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唖唾

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(1)

五月下旬︑筆者は突然﹃史料館報﹄

の編集子から電話で︑国文学研究資

料館史料館が編集した﹃史料館収蔵

史料総覧﹄︵一九九六年三月︑名著

出版︶の﹁書評﹂を依頼された︒本

書を出版直後に手にし︑その折︑今

までの日本の文書館︑史料館等で企

画されたことのない本格的な記録史

料ガイドブックであるとの印象を持

っており︑機会があれば吟味したい

と考えていた矢先であった︒それで

﹁書評﹂を引き受けたのである︒し

かし︑キイボードに向かう前に考え

込んでしまった︒本書は記録史料H

録のひとつであり︑それを﹁書評﹂

するとは如何なることであるか︑と︒

つまり︑何を書けばよいのか︒

そもそも記録史料目録を書評する ISSNO385‑9517一はじめに ﹃史料館収蔵史料総覧﹄を手にして

青山英幸薊篭軸嗜謎

行為は何のためであるか︒書評とは︑

一般に︑それぞれの学問分野におい

てその研究が到達した世界を関係者

と不特定多数の読者が共有し︑さら

に今後の方向を探ることを目的とし

ていると︑筆者は了解している︒そ

れと同じことを記録史料目録を題材

としてなしうるのであろうか︒

かつて︑原島陽一氏が﹁史料目録

のうつり変わり﹂の論稿で︑史料目

録の書評を今後積極的に行うべきで

あると提言していた︵﹃アーキビス

ト﹄二二号︑一九九○年一二月︶︒

それによると︑それまでは若干その

種の書評がなされていたが︑それら

の大半は﹁収載史料の内容評価など

に重点がおかれ﹂ていたとし︑﹁目

録の様式や目録事項の可否などを論

じたものは少ない﹂と指摘している︒

九○年以降の動向を筆者は十全に把 ロ言日脚5年68第平

握していないが︑全史料協機関誌

﹃記録と史料﹄を通観してみると︑

その動きは徐々に現れている︒しか

し︑記録史料目録書評の基本的視点

が定まっているとはいえないように

思える︒

そこに考えが至った時︑大変なこ

とを引き受けたと反省したが︑時す

でに遅かった︒原稿依頼の文書が筆

者に配達されたのである︒その依頼

文にこの小稿の表題が仮題として記

載されていた︒書評という正面から

でなく︑﹁⁝⁝を手にして﹂という

側面からならば手をつけることがで

きるかと考え直し︑先学の導きをた

よりとして︑キイボードに向かうこ

ととしたい︒

本書はB五判︑四二○頁という大

部な本である︒その構成は三部から

なり︑第一は︑はしがき︑編集にあ

たって︑凡例︑細目次︑変更した文

書群名一覧︵三四頁︶︑第二が本文 二本書の特徴

I目次l

﹃史料館収蔵史料総覧﹄を手にして史料修復研究成果報告⁝⁝・⁝・⁝:⁝⁝⁝:⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝::青山英幸⑪史料学の研究会報告⁝:⁝⁝::⁝⁝.古代・中世寺院史料の活用⁝永村眞⑤史料管理学体系化の準備研究会⁝⁝.史料の保存・利用と電子化受贈図書・⁝:⁝:⁝⁝⁝:⁝:⁝::⁝⁝・⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝・蔵持重裕⑥史料管理学研修会カリキュラム⁝・⁝特別展示・講演会⁝..⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝m業報⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝::.⁝・⁝⁝⁝

で二部からなっており︵三五四頁︶︑

第一部が所蔵・寄託史料︑第二部が

マイクロ収集史料︑そして第三は︑

文書群索引︑編集後記︵三二頁︶で

ある︒

本書の編集刊行の目的は︑史料館

収蔵史料の総合ガイド作成にあり︑

﹁はしがき﹂で以下のように述べら

れている︒

当史料館に収蔵されている史料

のすべてについて︑史料一件ごと

に︑出所情報︑数量や年代︑史料

群の構造と内容などを概括的に記

したものであり︑史料群ごとのい

わば概要目録である︒

すなわち︑史料館では︑いままで

収蔵史料の案内は﹃史料館案内﹄の

﹁収蔵史料﹂で史料群名を表示する

方法で行ってきたが︑利用者への検

索手段システムー﹁収蔵文書群名一

覧﹂←﹁収蔵文書群概要﹂←﹁文書

目録﹂←﹁細目録﹂lの第二レベル

のマクロ・レベルの検索手段として

︵﹁編集にあたって﹂六七頁︶︑全

(2)

史料群五三○件のそれぞれを二二項

目によって記述した概要目録による

ガイドを作成したのである︒

史料群の概要目録︒すなわち︑史

料の発生および蓄積母体である家や

団体ごとに把握している単位を史料

群とし︵本書では文書群とも表記し

ている︶︑各史料群の全体像をリス

ト形式ではなく︑フリーテキスト形

式で記述したものである︒これは︑

一九八五年に安藤正人氏が紹介した

欧米記録史料学の目録記述論の基軸

のひとつである︵﹁史料整理と検索

手段の作成﹂︵﹃史料館研究紀要﹄一

七号所収︶︑後に大藤修・安藤正人

著﹃史料保存と文書館学﹄︑吉川弘

文館︑一九八六年に所収︶︶︒

それから約一○年後に︑その理論

と技法にもとづいた目録が作成され

た︒この間に︑世界的には記録史料

情報交換のために目録記述の標準化

が大きく進展している︒本書はこの

動向を積極的に取り入れ︑日本にお

ける標準化への試行としても作成さ

れたのである︒

それ故︑この小稿で吟味しなけれ

ばならないことは︑本書が利用者を

史料館収蔵の記録史料の世界へどの

ようにガイドしているか︑であり︑

そのために︑第一には道しるべの方 法︑第二には各史料群の再提示方法である︒前者はガイドとしての構成の問題であり︑後者は各史料群の記述項目の問題である︒この二点を欧米の記録史料学と比較し︑日本の特殊性を踏まえたものになっているかどうか︑にあるであろう︒

本書は︑イギリスの目録記述を参

考にして作成されている︵﹁編集に

あたって﹂参照︶︒それ故︑本書の

特徴を把握するために︑その構成を︑

マイケル・クック︑マーガレット・

プロクター著﹃記録史料目録記述マ

ニュアル﹄︵三房言の一○○昊陣三四﹃悪︲

﹃里卑ogg﹄二言苫震ミミ津再言甦ミ

ロ厨s巷一さ鳶.画︒・a・ゞの︒君国宅屋亨

房三局○○ョ冒昌︾爵︒房.乞函P以下

三シgと略称する︶の記録史料の

階層構造と対比した図1を作成した

︵本書の参照文献は二言言の−9○戸

﹃言ミ倉冒罵ミミミ弓ミミ昌一§・ミミ

エ胃貢烏寧の○乏図刃弓一房三国m○○ョ︲

冒昌.医員晩.乞盟であるが︑三シg

がより体系化しているのでここでは

それをとりあげた︶︒

レベル0は﹁所蔵機関命go里︐

g邑﹂の個別性を表示する情報で

あり︑本書では書名が表示している︒ 三ガイドの構成について レベルーの﹁マネージメント・グ

ループ︵三目農のョの貝?︒g︶﹂は︑各

所蔵機関が︑各史料群のそれぞれの

性格にもとづいて分類したり︑また

史料群をマネジメントするために分

類する区分であり︑必要に応じてさ

らに下位の分類を行う︒イギリスの

場合︑例えば︑公的記録史料と非公

的記録史料に区分し︑前者は州庁記

録史料や学校記録史料など︑後者は

企業記録史料︑教会記録史料︑個人

・家記録史料などに再区分している︒

マネージメント・グループを設定

する積極的意義は︑第一にアーキピ

ストが所蔵資料をマネジメントする

ために︑また調査・収集対象資料の検

討に有効な方法であること︑第二に

利用者へ各史料群︵後述のグループ︶

図1『史料館収蔵史料総覧』における記述構造 レ ベ ル

0 史 料 館

1 所 蔵 ・ 寄 託 史 料 マ イ ク ロ 収 集 史 料

斤引一同F片向

青森県北海道

○○○

秋田県

岩手県

青森県 宮城県 ○○○

北海道

1.5

○○○

陸奥国

陸奥国陸奥国 ○○○陸奥同陸奥国

15

h岬餓鯛揃蕊蕊

l姫陸奥凶弘前津軽家文書

皿出羽回秋田郡北比内片山村谷地田家文書︷挫︾︾書

2 F︹○一・・F○コQ○国.﹄の④いつロつ.の﹃I②︑︶O ロミP匡ウ﹃画﹃望ンゆめCa具5.勺匡三厨三国︑ どきミミさ薑二冑曽腎ミミロミェベミきミ 能するところにある︵二言富の−9臭. の相互関連を知らせるものとして機

本書では︑﹁所蔵・寄託史料﹂と﹁マ

イクロ収集史料﹂に区分し︑さらに

各県︵各国︶別およびその他に細区

分している︵レベル﹄・切炉巴︒レ

ベルーは記録史料の資料形態によっ

ている︒この点の説明が見られない

が︑恐らく史料館の資料収集の歴史

的背景と現在の方針にもとづいたマ

ネジメントの表現と思われる︒レベ

ル﹄印または岸廻︵サブ・マネージメ

ント・グループ︶は︑史料館の収蔵

史料が全国の近世・近代史料を対象

としていることから採用された区分

[備考]レベルはMAD2による。

(3)

であろう︒

レベル2は﹁グループ合﹃○§︶﹂

で︑国際文書館評議会の﹁国際標準

記録史料記述・・一般原則﹂合目の国一

百扇﹃ご胃ご弓堅の9口・画﹃ロン月宣く里口中

の目呂o目扇シロ︵e乞震︶﹃記録と

史料﹄第六号︑一九九五年九月︶以

下扇シ又eと略称する︶のフォン

ド奇︒且ゆ︶に該当する︒ここでは各

史料群名が記載され︑その配列は原

則として旧郡ごとにまとめている︒

この史料群の単位は︑出所原則にも

とづき全史料群を再点検して確定し

たものである︵但し一部不確定なも

のもある︶︒基本は︑家・組織ごと

を単位とし︑この他にコレクション

史料はそれを単位としている︒

各史料群の記述量はそれぞれの特

性に応じて多寡があるが︑平均する

と一二○○字相当である︒それは前

述のとおり二二項目で記述されてい

るが︑その項目とその前提となった

作業上の記述項目︵データシートの

フィールド︶および易ン口︵eの記

述要素を比較したのが︑図2である︒

掲載項目二二は六分野で編成され︑

標識︑出所︑伝来︑外形︑内容︑利

用の順序で記述されており︵この分 四各史料群の記述について 野項目は表示されていない︶︑扇エロ︵の︶と比べると利用のために提示する情報分野をカバーしている︒

項目それぞれを易圭又gと比較

すると︑扇シ又e中の﹁記述のレベ

ル﹂︑﹁評価︑廃棄処分︑保存年限に

ついての情報﹂︑﹁資料の使用言語﹂

が採用されていない︒記述レベルに

ついては本書はグループ︵フォンド︶

を対象としていること︑使用言語は

日本語︑そして史料の選別等の情報

は史料館収蔵史料には館設置母体か

らの引き継ぎ史料がほとんどないと

いことから採用していないと推定さ

れる︒

各掲載項目の表現は︑記号表示︑

固有名詞ないし普通名詞の表示であ

り︑﹁歴史﹂︑﹁伝来﹂︑﹁構造と内容﹂

などはフリーテキストである︒

これらの中で注目すべきことは︑

第一に﹁文書群名﹂を統一して出所

の所在地と出所名称を組み合わせて

付与したことがあげられる︒史料館

では従来からそのように史料群名を

付与してきていたが︑今回統一した

のである︒その結果︑グループレベ

ルの史料群の名称のみをみても︑あ

る程度内容が推定されるようになっ

たこと︑そして先述のサブ・マネー

ジメント・グループとの連絡が密接 になったことがあげられよう︒

第二には︑本書がもっとも力点を

おいている﹁歴史﹂と﹁構造と内容﹂

の記述が統一的になされたことがあ

げられよう︒前者は在来の史料目録

中の解説において記述されてきた伝

統があるが︑後者は先述のとおり八

○年代後半以降導入され︑解説で記

述されはじめており︑それらを踏ま

えている︒

﹁構造と内容﹂の記述をみると︑

基本としては︑グループレベルとし

ての全体像提示がなされている︒そ

の中で︑サブ・グループレベルの紹

介がおこなわれ︵本書中①︑②尋で

表示︶︑さらにサブ・サブ・グルー

プレベルの記述もみられる︵本書中

①a︑b等で表示︶︒また︑多くの

場合︑グループレベルより下位のク

ラス︵シリーズ︶レベルの史料群名︑

アイテム︵ファイル︶レベルの史料

名を列示している︒易ンロ︵の︶では︑

フォンド︑シリーズ︑ファイル︑ア

イテムのレベルごとに記述すること

とされているので︑下位レベルでは

上位レベルの情報を重複してはなら

ないとされているが︑本書はグルー

プレベルの記述のみであるため︑サ

ブ・グループ以下の記述を含めたの

であろうし︑またガイドとしてはそ の方が適切と思われる︒五ガイド作成のために

このように︑本書の特徴は︑日本

の伝統的な目録記述を踏まえ︑欧米

記録史料学の理論と技法を積極的に

摂取し︑日本の記録史料目録を世界

的な情報化社会にリンクしようとす

る野心的なガイドブックである︒

今後︑国内の各史料保存利用機関

においてガイドを作成する時︑本書

はモデルとなるであろう︒その際に

一層検討されるべきことを気のつい

た範囲で記しておこう︒

第一は︑レベルーのマネジメント

グループのことである︒本書は資料

形態によって区分しているが︑地方

文書館では公文書︵行政文書︶︑古

文書の二区分を採用している場合が

多く︑それは有効であろう︒工夫を

要する点はマネジメント・グループ

の細区分︵サブ︶設定である︒地域

別︑記録史料の特性にもとづいた区

分を設定した方がより適切にガイド

することができる︒マネージメント

・グループ︵サブを含む︶の記述は︑

三シgによると︑基本は本書のよ

うに見出し表示であるが︑例えば地

域別サブマネジメント・グループを

設定した場合︑地域の歴史的背景を

(4)

記述した概要目録を用意するのは有

益であるとしている︒

第二には索引のことがある︒本書

では史料の出所の新旧地名索引およ

び家・組織名索引を添付しているが︑

このほかに記載された項凹の中の

﹁旧支配﹂︑﹁役職等﹂の索引も必要

である︒これらを限られた印刷物に

表現することは困難なことであるが︑

コンピュータでは可能である︒

記録史料ガイドは︑本書のような

刊行物だけではなく︑より簡便な加

除式スタイルのものも工夫してよい

のではなかろうか︒例えばマネジメ

ント・グループレベルの記述を一シ

ートに納め︑さらにグループレベル

の各史料群も一シートとする方法も

ある︒各機関が本書で提示された方

法を積極的に吟味し︑収蔵資料ガイ

ドを作成し︑さらにそれらの標準化

を検討する時期に至ったのである︒

最後に︑本書には表現されていな

いが︑史料館が作業上作成した管理

データ︵図2参照︶の実験を重ね︑

記録史料に関する一貫した情報管理

システムの構築を行うべきであろう︒

図2「史料館収蔵史料総覧』各史料群記載項目およびその作業上の記述項目と「国際標準記録史料記述:一般原則」

ISAD(G)の配述要素

↑↑一一も︑ 一一◆e■■一一句心寺曲一一●●

::− ︒口早凸︑.●◆︑一︑■goo︑ノ︑一︑〃ロ︒︒x︑一︑ゴロ〃︑︑4−■〃︒︒︑一︑

︑国″け●./︑︑凸已︒︒︑︽″F寺●●.一︑巳︑●●︑・″毛グ︑一︑△EUpo︑︒﹄で″・ロ︑︑﹄︑︒︒︑〃︒︑■︒︒︑一︑︒︒︒〃ログ︑一︑︑︒︒︑/CO︒︒▲も口︒︒︑︑ロロ展.一oq−Eq︑︑go・邑込弓︑︑ノ︒︑︑″・・合一″go一号﹄︑︑︑◆﹄″p●色でUob︑一ご〆且一■︑﹃一pFb︑0991 ﹄︑︒︒と︑111︐二もり●■■■巳■今巳■●●二■・▲n−nU●p■q由り

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10

[備考]「r史料館収蔵史料総覧』各史料群記載項目と作業上の記述項目」は同書「凡例」および「糧集にあたって」から、

「『国際標準記録史料記述:一般原則』ISAD(G)の記述要素」はr記録と史料』6号,1995年9月から作成(なお、一部 翻訳を変更した)。図中*印はマイクロフイルム複製資料に関連する項目。

『 史 料 館 収 蔵 史 料 総 覧 』 各 史 料 群 記 載 項 口 と 作 業 上 の 記 述 項 目 本 書 の 掲 戟 項 Ⅱ デ ー タ シ ー ト の フ ィ ー ル ド

文書群デ夕

標 識 ( 1 ) 通 し 番 号 (2)文脊群名 ( 3 ) 記 号 出 所 ( 4 ) 出 所 ( 5 ) 地 名

(6) 11支配 (7)役戦等 ( 8 ) 歴 史 伝 来 ( 9 ) 伝 米

⑩ 文 轡 所 有 判 ・ * (1,所蔵機関での名称*

外 形 ( 画 数 垂

⑬ 書 架 延 長

⑭ 形 態 q 日 史 料 の 状 態 内 容 ( 1 0 年 代

構 造 と 内 容 利 用 0 3 閲 覧 条 件

ロ 9 検 索 手 段 画 出 版 e D 関 連 史 料 の 所 在

四 利 用 上 の 留 意 点

00l#標識番号 002文脊群名

3 文 書 群 記 号 名 称 1 0 地 名 1 l 、 地 名 1 + 、 201H支配 21役職/身分/載種 30機能/歴史

2 0 0 所 蔵 者 の 変 遷 と 移 管 の 経 緯

3 0 0 数 量 3 0 1 書 架 延 長 310形態/媒体

320保存の状態(破損状況など

1J

4 0 0 年 代

410文書群の構造と内容 5 閲 覧 条 件

510検索手段 5 2 0 出 版 5 3 0 関 連 史 料 の 所 在 540参考記事

5 9 0 利 用 に 関 す る 特 記 事 項

管理デー夕

受 入

配 架

整 理 保 存

展 示

備 考

皿 年 月 日 6 1 0 形 式6667 00002340 受受受配 入入入架 相費経場 手用過所

710棚延長 8 0 0 整 理 記 録 8 1 0 装 備 記 録 820補修記録

8 3 0 マ イ ク ロ フ ィ ル ム 複 製 記 録 8 4 0 そ の 他 複 製 記 録

館 内 展 示 記 録 9 0 1 貸 出 展 示 配 録 9 9 0 管 理 に 関 す る 特 記 事 項

国 際 標 準 記 録 史 料 記 述 : 一 般 原

則」ISAD(G)の記述要素 個 別 情 報 の エ リ ア

・ レ フ ァ レ ン ス コ ー ド

・ 表 題

・ 記 述 単 位 に 含 ま れ る 資 料 の 作 成 年 月日

・ 配 述 の レ ベ ル

・ 記 述 単 位 の 規 模 ( 数 、 量 、 ま た は 大きざ)

成 立 の 経 緯 に 関 す る エ リ ア

。 作 成 者 名 称

・組織歴/脳歴

・ 記 述 単 位 の 年 代 域

・ 伝 来

・ 資 料 入 手 先

内 容 お よ び 構 造 の エ リ ア

・範囲と内容/饗約

・ 評 価 、 廃 棄 処 分 、 保 存 年 限 に つ い て の 情 報

・ 追 加 受 入

・ 史 料 糧 成 の 方 法

公 開 お よ び 利 用 条 件 の エ リ ア

・ 法 的 位 匠 付 け

・ 利 用 条 件

・ 著 作 権 / 複 写 に 伴 う 条 件

・ 資 料 の 使 用 首 肥

・ 物 理 的 な 特 徴

・ 検 索 手 段

関 連 す る 資 料 の エ リ ア

・ オ リ ジ ナ ル 資 料 の 所 在

・ 複 製 の 存 在

.I財連する配述単位

・ 関 連 す る 資 料

・ 出 版 傭 報 覚 書 の エ リ ア

・覚書

(5)

古代・中世史料の調査・蒐集は︑

明治時代より継続的に進められてお

り︑蓄積された膨大な史料群が研究

を支えてきた︒また質・量両面から

みて︑古代・中世史料の中核は寺院

史料群であり︑東大寺勅・綱封蔵文

書︵正倉院文書︶・東大寺文書・東

寺百合文書等は︑いずれも古代・中

世史研究の基本的素材といえる︒と

ころで従来の寺院史料調査の対象と

されたのは︑主に世俗社会との接点

に生まれた史料であり︑寺院社会に

固有の宗教的な機能や存続のなかで

生まれた史料の多くは放置されてき

た︒日本史研究者はもっぱら文書・

記録を︑仏教学や国語・国文学の研

究者は経巻・聖教類を調査対象とす

る傾向が見られる︒そこで史料生成

の場を踏まえた史料の機能・性格の

解明は著しく立ち遅れ︑寺院史料は

その質・量に比して最も利用される

ことの少ない史料群となった︒

この障壁を打開する契機となった

のは︑文化財の所在確認と保存・管

理という目的のもとに︑文化庁をは 古代・中世寺院史料の活用

唖唾

永村眞

じめ都道府県・市町村の文化財担当

者や一部先見的な研究者により実施

された文化財調査であろう︒伝来し

た史料群を確認し︑可能な限り手を

加えずに次の時代に伝えようとの意

図から︑網羅的な現状確認と保存・

管理のための調査が実施され史料目

録が作成されてきた︒このような姿

勢のもとでの調査は︑恋意的な史料

選択を排し史料群全体を対象とする

もので︑寺院史料はその全貌を明ら

かにすることになった︒例えば公的

機関や調査団による伝来史料群の調

査のなかから生まれた﹃東大寺文書

目録﹄﹃興福寺典籍文書目録﹄﹃高山

寺経蔵典籍文書目録﹄﹃石山寺の研

究︵校倉聖教・古文書篇︶﹄等は︑

単に文化財管理の基礎台帳にとどま

らず︑寺院史料に対する多様な視点

を示唆する史料目録として評価され

よう︒とりわけ寺院史料に特有の経

巻・聖教類について︑標準的な調査

項目として︑書名︑員数︑成立時代︑

体裁︑欠損︑料紙︑界線︑表紙・外

題・首題・尾題・奥書︑文首・文尾︑ 法量︑訓点等々が掲げられる︒これらの項目の過半は書誌学的情報であり︑史料の形態情報が優先されているとはいえ︑教学的な見識や原本調査の経験により内容や伝来への配慮がなされ︑書名・成立時代・員数等を列記した棒目録とは自ずから機能を異にする︒そして史料群全体を対象とする網羅的な史料調査の実施︑その成果としての多彩な情報を盛り込んだ目録の公刊︑このような取り組みにより︑寺院史料は新たな研究素材として注目されるに至った︒

たしかに寺院史料を対象とする良

質の史料目録の公刊は︑寺院史料を

活用するための前提的な一歩である

が︑これによって直ちに寺院史料が

効率的に利用できるわけではない︒

まず史料目録では伝来の現状が尊重

され︑函単位で収納史料が列記され

るが︑その配列は原本の生成過程を

熟知した上でなされるとは言い難い︒

生成の場を共有する多種・多様な史

料︵一件物︶は︑しばしば伝来の過

程でその一括性を失うもので︑史料

の配列にあたり便宜的に体裁で類聚

されることが多い︒史料の機能を正

確に把握するためには︑修学や法会

というような史料生成の場の認識が

必須であり︑この場を介在させるこ とにより教学史料の活用も可能となろう︒とはいえ寺院社会における教学活動の解明が不十分な現状では︑史料生成の場の復元は大きな課題となっている︒また寺院史料を研究素材として利用するにあたり︑乗り越えねばならぬもう一つの壁は︑記述される仏教教学への理解である︒研究蓄積の厚い経巻は別として︑聖教類は仏教教学史の分野で取り扱われることも少ない︒古代以来の仏法を継承する顕・密寺院では︑事相︵祈祷作法︶を記す密教聖教︑論義︵経論問答︶を記す顕経聖教が膨大な数量で伝来する︒これらの聖教類は︑各時代における仏教教学の修得や相承の実態を語る貴重な史料でありながら︑難解な記述内容によりその利用が阻まれてきた︒日本史研究の立場から︑顕・密聖教類の高度な理解と利用は望むべくもないが︑仏教教学史の後援のもとで︑聖教類の性格付けを行う程の見識は必要であろう︒すなわち史料生成の場の解明と︑記述される仏教教学への理解︑これらは新たな研究素材としての寺院史料を活用するために避けることのできぬ大きな課題といえよう︒

(6)

史料の保存・利用と電子化

蕊避

蔵持重裕

現在︑歴史資料の調査・保存に関が取り出せる汎用性が要求される︒

わる機関では︑いずれも何らかのか保存という面では︑原本の代替と

たちで﹁資料﹂の電子化が課題にないう意味があろう︒資料は全て貴重っていると思う︒なものには変わりないが︑特に貴重

私の本務校の滋賀大学経済学部附書として扱うことが必要なものがあ

属史料館︵以下﹁史料館﹂︶でも例る︒また︑保存状態が悪く扱いに注外ではない︒本年度︑国立史料館の意の要するものもあろう︒こうした

客員となった機会に︑そのノウハウ資料の場合︑電子化することによっを是非学んでいきたいと思う︒て原本を直接観なくても済む場合も

ところで︑どの機関でも﹁資料﹂ある︒原本を調査・観察することは

の電子化が課題にはなっていつつも︑もとより重要な意味があり︑新しい

依然として理解と姿勢には様々な差発見があることはしばしば経験する

がある︒積極的で成功している機関ところでもある︒しかし︑針小棒大もあれば︑一方で﹁マニヤックな人に言えば︑これはゆるやかな資料の

物が居ないと駄目﹂と言いきる人達劣化をまねいていることでもある︒

もいる︒コンピュータに無縁な人もしたがって︑この代替で済ませるこ居るであろうし︑これを非難すべきとが出来るならば意味のあることで

でもない︒私には直面している苦労あろう︒がよく分かる気がする︒業務の合理化・迅速化という面で

結局︑各機関内の職員間に認識のは︑電子化されたものの検索機能が

差があり︑なぜ電子化が必要かといある︒この場合最も効果的なのは資

うそもそも論の確認が必要になって料目録の検索である︒従来はカード

くることになろう︒化されていたものを電子化し︑閲覧

史料の電子化は保存と利用の両面したい資料をリストアップするので

から要請されているはずである︒そある︒しかし︑これも言うほど易く

して最終的にはデータとして誰でもはない︒本務の﹁史料館﹂の例であ るが︑これまで作成してきた史料目録の蓄積は︑それこそ数十年の間に亘っているので︑目録の作成の仕方に歴史″があって︑現時点から見て不十分なものがあるというよりは︑多いと言った方が良いかもしれない状況にあるからである︒ただし︑自己弁護するのではないが︑これは一概に非難できない︒なぜならそれはそのまま史料学・古文書学の歴史そのものでもあって︑滋賀大学としては学習のプロセスでもあるからである︒電子化・データ化は﹁規格化﹂である︒しかし︑学問は永遠に﹁規格化﹂をめざしながら︑諸説の自立こそ健全でもあり︑常態でもある︒この矛盾を了解しつつ︑現時点でのベストを将来の改訂を承知しておかないと︑虚しさと疲労感が残る︒

業務の合理化と言ったが︑史料目

録での検索であるならばカードの方

がよっぽど早い︒電子化は一つの仕

事である︒つまり︑将来は世界的に

汎用性に到達するであろうという希

望をもつことなのである︒

以上二点はそのまま利用者の便に

つながる︒利用者の資料閲覧の性格

にもよるが︑原本ではなく画像で済

むことであれば︑様々な制限を受け

ることなく観察することが出来る︒ 拡大や縮小︑プリントも可能である︒目録の検索も図書館等ですでに実施されているから︑慣れてしまえば簡便である︒

しかし︑利用者のキーワードによ

る検索については利用者・研究者に

よってキーワードが異なるので︑フ

ルテキストの入力ということになる︒

ここでの困難は︑漢字・表記上の統

一である︒割注︑旧漢字︑本字︑異

体字などの処理規則が要求され︑結

局︑マークアップランゲージで書く

ことが要求される︒

私自身︑利用者である研究者の立

場からすればこれらは大変有り難い

のであるが︑問題はこうした整理・

作業が終了しなければ資料の利用が

出来ないのでは困るのである︒した

がって︑どうやら画像の提供を先行

するというのがとりあえずの妥協点

のように考えている︒

平成九年度史料管理学研修会︵通算四二回︶の開催予定長期研修課程国文学研究史料館東︷泉会場前期九年七月一日七月二八日後期九年九月一日九月二六日短期研修課程沖縄県南風原町九年十一月−0日十一月二一日︵前・後期︑短期とも最後の一週間はレポートの作成にあてる︶

(7)

平成八年度春期特別展示・講演会

﹁近世文字社会のひろがり

l史料館収蔵史料展l﹂

国文学研究資料館の平成八年度のとにより︑悲意的支配を排除し︑自春期特別展示・講演会は︑史料館が分の意思を文字で表現したり︑証文

主体となって︑﹁近世文字社会のひや契約書が作成される姿を示した︒

ろがり﹂をテーマに開催された︒﹁第三章生活を記録する﹂は︑①

展示は五月十三日︵月︶I同二十四誕生から元服まで︑②結婚儀礼︑③先

日︵金︶の十二日間︵土・日も開館︶︒祖祭祀︑④多様な日記の出現︑の四

講演会は︑五月十七日︵金︶午後節からなり︑単婚小家族による﹁家﹂に行われた︒の成立と︑家永続を図るための様々

展示は︑序章・第一章第四章.な記録が作成された様子を示した︒

終章︑特設コーナー︑パネルによっ﹁第四章文字を学ぶ︑楽しむ﹂は︑て構成された︒①文字学習の体系化︑②蔵書と貸借︑その内容は次の通りである︒③俳譜︑落首・風刺︑④情報と近代

﹁序章文字社会のひろがり﹂では︑化の四節から編成され︑文字文化に

手習手本・国々の名物つくし番付等よってネットワーク化された近世社で近世の民衆の文字社会を象徴的に会には︑様々な情報があふれ︑人々示し︑本展示の導入とした︒の好奇心を刺激し︑読み書きを楽し﹁第一章文字による支配﹂は︑む世界を生むと同時に︑国の内外の

①村の支配制度︑②年貢の村請制︑情報を人々が手にした有様を示した︒

③村の法度からなり︑文字による近﹁終章往来の文字﹂は︑様々な

世社会の支配の仕組みを示した︒商売の看板や領主による高札を掲示

﹁第二章権利を守る﹂は︑①小し︑近世の町村には︑文字が豊富に

農家族と家訓︑②家相続と遺言状︑見られるようになったことを示し︑

③家格と由緒書︑④証文と契約︑⑤文字社会の広がりの姿を締め括った︒

抵抗としての文字の五節からなり︑このほか︑﹁特設コーナー﹂として︑

村人が読み書き算用を身につけるこ〃さまざまな紙︑ふえる紙〃をテーマ に楮・三種・雁皮の植物展示やそれぞれを素材とした文書等を展示した︒また〃写真パネル〃では豪農の帳蔵や手習師匠を祀った筆塚等を掲示した︒展示史料は全部で二二四点に及んだ︒

この展示に際しては︑史料保存の

視点から次のような改善も実施した︒

展示ケース内の低部に調湿ボード

を敷き︑適湿の維持を図った︒紫外 線カット蛍光灯︵美術館用︶の照明 と簡易な史料保護展示台を新設し︑

展示史料の劣化防止に努めた︒

さて公開講演会は︑次の三名によ

って実施された︒

﹁近世私文書の世界﹂史料館長森安彦

﹁近世の農民日記﹂

史料館教授高木俊輔

﹁近世村落文化の構造l文字文化 と非文字文化l﹂

国立歴史民俗博物館教授:

高橋敏腿.

講演会の当日は諦減に先

立ち﹁展示解説﹂を実施し

た︒

今回の特別展示・識演会

では︑とくに国文学と歴史繩⁝迩

学との接点となる主題を選撚

ぴ︑双方に興味をもっても︐

らうように工夫した︒鵜鯉二

お蔭で︑八七二名の入場者と公開 講演会には二八七名という多数の方

々の参加を得ることができた︒

史料館もかって文部省史料館時代

には︑史料の公開展示を度々実施し

てきたが︑国文学研究資料館史料館

となってからは︑初めての本格的な

展示であった︒開催するに当り︑佐

竹館長をはじめ整理閲覧部の方々・の

協力を得た︒史料館では︑内部に展

示委員会︵森・鈴江・丑木・山田・

青木︶を設置し︑六か月間の検討期

間を経て︑史料館全教官の分担によ

って実現したものである︒また︑

﹁展示品解説﹂︵二○頁︶のパンフ レットを作成し︑参加者に配布した︒

この展示は史料館の︑これまで蓄

積した史料学の研究成果の一端を世

に問うことにもなったのである︒

︵森安彦︶

(8)

特定研究﹁収蔵史料の修復・復元方法に関する

基礎的研究﹂による研究成果

本稿は︑平成三年度より七年度の基づき具体的な修復・復元作業を実

五カ年継続で行った特定研究﹁収蔵施しようとするものである︒史料の

史料の修復・復元方法に関する基礎修復にとって重要なことは︑まず︑

的研究﹂において実施した研究成果その史料に修復を加えることの可否について概要を報告する︒判断であり︑次に修復方法を研究し︑

史料館で現在収蔵している史料三選択することである︒それには対象

九三件︑約五○万点の内︑断裁されとなる史料そのものについての材質

ていたり︑虫喰い等により破損の甚・内容・形態等︑多角的検討と研究

だしいものや︑虫糞や水被りによりが不可欠である︒しかも︑修復は史料

史料が板状になり剥離が困難なものの永続的保存を保証し得るものであ

等々︑現状のままでは利用に供するると同時に︑反復的利用に応じられ

ことができないものがある︒特に断るものであり︑さらに簡便で経済的

裁された史料の高島藩領村々宗門人な方法を追求することが求められる︒

別帳︵約四五○○冊︶は︑寛文年間修復方法の研究においては︑紙の

︵一六六○年代︶から約二○○年間化学的劣化要因と対策についても調

が揃っており︑藩庁に伝存され現存査研究を行った︒特に酸性紙対策おする極めて稀な史料であるが︑一冊よび脱酸処理の技術の開発状況につ

が二五分割に裁断され︑このままいては︑少量規模の脱酸法および紙

では利用に供することができない︒強化法︑一括大量規模で処理する方

本研究は断裁史料のみならず︑個法について︑各々の方法の短所・長々の史料の特質とその破損状況に応所および特徴の比較検討も併せて行

じた最適な修復︵虫損直し︑裏打ちなった︒

.綴じ直し等︶や復元方法とその技研究には史料館教官一○名に外部法について︑館外の研究者及び専門の保存科学・情報科学の専門家が加

家と共同で研究を行い︑その成果にわり︑文書館など史料保存利用機関 関係者との合同研究会を開催し︑研究を進めた︒なお︑史料管理研究室が設置された平成五年度より︑史料管理研究室客員教授および客員助教授︵任期平成七年度より︶が︑研究テーマ﹁史料管理の理論および技法に関する調査研究l史料の保存と修復に関する研究﹂として︑運営および検討協議に加わり︑研究の中核となって研究を進めた︒

最終年度には︑三回の研究会を開

催し︑研究報告として︑高橋実︵茨

城県立歴史館︶﹁文書館の環境管理

の実際﹂︑青木睦︵史料館︶﹁世界の文書館における建築・設備につい

て﹂︑龍野直樹︵和歌山県立文書館︶

﹁複合施設内文書館における建築・

設備の課題﹂︑田中康雄︵群馬県立

文書館︶﹁群馬県文書館における書

庫増築の概要と問題点﹂︑沢村正信

﹁断裁史料の復元におけるコンピュ

ータ支援の成果﹂︑二宮修治﹁紙史

料の保存と環境汚染測定﹂︑稲葉政

満﹁文化遺産保存科学専門職の養成﹂

の七報告があり︑毎回の研究会の場

において活発な意見が交わされた︒

今回の調査研究を通して得られた

保存科学の専門家との繋がりは最大

の収穫であった︒今年度より文部省

科学研究費補助金︵試験研究B・基 盤研究All︶﹁歴史史料の材質劣化評価への化学発光の応用研究﹂の交付を受けたので︑この研究組織で得られた経験と成果を活かしていくよう努力していきたい︒

史料保存機関は︑現時点でとりう

る最善の保存方法・修復技術に関す

る調査を積み重ね︑たゆまぬ研究を

継続する姿勢で史料の保存修復にあ

たらなければならない︒終了にあた

り︑本研究による成果の重要性を改

めて認識しているところである︒

本研究の成果の第一に︑断裁され

た高島藩領村々宗門帳一七○○冊あ

まりが復元作業を終えて公開された

ことがある︒加えて酸性紙史料の修

復技術の研究︑焼け焦げた被災史料

の修復技術などについても多くの知

見を得ると共に実施技術の研究を行

うことができたことである︒

この研究と実践技術の成果を実用

化し︑文書館ならびに記録史料を収

蔵する多くの史料保存利用機関に広

く普及するようにするには︑なお研

究と準備が必要であるが︑是非とも

近い将来に史料館に保存修復専門の

研究部門の体制整備を実現し︑わが

国の記録史料保存システムの発展︑

充実に貢献したいと決意を新たにしている︒︵青木睦︶

(9)

総合研究A﹁幕藩領主文書と村方・町方文書群の発生・

展開並びに伝存に関する史料学的研究﹂第1回研究会

昨年度より︑当館の教官を中心と①は︑飛騨郡代文書の特徴として地

して表記の共同研究を三年計画で行役人関係の日記・御用留が大量に含

っている︒その第一回の研究会が一まれていることをまず指摘した︒次

九九六年二月二七日に国文学研究資に︑大原騒動鎮圧後の地役人の処分

料館において開催された︒出席者は︑に伴う寛政前期における高山陣屋の

笠谷和比古氏︵国際日本文化研究セ組織改革により︑地役人の日記・御

ンター︶・渡辺尚志氏︵一橋大学︶.用留の作成のされ方が変化すること

冨善一敏氏︵日本学術振興会特別研を指摘した︒すなわち︑それまでは究員︶ほか当館教官一○名の合計一御榑木方・銀山方・町在廻方といつ三名であった︒た﹁懸り﹂ごとに作成されていたの

研究会では︑まず最初に本研究のが︑﹁懸り﹂が廃止され﹁御用場﹂

趣旨を説明し︑次に各研究分担者がに組織が一元化されることに伴い︑

本研究にかかわっての問題関心をひ日記・御用留は﹁御用場﹂のそれに

とわたり披露した後︑以下の順に報統一されるのである︒また︑弘化二告が行われた︒年の郡代交代に際しての事務引継文

①大友一雄﹁岐阜県歴史資料館蔵書である﹁演説書﹂を分析して︑史

﹃飛騨郡代高山陣屋文書﹄調査報料の作成・管理・引継の実態の一端告l飛騨郡代高山陣屋の組織構造を明らかにした︒さらに︑郡代をめ

と文書群管理の一端に注目してぐる史料学的研究の可能性をいくつ

か提起した︒l﹂②渡辺浩一﹁高山町会所文書の史料②は︑まず最初に高山町会所︵惣

﹃管理﹄と原秩序﹂町の会所︶の性格を︑会所の都市空

③丑木幸男﹁近代的史料管理秩序の間のなかでの位置とその間取り図の

形成l高山町会所・戸長役場文書分析から︑陣屋の出先機関としての

の引継目録からみたl﹂性格が強いものと仮定した︒これを 前提としつつ︑﹁町会所文書﹂の近世最終段階における管理形態を分析した︒それによれば︑惣町の会所に保管される文書は日記・願書留などを除いては行政執行過程に生じる些末な文書であり︑検地帳を始めとする主要な文書は共同管理ではなく世襲の三人の町年寄が保管していたという︒さらに︑町年寄文書の下位の位相に町組頭文書の存在が確認され︑町組頭の交代にあたってはそれら文書群が引き継がれることが判明した︒しかし全体としては︑高山町方の史料管理においては町年寄の主導性は明白であるとした︒

③は︑高山町会所・戸長役場・町

役場文書に残された明治六年から三

三年にかけての二二点の引継目録・

管理目録を概観した報告である︒ま

ず︑近代における高山の行政組織の

変化を確認し︑そのうえで各目録を

検討した︒その結果︑明治六年に町

年寄保管文書と町会所保管文書が合

体したこと︑明治二年に町ごとの

分類が戸口・営繕などの主題分類に

変更されたこと︑明治一七年までは

引継目録に近世文書が登録されてい

ること︑明治三三年までは史料の選

別が行われていないことなど︑史料

管理史研究において興味深い事実が 明らかになった︒明治六年の変化は︑大区小区制の施行に伴うものであるが︑同二年と三三年の変化は行政組織の変化によるものではなく︑組織内在的な文書管理の変化である可能性がある点が重要であろう︒

各報告のあとに簡単な討論が行な

われた︒その要旨は以下の通りであ

る︒①に関しては寛政期における行

政組織の簡素化は︑官僚組織の発展

という一般的趨勢とどのように整合

的に理解できるのかという問題が提

起された︒②については︑近世の﹁高

山町会所文書﹂の管理形態からすれ

ば現在の文書群名称に重大な疑問が

生じる︑また︑この文書群の近世最

終段階での性格は︑惣町文書という

よりも町年寄文書というべきではな

いかといった点が指摘された︒③に

ついては︑現状の袋入り一件別整理

を実施した時期︑近世史料が戸長役

場に引き継がれ非現用文書として保

存された要因︑中央政府の文書行政

とのかかわり︑などの解明が今後の

課題であることが確認された︒全体

討論では︑三つの報告に見られた出

所論的アプローチだけではなく︑機

能論的アプローチも新しい史料学を

構築するためには必要であるとの意

見が特に重要であった︒︵渡辺浩二

(10)

特定研究﹁記録史料の情報資源化と史料管理学の

体系化に関する研究﹂第2回準備研究会

史料館がかねて計画中の特定研究以下に記すのは︑平成八年一月二

﹁記録史料の情報資源化と史料管理三日に国文学研究資料館で開催した︑

学の体系化に関する研究﹂は︑この本特定研究のための第2回準備研究

たび経費が認められ︑今年度︵平成会の概要である︒

八年度︶より研究開始のはこびとな本研究会は平成七年一月の第一回

った︒これを機に史料館が従来から準備研究会︵本誌六三号参照︶に続

行ってきた記録史料の保存・活用にくもので︑出席者として︑記録史料

関する科学的研究を強力に推し進め︑の保存・活用の問題に関心の深い歴

二十一世紀の情報時代に適応した新史研究者や文書館員など二十人を招

しい学問分野を確立していきたいと待した︒考えている︒午前十時半︑森安彦史料館長の挨研究計画によれば︑館外からも多拶によって開会︒安藤が研究会の趣

数の研究者に加わっていただき︑次旨説明をした後︑次の三本の報告が

の五つの研究部会を設けて共同研究行われた︒を実施することになっている︵部会①山田哲好︵史料館︶﹁史料管理学名称については変更の可能性があ︵文書館学︶の研究分野と研究動

る︶︒①﹁史料管理史﹂②﹁評価と向I﹃文書館学文献目録﹄の分析

収集﹂③﹁整理と情報化﹂④﹁保存からl﹂

と修復﹂⑤﹁文書館と専門職﹂︒②倉沢愛子︵名古屋大学︶﹁歴史研

期間は五年間を予定︒成果は﹃史究者とアーキビストの研究協力体

料学・史料管理学講座︵仮称︶﹄と制をどう築くかlインドネシア現

して出版する計画である︒なお今年代史における経験からl﹂度の研究参加者と研究実施状況にっ③青山英幸︵北海道立文書館︶いては︑本誌次号で報告することに﹁目録記述論の現状と課題1国際したい︒文書館評議会作成の記録史料記述 の国際基準をめぐってl﹂

山田報告は︑本特定研究の個別研

究課題を設定する際の参考とするた

め︑史料管理学︵文書館学︶の研究

動向を総合的に見ておこうというも

ので︑発行されたばかりの全史料協

関東部会編﹃文書館学文献目録﹄

︵岩田書院︶を分析した︒同書編集

の元となった七八○○件に及ぶ文献

情報は︑データベースの形で山田研

究室に保管されており︑検索コード

によって自由にソートすることがで

きる︒これを利用して︑記録史料論

・記録史料管理論の各研究分野に関

する論文数の変遷や内容的な特徴が

述べられた︒

倉沢氏には︑日本占領期インドネ

シア史研究者の立場から︑日本とア

ジアをめぐる現代史料の状況︑およ

び史料管理学的な課題について話し

ていただいた︒最初に﹁日本占領下

のジャワ社会の変容﹂を研究する過

程で経験した日本︑インドネシア︑

オランダ︑イギリスの史料状況が述

べられ︑日本軍政関係史料や現地地

方政府史料の消滅の状況が考察され

た︒後半では︑史料不足に対処する

ために歴史家とアーキピストがどう

協力すべきかという話題に移り︑伝

統的な記録史料以外の多角的な史料 収集の重要性︑すなわち映像・音声・物質資料やオーラル・リサーチによる記録の収集を進める必要があることが指摘された︒

青山氏には︑本特定研究の計画課

題③﹁整理と情報化﹂に関わって︑

国際的な記録史料目録記述標準化の

動きをめぐる報告をお願いした︒ま

ず米・英・カナダなど欧米各国の事

情が紹介され︑次いで国際文書館評

議会が作成した﹁記録史料記述に関

する原則についての声明﹂および﹁国

際標準記録史料記述・一般原則﹂を

中心に︑国の壁を超えた記述標準化

と情報交換の動きが現実のものとし

て進んでいる様子が詳しく述べられ

た︒結びでは︑日本における目録標

準化の課題として︑欧米目録記述論

の理論と技法の積極的導入とともに︑

日本の記録史料目録の歴史的変遷と

現状の調査︑図書館情報学など関連

分野との連携︑目録記述の標準化を

念頭に置いた実際の文書群を使った

記述実験︑などを行う必要性が指摘

された︒

報告ののち︑出席者の間で活発な

意見交換がなされた︒これら準備研

究会の成果は︑いずれも今年度から

本格的に始まる特定研究に活かされ

ることになろう︒︵安藤正人︶

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