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学位の分野 国際地域学

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災害脆弱性セクター分類評価に基づく復興政策及び 計画の立案支援モデルに関する基礎的研究 ―ビル ド・バック・ベター実現のために―

著者 永見 光三

学位授与大学 東洋大学

取得学位 博士

学位の分野 国際地域学

報告番号 32663甲第434号 学位授与年月日 2018‑03‑25

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00010076/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

2017年度

東洋大学審査学位論文

災害脆弱性セクター分類評価に基づく復興政策及び計画の 立案支援モデルに関する基礎的研究

―ビルド・バック・ベター実現のために―

国際地域学研究科 国際地域学専攻 博士後期課程 学籍番号 4810141002 永見光三

(3)

1 目次

目次 ... 1

表目次 ... 3

図目次 ... 6

略語集 ... 8

第一章 はじめに ... 10

1. 1 本研究における課題認識 ... 10

1. 2 復興政策及び計画の重要性 ... 11

1. 3 復興政策及び計画の立案実態 ... 12

1. 4 復興理念の国際標準化... 13

1. 5 復興政策及び計画の立案のあるべき形 ... 14

1. 6 本研究の位置付けと意義 ... 15

1. 7 本論文の構成 ... 16

第二章 災害脆弱性セクター分類評価 ... 18

2. 1 BBB の定義の変遷 ... 18

2. 2 BBB と災害脆弱性の関係 ... 19

2. 3 災害リスクと脆弱性 ... 19

2. 4 既往の災害脆弱性指数... 21

2. 5 脆弱性指数の改良及びセクター分類 ... 22

2. 6 災害脆弱性セクター分類の計算結果 ... 28

2. 7 災害脆弱性の評価基準... 33

2. 8 経済発展と災害リスク ... 34

2. 9 まとめ ... 39

第三章 復興政策及び計画の立案支援モデル ... 41

3. 1 復興政策及び計画の立案支援モデルのイメージ... 41

3. 2 被害推定 ... 41

3. 3 脆弱性セクター分類評価 ... 44

3. 4 復興方針の決定 ... 45

3. 5 復興必要額の決定方法... 45

3. 6 復興政策及び計画の立案支援モデル ... 47

第四章 三災害における立案支援モデルの検証 ... 48

4. 1 三災害の概要比較 ... 48

4. 2 過去復興事例でのモデル検証方法と留意点 ... 49

4. 3 スマトラ沖大地震及びインド洋津波(インドネシア) ... 51

4. 3. 1 被害額 ... 51

4. 3. 2 発災時点の脆弱性セクター分類評価 ... 52

4. 3. 3 復興方針 ... 53

4. 3. 4 復興必要額 ... 54

4. 3. 5 復興支出 ... 55

4. 3. 6 評価 ... 56

4. 4 東日本大震災(日本) ... 58

4. 4. 1 被害額 ... 58

4. 4. 2 発災時点の脆弱性セクター分類評価 ... 60

4. 4. 3 復興方針 ... 61

(4)

2

4. 4. 4 復興必要額 ... 62

4. 4. 5 復興支出 ... 63

4. 4. 6 評価 ... 69

4. 5 ネパール地震 ... 72

4. 5. 1 被害額 ... 72

4. 5. 2 発災時点の脆弱性セクター分類評価 ... 73

4. 5. 3 復興方針 ... 74

4. 5. 4 復興必要額 ... 75

4. 5. 5 復興支出 ... 77

4. 5. 6 評価 ... 78

4. 6 まとめ ... 80

第五章 復興プロセスの実際 ... 81

5. 1 住宅再建(ネパール地震の事例から) ... 81

5. 1. 1 ネパール地震の概要... 81

5. 1. 2 住宅に関する被害額及び復興必要額の算定方法 ... 82

5. 1. 3 実際の被害調査結果 ... 84

5. 1. 4 PDNA 算定基礎の HRHRS 結果に基づく検証 ... 88

5. 1. 5 住宅再建支援金制度(HRP) ... 92

5. 1. 6 HRP の実施状況 ... 93

5. 1. 7 住宅の被害額算定条件の三災害での比較 ... 96

5. 1. 8 まとめ ... 97

5. 2 住民移転(インドネシアの事例) ... 98

5. 2. 1 検証方法概要 ... 98

5. 2. 2 戸別訪問ヒアリング調査 ... 98

5. 2. 3 バンダ・アチェ市の復興プロセス概観 ... 100

5. 2. 4 調査対象地区の復興プロセス概観 ... 101

5. 2. 5 ヒアリング調査結果 ... 103

5. 2. 6 まとめ ... 111

5. 3 地方自治体及び復興住民組織による復興(日本の事例) ... 113

5. 3. 1 市町村復興計画 ... 114

5. 3. 2 地方自治体と住民組織の関係 ... 114

5. 3. 3 自治基本条例と復興進度 ... 115

5. 3. 4 住民組織レベルでの進度 ... 117

5. 3. 5 まとめ ... 120

第六章 結論 ... 121

6. 1 論文全体の背景 ... 121

6. 2 各章の結論 ... 121

6. 3 論文全体の結論 ... 122

6. 4 今後の課題及び可能性... 122

参考文献 ... 123

謝辞 ... 128

付録 ... 129

(5)

3 表目次

表 1:復興政策及び計画の特徴 ... 12

表 2:BBB 定義の変遷 ... 18

表 3:災害リスク算定の考え方 ... 20

表 4:主な脆弱性の国家比較手法 ... 21

表 5:WRI で採用されている指標と重み付け ... 23

表 6:脆弱性セクター分類の定義 ... 24

表 7:WRI 指標の脆弱性セクター分類 ... 24

表 8:対象国の絞り込み手順 ... 25

表 9:WRI、AWDO 及び DRI の全指標のセクター分類と本稿への取り込み ... 26

表 10:本稿で採用した指標リスト及びデータ入手状況 ... 27

表 11:本稿で採用する脆弱性指標と重み付け ... 28

表 12:脆弱性のセクター分類による算定結果の要約 ... 30

表 13:脆弱性のセクター分類(所得グループ分け)による算定結果の要約 ... 36

表 14:本稿脆弱性評価手法に関する特長及び制約 ... 40

表 15:PDNA と ECLAC 手法の相違点 ... 42

表 16:PDNA ガイドラインによる被害推計のセクター基本分類 ... 43

表 17:ネパール地震 PDNA のセクターごとのドナー参加状況 ... 43

表 18:2004 年時点のインドネシアの脆弱性指数 ... 44

表 19:PDNA の復興必要額の算定方法 ... 46

表 20:PDNA 及び脆弱性セクター分類の相違点(●は該当する分類) ... 46

表 21:脆弱性セクター分類評価に基づく復興必要額の目安 ... 47

表 22:復興政策及び計画の立案支援モデル ... 47

表 23:三災害の概要比較 ... 48

表 24:三災害における被害額推定及び復興必要額の算定方法 ... 49

表 25:本稿における復興政策及び復興支出の検証手法 ... 50

表 26:インドネシアにおけるインド洋津波の被害額(Billion Rupiah) ... 51

表 27:2004 年時点のインドネシアの脆弱性指数(再掲) ... 53

表 28:スマトラ沖大地震及びインド洋津波の復興基本方針 ... 54

表 29:PDNA に基づきセクター分類した被害額及び復興必要額(百万ドル) ... 54

表 30:住宅算定条件の比較 ... 54

表 31 インド洋津波(インドネシア)の被害額、復興必要額及び復興支出(PDNA ガイドラ インによる分類) ... 55

表 32:本稿脆弱性セクター分類による被害額、復興支出等(百万ドル) ... 56

表 33:インド洋津波(インドネシア)における復興政策及び復興支出の評価結果 ... 57

表 34:内閣府の被害額推計(億円) ... 58

表 35:日本政策投資銀行による東日本大震災資本ストック被害額推計(億円) ... 59

表 36:PDNA ガイドラインに基づき分類した内閣府の被害額推計(百万ドル) ... 59

表 37:2010 年時点の日本の脆弱性指数 ... 61

(6)

4

表 38:東日本大震災の復興基本方針 ... 62

表 39:東日本大震災の復興支出内訳(億円) ... 64

表 40:(A)復興施策にかかる復興支出の内訳(億円) ... 67

表 41:(B)復興交付金事業の事業別交付額等(2015 年度末現在) ... 68

表 42:PDNA セクター分類に基づく被害額及び復興支出(百万ドル) ... 69

表 43:本稿の脆弱性セクター分類に基づき分類した被害額及び復興支出(百万ドル) 69 表 44:東日本大震災(日本)における復興政策及び復興支出の評価結果 ... 71

表 45:ネパール地震の被害額(NPR million) ... 72

表 46:2015 年時点のネパールの脆弱性指数... 74

表 47:ネパール地震の復興基本方針 ... 75

表 48:被害額推計及び復興必要額(NPR Million) ... 76

表 49:PDNA セクター分類による被害額及び復興必要額(百万ドル) ... 76

表 50:ICNR での各国のコミットメント(ドル) ... 77

表 51:PDNA セクター分類した被害額、復興必要額及び復興支出額(百万ドル) ... 78

表 52:本稿脆弱性セクター分類した被害額、マスタープラン額及び復興支出(百万ドル) ... 78

表 53:ネパール地震(ネパール)における復興政策及び復興支出の評価結果 ... 79

表 54:三災害の復興政策及び復興支出の評価結果 ... 80

表 55:PDNA による住宅被害額 ... 82

表 56:再取得額及び修復額の算定基礎 ... 83

表 57:PDNA による住宅セクターの復興必要額 ... 83

表 58:HRHRS の概要 ... 84

表 59:HRHRS の実施フェーズごとの概要 ... 84

表 60:HRHRS の被害判定基準 ... 85

表 61:最終的な HRHRS 被害判定結果の決定方法 ... 85

表 62:郡ごとの被害判定結果 ... 86

表 63:住宅種別による被害判定結果(全 31 郡) ... 87

表 64:住宅種別による被害判定結果(甚大被災 11 郡(カトマンズ盆地を除く)) ... 88

表 65:住宅種別ごとの平均住宅面積(被害度ごと) ... 88

表 66:PDNA 及び HRHRS による被災世帯数の相違 ... 89

表 67:HRHRS 結果に基づく被害額算定基礎の試算結果 ... 90

表 68:HRHRS 結果による算定基礎を用いた被害額の計算結果 ... 90

表 69:PDNA 復興必要額の単位取り壊し費用及び世帯数の HRHRS 結果による見直し 結果 ... 91

表 70:PDNA 住宅復興必要額と HRHRS 結果に基づく額の対比 ... 91

表 71:PDNA 及び HRHRS に基づく被害額及び復興必要額の対比 ... 92

表 72:住宅再建支援金制度(HRP)の概要 ... 93

表 73:HRP による支援金配布の仕組み ... 93

表 74:2017 年 9 月 14 日時点での資格者、契約者、受給者等の内訳 ... 95

表 75:住宅再建支援金の推定支出済額(2017 年 9 月 14 日時点) ... 95

(7)

5

表 76:住宅に関する復興支出の被害額及び復興必要額との対比(百万ドル) ... 95

表 77:住宅被害額算定条件の三災害比較 ... 97

表 78:ヒアリング調査対象地区の概要... 99

表 79:調査項目(本稿に関係するもののみ) ... 100

表 80:選択式回答項目 ... 100

表 81:ヒアリング調査回答住民の来歴(全体) ... 103

表 82:ヒアリング調査回答住民の来歴(沿岸部) ... 104

表 83:移転団地の住居入手方法 ... 104

表 84:移転団地の入居時期 ... 104

表 85:ヒアリング調査回答住民の年齢... 105

表 86:ヒアリング調査回答住民の性別... 105

表 87:ヒアリング調査回答住民の学歴... 106

表 88:ヒアリング調査回答住民の収入... 106

表 89:ヒアリング調査回答住民の職業... 107

表 90:居住満足度に関するヒアリング結果 ... 107

表 91:年齢による定住意思 ... 108

表 92:職業と年齢の関係 ... 109

表 93:学歴による定住意思 ... 109

表 94:収入による定住意思 ... 109

表 95:職業による定住意思 ... 110

表 96:職業による定住意思(移転団地のみ) ... 111

表 97:定住意思の影響要因 ... 112

表 98:物理的な災害脆弱性の低減策 ... 112

表 99:三か国における地方分権化の流れ ... 113

表 100:復興基本方針と地方自治体の復興計画の関係 ... 114

表 101:住民組織の役割の変化 ... 115

表 102:自治基本条例を制定していない自治体の復興交付金事業の進捗(*は沿岸) 116 表 103:自治基本条例を制定している自治体の復興交付金事業の進捗(*は沿岸) .. 117

表 104:自治基本条例の制定有無による復興交付金執行率の差異の統計的検定結果 ... 117

表 105:調査地区ごとの復興協議体の設立時期 ... 119

付録表 1:本稿で採用する脆弱性指標のデータソースと計算方法 ... 129

付録表 2:インド洋津波(インドネシア)の被害額推計の脆弱性及び PDNA 各セクター分類の考え方 .. 134

付録表 3:インド洋津波(インドネシア)の復興支出の脆弱性及び PDNA 各セクター分類の考え方 ... 134

付録表 4:東日本大震災における被害額推計の脆弱性及び PDNA 各セクター分類の考え方 ... 135

付録表 5:(A)東日本大震災における復興施策の脆弱性及び PDNA 各セクター分類の考え方 ... 136

付録表 6:(B)復興交付金事業の事業別交付額の脆弱性及び PDNA 各セクター分類の考え方 ... 137

付録表 7:ネパール地震における被害額推計の脆弱性及び PDNA 各セクター分類の考え方 ... 138

付録表 8:ネパール地震における復興支出の脆弱性及び PDNA 各セクター分類の考え方 ... 139

(8)

6 図目次

図 1:本論文で扱う三災害 ... 10

図 2:東日本大震災とネパール地震の復興必要額決定フローの違い ... 13

図 3:PDNA による復興必要額の決定方法 ... 13

図 4:復興政策及び計画の立案支援モデルのイメージ ... 15

図 5:研究の位置付けと意義 ... 16

図 6:本論文の構成 ... 17

図 7:脆弱性指数(本稿ケース1数値)と WRI の比較 ... 29

図 8:脆弱性指数(本稿ケース 2 数値)と WRI の比較 ... 30

図 9:各脆弱性指数と所得水準の散布図 ... 31

図 10:各脆弱性指数の分布 ... 32

図 11:国ごとの脆弱性指数 ... 33

図 12:国ごとの脆弱性指数(期待値との差分) ... 33

図 13:所得グループごとの脆弱性総合指数 ... 35

図 14:所得グループごとの WRI 指数 ... 35

図 15:所得グループごとの物理的脆弱性 ... 37

図 16:所得グループごとの経済的脆弱性 ... 37

図 17:所得グループごとの社会的脆弱性 ... 38

図 18:所得グループごとの制度的脆弱性 ... 38

図 19:所得グループごとの環境的脆弱性 ... 39

図 20:復興政策及び計画の立案支援モデルのイメージ(再掲) ... 41

図 21:インドネシアの津波発生年の脆弱性指数 ... 44

図 22:インド洋津波(インドネシア)の被害額(PDNA ガイドラインによる分類) ... 52

図 23:インドネシアの津波発生年の脆弱性指数(再掲) ... 53

図 24:インド洋津波(インドネシア)の被害額、復興必要額及び復興支出(PDNA ガイドラ インによる分類) ... 55

図 25:インド洋津波(インドネシア)の脆弱性、被害額、復興必要額及び復興支出の関係 ... 56

図 26:東日本大震災被害額の PDNA セクター内訳 ... 60

図 27:日本の発災直前年の脆弱性 ... 61

図 28:東日本大震災の復興支出内訳 ... 64

図 29:東日本大震災の復興予算(累計)の推移 ... 65

図 30:東日本大震災の各年度予算の内訳(金額) ... 66

図 31:東日本大震災の各年度予算の内訳(割合) ... 66

図 32:PDNA セクター分類による東日本大震災の被害額及び復興支出額 ... 70

図 33:東日本大震災(日本)の脆弱性、被害額及び復興支出の関係 ... 70

図 34:ネパール地震の被害額 ... 72

図 35;ネパールの発災直前年の脆弱性 ... 73

図 36:被害額、復興必要額及び復興支出の対比(PDNA セクター分類) ... 77

(9)

7

図 37:ネパール地震(ネパール)の脆弱性、被害額、復興必要額及び復興支出の関係

... 79

図 38:甚大被災郡及び部分被災郡 ... 81

図 39:郡ごとの被害判定結果の分布 ... 87

図 40:住宅種別ごとの被害判定結果の分布 ... 88

図 41:住宅再建支援金の支給世帯数の推移 ... 94

図 42:2005 年パキスタン地震と 2015 年ネパール地震の比較 ... 96

図 43:調査対象地区の位置関係 ... 99

図 44:バンダ・アチェ市の人口変化 ... 101

図 45:アルデアトゥンゴ村落の住宅 ... 102

図 46:アルデアトゥンゴ村落のコミュニティ・ビル ... 102

図 47:ムラクサ郡 4 村落の人口変化(津波発生の 2004 年を 100 としたとき) ... 102

図 48:ムラクサ郡 4 村落の人口 ... 102

図 49:パンテリエック地区(2011 年 9 月筆者撮影) ... 103

図 50:ヌフン地区(2011 年 9 月筆者撮影) ... 103

図 51:JICA 震災復興における支援アプローチ調査対象地域 ... 118

図 52:被災地区における住民協議体の設立時期(ヒアリング調査時点 2013 年 11 月から 2015 年 1 月) ... 120

(10)

8 略語集

略語 正式名称(英語) 正式名称(日本語)

ADB Asian Development Bank アジア開発銀行

AWDO Asian Water Development Outlook アジア水開発

BAPPENAS National Development Planning Agency

(Badan Perencanaan Pembangunan Nasional(イン ドネシア語))

国家開発計画庁

BBB Build Back Better より良い復興

BPS Statistics Indonesia

(Badan Pusat Statistik (インドネシア語))

インドネシア中央統計庁 BRR Agency for the Rehabilitation and Reconstruction

of Aceh and Nias

(Badan Rehabilitasi dan Rekonstruksi (インドネシ ア語))

アチェ・ニアス復旧復興庁

CAPI Computer Assisted Personal Interview コンピュータ補助による個人イ

ンタビュー方式

CBOs Community Based Organizations コミュニティ組織

CBS Central Bureau of Statistics 中央統計局

DaLA Damage and Loss Assessment 被害額推計

DDRC District Disaster Relief Committee 郡災害救助委員会

DRI Disaster Risk Index 災害リスク指数

ECLAC Economic Commission for Latin America and the Caribbean

国連ラテンアメリカ・カリブ経済 委員会

EM-DAT Emergency Disasters Database 緊急災害データベース

EU European Union 欧州連合

GESI Gender Equity and Social Inclusion ジェンダー・社会的包摂

GDP Gross Domestic Product 国内総生産

GFDRR Global Facility For Disaster reduction and recovery

世界銀行防災グローバルファ シリティ

GNI Gross National Income 国民総所得

HDI Human Development Index 人間開発指数

HRHRS Household Registration for Housing

Reconstruction Survey 住宅再建登録調査

HRNA Human Recovery Needs Assessment 人間復興ニーズ評価手法

HRP Housing Reconstruction Program 住宅再建支援制度

ICNR International Conference on Nepal's Reconstruction

ネパール復興国際会議

ILO International Labor Organization 国際労働機関

JICA Japan International Cooperation Agency (独)国際協力機構

MIS Management Information System 管理情報システム

MoFALD Ministry of Federal Affairs and Local Development

連邦・地方開発省

MOHA Ministry of Home Affairs 内務省

MOUD Ministry of Urban Development 都市開発省

NGO Non-governmental Organization 非政府組織

NPC NPC National Planning Commission 国家計画委員会

NPR Nepalese Rupee ネパール・ルピー

(11)

9

略語 正式名称(英語) 正式名称(日本語)

NRA NRA National Reconstruction Authority 復興庁

NSET National Society for Earthquake Technology エヌセット(1993年に設立され たネパールのNGOで地震リス ク対策技術に関する活動を行 っている)

PDaLA Preliminary Damage and Loss Assessment 予備的被害額推計

PDCA Plan Do Check Action 計画、実行、評価、改善

PDNA Post Disaster Needs Assessment 災害後ニーズアセスメント

PDRF Post Disaster Recovery Framework 災害後復興枠組み

PPP Purchasing Power Parity 購買力平価

RAND Recovery Aceh Nias Database アチェ・ニアス復興データベー

RC Reinforced Concrete 鉄筋コンクリート

Rp Rupiah インドネシア・ルピア

SFDRR Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 仙台防災枠組 UN-HABITAT United Nations Human Settlements Programme 国連人間居住計画 UNWOMEN United Nations Entity for Gender Equality and

the

Empowerment of Women

ジェンダー平等と女性のエンパ ワーメントのための国連機関

UNDG United Nations Development Group 国連開発グループ

UNDP United Nations Development Programme 国連開発計画

UNEP United Nations Environment Program 国連環境計画

UNESCO United Nations Educational, Scientific and Cultural

Organization

国連教育科学文化機関

UNICEF United Nations Children's Fund 国連児童基金

UNISDR United Nations Office for Disaster Risk Reduction 国際連合国際防災戦略事務局 UNU-EHS Institute for Environment and Human Security,

University of United Nations 国連大学環境・人間の安全保

障研究所 USAID United States Agency for International

Development 米国国際開発庁

USD US Dollar 米ドル

VDC Village Development Committee 村落開発委員会

WASH Water, Sanitation and Hygiene 水衛生環境

WB World Bank 世界銀行

WCDRR World Conference on Disaster Risk Reduction 国連防災世界会議

WFP World Food Programme 国連世界食糧計画

WHO World Health Organization 世界保健機関

WRI World Risk Index 世界災害リスク指数

(12)

10 第一章 はじめに

本章では、研究テーマ着想経緯及び課題認識を述べたあと、復興政策及び計画の重要性、復 興政策及び計画の立案実態、復興理念の国際標準化、復興政策及び計画の立案のあるべき形、

本研究の位置付け及び意義、論文全体構成について説明する。

1. 1 本研究における課題認識

筆者は、2005年から現在まで、インドネシア、日本及びネパールの主に三つの世界的な大災害 の復興現場での援助実務に関わってきた。海外では、JICA((独)国際協力機構)インドネシア事 務所(2005 年 5 月から 2008 年 8 月)及び JICA ネパール事務所(2015 年 6 月から現在)を拠点と して援助事業を実施管理する立場として、国内では、JICA 東北支部(2011 年 4 月から 2015 年 11 月)を拠点として、東日本大震災復興過程における教訓や知見を蓄積し開発途上国に共有する ため復興過程の参与観察を発災直後から 3 年以上にわたり行った。

図 1:本論文で扱う三災害

(http://www.freemap.jp/item/asia/kouiki2.html をもとに筆者作成)

立場の違いはあるものの、これら現場での経験を通じ様々な気付きや困難に直面し、実務レベ ルでどのようにアプローチすれば“より良い復興”が達成できるのか、ヒントや留意点をまさに手探り で自分なりに見出そうとしてきたつもりである。しかし、復興は各現場で条件や環境が異なり、横並 びでの比較や模倣が非常に難しいことも感じてきた。ひとつの復興現場での経験が、次の別の場 所での復興に生かすことには簡単につながらない。

また、第五章に記載したとおり筆者の実務経験を通じた実感として、実際の復興プロセスは、物

(13)

11

理的な防御力強化、社会的なソーシャル・キャピタル再興やコミュニティ関係維持、経済的な生計 向上といった単一的な視点に拘泥や偏重して展開すべきものではなく、これらが複雑に絡み合っ た総合的な視点での取り組みが求められることも実感した。しかし、それら取り組みをどのようなバ ランスでリソース配分すべきかについての考え方や視点も不足している。このため復興について展 開される多様な議論が、それを議論する主体の関心や専門分野によって、議論の幅が意識的ま たは無意識的に物理的、社会的、経済的などの個別テーマに狭められ、それらを統合的や並列 的に議論されることが極めて少なく、結局はそれぞれの視点でそれぞれが必要な視点を主張しあ うという状況に遭遇することが多いことにも疑問を感じてきた。

そもそも復興を評価することが可能なのかについては、先行研究やこれまでの議論では復興の 評価は困難と言われており、その理由としては、まず災害被災国や地域ごとに多様な条件や環境 が存在しており、復興をどのように評価すべきかの評価基準を、災害を超えて普遍化・共通化する ことが難しい点が挙げられる。例えば、(公財)ひょうご震災記念 21 世紀研究機構(2015)1では、関 東大震災、阪神・淡路大震災及び東日本大震災を中心に、①政権運営、②リーダーシップ、③政 府間関係、④行政の役割及び⑤行政と市民の関係という五つの政治 学的な分析視角を設定し て総体的な三大震災の把握を行っている。また、(公財)ひょうご震災記念 21 世紀研究機構(2017)

2では、「復興 5 年間で行われた取組の実績を取りまとめるとともに、その評価を行う」ことを目的とし た調査結果が報告されている。そこでは「被害が甚大かつ広大でその様相が多様」、「行政による 復興事業のほか、地域活動、各被災地が抱える背景事情の相違(例えば、人口減少など震災前 か ら抱えていた課題)などを体系的、網羅的に考察することは困難」、「被災者支援、公共インフラ の復旧と 住宅再建の支援、産業・なりわいの再生など復興事業の効果を現時点で把握することに は無理がある」ことから、「ある程度まで分析視点を共有しつつも、復興状況の認識と評価は各執 筆者の識見 に依拠した議論にならざるを得ない」と結論付けている。つまり、我が国で発生した過 去の大災害を踏まえた議論の中でも、復興成果に関する共通の評価軸を設けることはいまだにで きていない。このように、復興の評価を上流(インプット)及び下流(アウトプット~アウトカム)といっ た各段階で評価しようとする試みはされているものの、まだ共通化された評価軸が確立されていな いのが実態である。

つまり、個別の特殊条件や環境などが言い訳にもなり、当時の政権・体制や為政者の正当化に しかなっていないケースも多いように感じる。次の災害に教訓を生かすということはよく唱えられて はいるものの、それが汎用性の高い形で標準化や基準として活用されるようにはまだなっていない。

そういう意味では、学問分野としての成熟も難航していると感じられるところである。

このような課題認識のもと、本研究では「どのようにすればより良い復興を達成できるのか」の観 点で、将来的に有効な復興政策及び計画の立案手法の確立に資するべく、その基礎的な研究 結果を提示するものである。

1. 2 復興政策及び計画の重要性

筆者は、三災害の復興現場で、復興当事者である被災住民や自治体職員が、個々の復興事 業に日々邁進し埋没するしかなくなっており、そもそも「この災害復興全体は、あるべき方向に進 んでいるのか」について実感することができず、漠然とした不安に陥る状態を目の当たりにしてきた。

つまり、各復興当事者は、発災直後に政府によって設定された復興政策及び計画に沿った個別 事業の実施に没頭せざるを得なくなり、進捗率・スピードや主観的な満足度等によって復興成否

(14)

12

を論じることはできても、元の復興政策及び計画が果たして適正だったのかの観点での検証も軌 道修正もなかなかすることができないのである。

つまり、災害復興では、時間やリソースの制約が極めて高く、いわゆる健全な PDCA(Plan Do Check Action)サイクルを維持することが困難なのである。このような復興政策及び計画の特徴をま とめると表 1 のように整理される。結果として、復興政策及び計画の良否が復興成果の良否を左 右する度合いが、通常の公共事業に比べると格段に高くなる。より適切な復興政策及び計画を限 られたリソース(時間、情報データ、要員など)で立案できる手法の必要性が極めて高い。

表 1:復興政策及び計画の特徴

(筆者作成)

復興政策及び計画段 階のリソース制約

被災直後は、時間、情報データ、要員などの投入できるリソースが制約されており、精度の高い 復興政策・復興計画を立案することが極めて困難である。

計画依存度が高い 復興政策及び計画が詳細レベルの精緻化が不十分にもかかわらず、各現場では当初計画さ れた所定のインプット(予算、要員体制、期間、権限など)に基づき、いかに所定のアウトプット

(ハード及びソフト)を出すかに注力するしかなくなり、近視眼的な視野に陥りやすい。

スピードが優先される 何よりもスピードが重視される。ただ計画どおりのアウトプットを他地域や過去災害よりも早く達成 することが復興良否の尺度になりやすい。

不可逆性・柔軟性の欠 如

そもそも当初計画が妥当であったかという観点で振り返りつつ途中で軌道修正をするなど、柔 軟性を発揮できる時間的・精神的な余裕が乏しい。

1. 3 復興政策及び計画の立案実態

復興政策及び計画の立案実態はどうなっているのか次に見ていきたい。まず日本であるが、

2011 年 3 月に発生した東日本大震災では、発災後の混乱もまだ収集できない 6 月に総額 16.9 兆円という被害額推計が内閣府により発表3されたが、7 月には阪神淡路大震災時の被害額と復 旧・復興費用の比率も勘案して、2015 年度末までの 5 年間の集中復興期間分だけで総額 19 兆 円に上る復興財源フレーム4が決定されたとされている5。この復興財源フレームは、2013 年 1 月に は 25 兆円6に、2015 年 6 月には 32 兆円(ただし復興・創世期間である 2016 年度から 2020 年度 分も含む)7と増額されていった。このように東日本大震災では、当初は被害額推計結果に基づき 定められた復興支出規模は時の経過とともに大きく膨らんだ。この過程では、真に復興に必要な 事業を吟味した上で財源フレームが決定されたわけではなく、上記のとおり阪神淡路大震災の際 の被害額と復興支出の比率を参考にして決定された当初フレームに基づき各省庁や地方自治体 が事業を積み上げ、さらにそれが事業実施過程で支出されていくに伴って総額がさらに上乗せさ れていくという順番であったのである。このような状況については、「惨事便乗型資本主義による復 興」とも批判されることもあり、いわば復興バブルや焼け太り的な復興手法が、かえって被災地経 済の持続可能性を損なう危険性を指摘する声8もある。

国際的には、被害額推定や復興必要額の決定方法について 2013 年には欧州連合、世界銀 行及び国連開発グループが合同で“Post-Disaster Needs Assessments Guidelines”(以下「PDNA ガ イドライン」という)9を発表しており標準化が進んでいる。この背景として、財政力に乏しい開発途上 国は、大災害復興においては大部分の財政支出を外部支援に頼らざるを得ないことから、透明性 の高い復興必要額を迅速に公表し、可能な限り早期に外部支援の約束(プレッジ)を取り付けるこ とが、円滑な復興実現の第一歩となるからである(図 2)。

しかし、PDNA ガイドラインはあくまでも基本的な考え方を設定するにとどまり、さほど厳密かつ詳

(15)

13

細な算定ルールを設定しているものでもないことから、被災国政府や支援機関により編成されたセ クター担当チーム(17 セクター分類を標準として災害ごとに設定される)が各セクターの被害額や 復興必要額をそれぞれ算定した結果を足し合わせることになってしまい、セクターごとに後述する Build Back Better(日本語訳としては「より良い復興」。以下「BBB」)に要する費用をいかに計上す べきかについても、統一的な考え方が適用されているとはいえない(図 3)。

図 2:東日本大震災とネパール地震の復興必要額決定フローの違い

(注:イメージとして筆者が単純化したもの)

つまり、日本における実態も国際的な流れでも、復興政策及び計画の立案手法についてまだ 標準化の確立段階にまでは至っておらず、試行錯誤の段階にあるといえる。結果として、日本でも 諸外国でも、復興政策及び計画は要所やメリハリのない総花的なものになりがちである。

図 3:PDNAによる復興必要額の決定方法

(注:イメージとして筆者が単純化したもの)

1. 4 復興理念の国際標準化

復興政策及び計画のさらに上位の復興理念のレベルでの標準化の現状を見ていきたい。日本 国内では、過去、大災害のたびに復興過程のあり方について議論がなされてきた。1923年の関東 大震災直後に論じられた福田徳三の「人間の復興」10や後藤新平の「創造的復興」11がまず挙げら

(16)

14

れる。時を経て阪神淡路大震災では改めて「創造的復興」がいわば政策的なプロパガンダとして 持ち出された。ただし、これらについては政治的、抽象的なキーワードであって、具体的にどのよう なものが該当するのかの定義付けがなされているとはいえない。

国際場裏では、2015 年第三回国連防災世界会議(仙台)において、日本の主張に基づき BBB が仙台防災枠組(SFDRR)12の優先行動の一つとして標榜された。BBB については、最初にこの言 葉が国際的に使われたのは 2004 年インド洋津波後のアチェ復興と言われているが13、第三回国 連防災世界会議を経て現在に至るまで多様な定義がなされてきた。2015 年 10 月には日本の提 案により「復興過程で同じ脆弱性を再現しない」ことが追記され、2016 年 9 月からは「国家及びコミ ュニティのレジリエンスを向上させる」とされ現在に至っている。つまり、過去への復旧ではなく「災 害脆弱性の再現防止」や「レジリエンス向上」が BBB を基本原理とした復興完了時の状態として求 められており、特に国家的な大災害については、復興政策や復興支出は将来に向けて国家の脆 弱性を軽減していくものになっている必要があることになる。

つまり、世界共通の復興理念として BBB による標準化の動きが進んでいるといえるのだが、BBB もまだ抽象的な概念共通化の段階を出ておらず、復興理念である BBB と復興政策及び計画の有 機的な接続手法はまだ確立されていないといえる。このままでは、国家間での抽象的な理念の共 有にとどまってしまい、結局は災害ごとに不透明でバラバラな復興政策及び計画が展開されること になってしまう状況は改善されないであろう。

1. 5 復興政策及び計画の立案のあるべき形

ここまで見てきたように、政治的な意図から復興政策を決定することから脱却し、復興に必要な 取り組みや事業を見極めた上で、真に必要な箇所に優先的に予算投入していくというメリハリの明 確な本来あるべき復興政策及び計画の立案手法の明確化・標準化が求められている。BBBは復 興理念としての国際標準として有効ではあるが、これをさらに高い次元で標準化・普遍化していく には、BBB理念を具現化できる復興政策及び計画の立案手法を開発・普及していく必要がある。

BBBには「災害脆弱性の再現防止」や「レジリエンス向上」が求められる。大規模な国家災害後 は特に、局所的な被災地域の復興だけでなく、災害を契機として再度災害にも備える上で国家全 体の脆弱性をいかに低減させるかが問われることにもなってきている。その際、近年は国家レベル の脆弱性評価指数の整備が進んでおり、これら指標に照らして国家全体の脆弱性がどのように低 減されたかが問われることになることが予想される。

しかし、災害脆弱性は多面的な要素を有しており、一概に高い低いという把握は困難である。ま た、たとえ総合的に脆弱性が低いと判断される国であっても、何かしら弱み(脆弱性が高い側面)

をもっているはずであり、全体の更なる脆弱性低減には、ただ被害推定額から項目ごとに復興必 要額を算定するのでなく、その国の弱みに適切に対処していくことがBBBには不可欠である。つま り、BBBには「災害脆弱性における強み・弱みを見極めた上でバランスよくメリハリをつけて復興投 資すること」が必要となるのである。

災害脆弱性における強み・弱みを評価するため、本論文では災害脆弱性指数を大きく5分野(

物理的、社会的、経済的、制度的及び環境的)にセクター分類Iして評価することとした。その評価 結果に基づき、特により弱点となっている(災害脆弱性が高い)セクターへの有効な復興方針を提

Iもとは 20 以上の複数指標を用いて総合指数として算定されたものをセクター別に分類して計算しなおすこととしたことから“セクター分類”としている。

(17)

15

示し、優先的に復興必要額を配分することを、新たな復興政策及び計画の立案支援モデルとして 提示した(図 4)。つまり、「復興政策及び計画の立案支援のための災害脆弱性セクター分類評価 の活用」によって、復興理念として普及しつつあるBBBと復興政策及び計画の連携性を高めること が可能になるのである。

図 4:復興政策及び計画の立案支援モデルのイメージ

(筆者作成)

1. 6 本研究の位置付けと意義

さきに、本論文は、「将来的に有効な復興政策及び計画の立案手法の確立に資するべくその 初歩的な論考結果を提示する」ものとした。さらに、復興政策及び計画の立案には、スピードが求 められる。特に大災害直後は、国内政治的な関心が一気に高まるだけでなく、国際的にも人道主 義的な海外からの支援の申し出が殺到することになる。被災当事国政府は、かかる国内外からの プレッシャーの中で、迅速に透明性及び納得性の高い復興政策及び計画を提示しなくてはなら ない。しかし、そのために必要な時間や要員体制や情報は極めて限られており、透明性及び納得 性を損なうことなく、予め国際的にも認知された形で簡便化された立案手法(国際標準算定式)が 確立されれば、今後の災害復興過程が飛躍的に迅速化される可能性がある。かかる認識に立っ て、本研究の長期的な目的は「限られたリソース(時間、情報データ、要員など)でも適切な復興政 策及び計画を立案できる手法」を確立することである。

そのためには、BBB とリンクさせた形で、被害推定、復興方針策定及び復興必要額決定の三つ を、有機的に連動させながらスピーディに展開していく必要があり、その考え方として“災害脆弱性 セクター分類評価“が有効に機能すると考えられる。今後は、図 5 のとおり、BBB 理念の深化・普 遍化、PDNA の詳細標準化、災害脆弱性指数(WRI: World Risk Index)の精緻化などの個別テーマ での進化を進めながら、それらを横断的にリンクし統合していくことが望まれる。その橋渡し役とし て、本研究で提示する「災害脆弱性セクター分類評価」は有効な考え方になるはずである。

(18)

16

なお、復興政策及び計画の立案は、基本的に発災直後から行われるものであるが、日本では

“復興準備計画”の策定が推進されてきている。内閣府(2007)14によれば、「予め大規模な災害が 予想されている地域において、想定被害も対応する復興対策の基本方針や体制・手順・手法など を事前にまとめておくこと」と定義されている。たとえば南海トラフ巨大地震では最大約 214 兆円15、 首都直下地震では約 95 兆円16という被害想定もされているが、これら巨大災害はじめ、将来災害 による被害を想定することに加え、さらに復興準備政策及び計画の立案手法が、本研究の成果も 取り込みつつさらに発展し確立されていくことを期待するものである。

図 5:研究の位置付けと意義

(筆者作成)

1. 7 本論文の構成

第二章では、BBB の定義から災害脆弱性との関係を整理し、災害脆弱性を定量化することによ って BBB 成立要件の目安とすることができる可能性に着眼する。さらに、近年定量的な評価が進 みつつある国家レベルの災害脆弱性指数に着目し、より可用性の高い指数への改良を行った上 で脆弱性セクター分類評価の結果を確認する。さらに、災害脆弱性に関する強みと弱みを判定す る方法を整理する。

第三章では、災害脆弱性セクター分類評価を用いて、復興政策及び計画の立案支援モデル を構築した。復興政策及び計画の立案フローの中でどのように災害脆弱性セクター分類評価を活 用するか手順を構築する。

第四章では、インド洋津波(インドネシア)、東日本大震災(日本)及びネパール地震の三災害 の過去事例について、復興政策及び計画の立案支援モデルの考え方に基づいて評価を行う。当 該評価を通じて立案支援モデルの実用性・有用性を確認する。

第五章では、上記着想に至る以前に三災害で直面した復興プロセスの実際について紹介して いる。ここでは、個別災害の復興過程においてどのような現象や課題が生じ、それらがどのような 示唆や教訓を与えるのかを記述した。ここでの内容は、災害や復興プロセスは多様であり、過去の

(19)

17

教訓の普遍化や標準化が容易でないことを痛感させるきっかけとなった。時系列的には、筆者の 原体験を記したものであるが、論文構成上は後半にまとめて掲載することとしたものである。

最後に第六章で結論をまとめることとした。

図 6:本論文の構成

(筆者作成)

(20)

18 第二章 災害脆弱性セクター分類評価

本章では、復興理念として国際的な普及が進んでいる BBB について、その用語定義から実現 要件としての災害脆弱性との関係を整理し、災害脆弱性を定量化することによって BBB 成立要件 の目安とすることができる可能性に着眼する。次に、より可用性の高い指数への改良を行った上 で復興による投入と脆弱性を関連付ける方法として“災害脆弱性セクター分類評価”を検討し、さ らに評価基準として所得水準との高い相関関係に着目する。

2. 1 BBB の定義の変遷

表 2:BBB定義の変遷

(表中参考文献をもとに筆者作成)

発表 時期

出展 記載内容 BBBの定義和訳(下線部分はそれ以前の内容

からの変更箇所)

2004年3

UNISDR

(2004)17 記載なし

2009年5

UNISDR

(2009)18 Recovery の定義の中にコメントとして「valuable opportunity to develop and implement disaster risk reduction measures and to apply the “build back better” principle」の記載あり。

2015年3

UNISDR (2015a)12

優先行動4の中に「Disasters have demonstrated that the recovery, rehabilitation and reconstruction phase, which needs to be prepared ahead of a disaster, is a critical opportunity to “Build Back Better”, including through integrating disaster risk reduction into development measures, making nations and communities resilient to disasters」の記 載がされる。

「防災を開発に統合することを含み、国やコミ ュニティを災害にレジリエントにする」とされる。

2015年8

UNISDR (2015b)19

The guiding principle to utilize the reconstruction process to improve living and environmental conditions including through integrating disaster risk reduction into development measures, making nations and communities more resilient to disasters.

「基本原理として復興過程を生活や環境条件 を改善する機会とする。防災を開発手段に統 合し、国やコミュニティを災害によりレジリエント にする」

2015 10

UNISDR

(2015c)20 The guiding principle to use a disaster as a trigger or chance to rebuild resilient society, do not reborn the same vulnerability again through the reconstruction process, integrating disaster risk reduction into development measures, making nations and communities more resilient to disasters, including to improve living, environmental and livelihood conditions. – (Japan)

日本の提案により「基本原理として災害をきっ かけとしてレジリエントな社会を再構築し、復 興過程で同じ脆弱性を再現せず、防災を開 発手段に統合し、国やコミュニティを災害によ りレジリエントにし、生活、環境及び生計条件 を改善する」とされた。

2016年3

UNISDR

(2016a)21 同上 同上

2016年6

UNISDR

(2016b)22 The guiding principle to utilize the recovery process to improve living and environmental conditions and social systems, by reducing existing risk, preventing the creation of new risk and building resilience.

「基本原理として復興過程を、既存リスクを減 少させ、新しいリスクの創出を防ぎレジリエンス を構築することによって、生活、環境条件や社 会システムを改善する機会とする。防災を開 発手段に統合し、国やコミュニティを災害によ りレジリエントにする」

2016年9

UNISDR (2016c)23

The use of the recovery, rehabilitation and reconstruction phases after a disaster to increase the resilience of nations and communities through integrating disaster risk reduction measures into the restoration of physical infrastructure and societal systems, and into the revitalization of livelihoods, economies and the environment.

「災害後の復興、復旧及び再建時期を機会と して、防災を物理的インフラ及び社会システム 再生に統合することによって国家及びコミュニ ティのレジリエンスを向上させ、生計、経済及 び環境の再活性化につなげる」

2016 11

UNISDR

(2016d)24 同上 同上

2017年2

UNISDR

(2017a)25 同上 同上

BBBの定義の変遷について、2015年第三回国連防災世界会議を中心に詳しく見てみると、表2 のとおり仙台防災枠組の中で「防災を開発に統合することを含み国やコミュニティを災害にレジリ

(21)

19

エントにする」という定義が最初に記載され、その後現在までいくつかの定義文が提示されてきた。

2015年10月には日本の提案により特に「復興過程で同じ脆弱性を再現しない」ことが追記され、

再度災害による同様の被害を防止することを前提とした構造物対策等の防災措置が復興過程で 取られることの重要性が主張された。その後2016年6月には「既存リスクを減少させ、新しいリスクの 創出を防ぎレジリエンスを構築する」という定義が提案され、2016年9月からは「国家及びコミュニテ ィのレジリエンスを向上させる」とされ現在に至っている。

2. 2 BBB と災害脆弱性の関係

上述のとおり定義としての表現ぶりの変遷は経つつも、「災害脆弱性の再現防止」や「レジリエン ス向上」が BBB を基本原理とした復興完了時の状態として求められており、特に国家的な大災害 については、復興政策や復興支出は将来に向けて国家の脆弱性を軽減していくものになってい る必要がある。UNISDR(2017b)26は、災害脆弱性について「物理的、社会的、経済的及び環境の要 因及びプロセスにより決定される条件で、個人、コミュニティ、資産またはシステムのハザードに対 する感受性を増加させるもの」と定義している。

他方、レジリエンスという言葉の意味について、言語的な訳としては「回復力、復元力、弾力性」

などが当てられているが、内閣府(2013)27は“国土強靭化の推進“の中で「災害をもたらす外力か らの「防護」にとどまらず,国や地域の経済社会に関わる分野を幅広く対象にして,経済社会のシ ステム全体の「抵抗力」,「回復力」を確保することを目的とし」、日本学術会議(2014)28は「現在は

「あらゆる物事が望ましくない状況から脱し、安定的な状態を取り戻す力」を表わす言葉として広く 用いられている」、今村(2014)29は「ここ数年,レジリエンスは日本語の「防災力」と同義語的に使わ れるようになった」、林(2016)30は「従来の予防力に加えて、災害を乗り越える力(回復力)を加えた 総合的な力」とそれぞれしており、まだ多様かつ複合的な解釈がされている。

また、脆弱性とレジリエンスの相違点についての議論として Fiona Miller ら(2010)31は、「レジリエ ンス理論は自然科学、特に生態学から派生し、脆弱性は災害研究、政治経済、政治的生態など のより多様な議論に関係している」とされ、「レジリエンスは生態系や自然資源管理などの研究に 関係しているのに対し、脆弱性は防災、生計向上、食糧保障や気候変動適応などの政策・実務 研究に結び付けられることが多い」としつつ「類似性及び相違性の両方を有する概念」としている。

本稿では、脆弱性とレジリエンスを類似する概念(緊張や変化に対するシステムの反応に関係す る概念)として扱うこととし、これ以降は、「災害脆弱性の再現防止」が「レジリエンスの向上」とほぼ 同義であるという前提で議論を進めることとする。

つまり、BBB 達成の成否を評価する上で、「災害脆弱性の再現防止」や「レジリエンス向上」が成 し遂げられたのかが問われることになる。ということは、災害脆弱性やレジリエンスが復興前後で定 量化・数値化できれば BBB の成否も評価できることになるということと考えられる。

2. 3 災害リスクと脆弱性

災害脆弱性を包含する概念としてまず災害リスクを理解する必要がある。海上ら(2012)32は、「リ スクを扱う科学研究領域は極めて多岐にわたっており、そもそもリスクとは何であるかという問いに 対する答えは多様なものがある」としている。他方、共通する特徴として、「損害が発生するかどうか わからない」こと及び「発生が不確実である」ことも指摘し、さらに「リスクには大きく静態的リスク、動 態的リスク、基礎リスク、特殊リスクといった区分がある」としている。しかし、本稿は、自然災害リスク

(22)

20

に特化するものであり、これらのうち静態的リスクに位置付けられるものである。

災害リスク、ハザード、曝露、脆弱性の間の関係については、いくつかの考え方が提唱されてい る。多くの類似研究が引用する Wisner ら(2003)33は、「R = H × V」つまり災害リスクはハザードと脆 弱性の積であるとした。また、「災害は脆弱性とハザードの結節の結果として生じる。脆弱性が全く なければハザードが起きても災害は発生しないし、極めて脆弱な人口があってもハザードが起き なければ災害は発生しない」としている。

その後、表 3 のとおり、ハザードと脆弱性がそれぞれときにより細かく要素分解されるようになり、

特に脆弱性については、脆弱性だけでなく、曝露及び災害対策との複合的な積により導かれるも のとされるようになっている。表 3に基づけば、UNISDR(2017c)34による「ある時間にわたりシステム、

社会またはコミュニティが人命損失、負傷または資産損壊を被る可能性であり、ハザード(Hazard)、

曝露(Exposure)、脆弱性(Vulnerability)及び対応力(Capacity)に基づき確率的に決定される」とい う災害リスクの定義は、これらすべてを包括するとみなせる。なお、ハザードは、同じく UNISDR

(2017d)35によると「人命損失、負傷、健康影響、財産被害、社会経済的な崩壊または環境悪化な どをもたらしうる過程、現象または人類の活動」とされている。 つまり、人災を含む考え方となってい る。

表 3:災害リスク算定の考え方

(表中参考文献をもとに筆者作成)

出典 式 ハザード 脆弱性

Wisner, Blaikie, Cannon and Davis(2003)33

R = H × V [H]

H:ハザード

[V]

V:脆弱性 Stefan

Schneiderbauer and Daniele Ehrlich (2006)36

𝑅 = 𝐻 × 𝐸 × 𝑉 [𝐻 ] H:ハザード a:特定の地域 h:災害種別

[𝐸 × 𝑉 ] E:曝露 V:脆弱性 a:特定の地域 h:災害種別 国土交通省

(2008)37

R = × × 𝑃 [H × P]

H:外力指数(自然的外 力や場の条件:気象、水 文、地形・地質などと外力 規模)

P:被災確率

[V / C]

V:被害・影響指数。災害に対する社会的脆弱 性(浸水人口、浸水家屋、道路・鉄道・ライフラ インへの悪影響など)

C:防災力指数。国や自治体、コミュニティの防 災への取り組み(適応策)(治水施設の整備状 況、ハザードマップの整備状況、防災意識な ど)

日本学術会議

(2010)38

R = H × V かつ V = B × E / C つまり

R = H × B × E / C

[H]

H:ハザード(自然現象と しての危害要因の大きさ)

[B × E / C]

B:インフラなど社会システムの基礎的脆弱性 E:曝露(危険に曝される人口や財産)

C:ハザードに対する対応能力 日本学術会議

(2016)39

R = H × E × V / C [H]

H:ハザード(災害原因事 象)

[E × V / C]

E:曝露(被災可能な人や資産)

V:脆弱性 C:災害対策 松丸(2013)40 R = × [H]

H:災害外力

[V / C]

V:地域の脆弱性 C:対応能力

(23)

21 2. 4 既往の災害脆弱性指数

すでに述べたとおり、本研究では「災害脆弱性やレジリエンスが復興前後で定量化・数値化で きれば BBB の成否を評価できる」という考え方に基づいている。この考え方と類似の発想として Birkmann(2006)41は、「脆弱性の測定能力が災害リスクを低減するうえでは極めて重要な前提条件 になっている」としている。2005 年の第二回国連世界防災会議でも「政策決定者が社会的、経済 的及び環境的な影響を評価できるような、国または地域レベルでの災害リスク及び脆弱性に関す る計測システムを開発し、その結果をさらに政策決定者や実際にリスクにさらされている住民に周 知することが重要である」としている42。さらに 2015 年の第三回国連防災世界会議で採択された仙 台防災枠組でも四つのプライオリティの一つ目として「災害リスクの理解」を掲げ、「災害対策の政 策や実践は、脆弱性、対応能力、個人及び資産の曝露、ハザード特性、環境といったあらゆる側 面の災害リスク理解に基づかねばならない。」としている。

しかし、「脆弱性の概念は、防災、途上国開発、地球環境変動を含む様々な分野で議論されて きたが、共通理解としての定義には至っていない」ともされている43。ではあるものの、最新の国際 的な定義である UNISDR(2017b)26の「物理的、社会的、経済的及び環境の要因及びプロセスによ り決定される条件で、個人、コミュニティ、資産またはシステムのハザードに対する感受性を増加さ せるもの」を本稿では念頭に議論を進めることとする。

脆弱性の数値化については、様々な試みがなされている。国内での研究例として、阿部・藤野

(2008)44は、「国民所得によって死者数と被害額の比が変化するという脆弱性に関する構造的な 変化が観察された」としている。「死者一人あたり被害額が、一人あたり国民所得に線形に比例す る傾向が、国内及び国際比較において共通して存在している」ともしている。

表 4:主な脆弱性の国家比較手法

(表中参考文献をもとに筆者作成)

指標名称/文献名 発行最新

発表者 災害種別 脆弱性定量化方法 脆弱性インディケータ

Disaster Risk Index

“Reducing Disaster Risk, a Challenge for Development”47

2004 United Nations Development Program (UNDP)

地震 洪水 サイクロン 干ばつ

V = 𝑅 (𝐻 × 𝐸) V:脆弱性

R:1980年から2000年までの 災害ごとの年間平均死者数 H:ハザード

E:曝露

以下の合計24のインディケータを選定 経済的及び経済活動10

環境的2

人口統計(Demography)4 保健・衛生(Health and Sanitation)5 早期警報1

教育1 開発1 Key Dimension 5:

Resilience to water- related disasters

“Asian Water Development Outlook 2016”49

2016

(初版2007 年、前号 2013年)

Asian Development Bank (ADB)

洪水・強風 干ばつ 高波

V = (𝐸 + 𝑉 ) × (1 − 𝐶 𝐶 )

V:脆弱性 E:曝露

𝑉:基本的脆弱性(Basic Vulnerability)

C:対応力(ハード能力とソフト 能力の合計)

以下の合計18のインディケータを選定 曝露4

基本的脆弱性(Basic Vulnerability)6 ソフト対応力(Soft Coping Capacity)5 ハード対応力(Hard Coping Capacity)3

World Risk Index

“World Risk Report 2016”50

2016年(初 2011 年、毎年発 行)

Bündnis Entwicklung Hilft and UNU-EHS (Institute for Environment and Human Security)

地震 強風 洪水 干ばつ 海面上昇

V = 1 ⁄ 3 × 𝑆 + 1 ⁄ 3 × 𝐶 + 1 ⁄ 3 × 𝐴 V:脆弱性

S:感受性(Susceptibility)

C:対応力(Coping Capacity)

A:適応力(Adapting Capacity)

以下の合計23のインディケータを選定 感受性(Susceptibility)7

対応力(Coping Capacity)5 適応力(Adapting Capacity)11

(24)

22

国家ではなく地域レベルでの脆弱性についても多くの先行研究がある。たとえば、天国ら(2001)

45は、地震災害に対する地域の脆弱性評価法を検討しており、軟弱地盤率、可住地人口密度、老 年人口比、都市公園面積、危険等の住宅率、県財政力、病院数、消防吏員率などの数値から都 道府県別の地震災害脆弱性の評価を行っている。清家・多賀(2000)46は、住宅や人口の空間稠 密度、住民や住宅の高齢・老朽度及び都市機能集積度から全国 806 市区の地震災害脆弱性評 価を行っている。

海外での国ごとの災害リスク評価も表 4 のとおり多様な試みが行われている。DRI (Disaster Risk Index)47については、3つのうち最も早く国際的な災害リスク評価を行ったものになるが、1980 年から 2000 年までの災害統計(EM-DAT: Emergency Disasters Database48)上の死者数に着目して評価を 行ったものである。算定手法としては、当該 21 年間における災害種ごとの死者数から算出した予 想死者数を災害リスクとしてみなし、これがハザード、曝露及び脆弱性の積であることから、災害種 ごとの予想されるハザード頻度及び曝露人口から脆弱性を算定し、さらにそれが 24 指標のうちい ずれが説明変数として最も有意性が高いかを割り出したものである。

AWDO (Asian Water Development Outlook)49については、水関係災害に限定した評価であるが、

DRI のように過去のデータに基づいて国ごとの災害リスクを算定してから脆弱性を算出するのでは なく、直接的に各種指標を用いて脆弱性を評価している点に特徴がある。さらに WRI (World Risk Index)50については、AWDO よりも多様な指標を用いて直接的に脆弱性を、感受性(Susceptibility)、

対応力(Coping Capacity)及び適応力(Adapting Capacity)の三つに分類して評価している。

2. 5 脆弱性指数の改良及びセクター分類

本研究では、これら手法のうち WRI に特に着目し、BBB 実現のための復興政策及び計画の立 案支援への可用性がより高い災害脆弱性指数を算定する方法を提示することとした。

WRI の課題として、「1. 採用指標のうちには一般に入手困難なものや年次的なデータ欠損が多 いものが含まれている点」及び「2. 災害脆弱性分類が感受性、対応力及び適応力といったアウトカ ム(状態)に分類されておりインプット(投入)との関連づけが困難である点」という大きく二つの問題 がある。まず「1. 採用指標」の問題について採用指標を改良することとし、WRI に基づき他の 2 つ の評価手法からも有用と考えられる指標を挿入した。表 5 は WRI で採用されている脆弱性インデ ィケータであり、重みの列には脆弱性を算定するうえで計算上採用されている比重を記載している。

感受性(Susceptibility)には、①公共インフラ(2)、②栄養(1)、③貧困及び依存(2)、④経済力及 び収入分配(2)の合計 7 指標(左記カッコ内は指標数。以下同じ)が採用されており、それぞれに 指標数に応じて 1/7 または 2/7 の重みが配分されている。対応力(Coping Capacity)には、①政府 及び権威(2)、②医療サービス(2)、③物資カバー率(1)の合計 5 指標が採用されており、①及び② にそれぞれ 45%の、③には 10%の重みが配分されている。適応力(Adapting Capacity)には、①教 育・研究(2)、②ジェンダー平等性(2)、③環境状態・生態系保護(4)、④投資(3)の合計 11 指標が採 用されており、①から④にはそれぞれ均等に 25%ずつの重みが配分されている。表 5 では、これら 条件をもとに各指標に最終的に設定された重みをパーセント表示で記載した。

なお、付録表 1 に各脆弱性指標のデータソースと計算方法を掲載している。これらのうち EPI (Environmental Performance Index)、HDI(人間開発指数)、Corruption Perceptions Index (CPI)、Fragile State Index (FSI)などは、一次加工された複合的な指標を利用しており、これら個別指標の算定上 での欠損データの処理方法は各指標に依存しているが、基本的には欠損データの影響が出ない

参照

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