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長崎大学国際連携研究戦略本部 Center for International Collaborative Research, Nagasaki University

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Academic year: 2021

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季刊 CICORN ニュースレター 平成 29 年 3 月号

長崎大学国際連携研究戦略本部

Center for International Collaborative Research, Nagasaki University

− TOPICS −

1.水産・工学分野に広がったアフリカ支援 ~ LAVICORD プロジェクトの軌跡と成果~

国際連携研究戦略本部  藤野 忠敬 2.研究教育支援と環境保護がそなえる社会的意義:

  ODA(政府開発援助)による CTU(カントー大学)研究教育強化支援事業から

経済学部  宇都宮 譲 3.アフリカを中心に、保健医療分野における人材育成推進のための研修を実施

国際連携研究戦略本部  平岡 久和

INDEX

 2014 年 か ら 2 年 間 に わ た っ て 実 施 さ れ た LAVICORD(Lake Victoria Comprehensive and Aquatic Environment Research for Development)プロジェクト の成果発表を行うシンポジウムが 2016 年 7 月 22 日にキスムのアカシアホテルで行 われました。本プロジェクトは、長崎大学がケニアのマセ ノ大学・モイ大学・KMFRI(ケニア国立海洋水産研究所)

と協力して 2014 年 2 月から 2016 年 9 月までアフリカ・

ケニアで行ったプロジェクトです。プロジェクトには水産

学部と工学部が参画し、ビクトリア湖畔の周辺住民の生活・

健康水準向上に寄与すべく、湖沼環境の調査とシミュレー ション解析を行い、湖水浄化・利用(有毒アオコとその毒 素の除去・生活用水の再利用)、水産業(漁業技術・養殖技術・

漁獲物の価値向上)等で学術的な知見に基づく効果的・持 続的な改善事例・アイデアを創出しました。長崎大学はこ れまで 50 年の長きにわたり、主に保健医療分野でケニア を中心に協力を実施してきましたが、水産分野と工学分野 における、新たなアフリカ支援の形となりました。

↑ LAVICORD の行われたケニア・キスムとプロジェクトサイトの位置関係 - 1 -

1.水産・工学分野に広がったアフリカ支援 ~ LAVICORD プロジェクトの軌跡と成果~

国際連携研究戦略本部 藤野 忠敬

(2)

 プロジェクト運営に当たっては、二名の現地リサーチコー ディネータを CICORN が雇用し、LAVICORD で雇用され た一名のリサーチコーディネータ、プロジェクトマネージャ が現地のさまざまな問題に長崎大アフリカ教育研究拠点と 連携対処し、ケニア側とのたゆまない努力を重ねました。

また長崎に身を置く 10 数名の水産学部・工学部の教員も 2 年にわたり計 60 回超のケニア出張を重ね、現地事情に即し た研究のアドバイス、ケニア人材の指導に当たりました。

 今後、長崎大が持続可能性・発展性を勘案し残した成果 をビクトリア湖畔の行政機関、大学等の研究機関が如何に 活用していくかが最大の課題となりますが、プロジェクト 終了直後に開催された TICAD IV(第 6 回アフリカ開発 会議)では、日本のさらなるアフリカ協力が謳われたとこ ろであり、長崎大学がケニアで築きあげた協力が形を変え て日本のアフリカ貢献に寄与することが期待されます。

↑ 2016 年 7 月 22 日に行われた、成果発表シンポジウムの参加者

←ポスター発表を行った  長大生(欧暁鳳 M1)

↑水産分野における成果物の一つ、

ビクトリア湖産の魚の練り製品の 開発。

練り製品加工法を記し たパンフレット→

↑ 7/22 の交歓会で用意された練り製品を 試食するケニア人参加者、右は長崎名物「ハ トシ」に着想を得た「Samaki Toast」の レシピ(左のパンフレットより抜粋)。

- 2 -

・自己紹介と Mo O 集落

 縁あって、カントー大学(Can Tho University; CTU、

ベ ト ナ ム ) 教 育 研 究 高 度 化 を 目 指 す ODA(Official Development Assistance、政府開発援助)事業に参画させ ていただいております。小職は、経済や社会という観点か ら、持続可能なエビ養殖業や農林業について考察する研究 を、CTU 研究者とすすめるグループに所属します。

 研究対象がある Mo O 集落と周辺の様子を、述べさせて いただきます。ソクチャン省は、ベトナム南部メコンデル タ地方にある省です。Mo O は、ソクチャン省にある小さ な集落です。ヘアピン型をした延長 5km ほどの小道をはさ んで、人々が生活します。干潟は、集落からマングローブ をはさんで、海側に広がります。集落に住まれる方々は、

養殖池やスイカ畑で働く、村内で各種サービス業に従事す る、あるいは漁船漁業にて生計を営みます。兼業しながら 生活する人々も多いようです。

 Mo O 集落周辺を観察すると、集約型エビ養殖(高密度

飼育するエビにエサをやり育てる養殖方式)が営む池が目 立ちます。エビ養殖池は、必要な水を周辺に入り組む水路 から採水しまた排出します。運河の水質はエビ養殖業にとっ て死活問題です。周囲には干潟しか水質浄化機能を有する 生態系は見当たりません。同干潟が保持するレジリエンス

(回復力)は、エビ養殖業に貢献すると考えられます。

Mo O の位置関係(左)と Mo O 集落にて生産される魚の干物(右)

2.研究教育支援と環境保護がそなえる社会的意義:ODA による CTU 研究教育強化支援事業から 経済学部  宇都宮 譲

(3)

・ベトナムのエビ生産と我が国

 エビ養殖関連指標を紹介しつつ、本事業が有する意義に ついて述べさせていただきます。「ベトナム水産統計」によ れば、2014 年にソクチャン省において養殖エビは 82,227 トン生産されました。ベトナムにおける養殖エビ生産量の およそ 13% に相当します。海岸延長が短くエビ養殖好適地 は多くない割に、生産量は多いと考えられます。生産され た養殖エビは、ほとんどがベトナム国外へ輸出されます。

 わが国財務省が作成する「貿易統計」によれば、わが国 は 2015 年に 438 億 3378 万 3000 円に相当するエビ(加工 食品含む)を輸入しました。輸入額において、ベトナム産 エビは首位に位置します。「ベトナム海産物生産輸出協会資 料」によれば、2015 年には 2,500 万 US ドルに相当するエ ビをわが国輸出しました。輸出先として第 4 位に位置しま す。双方で値が異なりますが、集計項目や集計方法がもた らす差異と考えられます。後者にはピラフやエビフライな ど加工品は含まれないでしょうし、協会加盟会員向け調査 と考えられますから、わが国輸入統計と差異が生じること は自然です。

 ともあれ、大量のエビが、ベトナムから日本など各地へ と輸出されることがわかります。他にみるべき産業がない ソクチャン省や Mo O 集落にとって、エビ養殖と輸出がも たらす収益は重要です。日本にとっても、貴重なエビ供給 源です。エビ養殖業を持続的に営むことができるよう、様々 な領域から研究者が集まって研究をすすめることには、明 らかな社会的意

義 が あ り ま す。

そしてこうした 集学的な研究が 実行できる大学 は、長崎大学を おいて他にない ようにおもわれ ます。

国別エビ製品輸入 額年次推移(青が ベトナム /「貿易統 計」より宇都宮作 成)

・Mo O における環境保護区構想

 エビ養殖は、課題が多い産業です。集約的エビ養殖は、

タイやインドネシアなど周辺諸国においても盛んに実施さ れます。各地において過密飼育に由来する環境悪化、病気、

価格下落など、さまざまな問題が発生します。Mo O 周辺 においても、さような事例が発生、今後が懸念されます。

幸い、いま環境保全に着手するならば、まだ間に合うよう に考えられます。おいしい海産物(エビ以外にもおいしい ものは Mo O にたくさんあります)が、まだ間に合うこと を示唆します。

 Mo O 干潟環境保全について、われわれにできる貢献は 研究成果を出すことです。加えて最近は、一歩進んだ環境 保全活動に着手しました。本学ホームページ(2016 年 10 月 11 日付)に既報の通り、石松惇博士(水産学部)は、

Mo O に生息する貴重な生物群集と生物多様性について、

環境保護を学ぶ経団連一行に、現状と研究成果を示されま した。これをきっかけに、干潟における生物多様性や社会 的機能に関する研究をさらにすすめるとともに、干潟内に 散らかるプラスチックごみを収集して環境を保全する活動 やプラスチックごみを散らかさないようにする啓蒙活動も 計画中です。ゆくゆくは、同地が環境保護区になればと期 待しています。

 同活動をはじめるきっかけは ODA にまつわる研究でし たが、予想もしない展開を見せています。これは、ODA 事 業にまつわる本学による取組がもつ可能性を示唆するよう に考えます。微力ながら、今後も精一杯貢献させていただ ければと念じます。

きょうも晴れ渡る Mo O 干潟(2016 年 3 月宇都宮撮影)

3.アフリカを中心に、保健医療分野における人材育成推進のための研修を実施

国際連携研究戦略本部  平岡 久和

 長崎大学では、国際協力機構(JICA)による研修員受入 事業の研修受入を行っています。平成 28 年度は CICORN では 3 件の研修を受入れ、アフリカ 15 ヵ国を含む合計 19 ヵ国、32 名の研修員が長崎を訪問。長崎を中心に日本 の保健医療の状況、サービス提供の体制などを学び、祖国 での保健医療状況の改善に力を尽くすために戻っています。

1. 課題別研修

 アフリカ地域 地域保健担当官のための保健行政 (B)  フランスの植民地時代の影響を受けて公用語がフランス 語である国である 9 ヵ国から、地域住民の健康向上に努め

る行政官 10 名を約 1 ヵ月間受け入れました。研修参加者は、

東京で中央政府による保健医療行政の全体像を学んだほか、

長崎では地域、特に離島に おいて、地域住民の健康を 改善するためにどのような 取り組みが行われているの か、本土と離島での医療体 制の整備や連携がどうなっ ているのかを実際に見聞き して、祖国で参考になる点

を検討しました。 離島の医療機関の状況を見学

- 3 -

(4)

※当ニュースレターに掲載したい国際研究(事前 調査等も含みます)や取組事例などがあれば編集 までご連絡願います。

発行人 : 国際連携研究戦略本部長 編 集:平岡 久和 国際連携研究戦略コーディネーター / 准教授

〒 852-8523 長崎市坂本 1 丁目 12 - 4 

℡ : 095-819-7008 Fax : 095-819-7892 e-mail : [email protected]  研修の結果、行政と医療機関を結ぶ情報システムの構築、

より安全な出産ができるような医療機関同士の連携の強化 など、参加者は帰国後に出来得る活動を各々考え、その実 行を他の参加者に発表・共有

を行いました。限られた資源 で保健医療サービスを提供せ ざるを得ないアフリカでどの ように工夫して効率的かつ効 果的に行えるのか、真剣に考 えた研修参加者の今後の活躍 が期待できます。

2. 課題別研修 感染症対策行政

 アフリカ 6 か国とアジア・大洋州 4 ヵ国で、マラリアや 結核といった感染症の対策に取り組む行政官計 12 名が約 3 週間にわたって研修を受講しました。東京では厚生労働省 などを訪問し、国が法律をどのように整備して各地での感 染症対策の体制を構築しているのかなど、日本全国規模で の制度や体制を学びました。

長崎では、住民の中で感染 症が起こった際にどのよう に対応しているのか、まだ 大きな課題である結核に対 して患者発見、治療を具体 的にどう行っているのかな ど、より具体的な感染症対 策への理解を進めました。

 研修参加者は、自国(多くは熱帯地域)で流行する感染 症と日本の感染症は種類が異なるという点もあるものの、

日本の制度(法律、組織、情報システムなど)を参考にど のように感染症対策の実践を改善していくことができるの かということを考えて計画を立案しました。インフルエン ザやマラリアといった感染症の発生状況の確認体制を強化 するなどの計画は、研修参加者間で共有され、他の参加者 からその計画をこうしたらもっとよくなるという活発な意 見交換を経てブラッシュアップが行われ、実行可能性を高 められていました。

3. 国別研修 モザンビーク保健教育

 アフリカ南東部に位置するモザンビークから、看護師、

助産師、薬剤師といった医療従事者の育成に取り組んでい る保健省や州の人材

局や育成学校の関係 者 10 名が長崎に来て、

2017 年 1 月に約 2 週 間の研修を受講しま した。モザンビークか ら一度にこれだけの 人数を受け入れたの は 2 年ぶりです。

 モザンビークでは病院や地域で業務にあたっている医 療従事者を継続的に教育し、能力向上を図るための JICA の技術協力「保健人材指導・実践能力強化プロジェクト (ProFORSA2)」が 2016 年 5 月から開始されました。同プ ロジェクトで日本人専門家らと共に仕事をしている関係者 が来日し、日本の医療従事者の制度、病院で勤務する人材 の継続教育の制度と現状などを学びました。以前は医療従 事者の学校教育を推進する JICA 技術協力が行われており、

その関係者が長崎に来ておりましたが、ProFORSA2 が開 始してから初めての来日となり、2 年ぶりの研修となりま す。

 本研修においても参加者は、勤務している医療従事者の 教育を帰国後にどのような方策で進めて高い医療サービス の提供を行っていけるのか、

それぞれの立場で何ができる のかを考えました。研修参加 者の活躍により、モザンビー クでの健康状況の改善が進む ように、期待したいところで す。

終わりに

 今回は 3 件の研修を紹介させて頂きましたが、このよ うにアフリカから多くの研修員が長崎での研修で学んでい ます。2016 年はケニアのナイロビにてアフリカ開発会議

(TICAD)が開催されて長崎大学も積極的に参加したほか、

長崎大学によるアフリカ展開 50 周年でもありました。今後 ともアフリカの開発や人びとのより良い生活のために協力 を継続するとともに、アフリカ以外の地域の国々からの人 材の育成にも取り組んでいきます。

 各研修の実施は、多くの機関のご協力を得て実現してい ます。それぞれの受入機関での研修内容はもちろんのこと、

温かく迎え入れて頂いていることで、研修員は日本・長崎 に対して非常に良い思いを抱いて帰国しています。ここに 改めて受入機関の皆様方に感謝申し上げます。

現状分析を深めて発表

検査室を熱心に見て回る

研修の最後には閉講式

教育用シミュレーターを体験

受入先から温かく迎えられた研修員

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参照

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