令和 2 年度 東北大学 大学院理学研究科 数学専攻 入学試験問題
数学 − 選択問題
令和元年
8
月21
日(13
時30
分 から15
時30
分まで)注意事項
1)
開始の合図があるまで問題冊子を開けないこと.2)
問題は8
題ある.3 題を選択して解答すること.3)
各問題ごとに1
枚の解答用紙を用いること.4)
解答用紙の左肩上部の に選択した問題番号を記入し,受験番号を( )内に 記入すること.また,氏名は書かないこと.5)
問題冊子は,このページを含め全7
ページである.記号
Z :
整数全体のなす集合Q :
有理数全体のなす集合R :
実数全体のなす集合C :
複素数全体のなす集合1
集合Z /7 Z × Z /3 Z
に,次のように積を定めた群をG
とする.(a, x) · (b, y) = (a + 2 x b, x + y) (a, b ∈ Z /7 Z , x, y ∈ Z /3 Z ).
ただし,
d, n ∈ Z
に対しn
のZ /d Z
における類を[n] d
として2 [n]
3= [2 n ] 7
と定める.以下 の問いに答えよ.(1) G
の部分群H = { (a, [0] 3 ) | a ∈ Z /7 Z}
とK = { ([0] 7 , x) | x ∈ Z /3 Z}
が正規かど うか,理由とともに答えよ.(2) G
の中心を求めよ.(3) G
の共役類の個数を求めよ.(4)
位数が3
であるG
の元の個数を求めよ.2 pを4
で割った余りが3
となる素数,F = Z /p Z
をp
元体とする.F
係数の多項式環
F [x]
のx 2 + 1 ∈ F [x]
で生成されるイデアル(x 2 + 1)
による剰余環をE = F [x]/(x 2 + 1)
とおく.E × , F ×
をそれぞれE, F
の乗法群とし,x ∈ F [x]
のE
における類をi
とする.
以下の問いに答えよ.
(1) a 2 = − 1
を満たすF
の元a
は存在しないことを示せ.(2) E
はF
の2
次拡大体であることを示せ.(3)
写像N 0 : E → F
をN 0 (a + bi) = a 2 + b 2 (a, b ∈ F )
により定める.任意の
α ∈ E ×
に対しN 0 (α) ∈ F ×
となることを示せ.また,N 0
の制限により定まる写像N : E × → F ×
は群準同型であることを示せ.3 4次元ユークリッド空間R 4
の部分集合を次のように定める.
Y 1 = { (x, y, z, w) ∈ R 4 | x 2 + y 2 + z 2 + w 2 = 1 } , Y 2 = { (x, y, z, w) ∈ R 4 | x 2 + y 2 + z 2 = w 2 , | w | ≤ 1 } .
また,X = Y 1 ∪ Y 2
とし,写像f : X → X
をf(x, y, z, w) = ( − x, − y, − z, − w)
と定める.以下の問いに答えよ.
(1) Y 2
が可縮であることを示せ.(2)
非負整数q
に対し,Xの整係数ホモロジー群H q (X, Z )
を求めよ.(3)
写像f
と恒等写像id X
がホモトピックかどうか,理由とともに答えよ.4
写像f : R 4 → R 2
とg : R 4 → R
をf(x 1 , x 2 , y 1 , y 2 ) = (x 1 y 2 − x 2 y 1 , x 2 1 + x 2 2 − y 2 1 − y 2 2 ), g(x 1 , x 2 , y 1 , y 2 ) = x 1 y 1 + x 2 y 2
と定める.また,
M = f − 1 ( { (1, 0) } )
とおく.以下の問いに答えよ.(1)
点p = (x 1 , x 2 , y 1 , y 2 ) ∈ R 4
でのf
のヤコビ行列(J f ) p
を求めよ.(2) p ∈ R 4
がg(p) ̸ = 0
を満たすとき(J f ) p
の階数を求めよ.(3) M
がR 4
のC ∞
級部分多様体であることを示し,その次元を求めよ.5 µを[0, ∞ )
上のσ-
有限なボレル測度とする.以下の問いに答えよ.
(1) E
を[0, ∞ )
のボレル可測集合とし,χE
をE
の定義関数とする.次を示せ.µ(E) =
∫ 1
0
µ( { x ∈ [0, ∞ ) | χ E (x) ≥ λ } )dλ.
(2)
任意のt > 0
に対し,次が成り立つことを示せ.∫
[0, ∞ )
e − tx dµ(x) =
∫ ∞
0
te − ty µ([0, y])dy.
(3)
次を満たすγ > 0, A ≥ 0
が存在することを仮定する.a lim →∞
µ([0, a]) a γ = A.
このとき,次が成り立つことを示せ.
t>0, t lim → 0 t γ
∫
[0, ∞ )
e − tx dµ(x) = A
∫ ∞
0
x γ e − x dx.
6 (X, ∥ · ∥ X )と(Y, ∥ · ∥ Y )
をバナッハ空間とする.X, Y
はノルムが定める位相により位
相空間とみなす.XからY
への有界線形作用素全体からなる空間L (X, Y )
上のノルム
∥ · ∥
を次のように定める.∥ F ∥ = sup
u ∈ X, ∥ u ∥
X=1
∥ F (u) ∥ Y (F ∈ L (X, Y )).
また,次の二条件を満たす
L (X, Y )
の元の列{ F n } ∞ n=1
を固定する.•
任意のu ∈ X
に対し{ F n (u) } ∞ n=1
はY
で収束する.• sup
n ≥ 1 ∥ F n ∥ < ∞ .
作用素
F : X → Y
を各u ∈ X
に対しF (u) = lim
n →∞ F n (u)
により定義する.以下の問い に答えよ.(1) F
はL (X, Y )
に属し,次を満たすことを示せ.∥ F ∥ ≤ lim inf
n →∞ ∥ F n ∥ < ∞ .
(2)
バナッハ空間(X, ∥ · ∥ X )
のコンパクト集合K
に対し,次が成り立つことを示せ.n lim →∞ sup
u ∈ K
∥ F n (u) − F (u) ∥ Y = 0.
(3) X = Y = L 1 ( R )
とし,F n : X → Y
が次で与えられるときを考える.F n (u)(x) = u (
x + 1 n
)
(u ∈ X, x ∈ R ).
このとき
lim sup
n →∞ ∥ F n − F ∥ = 0
が成り立つかどうか,理由とともに答えよ.7 f(z)を次の三条件を満たすD = { z ∈ C | | z | < 1 }
上の正則関数とする.
(i) f(0) = 0.
(ii)
すべてのz ∈ D
に対し| f (z) | < 1.
(iii)
複素数α
で,すべてのz ∈ D
に対しf (z) = αz
を満たすものは存在しない.以下の問いに答えよ.
(1) D
上の正則関数g(z)
で,任意のz ∈ D, z ̸ = 0
に対しg(z) = f (z)
z
を満たすものが存在することを示せ.(2)
任意のz ∈ D, z ̸ = 0
に対し| f (z) | < | z |
が成り立つことを示せ.(3) 0 < r < 1
を満たす実数r
に対し,次を満たす実数K
が存在することを示せ.0 ≤ K < 1, z ∈ C , | z | ≤ r
ならば| f (z) | ≤ K | z | .
(4) z 1 ∈ D
を任意に取り,z n+1 = f (z n ) (n ≥ 1)
により複素数列{ z n } ∞ n=1
を定める.こ のときlim
n →∞ z n = 0
となることを示せ.8
N = { n ∈ Z | n ≥ 1 }
とおく.また,n∈ N
と無限集合X
に対し,ちょうどn
個の元 からなるX
の部分集合全体の集合を[X] n
と表す.以下の問いに答えよ.(1) [ N ] 2
の部分集合A, B, C
が次を満たすと仮定する.A ∪ B ∪ C = [ N ] 2 , A ∩ B = B ∩ C = C ∩ A = ∅ .
T = { A, B, C }
とおく.以下はN
の無限部分集合H
とS ∗ ∈ T
で[H] 2 ⊂ S ∗
となる ものが存在するという命題の証明である.文中の小問(a), (b), (c)
に答えよ.N
の無限部分集合の減少列X 1 ⊃ X 2 ⊃ · · · ⊃ X k ⊃ · · ·
を以下のように帰納的に定める.まず
X 1 = N
とする.次にN
の無限部分集合X k
が定義されていると仮定し,X k
の最小元をx k
として,各S ∈ T
に対してX k (S) = { x ∈ X k | { x k , x } ∈ S }
とおく.(a) X k (S)
が無限集合となるS ∈ T
が存在することを示せ.そこで
X k (S k )
が無限集合となるS k ∈ T
を選び,X k+1 = X k (S k )
と定める.(b) x k < x k+1
が成り立つことを示せ.最後に