ある保型関数体の生成元と方程式
関 美智子
2001
年2
月1.
序文本修士論文は
,
保型関数体と呼ばれるSL
2( Z )
の合同部分群に対する保型関数からな る体の生成元と,
その生成元が満す方程式についての総合報告である.
本論文では,
石 井伸郎·
石田信彦 による論文[II96], [II99], [II98]
をもとに,合同部分群Γ
1(N ), Γ(N )
の保型関数体A
1(N ), A(N )
の生成元とその生成元が満たすQ
上の方程式について 考察する.A
1(N )
については石井伸郎による論文[Ish83]
で定義される関数X
r(τ )
を用いてC
上2つの元で生成されることが, [II99] で示される. 一方,A(N )
については, 生成 元が楕円曲線のj-invariant
とWeber
関数と呼ばれる関数を用いて与えられることが 古典的に知られているが, この場合その生成元の個数は多い. しかし, [II96] ではN
が素数のときに, [II98]
では一般のN
の場合にA(N )
が関数X
r(τ )
を用いてC
上2
つの関数で生成されることを示している.
さらにこれらの論文では
A
1(N ), A(N)
の生成元が満す方程式を1
つ求めることに より, Γ
1(N ), Γ(N )
に対応するmodular curve
と呼ばれる曲線のaffine model
を与え ている. しかしこの方程式は非特異ではないので非特異モデルを与えているわけでは ない. またN
が素数の場合にはこの方程式を具体的に求めるアルゴリズムが存在す るが,一般のN
についてはアルゴリズムが存在するとは言えない. だが一般のN
に ついても, 方程式は原理的には求めることができる.N
を正整数として, SL2(Z)
の部分群Γ
0(N ), Γ
1(N), Γ(N )
を次のように定義する.Γ
0(N ) =
a b c d
∈ SL
2(Z)
a b c d
≡
∗ ∗ 0 ∗
mod N
. (1)
Γ
1(N) =
a b c d
∈ SL
2(Z)
a b c d
≡
1 ∗ 0 1
mod N
. (2)
Γ(N ) =
a b c d
∈ SL
2(Z)
a b c d
≡
1 0 0 1
mod N
. (3)
これらを
SL
2(Z)
の合同部分群と言う.SL
2(Z)
の上半平面H = {τ ∈ C | Imτ > 0}
の点τ
への作用をγ(τ) = aτ + b
cτ + d
τ ∈ H , γ =
a b c d
∈ SL
2( Z )
で定める.
H
∗= H ∪ Q ∪ {∞}
とおき,とくにQ ∪ {∞}
の元をcusp
という. SL2(Z)
のH
への作用はH
∗ へ延長できる. 一般に, Γ をSL
2(Z)
もしくは合同部分群とすると,H
∗/Γ
はある代数曲線X
Γ に位相同型であり,
このときX
Γ をΓ
に対応するmodular curve
と言う. Γ = SL
2(Z)
の場合には, H
∗/Γ
は射影曲線P
1(C)
に同型である.
ここで
, Λ
τ をlattice: Zτ + Z
とすれば, C
上の任意の楕円曲線E/C
はあるτ ∈ H
に対して複素トーラスC/Λ
τ と解析的に同型である.
また, 2
つの楕円曲線C/Λ
τ, C /Λ
′τ が解析的に同型ということと, SL
2( Z )
のある元γ
で, τ
′= γ(τ )
となるものが 存在することは同値である.
このことから,
H/Γ
の点は楕円曲線の同値類の全体と同型であることがわかる. 同 様に, ΓがΓ
0(N ), Γ
1(N), Γ(N )
の場合には次が成り立つ.(1) Γ = Γ
0(N)
の場合H/Γ
の点は楕円曲線E
とE
上の点で位数N
の巡回部分群C
の組(E, C)
の同 値類と対応する.(2) Γ = Γ
1(N)
の場合H/Γ
の点は楕円曲線E
とE
上のorder N
の点T
の組(E, T )
に対応する. (3) Γ = Γ(N )
の場合H /Γ
の点は楕円曲線E
とE
上のN
等分点の基底{T
1, T
2}
で, e
N(T
1, T
2) = exp(2πi/N )
を満すものの組(E, T
1, T
2)
に対応する. ここで,e
N(T
1, T
2)
はWeil pairing
である.上半平面上の有理型関数で, Γ の作用に関して不変であって 無限遠点でも有理型で ある関数を
Γ
の保型関数と言う. Γの保型関数全体のなす体を 保型関数体(modular function field)
と言い, Γ0(N ), Γ
1(N), Γ(N )
に関する保型関数体をそれぞれA
0(N ), A
1(N ), A(N)
と表す.Λ = Zτ + Z (τ ∈ H)
をlattice
として,
楕円曲線E
Λ: y
2= 4x
3− g
2(τ)x − g
3(τ)
を取る. ただしg
2(τ ) = 60 P
06=ω∈Λ
ω
−4, g
3(τ) = 140 P
06=ω∈Λ
ω
−6 で,E
L の形の楕円 曲線はWeierstrass
の標準型と呼ばれる. また,∆(τ ) = g
2(τ)
3− 27g
3(τ)
2, j(τ ) = g
2(τ )
3∆(τ) ,
として,H
上の関数f
a= f
a1, f
a2, f
a3 をf
a(τ ) =f
a1(τ) = g
2(τ )g
3(τ)
∆(τ) ℘
a τ
1
; τ, 1
, f
a2(τ) = g
2(τ )
2∆(τ ) ℘
a τ
1
; τ, 1
2, f
a3(τ) = g
3(τ )
∆(τ) ℘
a τ
1
; τ, 1
3とおく. 但し
a ∈ Q
2\ Z
2 で℘ a
τ1; τ, 1
は後に定義
2.3
で与えられるWeierstrass
の℘-
関数である. (
これらの関数において,
各右辺にa
τ1の代わりに
z ∈ C
を代入した ものはWeber
関数と呼ばれる関数である. )
このとき, A
0(N ), A(N )
の生成元につ いて[Shi71] Propositions 2.10, 6.1
により次の定理が知られている.
定理
1.1.
A
0(N ) = C (j(τ ), j (Nτ )) . (1)
A(N ) = C j (τ), f
a(τ) | a ∈ N
−1Q
2\ Z
2.
(2)
本論文ではセクション
3
において, セクション2
で定義する関数X
r(τ)
を用いて,A(N ), A
1(N )
について次の定理が成り立つことを示す.定理
3.13
関数X
2ǫNN, X
3N はC
上A
1(N)
を生成する.定理
3.16
関数X
2ǫN, X
3 はC
上A(N )
を生成する.さらにセクション
4
で, 生成元が満たす方程式がQ
上の方程式として得られる事を 示し,N
が素数の場合の方程式の求め方のアルゴリズムを述べる.謝辞
本修士論文を書くに至るまで多忙ななか親切に御指導下さった雪江明彦先生
,
セミ ナー等でお世話いただいた高橋豊文先生、森田康夫先生に深く感謝の意を表します.また,私の疑問に耳を傾け,時には一緒になって考えてくれた結城瑞穂氏、高角洋志 氏をはじめ院生の方々に感謝いたします.
2.
関数X
r(τ )
の定義N
は6
以上の整数とする.
関数X
r(τ)
の定義をするために,
まずWeierstrass
のσ-
関数およびζ-
関数のquasi-period map η
について述べ,
レベルN
のKlein form
を定 義する. 以下Λ = Zω
1+ Zω
2 をZ-lattice
とする.定義
2.1. Weierstrass
のσ-
関数σ(z)
をσ(z) = σ(z; Λ) = z Y
06=ω∈Λ
1 − z ω
exp z
ω + 1 2
z ω
2で定義する.
このとき
,
log
1 − z ω
exp z
ω + 1 2
z ω
2= log 1 − z
ω + z
ω + 1 2
z ω
2= − 1 3
z ω
3− 1 4
z ω
4− . . .
より,
R > 0
を任意にとり|z| < R, |ω| > 2R
とすれば,|ω| − |z| > |ω|/2
となり,|ω|
が十分大きいと
log 1 −
ωzが
1
価関数となるからlog
1 − z ω
exp z
ω + 1 2
z ω
2≤ 1 3 z ω
3
+ 1 4 z ω
4
+ . . .
≤
∞
X
n=3
z ω
n
= |z|
3(|ω| − |z|)|ω|
2< 2R
3|ω|
3となる. ゆえに
|z| < R
のときX
|ω|>2R, ω∈Λ
log
1 − z ω
exp z
ω + 1 2
z ω
2は絶対一様収束する. 従って
σ-関数は C
上で正則である. またlattice Λ
上では0
と なり,C \ Λ
では 零点を持たない.定義
2.2. Weierstrass
のζ-
関数ζ (z)
をζ (z) = 1
z + X
06=ω∈Λ
1
z − ω + 1 ω + z
ω
2で定義する.
ζ(z) = (log σ(z))
′ なのでζ (z)
はC \ Λ
上で収束する.
定義
2.3. Weierstrass
の℘-
関数℘(a; Λ)
を℘(a; Λ) = 1
z
2+ X
06=ω∈Λ
1
(z − ω)
2− 1 ω
2で定義する.
ζ-関数と ℘-関数の間には次の関係が成り立つ.
d
dz log ζ(z) = −℘(z).
このことから,
℘-関数は C \ Λ
上収束する.定義より
℘-関数は lattice Λ
を周期に持つので,ω ∈ Λ
とするとζ(z + ω) − ζ (z)
はz
に依らないω
の関数となる. そこでη(ω) = ζ(z + ω) − ζ(z)
とおき
,
これをζ-
関数のquasi-period map
という.
勿論これはDedekind
のη-
関数 とは異なる.
また[Sil86] Proposition 5.2
よりquasi-period map
はΛ
の線形写像で ある.
quasi-period map
を用いて, Im(ω
1/ω
2) > 0
のとき次のσ-
関数の変換公式,
およびLegendre
の関係式が成り立つ.σ(z + aω
1+ bω
2; ω
1, ω
2)
= (−1)
ab+a+bσ(z; ω
1, ω
2) exp
(aη(ω
1) + bη(ω
2))
z + 1
2 (aω
1+ bω
2) (2.4) .
ω
1η(ω
2) − ω
2η(ω
1) = 2πi.
(2.5)
定義
2.6. η
をlattice Λ = Zω
1+ Zω
2 についてのWeierstrass
のζ-関数の quasi-period map
とする. また,η(ω
1), η(ω
2)
をそれぞれη
1, η
2 とおく.N
を1
以上の整数として,r, s
をN
を法として0
と合同でない整数とする. このときレベルN
のKlein form
を 次のように定義する.K
r,s(ω
1, ω
2) = K r
N , s N ;
ω
1ω
2= exp
− 1 2
rη
1+ sη
2N
rω
1+ sω
2N
σ
rω
1+ sω
2N ; ω
1, ω
2.
[KL75]
では定義式のexp
の中の1/2
が抜けていることに注意する.H
上の有理型関数f (τ)
が(
1 10 1)
で不変なら,f
はq
のべき級数f(τ ) =
∞
X
n=ν
a
nq
nの形に展開できる. これを
q-展開と言う.
またH
上の有理型関数f(τ )
が(
10 1N)
で不 変なら,x = exp(2πiτ/N)
としてf
はx
のべき級数f(τ ) =
∞
X
n=ν
a
nx
n の形に展開できる. これをx-展開と言う.
s
を 合同部分群Γ
のcusp
とするとσ ∈ SL
2(Z)
でσ(i∞) = s
となるものが存在 する. Γs をΓ
s= {γ ∈ Γ γ (s) = s}
とおく. このとき, ある正整数
h
でσ
−1Γ
sσ · {±1} =
±
1 mh
0 1
m ∈ Z (2.7)
となるものが存在する
.
このh
に対してz(τ) = exp(2πiτh)
とおくとz(σ
−1(τ ))
はΓ
のi∞
での解析的局所パラメータになる. つまりX = Γ\H
∗ を1
次元複素多様体と みなしたときcusp s
に対応するX
の点P
でz(σ
−1(τ ))
はP
における解析的局所環 の極大イデアルを生成する元になる.よって
f(τ )
がΓ
に関する保型関数のときf (σ(τ )) =
∞
X
n=ν
a
nexp 2πiτ
h
nと展開され
ν
はf
をX
上の有理型関数とみなしたときのf
のP
における位数であ る.なお,f
のP
における解析的位数と代数的位数は一致する.もし
Γ = Γ(N )
ならΓ(N )
はSL
2(Z)
の正規部分群なのでγ ∈ σ
−1Γ
sσ ⇐⇒ γ ∈ Γ
i∞であることはすぐわかる.したがって
σ
−1Γ
sσ · {±1} =
±
1 mN
0 1
m ∈ Z
ということが全ての
cusp
で成り立つ.だから全てのcusp
で(2.7)
のh
がN
にと れる.一般の合同部分群
Γ
に関してf
をΓ
に関する保型関数であるものとする.このと きf
をX = Γ\H
∗ 上の有理型関数とみなすとmorphism
φ : X → P
1 が定まる.するとφ
−1(∞) = X
ordP(f)<0
(−ord
P(f))P
であるが, [Har77] Proposition 6.9により
deg(φ
−1(∞)) = deg(φ
−1(0))
= X
ordP(f)<0
(−ord
P(f)) = [C(X) : C(P
1)] = [C(X) : C(f )]
であるので次がわかる.
命題
2.8. f
の極および零点における各位数の総和は等しく[ C (X) : C (f )]
である.命題
2.9. Klein form
については次の(K1)〜(K3)
が成り立つ.(K1) α = (
a bc d) ∈ SL
2(Z)
ならばK
r,sα
ω
1ω
2= K
(r,s)αω
1ω
2K
r+aN,s+bN(ω
1, ω
2) = (−1)
ab+a+bexp (−2πi(as − br)/(2N )) K
r,s(ω
1, ω
2).
(K2)
τ = ω
1/ω
2, q = exp(2πiτ ), ζ = exp(2πi/N )
とする.K
r,s(τ) = K
r,s(τ, 1)
とおくと(K3) K
r,s(τ )(2πi)
∞
Y
n=1
(1 − q
n)
2= − exp
2πis(r − N) 2N
2q
r(r−N)2N21 − ζ
sq
r/N∞
Y
n=1
1 − ζ
sq
n+r/N1 − ζ
sq
n−r/N証明
. (K1) K
r,sα
ω
1ω
2= K
r,saω
1+ bω
2cω
1+ dω
2= exp
− 1 2
rη(aω
1+ bω
2) + sη(cω
1+ dω
2) N
r(aω
1+ bω
2) + s(cω
1+ dω
2) N
× σ
r(aω
1+ bω
2) + s(cω
1+ dω
2)
N ; aω
1+ bω
2, cω
1+ dω
2.
α ∈ SL
2(Z)
よりlattice Zω
1+ Zω
2 とZω
′1+ Zω
′2( ω
1′= aω
1+ bω
2, ω
2′= cω
1+ dω
2)
は同じlattice
を与え, quasi-period mapの線型性によりK
r,sα ω
1ω
2= exp
− 1 2
(ar + cs)η(ω
1) + (br + ds)η(ω
2) N
(ar + cs)ω
1+ (br + ds)ω
2N
× σ
(ar + cs)ω
1+ (br + ds)ω
2N ; ω
1, ω
2= K
(r,s)α(ω
1, ω
2).
(K2)
K
r+aN,s+bN(ω
1, ω
2)
= exp
− 1 2
(r + aN )η
1+ (s + bN)η
2N
(r + aN )ω
1+ (s + bN)ω
2N
× σ
rω
1+ sω
2N + aω
1+ bω
2; ω
1, ω
2= exp 1
2
(r + aN )η
1+ (s + bN)η
2N
(r + aN )ω
1+ (s + bN)ω
2N
(−1)
ab+a+b× exp
(aη
1+ bη
2)
rω
1+ sω
2N + 1
2 (aω
1+ bω
2)
σ
rω
1+ sω
2N ; ω
1, ω
2= (−1)
ab+a+bexp
(aη
1+ bη
2)(rω
1+ sω
2) − (rη
1+ sη
2)(aω
1+ bω
2) 2N
K
r,s(ω
1, ω
2)
= (−1)
ab+a+bexp
(as − br)(η
1ω
2− η
2ω
1) 2N
K
r,s(ω
1, ω
2)
= (−1)
ab+a+bexp
−2πi(as − br) 2N
K
r,s(ω
1, ω
2).
ここで, 最初のステップでは
σ-関数の変換公式 (2.4)
を使い, 最後のステップでLe-
gendre
の関係式(2.5)
を使った.(K3) [Sil94] Theorem 6.4
よりu = exp(2πiz)
とおくと,σ-関数は q
に関してσ(z; τ, 1) = − 1
2πi exp 1
2 η(1)z
2− πiz
(1 − u)
∞
Y
n=1
(1 − q
nu)(1 − q
nu
−1) (1 − q
n)
2 と展開できる.
このことから明らかである.
定義
2.10. τ
を上半平面の点,r
をN
を法として0
と合同でない整数として, 関数X
r(τ )
を次のように定義する.X
r(τ) = exp
− πi(r − 1)(N − 1) 2N
N−1Y
s=0
K
r,s(τ) K
1,s(τ ) . X
r(τ )
に対しては次が成り立つ.
命題
2.11. (1)
任意の整数k
に対して,X
r+kN(τ ) = (−1)
kX
r(τ).
(2) γ = (
a bc d) ∈ SL
2(Z) (c ≡ 0 mod N )
に対して,X
r(γ(τ)) = (−1)
b(r−1)exp
2πi (r
2− 1)ab 2N
X
ra(τ ) X
a(τ ) .
(3) q = exp(2πiτ )
とすると, X
r(τ )
はΓ(2N
2)
のcusp i∞
の近傍で次のように無限 積に展開される.
X
r(τ) = q
(r−1)(r+1−N)/(2N)1 − q
r1 − q
∞
Y
n=1
(1 − q
N n−r)(1 − q
N n+r) (1 − q
N n−1)(1 − q
N n+1) . (4) X
r(τ )
は レベル2N
2 の保型関数である.(5) r
がN
を法として0
に合同でないとき,X
r(τ )
はC
では零点も極ももたない.証明
. (1)
X
r+kN(τ ) = exp
− πi(r + kN − 1)(N − 1) 2N
N−1Y
s=0
K
r+kN,s(τ ) K
1,s(τ )
= exp
− πi(r − 1)(N − 1) 2N
exp
− πikN (N − 1) 2N
×
N−1
Y
s=0
(−1)
kexp(−2πiks/(2N ))K
r,s(τ ) K
1,s(τ )
= exp
− πi(r − 1)(N − 1) 2N
exp
− πik(N − 1) 2
× exp
−πi k N
1
2 (N − 1)N
(−1)
kNN−1
Y
s=0
K
r,s(τ) K
1,s(τ )
= (−1)
−k(N−1)+kNX
r(τ )
= (−1)
kX
r(τ).
(2) γ = (
cN da b)
とおく. Klein form の性質(K2)
より,K
(r,s)γ(τ ) = (−1)
csexp
− 2πics(rb + ds) 2N
K
ra,rb+sd(τ ), K
(1,s)γ(τ ) = (−1)
csexp
− 2πics(b + ds) 2N
K
a,b+sd(τ )
であるから,X
r(τ )
の定義より,X
r(γ(τ )) = exp
− πi(r − 1)(N − 1) 2N
N−1Y
s=0
K
(r,s)γ(τ) K
(1,s)γ(τ )
= exp
− πi(r − 1)(N − 1) 2N
N−1Y
s=0
exp
− 2πibcs(r − 1) 2N
K
ra,rb+sd(τ) K
a,b+sd(τ)
= exp
− πi(r − 1)(N − 1) 2N
exp
− πibcN(r − 1)(N − 1) 2N
N−1Y
s=0
K
ra,rb+sd(τ) K
a,b+sd(τ)
= exp
− πi(r − 1)(N − 1)(1 + bcN) 2N
N−1Y
s=0
K
ra,rb+sd(τ ) K
a,b+sd(τ )
= exp
− πi(r − 1)(N − 1)ad 2N
N−1Y
s=0
K
ra,rb+sd(τ) K
a,b+sd(τ) .
ad − bcN = 1
よりd
とN
は互いに素である. よってs
が0
からN − 1
まで動くと き,rb + sd, b + sd
はそれぞれN
を法として0
からN − 1
まで動くのでN−1
Y
s=0
K
ra,rb+sd(τ)
K
a,b+sd(τ) = K
ra,0+a0N(τ)K
ra,1+a1N(τ) · · · K
ra,(N−1)+aN−1N(τ ) K
a,0+b0N(τ)K
a,1+b1N(τ ) · · · K
a,(N−1)+bN−1N(τ)
となる
.
ただし各a
j, b
j(j = 0 . . . N − 1)
は整数である.
再びKlein form
の性質(K2)
により,K
ra,j+ajN(τ ) = (−1)
ajexp
−2πi −raa
j2N
K
ra,j(τ)
= (−1)
ajexp
πiraa
jN
K
ra,j(τ)
となるので,
N−1
Y
j=0
K
ra,j+ajN(τ ) =
N−1
Y
j=0
(−1)
ajexp
πiraa
jN
K
ra,j(τ )
= (−1)
PN−1
j=0 aj
exp πira N
N−1
X
j=0
a
j!
N−1Y
j=0
K
ra,j(τ)
同様に,
N−1
Y
j=0
K
a,j+bjN(τ ) = (−1)
PN−1
j=0 bj
exp πia N
N−1
X
j=0
b
j!
N−1Y
j=0
K
a,j(τ )
となる. ここでa
j, b
j の決め方から,P
N−1s=0
(rb + sd) = P
N−1j=0
(j + a
jN )
であるから,N−1
X
j=0
a
j= rb + d − 1
2 (N − 1)
となる. 同様にN−1
X
j=0
b
j= b + d − 1
2 (N − 1).
ゆえに
,
N−1
Y
j=0
K
ra,j+ajN(τ ) K
a,j+bjN(τ)
= (−1)
b(r−1)exp πia
N r
N−1
X
j=0
a
j−
N−1
X
j=0
b
j!!
N−1Y
j=0
K
ra,j(τ ) K
a,j(τ )
= (−1)
b(r−1)exp πia
N
(r
2− 1)b + d − 1
2 (N − 1)(r − 1)
N−1Y
j=1
K
ra,j(τ ) K
a,j(τ ) . X
ra(τ )
X
a(τ) = exp
− πi(N − 1)(r − 1)a 2N
N−1Y
j=1
K
ra,j(τ) K
a,j(τ)
より,
N−1
Y
j=1
K
ra,j(τ )
K
a,j(τ ) = exp
πi(N − 1)(r − 1)a 2N
X
ra(τ) X
a(τ )
となる. したがって,N−1
Y
j=0
K
ra,j+ajN(τ) K
a,j+bjN(τ )
= (−1)
b(r−1)exp
πi(r
2− 1)ab N
exp
πia(d − 1)(N − 1)(r − 1) 2N
× exp
πia(N − 1)(r − 1) 2N
X
ra(τ) X
a(τ)
= (−1)
b(r−1)exp
πi(r
2− 1)ab N
exp
πi(N − 1)(r − 1)ad 2N
X
ra(τ)
X
a(τ) .
ゆえに,
X
r(γ (τ )) = (−1)
b(r−1)exp
πi(r
2− 1)ab N
X
ra(τ) X
a(τ) . (3) Klein form
の性質(K3)
より成り立つ.
(4) X
1(τ ) = 1
に注意すれば, 命題2.11 (2)
よりX
r(τ )
は レベル2N
2 の保型関数で あることがわかる.(5) σ((rω
1+ sω
2)/N; ω
1, ω
2)
はr, s
が共にN
を法として0
に合同でない場合はゼロ にならないので,X
r(τ)
の定義より,X
r(τ )
はC
では零点も極も持たないことがわか る.ǫ
N=
1 N
が奇数のとき2 N
が偶数のとき とおくと先の命題から次が成り立つ.命題
2.12. r
が奇数ならX
r(τ ) ∈ A(N ), r
が偶数ならX
r(τ)
ǫN∈ / A(N )
かつX
r(τ) ∈ A(N )
である.
証明
. Γ(N )
の任意の元γ
はN
を法として(
1 00 1)
に合同なので,γ =
1+aNcN 1+dNbN(a, b, c, d ∈ Z)
とおくと, 命題2.11 (2)
によりX
r(γ(τ )) = (−1)
bN(r−1)exp
2πi (r
2− 1)(1 + aN )bN 2N
X
r+arN(τ ) X
1+aN(τ )
となるが, 命題2.11(1)
により,X
1+aN(τ ) = (−1)
aX
1(τ ) = (−1)
aX
r+aN(τ ) = (−1)
raX
r(τ )
であるから,
X
r(γ(τ)) = (−1)
(a+bN)(r−1)exp πi(1 + aN )b(r
2− 1) X
r(τ )
= (−1)
(a+bN)(r−1)+(1+aN)b(r2−1)X
r(τ ).
r
が奇数なら明らかにX
r(γ(τ )) = X
r(τ)
となる.r
を偶数とする.γ の行列式が1
であることからa + d + (ad − bc)N = 0 (2.13)
である. もし
N
が奇数なら(a + bN)(r − 1) + (1 + aN )b(r
2− 1) ≡ (a + bN) + (1 + aN )b
≡ a + b + b + ab
≡ a(1 + b) mod 2.
a(1 + b)
が奇数と仮定すると, a
が奇数かつb
が偶数であるが,
このとき, (2.13)
より0 = a + d + adN − bcN ≡ 1 + d + d ≡ 1 mod 2
となり矛盾が生じる. したがって
a(1 + b)
は偶数である. ゆえに,N
が奇数ならX
r(τ ) ∈ A(N)
が成り立つ.もし
N
が偶数なら(a + bN)(r − 1) + (1 + aN )b(r
2− 1) ≡ (a + bN) + (1 + aN )b
≡ a + b mod 2.
この場合
, γ
として 1+aN−a2N 1−aNN をとると, a + b = a + 1
はa
が偶数のとき奇数とな る.
ゆえに, N
が偶数の時, X
r(τ ) ∈ / A(N)
だがX
r(τ )
2∈ A(N )
となる.
以上により, r
が偶数ならば,X
r(τ)
ǫN∈ A(N )
が成り立つ.3. A(N )
とA
1(N )
の生成元N
が5
以下の整数の場合には古典的に知られているので, N
が6
以上の整数の場 合のみ考察する. r
をN
を法として0
と合同でない整数とする. A
1(N)
の元について は次の補題が成り立つ.補題
3.1. m, n
を整数とする. このときX
2mX
3n∈ A
1(N ) ⇐⇒ 3m + 8n ≡ 0 mod ǫ
NN.
証明
. X
2ǫN, X
3∈ A(N )
でΓ
1(N)
はΓ(N )
と(
1 10 1)
で生成されるので, X
2mX
3nが(
1 10 1)
で不変であるための必要十分条件さえ調べれば良い. Klein form
の性質(K1)
によりr, s
をN
を法として0
と合同でない整数とするとき, K
r,s(τ + 1) = K
r,s+r(τ)
が成り 立つことに注意すればX
2mX
3n(τ + 1) =
N−1
Y
s=0
K
2,s(τ + 1) K
1,s(τ + 1)
!
m N−1Y
s=0
K
3,s(τ + 1) K
1,s(τ + 1)
!
n×
N−1
Y
s=0
K
2,s(τ ) K
1,s(τ )
!
−m N−1Y
s=0
K
3,s(τ) K
1,s(τ)
!
−nX
2mX
3n(τ)
=
N−1
Y
s=0
K
1,s(τ)K
2,s+2(τ) K
2,s(τ)K
1,s+1(τ)
mK
1,s(τ )K
3,s+3(τ ) K
3,s(τ )K
1,s+1(τ )
nX
2mX
3n(τ )
=
K
1,0(τ)K
1,N(τ)
K
2,N(τ)K
2,0(τ )
K
2,N+1(τ)K
2,1(τ)
m×
K
1,0(τ)K
1,N(τ )
K
3,N(τ)K
3,0(τ )
K
3,N+1(τ)K
3,1(τ )
K
3,N+2(τ)K
3,2(τ )
nX
2mX
3n(τ).
となる. ここで
(K2)
よりK
1,0(τ)
K
1,N(τ ) = − exp −πi
N
, K
2,N(τ )
K
2,0(τ) = K
2,N+1(τ)
K
2,1(τ ) = − exp 2πi
N
, K
3,N(τ )
K
3,0(τ) = K
3,N+1(τ)
K
3,1(τ ) = K
3,N+2(τ )
K
3,2(τ) = − exp 3πi
N
であるから,
X
2mX
3n(τ + 1) = exp
πi(3m + 8n + mN ) N
X
2mX
3n(τ) (3.2)
このことから
3m + 8n + mN ≡ 0 mod 2N
ならばX
2mX
3n∈ A
1(N )
である.
逆に3m + 8n + mN ≡ 0 mod 2N
であるならば,µ = (
1 10 1)
とおくと(3.2)
よりX
2mX
3n(µ(τ )) = X
2mX
3n(τ )
である. ゆえに, 3m
+ 8n + mN ≡ 0 mod 2N
ならm
はǫ
N で割り切れるので,X
2m= (X
2ǫN)
m/ǫN となる. よってX
2mX
3n∈ A
1(N )
である. したがってX
2mX
3n∈ A
1(N) ⇐⇒ 3m + 8n + mN ≡ 0 mod 2N
が成り立つ.
また
, 3m + 8n + mN ≡ 0 mod 2N
ならば, N
が奇数のとき3m + 8n ≡ −mN ≡ 0 mod ǫ
NN.
N
が偶数のときは3m
が偶数となるのでm
は偶数で,3m + 8n ≡ −mN ≡ 0 mod ǫ
NN.
逆に, 3m
+ 8n ≡ 0 mod ǫ
NN
ならば, 整数k
で3m + 8n + mǫ
NN = kǫ
NN (3.3)
となるものが存在する.
N
が奇数の場合,k
が奇数であると仮定すると, (3.3)の右辺 は奇数で左辺は偶数となって矛盾が生じる.
ゆえにk
は偶数である.
よってkǫ
NN = 3m + 8n + mǫ
NN ≡ 0 mod 2N
となる. N
が偶数の場合は, ǫ
N= 2
で3m
は偶数な のでm
は偶数で,
3m + 8n + mN = 2N k − mN = N(2k − m) ≡ 0 mod ǫ
NN.
したがって,
3m + 8n + mN ≡ 0 mod 2N ⇐⇒ 3m + 8n ≡ 0 mod ǫ
NN
である.A
1(N )
の定数でない元f
に対して,C(f )
とA
1(N )
の拡大次数をd(f)
とおくと次 の補題は明らかである.補題
3.4. A
1(N)
の元f
0, f
1, . . . f
n が定数でないならば,A
1(N )
がC
上f
0, f
1, . . . f
nで生成されることと
, d(f
0), d(f
1) . . . d(f
n)
の最大公約数が1
になることは同値である.
このことを用いて, d(f
0), d(f
1), d(f
2)
の最大公約数が1
となるようなA
1(N)
の関 数f
0, f
1, f
2 を見つける.
命題2.8
より拡大次数d(f)
はf
の極での位数の総和に一致 しているので,
まず関数X
2mX
3n∈ A
1(N )
の極での位数を調べる.
Γ(N ) ⊂ Γ
1(N )
よりX(N )
からX
1(N )
へのcanonical map
が存在する.
それをψ
と して,ψ
から導かれるA
1(N )
からA(N )
への写像をψ
∗とする. [Sil86] PROPOSITION3.6
により,A
1(N)
の元f
のdivisor (f )
のψ
∗ による像ψ
∗((f ))
はf · ψ
のdivisor
に一致している. ここで, 点
P
をX
1(N )
の点として, 点P
でのψ
の分岐指数をe
P と おくと,X(N)
はX
1(N )
の次数N
のガロワ被覆なのでdivisor (P )
のψ
∗ による像 は,{P
1. . . P
N/eP}
をP
の上にあるX(N )
の点の全体とすれば,ψ
∗((P )) = e
P
N/eP
X
j=1
P
j
となる. 点
P
でのf
の位数をord
P(f),
点P
j(j = 1 . . . N/e
P)
でのf · ψ
の位 数をord
Pj(f )
とおくと,
点P
j の選び方に依らず, ord
P(f ) = ord
Pj(f)/e
P となる. X
2mX
3n∈ A
1(N )
ならばord
P(X
2mX
3n) = 1 e
Pm
ǫ
Nord
Pj(X
2ǫN) + n ord
Pj(X
3) (3.5)
となる
.
定義より, X
2mX
3n はΓ
1(N )
のcusp
でのみ零点もしくは極を持つので, cusp
でのX
2mX
3n の位数のみ計算すれば良いが, (3.5)
によりΓ(N )
のcusp
でのX
2mX
3n の 位数からΓ
1(N)
のcusp
での位数を求めることができる.
そこで
, Γ(N ), Γ
1(N)
に対して集合V, U
を次のように定める. N
が奇数のときにはV = {(u, v) | 1 ≤ u ≤ (N − 1)/2, 1 ≤ v ≤ N, GCD(u, v, N ) = 1}
∪ {(0, v) | 1 ≤ v ≤ (N − 1)/2, (v, N ) = 1}.
N
が偶数のときにはV = {(u, v) | 1 ≤ u ≤ N/2 − 1, 1 ≤ v ≤ N, GCD(u, v, N ) = 1}
∪ {(N/2, v) | 1 ≤ N/2, GCD(v, N/2) = 1}
∪ {(0, v) | 1 ≤ v ≤ N/2, GCD(v, N ) = 1}
とする
.
また, U =
(u, v) u, v ∈ Z, 1 ≤ v ≤ N, GCD(v, N ) =: d
とすると0 ≤ u ≤ d/2
かつGCD(u, d) = 1
とする. このとき,
U
はV
に含まれていることに注意する.2
つの整数の組(u, v ), (u
′, v
′)
でu
とv, u
′ とv
′ は互いに素であるものとすると,(u, v)
と(u
′, v
′)
がΓ(N )
の同値なcusp
を与えることと, (u, v) ≡ ±(u
′, v
′) mod N
と なることは同値である.
ゆえにΓ(N )
のcusp
に対応する整数の組(u, v)
についてはu, v
ともにN
を法として考えて良い.
また, (u, v )
と(u
′, v
′)
がΓ
1(N)
の同値なcusp
を 与えることとある整数a
に対して(u, v ) ≡ ±(u
′+ av
′, v
′) mod N
となることは同値 である. さらに,I
を単位行列とすれば,i∞
への±I
の作用は等しいので, 集合V, U
の元はΓ(N ), Γ
1(N )
のcusp
の代表系を与えていることがわかる.各
(u, v) ∈ V ∪ U
に対して行列B (u, v ) ∈ SL
2(Z)
をB(u, v) ≡
u ∗ v ∗
mod N
となるものとすると次が成り立つ.補題
3.6.
集合{B(u, v)(i∞) | (u, v ) ∈ V }, {B (u, v)(i∞) | (u, v) ∈ U }
はΓ(N ), Γ
1(N )
の互いに同値でないcusp
の完全代表系を与える.B(u, v)(i∞)((u, v) ∈ U )
で表されるΓ
1(N )
のcusp
をP (u, v)
と書くことにす る.B(u, v)(i∞)((u, v) ∈ V )
で表されるΓ(N )
のcusp
をP
′(u, v)
とする.x = exp(2πiτ/N)
とおくと, cuspP
′(u, v)
でのX
r(τ )
の位数ν
u,v(X
r(τ ))
はX
r(B(u, v)(τ))
のcusp i∞
でのx-展開の位数として定義される.
便宜上,m, w ∈ Z
に対してhwi
mをm
を法としてw
と合同な最小の非負整数とし,関数α
m(w)
をα
m(w) = hwi
m(hwi
m− m)
で定める.命題
3.7.
ν
u,v(X
2(τ)) = ǫ
N2 (α
d(2u) − α
d(u)) ν
u,v(X
3(τ)) = 1
2 (α
d(3u) − α
d(u)).
証明
. B (u, v ) ∈ SL
2( Z ), B(u, v ) ≡
u uv v′′mod N
とすれば, (K1)
よりK
r,s(B(u, v)(τ)) = K
(r,s)B(u,v)(τ )
であるが
, (K2)
よりK
r,s(τ )
はr, s
をN
を法として考えても定数倍しか違わないので, K
(r,s)B(u,v)(τ ) = c
∗K
hru+sviN,hrv+sv′iN(τ )
となる. ただし,
c
∗ はゼロでない定数である. またK
r,s(τ)
のx-展開は (K3)
よりK
r,s(τ )2πi
∞
Y
n=1
(1 − x
nN)
2= − exp
2πis(N − 1) 2N
2× x
r(r−N)2N(1 − x
rζ
s)
∞
Y
n=1
1 − ζ
sx
nN+r1 − ζ
sx
nN−r. (3.8)
よって,
K
r,s(τ)
の 零点と極の位数はr, s
をN
を法として考えても変わらないので, 適当な定数c
を取ると,X
r(B(u, v)(τ )) = c
N−1
Y
s=0
K
hru+sviN,hrv+sv′iN(τ) K
hu+sviN,hv+sv′iN(τ )
となる. よって0 < r < N
なら,nN ± r, r > 0
なので(3.8)
よりν
u,v(X
r(τ )) = 1 2N
N−1
X
s=0
(hru + svi
N(hru + svi
N− N ) − hu + svi
N(hu + svi
N− N ))
= 1 2N
N−1
X
s=0
(α
N(ru + sv) − α
N(u + sv)) .
r
が奇数の場合, GCD(v, N) = 1
ならば,s
が1
からN − 1
まで動くとき,任意の整数w
に対してw + sv
はN
を法として1
からN − 1
まで動く. このことに注意すれば,N−1
X
s=0
α
N(w + sv) =
N−1
X
s=0
α
N(s)
が成り立つ.
ゆえに,
ν
u,v(X
r(τ)) =
N−1
X
s=0
(α
N(s) − α
N(s)) = 0.
したがって,
ν
u,v(X
r(τ)) = 0 = (1/2)(α
1(ru) − α
1(u)).
GCD(v, N ) = d 6= 1, v = kd
とすると, GCD(k, N) = 1
となるので,ν
u,v(X
r(τ )) = 1
2N
N−1
X
s=0
(α
N(ru + skd) − α
N(u + skd))
= 1 2N
N−1
X
s=0
(α
N(ru + sd) − α
N(u + sd))
= d 2N
N/d−1
X
s=0
(α
N(ru + sd) − α
N(u + sd)) .
ここで,任意の整数w
に対してN/d−1
X
s=0
α
N(w + sd) =
N/d−1
X
t=0
(hwi
d+ td)(hwi
d+ td − N ) (3.9)
が成り立つ
.
なぜならば, w = ad + b (a, b ∈ Z a > 0 0 ≤ b < d)
とおくと 関数α
Nは
mod N
で考えても同じなので0 < w < N
と仮定して良く,N = kd
とすれば,0 < ad + b < N
なので, 0≤ a < (N − b)/d ≤ N/d = k
である. ゆえに,N/d−1
X
s=0
α
N(w + sd)
=
N/d−1
X
s=0
h(a + s)d + bi
N(h(a + s)d + bi
N− N )
=
N/d−1+a
X
s=a
hsd + bi
N(hsd + bi
N− N )
=
k−1
X
s=a
hsd + bi
N(hsd + bi
N− N ) +
N/d−1+a
X
s=k
hsd + bi
N(hsd + bi
N− N )
=
k−1
X
s=a
(sd + b)(sd + b − N ) +
N/d−1+a
X
s=k
hsd + bi
N(hsd + bi
N− N ).
k ≤ s ≤ N/d − 1 + a
なら,kd + b ≤ sd + b ≤ N − d + ad + b
= N + (a − 1)d + b
となるので,
N + b ≤ sd + b < 2N
である.
したがってN/d−1+a
X
s=k
hsd + bi
N(hsd + bi
N− N) =
a−1
X
t=0
(td + b)(td + b − N )
となる. よってN/d−1
X
s=0
α
N(w + sd) =
k−1
X
s=a
(sd + b)(sd + b − N ) +
a−1
X
t=0
(td + b)(td + b − N )
=
k−1
X
t=0
(td + b)(td + b − N ).
hwi
d= b
より(3.9)
が成り立つ.
このことからν
u,v(X
r(τ )) = d
2N
N/d−1
X
s=0
((hrui
d+ sd) (hrui
d+ sd − N )
− (hui
d+ sd) (hui
d+ sd − N)) . w = hrui
d またはhui
d とすると,(w + sd)(w + sd − N ) = w(w − d) + w(2sd + d − N)
= α
d(w) + w(2sd + d − N )
よりν
u,v(X
r(τ )) = d 2N
N/d−1
X
s=0
(hrui
d(hrui
d− d) − hui
d(hui
d− d))
+ d 2N
N/d−1
X
s=0
(hrui
d− hui
d)(2sd + d − N )
= d 2N
N/d−1
X
s=0
(α
d(ru) − α
d(u)) + d
22N (hrui
d− hui
d)
N/d−1
X
s=0
(2s + 1 − N/d)
= 1
2 (α
d(ru) − α
d(u)) .
同様にしてr
が偶数のときはν
u,v(X
r(τ)) = (ǫ
N/2) (α
d(ru) − α
d(u))
であることが示される.(u, v)
をV
の元とすれば,u
の範囲に注意するとhui
d= u , h2ui
d= 2u.
ここで,
ν
u,v(X
2ǫN(τ )) < 0
となるのは,u < d/3
のときである. また, 0< α ∈ Z, α − 3u = dk
とおくと,α = 3u + dk
であるが, 1≤ u ≤ d/2
なら, 3≤ 3u ≤ 3d/2
となる ことからh3ui
d=
3u − d u ≥ d/3 3u u < d/3
となる.
したがって,
次が成り立つ.
命題
3.10. Γ(N )
のcusp P
′(u, v)
でのX
r(τ)
の位数をν
u,v(X
r(τ))
とおくと, ν
u,v(X
2ǫN(τ )) = ǫ
N(3u − d)u
2 ν
u,v(X
3(τ )) =
(8u
2− 8ud + 2d
2) /2 u ≥ d/3 4u
2− ud u < d/3
系3.11.
µ
u,v(X
3) < 0 = ⇒ µ
u,v(X
2ǫN) < 0
また
[Sil86, p.350]
によると,P (u, v)
でのψ : X(N) → X
1(N)
の分岐指数はGCD(v, N )
なので, 命題3.7
により次が成り立つ.命題
3.12. X
2mX
3n∈ A
1(N)
とする. 関数X
2mX
3n はΓ
1(N )
のcusp
でのみ極もしく は零点をもち, cuspP (u, v) ((u, v) ∈ U )
での位数µ
u,v(X
2mX
3n)
は次のようになる.µ
u,v(X
2mX
3n) =
(3m + 8n)u
2− (m + 2n)du
2d u <
d3(3m + 8n)u
2− (m + 8n)du + 2d
2n
2d u ≥
d3ただし,
d
はv
とN
の最大公約数とする.定理
3.13.
関数X
2ǫNN, X
3N はC
上A
1(N )
を生成する.
証明
. X
2N iǫN+ X
3N j の形の生成元を考える.N
が奇数のときǫ
N= 1
で, 補題3.12
よ り,X
2N i+ X
3N j はΓ
1(N)
のcusp
でしかもX
2 が極を持つcusp
でのみ極を持つ. ゆ えにu < d/3
のみ考えればよい. cuspP (u, v)
uv∈ U
での