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(1)採種スイカにおける害虫発生状況と防除対策

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Academic year: 2021

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(1)採種スイカにおける害虫発生状況と防除対策. 140. 研究 報告. 採種スイカにおける害虫発生状況と防除対策 奈良県農業研究開発センター. は. じ. め. 井. 村. 岳. 男. 夏期には日中の気温が 40℃を超え,農薬散布を行うに. に. は過酷な環境である。. 奈良県では 1923 年に農業試験場でスイカの育種研究. 栽培時期は,最も一般的な 5 月定植の作型のほか,2. が 始 ま り,食 味 の よ い 実 用 的 な F1 品 種 を 育 成 し て,. 〜3 月定植や 8 月定植の作型もある(図―1)。栽培時期. 1960 年代初頭までは全国有数の大産地を形成していた。. によって発生する害虫の種類は多少変わるものの,問題. その後の輸送手段の発達によって主要産地は熊本県,千. 化する害虫の多くは施設栽培であれば周年発生する微小. 葉県,山形県等に移り,奈良県での栽培面積は急減して,. 害虫なので,作型による防除対象の違いは小さい。. 1965 年には県による採種も終了した。しかし,その後. 採種スイカは種子生産が目的なので,生食用栽培とは. も県内の種苗会社で発展したスイカの育種は継続し,現. 異なり果肉の品質は問われない。そのため,経済的被害. 在,国内でのスイカの種子供給における奈良県産のシェ. 許容水準が比較的高く,株が萎凋しない程度の病害虫の. アは 8〜9 割に達している(谷川,2017) 。. 発生は許容される。その一方,整枝剪定があまり行われ. 採種スイカでは,通常の生食用栽培と同様に様々な害. ないので,生育が進むと著しく茎葉が繁茂した状態にな. 虫が発生する。しかし,その生産様式が異なるため,防. り(図―2),農薬散布を行っても散布薬液が内部の茎葉. 除対象となる害虫の種類や防除方法には幾ばくかの違い. に届きにくい(國本・今村,2018)。また,スイカは新. がある。そこで,本稿では,奈良県の採種スイカ栽培で. 芽の伸長が早いため,アブラムシ類などの新芽部を好む. 発生する主な害虫とその防除対策について解説する。. 害虫に対する殺虫剤の残効も短くなりがちである。経済. 植物防疫. 的被害許容水準が高いことと,散布した薬液がかかりに. I 採種スイカの害虫管理上の特徴. くい条件は,天敵製剤の利用に適した環境であると言え. 生食用のスイカ品種は F1 品種なので,採種用栽培で. るが,植物体の容量が大きいため,圃場での増殖に時間. は開花期に袋をかけて人工交配を行う。外部からの授粉. がかかる天敵では防除困難な場合も多い。. 昆虫の侵入を防ぐため,基本的には施設栽培で目合い. 人工交配を行う開花期には,授粉への影響が懸念され. 1 mm 以下の防虫ネットを被覆している。そのため,生. るので農薬散布がしづらく,交配期以降には茎葉の繁茂. 食用栽培で防除対象となるウリハムシや,チョウ目害虫. が著しくなる。そのため,開花期までが害虫対策の勝負. の発生は少なく,通常は防除対象とならない。その反面,. 所と考えられる。実際の現場の状況を見ていると,少々. 施設内気温が高いためアブラムシ類やハダニ類等の微小. の害虫発生が許容できるという条件に,夏場の過酷な環. 害虫の増殖には好適な環境である。また,害虫が多い盛. 境での農薬散布をできるだけ省略したいとの心理が加わ. 2月. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 1. 定植 人工授粉 採種. 図− 1 採種スイカの主な作型. Occurrences of Insect Pests and itʼs Control on the Watermelon Seed Production. By Takeo IMURA (キーワード:すいか,採種栽培,アブラムシ類,ハダニ類,ア ザミウマ類,ハモグリバエ類,防除). 2. 植物防疫. 第 73 巻第 3 号(2019 年).

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