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第 2 章北海道における外国人観光客の動向と特性 2. 海外インバウンド市場の動向 2-1 アジア市場の特徴 JNTO 訪日旅行誘致ハンドブック 2013 アジア6 市場編 による各市場と特徴及び 訪日外国人の消費動向 (2010 年 ~2014 年 ) の訪日外国人の観光動態からアジア市場の特徴を

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2.海外インバウンド市場の動向

2-1 アジア市場の特徴

『JNTO 訪日旅行誘致ハンドブック 2013 アジア6市場編』による各市場と特徴及び『訪日外国 人の消費動向』(2010 年~2014 年)の訪日外国人の観光動態からアジア市場の特徴を考察した。北 海道は、アジアからの観光客が中心であるため、新興市場、発展市場、成熟市場などを分けて、それぞ れの特性を分析した。市場分類の基準及び、市場間の関係図は図 2.8 のようになる。新興市場は中国、 タイ、マレーシアである。発展市場は台湾と韓国である。成熟市場はシンガポールと香港である。 図 0.8 新興市場、発展市場及び成熟市場の関係図 (1)新興市場: 中国、タイの特徴は、初訪日客の割合が高く、滞在日数は比較的短い。定番な観光地に集中してい る。中国の団体客が多いに対して、タイの個人客の割合が高い。 ① 中国 図 0.9 滞在日数

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2-7 図 0.10 訪問回数 図 0.11 同伴客の割合 図 0.12 旅行手配方法 以上から、訪日中国人観光客の特徴を分析すると、次のような特徴が指摘できる。 1.団体客の割合が最も多いが少しずつ減少しつつある。 2.初訪日の観光客が以前と同じく最も多いが、2013 年までは、リピーター客が毎年増加している。 2014 年は訪日中国人観光客の入込客数全体が急増しているため、初訪日の観光客の割合が増加し たことが分かった。 3.同伴者の割合に関しては、親族や家族と一緒に訪日観光する中国人観光客が最も多い。しかし、夫 婦同士のみは毎年 15%前後で止まっていることがわかった。

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2-8 4.滞在日数に関しては、4~6 日間の滞在期間は最も多いこと1。さらに 2011 年より日本政府は、 訪日観光ビザの滞在期間を延長した。そのことをきっかけに、7~13 日へと滞在日数も増加した。 大きな特徴としては、団体旅行が大きな割合を占めている。しかし、近年は個人旅行も急速に増加し ている。そのなか、中国から日本へのクルーズ船は大型化し、経済効果的にも期待されている。訪日観 光客数のもっとも多い月は、夏の7月、8 月と9月にある。中国人の外国観光旅行は、春節、夏休み、 国慶節の3時期に集中し、旅行会社もこれらの繁忙期に合わせた旅行商品の企画・販売をしている。ま た、余暇・レジャーという特別な認識を持っているのは中間階級層以上の都市住民が中心となる。さら に、子供のいる家庭では、子供の教育にお金をかける傾向が強く、休暇時期以外の旅行は一般的ではな い。 他の国と同様に、近年ではインターネットが急速に普及している。中国の特質としては、facebook など世界で一般的に使われている SNS では、中国国内で使用できないことである。その代わりに、独 自開発したサービスが利用されている。代表的なものとして、インスタントメッセンジャーの「QQ」、 Twitter に似た「微博(ウェイボー)」、SNS サイトの「人人網(レンレンワン)」などである。とくに、 近年ではモバイル使用者の急増にともない、スマートフォン向けのコミュニケーションアプリ「微信 (ウェイイン)」の使用者数が急増している。 もう一つの特質としては、銀聯カードの使用である。人民元の国外への現金持ち出しは申告なしの 場合一人あたり 5,000 米ドル以下であるため、外国旅行中の買い物や現金引き出しに銀聯カードを使 用するにニーズが高い。 近年では中国人の外国旅行中の消費額の大きさが世界中で注目を集めている。その背景として、外 国製品は品質上の信頼性があることやデザインが良いために人気が高いという他に、中国が国内産業 の保護のために外国製品に対して高い関税を課しているということがある。よって、外国製品は中国 国内で買うよりも割安になるため、海外旅行中に高級ブランド品や日用品などをまとめ買いをして、 旅行中の消費額が非常に多くなっている。 富士山や桜といった日本を代表するアイコン、温泉や和風旅館などの伝統文化に加え、ショッピン グの楽しみが訪日旅行の大きな動機となっている。また、経済発展を優先し中国全土で環境が悪化し たため、日本の清潔な街並みや新鮮な空気なども感動するという特徴が見られる。訪日に期待するテ ーマについては、①温泉、②ショッピング、③桜の花見、④スキー・雪遊び、⑤秋の紅葉であった2 最も早く開放された、北京、上海、広東省が訪日旅行市場を牽引し、2009 年に JNTO が調査した 訪日中国人観光客の居住地調査では、この 3 地域が訪日旅行者の 50%を占めている。よって、中国 市場は一つの市場を見なし、誘致戦略を行うことは不適切である。中国国内は、成熟市場、発展市場と 新興市場を分け、誘致戦略を行うと、効率よく成果を上げることができる。 1 訪日指定旅行社のツアー商品の中、最も多いのは 4~6 日間のツアー商品である。また、手配ツアー商品(個 人旅行)も増加している。手配ツアー商品の中、7~13 日間の商品が多いことが、2013 年 8 月と 9 月のツア ー商品の調査で明らかになった。 2 2012 年、中国の旅行社に対する調査である。

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2-9 ②タイ タイは初訪日観光客の割合が大きいため、新興市場と見なしている。しかし、個人観光の急増と滞在 日数が比較的に長いことから、大都市圏の観光のみならず、今後は地方への観光も加速するではない かと推測できる。 日本政府は、2012 年 6 月 1 日から観光や親族訪問などの目的で訪日するタイ人に対して、一般短 期滞在数次ビザの発給を開始した。要件としては、以下のいずれかに該当する者となり、有効期間は最 大 3 年、1回の滞在期間は原則として 15 日(申請内容に応じて最大 90 日)となっている。よって、 タイは新興市場と見なしている。 タイ国際航空は、2012 年 10 月 31 日から北海道・新千歳空港とバンコクを結ぶ路線を週 3 便 (12 月 30 日から週 4 便)で運行開始した。タイだけでなく、東南アジアと北海道を結ぶ初めての 定期便となり、広く東南アジアやインドなどからの来客も期待されている。 タイの経済成長や外国旅行先としての日本人気などにより、リピーター客が増加している。これに 伴い、旅行形態も従来の団体旅行から個人旅行の傾向が強まっている。 4 月の訪日タイ人は最も多い。10 月ごろの観光客数は次に多くなっている。 タイ人の気質を表す言葉として、「極楽」、「楽しい」、「便利」という三つのキーワードを挙げるよう に、タイ人は便利で快適な状況を好む。また、暑いタイでは、長距離を歩く習慣がなく、外国旅行をす る中間層~富裕層は、渋滞が激しくても日常生活は自家用車で移動する人が多い。たとえパッケージ 旅行であっても、観光バスから降りて目的地まで長距離を歩く必要のある観光地は、時として敬遠さ れることがある。 一般的に、タイ人は家族で余暇を過ごすが、若い世代は友達同士で出かける傾向が強まっているよ うだ。一般的な余暇の過ごし方は、自宅での家族団欒、ショッピング、近場の行楽地への旅行などが主 である。タイ人は、ショッピングに対する関心が高く、重要な楽しみの一つである。 一般的にタイは親日国と言われる。タイ人は日本に対して、親切、清潔、安全、規則正しい、高い技 術を持っている、ファッションの中心地など、良いイメージを持っている人が多い。他方、言葉が通じ ない、物価・料金が高い、旅行費用が高いといったイメージもある。 熱帯気候に属するタイでは、雪まつりなど見られる冬の北海道は以前から人気があったが、2008 年頃から芝桜、ラベンダーなど北海道の花畑を見る旅行商品の造成が進み、人気を呼んでいる。

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図 0.13 滞在日数

図 0.14 訪問回数

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2-11 図 0.16 旅行手配の方法 ③マレーシア マレーシアは初訪日観光客の割合が大きいため、新興市場と見なしている。しかし、個人観光の急増 と滞在日数が比較的に長いことから、大都市圏の観光のみならず、今後は地方への観光も加速するの ではないかと推測できる。特に、訪日日数は 7~13 日間という観光客は最も多いことから、滞在型の 特徴が見られる。 図 0.17 滞在日数 図 0.18 訪問回数

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図 0.19 同伴客の割合

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2-13 (2)発展市場: 韓国、台湾の特徴は、リピーター客が増加し、個人客は比較的多いことである。 ① 韓国 図 0.21 滞在日数 図 0.22 訪問回数 図 0.23 同伴客の割合

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2-14 図 0.24 旅行手配の方法 韓国人の観光客入込数は長い間、外国人観光客の中、上位を占めている。また、個人客の割合が大き いことから見れば、発展市場と見なす。しかし、初訪日観光客の割合が依然に大きい。さらに、訪日日 数は一週間以内の割合が大きいことから、短距離の旅が主要な観光形態と考えられる。そのため、北海 道観光、とくにひがし北海道での観光は、主要観光目的地になるには、条件的には厳しいと考えられ る。 外国旅行の現状について、以下のような特徴がある。まず、韓国人の価値観は、個人のライフスタイ ルを重んじ、人生を楽しもうといったように変化し、そのことが旅行にも影響を及ぼしている。旅行会 社主導の典型的な団体ツアーよりも、旅行者が自ら計画を立て、自由で多様なテーマを求めて旅を楽 しむ傾向が強まっている。長期の外国旅行や深夜発の旅行、また週末旅行などの短期間の個人旅行を 思い通りに組む旅行者が増加している。 韓国の外国旅行市場は今後も①低廉商品と高額商品の両極化の進展、②オンライン予約の増加、③ 個人旅行市場の進展、④旅行会社のチャーター便や格安航空便利用商品の開発などの動きが継続する ものと見られるが、さらに、⑤近距離旅行を頻繁に行う旅行パターンの増加、⑥体験型旅行・テーマ旅 行の増加、⑦オフシーズンの需要分散などの変化が伺える。 韓国ではよく行われている海外旅行の旅行形態は、個人旅行ツアー、一般団体パッケージツアー、テ ーマ旅行、ゴルフツアー、スキーツアー、登山ツアー、新婚旅行、修学旅行及び学生団体ツアーとイン センティブ旅行である。 日本は最も希望する旅先として選ばれた。3泊以下の短い旅行で来る観光客が6割強を占めている。 そのため、短期間で効率的に観光を楽しめる商品が人気である。個人旅行が多い。そのため、空港から 遠い地方では個人客が公共交通機関を使って旅行が容易にできるための環境整備が求められている。 「J-ROUTE」キャンペーンを展開しており、それは日本の多様性と奥深さを触れることが目的であ る。日本の伝統旅館が人気。LCC の発達。登山ブーム。年末(12 月と 1 月)、夏(7月と 8 月)の 訪問客が最も多い。 日本に対する観光目的地の認識は①韓国から近く、日程を組み易い。②安全である。③自然景観・田 園風景、文化的遺産、伝統的な景観・旧跡、都市文化・大都市の景観と夜景・繁華街の見物、ショッピ

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2-15 ング、体験施設・テーマパークなど、観光魅力が豊富である。④旅行費用が高い。 ② 台湾 図 0.25 滞在日数 図 0.26 訪問回数 図 0.27 同伴客の割合

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2-16 図 0.28 旅行手配の方法 台湾の個人旅行の割合は成熟市場より少ない。しかし、最新の調査では、台湾からの訪日旅行につい ても、個人旅行化が確認できるという。その個人旅行の行き先は主に大都市圏に集中している。台湾客 は雪に対する憧れが非常に強く、冬から春先にかけて、北海道などに雪景色を見に行くツアーが数多 く催行されている。四季折々の風景は大変魅力的なようである。 外国旅行は身近な存在となっている。とくに台湾人の日本に関する知識は広く、日本に対する興味 と関心は、日本の大都市圏のみならず日本全域に及んでいる。また、リピーターが多い。 台湾人は、一人で旅行することが少なく、配偶者、子供、親族と旅行することが多いのが特徴であ る。春節に比べて、夏休みの休暇は長いので、訪日旅行者数も夏のほうが多い。 観光目的地としての日本のイメージは治安が良い、交通が便利、衛生的、文化が近い、観光地の質が 高い、旅行テーマの選択肢が多彩である。 台湾人の間では日本の自然景観に対する認知度、評価が非常に高く、自然景観を楽しむことを目的 に日本を訪れる人が多い。そのなか、評価が高い観光目的地は、東京、大阪、北海道である。北海道に ついては、冬の雪、夏は広大な花畑など台湾にはない要素に対する憧れから、根強い人気となってい る。また、沖縄についてはレンタカーを利用した観光も増加している。 旅行形態は①個人旅行、②パッケージツアー、③ゴルフ、スキー、サイクリングと鉄道といったテー マ旅行、④インセンティブ旅行などは主要な形態である。そのなか、個人旅行化の加速、と団体旅行は 高級商品と格安商品の二極化へと変化している。テーマ旅行に関しては、ゴルフとスキーの需要はま だ高くない、台湾人は北海道の冬が好きであるが、「雪を観ること」に重点を置いている。他方、健康 ブームの影響では、サイクリングがブームとなっている。さらに、台湾にも日本と同じく鉄道ファンが 多いため、日本での鉄道旅行の需要が高まっている。

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2-17 (3)成熟市場: 香港、シンガポールの特徴は、リピーター客が多い、滞在日数が長い、また個人客が多い。地域的な 特徴は密集しているため、広くて、自然や季節の変化が感じられる観光地域を好む傾向がある。 ① 香港 図 0.29 滞在日数 図 0.30 訪問回数 図 0.31 同伴客の割合

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2-18 図 0.32 旅行手配の方法 個人客、リピーター客からみれば、香港は成熟市場と考えられる。しかも、訪日日数も比較的に長い ことから、滞在型の観光もよく行われていると推測できる。リピーター客の多さから、香港人にとっ て、日本は身近な観光地と認識していることが分かる。 香港人の観光目的国・地域の順位は中国本土を除く、①台湾、②シンガポール、③タイ、④日本とな る。日本は第4の観光目的国となっている。訪日観光が最も多いシーズンは 12 月~1 月の間と、夏 の7月となる。 英国の文化・慣習の影響を受けてきた香港では、人々の余暇活動に対する意識が高く、毎年7日から 14 日付与される年次有給休暇は完全に消化するのが一般的である。休暇を利用し、友人や家族と外国 旅行に出かけることは、香港人にとって生活の重要な要素の一つとなっている。 香港人が日本を訪問した際には、スノーモービル、果物狩りなど、簡単で時間をかけずにできる体験 や香港にない桜、ラベンダー、紅葉などの自然鑑賞が人気である。また、香港人の中にはスキーを好む 人もいることから、訪日旅行を取扱う旅行会社はスキーと温泉を主目的とした旅行商品も販売してい る。さらに、環境保護志向が向上しつつあることから、高額・高品質志向の旅行商品は人気がある。 香港では、日本製品や日本食、アニメ・芸能といった日本文化など、日常的に「日本」に触れる機会 が多く、香港人の日本に対するイメージは概して好意的である。香港人が訪日観光で行きたい所、体験 したいこととして、「日本食」、「四季・風景・自然」、「ショッピング」、「都市観光」、「温泉」などが挙 げられる。特に「日本食」は年齢を問わず人気が高い。20 歳以下は、「四季・風景・自然」、「ショッ ピング」、「都市観光」、「若者文化」、「テーマパーク」、「スキー・雪遊び」、「温泉」などの人気が高く、 40 歳代以上は「四季・風景・自然」、「都市観光」、「ショッピング」、「温泉」、「歴史・文化的建造物」、 「イベント・伝統的な祭り」、「果物狩り」なども好まれている。 日本観光に対して「質が高い」イメージが定着している。他方、日本は、韓国、台湾やタイなどのア ジア諸国・地域や欧米諸国と比べて旅行費用の割高感がある。 個人旅行を好む傾向がある。団体ツアー商品を購入する旅行者は、年齢が比較的高く、家族と旅行す る人が多い。また、初めて訪問する国や遠方の国への旅行は、団体ツアー商品を購入する人の割合が高

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2-19 い。 さらに、テーマ旅行は富裕層の間で人気が高い。スポーツに関しては、スキーをテーマとした日本や 韓国への旅行商品に人気がある。 香港人の訪日観光のトレンドの変化に関しては、以下のような特徴が見られている。観光バスで多 くの場所を巡る訪日団体ツアーの需要が相変わらず高いものの、香港人の中には日本への再訪問の願 望が強く、自分自身で自由に旅行を楽しみたいという人が増えていることなどから、個人旅行の需要 が高まっている。鉄道パスを活用した旅行や北海道、沖縄などでのドライブ旅行など、自由度の高い旅 行が香港人に好まれている。また、取得に応じて旅行商品へのニーズも多様化しており、低価格な旅行 商品から高額で高品質な旅行商品まで、さまざまな旅行商品に対する需要が高まっている。 香港人に人気が高い観光魅力としては、①ショッピング、②地元でしか味わえない特色のある「グル メ」、③「季節の花」、「紅葉」、「雪景色」など大自然の美しさ、④「温泉・露天風呂」、⑤「果物狩り」 「乗馬・ラフティングなど手軽に楽しめる屋外スポーツ」、「スキー、そり、スノーモービルなどの雪遊 び」などの参加型体験型観光、が挙げられる。 香港人が旅行に対して求めるものは、「美味しい(満腹)」、「楽しい」、「得した」が必須条件である。 また、歴史の説明より、見て触れって楽しんだり、賑やかさを求めたり、支払った額に見合う満足度が 得られる観光、食事、ショッピングを望む人が多い。金額に見合った価値があると判断すれば、支出を 惜しまない傾向にある。 北海道観光に関しては、夏のラベンダー、冬のスキーや雪遊び、四季折々の大自然の風景などが楽し めることから、香港人にとって、北海道は東京などと並ぶ人気観光地となっている。また、レンタカー での周遊旅行需要も高まっている。 ②シンガポール 図 0.33 滞在日数

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2-20 図 0.34 訪問回数 図 0.35 同伴客の割合 図 0.36 旅行手配の方法 シンガポールの特徴としては、①個人客が多いこと。②滞在日数が長い。③初訪日の観光客数が比 較的に多いことである。7~14 日間の長い訪日旅行にもかかわらず、初訪日客が多いことから、シ ンガポールは成熟な観光市場であるが、日本はシンガポール人にとって、魅力な観光目的地になった のは、近年のことだと推測できる。 『JNTO訪日旅行誘致ハンドブック(アジア6市場編)』によれば、シンガポールでは 2007 年頃 から北海道旅行ブームが起きっている。シンガポールにはない「広大な大地、美しい自然と景観」の中 を「レンタカーでドライブ観光」できるメニューが好評を得ている。 訪日客の多い時期は 10 月から 12 月、4 月から 6 月の期間である。日本では有給休暇が完全消化

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2-21 されないことが多いが、シンガポールでは完全消化が一般的である。ワーク・ライフ・バランスを重視 されている。国民一人が年1回以上外国旅行をしている計算になり、外国旅行は生活に溶け込んだ当 たり前の余暇活動となっている。 シンガポールの国土の狭さは外国旅行先での距離感に影響を与えている。国土の西端から東端まで 高速道路を車で走っても 40 分かからないことから、日本を含め外国旅行先での移動距離や交通機関 の乗り換えについてイメージがわからない人も多い。 シンガポールにおいて日本は総じて肯定的に受け入れており、国民の多くが親日的であると言える。 観光目的地としての日本のイメージは「美しい景色と自然がある」、「食事・料理がおいしい」、「豊かな 伝統文化と歴史がある」である。具体的には、北海道人気に象徴されるように、雪、桜、ラベンダーな ど自国にはない四季や雄大な自然への憧れが強く、食事に関しては、ラーメン、和牛のイメージを持っ ている。その他、日本の街の清潔さや交通機関の正確性も高く評価されている。 外国旅行において団体旅行ツアーを選ぶ層の特徴としては、「その国の魅力を少しずつ経験したい」 というニーズが強い。そのため旅程には訪問地の自然、伝統的建築物や文化遺産、芸術懸賞、食事、テ ーマパークなど様々な要素が含まれていることが多い。一方で、リピーターを中心に、短い日程でなる べく多くの観光地を周るツアーよりも、一つの場所に一定期間滞在する、ゆとりのある旅行を好む人 も増えつつある。また、人気の高い旅行先のうち日本と韓国については言葉の問題があるため、初めて 訪問する旅行者は団体ツアーを選ぶ人が多い。訪日団体ツアー購入者のうち、北海道ツアーが最も売 れていると言われている。 他方、訪日観光の場合は、個人旅行の割合は年々増えている。その中、大都市滞在型だけではなく、 北海道のスキーリゾートに滞在するものや北海道や九州のレンタカーを利用するセルフドライブ商品 など多様な商品を販売され、人気を博している。 北海道観光は最も人気のある訪日観光である。全土に雄大な自然、蟹を始めとする海産物、ラーメ ン、メロン、乳製品などバラエティ豊かな食の人気から北海道ブームが起きている。最近では最初の訪 日が北海道旅行というひとも少なくない。リピーターを中心に阿寒湖や釧路、知床などひがし北海道 の人気も高まっている。ひがし北海道で人気の観光地は富良野、美瑛、釧路、網走、阿寒湖、摩周湖と なる。

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2-22 (4)アジア観光客の共通点など(祭日など) 観光行動は一般的に、居住国・地域の経済成長や休暇制度など政治制度に影響されている。そのなか でも、休暇制度は観光シーズンや観光目的の選択に影響を与えている。たとえ観光地での消費額は高 くても、またはインバンド観光の成長率が急成長しているとしても、休暇による観光行動の特徴を把 握しないと魅力的な市場選択をすることはできない。 今回、中国、タイ、マレーシア、韓国、台湾、香港とシンガポールのアジア7ヵ国の市場の動態を分 析したところ、以下の三つの共通的な特徴が明らかになった。 一つの特徴は、JNTOのデータから、アジア各国の訪日観光客の共通点の一つは家族と同伴して 訪日観光をすることである。そこで、本調査では各国の休暇と訪日の人気シーズンと比較してみた。結 果として、訪日の人気シーズンは各国の学校の休み(小中高の学校)と重なっていることが判明した。 すなわち、多くのアジアの人たちは、子供の休日を選んで、訪日観光を行っていることである。たとえ ば、中国の場合は、春節や国慶節の祭日は7連休の休暇があるのに、訪日の人気シーズンは7月と8月 の学校の夏休みに集中している。しかも、一般的に学校の休みは、夏期休暇と冬期休暇に分けられてい る。どこの国・地域も、もっとも長い休暇に合わせて、訪日の入込数が多いという特徴が見られた。台 湾の場合は、最も人気の観光シーズンは冬と言われているが、実際に、訪日観光の人気シーズンは台湾 の学校の夏期休暇の 7 月と 8 月であることから、学校の休み時期は無視できない重要な期間であると いえる。 もう一つの特徴は、中国、韓国、台湾、香港は西暦の他、旧正月のような、旧歴の休暇もあること。 他方、タイ、マレーシアとシンガポールの祭日は西暦の休暇より、イスラム歴による祭日が多く存在し ていることである。なお、旧暦とイスラム歴は、毎年の変動が見られる。 一週間以上の長期休暇制度が備えられている国・地域は、中国、香港、シンガポールである。中国の 場合は 2011 年から、日本政府は訪日観光ビザに関する政策のなか、滞在期間は 13 日までに延長し た。他方、香港とシンガポールの場合は政策的な制約がない。今後は、中国、香港とシンガポールの滞 在型の観光形態が成長、あるいは定着しつつあるではないかと推測できる。 以上の特徴とひがし北海道地域の観光アメニティに合わせて、各国・地域における訪日の人気シー ズンで最も旬の観光魅力や旬の食材などを提供することは、重要なマーケティングの戦略となりうる。

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2-23 図 0.37 アジアの国々の長期休暇等の現状 月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 季節の区分 秋 冬 学校の休み 冬期休暇 学校の休み 学校の休み 学校の休み 学校の休み 中期休暇(1 0 月第1 週から末まで) 学校の休み 3 月1 6 日〜 24日 6 月1 日〜3 0 日 9 月7 日〜1 5 日 学校の休み 3 月1 2 日〜 20日 6 月3 日〜1 2 日 1 1 2 3 日〜1 2 月3 1 日 マレーシア 1 1 、1 2 月の訪 日観光客は最も 多い。 ハリラマ・プアサ、ハリラヤ・ハジ、イスラム 新年、ディババリはイスラム暦であるため、変 動あり。 祝祭日 元旦 メーデー(5 月1 日)、釈迦誕生祭 (5 月2 4 日) 国王誕生日(6 月第 1 土曜日) ハリラヤ・プアサ (8 月8 日、イスラム 暦1 0 月1 日) ハリラヤ・ハジ(1 0 月1 5 日)、イスライ ム新年(イスラム暦1 月1 日) ディーパバリ (1 1 月3 日) ムハンマド誕生日 (1 2 月1 2 日)、ク リスマス(1 2 月2 5 日) 4 月の訪日客は 最も多い。 12月の訪日客は 最も多い。 2001年から、両親と一緒に旅行する場合、 旅行日が出席扱いとなる「体験学習」制度が導 入されている。 ①旧正月休暇:1 月または2 月の旧正月期間を含 む約1 週間〜1 0 日間。②復活節(イースター) 休暇:3 月または4 月のイースター期間を含む約 1 週間〜1 0 日間。③夏休暇:7 月中旬〜8 月末 までの約1 ヶ月半間。④クリスマス休暇:1 2 月 2 2 日頃〜1 月1 日までの約1 週間〜1 0 日間。 企業:1 年間継続して勤務した者に、年間6 日の 休暇あり。 企業の年次有給休暇は、勤続1 年で7 日、その後 1 年経過するごとに1 日ずつ加算し、最高1 4 日 までの取得できることが雇用法で定められてい る。企業によってはそれ以上の休暇を制度化し ていることもある。 冬期休暇(12月末~2月下旬) 夏期休暇(7月中旬~8月中旬) 8月と12月の 訪日客は最も多 い。 7月、8 月の訪日 客はもっとも多 い。 7月の訪日客は 最も多い。 7月の訪日客は 最も多い。 国王誕生日(1 2 月5 日)、憲法記念日 (1 2 月1 0 日)、大 晦日(1 2 月3 1 日) メーデー(5 月1 日)、釈迦誕生祭 (5 月2 4 日) 若者の日(7 月3 日) ハリラヤ・プアサ (8 月8 日)、独立記 念日(8 月9 日) 教師の日(9 月6 日) 子供の日(1 0 月1 1 日)、ハリラヤ・ハ ジ(1 0 月1 5 日) ディーパバリ (1 1 月3 日) クリスマス(1 2 月 2 5 日) チェラロンコン大王 記念日(1 0 月2 3 日) 清明節(4 月 4 日) 労働節(5 月1 日)、端午節(旧暦 5月5 日) 香港特別行政 区成立記念日 (7 月1 日) 中秋節(旧暦8 月1 5 日) 重陽節(旧暦9 月9 日) 国慶節(1 0 月1 日) クリスマス(1 2 月 2 5 日) 中秋節(旧暦8 月1 5 日、4 連休) 国慶節(1 0 月1 0 日) チャクリー王 朝記念日(4 月6 日)、タ イ正月(4 月 1 3 日〜1 5 日) メーデー(5 月1 日、民間企業の み)、国王即位記念 日(5 月5 日)、春 耕節(5 月9 日)、 仏誕節(5 月2 4 日、変動あり) 暑期休暇(7 月中旬〜9 月1 日まで) 夏期休暇3 月上旬〜5 月末(小〜高校) 台湾 香港 タイ シンガポール 万仏節(2 月7 日、 2 月2 5 日) 春節(2 月1 0 〜 1 1 日) 冬期休暇(旧正月の前後約2 0 日間) 祝祭日 元旦、大晦日(旧暦 12 月3 1 日)、春節 (旧暦1 月1 日、5 連 休) 元旦、旧正月(旧暦 1月1 日) 元旦 元旦(1 月1 日)、 春節(7 連休) 平和記念日(2 月 2 8 日) 冬期休暇(2 1 日間、旧正月に合わせて、 変動あり) 正月前後 祝祭日 祝祭日 祝祭日 三宝節(7 月 2 2 日、変動あ り)、安居入 (7 月2 3 日、 変動あり) 暑期休暇(7 月〜8 月の6 0 日間) 韓国 3 月1 日三一 節 釈迦誕生日4 月8日(旧 暦) 5 月5日子供の日 1 1 月2 6 日〜1 月3 日 祝祭日 復活節(変動 あり) 聖金曜日(3 月2 9 日、変 動あり) 祝祭日 光復節(8月15 日)、秋夕(8月1 5日旧暦) 開天(10月3日) 中秋節(旧暦8 月1 5 日、3 連休) 国慶節(1 0 月1 日、 7 連休) 中国 暑期休暇(7 月下旬〜8 月末までの約 4 0 日間) 注 訪日シーズン 児童節(4 連 休、変動あ り)、清明節 (4 月4 日) 労働節(5 月1 日)、端午節(旧暦 5月5 日) 冬 春 夏 元旦(1 月1 日)、 正月(旧暦1 月1 日、3 連休) クリスマス(12月 25日) 元旦(3 連休)、春 節 清明節(3 連 休) 労働節(3 連休)、 端午節(旧暦5 月5 日、3 連休) 顕忠日(6月6日)

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2-24

2-2 豪州市場の特徴

(1)豪州からの訪日客数の推移 豪州から日本を訪れる訪日客数を、観光庁の宿泊旅行統計調査(平成 26 年・年間確定値)の国籍 (出身地)別外国人延べ宿泊者数からみると、平成 26 年の豪州人延べ宿泊者数は、前年比 137.6% の増加で 122 万人泊となり、構成比は全体の 2.9%だった。 豪州人延べ宿泊者数は、都道府県別にみると、東京都(41%)、京都府(15%)、大阪府(10%)、北海 道(7%)、長野県(6%)、その他(21%)の構成比になっており、北海道は、全国で 4 番目に多いことが わかる。 都道府県別の外国人別延べ宿泊者を上位 5 国籍の構成比でみると、豪州人延べ宿泊者数は、長野県 (14%)、京都府(7%)、広島県(10%)の 1 府 2 県で上位 5 カ国のひとつにランクされているが、北海 道においては、北海道経済部観光局の平成 26 年度の訪日外国人宿泊者数によれば、4.8%の構成比に なっており、上位 5 カ国には含まれていない。アジア系の構成比の高いことがわかる(台湾、中国、 香港、韓国、タイ、シンガポール、マレーシア 7 カ国の構成比は 86.8%)。 また、平成 26 年の全国の外国人観光客の観光レジャーの平均泊数を見ると、アジアの主要な国・ 地域の外国人観光客の泊数は、一番多いシンガポールでも 7.5 泊になっているが、欧米とオーストラ リアでは、アジアの国・地域に比較すると、イギリス 13.4 泊、ドイツ 13.5 泊、フランス 14.4 泊、 アメリカ 9.9 泊、オーストラリア 12.4 泊と多いことがわかる (表 2.1:参照)。 表 0.1 平均泊数(国籍・地域別) 単位:泊 観光レジャー 全目的 全国・地域 6.1 11.7 韓国 3.5 6.0 台湾 5.1 6.8 香港 5.2 5.7 中国 5.9 18.6 タイ 6.0 11.5 シンガポール 7.5 9.6 マレーシア 6.7 12.0 イギリス 13.4 15.0 ドイツ 13.5 12.3 フランス 14.4 15.6 アメリカ 9.9 13.8 オーストラリア 12.4 13.6 出典:観光庁「訪日外国人の消費動向 平成 26 年年次報告書から作成」

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2-25 わが国における上記のような豪州からの訪日客の状況に対して、北海道における豪州からの訪日客 数の推移は、次のようになっている。 豪州から北海道を訪れた訪日客数(実人数)は、東日本大震災の影響を受けた平成 23 年度に 20,500 人まで落ち込んだが、翌 24 年度には、平成 22 年度を上回るまで回復し、平成 26 年度には 38,700 人(構成比 2.5%)となった。 表 0.2 豪州人観光客の実数と延宿泊者数の推移(単位:人) 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 実人数 25,600 20,500 29,400 35,400 38,700 延べ宿泊者数 153,775 102,384 191,419 232,125 223,390 出典:北海道経済部観光局「訪日外国人宿泊者数」 また、延べ宿泊者数は、平成 23 年度の 102,384 人泊をボトムとし、平成 24 年度 191,419 人 泊、平成 25 年度 232,125 人泊と回復してきたが、平成 26 年度には、前年度に比較して 8,735 人 泊が減少し、223,390 人泊となった。率にすると約 4%の減少となる。延べ宿泊者数の減少は、地域 として倶知安町における 23,830 人泊の減少が大きく影響していると思われるが、その原因はわから ない。 季節的には、延べ宿泊者数の 92.4%にあたる 206,415 人泊が、12 月から 3 月の冬季に集中し、 地域的には、倶知安町とニセコ町に 63.7%にあたる 142,203 人泊が集中している。 出典:北海道経済部観光局「訪日外国人宿泊者数」から作成 153,775 102,384 191,419 232,125 223,390 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 豪州 表 0.3 豪州人訪日客延べ宿泊者数(単位:人泊)

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2-26 (2)豪州からの訪日客の特徴 ニセコ観光圏のプラットフォームである(一社)ニセコプロモーションボードは、平成 26 年 12 月 から平成 27 年 3 月にかけて、外国人観光客の対面調査を実施したが、その概要によると、初めての 観光客よりも 2 回目以上のリピーター客が半数以上を占めていることが分かった。また、ニセコ以外 にどこのスキー場に行くかという質問に対しては、ルスツやキロロなどの道内スキー場や白馬など本 州のスキー場という回答もあったが、7 割以上は、豪州のスキー場はもちろんだが、ニュージーラン ドや欧州、北米のスキー場という回答になった。また、6 割以上の回答者が、毎年、スキーホリデーを 取得するという。 同じくニセコプロモーションボードによれば、高級コンドミニアムを利用する豪州人観光客もいる が、エコノミーな宿泊施設を利用する観光客もおり、宿泊施設、飲食店など様々なタイプのサービスの 提供が求められているという。 豪州人訪日客の特徴は、平均滞在泊数が 12.4 泊と長い滞在型の観光形態にあるといえる。長期滞 在型の旅行形態や家族単位の旅行形態が多いため、スキー以外にも異文化体験やアロマセラピーなど のリフレッシュ体験などにも高い関心があり、そのため、受け地として、泊食分離のサービスを充実す ることはもちろんであるが、子供にも対応した食事を提供できる飲食店(禁煙)やベビーシッターの施 設なども整備することが重要である。 長野県白馬村や野沢温泉村を訪れる豪州からの観光客は、コンドミニアムやホテル、旅館のみなら ず、日本の生活の魅力を体験できる民宿の家族的なサービスを喜ぶという。そのため、長野県は、農村 生活を体験してもらうために、農家が民宿としての簡易宿泊登録をするように推進し、また白馬村の 古民家を改修し、宿泊施設やカフェ、レストランとして利用する取り組みが行われている。また、野沢 温泉村は、飲食店が少ないため、民宿に宿泊している豪州人観光客のために、旅館が食事を提供してい る。 豪州人訪日客は、ニセコのパウダースノーを高く評価しているが、受け地として、滞在型観光客の要 望に応える環境整備に努力した結果が、現在の国際的なスキーリゾート地としての評価につながって おり、今後、滞在型の観光地づくりを目指すときには、貴重なお手本になると思われる。

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2-3 欧米市場の特徴

(1)欧米からの訪日客数の推移 欧米から日本を訪れる訪日客数は、観光庁の宿泊旅行統計調査(平成 26 年・年間確定値)の国籍 (出身地)別外国人延べ宿泊者数からみると次のようになっている。 表 0.4 欧米 4 カ国の延べ宿泊者数(単位:万人泊) 国籍 延べ宿泊者数(万人泊) 構成比 前年比 米国 319 7.6% 110.2% 英国 74 1.8% 127.1% 仏国 69 1.6% 125.4% 独国 55 1.3% 116.6% カナダ 42 1.0% 131.0% 出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(平成 26 年) 都道府県別に外国人延べ宿泊者数を上位 5 カ国に整理すると、欧米が含まれない都道府県は、北海 道をはじめ富山県、山梨県、大阪府、福岡県、熊本県、大分県の 1 道 1 府 4 県になっている。東北 6 県において、欧米からの外国人宿泊者が一定の割合で存在することから、北海道においても今後、取り 組むべきマーケットであると思われる。 欧米からの外国人延べ宿泊者数は、東京都についで京都府が 2 番目に多く、まだまだ、日本の代表 的な観光地を中心とした観光ルートを辿っていることが推察される。 また、豪州の項で紹介したが、平成 26 年の全国の外国人観光客の観光レジャー平均泊数を見ると、 イギリス 13.4 泊、ドイツ 13.5 泊、フランス 14.4 泊、アメリカ 9.9 泊、オーストラリア 12.4 泊 と平均宿泊数が多い (表 2.4:参照)。 表 0.5 平均泊数(国籍・地域別) 単位:泊 (再掲) 観光レジャー 全目的 全国・地域 6.1 11.7 韓国 3.5 6.0 台湾 5.1 6.8 香港 5.2 5.7 中国 5.9 18.6 タイ 6.0 11.5 シンガポール 7.5 9.6 マレーシア 6.7 12.0 イギリス 13.4 15.0 ドイツ 13.5 12.3 フランス 14.4 15.6 アメリカ 9.9 13.8 オーストラリア 12.4 13.6 出典:観光庁「訪日外国人の消費動向 平成 26 年年次報告書から作成」

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2-28 わが国における上記のような欧米からの訪日客の状況に対して、北海道における欧米からの訪日客 数の推移は、次のようになっている。 表 0.6 米国からの訪日客の実数の推移(単位:人) 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 米国(実人数) 21,200 16,300 23,700 33,500 41,800 出典:北海道経済部観光局「訪日外国人宿泊者数」 表 0.7 欧米からの訪日客の延べ宿泊者数の推移(単位:人) 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 米国 41,723 25,128 48,379 72,099 88,890 英国 13,277 8,910 14,093 16,135 22,335 仏国 6,927 4,359 5,905 8,322 9,829 独国 6,566 4,089 5,248 6,280 8,464 出典:北海道経済部観光局「訪日外国人宿泊者数」 欧米からの訪日客の実数について、米国の実数は公表されているが、欧州の実数は、その他として括 られているため、国別には分からない。 また、平成 26 年度の米国からの訪日客数(実数)41,800 人は、同年度のシンガポール 40,900 人 に匹敵するが、米国の延べ宿泊数 88,890 人泊は、シンガポールの 250,059 人泊に比べると約 3 分 の1にすぎず、観光を目的とした訪日来道者数は極めて少ないものと推察される。

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2-29 (2)欧米からの観光客の特徴 欧米からの訪日旅行市場について、北海道経済部観光局が、平成 26 年 3 月に発表した「米国市場 観光客誘致戦略調査事業」の報告書と、北海道総合政策部が、平成 27 年 3 月に発表した「スポーツ 観光等人材育成事業(ヨーロッパ市場調査・実態調査等)」の報告書から、欧米からの訪日客の特徴を まとめる。 ○米国からの訪日客の特徴 当報告書では、米国の北米本土居住者とハワイ州居住者、日本に居住する米国人と居住地別にその 特徴を次のようにまとめている。 居住地 主たる来道目的 北米本土居住者 ・明確な訪問目的を持って来訪している。 ・旅行形態は、FIT が多い。 ・夏季は、ロードサイクリングやトライアスロンなどアウトドアスポーツを目 的に来道している。 ・冬季は、バックカントリースキーやスノーボードなどのウィンタースポーツ とバードウォッチングを目的に来道している。 ハワイ州居住者 ・北海道に対しては、良好なイメージを持って来訪している。 ・旅行形態は、団体旅行型が多く、嗜好は、比較的アジア系の嗜好に近い。 ・夏季は、ラベンダーや桜などの花観光と食、温泉を目的に来道している。 ・冬季は、食や温泉に加えて、さっぽろ雪まつりを大きな目的に来道している。 日本居住者 ・北海道には良好なイメージをもち、様々な情報を得やすい環境にある。 ・夏季は、アウトドアスポーツ以外に避暑地として来道している。 ・冬季は、バックカントリースキーよりもゲレンデスキーやスノーボードで来 道している。 ○欧州からの訪日客の特徴 英国、仏国、独国 3 国ともに、旅行形態は FIT の個人旅行となっており、ジャパンレールパスや北 海道レールパスを利用して、北海道内を周遊するケースが多く見られる。 特に、仏国からの訪日客は、夏季、冬季を問わず、全道を周遊する傾向がみられ、北海道旅客鉄道㈱ によると、ジャパンレールパスを利用して来道する欧州からの外国人旅行者の中では、仏国からの訪 日客が一番多いという。 夏冬共通して道北を訪れる人が、一定の割合でいる。夏季の目的は、大雪山トレッキングやバックパ ッキングが多く、冬季の目的は、旭川、富良野、トマムでのスキーとなっている。 ニセコの認知度は高いが、ニセコ以外でも良質な雪と環境が整っていれば、どこでもスキーを楽し みたいという希望が強く、道北、ひがし北海道エリアに新たなスキーリゾートが生まれる可能性があ る。既に、利尻山の山スキーに訪れる独国からのスキーヤーが増加しているという。

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2-30 また、欧州人訪日客の特性として、次の 3 点を取り上げている。 ① 異文化体験への知的好奇心が強い。 日本文化の象徴として京都や高山、日光などへの関心は高いが、北海道には、ステレオタイプの日 本文化とは異なるアイヌ民族に代表される独特な文化や自然、風景があり、来道したことで初めて 気がつく北海道の魅力がある。 ② 自然に対して、アグレッシブに行動する。 北海道の自然や道内の国立公園に高い関心を示すが、その行動は、自然に対する日本人の考え方や 行動とは異なり、自然の中のスリルや冒険を楽しむ行動形態がある。

③ SIT(Special Interest Tour)の旅行形態を好む。

物見遊山型の旅行よりも、自然や異文化に対して特別な目的を設定したツーリズムが主流になっ ている。例としては、登山、スキー、バードウォッチング、バックパッキング、サイクリング、ヒ ッチハイクなどに典型的なスタイルが見られる。また、目的や意思に沿うものであれば、地域発着 の団体旅行を利用するケースがあり、特に、自然観察やアウトドアなどに係わるガイドの重要性と 価値について理解が深いと思われる。 以上のことから、欧米市場において、スキーリゾートとしてニセコの認知度は高いが、北海道に関す る情報の発信は乏しく、その潜在的な魅力の発信が立ち遅れているといえる。 北海道と同質の観光資源を有しているニュージーランドは、世界のアドベンチャーツーリズム市場 において、高く評価をされている。 従来の物見遊山を対象にした観光資源の素材提供では、観光資源のコモディティ化は避けられない。 欧米市場向けの商品開発とプロモーションに着手することは、アジア地域における国際的な観光地と しての競争力を向上し、持続的に発展するための挑戦に位置づけられると思われる。

図  0.14  訪問回数
図  0.19  同伴客の割合

参照

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