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相澤益男(東京工業大学工学部教授)

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Academic year: 2021

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II.高 性 能 材 料 開 発 の 現 状 と将 来 高 分 子 材 料 を 中 心 と し て

鈴 木三 男(日 本 産業 技術 振 興協 会 専務 理 事) 古 くは、材 料 は進 歩 の武 器 と言 わ れ た。 さ まざ まな特 定 の 性能 を もっ た材料 の 中 か ら, 材料 を選択 で き る ようにな った現 代 で も、材 料 の重 要性 は変 らな い。現 在 に お け る材 料 開 発 の特 徴 は 、①材 料 開発 の 基盤 科 学 と して 、物 理 、化学 の他 に生 物 学 が加 わ っ た こ と、② 困難 を乗 り越 えて の新材 料 の 開発 が各 産 業 の発 展 に繋 が って い るこ と、◎ 科学 と技術 が 時 間 的 に接近 した こと,な どで あ る。今 回 は、宇 宙 ・航空 機 、 自動 車 、機 械 に使 用 さ れ る新 高分 子 材料 と複合 材 料 、特 に 高性 能材 料 につ い て、そ の 開発 の現 状 を解 説 した。

用途 別 に見 た場 合 、宇 宙 開発 で は、金 属 の代 りに先端 複 合 材料 を採用 す るこ とに よって 軽量 性 、耐 熱 性 の 改善 が図 られ、 また航 空 機 に も先 端複 合 材 料 が採 用 され つ つ あ り、総 て 炭素 繊 維材 料 で作 られ た航 空機 まで現 れ て お り,1995年 に は60%迄 が複 合 材料 で 作 られ る と予測 されて い る。 自動 車 につ いて も、 高 分子 材料 の 高性 能 化 と複 合材 料 の進 歩 に よ り、

プ ラ スチ ッ ク化 は現 在 の5%よ り大幅 に増 え る と考 え られて い る。 更 に機 械関 係 で現 在 最 も進 ん でい るの は 、防 音、 防振 材 料 で あ り、将 来 高寸法 精 度 を要 す る精 密 工業,ロ ボ ッ ト アー ム等 への 発展 が期待 され る。

汎 用 プ ラ スチ ッ ク、 エ ン ジニ ア リング ・プ ラ ス チッ ク(エ ンプ ラ)の 他 に注 目 され る 高 分子 材 料 と して 、 スーパ ー エン プ ラ、ポ リマー ア ロ イ、液 晶 ポ リマー等 が 挙げ られ 、将 来 それ らの選 択 競合 に は、性能 の向 上 と価 格 の低 減 が重要 な要 素 とな るこ と、価 格 は耐 熱 性 の 向上 と深 い関 連 が あ るこ とが指 摘 され る。現 在注 目す べ き性能 を備 え た スーパ ー エ ンプ ラが次 々に現 れ 、射 出成 型 温度 が低 く熱 変形 温 度 が高 い新 製 品 も 発 表 さ れ て い る 。 ポ リ マ ー ア ロ イは汎 用 エ ンプ ラ に比 べ て価 格 が さ ほ ど高 くな く、 従 って 研究 も盛 んで あ る。 ブ ロ ック共重 合 、グ ラ フ ト重 合等 の 手法 が 用 い られ 、将来 の技 術 目標 は 炭素 繊維 との複 合 化 に よる性能 の 向 上 と、 価格 の低 減 であ る。 液晶 ポ リマ ー は射 出成 型 温度 が 低 くe熱 変 形 温 度 が 高 い特 長 を もつが 、固 化 に際 して生 ず る強 度 の方 向性 を如何 に して成 型技 術 で相 殺 す るか が将来 の 問 題 で あ る。

繊維 と樹 脂 に よ って構 成 され る複合 材 料 の樹 脂材 料 と して現在 用 い られ るの は大部 分 エ ポ キシで あ るの に対 して 、近 い将 来熱 可 塑 樹脂 が それ に と って代 る こ とが 予測 され 、繊 維 材料 も現在 は炭 素繊 維 が主 流 で あ るが、 や が て フラ ミ ドの有 用性 が 注 目 され て くる と思 わ れ る。一・方 、 炭 素繊 維 の低 価格 化 も進 ん で お り、 ピッチ か らの製 造 が進 め られて い る。 現 在 の炭 素繊 維 を中心 と した複合 材 料 の性 能 を概 観 す る と、 その頂 点 に たつ もの はC/Cコ ン ポ ジ ッ トで あ り、融 点 は1000℃ 以 上 、線 膨張 係数 が鉄 の1/2、 熱 伝 導率 が 鉄の4倍 に も達 し、耐 熱摩 擦 特 性 に も優れ て お り、耐 熱 性 構造 材料 、摩擦 材 料 と して その 前途 が期待 され る。但 し、現 在 で は価格 が極端 に高 いが 、 既 に航空 機 の ブ レー キ と して は、 その 性能 の 優 秀 性 が高 く評 価 され て実 用 化 さ れ て い る。

最後 に、 わ が国 の主 要企 業 に よ る高分 子 材料 分野 へ の 進 出の現 状 を例 示 し、各 社 の熱 意 あ る取 り組 み を紹介 した 。

皿.新 材料 の設 計 に おけ る生 体機 能 の反 映 相澤益男(東 京工業大学工学部教授)

新 素 材 を 求 め る 社 会 的 ・経 済 的 ニ ー ズ は 次 第 に エ ス カ レ ー ト し 、 今 や イ ン テ リ ジ ェ ン ト 材 料 の 出 現 を 待 望 す る よ う に な っ た 。 人 間 の 知 能 を 備 え た 材 料 の 開 発 こ そ 材 料 研 究 に 残 さ れ た 大 き な 課 題 で あ る 。

イ ン デ リ ジ ェ ン トマ デ リ ア ル を 提 唱 す る 最 も 根 本 的 な 設 計 思 想 は 、 「情 報 の 流 れ 」 に 重 点 を お い た 高 機 能 の 発 現 に あ る 。 こ れ ま で の 材 料 構 築 は ハ ー ドウ ェ ア に 終 始 し て き た が 、

イ ン テ リ ジ ェ ン トマ テ リ ア ル は ソ フ トウ ェ ア を 内 蔵 し た ハ ー ド ウ ェ ア を 目 指 し て い る 。 ハ ー ド ウ ェ ア の 設 計 に よ っ て 材 料 の 高 機 能 化 が 次 々 と 実 現 し た 。 こ れ ら 高 機 能 材 料 に 更 に イ ン テ リ ジ ェ ン トマ テ リ ア ル を 付 与 す る 道 が 、 ソ フ ト ウ ェ ア の 組 み 込 み で あ る 。 し か も

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材 料 構 造 に ソ フ トウ ェ ア を 実 現 す る こ と は 未 踏 の チ ャ レ ン ジ で あ る 。

イン テ リ ジ ェ ン トマ テ リ ア ル は 環 境 適 応 型 材 料 、 セ ン サ 機 能 と ア ク チ ュ エ ー タ 機 能 を 併 せ も つ 機 能 材 料 、 或 は 非 線 形 型 応 答 す る 材 料 な ど と 表 現 さ れ る 。 こ れ ら は イ ン テ リ ジ ェ ン トマ テ リ ア ル が 内 包 す る ソ フ トウ ェ ア の 特 徴 を 強 調 し た も の で あ る 。 イ ン テ リ ジ ェ ン ス と い う 表 現 は 生 体 に 由 来 す る 。 イ ン テ リ ジ ェ ン トマ デ リ ア ル の 発 想 は 生 体 と 密 接 に 関 連 す る 。

機 能 細 胞 群,特 に 神 経 細 胞 系 こ そ イ ン テ リ ジ ェ ン ス の 極 致 で あ る 。 個 々 の 神 経 細 胞 は 超 LSiを 超 え る イ ン テ リ ジ ェ ン ト素 子 で あ り 、 バ イ オ 素 子 の タ ー ゲ ッ ト と な っ て い る 。 神 経 細 胞 以 外 に も 数 多 く の 細 胞 が イ ン テ リ ジ ェ ン トマ テ リ ア ル の 格 好 の モ デ ル と な る 。

分 子 レ ベ ル の モ デ ル と し て リ セ プ タ ー を 挙 げ る こ と が で き る 。 例 え ば 、 細 胞 膜 に 埋 め 込 ま れ た イ ン シ ュ リ ン ホ ル モ ン の リ セ プ タ ー は 、2つ の 部 分 に 分 割 さ れ る 蛋 白 質 で あ る 。 細 胞 外 に 顔 を 出 し た 部 分 は 、 イ ン シ ュ リ ン を 識 別 し 、 結 合 す る 。 こ の と き の 変 化 は 蛋 臼 分 子 内 を 伝 播 し 、 細 胞 内 側 に 突 き 出 し た 蛋 白 部 分 に 伝 え ら れ る 。 こ の 情 報 に よ っ て 、 こ の 部 分 の 酵 素 活 性 が 活 性 化 さ れ る 。 一 種 の ス イ ッ チ 機 能 で あ る 。

セ ン サ 機 能 を も つ 材 料 の 研 究 開 発 は 、 精 力 的 に 行 な わ れ 、 数 多 く の 情 報 変 換 機 能 を も つ セ ン サ が 開 発 さ れ て い る 。 生 体 系 で は 、 セ ン サ 機 能 と ア ク チ ュ エYタ 機 能 が 連 動 し て い る 場 合 が 多 い 。 分 子 機 械 の 代 表 例 で も あ る バ ク テ リ ア の 鞭 毛 モ ー タ ー も 、 セ ン サ 機 能 に 連 動 し て い る 。 バ ク テ リ ア の 一 端 で 光 や 、 化 学 物 質 な ど の 刺 激 を 受 容 す る と 、 こ の 情 報 は 処 理 さ れ 、 伝 播 し て 鞭 毛 モ ー タ ー を 駆 動 す る 。 膵 臓 の β 細 胞 の 表 面 に は グ ル コ ー ス セ ン シ ン グ 機 能 が あ り 、 こ の 情 報 に 基 づ き 細 胞 内 に 貯 留 さ れ て い る イ ン シ ュ リ ン が 放 出 さ れ る 。 こ れ ら 生 体 系 の モ デ ル は 数 多 く の ヒ ン トを 示 唆 し 、 新 し い イ ン テ リ ジ ェ ン ト材 料 の 創 製 の ト リ ガ ー と な る 。

第5回 科 学 技 術 フ ォ ー ラ ム 「バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ー の 基 礎 と 展 望 」 1988年3月2日 於:横 浜 市 技 能 文 化 会 館

1.細 胞 複製 の 遺伝 学 鈴木秀穂(東 京大学理学部助教授)

細胞 複製 は時 間 的空 間的 に制 御 さ れて 進行 す る細 胞分 裂過 程 に よ って代 表 さ れ る。細 胞 分 裂過 程 の究 極 の 目的 はゲ ノム を娘 細 胞 に確実 に分 配 す る ことで あ り、染 色 体 の複 製 や分 配 の過 程 と共 役 して い る。 原核 細 胞 で は、突然 変 異 体 を用 い た分 子遺伝 学 的解 析 に よ って 、 DNA複 製 と細 胞 分裂 を共 役 さ せ る機 構 が明 かに され て い る。原 核 細胞 の染 色 体配 分 は、細 胞表 層 に結 合 した染 色体 が細 胞 表層 の 生 長 に伴 って 分離 す るこ とに よ ると考 え られ て い る が 、実 体 は ま だ分 か って いな い。染 色 体 やプ ラ ス ミ ドは 、 自律 的複 製 を行 な う レプ リコ ン と して存 続 し、 その 複製 の場 と しての 細胞 の増 殖 を制 御 す るさ まざ まな遺 伝 的機 構 を発 達 させて 自己の 永続 性 を保 って い る。細 胞複 製 の遺 伝学 的 研究 は 、直接 的 に は細胞 増 殖 を制 御 す る方法 を見 出 して利 用 す るこ とにつ な が るが、 また細胞 分 裂 に関連 す る高次 の 生命 現 象 を理解 す るた めの基 本 的 な知 識情 報 を提 供 す る もの と思 われ る。

n.遺 伝 子 工 学 か ら蛋 白質工 学 へ 三 浦謹 一郎(東 京 大 学工 学 部教 授) 遺 伝 子 操 作 技 術 が 発 達 し た た め 、DNAの 構 造 の 一・部 を 変 換 し て 人 為 的 に 変 異 を 起 さ せ る こ と が で き る よ う に な っ た 。 従 っ て 、 特 定 の 蛋 白 質 の ア ミ ノ 酸 配 列 を 一 部 変 化 さ せ る こ と が で き る 。 新 し い 蛋 白 質 の 設 計 に 向 け て 、 あ る 特 定 の 蛋 白 質 の 一 部 を 改 造 し て は 活 性 の 変 化 や 高 次 構 造 の 変 化 を 追 求 し て 、 そ の 蛋 白 質 の 構 造 一 活 性 相 関 を 探 る 研 究 が 行 な わ れ て い る 。 そ の 一 つ の 例 と し て 、 プ ロ テ ア ー ゼ ・ イ ン ヒ ビ タ ー‑SSの 部 分 改 変 の 研 究 に つ い て 述 べ た 。 ま た 、 純 粋 な 蛋 白 質 の 大 量 生 産 に 向 け て 生 体 外 蛋 白 質 合 成 系 を 作 る こ と を 目 指 し て

い る が 、 こ れ に つ い て も 触 れ た 。

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