安定動作条件 に関す る研究
中 野 茂 要 旨
近年 ,携 帯用情報機器 の小型化 に ともない ,狭 い空間に冷却液 を送 る小型 ポンプのような冷却技 術 の開発が重要な課題 となっている。 また ,医 療技術やバイオテクノロジーの発展 に ともない ,化
学分析 システムの小型化 を図 る研究 を始 め とし ,微 小流体の制御や ,微 量サ ンプルの検 出な ど ,分
析 に必要な機能部品のマイクロ化 を目指す研究が盛 んに行われ るようにな りつつある。この中で ,基 板上の高精度で微小 な流路 に送液す るマイクロポンプが必要 とされている。 これ まで ,ポ ンプ とし ては回転翼 を用いる電磁型 ポンプが主流であったが ,そ の構造上 ,微 小サイズのポンプを実現す る のは容易ではない。回転翼な どの可動部があるために ,軸 受部 の機械的磨耗 による液中への不純物 の混入 な ども問題 となる。
これ らの技術的課題 を克服す るポ ンプ として ,静 電型 ポンプの一つである電気流体力学 (EHD)ポ ンプは有利 な特徴 を備 えている。 EHDポ ンプは ,リ ング電極対 円盤電極 のような非対称電極だけで 構成 され ,二 つの電極 のいずれか一方に直流高電圧 を印加 して ,他 方 をアースす ることによ り ,誘
電性液体 をポ ンピングで きる。従来の電磁型 ポンプのような機械的な可動部 を持たないため ,軸 受 部 の摩擦 によ り作動流体 を汚す心配がな く ,ま た静止型の故 に騒音が出ない。 さらに ,印 加電圧 を 変 えることによ り ,流 体 の流量 ,速 度 を容易 に制御で きるな どの有利 な特長 を有す る。
これ まで様々なタイプの EHDポ ンプが作製 され,基礎的な特性が明 らかにされているが,典型的 な EHDポ ンプ としては ,ィ ォ ン ドラッグ型 と誘導型 の二つが良 く知 られている。イオ ン ドラッグポ ンプは 1959年 OM.Stuetzerら によって提案 された。このポンプでは ,誘 電性液体 中に多量 のイオ ンを注入 し ,イ オ ンと直流高電界 との相互作用によるクーロンカ を利用 して液体 をポンピングす る。
ところが ,ポ ンピングカ を得 るために ,コ ロナ放電 な どにより液中に真電荷 を注入す る必要があ り
,これが液体の絶縁劣化 を招 くとい う問題 を抱 えていた。その後 ,Melcherら によって誘導電荷 と交 流進行波電界 の相互作用 を動力源 とす る誘導型静電ポンプが提案 された。ポンプを構成す る電極 と 液体が非接触 なため ,液 体 の絶縁劣化 による トラブルを払拭で きたが ,装 置 は複雑 になって しまっ た。
本論文では ,真 電荷 を注入 しないで電気歪み力 をポンピングカ とす る新 しい EHDポ ンプの開発 を究極の目的 として,様 々な形状 の電極か ら成 る EHDポ ンプを作製 し,ポ ンピングの中心的な力 に ついて検討 した。初 めに EHDポ ンプの基礎的な特性 を明 らかにす るためにポ ンプで発生す る電気 的な圧力 を検討 した。 U字 管の片側 に ,数 mmサ ィズの リング電極 と数十 二 1lmサ イズの円筒電極で 構成 され る EHDポ ンプを取 り付 け ,U字 管左右の液面差か ら電気圧 を計算で求 めた。ところが ,印
学位記番号 と学位 :第 12号 ,博 士 (工 学
)授与年月 日 :平 成 14年 3月 20日
授与時の所属 :大 学院工学研究科電気電子工学専攻博士後期課程
加電圧 を上 げていって も液体 はポンピングされず ,遂 には電極間で放電が発生す るという不安定現 象が時々見 られた。そこで ,EHDポ ンプの安定動作条件 を明 らか にするために ,電 極構成 ,作 動流 体の種類 , リング電極 と円筒電極のなす角度 ,作 動流体温度お よび電極 の極性 な どを変 えて実験的 に検討 を行 った。形状 とサイズの異 なる数種類 の電極 を作製 して検討することにより , リング電極 と円盤電極で水平方向送液 EHDポ ンプを構成すれば ,ポ ンピングカ として電気歪 み力 を安定 に発 現で きることを明 らかにした。
以下 に本論文の概要 を述 べる。
第 1章 は緒言であ り ,本 研究の背景 と目的 ,お よび EHDポ ンプの応用 について述べている。
第 2章 では ,す でに作製 されているイオ ン ドラッグ型 ,誘 導型 の 2種 類 の EHDポ ンプを取 り上 げ,そ の特徴 および残 されていた課題 について述べている。続 いて ,本 研究で提案す る EHDポ ンプ の特徴 について
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