高岡キ ャンパスでの栄養教育 の取 り組 み (第2報)

全文

(1)

富 山大学 保 健 管 理 セ ンター高 岡支所  宮 元芽 久美

Megulni n/1iyamoto: The Practice of Nutrition Education at Takaoka Campus (The 2nd Report)

<キ ーワー ド :食育t栄 養教育、大学生>

【目的】      か らは、2年次以降の生活習慣 の乱 れが顕著であ 大学進学時 は生活 の うえでの大 きな転換期であ   り 2)、健康教育 の効果が上が っているとは考えに る。一人暮 らしを始める学生が多 く、食 に関す る   く い。

相談 は多い。高岡キ ャンパ スでは平成13年度か ら、    5)平 成 12年に食生活指針 の策定 、平成17年 このような学生への支援 の一っ として、食を通 し   に 食育基本法の設定 によ り、食 に関す る関心が高  。 て生活習慣 を見直 し、疾病の予防について理解を   ま っていること。

深めることを目的 とした栄養 セ ミナーを開催 して    以 上の点か ら大人数対象の講義 とは違 った健康 いる。今回 は第1報1)で報告 した以降のセ ミナー  教 育 と栄養教育 (知識+手技的な こと)の 必要性 についての紹介を行 い、学生へのア ンケー ト結果   を 痛切 し、講義 十実習の形態で栄養 セ ミナーを開 を参考 に問題点をあげ、 より効果的な栄養教育 に   催 し、継続す ることとなった。

ついて検討 したい。

【開催方法】

背景】      1。 対象 :本学学生 ・教職員 (自由参加)。

栄養 セ ミナァを開催 し現在 まで継続す るに至 っ    2。 セ ミナこの構成

た背景 として、以下の5点が挙 げ られる。         ① テーマ疾患 についての講義 (センタ,医 師) 1)平 成13年〜平成20年の間、高岡キ ャンパ ス      10〜 15分程度。

では、健康 に関す る系統だ った講義 は実施 されて    ② 栄養士 の講義 (疾患 に関連 のある食材 ・調 いなか ったため、早急 に健康教育を行 う場 を設定      理 実習の手順)10〜 15分程度。

す る必要があ った。      ③ 調理実習 ・試食 :2時 間程度。 5〜8人程度 2)例 年新入生 を中心 と して食 に関す る相談      の 班 に分 け、 それぞれでメニュァを作 る。

(食材 や調理方法等 ご く基本的 な こと 0疾 病時の     品 数 は3〜4品 (主食 ・主菜 ・副菜 まれにデ 食事等)カリト常 に多 い6       ザ ー ト)。

3)健 康診断後 の有所見者への口頭 の健康 ・栄    3.開 催頻度 ・時間帯 :年2回 (6月頃 と11〜12 養指導だけで は、改善が認 め られに くい。        月 頃)、平成15年第1回までは午後の講義のな 4)1年 次後期 に生活習慣病の特別講義 (1限の     い 日の 3限 日以降 14:40〜 17:00。 平成 15 み)が あるが、学生 ア ンケー ト・健康診断の結果     年 第 2回 目以降 は、昼食 には遅す ぎるとの不

(2)

32

満があ り、午後 の講義 のない日の昼休み以降 12:20〜 15:00に 変更 した。

4。 開催場所 :平成15年第1回までは学生食堂。

これ以降は開催時間の変更 により食堂 は利用 で きな くな り学生談話室 に変更 した。

5.経 費 :参 加費 は無料。厚生会費 (短大時 代 に学生か ら徴収 されていた費用)よ り補助。

食材費 の 目安 は300円/人 。 21年度後期 よ り セ ンター予算で施行予定。栄養士謝金 はセ ン ター予算で施行。

6。 使用調理器具 :卓 上 ガス コンロ ・フライ パ ン 0な べ ・ボール 0ま な板 ・包丁等。厚生 会費で購入。

【セ ミナー開催上 の留意点】

で きるだけ多 くの参加者を募 るため以下の点 に 留意 してセ ミナーを開催 した。

・誰で も気軽に参加できること。

・参加 しやすい時間帯の設定。

0テ ーマとして学生にな じみの深いものを選択す [表 1] 栄 養セ ミナーのテーマ

る。

・掲示 ポス ターにはな るべ く興味が湧 くよ うな表 題 をつ け る。

・講義 は短時間で簡潔 な内容 にす る。

0で きるだ け簡単 な調理方法 を選択す る。

・学生が下宿 や家 で再現 し易 い食材 を選択 す る。

結果】

テーマは学生の身近 な疾患やマスコ ミ等 にて話 題 となっている事柄を選択 した。今までの疾患テー マを[表1]に示す。学生 にとっての身近 な疾患で 食材 との関連 を考え るとどうして もテーマ内容が 限定 されて くる。最近 はテーマの幅を広 げるため、

食材 につ いて も選択 している。 「一人暮 らしだ と 購入 した食品が余 って しま う」 との学生 の声 も多 いため、使用頻度の高 い食材を選択 し、その効能 を知 って もらうとともに レパ ー トリーを増やす こ とを目的 として開催 している。

セ ミナー出席者の人数は、10〜32名であり[表2]、

全学生 に占める割合 は2〜7%で 、平均3.7%で あっ

年 度 テーマ 疾 患 テー マ

第 1 回 手軽でおいしい、貧血 によい食事 貧 血

第 2 回 野菜たつぷ り、お手軽メニュー 健やかな腸のために 便 秘

第 3 回 コツコツといまのうちから骨太メニュー 骨粗颯症

第 1 回 コレステロールを減らして体の中からサラサラきれいにしよう 脂質異常症

第 2 回 体脂肪減 量大作戦 体脂肪

第 1 回 コレステロールを減らして体の中からサラサラにしよう 脂買異常症

第 2 回 便秘解消 :体 内スッキリ、お肌つるつる 便 秘

第 1 回 今度こそ :ダ イエット〜体脂肪バイバイメニュー〜 体 脂 肪

第 2 回 ミネラルたつぷり :〜 こころも、体も絶好調 〜 ミネラルと健康障害

第 1 回 コレステロール、体脂肪が気になる人へ〜食事でおいしく改善するポイント 脂 賀 異 常 症

第 2 回 知つて安心 :口 の病気 胃 炎

第 1 回 デトックスで体の外側 からも内側からもキレイになろう ! 有書物質 (金属 0人工合成化含物等)

第 2 回 デ トックス第 2 弾 ! !   〜 便 秘 知 らず で内臓 美 人 〜 便 秘

第 1 回 よくある野菜 キャベツロ玉ねぎ..こんなに体 にいいんです。. 食材 (ビタミン等)

第 2 回 風邪予防〜ビタミンCた つぷりとつて風邪を撃退〜 風邪症候 群

第 1 回 根菜類を使つた、手軽でおいしいメニュー 食材 (食物繊維 )

第 2 回 簡 単 で、元 気 になれ る !カル シ ウム レシピ 骨粗継症

第 1 回 日か らうろこの マメ知 識 〜 大 豆 の 効 用 γ 食 材 (イソフラボ ン等 )

(3)

[ 表2 ] セ ミナー出席者 の人数

4□

35 ]日 25 2□

15 1日

5 0

1   2   ] : 1 : 1   2 三 1   2 1  2 1 7 年

1  2

平成13年  14年 15年 16年

セ ミナー 出席者 の全 学生 に 占め る割合

18年  19年  20年 21年

[ 表 3 ]

%

7 6 5 4 3 2 1

2  3

平成 1 3 年

1  2

1 5 年

1   2

1 6 年

1   2

1 7 年

2

1 8 年

1   回 2 1 年 1   2 : 1   2

19年   20年

(4)

34

た。 [表3]短 大 時代 に比 較 して再 編 統 合 後 4年 制 とな ってか ら、 出席者 の人数 は減少傾 向 にあ る。

これ はセ ミナ ーの出席 者 の大 半 は1年生 で あ る こ とよ り、 1学年 の人数 が半 数 にな った こと も影響 [表 4]第 2回 以 降 の リピー ター の割合

% 70 6日 5日 4□

30 2日 1日

1 3 年 15年 16年 17年 18年 19年 2日年 2     3

[表 5]再 編統合後のセ ミナー出席者 の学年別割合

して い る と思 われ る。

ほぼすべて の年度 で1回 目に比 べ2回 目の出席者 の数 は減少 して いた。 [表2][表3]第 2回のセ ミ ナ ーは学校行事 を避 けて開催 す るため、例年 12月

圏過去の参カロ者の割l合

頃に開催 となる。講義や課題、

就職関連 のセ ミナーとの重 な り もあ り日程的に参加 しに くいと い う学生が多 い。

第 2回 の参加者 の うち25〜65

%が 1回 目の出席者 で あ り、 リ ピーターの害J合は平均39.9±13.

8%で あ った。 [表4]

再編統合後の出席者の学年別 割合 を見 ると、 75%以 上 は1年 生であ った。[表 5]

セ ミナー終了後の学生アンケー トの集計結果 よ り、内容 につい てはく よいが92.0±15。0%(me an± SD)、 普遅iが5.2±8.8%、

あまりよ くないは0%で あ った。

時間については、丁度良 いが 66.8±20.6%、 普通が26。3± 19.

5%、 長 いが5。0± 8.6%で あ っ た。[表7][表 8]

考察】

平成21年 4月 に行 った学生 ア ンケー トによると、学生の興味 のあ るテーマの1位 はすべての 学年で 「食 について」であ り、

栄養 セ ミナーは学生 のニーズに 合 致 して い る と考 え られ る。

[表9]全 国的 な食育 の浸透 と マスメデ ィアの影響が大 きいこ とが考え られ る。 また一人暮 ら しを始 めると必然的に自分の食 生活 に向 き合わな くてはな らな い ことも大 きいと考え られる。

しか し、関心 はあって も望 ま し 1日日%

9日% 8 日% 7日‖

6日% 50%

40%

30%

2 日% 1日% 0%

■ 芸文1年

□ 芸文2年 圏 芸文4年

2     1     2     1     2 18         19      20

1     回 21 芸文1年

2年 3年 4年

(5)

1日B%

80%

60%

40%

20%

0%

い食行動 を とっているか どうか は別 の問題 である。

セ ミナー内容 につ いて は ア ンケー トの結果 よ り、参加学生 の満足度 は高 い と考 え られ る。参加 学生 に数週 間後 にその後 の食生活 につ いて尋 ね る

[表 7]セ ミナー の時間 につ いて

圃 よい

□  普 通

■  あ まりよくない

と、比較的 自宅で もセ ミナーのメニューを応用 し た り、意識 した りしているケースが多 い。疾患に ついての講義 と調理実習を並行 して行 うため、生 活習慣病予防の理解度が上が るだけでな く、実質 的な食行動へ とつなが り 易い印象がある。 しか し、

時間 につ いて は約 2時間 半かか るため、長 いとい う不満が多 い。講義 につ いてはこれ以上の時間短 縮 は難 しいため、調理実 習の品数 を減 らす 0手 際 を良 くす る等 の工夫が必 要 と考え られ る。

調理実習 は食育 とい う 観点だけでな く、学生同 士の交流 とい う面で も効 果がある。共同作業 を行 う際 に、 さまざまな会話 (生活面 ・授業 ・サ ー ク ル ・バイ トなど)が され てお り、 コース ・学年を 超えた交流が深 まってい る。 調 理実習 と試食 は 学生 の興味を引 きやすい 反面、興味の対象が、試 食 に傾 きやすい懸念 もあ

る。

参加者 は日頃か らよ く 保健管理 セ ンターを利用 す る学生が多 い ことや、

例年 セ ミナー2回 目は リ ピータニカゼ多いことか り、

参加学生 の偏 りが見受 け られ る。幅広 く参加学生 を募 るため、 テーマの幅 を広 げた り、 セ ミナーの 周知方法の改善 を図 る必 要がある。

セ ミナーの参加者 は1

1   2   3   2   1   2   1   2   1   2   1   2   1   2

平成1 3 年  1 4 年 1 5 年  1 6 年   1 7 年   1 8 年   1 9 年

1

2 1 年 高岡短期大学

[ 表 8 ] セ ミナ ー 終 了後 の ア ンケ ー

富山大学芸術文化学部 卜結 果 ( 平均 )

% 1 0 0

0 0 8 0 7 0 0 0 5 0 4 0 3 0 2 0 10 0

よ い 普 通 あ ま り良 くな い

( 長い)

よ い 普 通 あまりよくない(長い)

内 容 92.0± 15.0 5.2=L8.8 0

時 間 66.8=ヒ20.6 26.3± 19.5 6.2± 11.8

(6)

36

[ 表9 ] 興 味 の あ るテー マ につ い て

% 7日.0 8日.日 5日.□

4日.□

3日.□

2日.日 1 日. □ 日. □

年生が多 いが、 ア ンケー ト調査 による2年次以降 の生活習慣 の乱れの増悪 2)ゃ4年生 の健康診断で の有所見者 の増加等 よ り、2年生以上 の学生 のセ ミナー参加への積極的なアプローチが必要 と考え られ る。 セ ミナー後 の数週間だ けでな く、4年間 の学生生活で健康的な食生活を維持す るのは困難 なようである。 セ ミナーだけでな く、 セ ミナー後 もメール ・ホームペー ジ等 を利用 して健康 ・栄養 情報 を提供 してい く必要があると考え られ る。

今後 の展望】

大学 の限 られたカ リキュラムの中で食育 を行 っ てい くことは、 なかなか困難である。本 セ ミナー が健康教育 と食育を合わせた教育方法の一つ とし て、生活習慣病の予防の理解を深め、健康的な食 行動の きっかけとなることを期待 している。

セ ミナーだけでは、健康的な食習慣 ・食行動 を 維持 してい くことは難 しいため、 メール ・ホーム ペー ジ等を利用 した情報提供を継続 して行 ってい

平成21年4月定期健康診断時に行つた学生アンケT卜 より

く必要がある。

セ ミナーに興味のない学 生 に対 しては、如何 に食 と 健康への関心 を高 める試み を してい くかが大 きな課題 である。

栄養 セ ミナー開始 か ら9 年 になるが、再編統合後 は 学生 のキ ャラクター も変化 しているようで参加者は年々 減少 してい く傾向にある。

食や健康への関心 はあ って も、学生 の興味関心の優先 順位 としてはかな り低 いよ うである。以前 と同 じ形式 でセ ミナーを開催 して も参 加者 の増加 は望 めない。今 後 はなるべ く短時間で参加 しやすい形式 ・内容 に改善 してい く必要があると考え られ る。

文献】

1)宮 元芽久美 :高 岡 キ ャ ンパ スでの栄養教育 の 試 み 。 学 園 の 臨 床 研 究 V 6 1 . 5 。( 1 ) : 3 7 ‑ 4 3 , 2006.

2)宮 元芽久美 :高 岡 キ ャ ンパ スにお ける生活習 慣 の学年別推移 の検討 .学 園 の臨床研究 Vol.

7.(1): 7‑18, 2008。

∫  〆

Updating...

参照

Updating...

関連した話題 :