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非線形発展方程式の初期値問題の解析法

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NDC 418.1

非線形発展方程式の初期値問題の解析法

一ある非線形微分差分方程式の利用一

山 本 吉 範*

(昭和60年9月13日受理)

The Analysis method of lnitial value problem of Nonlinear Evolut ion Equation by means of Numerical Calculation of    certain Nonlinear DifferentiaレDifference Equation

Yoshinori YAMAMOTO

(Received September 13, 1985)

 Generally, the exact solution method of initial value problem of nonlinear evolution equation is impossible.

[Zherefore the solutions of initial value problem of nonlinear evolution equations are given by numerically calculating certain model. First, it i$ shown that a nonlinear equation is able to give by suitable continuuin apploximation of the generalized differential−difference equation. Second, the initial value problem of special case of the nonlinear evolution equation is solved indirectly.

1.序

 一般に非線形発展方程式の一般解が与えられることは稀 である。たとえ厳密解が与えられたとしても特殊な場合の 解が多い。また非線形発展方程式の初期値問題及び境界値 問題は物理的に興味ある問題であるが厳密に解けることは まずないと言ってよい。しかし逆散乱法と呼ばれている方 法で厳密に非線形発展方程式の初期値問題が解ける.場合も あるが,限られた方程式に対してのみその方法は有効であ る。そこで考えられるのが計算機を用いた数値解析による 方法であるが,ある物理量の時間的及び空間的変動があま り大きくないこと,さらにあまり長時間の振舞いでないこ と等が要求される。一般的にこれらの条件が満足される物 理的振舞いに対して数値解析は有効となる。従って本論文 では時間的にも空間的にもなめらかに変動する非線形波の 初期値問題の解法に限ることにする。そこでなるべく簡単 にしかもかなりの精度で問題の解決を計ることを念頭に置 き,非線形発展方程式の初期値問題を一般化された時間微 分一空間差分系をある初期条件と境界条件で解くことによ

って澗接的に解く方法 を述べる。但しこれから提出さ れる微分一差分系の連続体化が可能な非線形波動現象に耐 してのみ本方法が有効である。

2.一般化された非線形微分一差分方程式

*機械工学科

 ある非線形発展方程式を数値解析する場合その方程式を ある数値解析用のモデル方程式に置き換えるのが一般的で ある。しかしここではその逆の方向から出発する。即ち数 値解析しゃすいことや計算時問が短いことまた計算:精度が 高い等が数値解析を行なう場合のポイントになるのでこれ らの点を念頭に置いて目的とする系の解析が実行されるこ とが望ましい。従ってまず一般的に数値計算に適している と考えられる時間微分一空間差分系を提出し,ある条件の もとにその系の連続体化を行ない,その結果導出されt連 続系が解析したい連続系に帰着すればその連続系の解析用 のモデル方程式としてその離散系が採用できるはずであ る。これから提出される離散系は格子力学でよく用いられ ているfirst nearest neighborを一般化しMth nearest neighbOrとしてることまた分散性だけでなくtt散逸性を

も考慮している 点さらにN次の非線形効果まで考慮し

一15一

(2)

津山高専紀要.第23号(1985)

ていることなどからより一般イζされた非線形格子モデルと 呼ぶこともできる。即ちその方程式は

{itl !;2 = ptilli ezNli[fe,q{(yn+p−yn)q一(ynHyn−p)q}

 +CP,q{(Yn+P−Yn)q一(Y.一p Y.)q}], N, M〈oo        (2−1)

である。ここでfp,eとCp,eはある定数係数を表わす。特 にfp,1は分散係数を表わし, Cp,1は散逸係数を表わす。

また.tは時間とし堀ヰー次空間のn番目の格子点のある物 理量の変化量を表わす。

       3.離散系の連続体化

 (2−1)式の空間に関する連続体化を行なう。空間きざみ 幅をhとするとhを十分少さく採り空間格子数を十分多く 採る場合,(2−1)式の連続体化が許される。即ち

ptn (t) Y (X, t) , Yn±p (t)  Y (X±Ph, t) , (3−1)

なる連続変数での置き換えが可能となる。これを用い.ると

・n・・(の一・n(t)』刀i努)t…x・國 (3−2)

と書ける。ここでyi,xは∂砂ノ∂xiを表わす。(3−1),(3−2)

両式を(2−1)式に代入して整理すれば(2−1)式は

二一灘、[砺ゑ(A・一・・F 一1+A 一・・B・一r)}

禽(器・・i,x)+σ・・嬉(脚(一β)r一・+

+A・一・・(一B)q一「)}愛騨箭・・先・・の]・㈹

となる.。但しここでA,Bはそれぞれ

垂嵩(響加8一嵩暗礁・伽

である。Ptあるいはhの具体的な大きさによって(3−3)式 はさらに簡単な連続系に帰着させることができる。即ち,

格子間隔hより十分長い波長で空間的に非常になめらかに 変動する非線形波を考え,さらにyがかなり小さい場合に は非線形効果は高次まで及ばずかつ高階の空間微分の効果 もあまり大きくないことが予想される。従って,非線形項 は四次まで採り空間微分はン6,xまで考慮することにすると 各係数を次式に採れば,即ち

・M一 C瑳,・.・・f…一、象,

      CO2

      c♂

      h2  , 22, 32       1, ユ「

・n一N響,・先・・…結・,1謬

     3鶉γ,・6,…  ,3鶉γ

      CO2

     1,22,一頽}    1,22,

・3・・一r・,.・4,劉.D==・,・4,

     ・,・6,3鶉γ  ・,・6,

      ゆ      の

     2h,2,3    1,2h,3

・M一 ,・3,・・…扇・,一器…

     警,・臥…  ,警,・・

     1,2, 2h     1,2,3

・・舷・,・称.畢・.・孕一・,・耽…

     t  り5  608.       ri  り5 Q5.

     li 臼 一万51   け tul

カ〉つ    f2,2,  f2,2,  f4,2,・・・… , fM,2 == O,

    f2,3,  f3,3,  f4,3ジ… 曾●, fM3富==0,

    f4,1,  f5,1,  f6,1,・・・… , fM,1=;0,

    f1,4, f2,4, f3,4,・・。・鱒, fM,4=0,

    …    ●o・       ・…    ●o

    f1,ムr, f2,N, f3,N,・・曹… , fM,ハ1=0,

    C4,1, C5,1, C6,1,・…・・, CM,1=O,

    C1,2, C2,2, C3,2,……,,CM「,2=O,

    C1,ハT, C2,N, C3,」V,……,CM,ムr=0,

のとき(3−3)式は

, 32

, 34[,

, 36

24■6 333

g21Si−2pt =ay.+cdiy2,.+by3,.+py4,.+gys,.+w6,.+ay.y2,.

  十6yx2y2,x, (3 4)

となる。(3−4)式が波動解を持つ場合二方向に伝播する解 が存在するが正の方向のみに伝播する波に着目するために     ζロx−Cot,

   {     T=COt,

なる変換を(3一一4)式に施すとそれは

 2Co2 yc.+ayc+by3,c+By4,c+gys,c+expt6,e+ayc y2,c  十ayc2y2,c==O,

一16一

(3−5の

(3−5の

(3)

非線形発展方程式の初期値問題の解析法  山 本

となる。但し,y,.は小さいと考えて無視した。上式に於 いてさらにPtc= U(ζ,丁)と置き整理すれば

UT+2一gtr(ca+bU2,c+B 3,c+gu4,c+7us,c+auu4+6ptuc)

ヨ0,      (3−6)

となる。(3−6)式に於いてa=b・g・or−fi=Oの場合は流体 力学及び非線形格子力学の分野でよく知られたK:orteweg

とde Vrjes(KdV)方程式1)になる。この方程式は逆散乱 法2)あるいは広田の方法3)等で厳密に解かれているが解か れた特殊解の中でも特にZabuskyとKruskalが最初に発見

したソリトン(soliton)解はよく知られている。 a=b=g=

γ=α=Oの場合はmodified KdV方程式4)と呼ばれ圧縮型 と伸長型のソリトン解を持つことが知られている。a・=γ==

δ=Oの場合は斜面上を流れ落ちる粘性流体5)を記述した りあるいはプラズマ中の不安定なdrift波6)を記述するた めに用いられる。さらにa=β== 7・==δ= Oの場合は非常に 乱雑な振舞いをする化学反応7)を記述する式として知られ ている。またa=β=g==7==δ== Oの場合は粘性流体力学 の分野で有名なBurgersの方程式8)を表わす。このように

(3−6)式は多くの物理的及び化学的意味を含む非線形発展 方程式である。

4.数値計算の例及び検討

 本章では前章の(3−4)式に於いてa・=b=g=γ== cr == Oの

場合即ちmodified KdV方程式のソリトン解の時間発展を

実際に数値解析したのでその結果について述べる。初期条 件はm.KdV方程式のソリトン解の中の伸張型のソリトン 解をさらに空間に関して積分した

Yn(り一ムゾ丁丁伽一1[λ+ゾλ2欝xp(2η/△

Pユ﹄︶

を用いた。但しx=αoh,μ= 2βoh2/2,レ=雇/24, V==(h/

△)2/6,η・= x一・Xa−Co(1+V)tであり△はソリトンの幅で ある。またor=・2λCO2,β=・2vCO2,δ =2iLCO2, CO=Ah(A はある定数)の関係がある。境界条件は固定境界条件(yo=

Y200=・ 一一定)を用いた。 A=・1,α0=O,β0=エ.5,△/k・=

8.C格子数200,h・・1/100,時間きざみ△ 漏ゾ0・125で 500(△t)まで計算を実行した結果をFig.1に示す。但し図

の申の縦軸は相対変位rnを表わしそれはrn =・ Yn+1−Ynで 与えられる。Fig.1より初期孤立波はほぼ安定に自由伝播 しているものの進行方向にわずかなリップルを生じている ことが理解できる。これはモデル方程式(3−3)の高次の非 線形項や高階の微分項のかなり荒い切り捨てやパラメータ Aの選び方即ち三階の分散係数の採り方等にその原因があ ると思われる。従って,次にパラメータAと初期位置だけ を変えてA=2としたときの計算結果をFig.2に示す。こ の場合は面白いことに一つのソリトンが二つの孤立波に分 解し,それぞれの孤立波が安定に伝播している。注目すべ き点はそれぞれの孤立波が相互作用した後も形を変えない で伝播していることでこれはそれぞれの孤立波がソリトン

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       翼一RXlS

 Fig.1 Time evolution of a solitary wave at A=1.

一17一

(4)

津:山高専紀要第23号(1985)

−︐.8

O .●o    O .刷    O ︐O   OO.O匡 F十四=固口¢ピの︻口 国︾︻ドロ﹂四に 8虚 8 βξ

§﹂

8.矧 ♂ぎ

tiC狽?DDo 2D.oo 一e.Do 6D.oe BD.op iDo.Do I20.oe]le.De lio.oo ;noMe?OOscSS

       X−RX15

 Fig.2 Time evolution of a solitary wave at A=2.

ぎ。

であることを証明している。このことから分散係数を大き くすることによって一つのソリトンが分散されてリップル に分解されるのでなく安定な二つのソリトンに分解された ことになる。即ち,ソリトンは散乱問題で述べられている 離散スペクトルに対応していることを裏付けているeまた 計算を行なう場合の時間項の取扱いはTaylor展開を用い て時津項の離散化を行なったことを附記しておく。

5.結

 簡単な計算例によってここに提出した微分一差分系がか なり有効な解析用のモデルとして使えることが理解でき た。計算時間は解を直交関数展開しさらに積分変換して与 えられる方程式を数値計算するよりもかなり短縮されると 思われる。さらに他の解析方法の中の連続系を直接離散化 する方法に於いては特に高階の微分項を含む系に対して離 散化が複雑になるのであまり有効とは思われない。これに 対して本微分一差分系を用いる場合は理論的には相当の数 の高階の微分項が取扱え,しかも高階の連立方程式を解く という単純な作業で分散係数f ,1と散逸係tw Cn,1さらに非 線形項の係数を決定するだけでよいという利点を持つ。但 し,解析しtい物理量が空間的また時間的にあまり激しく 変動しないことやなめらかに変動するときのみこの方法が

有効と考えられるのでソリトン波の解析には適していると 思われる。しかしここに提出した微分一差分系は安定性及 び誤差に関する議論が不十分であり,将来の問題である。

 本論文の数値計算は岡山大学総合情報処理センターの ACOS−1000を利用させていただいた。謹んでお礼申し上

げます。

参 考 文 献

1 ) D. J. Korteweg and G. de Vries; Phil. Mag., 39,

  (1895),422.

2 ) R. M. Miura; SIAM Review, 18, (1976),412. , 3 ) R. Hirota; Bussei Kenkyn(Researches in Chemical  Physics),32−2, (1979),105. (in Japanese)

4) M. Wadati; J. Phys. Soc. Jpn., 34−5, (1973), 1289.

5)」.ToPPer a且d T. Kawahaτa;工Phys. Soc. JPn.,44,

  (1978),663.

6.)B工Cohen,工A. Krommes, W. M. Tang and M. N.

  Rosenbluth; Nucl. Fusion, 16, (1976),971.

7 )   Y. Kuramoto and T. Tsuzuki; Prog. Theor. Phys., 55,

  (1976),356.

s ) J. M. Burgers; Proc. Acad. Sci. Amsterdam, 43,

  (1940),2.

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参照

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