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幼児の概念的逆転学習における移行型の吟味

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

幼児の概念的逆転学習における移行型の吟味

著者 藤田 正

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 23

号 1

ページ 195‑203

発行年 1974‑11‑15

その他のタイトル THE TESTING OF SHIFT PARADIGM IN CONCEPTUAL

REVERSAL LEARNING OF KINDERGARTEN CHILDREN

URL http://hdl.handle.net/10105/2698

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幼児の概念的逆転学習における移行型の吟味

藤  田     正 (心理学教室) (昭和49年4月30日受理)

概念的に関連する事例を刺激として用いた概念移行学習の事態では、 "動物"、 =果物"といっ た上位概念が媒介として利用される。最近の概念移行学習の研究では、上位概念が媒介として利 用できる全逆転移行(full reversal shift)と、それが利用できない半逆転移行(half reversal shift)を用いて言語的媒介過程の諸特徴を吟味している(Kendler, Kendler, & Sanders, 1967;

Kendler & Watson, 1968, 1969; Kendler, Kendler, & Marken, 1969, 1970)。

全逆転移行とは、先行学習で行なった刺激と反応の連合を移行学習の段階で全く逆の連合に変 化させる条件であり、他方、半逆転移行とは、先行学習で行なった連合の半分だけを逆の連合に 変化させる条件である。もし、被験者が上位概念を媒介として利用した学習を行なっていれば、

媒介の利用できる全逆転移行はそれの利用できない半逆転移行よりも学習が速い。また、上位概 念を媒介として利用した学習が行なわれない場合には逆のことが予想される。したがって、媒介 反応の成立や利用性が重要な条件となってくる。

ところで、このような媒介反応の成立や利用性に影響する要因のひとつとして先行学習の訓練 量の要因が考えられ、その効果についても検討がなされてきた(Kendler, Kendler, & Sanders, 1967;藤臥1973)c 大学生を被験者に用いたKendler et al.の場合には訓練量の効果はなく、

幼稚園児を用いた藤田の場合には訓練量の著しい効果がみられた Kendlerらは、彼らの結果に 対して、 =成人の場合は、媒介となる上位概念を実験前にすでに十分に学習しているので、過剰 訓練によってもそれが強まらなかった。日と述べた。藤田はKendlerらの解釈に基づき、幼稚園 児の場合には上位概念が十分に学習されたものでなかったので、訓練量の増加により強められた と説明し、 Kendlerらの結果と合わせて、訓練量の効果は年齢や上位概念の習得の程度により異 なると考えた。しかし、上位概念を媒介として効果的に利用する能力が低いと考えられる幼児に おいて、先行学習の訓練量の増加により媒介が強められ、利用されやすくなったことは注目すべ

き事実であるといえる。

全逆転移行一半逆転移行は、先行学習と移行学習で同じ刺激や反応を用い、その連合の仕方の みが変化する事態である。この事態では、移行の際に"反応スウィッチング"といった反応様式 が生じ、それが全逆転移行を促進する要因として作用する可能性があること(Bogartz, 1965)、

また、逆転移行‑井逆転移行(reversal shifトnonreversal shift)の事態と同様に媒介反応と刺 激価そのものに対する道具的な選択反応の転̲移効果が分離されていないこと(Slamecka, 1968) など、媒介反応の純粋な転移効果と混同するような要因が生じることが指摘されている。したが

って、このような移行型でもって媒介過程の問題を検討することは不適当であると考えられる。

Slameckaは、この移行型の問題に対して、移行学習の段階で刺激や反応を変化させる操作を取 入れた移行型(total change design)の使用を提唱している Slameckaの主張に合致して、媒 介反応の転移と選択反応の転移の分離の問題に関しては、次元内移行一次元外移行(intradime‑

195

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IBS 藤 田   正

nsional shifトextra dimensional shif° のように、次元は同じままで刺激価を変化させたり (Shepp& Turrisi, 1966)、関連語を用いた場合には移行学習の段階で同じ概念カテゴリーに属 するが異なる刺激事例を用いる方法(Kendler, Kendler, &Marken, 1970)があり、また"反応 スウィッチング日といった反応要因の統制に関しては、達合する反応の方を移行学習の段階で変 化させる方法(Marquette,& Goulet, 1968; Goulet,& Williams, 1970)が用いられてきた。

以上のように、 total change designの使用として、克行学習と移行学習の段階で刺激や反応 を変化させる方法がとられているが、筆者の知りうる限りにおいて概念的に関連する事例を用い た概念移行学習では、媒介反応の転移と刺激価そのものに対する選択反応の分離、それに加えて 反応スウィッチングの要因を完全に統制できるような、刺激と反応の両方を変化させた移行条件 は用いられていないように思われる。そこで、本研究においてはtotal change designを用い て、概念移行学習におよぼす先行学習の訓練量の効果をより明確にすることを目的とした。

上記の目的を検討するために、全逆転移行学習の事態で、先行学習と移行学習における刺激と 反応の変化の組合わせから、次の4つの逆転移行条件を設けた。それらは、無変化条件、刺激変 化条件、反応変化条件、刺激・反応変化条件である。なお、刺激・反応変化条件においては選択 反応の転移効果も、反応スウィッチングの要因も除くことができるので、純粋な媒介反応の転移 効果が測定できると考えられる。ここでは、藤田(1973)の結果に基づき、 =先行学習の訓練量 の増加により、仝逆転移行は促進されるであろう。この効果は、刺激・反応変化条件においても みられるであろう。日という仮説が検討される。逆転学習におよばす選択反応の転移効果や、反 応スウィッチングの要因の効果については明確に予測することはできないが、次のことが考えら れる。もし、刺激価そのものの選択反応の転移効果が大きければ、刺激を変化させた条件の成績 が悪くなるであろう。また、もし反応スウィッチングの効果が大きければ、反応を変化させた条 件の成績が悪くなるであろう。

方     法

実験験画  実験計画は, 4 × 2の要因計画であった。第1の要因は運転学習の条件で、先行 学習と逆転学習で刺激も反応も変化しない条件(無変化条件)、刺激のみ変化する条件(刺激変 化条件)、反応のみ変化する条件(反応変化条件)および刺激と反応の両方が変化する条件(刺 激・反応変化条件)であった。第2の要因は先行学習の訓練量で、 8匝I連続正反応まで(8回群 )と8回連続正反応+24試行(8十24回群)であった。

被験者 被験者は東京都内の幼稚園児96名(男児48名、女児48名)で、その年齢は5才6か 月から6才7か月に分布し、平均6才0か月であった。彼らは入室順に年齢と性を考慮して、各 群12名ずつの8つの下位群に分けられた。なお、先行学習で60試行までに所定の学習基準に達し なかった者(17名)、過剰訓練中に7回以上の誤分類を行なった者(1名)および実験後の質問 により左右の交番反応(alternation response)により偶然に学習基準に達したことが判明した 者(2名)など、計20名は実験から除かれ、各群が12割こなるまで順次被験者が追加されたO

装置および材料 (a)装置 分類箱は灰色の厚紙で作られたもので、 13×17cmの底面をもち、

前面の高さ3cm、後面の高さ11cmの傾斜した箱の上面に、それぞれ7.5×6cmの黒、白、青,黄 の分類の目印となる色紙が貼りつけられており、それぞれの色紙の上には刺激カードを入れるた めの細長い穴(10×0.5cm)があけられている。

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(b)学習材料 学習材料はTable lに示されるように動物、果物、乗物、野菜の各概念カテ ゴリーに属する事物の線画である。それぞれの線画はゼロックスで複写され、補強のために6.5

× 5cmの厚紙に貼りつけられた。概念の組合わせは、動物と果物、乗物と野菜であった。分類刺 激はそれぞれの概念カテゴリーから4事例ずつ、計8事例で1セットが構成されている。なお、

分類刺激の1系列は32枚で、 4セットから構成されている Tablelに示されるように、刺激変 化のための操作は先行学習の段階で行なわれたO これは主たる分析の対象である逆転学習の課題 を等しくするためである。

Table l 各下位群における先行学習と逆転学習での学習材料

手続き  実験は被験者が所属する幼稚園の個室で、個別的に行なわれた。被験者が所定の位 置に着くと、組、氏名、生年月日などを尋ねたあと、次のような教示を与えた。

これからカード遊びをします。ここには黒い絵を貼ったポストと白い絵を貼ったポストがあ りますねO あなたのすることは、今から見せるいろんなものの絵を患い絵のポストか、白い絵 のポストかのどちらかに分けて入れることです。黒い絵のポストにも、白い絵のポストにもい つも決った絵が入ります。絵を正しくポストに入れた時には「よろしい」、間違ってポストに 入れた時には「まちがい」といいます。絵をよく見て、それほどの色のポストに入れたらよい のかをよく考えてやって下さい。最初のうちは、桧をどのポストに分けて入れたらよいのか、

わかりにくいですが、やっていくうちにだんだんとどちらのポストに入れるとよいのかわかっ てきます。できるだけ続けて「よろしい」といってもらえるように頑張って下さい。 (但し、

反応変化条件と刺激・反応変化条件の被験者に対しては、 "黒い絵"、 "白い絵''のところを"育 い絵''、 "黄色い綾川 と言葉を変えて与えた。)

教示に続いて、各被験者には先行学習と逆転学習が続けて与えられた。

(1)先行学習  刺激カードは予め決められた配列で被験者に1枚ずつ手渡され、被験者のペー スで学習が行なわれた total change designを採用するために行なわれた刺激と反応変化の操 作は次のとおりである。逆転学習における分類課題を共通なものとするために、先行学習では刺 激と反応で変化の違いをもつ4条件を設定した。以下、 Tablelに示した学習材料のうち、動物

と果物の概念の組合わせを例にとり、それぞれの条件における正しい分類の基準を説明する。

無変化条件:刺激、反応とも逆転学習と同じもので、動物の事例のうち(ライオン、ネコ、ウ

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198 藤 田   正

サギ、ウシ)を用い、それを黒いポストへ、果物の事例のうち(ミカン、バナナ、モモ、クリ) を白いポストへ分類させた。

刺激変化条件:この条件は事例が逆転学習で用いるものとは異なる。すなわち、動物の事例(

イヌ、ウマ、ゾウ、ネズミ)を黒いポストへ、果物の事例(リンゴ、イチゴ、ブドウ、カキ)を 白いポストへ分類させた。

反応変化条件:刺激事例は同じだが、反応側の分類箱の色紙の色が逆転学習で用いるものと異 なる。すなわち、動物の事例(ライオン、ネコ、ウサギ、ウシ)を青いポストに、果物の事例(

ミカン、バナナ、モモ、クリ)黄色いポストに分類させた。

刺激・反応変化条件:刺激、反応ともに逆転学習とは異なる。すなわち、動物の事例(イヌ、

ウマ、ゾウ、ネズミ)を青いポストに、果物の事例(リンゴ、イチゴ、ブドウ、カキ)を黄色い ポストに分類させた。

なお、被験者の半数に対しては、分類させるポストの色が逆の場合を正反応にした。また、位 置による分類の手掛りを与えないために、分類箱の位置はゲラマン系列により試行毎の左右が決 められた。

正しい分葬郡こ対しては"よろしい日、誤った分類に対してば̀まちがい''という言語強化が与え られた。但し、誤分類に対しては「これはこの色の箱に入れるのですよ」と正しい分類を教える 修正法を用いた。先行学習の訓練基準は、実験計画のところで述べたように8回群では連続8回 正反応までであり、 8十24回群では連続8回正反応の基準に達したあと、さらに24試行の過剰訓 練が与えられた。なお、過剰訓練中に7回以上の誤分類がなされた時、および60試行までに所定 の訓練基準に達しない場合には先行学習の段階で実験を打ち切り、その被験者を実験から除いた。

(2)逆転学習  先行学習で所定の訓練基準に達した時、 「今度は、これでやってみましょう。」

という教示により逆転学習に移された。逆転学習では、全ての条件で黒と白の分類の日印を貼っ たポストと逆転学習用に準備された刺激カード(Tablel)が用いられた。分類の基準は、動物 と果物の概念の組合わせでは、半数の者が動物の事例(ライオン、ネコ,ウサギ、ウシ)を白い ポストに、果物の事例(ミカン、バナナ、モモ、クリ)を黒いポストに分類した時を正しい分類 とした。残り半分の者に対しては逆の分類の場合を正しい分類とした。全ての被験者は連続8回 正反応の基準に達するまでか、この基準に達しない場合には60試行まで訓練された。

結     果

先行学習  Table 2は先行学習における基準達成までに要した試行数の平均値を示したもの である t/X+0.5変換値により逆転学習の条件と訓練量の要因を含む4 × 2の分散分析を行な った。その結果、いずれの主効果も、交互作用も有意でなかった。これは各条件で用いた課題の 困難度がほぼ同じであったことを示すものである。このことから、逆転学習における成績の差は 逆転学習の条件の差によるものであると考えられる。

逆転学習  Table 3 は逆転学習における基準達成までに要した試行数の平均値を示したもの であるOなお、 60試行までに連続8回正反応の基準に達しなかった者に対しては、便宜的に60点 が与えられた vx十0.5変換値により、逆転学習の粂件と訓練量の要因を含む4×2の分散分 析を行なったO その結果、訓練量の主効果のみがF (1,  ‑18.73となり、 1%水準で有意で

(6)

あった。これはTable3の標本値からもわかるように、過剰訓練を行なうことにより逆転学習 が促進されたことを示すものである。しかしながら、逆転学習の条件間には有意な差は認められ

Table 2 先行学習の基準達成までに要した平均試行数

逆  転  学  習  の  条  件

無変化条件    刺激変化条件     反応変化条件   刺激・反応変化条件 8回群      16.00       16.92

8+24回群      17.83       17.44

22. 17        22.97 17.50        19.83

なかった。交互作用は有意でなかったけれども、訓練量の効果が主としてどの条件において大き いのかを分析するために、逆転学習の条件ごとに8回群と8+24回群との差を検定した。その結 果、無変化条件と刺激・反応変化条件で、 t (22)‑3.97、 P<.001、およびt (22)‑2.25、 P<

.05でそれぞれ有意であった。

Table 3 逆転学習の基準達成までに要した平均試行数

逆 転 学 習 の 条 件       全条件の 無変化条件   刺激変化条件   反応変化条件   刺激・反応変化条件

8回群   32.92      33.08       23.75        27.50      29.31 8+24回群    6. 17      15.50      10.88        10.83     10.83

平 均   19.54      24.29      17.29

考 察

本研究の主な結果は、次のとおりであった。

(a)先行学習の訓練量が増加するにつれて逆転学習は促進された。この効果は、特に無変化条件 と刺激・反応変化条件において顕著であった。

(b)逆転学習条件問の差は、 8回群においても8+24回群においてもみられなかった0

本研究では媒介反応の純粋な転移効果を測定するために、 Slamecka (1968)により提唱され たtotal change designを使用して、概念移行学習におよぽす先行訓練量の効果が検討された。

(a)の結果からわかるように、訓練量の増加による促進効果がみられ、本研究の仮説が支持され た。また、逆転学習の条件別にみた訓練室の効果に関しては、無変化条件と刺激・反応変化条件 において統計的に有意な促進効果が、また刺激変化条件と反応変化条件においては統計的にこそ 有意でなかったが、標本値の上では促進傾向がみられた。特に、媒介反応の純粋な転移効果が測 定できると考えられた刺激・反応変化条件において訓練量の効果がみられたことは、幼児の場合、

上位概念による媒介反応は訓練室の増加により強められるという仮説を明確に支持するものであ as

(b)の結果は、従来の研究(Bogartz, 1965; Slamecka, 1968)で指摘されたような媒介反応の 転移効果以外の要因の影響は認められなかったことを示すものであった。ところで、 total change

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L'OO 藤 田   正

designを利用して媒介反応の明確化を検討した他の研究結果はどのようになっているだろう。

次に本研究の結果と比較しながら考察を進めよう。無変化条件と刺激変化条件の学習の速さに差 がみられなかった結果は、大学生を用いたKendler, Kendler, and Marken (1970)の結果と 一致するものであったo この結果は、両方の逆転条件とも同じ上位概念が媒介として利用された

ので、刺激価そのものから生じる選択反応の転移の正の効果も、負の効果もなかったので、逆転 学習の速さに差を生じなかったと考えられる。したがって、逆転学習を規定する要因が先行学習 で用いられた刺激価そのものよりも、上位概念が媒介として利用されたか否かに大きく依存する ことを示すものといえよう。ところで、 Kendlerらは成人の場合、先行学習で媒介反応を形成し た刺激価そのものから媒介反応を分麟することができると述べている。また、この能力に関して は発達的な変化も予測している。すなわち、年齢の低い段階ではこのような媒介反応はある程度、

先行学習で用いられた刺激価に規定されるということである。本研究では6才児を用いたが、成 人の場合と同税な結果を示した点は、この年齢でも刺激価そのものから媒介反応を分離できる能 力を十分に持っていることを示すものといえる。

次に、無変化条件と反応変化条件の比較をMarquette and Goulet (1968)とGoulet and Williams (1970)の結果と比べてみよう。大学生を用いたMarquetteらの場合は、無変化条件 と反応変化条件の問に学習の差はみられなかったが、小学生を用いたGoulet らの場合は、反応 変化条件の学習が著しく遅れている。これは後者の場合、媒介反応が形成されなかったのか、存 在していても弱いものであったので反応が変化したことにより学習が妨害されたものと考えられ る。幼児を用いた本研究の結果は、無変化条件と反応変化条件の問に差がみられなかった。これ はGoulet らの場合と異なり、概念カテゴリ‑が構成できる刺激事例を用いたので、より強い安 定した媒介反応が存在していたことによるものであろう。このような差異は、用いた刺激材料と そこで形成される媒介反応の内容の違いによるものと考えられる。

ところで、藤田(1973)の第1実験における全逆転移行8項目条件は本研究の無変化条件と同 一の条件である.しかし、両者の成績を比較すると先行学習での連続8回正反応の基準では、ほ とんど違いがないが、移行学習の段階では8回群で前者が18.8、後者が39.2、 8 +24回群で同じ く4.3と6.2と幾分後者の方が基準までの試行数が多くなっているO これは前者では分類箱の位置 が固定されていたが、本研究では分類箱の位置を左右に入れ換える手続きを用いたので、課題が 幾分困難になったことによるものであろう。

本研究は、できるだけ純粋な媒介反応の転移効果を検討する目的で、 total change designを 用いた条件を含めて逆転移行学習を行なった。その結果、上位概念に基づく媒介反応は訓練量の 増加により強められ、安定するという仮説がより明確に支持されたo ところが、いわるゆ全逆転 移行条件(無変化条件)と total change designを用いた条件の間に顕著な差がみられなかった。

この結果は、 total change designのような移行型を用いて媒介過程を検討する必要がないこと を主張する立場(Kendler & Kendler, 1969, 1971)に有利な結果であるが、媒介過程を独立変 数として操作していない実験では、できる限り純粋な媒介反応の転移効果が測定できる移行図式 を用い、それに基づいて媒介的な見解が検討されることが望ましいと思う。

要     約

本研究は幼児の概念的逆転学習に関する2つの問題を研究するために計画された。第1の日的

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は、概念的運転学習におよぼす先行訓練量の効果を検討することであり、第2の目的は、逆転学 習における移行型を吟味することである。

4(移行型) × 2 (先行学習の訓練量)の要因計画が用いられたO 4つの移行型は先行学習と逆 転学習の間の刺激と反応の変化の組合わせにより作られている。それらは、無変化条件、刺激変 化条件、反応変化条件、刺激・反応変化条件であった。被験者は平均年齢6才0か月の幼稚Ea児 96名であったO彼らは先行学習でTablelに示されるような2つの概念カテゴリーに刺激事例を 分類する課題を、 2つの訓練基準(連続8回正反応、連続8回正反応+24試行)のうちの1つに 達するまで訓練された。先行学習のあと、逆転学習が連続8回正反応の基準に達するまで与えら れた。逆転学習では、被験者は先行学習で行なった分類の仕方を逆転学習の段階で完全に変化さ せることを必要とされた。

主な結果は次のとおりである。

(a)先行学習の訓練室が増加するにつれて、逆転学習は促進された。この効果は、特に無変化条 件と刺激・反応変化条件において顕著であったO

(b)逆転学習条件間の差は、 8回群においても8+24回群においてもみられなかった。

以上の結果は、過剰訓練は概念的媒介反応を強めるという仮定により解釈され、従来の研究と 関連させて考察された。

〔付記〕本論文は昭和47年度東京教育大学教育学研究科修士論文の一部をまとめたものである。

論文の作成にあたり絶えず御指導下さいました辰野千寿先生に心から感謝の意を表します。また、

実験に御協力下さいました幼稚園の先生方、園児の皆様に心からお礼申し上げます。

引 用 文 献

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藤 田   正1973 幼児の概念学習における言語的媒介過程の検討.東京教育大学教育学研究科修士論 文.

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202 藤 田   正

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THE TESTING OF SHIFT PARADIGM IN CONCEPTUAL REVERSAL LEARNING OF KINDERGARTEN CHILDREN

Tadashi Fujita (Received April 30, 1974)

Department of psychology, Nara University of Education, Nara, Japan

The present study was designed to investigate two problems on conceptual reversal learning in kindergarten children. The first purpose is to examine the effect of amount of original training upon conceptual reversal learning, and the second one is to test the

shift paradigm difference.

A 4(shift paradigm)X2(amount of original training) factorial design was used. Four shift paradigms used were No-Change condition (N-C), Stimulus-Change condition (S-C),

Response-Change condition (R-C), and Stimulus •EResponse-Change condition (S»R-C), which were determined on the basis of different combinations of stimuli and responses between training and reversal learning. The 5s were 96 kindergarteners with a mean age of 6:0. They were trained on a card-sorting task with two conceptual categories (see Table

1) to reach one of the following criterions: 8 successive correct responses and 8 successive correct+24 responses. After training, they were given reversal learning to reach a criterion of 8 successive correct responses. The Ss in reversal learning were required to change

their mode of responding from training completely.

The main results were as follows:

(a) Positive effect of amount of original training was found in reversal learning, which was particularly evident in N-C and S«R-C condition (see Table 3).

(b) The performance of reversal leaning didn't differ in each shift paradigm in either amount of training condition (see Table 3).

These results were interpreted by the assumption that overtraining strenghens conceptual mediating response and were discussed with reference to related studies.

参照

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