焼成温度の推定
著者 市川 米太, 平岡 隆彦, 寺井 善貴
雑誌名 古文化財教育研究報告
巻 8
ページ 19‑23
発行年 1979‑03
その他のタイトル Estimation of Annealing Temperature of Pottery by TL
URL http://hdl.handle.net/10105/427
熱 ル ミネ ッセ ンス法 による土器 の焼成温度の推定
市 川 米 太 ・ 平 岡 隆 彦 ・ 寺 井 善 貴
(奈 良教育大学物理学教室
)(昭 和54年 1月 31日 受理
)は じ 配 )に
熱ル ミネ ッセ ンス法 による土 器 の年代測定 におい ては、蓄積 線量 と年間 線 量を測定 す ることによ ってその年代 を算出す る。蓄 積線量は土器 中 の石英粒子 の吸 収線量 と熱発光 量の間 に直線性 が存在 す るもの として、較 正用 の既知 線量を試 料 に照射 して得 られ る熱発光 曲線 と試 料その ものか らの熱発 光 曲線 との比 に よ つて求 め られ る。 しか し、 土器 中の石英 の中に はそ の線量依存性 が低 線量域 0〜
200 Rad)に お いて直線性を持 たず スーパ ー リニ アを示 す ものの あ ることが Fル 物′η g l)に よ って 報告 され た。 この ため、現在 熱ル ミネ ッセ ンス年代測定 におい て蓄積 線量の評価にはスーパ ー リニ ア補 正 (△ Rad)が 行 なわれ てい る。 この補 正値 はそれぞれの土 器 について異 なるが大 体 、 0〜 200 Rad程 度 の もので あ る。 これまでにわれわれ の研 究室 で測 定 した土 器 について この値 をみ ると、縄 文 土 器 のよ うな古い土 器 については低い値を示 し 2t古 墳時代 の土器 や たた ら炉 跡の焼土 などは高い値 を示 してい る。
3,この こ とか ら、 この補 正値 、 スーパ ー リニ アの線量範囲 は土器の焼 成温度 と関係 が あるので は ない か と考 え られ る。
これを確か め るため 、土 器中の石英粒子 と同質の石英粒子 を含 んで いると考え られ る川砂 と砂岩 風 化土 を 試料 と して実験 を行 な った。 これ らの試料か ら熱 ル ミネ ッセ ンス年 代測定 法 と同様 の方法 で石英粒子を抽 出 し、 これを種 々の焼成条件 で加熱処理 を した後 、焼成温度 とスーパ ー リニア補正 値 との関係 お よ び熱発光 感度 (TL/Rad)と の 関係 な どにつ いて調 べ た。
試 料 調 整 法 と 測 定 法
試料調整 法は石英粒子 法 によ る熱ル ミネ ッセ ンス年代測 定法 と大体 同 じ方法を用いた。
以下 に個 条書 で述 べ る。
1)川 砂 と砂岩 風 化土 か ら飾分 けに よ って 100〜 145メ ッシュの粒 度の 試料 を選別 する。
2)こ の 試料 を 17%の Hclお ょ び 10%の NaOHで それ ぞれ30分 間洗浄 す る。
3)更 に、 10%の HFで 1時 間 の酸処理 を行 ない、再度 100〜 145メ ッシュの飾分 けを する。
4)こ の試料 を電磁分 離機 によ って有色鉱物 と無色鉱物 とに分 離 し、無色鉱 物部分 を試料 とする。
無色鉱 物 に属 す る長石 や カルサ イ トな どは酸処理 段階 で除か れ るので最終 試料 はほとんど石英粒 子 と なる。
試料の焼成 は電気炉 を 使用 し、空 気雰囲気 で加 熱 した。熱発光 曲線の測定 に使 用 した熱発 光測定
装置 はハ ー シ ョウ社製 2000型 で あ り、 1回 の測定 の試料 の量は 20η で ぁ った。 また既 知線量 照射
は Co‑60ガ ンマ線源を使用 し、照射量は 500R、 1000 RIお よび 1500Rで あ った。
試料の焼成は、焼成温度として 500℃ 、 700℃ 、および 900℃ の 3点 を とった。焼成時間はそれ ぞれにつ いて、 1時 間、 2時 間および 3時 間について行 な った。加熱後の試料の冷却法 としては、
加熱後、試料を炉 内にそのまま放置す る徐 冷 と炉 内か ら炉外 にとり出す急冷 とについて行 なった。
結 果 と 考 察
川砂か ら抽出 した石英粒子を電気炉 で 900℃ で 3時 間加熱 した後徐冷 し、 これを縮分器によって
3等 分 してか らそれぞれ の試料に 500R、 1000R、 1500Rの ガンマ線照射 したものか ら得 られ た
図 1 川砂試料の熱発光曲線 焼成温度 900℃ で 2時 間 図 2 川砂試料 (900℃ 焼成 )の 線量依存性と a:500R照 射 み :1000R照 射 C:1500R照 射 スーパー リニア補正値
熱発 光 曲 線が 図 1に 示 して あ る。 Br G。 は黒体 輻射 に よる発 光 であ る。 この熱発光 曲線か ら得 られ た吸収線 量に対 す る熱 蛍光強度 の曲線が図 2に 表 わ されて い る。測 定 され た熱発光 強 度 の温 度 は年 代測 定 の場合 と同 じ 380° Cで あ る。 ここにみ られ るよ うに この直線 は原点 を通 らず、原点 か ら△ の 距離 にあ る点 にお いて横軸 と交 わ って い る。 この△ が スー パ ー リニ ア補正値であ る。 このよ うに し て求 め られた砂 岩風化土 と川砂 の試料の発光強 度 と スーパ ー リニア補正値 が表 1と 表 2に それ ぞれ 示 してあ る。
表 1.砂 岩風 化土 の発 光 強度及 び スーパ ー リニア補正値
︑三●C●一C一コト
ヽOC●一コト
T― tree。
Ql‑500 Q2‑500 Q3‑500 Sl‑500 S2‑500 Q3‑500
値 R R R ァ 0 0 0 ニ
5 0 5 一 1 1
ス
一1.4 2.8 4.1 0R
1.6 3.7
5。
1
0R
1.5 2.9 4.3 0R
1.2 2.4 3.5 0R
0.9 1.7 2.5 15R Ql‑700 Q2‑700 Q3‑700 Sl‑700 S2‑700 S3‑700
値 R R R ァ 0 0 0 ニ 0 0
〇 一リ
ー ー
ス
一3.8 8.1
12.4 55R
4.3 9.0
13.5 50R
4.2 8.9 13.8 50R
1.9 3.8
5。
8
50R
2.4 5.0 7.7 50R
2.0 4.1 6.3 60R Ql‑900 Q2‑900 Q3‑900 Sl‑900 S 2 ‑ 900 S3‑900
値 R R R ァ 0 0 0 ニ 5 0 0 0 5 〇 一
1 1
ス一
12.5 29.0 45.7 120R
16.2 35.3 54.5 80R
17.7 42.5 68.3 125R
6.2
14.1 22.2 120R
7.5
16.8 26.0 100R
6.0
13.2
20.6 100R
Ql‑500 Q2‑500 Q3‑500 Sl ‑500 S2‑500 S3‑500
値 R R R ァ 0 0 0 ニ
5 0 5 一
1 1
︶
ス
0.5
1.1
1.8 0R
0.6
1。1
18 0R
0.7 1.3 2.1 0R
0.6 1.3 1.9 10R
0.5 1.0 1.5 0R
1.0 2.0
ROR 2.9
Ql‑700 Q2‑700 Q3‑700 Sl‑700 S2‑700 S3‑7CXl
値 R R R ァ 0 0 0 ニ 5 0 0 0 5 0
︺
1 1 つ
ス
1.5 3.1 4.9 40R
2.1 4.5
60R 6.9
2.5 5.0
45R 7.8
0.8 1.6
45R 2.5
1.4 2.9 4.5 40R
1.4 2.9 4.4 40R Ql‑900 Q2‑900 Q3‑900 Sl‑900 S2‑900 S3‑900
値 R R R ァ 0 0 0 ニ 5 0 5
﹂ 1 1
︶
ス