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原価 主 義会計 の 限界事象 一一物 々交換 の説 明を 巡 って一

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〈論 説 〉

原価 主 義会計 の 限界事象

一一物 々交換 の説 明を 巡 って一

岡 村 勝 義

目 次

1.問 題の所在

皿,準 拠 枠 としての原価主義会 計理論 1.井 尻説

2.森 田説

皿.物 々交換 の会計 に関す る諸 説 N.異 種 資産交換 の会計 お よび 飯野説

1.APBオ ピニオ ソ29号 におけ る異種資産交換 の会 計 2.飯 野説

V.APBオ ピニオソ29号 に おけ る同種 資産交換 の会計 W.同 種資産交 換の会 計の説 明可能性

1.オ ピニオ ソ29号 におけ る論拠 2.流 動性 仮説

3.同 種 資産交換会 計の論拠 に関す る諸見解 粗.結 び と今後 の課題

1.問 題 の 所 在

「変 則 性(anomaly)Vr気 付 く こ とが,新 し い 種 類 の 現 象 に 一 つ の 役 割 を 演 ず る とす る な ら,そ の 変 則 性 を よ り深 く認 識 す る こ とが,理 論 の変 革 へ の前 提 と

(2)

な る こ とは 当然 で あ ろ う」1),と クー ン(Th・m鈴S .Kuhn)は 述 べ る。 伝 統 的な 原 価蟻 会纏 論が 仮 に クー ン の言 う 「パ ラダ イム」 に 相 当す る とす れ ば

,非 貨 幣財(非 貨犠 産澗 の交 換 で あ る伽 交 換 と,非 貨 幣財 の̲̲̲.方的 な驚 であ

って,通 常,贈 与 あ るい は無 償取 得 と呼ぼ れ る不 完全 交 換2)は

,そ の枠 組 の 中 に あ って まさ し く̲̲̲.つの変則 性 を繊 す るであ ろ う

.な ぜ な ら,こ れ らの 交換 は,原 価 主義 会 計理 論 では 例外 的 な事 象 ない しは事 例 とされ る ことが あ るか ら であ る。

「現 行会 計 ではi取 引 の99%以 上 が 歴 史 的 原 価 に も とつ い て 記 録 され てい る」3)とい う現 実認 識 に立 て ば,い わ ゆ る 「公 正 価値(fairvalue)」 を評 価 の基 礎 と して会 計 処理 を行 うことの あ る物 々交 換 また は不 完全 交 換 は生 起す る頻 度 が 小 さ く・ そ の意 味 では・ 他 の市 場 交換 に比 して簸 で はな い とい うこ とセこな ろ う。 この よ うな考}方 に よるな らば,そ れ らの交 換は 原価 主 義 会計理 論 の再 検 討あ るいは そ の理論 の変 革 を迫 るほ どには 重要 な 例外 的事 象 で ない

,と す る 一つ の 消極 的娠 拠 づ けが そ紡 の交 換 の会 計 に対 し

て与 妨 れ る こ とに な る。

しか し・ 物 々交換 または 不完 全 交換 を例 外的 事 象 として会 計 理論 を 構成 す る こ とに対 して,こ れ を 「例 外無 視法 に よ る理 論構成 法」4)と名 づけ

,新 しい 「交 換」 概念 に 依 拠 して物 々交換 お よび 不完 全交 換 を も包 摂 し うる会 計 の一般 理 論 を構築 し よ うとす る試 み もあ る5)。 かか る見 解 では ,例 外 的事 象 と され る物 々 交 換 また は不完 全 交 換は,そ の生起 の頻度 の 大小 に 係わ りな く

,原 価 主義 会 計 理 論 の再 検討 な い し変 革 を迫 るほ どに重 要 であ る と認 識 され

,そ うした 交 換 の 存在 が よ り包 括的 な会 計理 論 の構 築 に 向か わせ る̲̲..つの契機 となってい る。

他 方,原 価 主義 会 計理 論 の基 礎 的概 念 た る取 得 原 価概 念 の再 検 討 を通 じて , 例 外 的事象 とされ る物h交 換 また は不 完全 交 換 をか か る会計 理 論 の中 で説 明す るsと い う試 み がす で にあ る6)。 また ,不 完 全 交 換 につ い ての説 明は 措 くとし て もs物 々交換 を原 価 主義 会 計理 論 の枠 組 の 中 でs見 して矛盾 のない よ うな仕 方 で説 明 してい る論者 もい る7)。 この よ うな こ とは,そ れ らの交 換 が原 価 主義 会計 理論 の枠組 内では 説 明 の し}な い 例外 的 な 事象 であ る とす る帰 結 を導 く仮 説は,未 だ検 討 の余 地 が充 分 にあ る こ とを示 し てい る。 さ らには,こ うした幾

(3)

つか の 見解 の存在 は,物 々交換 また は不 完全 交 換 が原価 主 義会 計理 論 の説 明不 能 の事 象 で あ るのか 否 かにつ い て,納 得す るに足 るだ け の検 討が 充分 に な され てい る とは 言いaな い,と い うこ とを示唆 す る。 そ うで あれば,新 しい会 計理 論 の構築 に 直 ちに 向か う前 に,伝 統 的な原 価 主義 会計 理 論 の枠 組 に依 拠 して, そ の枠 組 の 中で,物 校 撫 た は不 完全 交 換を どこまで翻 し うるかを 改 め て 検 討 し,そ の説 明に つい ては さ らT,rYvどの よ うな問 題 が生ず るか を 明 らか 〉,rする

必要 が あろ う。

差 し当た り本 論文 では,物 々交 換 のみ を考 察 の対象 とす るが,原 価 主 義会 計 理論 の枠組 内で のかか る交 換 の説 明可能 性 の検討 を 行 うに あた っては,こ こで の載 枠 とな りうる原価 議 会 計理 論 の 内容 を,と りわ け取 得 原価概 念 お よび 実 現馳 の二つ の基 灘 概 創 こ係 わ らしめ て予 瑚 らかに して お く こと鮪 用 で あ ろ う。 とい うの は,原 価 主義 会計 理論 の二 つ の基 礎 的概 念,す なわ ち市場 交 換 に係 わ らしめた 取得 原価 概 念 お よび実 現概 念 の解釈 が 物 校 換 の説 明に特 に関 係 を持 って くるか らであ る。 こ こで準 拠枠 とす る原価 主 義会 計理 論 の手 掛 か りを 井 尻雄士 お よび森 田哲 彌 の両 説 に求 め る ことにす る。 井尻'森 田の両説 に おけ る原価 主 義会 計 の理 論が 簡 明で あ るばか りでな く,物 々交換 に 関す る解 釈 が両 者に おい て 異な ってい るか らで もあ る。

1)ThomasS.Kuhn,TheStructureofScientificRevolution,lnternationalEncp‑

clopediaofUnifiedScience,Secondenlargededition(Chicago,lllinois:University

ofChicag。,1970),P.67.中 山 茂 訳r科 学 革 命 の 構 造 』(み す ず 書 房1971年)・75

頁.ク̲ソ は こ の 版 の 禰 こ お い て 「・号ラ ダ イ ム(paradigm)」 に 代 え て 「専 門 母

体(di、ciplina・ymat・ix)」 な る 語 を 提 案 し て い る(P・ ・82・ 訳 書20頂 ・)・ ク ー ソ の 見 解 の 会 計 領 域 へ の 適 用 に つ い て は,例 え ば 次 の も の 鯵 照 ・M・C・Wells・"A

R,v。1uti。ninAcc。untingTh・ught?,"TheAccountingReuiew・V・1・LI,N・ ・3 (Julyr・976),PP、47・‑82.;Pau1Dan・ ・,"ARev・luti・ninAcc・untingTh・ught?:A

Comment,"TheAccountingReview,Vol.LII,No.3(July1977),pp.746‑47.;M.

C.Wells,"ARevolutioninAccountingThought?:AReply,"TheAccounting Review,Vol.LII,No.3(JulyX977},pp.748‑50.

2)不 完 全 交 換 に は,企 業 持 分 所 有 者 間 お よ び 企 業 持 分 所 有 者 以 外 の 老 と の 間 の 寄 贈 (貨 幣 財 ・非 貨 幣 財 の 一 方 的 減 少)ま た セ 贈(貨 幣 財 ・非 貨 幣 財 の 一 方 的 増 力口)が

(4)

あ る ・ こ こで は ・ 企 業 持 分 所 儲 以 外 の 者 と の 間 の 受 贈(非 貨 幣 財 の 一 方 的 増 加) の み を 想 定 し て い る 。

3)井 尻 雄 士r会 計 測 定 の 理 論 』(東 洋 経 済 新 報 社1976年)

f136頁 4)田 中 鰍 「交 換 鵬 の 派 生 雌 格 」r産 業 纏 』 第44翻 ・号(脳 年)

,頭

5)同 論 文 ・1‑・ ・頁 ・;Sig・t・uguTanaka ・TheStructureofAccountingLanguage

(Tokyo・Chu・University・1982)・;田 次r会 計G造 』(税 撫 会1986年)

。6)本 稿 第 N節 参 照 。

7)本 稿 第 皿 ・W節 参 照 。

H・ 準拠枠 と しての原価主義会 計理論

1.井 尻 説

井 尻 は,「 歴 史 的 原 価 原 則 とい う特 定 の 側 面 に 焦 点 を 当 て た 現 実 の 抽 象(

ab‑

stracti。n・freality)」1)たる 「歴 史 的 原 価 会 計 モ デ ル 」2)によ

っ て現 行 会 計 を 記 述 し 説 明 す る 。 か か る モ デ ル は,「 主 体 の 目標 は 本 質 的 に は そ の 支 配 下 に あ る貨 幣 的 財 産 を 増 殖 す る こ とに あ る」3)ある い は 「企 業 は 現 金 か ら始 ま り現 金 に て終 る 循 環(cash‑to‑cashcycle)を 繰 り返 す 」4)とい う現 実 認 識 に 依 拠 し て 形 成 され て い

る。 この よ うに 認 識 され る現 実 を 会 計 モ デ ル に 読 み 込 む と き

,歴 史 的 原 価 は 鍵 概 念 あ るい は 原 子 的 概 念(at。mzeconcept)と し て位 置 づ け られ る

。 歴 史 的 原 価 会 計 モ デ ル を 規 定 す る 「歴 史 的 原 価 原 則 の も と で は

,貨 幣 が 犠 牲 に され るや 否 や(獲 得 され た財の)価 額 が 決 定 され

,そ の価 額 が 交 換 の 連 鎖 を 通 じ て財 か ら財 へ と移 転 し・ これ は そ の 財 が 貨 幣 と交5'/yる まで 続 き

,こ の 貨 幣 との 交 換 の 時 点 で利 得 また は 損 失 が 決 定 さ れ る 。」5)

こ の モ デ ル に お い て は ・ 貨 幣 が 「交 換 の 基 本 財 」6)ま た は 「基 本 的 な 交 換 手 段 」7)で あ り・ 貨 幣 財 の ク ラス の 数 量 測 度 が 価 値 測 度 と され る8)

.こ の た め に, 交 換 に お い て生 ず る 貨 幣 財 の価 額 決 定 規 則 と し て,貨 幣 財 の価 額 は そ の 数 量 に 常 に 等 し い と い う 「貨 幣 財(基 本 財)規 則 」 が 導 出 さ れ る こ と に な る9)

。 貨 幣 財 〔現 金 また は 未 来 消 極 現 金(支 払債務)〕 を 犠 牲 に し

,非 貨 幣 財 を 獲 得 す る貨 幣 財 ・非 貨 幣 財 間 の 市 場 交 換(以 下 ,「購 買交換」 と言 う)に お い て はs犠 牲 と な る貨 幣 財 の 価 額 は 貨 幣 財 規 則 に よ っ て 独 自に 決 定 され

,そ し て,そ れ が

(5)

価値 測度 とな るの で,獲 得 した 非貨 幣財 の価 額 は かか る貨 幣財 の価額 を基 礎 に して決 定 され る。 この よ うに して決定 され る非 貨幣 財 の価額 は 歴 史的 原価 と呼 ぽ れ るが,か か る歴 史的 原価 は,「 もし増 分 が 非基 本財(非 貨幣財)で あ る場 合 は,増 分 の価額 を減 分 の価 額 に等 しい と置 く」1。)とい う 「価 額 帰属 規則 」11)によ

って 決定 され る。す なわ ち,歴 史的 原 価概 念 は価額 帰 属 規則 を 内包す るので あ る。 この規則 に従 う 「歴 史 的 原価 は,過 去に お い て投下 され た 現 金で・ 回収 の た めに待機 してい る現 金(未 回収の投資)を 示 す と解 釈 され る。」12)

他 方,井 尻 は,「 歴 史 的原 価 に よる利 益 を決 定す る場 合,実 現原 則(realization principle)が決 定 的 な役割 を演 ず る」13)としs実 現原 則 につ い て 以下 の よ うな三 つ の要 件 を挙 げ る。(1)利益 は 分配 可能 であ るぺ きで あ り,そ のた めに,利 益 は 貨幣 〔現 金 また は未 来積 極現 金(受 取債権)〕 が 獲得 され た ときに のみ認 識 され るべ ぎであ る。(2)売手 の 義務 履 行(perf・rmance)(財 貨または用役の引渡)が 完 了 したか あ るい は実 質 的に 完 了 してい なけれ ぽ な らない 。(3)現金 か ら始 ま り現金 に て終 る循環 の完 了に つい ての不 確実 性 が実 質 的 に減 少 して いな けれ ぽ な らな

い14)o

歴 史的 原価 会 計 モデ ルに お け る利益 決 定 に重要 な役割 を演 ず る とされ る実現 原 則は,利 益決 定 を行 わ しめ る交換 は.端 的 には.非 貨 幣財 を犠 牲 に し,貨 幣 財(現 金または受取債権)を 獲 得 す る貨 幣財 ・非 貨 幣財 間 の 市 場交 換(以 下・「販 売交換」 と言 う)で なけ れぽ な らない こ とを 要請 す る。 とい うの は・実 現 原則 に つ い て井尻 が挙 げ る第 一の 要 件は,現 金 また は受 取債 権 な る貨幣 財 の獲 得が 可 能 とな る市 場 交換,第 二 の要 件は,財 貨 な どの非 貨幣 財 の犠 牲 ない し引渡 が行 わ れ る市場 交 換 を要求 す るか ら であ る(第 三の要件は獲得した貨幣財に対する付加 的制約条件 となる)15)。こ の よ うにs実 現 原則 に よって利 益決 定 を行 うぺ き交 換 が 実質 的 に販 売交 換 に限 定 され るのは,か か る交 換 で獲 得 した貨 幣財 の 価額 が・

回収 のた めに待 機 してい た 非貨 幣財 へ の 資金 投噸 の 回瀬 と・ そ の 回収額 を 超過 す る回収剰 余額 とか ら構成 され てい るfと 解 釈 す るか らであ る。

この こ とか ら,販 売交 換 に おい て犠 牲 とな る非 貨 幣財 へ の資金 投下 額 を識 別 す るた めに,「 価 額 配賦 規 則」16)が定 式化 され る。 す な わ ち,「 交 換前 に おけ る

(6)

各 ク ラス の財 の価額 轍 量 の比 で交 撫 こよ って灘 す る財 と残 存 す る財 とに案 分す る・ 各 クラスにつ き講 され た 流 出す る財 の価額 の総 計 を減 分 の価 額 とす る・各 クラスの財 の価 額 を流 出す る財 に 配賦 さ れ た 額 だ臓 少 させ る

.」(こ の 規聡 生産過程硯 られ る 非tの 移転(内 鮫 換)に も翻 される

.)・7)これ は, 実 現 原則 の第 二 の要 件 を価 額決 定 規 則 として具 現 させ た もので あ る

他 方i売 交 換 に おい て灘 とな る夢ド貨 幣財 へ の資鍛 噸 の 回収 額 と回収 剰 纈(利 益額)と を決 定 す るた め に,「 噸 比 轍 則」18)が定 式 化 さ れ る.す なわ ち・ 「も し増 分が基 本財(現 金また綬 取r=る 難 財)で あ る場 合 に は増 分 の 価額 か ら減 分 の畷(鮒 となった非貨幣貝オへの飴 投瀬 を劾 す価額)を 差 し引い た もの を価値 増 減額(損 益額)と して計 算す る。」19)この 場 合,獲 得 した 基 本財 また は 貨幣 財 の価 額 が貨 幣財 搬 りに よ って独 自に 決定 され てい る こ とセま 言 うまで もな い・ かか る価額 比 鞭 貝f1は,実 現原 則 の第 一 の要 件 を価 額 決 定 規 則 と して具 現 させ た もの であ る。

井尻 にあ っ ては,実 現 原則 の二 つ の要 件 を体 現 した価 額配 賦 規則 と価額 比 較 規則 とに よ って・ 販 売 交換 に おい て犠 牲 とな った非 貨幣 財 へ の資 金投 下 額 の 回 収 お よび回欄 余 の獲 顯 が 示 され る.購 買 交撫 こおい ては 獲 得 した 非 貨幣財 の 価額 は価 額 帰属 規則 を内包 す る歴 史 的原 価 概念 に よって決 定 され,ま た この 価 額 を基 礎 に して価額 配賦 規 則 を通 じて販 売交 撫 こおけ る犠 牲 非 貨幣 財 の鷹

激 定 され る・ こ暢 合議 牲非 貨 幣財 の価額 は販 売 交 換に お い て回収 され る s かか る財 へ の 資金 投 下額 を示 す。 か くて,井 尻 の説 く歴 史 的原 価 会計 モ デル はs そ の モ デル の価 額決 定規 則 系 か らはs基 本 的 には価 額 帰属 規 則 よ り出発 して, 価額 醐 規則 を経 て価額 比 鞭 則 に て終 る とい う鯵 を辿 る ことに な る

.ま た, この よ うな 価額 決 定規 則 を含 む概 念 の 関係 に 着 目すれ ば

,歴 史 的 原価会 計 モ デ ルは,基 本 的 には歴 史 的 原価 概念 と実 現概念 とに よって構 成 され てい る ことに な る。

ここに注 意す ぺ きはs歴 史 的原 価 会計 モデル の歴 史 的原 価 概念 と実 現概念 は r

「企 業 は現 金 か ら始 ま り現金 に て 終 る循 環 を繰 り返す」 とい う

,さ きに挙 げ た 現 実認 識 を会 計 モデ ル に反 映 させ るよ う位 置 づけ られ てい る

,と い うこ とで あ

(7)

[図1]

議 瀞 回 撫u、

轍 鰍1踊礒}

薩三壷雇 三三 璽

る.す なわ ち,現 金 を もっ て始 ま る罷 蠣 買交 概 して撒 し・ そ こi=史 的 瓢 搬 〔(館 財規則一)価 舗 襯 貝凹〕 を・ ま槻 金 を もって終 る擁 を 販 売 交換 として捕捉 し,そ こに実 現概 念 〔価額 配 賦 規 則一鷹 比 較 規則(← 貨 幣財規則)〕 を位 置 づけ る。

貨 幣財.非 貨幣 財 間 の暢 交換 を この よ う礪 買交 換 と;r交 換 とに 二 分 し2・),購買交撫 こ係 わ る歴 史的 原価 概 念踏 金 投下 を・ 款 販 売 交撫 こ係 わ る 実 獺 念 に投 下 資金 の 回収 ・回欄 余 の獲得 を 期 させ る こ との結果 それ ら セこ基づ い て轍 さ れ る歴 史 的原価 会 計 モ デ ル は・ 基 本 的 に は̲..投 下コ・ 下 資 金 回収 ・回㈱ 余 」'一̲̀?r'を蹉 す 鎌 瀕 を記録 す る諜 会 計 の 「記 述 モ デル」

とな る21)。換 言す れぽ,企 業会 計 を資 金投 下,投 下 資 金 回収 ・回 収剰 余獲 得 の 側面 か ら翻 す る こ どが,か か る会 計 モ デル の基 本的 目的 を なす と}よ う・

歴 史的 原価搬 と実獺 念は,こ の よ う構 本 湘 的を 猷 す るた め の手段 的 役 割 を果 たす ので あ る.こ れ 姻 式 化す れ ば・ 井 尻 の厳 的 原価 会計 モデルは

[図1]の よ うにな る。

しか しな が ら,井 尻の歴 史的 原価 会計 モデ ルにつ い て問題 が ない わけ で はな い.ペ イ トン=リ トル トン(W.A.Pat・n・A・C・Litt1・t・n)はs収 益 は騎 取 引

(8)

(379) に基 づい て 「顧 客か ら受取 った 新 い ・資産 の鷹 に よ

って測 定 され」22),「 収 益 は 現金 暖 領・ 受取 債勧 るいは そ の他 噺 し い 瀬 資産 に よ

っ て 立 謎 れ る とき嘆 現 す る」23)と述 べ る・ さ らセこs[益 喫 現 につ い て,「 法 的 な販 売 ま た胴 様 の過 程 に よ る轍 」24)と「流動 簸 の取 得 に よ磁 定

」25)とい う二 つ の テス トを示 し・ かか る テス ト銃 足 した と きセこ収 益 が 記帳 され る

,と 説 く.す なわ ち調 金'受 腋 鰍 どの瀬 鑓 の獲得 を 可能 にす る販 売取 引あ

るい は 販 売交 撫 こおい て ・̀m.得した かか る資産 の騒 に よ

って収益 が 記帳 され る.ま た・二 つ の テス トの充足 を もって収益 を議 す る こ とが 実現 と呼ば

れ てい る。

か か る見解 に おい て は渓 現灘 セま記帳 すべ き収益

Illの 決定 に 醸 関 係す る もの とされ てい る ので あ るが・ 井 肋 実現 馴 量まそ の よ う燗 係 で撒 られ い ない ・つ ま り・ 瓶 暢 合 に は て

・ 実 現原 則 と収 益 価額 の決 定 との関 係が 稠 に付 され てい るの であ る・ また・ このた めかs用 礁 の決定 と価鰍 定 規 則 との関 係 も明示 され てい な い。

井尻 の歴 史 的原 価会 計 モデル に おい てセま雌 史 的原鷹 念 瞭 鍛 下 の 側面 s 実 現原則 眼 下 飴 回収 ・回欄 趨 得 の偵旺面 を独 自に体 財 る もの とし て対 等 に耀 づけ られ てい る・ しか しな カrらs投 下 飴 回 収 ・回欄 纈 得 の側 面 に特 に注 目す る な らばsそ の中 に}よ回収 され るべ き投 下 資金 は何 か

,あ るし、は さ ら曜 ん で・ 欧 のた め に待機 す る資 金 とは 何か がす で儲 々裡 に含 まれ

て い る・ 拷 え る こ ともで き る・ この よ うセこ考 劾 る とす れば 渓 現概 念 鰹 史 的 原価概 念 を包 摂 し・ それ を頬 的 岐 配 す る関 係 鮪 し

,こ のた め にs歴 史 的 原 価齢 は 井尻 に よ って鐵 念 あ るい壷ま原 子的 概 念 として姻 づけ られ

ては い る ものの・ それ はか か る会 計 モ デル の中 に あ

っ て副次 的 嬉 在 を 占め るセこす ぎ ない・ と言 い うる ことに な ろ う・ この よ う燗 題),rYti....意しつ つ,次 に細 の 所 説 を考 察す る こ と とす る。

2.森 田説

森 田は・ 「名 瞭 本 繍 説」26)の典 型 的 な一 形態 としての原 価蟻 会 計(騒) (井尻の 歴 史的原価会計モデル」に相当する・以下,「原価蟻 会計理論」と言 う)は ,

(9)

「企業 に投 下 され た 資本 の 本 質 を 貨幣 そ の もの として とらえ,営 業活 動 を 通 じ て 貨幣 として の資本 が どれ だけ そ の名 目量 に おい て増 殖 され た かを計 算 ・確定

し よ う・とす る 利益 計 算体 系」27)であ り,そ れ も 「資産 の原 価評 価 を前 提 とす る 利 益 計 算体 系」28)であ るsと 説 く。

かか る会 計 理論 に お い て,取 得 原価(井 尻のr歴 史的原価」 と同じ。以下・「取 得原価」 と言 う)は 「資産 の取 得 のた めに支 出 され た 貨 幣 の 名 目量」29)あるい は・

「資 産 の取 得 のた めに … …犠 牲 に され た貨 幣 量」30)と定義 され るが・ この よ うな 取 得 原価 の決 定 に関 連 して,森 田は次 の よ うに 述べ る。「非貨 幣 資産 の形 を と

ってい る資本 をい くらの 貨幣 とみ な すか の基 準 は … …利益 計 算 に関す る特 定 の 見方,具 体 的に は,営 業 活 動 を通 じての資 本 の増減 をs何 を メル クマー一ル とし て認識す るかに つい て の考 え方に よっ て きま って くる。」31)

原 価 主義 会計 理論 の利 益計 算 はs森 田に よれ ば 次 の よ うであ る。「取 得 した 非 貨幣 資産 は,そ れ が企 業 内に とどま る限 りaた とえ時価 の変動 が あ っ て もs

あ るい は,よ り高 い価 格 で販 売 で き る可能 性 が あ って も,取 得 原価 に 相 当す る 貨幣量 を代 表 す る もの とみ な し,貨 幣 資本 の増 減 を認識 しない 。 そ して,そ れ らが販売 ない し売却 を通 じて現 金 また は そ の他 の貨幣 資産(井 尻の 「貨幣財」 と 同じ)と 交 換 され た ときに,初 め て当該 資産 が 代 表 していた 貨 幣資 本 の消 滅' 減少 と,受 け入 れた 資産 が代 表 す る貨幣 資 本 の増 加が 認識 され,そ の差額 とし

て,貨 幣 資 本 の純増 減(損 益)が 認識 され る。」32)

また,「 資 本た る貨 幣 を 自由な資金,自 由選択 性 資金 とみ る」33)ときに は,か か る利益 計 算は 次 の よ うに 要約 で き よ う。 す な わ ち,自 由選択 性資 金た る貨幣 資 本 の投下 に よ って,投 下 された 財 にそ れ は拘 束 され るが ・ かか る貨 幣資 本 が 消滅 し,そ の対 価 として貨 幣資 産 の形 で 自由選 択 性資 金た る貨幣 資 本が流 入 す る とき,拘 束 され てい た 貨幣 資本 は 自由選 択性 資金 に転化 し,流 入 した 自由選 択 性 資金 た る貨 幣資 本 と消滅 した 貨幣 資本 の差 としてs貨 幣 資 本 の増 減す な わ

ち損 益が 認識 され る34)。

これ に よれ ぽ,原 価主 義 会計 理論 に おけ る利 益(損 失)の 認 識 は・ ① 拘束 さ れ てい た 自由選 択 性 資金た る貨幣 資 本 の消滅,あ るい は拘 束資 金性 の解 除 を示

(10)

す 非 貨幣 資産 の 引渡 と,② 自由選 択性 資 金 た る貨 幣資 本 の流 入 を示 す現 金 また は受 取 債権 な る貨幣 資産 の受入 ,と い う二 つ の要 件 が 充た され た ときに行 われ る こ とにな る。 この よ うな要 件 を 内に含 む の が 実現 主義(井 尻の 「実現原則」 と 同じ)で あ る35)。

実現 主義 の第一 の要 件 は,非 貨幣財 の引渡 に よっ て,そ れ に投 下 され 拘束 さ れ てい た 自由選 択性 資 金 が流 入 した 自由選択 性 資 金 に よって 回収 され

,拘 束 性 が 解 かれ る こ とを要 求 す る(井 尻の実現原則に関する第二の要件に相 当する)

。 これ は端 的 には,販 売 交換 にお け る投 下資 金 の 回収 を表 わ すが

,価 額決 定 規 則 との 関 係 か らはsこ れ は井尻 の挙 げ る価額 配 賦規 則 を 指示 す る。

他 方,実 現 主義 の第二 の要 件 はs非 貨幣 財 に拘 束 され てい る投 下 資金 の 回収 の み な らず・ 回収 剰余 としての 自由選択 性 資金(利 益)の 獲 得 が 行 われ る こ と を も要請 す る(井 尻の実現原則に関する第一お よび第三の要件に相 当す る)36)

。 か か る要 件 は・販 売 交換 にお い て流入 した 自由選択 性 資金 た る現 金 また は 受取 債 権 な る貨幣 資産 の価 額 は,基 本的 に は,回 収 のた め に待 機 してい る非 貨幣 資産 へ の 資金 投下 額 の回収額 と,そ の回収 額 を超過 す る回収 剰 余額 とか ら構成 され て い る,と 見 る こ とを前 提 とす る。 このた め に,そ の よ うな回 収額 を超 過す る回 収 剰 余額 が 貨幣 資 本 の純増 加 分 として認 識 され るの であ る。 これ か らす れば, か か る第二 の要 件 は・ 流 入 した 自由選択 性 資金 か ら拘束 性 を解 かれ た 非 貨幣 資 産 の 自由選択 性 資 金 を差 し引い た 自由選 択 性 資金 超過 分 を利益 とし て把 握 す る こ とを可 能 な らしめ るだけ で な く,こ れ は また,第 一 の要 件 で 求め られ る非 貨 幣 資産 の 資金 拘束 性 の解 除 を もす で に包 含 し てい るの で あ る。 この こ とは,価 額 決 定規 則 との関係 か らは,第 二 の要件 は 井 尻 の挙げ る価 額 比較 規則 を指示 す るが,か か る価 額 比較 規 則 は価 額 配賦 規則 を実 質的 に 包摂 してい る こ とを示 す の で あ る。

実現 主義 の第一 の要 件 は交 換 にお い て犠 牲 とな る資産 が非 貨 幣 資産 であ る こ と,ま た 第二 の要件 は 交換 に おい て 獲得 す る資 産 が貨 幣 資産 で あ る ことを要 求 す るので,こ れ ら二 つ の要件 は また,非 貨幣 資産 を犠 牲 に し,貨 幣資 産 を獲 得 す る販 売 交換 に おい てのみ 貨 幣資 本 の増 減(損 益)を 認 識す る ことを要 請 す る。

(11)

しか も,第 二 の要件 に よって,獲 得 した 貨 幣 資産 は 自由選択 性 資 金た る現 金 ま た は受取 債 権 な る貨 幣資 産]JY制限 され るの で,こ れ は さ らに,交 換 に おい て獲 得 され る資産 が 自由選 択 性資 金 た る資産 で あ るか否 か を判 定す る役割 を も担 っ てい る こ とにな る。 このた めに,原 価 主義 会計 理論 の枠組 の中 では,販 売交 換 す なわ ち損 益 の認識 を可能 な ら しめ る市 場交 換 として捕 捉 され る交 換 は,犠 牲 に され る非 貨 幣資 産 の資 金拘束 性 の解 除 を可 能 にす るf自 由選択 性 資金 た る現 金 また は 受取 債 権 な る貨幣 資産 が 獲得 さ れ る 交換 に 限定 され るの であ る(次 頁 の[図3]参 照)。

この ことは,詰 ま る所,実 現 主fの 果 たす 本 質 的 な役割 は,自 由選 択性 資 金 た る貨 幣 が交 換 に よって獲 得 された か 否 か を判定 す る こ とに あ る,と い うこと を示 す 。 なぜ な らば,交 撫 こよっ て 自由選択 性 資金 た る貨 幣 が獲 得 され ない と す れ ぽ,犠 牲 とな る非 貨 幣資 産 の資 金拘 束 性 の解 除は な く,さ らに は損 益 の認 識 も起 こ りxな いか らであ る。 販売 交換 におい て獲得 した現 金 また は受 取債 権 な る貨 幣資 産 の価額 を帰属 させ て 収 益 の 価 額 を 決 定 し 記 帳す る(こ の価額決定 規則を 「収益価額決定規則」と呼ぶ ことにする),ペ イ トン=リ トル トン等 の 見解37)

は,獲 得 した 資産 が 自由選 択 性資 金 た る資 産 であ るか否 か の質 的判 定 を行 う第 二 の要 件 の,こ の よ うな役 割 を特 に 明示 した もの と解 釈 し うる。 した が って, 収 益 価額 に よ って示 され る 自由選択 性資 金た る貨幣 資産 に よって,犠 牲 とな る 非 貨幣 資産 の資金 拘 束性 が解 除 され,か つ また それ を超過 す る 自由選 択 性資 金 が利 益 として認識 され る こ とが 予 定 され てい る こ とにな る。 す なわ ち,収 益 価 額 の決 定 に,原 価 主 義会 計 理論 の利益 計算 の特徴 が顕 現 してい るので あ る。実 現 主義 が主 た る価 額 決定 規 則 として収益 価額 決 定 規則 を 内包 す る所 以で あ る。

この結果,実 現 主義 は 操作 的 には 収益 価額 決 定 規則 で 直接代 表 され る ことに な るが,こ の 規則 は またi価 額 配 賦規 則 と価額 比 較規 則 の両 者 を包摂 す る よ う 作 用す る ことに な る。実 現 主義 の この よ うな価 額 決定 規 則 に一 意的 に対 応す る 概 念 として,価 額配 賦 規則 に つい て配 分概 念,価 額比 較 規則 につ い て対 応概 念, そ し て収 益 価額 決定 規 則に つ い て実 現概 念 を定 立す るな らぽ,利 益 計算 に係 る

各 規 則 お よび 各概 念 の関 係は,価 額 配賦 規則 〔配 分概 念〕→価 額比 較 規則 〔対 応

(12)

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(13)

概 念 〕← 収益 価額 決定 規 則 〔実 現概 念〕sと い うよ うに表 わ す こ とがで き る3B)。

また,販 売 交換 に おい ては,収 益価額 の決定 を 待 って利 益計 算 が行 わ れ る こと か らすれ ぽ,利 益 計 算上,収 益価 額 決定 規 則 を内 包す る実 現概 念 が最上 位 の位 置 を 占めtそ れ は価額 配 賦規 則 また は価額 比 較規 則 をそ れぞ れ 内包す る配 分概 念 お よび対 応概 念 を支 配 ・制 約す る。す なわ ち,こ れ は,企 業 にお け る貨 幣資 本 の循 環 過程 の終 点 を投 下資 金 の回 収 ・投下 資 金 回収剰 余 の獲 得 として捉 え る とい う仮定 な い し前提 が,か か る実 現概 念 に体 現 され てい るか らにほ かな らな

い39)o

原価 主義 会計 理 論に おけ る利 益 計算 を 支配 し制 約す るかか る実 現概 念 は また, 非 貨 幣資 産 の原価 評 価 を強 制す る。 とい うのはs非 貨幣 資産 に 投下 され,そ れ に拘 束 された 自由選 択性 資 金は,販 売 交換 に よって それ が再 び 自由選 択性 資 金 に転 化 しない 限 り,拘 束 性 の解 除は な く,自 由選 択 性資 金 の拘 束 の状態 が 持続 す る と考 え られ るか らであ る40)。

販 売 交換 に おい て犠 牲 とな る非 貨幣 資 産へ の資 金 投下 額 の 回収額 を識 別す る た め の価 額配 賦 規 則(配 分概念)は,販 売 交換 に お い て 回収 され るか か る資金 投下 額 を 「費用 価額 」 と呼 ぶ な らばsそ れは 「費用 価額 決定 規 則」 として の性 格 を有 す る こ とに な る。 この ことはs他 方 にお い ては,販 売 交 換 のた めに待 機 して い る,あ るい は 販売 交換 を 経な い 非貨 幣資 産 はs自 由選択 性 資金 が拘 束 さ れ て い る状態 を示 す 資 金投 下額,す なわ ち 「未 費用価 額」 で継続 的 に示 され る こ とを意 味 す る。 価額 決 定規 則 とそ れ らを 内包 す る概 念 との 関係 を図式 化 すれ ぽ,前 頁 の[図2コ の よ うに な る。

森 田で は,「 資産 の取 得 のた め に支 出 さ れ た 貨幣 の 名 目量」 あ るい は 「資産 の取得 のた めに …… 犠牲 に され た貨 幣量 」 と定 義 され る取 得原 価概 念・ また井 尻で は,価 額 帰 属 規則 に よ って定 義 され る取 得 原価概 念 は,投 下 資 金回収 ・回 収 剰 余獲 得 な る原価 主義 会計 理 論 の基 本的 目的を体 現す る実 現概 念 と どの よ う な実 質 的な 関係 を持 つ ことに な るので あ ろ うか。

森 田は次 の よ うに述 べ る。「資産 の取 得 原価 は … …当該 資産 の 取得 の た めに 支払 われ た貨 幣量,あ るい は,犠 牲 に供 され た 貨幣 量を 意味 す る と解 し うる。

(14)

した が っ て,こ れ らの資産 が … …取 得 原 価 で評 価 され る とい うことは

,資 産 の 取 得 前に 貨幣 そ の もの の形 で存 在 していた 貨 幣 資本 の量 が,か か る資産 の取 得 に よ って も増減 せ ず・ また,そ の資産 が保 有 され て い るか ぎ り増 減 しない と仮 定 してい る ことを意 味 す る 。」41)これ に よれば,企 業 に おけ る貨 幣資 本 の循 環過 程 の始点 を 資金(貨 幣)の 投下 として捉 え るiと い う原 価 主義 会計 理 論 の基 本 的 目的 の 一面 が取 得 原価概 念 に具現 され る。 しか しなが らi取 得 原 価概 念 につ い て の定義 が,資 金投 下,投 下 資 金回収 ・回 収剰 余 獲得 な る基 本的 目的 を 有す る原価 主義 会 計理 論 の枠 組 の 中で,い か な る実質 的 な意 味 を持 って い るか,は そ の定 義 自体 か ら明 らかに な って い るわ けで はな い。 このた め に,取 得 原 価概 念 の実 質的 な 意味 は,「 利 益 計 算に 関す る特定 の 見 方,具 体 的 には,営 業 活動 を通 じての 資本 の増 減 をs何 を メル クマー ル として認 識す るか につ い ての考a.}h 方」 に よ って賦 与 され る,と 森 田は 考え る こ とに な るの であ る。

収益 価額 決 定 規則 を 内包す る実現 概 念 は,犠 牲 に され る非貨 幣 資産 の 資 金拘 束 性 の解 除 を可能 にす る,自 由選 択 性資 金 た る現 金 また は受 取 債権 な る貨幣 資 産 が 獲得 され る販 売 交換 におい てのみ,損 益 と しての貨 幣 資本 の増減 す なわ ち 自由選 択 性 資金 の増 減 を 認識 せ しめ る。 この よ うな実 現概 念か らす れ ぽ,販 売 交 換 に おい て犠 牲 とな る非貨 幣 資産 に拘 束 され てい る資金 は,当 該資 産 に対 し て投 下 され た 自由選択 性 資金 で なけ れぽ な らない。 とい うのは,非 貨 幣資産 の 資 金 拘 束性 の解 除 は基 本 的 に は,拘 束 され てい る資 金 と同質 に して 同額 ない し は そ れ を超 過す る額 の 自由選 択性 資 金 が獲 得 され た ときに 起 こるので,拘 束性

を解 かれ 回収 され るべ き資金 は 自由選 択性 資 金 として の貨 幣 でなけ れ ば な らな い こ とにな るか らで あ る。

また実 現概 念 は,自 由選択 性 資 金 を投 下 して非 貨幣 資産 を 獲得 す る購 買交換 に おい ては,自 由選 択 性資 金 と しての貨 幣 の減 少が 実 質的 に 起 こらなか った と み なす ことを要求 す る。 なぜ な らぽ,実 現 概 念 に よれ ぽ,販 売 交換 におい て初 め て 自由選 択性 資 金 の増 減が 認 識 され る こ とにな るの で,購 買交換 に おい て現 実 に 自由選 択 性資 金 と して の貨 幣が 流 出 ・減 少1た として も,獲 得 した 非 貨幣 資 産が か か る 自由選択 性 資金 を代 表 す る もの とみ な され,自 由選 択性 資 金 の減

(15)

少 は実 質的 に 起 こらなか った とされ る か ら であ る。「利益 は購 入 過程 で 実現 さ れ ない」42)あるい は 「報告 利益 は取 得 の記 録 か ら生 まれ る ことが ない 」43),と言 わ れ る所 以 で あ る。

か くして,「 資産 の取 得 のた め に支 出 され た 貨幣 の 名 目量」 として定義 され る取 得 原価概 念 は,実 現概 念 を介 して初 めてそ の 実質 的 な意 味が賦 与 され るの であ る。換 言す れ ば,か か る取 得 原 価概 念は 実現 概 念 を前提 にす る ことに よっ ての み,原 価 主義 会 計理 論 の枠 組 の中 に位 置 づけ られ る こ とにな る。 この こと は,取 得 原価 概念 が 原価 主義 会計 理 論 の基 本 的 目的 の資 金投 下 の 側面 を体 現す る役 割 を担 ってい る とはい},そ れ は 実現 概 念に よって実 質 的に 支配 ・制約 さ れiか か る会計 理論 の中 にあ って副次 的 な存 在 を 占め るにす ぎない ことを示 す 。 翻 って言 えば,実 現概 念 は原価 主i義会 計 理論 に おい て最 も重要 な役 割 を果た し てい るの であ る44)。この よ うな概 念 間 の実質 的 な関 係 を図式 化す れ ぽ,前 掲 の [図3]の よ うにな ろ う。

原価主 義会 計 理論 の基 本 的 目的 とそれ に対 す る会 計諸 概念 との関 係 を この よ うに捉 え る とき,し か しな が ら,そ の体 系に斉 合 しに くい幾 つか の市 場 交 換が 存 在す る。例}ば,交 換 にお い て獲得 す る財 ない し資 産 と犠 牲 とな る財 ない し 資 産 とが非 貨 幣財(非 貨幣資産)で あ る物 々交換,あ るい は犠 牲 とな る財 な い し 資 産 が存 在 しな い不完 全 交換 が これ で あ る。か か る交換 が取 得 原価 概 念お よび 実 現 概念 との関 係 か ら,い か に解釈 し うるか が原 価主 義会 計理 論 の 内在 的な 問 題 として提 起 され る ことに な る。 こ こでは,物 々交 換 のみ を考 察 の対象 として

検 討 を進 め る。

1}YujiIjiri,HistoricalCostAccountingandItsRationality,ResearchMonograph No.1(Vancouver,BritishColumbia:CanadianCertifiedGeneralAccountants' ResearchFoundation,1980),p.11.

2)Ibid.,p.10.

3)井 尻 雄 士,前 掲 書,94頁

4)YujiIjiri,op,cit.,p.49.

5)Ihid.,p.9.(括 ・引 用 者)

(16)

)轟bΩ)Q

井 尻 雄 士,前 掲 書,111頁 同 書,95頁

同 書,112頁

同 害,112頁 。 井 尻 雄 士r会 計 測 定 の 基 礎 一数 学 的 ・経 済 学 的 ・行 動 学 的 探 究 一 』 (東 洋 経 済 新 報 社1968年),128頁

10)11)井 尻 雄 士r会 計 測 定 の 基 礎 』,132頁 12)YujiIjiri,op.cit.,p.83,

13)14)Ibid.,p.81.,pp.49‑51,

15)第 三 の 要 件 に 関 し,井 尻 は 次 の 例 を 挙 げ て い る 。 「割 賦 販 売 の 場 合 に は,分 配 可 能 な 資 産 へ の 転 換 と売 手 の 義 務 履 行 と が す で に 行 わ れ て い る と し て も,不 確 実 性 の レ ベ ル が 高 い た め に,利 益 の 認 識 が 延 期 され る 。」(lbid.,p.50.)こ の よ うな 例 か ら 明 ら か な よ うに,第 三 の 要 件 は 獲 得 し た 貨 幣 財(こ の 例 で は 割 賦 売 上 債 権)の 流 動 性 に 関 す る 制 約 条 件 と な っ て い る 。

16)17)井 尻 雄 士r会 計 測 定 の 基 礎i』,132頁 。r会 計 測 定 の 理 論 』,113頁 18)19)井 尻 雄 士r会 計 測 定 の 基 礎 』,132頁 。(括 弧 ・引 用 者)

20)ス タ ー リソ グ=フ ラ バ テ ィー(RobertR.Sterling=RichardE.Flaherty)は 次 の よ うに 述 べ て い る 。CP交 換 』 は 類 概 念 で あ り,そ の 種 概 念 はr購 買(purchases)』

『販 売(sales)』 で あ る 。r販 売 』 は 結 果 的 に 利 得 ま た は 収 益 のr認 識 』 あ る い はP実 現 』 と な る 。 逆 に,r購 買 』 は 結 果 的 にr原 価 』 と な る 。 販 売 で は い か な る 原 価 も 生 じ な い し,購 買 で は い か な る 利 得 ま た は 収 益 も 認 め られ な い 。 これ ら の 違 い が あ る た め に,購 買 と 販 売 と に 区 分 す る こ と が 会 計 処 理 に お い て 極 め て 重 要 と な る 。」

(p.445.)こ の よ うに 市 場 に お け る 交 換 を 購 買 交 換 と 販 売 交 換 と に 区 分 す る 二 分 法 はr ペ イ トソ=リ トル トン や 井 尻 な ど 多 くに 見 ら れ る と し て い る

。(P.446.)〔Robext R.SterlingandRichardE.Flaherty,̀̀TheRoleofLiquidityi血ExchangeValua‑

t1411,≫ThyAccountingRevaewrVoLXLVI,No.3(July1971)。

21)井 尻 は 歴 史 的 原 価 会 計 モ デ ル を 会 計 責 任 の 側 面 か ら 捉 え る 。 し か し な が ら,か る 観 点 は,歴 史 的 原価 会 計 モ デ ル の 基 本 的 目的 を 資 金 投 下,投 下 資 金 回 収 ・回 収 剰 余 獲 得 と し て 捉 え て こそ 意 味 を 持 つ と 考 え られ る 。 す な わ ち,会 計 責 任 鼠的 は そ の 上 位 目的 と し て 位 置 づ け る こ と が で き る よ うに 思 え る 。 井 尻 は こ の よ うな 目的 間 の 関 係 を 明 ら か に し て い な い 。 井 尻 の 会 計 責 任 説 に つ い て は,例 え ば 次 の も の を 参 照 。 井 尻 雄 士 『会 計 測 定 の 理 論 』;YujiIjiri,HistoricalCostAccountingandIts

Rationality;井 尻 雄 士 「会 計 責 任 の 問 題 」,同 志 社 大 学 会 計 学 研 究 室 編r会 計 学 批 判 』(中 央 経 済 社1975年)所 収,33‑50頁 。 ま た,記 述 モ デ ル に 関 す る 論 述 に つ い て は 次 の も の を 参 照 。 井 尻 雄 士r会 計 測 定 の 理 論 』,11‑15頁

2Z)W.A.PatonandA.C.Littleton,AnIntroductiontoCorporateAccounting

Standards,MonographNo.3(Columbus,Ohio:AmericanAccountingAssociation ,

(17)

1940},p.46.

23)24)25)Ibid.,p.49.

26)森 田 哲 彌r価 格 変 動 会 計 論 』(国 元 書 房1979年),45頁 。 27)同 書,48頁 。

28)同 書,49頁 。 29)同 書,50頁 。 30)同 書,51頁 。

31)同 書,48頁 。(括 弧 ・引 用 者) 32)同 書,52頁 。(括 弧 ・引 用 者) 33)同 書,58頁 。

34)同 書,61頁 。 同 書,61‑62頁 。35)

36)井 尻 が 挙 げ る 顛 原 則 の 第 三 腰{牛,す な わ ち 「現 金 か ら 始 ま 槻 金?,rて 終 る 循 環 の 完 了 に つ い て の 不 確 実 性 が 実 質 的 に 減 少 し て い な け れ ば な ら な い 」 に 相 当 す る 要 件 は,:°::お い て 購 に 挙 げ ら れ て い な い ・ か か 腰 件 は 細 に お い て 聯 二 の 要 件 に 含 め ら れ る.例 え ば,割 臓 上 債 権 は 「少 な く と も 近 い ㈱ こ お い て 何 セこ で も 使 用 で き る 資 金 で は な い の で,そ の 受 入 は 実 現 の 要 件 を み た さ な い と み る ぺ き で あ る 」(同 書,62頁 。)と 述 べ て,そ れ は 第 二 の 要 件 を 充 た す 自 由 選 択 性 資 金 た る 貨 幣 資 本 の 流 入 で は な い と す る の で あ る 。

3?)W.A.PatonandA.C.Littleton,op.cit.,p.49.;EldonS.Hendriksen,Account‑

ingTheory,FourthEd.(Homewood,lllinois:RichardD.lrwin.,19$2},p.175.

38)価 鰍 定 規 則 と 会 計 齢 と の 関 係 セこつ い て は ・ 以 下 の も の で 詳 述 し て い る ・ 岡 村 臓 「瓢 蟻 会 計 に お け る 鷹 決 定 規 貝t」の 意 味 一 貨.,;非 貨 幣 財 問 交.tirこ 関 す る 価 鰍 糊 則 を 中 心 と し て 一 」r離 諜 』(神 奈 川 大 学)第 ・9巻 第3号(1984年)s

165‑202頁 。

39)森 田 哲 彌,前 掲 書,64頁 。

4。)曙,6・‑6頂.ま た 次 の も の も 参 照 ・ReedK.St・ ・ey・MatchingRevenueswith σ。StS(N,wY。rk・Am・P・ess,・978),P・52・;ReedK・St・rey,"R・v・nueReatiza'

tion,GoingConcernandMeasurementoflncome,"TheAccountingReview,Vol.

XXXIV,N。,2(Ap・il・959),P.237.;AntherL.Th・mas・RevenueRecognition, MichiganBusinessReportNo.49(AnnArbox,Michigan:UniversityofMichigan,

1966),pp.13‑14.

41)同 書,51頁 。

42)W.A.Pat・nandA.C.Littl・t・n,・p・cit.,p.29.彼 ら は 次 の よ う に 述 べ て い る ・

「利 益 蠣 入 過 程 で 顛 さ れ る こaま な い ・ と い う の は 講 入 過 程 は 収 益 を 生 み 出 す べ く 計 画 さ れ た 努 力 の 過 程(program・)の 第 一 段 階)/YY¥...すぎ な い か ら で あ る 。」

(18)

43)Eld。nS.H・ndriksen,op,eit .,p.342・ 彼 は 次 の よ う に 述 べ て い る

.「 報 告 利 益 は 取 得 の 記 録 か ら 生 ま れ る こ と が な い と い う一 般 的 規 則 を 会 計 士 が 固 守 し て い る こ と は,当 を 得 て い る 。」

44)ReedK.Storey,MatchingRevenueswithCosts

,p.55.;ReedK.Storey,"Revenue Realization,GoingConcernandMeasurementofZncome

,"p.238.;ArtherL.

Thomas,op,cit.,p・ ・5・ ト マ ス 存欺 の よ う に 述 べ て い る

.「 実 現 の ル ー ル は,財 務 会 計 に お い て 最 も 重 要 な 唯 一 の 要 素 で あ る と 言 っ て も 過 言 で は な い

。」

皿.物 々 交換 の 会 計 に関 す る諸 説

非 貨 幣財(非 貨幣資産)を 犠牲 に し,非 貨 幣財 を獲 得 す る市場 交換 は

,物 々交 i換(barter),非 貨幣 交換(n・nm。netaryexchange),非 貨幣財 交 換(exchange。fn・n.

monetaryresources)な ど と呼ば れ る。

井尻 は物 々交換 に つい て・ 「大 多 数 の取 引 は 歴 史的 原 価原 則 の も とで記 録 さ れ てい るが・ 現 行会 計 実務 は かか る原 則 に厳 格 に基 づい ていな い。 低価 法,非 貨 幣財 交換 ・贈 与 資産 等 は例 外 とな る」1)と述 べ,「(非 貨幣財交換では)あ た か も

, 原 材料 が 完成 品へ と転 換 され る生産 過程 で,移 転 が起 こってい る よ うに,犠 牲 財 の帳 簿価 額(pricetag)が 獲得 財 に移転 され るにす ぎな い」2)とす る。

す なわ ち,物 々交 換 は外 部 当事 者 との市場 交 換 であ る もの のi購 買交 換 と販 売 交換 とに二 分す る市 場 交換 の区分 法 に基 づ くな らば,物 々交換 は そ のいず れ に も属 さない 交換 で あ る とみ な され る。 このた めにsそ れ は 原価 主 義会 計 理論 に おい ては 例外 的 な交 換 あ るい は例外 的 事象 を なす と解釈 され,そ して物 々交 換 は 生産過 程 に 見 られ る非 貨幣 財 の移 転 す なわ ち内部 交換 の如 くみ な され る。 この 結果,物 々交換 に おい て獲 得 す る非 貨幣 財は,価 額 配賦 規則 に基 づ い て犠 牲 とな る非 貨 幣財 の帳簿 価額 に よ って評価 され る ことに な る。 物 々交換 に関す

るか か る解 釈 を 「内部 交 換説」 と呼 ぶ こ とにす る3)。

森 田は・ 実 現 主義 の要 件 の0つ 一一 自由選択 性 資 金 た る性質 を持 つ貨 幣 資本 の流入 を示 す 現 金 また は受 取債 権 な る資産 の受入 一 一に係 わ らしめ て物 々交 換 につ い て次 の よ うに述 べ る。「対価 として棚 卸資 産や 固定 資産 を 受け 入れ るの は , その企 業 が これ らの資産 を 求 め てい る場 合が 多 いはず であ る。 とすれ ぽ,そ こ

(19)

では,報 上 泊 由選択 性 醗 で あ る現 金 の受 領 と・ 舳 選択 の結果 行 なわ れ た そ れ の棚 卸鯉 や 固定 資 産へ の投 資 とし・うプ 碗 ス臆 嚇 れ てい る と解 し

うるの であ って,受 順 産 醐 獺 産 姻 顧 産 で あ るカ・ら とい っ て実現.;

件 をみ た さない と考 え るの は妥 当で はない 。」4)

か か る見解 に よれば,物hは 「自蝿 択 性飴 で あ 槻 金 の受領 」 を も 妨 す7G交 換 と,「(受 領し槻 金の)棚 缶噴 産 や 固定 醒 へ の投 資」 を行 う購 買交 換 との連 続 し結合 した 交撫 あ る,と 解 釈 され る・ 原価 蟻 会計 理 論 にお い ては講 買交 換 と販 売交 換 とに 二 分 され る楊 交.̲5'%:̲が採 られ るた め に・ か か る購 では,物 校 換 の市 場 交換 た る性 質 セこ潮 レ しか 源 価 主義 会計 理 論 の理論 斉誰 を保 持 す るた め に,そ 浦 騎 交換 と纈 交換 と紛 解 し て解

釈 され るので あ る。

評 価 こ係 ら しめ て述 べれ ば議 牲 と脚 ド貨 幣財(灘 資産)は ・ そ の 「公 正 塒 価 す なわ ち販 売価 灘 た は 売塒 価」5)にて売 却 されyそ の ときに売 却損 益 を講 レ しか る後 に涜 却 に よって獲 得 した とみな され る貨 幣 を灘 に し 噺 た な非 貨 幣財(受 讃 産)簸 得 した と みな す ので ・ 受讃 産 醸 渡 縫

の公 正 な売 却時 価 に よって評価 され る こ とに な る6)・この結 果・ か か る物 校 換 の解 釈 は諏 得 原価概 念 に対 して のみ な らず ・ 自蝿 択性 資 金た る願 を持 つ 資産 の受 入を 一要 件 とす る実 現 搬 こ対 して も齪朧 きた さない と教 られ るので,物 々交 換 は原 価 主義 会計 理論 の枠組 内で の説 明可能 事 象 とされ る こと にな る0

この よ うな解 釈 を 物 々交換 のす べ てに わた って行 う者 として,例 えぽ ペ イ ト ソ.リ トル トソを挙 げ る ことが で き る。彼 らは 次の よ うに 述べ てい る。「現金 以 外 の財 産 が取 引 におけ る対 価 で あ る場 合 に1ま・ 実際 の現金 原価 の理 想的 な尺度 は,そ の財 産が まず 現 金 噸 接 轍 され た とす れ ば・ そ れ に よっ て実現 され る

であ ろ う貨鞭 で あ る.… …そ れ拠,伽 交撫 こよっ磯 得す る購 た は用 役 の原価 は,交 換 で 引渡 され る..た は用 役 の現 金販 売 価徹 劾 す 貨 鞭 で あ る.こ れ は,交 換 で 引渡 され る も の力製 品(財 または用役)・ 使 用設 備 あ るい は そ の他 の財 であ ろ うと,そ れに 係わ りな く妥 当す る◎」7吻 校 換 のす べ てを

(20)

販 売 交換 と購 買交 換 との連 続 し 結合 した 交換 と し て 解 釈 す る,か か る見解 を

「結 合交 換 説」 と呼ぶ こ とにす る8)。

しか しなが ら・ 森 田は物h交 換 のす べ てにつ い て この よ うな解 釈 を採 るわ け では ない 。 かか る解 釈 は 「譲 渡資 産が 販 売財 や 有価 証券 の場合 には 特に合 理 的 であ る」9)もののt同 種 資産 間 の交 換 の場合 には,そ の解 釈 は 適合 しない とす る か らで あ る。す な わ ち,「 同種 資 産 の交換 の場合 の ご と くs拘 束 され てい た資 本 の流動 化 とい う過 程 を 認 めえ ない よ うな場 合 には,損 益 の 実現 は ない と解 す べ きで あ る」10)とす る。 「この場 合 には,受 け 入 れた 資産 は,引 き渡 した 財 の帳 簿 価 額 で評 価 され る」11)ことにな る。

同種 資産 間 の物 々交 換 につ い て こ の よ うに解 釈す るのは,「 譲渡 資産 と受入 資産 は 会計 上 同一 視す る ことが で きる こ と,つ ま り譲渡 資産 と受入 資 産 の間 の 連 続性 あ るい は継 続性 を仮定 し,実 質 的に は取 引 がな か った よ うに 考 え うる」12) か らであ る。 このた め に,譲 渡 資産 に対 す る資 金拘 束 性 は解 除 されず に,そ れ が そ の ま ま受 入 資産 に 引 き継 がれ て ゆ く と解 され る こ とにな る。受 入資産 の価 額 を引渡 資 産 の帳 簿価 額 に基 づい て決 定 す るの はs実 は,こ の点 を表 わす ので あ る。換 言 すれ ば,同 種 資産 間 の物 々交 換は 販売 交 換 と購 買交 換 との連 続 した 結 合 交換 とは解 釈 しえずiこ の結果,か か る物 々交換 は 実 現主 義 の....̲.要件 であ

る 自由選 択 性 資金た る性質 を持つ 資産 の受 入 を充 た さな い と解 され るので あ る。

同種 資産 間 の物h交 換 に おけ る受 入 資産 の価 額決 定 の 仕 方は,結 果 的 には井 尻 の 内部交 換 説 と一致 す るので,物 々交 換 に 関す る森 田の解 釈 を 「結 合 交換 ・内 部 交換 説」 と呼 んで お くことにす る。

これ に よ って,物h交 換 に関 す る解 釈 につい て,一 方 の極 に 内部交 換 説,他 方 の極 に 結合 交i換説,そ し てそ の 中間 に結 合 交換 ・内部 交換 説が 存在 し うる こ

とが 明 らか とな る(次 頁の 〔表1〕 参照)。 しか し,こ こに注 意す べ きは,結 合 交 換 ・内部 交換 説を 採 る森 田 にあ っては,引 渡 資産 の帳 簿価 額 に基 づい て受 入 資 産 の価 額決 定 を行 う同種 資産 間 の物 々交 換は 必ず し も井 尻 の よ うに例 外的 事 象 と され てい るわ け では な い,と い うこ とであ る。 別 言すれ ば,か か る同種 資産 交換 の解 釈 は,物 々交 換 の市 場 交換 た る性 質 をそ の解 釈 とい か),r斉合 させ るか

(21)

[表1]

内部交換説

嘆 簸 換'内 部

結合交換説

物 々交換の解釈 内部交換

犠徽 幣財の価 陣 財の繭 額

→内部交換 結合交換 ←

一販 売交換 1一 購買交換

換換交交換売買交販購合 [結

犠牲財の公正な売 却時価(販売価値)

は措 くとして も,そ れ 以 外 の物 々交換 の解 釈 と同様 に,実 現 主義 と齪齢 を きた す もの では ない とい うこ とでは,同 種 資産 交換 も原価主 義会 計理 論 の枠 組 内で

矛 盾 な く説 明 され てい る よ うで あ る。

結 合交 換 ・内部交 換説 は,我 が 国 の 「連 続意 見 書第 三 有形 固定 資産 の減価 償 却 に つい て」13)のみ な らずs1973年 に ア メ リカ公 認会 計士 協会 の会計 原 則審 議 会(APB)が 公 表 し臆 見書 第29号(以 下,「 オピニオソ29号」と呼ぶ)14)セこおい て も採 られ て い る通説 的 な見解 であ る。結 合交 換 ・内部交 換説 では,内 部 交換 説 を 適用 す る 同種 資 産交 換 を原 価主 義会 計理 論 の中 で いか に解 釈す るかで違 い が 生 まれ るが,そ の 点に関す るオ ピニオ ソ29号 の解 釈 は森 田 のそ れ と必ず し も 同 じで はな い。 詰 まる所,市 場交i換を購 買交 換 と販 売交 換 とに二 分す る原価 主 義 会計 理論 の中に あ ってtと りわ け市 場交 換 た る性 質 を持 つ 同種資 産 交換 をそ の 理論 の中 で いか に解 釈 す るか,が 内部 交換 説 との関係 か ら特 に問題 とな る。

この よ うな問 題 を留意 しつ つs次 に,オ ピニオ ソ29号 の物 々交 換 の会計 を 取得 原 価 概念 と実現 概念 に係 わ らしめ なが ら考 察す る こ とにす る。

こ こに付 言す べ き こ とは,こ こで挙 げた 物 々交換 に 関す る見解 のほ かに,受 入資 産 の公 正な る市 場価額 に基づ い て受 入資 産 の価額 を決定 す る とい う見解 が 存在 す る,と い うこ とで あ る。か か る見解 は・ 取得 原 価 を どの よ うに捉 え るか の分 析 を 出発 点 に して,原 価 主 義会 計理 論 の枠組 内で の物h交 換 の説 明を試み る。次節 では,オ ピニオ ソ29号 の依拠 す る取 得原価 概 念 の分 析が行 われ るの で, それ との関係 か ら,か か る見解 につい て も次 節 で併せ 検 討す る こと とす る。

(22)

1)YujiIjiri,op.cit.,p.77.

2)Ibid.,P.12.(括 弧 ・引 用 者)

3)こ の よ う な 見 解 を 採 る 者 と し て,井 尻 以 外 に 例 え ば 次 の 老 を 挙 げ る こ と が で き る

N・・manエL・nhartandPhilipL・D・flie・e ,Montg・mery'sAuditing,EighthEd.

(NewYork:TheR。naldPressCo.,1957),p.244.彼 ら は 次 の よ うに 述 べ て い る

「あ る 財 産 が 他 の 財 産 と交 換 に 取 得 さ れ る 場 合 に は

,受 入 財 産 を 譲 渡 財 産 の 帳 簿 価 額(carryingamount)で 記 録 す る の が 健 全 な 実 務 で あ る 。

4)5)森 田 哲 彌,前 掲 書,62頁

6)森 田 哲 彌 「資 産 評 価 」,黒 澤 清 ・阪 本 安0・ 久 保 田 音 二 郎 監 修r会 計 ハ ソ ド ブ ク』(中 央 経 済 社1976年)所 収,188頁 。 森 田 は

,原 価 主 義(実 現 主 義)に 関 係 させ て 次 の よ うに 述 ぺ る 。 「こ の 見 解(こ こで 〈結 合 交 換 説 〉 と 呼 ぶ も の)は

,受 入 資 産 を 取 得 す る た め に 犠 牲 に 供 した も の の 貨 幣 相 当 額 を そ の 取 得 原 価 と す る と い う点 で,支 出 額 を 基 準 とす る 考 え 方 に 通 じ る と い え る。」(188‑89頁 。 括 弧 ・引 用 者) 7)W.A.PatonandA.C.Littleton,op.cit. ,p.27.

8)以 下 の も の も 参 照 。EldonS.Hendriksen ,op.cit.,P.349.;MauriceMoonitzand LouisH.Jordan,Accounting‑‑AnAnalysisofltsProblems‑一 ,RevisedEd.,Vol.

1(NewYork:Holt,RinehartandWinston ,InG.,1963),p.361.ム 一イ ッ ッ 富ジ ョー ダ ソ は 以 下 の よ うに 述 べ て い る 。 「… … そ の 取 引(物 々 交 換 ・引 用 者)を ,旧 い も の を そ の 公 正 市 場 価 値 で 売 却 し た と し て 処 理 し,当 該 取 引 に お け る 利 得 ま た は 損 失 を 認 識 し,続 い て 新 し い も の を そ の 公 正 価 値 で 購 入 す る と し て 処 理 で き る

。 か か る 交 換 が 真 の 『等 価 交 換(eve皿trade)』 で あ る と す れ ば(ま rこ れ が 通 常 の 仮 定 で あ る),二 つ の 公 正 価 値 は 同 一 と な ろ う。」 ま た ペ イ トソ は 別 の 論 文 で 次 の よ う に 述 べ て い る 。 「原 価 の 適 切 な 尺 度 は,資 産 を 取 得 す る 当 事 者 に よ っ て 支 払 わ れ る 現 金 総 額 で あ る 。 も し も使 用 さ れ る 手 段(支 払 手 段)が 現 金 以 外 の 財 産 で あ る と す れ ば,譲 渡 され る 財 産 の 公 正 な 市 場 価 値 が 取 得 さ れ る 財 産 の 原 価 を 表 わ す

。 … … す べ て の 直 接 的 な 交 換 に お い て は sそ の 取 引 は 次 の 二 つ の段 階 を 一 つ に ま とめ た も の と し て 考 え られ る こ と に な る は ず で あ る 。 す な わ ち,(1醸 渡 す る 資 源 を 当 該 資 源 の 公 正 な 市 場 価 値 に 相 当 す る 金 額 で 現 金 に 転 換 す る こ と,(2)希 望 の 資 源 を 獲 得 す る た め に ・ 受 領 し た と み な され る 現 金 を 利 用 す る こ と 。」 〔W.A,Paton,・Costand

ValueinAccounting,"inPatononAccounting(AnnArbor ,Michigan:University ofMichigan,1.964),p.482.]

9)森 田 哲 彌,前 掲 論 文,188頁

10)11)森 田 哲 彌,前 掲 書,62頁 。 同 種 資 産 の 交 換 と し て は ,棚 卸 資 産 間 の交 換 と固 定 資 産 問 の 交 換 が 考 え られ て い る よ うで あ る 。

12)森 田 哲 彌,前 掲 論 文,188頁

13)「 連 続 意 見 書 第 三 有 形 固 定 資 産 の 減 価 償 却 に つ い て 」 で は

,「 自 己 所 有 の 固 定 資

(23)

産 と 交 換 に 固 定 資 産 を 取 得 し た 場 合 に は,交 換 に 供 さ れ た 自 己 資 産 の 適 正 な 簿 価 を も っ て 取 得 原 価 と す る 」(四,4)と さ れ る 。 例 え ば 土 地 と 土 地 と の 交 換 の よ う に ・ 同 種 固 定 資 産 間 の 交i換 は 引 渡 資 産 の 適 正 な 簿 価 に 基 づ い て 受 入 資 産 の 取 得 原 価 が 決 定 さ れ る 。 他 方,「 自 己 所 有 の 株 式 な い し 社 債 等 と 固 定 資 産 を 交 換 し た 場 合 に は,当 該 有 価 証 券 の 時 価 又 は 適 正 な 簿 価 を も っ て 取 得 原 価 と す る 。」(四,4)こ れ は,異 種 資 産 間 の 交i換 の 場 合 に は,引 渡 資 産 の 時 価 に 基 づ い て 受 入 資 産 の 取 得 原 価 を 決 定 し う る こ と を 示 し て い る 。

14)AccountingPrinciplesBoard,AccountingforNonmornetaryTransactions,APB OpinionNo.29{NewYork:AmericaninstituteofCertifiedPublicAccountants,

1973).FASB財 務 会 計 概 念 ス テ ィ ト メ ソ ト第5号 で も ・ 物 々 交 換 に つ い てAPB

ス テ ィ ト メ ソ ト29号 の 考 え 方 が 採 ら れ て い る 。 次 の よ う に 記 述 さ れ て い る 。 「製 品 ・ 用 役 ま た は そ の 他 の 資 産 が 現 金 に 容 易 に 転 換 し え な い 非 貨 幣 資 産 と 交 換 さ れ る 場 合 に は,収 益,利 得 ま た は 損 失 が 稼 得 さ れ て い る こ と,お よ び 取 引 が 完 了 し て い る と い う こ と に 基 づ い て,収 益,利 得 ま た は 損 失 を 認 識 し う る 。」 〔FinancialAccount' ingStandardshoard,RecognitionandMeasurementinFinancialStatementsof

BusinessEnterprises,StatementofFinancialAccountingConceptNo.S(Stamford, Connecticut:FinancialAccountingStandardsBoard,1984),par.84f.]

】V.異 種 資 産 交 換 の 会 計 お よ び 飯 野 説

1.APBオ ピ ニ オ ン29号 に お け る異 種 資 産 交 換 の 会 計

APBオ ピ ニ オ ン29号 は,「 会 計 原 則 審 議 会 に よ っ て 公 表 され た 意 見 書 の うち で 最 も難 解 な 意 見 書 の 一 つ で あ る」1)と評 さ れ て い る。APBオ ピ ニ オ ソ は ・ 財 務 会 計 基 準 審 議 会(FASB)の ス テ イ トメン トな ど で 失 効 させ られ て い な い 限 り,

現 在 で もそ の 効 力 を 有 しf法 的 強 制 力 の あ る会 計 原 則 の 性 格 を 持 っ て い る。 当 オ ピ ニ オ ソ29号 はFASBス テ イ ト メ ソ ト第71号 に よ っ て 一 部 分 修 正 さ れ て い

る2)が,か か る修 正 は こ こで の考 察 に 影 響 を 与 え な い 。

オ ピ ニ ナ ン29号 は,非 貨 幣 取 引(nonm。netarytransaction)と し て 相 互 移 転(re‑

ciprocaltransfer)と 一 方 的 移 転(nonrecipr・caltransfer)の 両 者 を 取 り扱 っ てい る

〔par.1〕3)。具 体 的 に は、,前 老 は 主 に 非 貨 幣 資 産 の 交 換 す な わ ち 物 々 交 換,後 者 は 非 貨 幣 資 産 の不 完 全 交 換 で あ る 。 か か る オ ピ ニ オ ソ の 公 式 見 解 は,ア メ リ

カに お け る現 在 の 非 貨 幣 取 引 の 会計 実 務 の 基 準 を な す もの で あ る 。 こ こで は, 当 オ ピ ニオ ソ の 物h交 換 に 関 す る会 計 に 限 定 し て 考 察 す る。

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