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CFT圧縮ブレースにより耐震補強したRC造建物の性能改善効果に関する解析的研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)CFT圧縮ブレースにより耐震補強した RC造建物の性能改善効果に関する解析的研究. 西田 裕一 400. 1. はじめに. 400.  著者らは,文献 1)において,圧縮抵抗型のブレース. 500. を用いた RC 造建物の耐震補強法を提案し,この補強効 600. 500. 柱. 案補強法は,従来から頻用されてきた鉄骨枠付ブレー. 梁 4-D25. 10-D19. ス補強に比して簡便に設置でき,同等以上の補強効果. 700. 4-D25 4-D25. 果について実験的に調べてきた.この実験において,提. を有することが示されている.本論では,この補強法を. 基礎梁 4-D25. 図2 断面詳細図. RC 造学校校舎に適用した際の補強効果について解析的 な検討を行う.解析対象としたのは,既存不適格の3階. たこのタイプの平面計画は,耐震診断の統計調査を. 建て RC 造学校校舎を模擬した構造モデルである.. 行った文献 2)の研究において最も頻度が多いものに対.  ブレースが圧縮力を負担すると,ブレースが柱頭に. 応する.この建物モデルの重量は 13kN/m2 とし,スラブ. 取り付く柱には引張力が導入されることになる.この. の支配面積に応じて配分している.本研究では,桁行方. 時に考えられる補強架構の破壊形式は,接合部破壊を. 向の A 通りについてのみ解析を行う.. 除くと,ブレースの座屈,風上側柱の引張降伏,基礎の.  図2に柱及び梁の断面図を示す.柱は 500 × 500mm. 浮き上がりの3通りに区分できる.本論では,この3通. の正方形断面で,梁はせい 600mm,幅 400mm とした.. りの破壊形式により最大水平耐力が決定される構造モ. 基礎梁についてはせいを700mmに変えてモデル化した.. デルを作成し,その地震応答性状の比較を行う.. 柱と梁は各階全て同一断面とした.鋼材の降伏強度は 295MPa で,コンクリートの圧縮強度は 18MPa と仮定し. 2. 解析モデルの作成. た.これらは,1971 年から 1981 年の間に建設された建. 2.1 対象建物. 物を想定している.1981 年以前に建設された学校建築.  本研究で解析対象とする建物の立面図及び1階平面. の震災事例では,柱や壁などの鉛直部材の破壊が先行. 図を図1に示す.この建物は3階建の学校校舎を模擬. する場合が多い.これを便宜的に考慮するために,解析. しており,長辺方向 10 スパン,短辺方向 1 スパンとし. モデルでは図2の梁主筋の断面積を2倍として梁の剛性. た.1教室あたり桁行 2 スパン,梁間 1 スパンを想定し. と耐力を上昇させている.. 4500. で断面の応力状態を表現する手 法を用いて梁要素の剛性マト リックスを作成し,これらを全 体剛性マトリックスに組み込ん. 45000. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. だ非線形の 2 次元構造解析プロ. 11. グラム 3) を用いて行った. 廊下. B. 2600. 3. に対応する Model-NR を基本モ デルとして,補強を施した3種 A. 図1 立面図及び1階平面図 47-1.  表1に本論で検討する解析モ デルの一覧を示す.無補強建物. 9800. 2. 7200. 1.  本解析は,ファイバーモデル 10200. 3400 3400 3400. 2.2 解析モデル. 類の建物モデルを作成した.図.

(2) 表1 解析モデル一覧. る.これは,圧縮に対しては1層柱の 3 倍程度の軸剛性. CFTブレース モデル名. を持ち,引張に対しては,耐力,剛性ともに零となるト 破壊形式. 鋼管. コンクリート強度. (mm). (MPa). Model-NR. ?. ?. Model-RB. 200×200×6. 20.5. ブレース座屈. Model-RF 300×300×12. 33.6. 風上柱の引張降伏. Model-RR 300×300×12. 33.6. 基礎の浮き上がり. ラス材である.基礎の浮き上がり挙動に対しては,基礎 梁がこれに曲げ抵抗すると考えられるので , 図2の断面. 柱の曲げ破壊. を持つ基礎梁を解析モデルに組み込んでいる.  コンクリートの構成則は Popovics モデル 4)を,鉄筋の 構成則は完全弾塑性モデルを用いた.ブレース鋼管の 構成則は Bauschinger 効果を考慮した大井・高梨モデル. 3に表1の骨組モデルの立面図と基礎の支持条件を示. 5). を採用した.. す.Model-RB ∼ Model-RR は,各層の③−④スパンと ⑧−⑨スパンに1本ずつブレースを設置して補強を. 3. 静的解析. 行った例である.本研究で提案しているブレースは圧.  静的解析では,表2の Ai 分布に従う外力分布を仮定. 縮のみに作用するため,各層最低2本のブレースが必. し,水平力を全柱梁節点に分配して一方向に漸増載荷. 要となる.ブレースはそれぞれの破壊形式を実現でき. した.. るように断面を設定した.Model-RR と Model-RFは同一.  各層の荷重−変形関係を図5に示す.図の縦軸は,各. の断面としている.ブレースの節点は図4に示すよう. 層の層せん断力を A 通り架構モデルの全重量で除して. に設けた.ブレースとフレームの接合部は圧縮力のみ. 無次元化した値としている.横軸は,各層の層間変形角. を負担する剛な要素とし,ブレースの両端及び中央部. である.全層の平均層間変形角が,それぞれ 0.005rad.,. にヒンジ領域を設け,中央部には材軸直交方向に l/1000. 0.01rad.,0.015rad.,0.02rad. に達した時点での各層の変. (l:ブレース材長)の初期たわみを与えた.この条件に. 形を□や×などの印で示している.また,全層の平均層. より,ブレースの座屈や風上柱の引張降伏といった実. 間変形角が 0.02rad. 時の降伏ヒンジの発生状況を図6. 験における各種変形挙動の特徴を精度よく追随できる. に,その時の変形状況を図7に示す.図6では,降伏ヒ. ことが文献 1)において示されている.なお,柱梁接合. ンジの発生点を●,ブレースの座屈を○,柱の引張降伏. 部の詳細については,図に示すように接合部内は剛域. を矢印で表している.また,図7は計算された変形を水. とし,ヒンジ領域長さは柱については柱せいの半分,梁. 平方向に 20 倍,鉛直方向に 3 倍して表現している.. については梁せいとした..  図5∼図7より,Model-NR では,1層柱の柱頭と柱.  Model-NR ∼ Model-RF は基礎の浮き上がりを考慮し. 脚に塑性ヒンジが形成され,1層部分の層崩壊により. ないため1層柱脚を固定条件としている.これに対し. 水平耐力が決定している.その時のベースシアー係数. Model-RR は,基礎の浮き上がりを模擬するため,両端. は 0.27 に留まった.本解析法では,柱のせん断破壊を. の柱を除いた1層柱の下に非線形弾性バネを設けてい. 表現できないので,最大耐力以降の耐力低下はそれほ. 表2 Ai に従う外力分布 層i W i (MN) SW i (MN). Model-NR. ai. Ai. Q i (MN) ⊿Q i (MN). 3. 2.81. 2.81. 0.33. 1.35. 3.80. 3.80. 2. 2.81. 5.62. 0.67. 1.14. 6.41. 2.61. 1. 2.81. 8.43. 1.00. 1.00. 8.43. 2.02. 剛域 ヒンジ領域. Model-RB , Model-RF. ヒンジ領域. 剛域 l. 初期たわみ l /1000. 柱梁接合部. Model-RR. 図3 解析モデルの立面図. 図4 線材モデル化詳細 47-2.

(3) 層せん断力/全重量. 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0. 層せん断力/全重量. 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0. 3層 2層 1層. 3層 2層 1層. 0.005rad 0.01rad 0.015rad 0.02rad. Model-NR. Model-RB. Model-RF. Model-RR. Model-RB. Model-NR. 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 層間変形角 (10-2rad). 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 層間変形角 (10-2rad) 3層 2層 1層. 0.005rad 0.01rad 0.015rad 0.02rad. 3層 2層 1層. 0.005rad 0.01rad 0.015rad 0.02rad. 0.005rad 0.01rad 0.015rad 0.02rad. Model-RR 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 層間変形角 (10-2rad). Model-RF 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 層間変形角 (10-2rad). 図7 平均層間平均角 0.02rad. 時における変形図. 図5 荷重−変形関係. Model-RB Model-NR. Model-RF. Model-RR. 図6 平均層間平均角 0.02rad. 時のヒンジ発生状況. ど顕著なものとなっていない.また図5より,特定層の. の場合,補強架構3層分が全体として曲げ変形する.こ. 破壊が先行すると他の層は除荷され保有耐力は発揮さ. の破壊形式は,落階を防止しつつ主筋の降伏に伴うエ. れないことがわかる.. ネルギーの吸収が期待できる.ベースシアー係数は.  ブレースの座屈を想定した Model-RB では,図に示す. Model-NR の 0.27 から 0.54 と上昇し,水平耐力はおよそ. ように,1層の層間変形角が 0.005rad. 程度で,ブレー. 2 倍となった.最大耐力後の耐力低下も Model-RB に比. スに座屈が生じ最大耐力が決定した.その時のベース. べて小さく,安定した挙動が確認できる.補強に際し. シアー係数は0.45となり,Model-NRのそれと比較して,. て,大きな靭性指標が必要となる場合は,柱の引張降伏. 1.7 倍の値となった.水平力に対してブレースによる1. を先行させる補強計画が望ましいことが分かる.. 構面の耐震補強を行うことで,大きな構造性能の向上.  Model-RR では,図6と図7から分かるように,⑦−. が期待できることが分かる.図5よりブレース座屈後. ⑧スパンと⑧−⑨スパンの基礎梁が曲げ降伏し,基礎. は,徐々に水平耐力が小さくなるが,平均層間変形角が. の浮き上がりによって最大耐力を発揮している.図5. 0.02rad. の大変形時においても,Model-NR の 1.3 倍以上. において,Model-RR は Model-RFに比べ若干最大耐力が. の水平耐力を保持していることが分かる.但し,図6と. 小さいが,荷重−変形関係はほぼ同じで,耐力低下は顕. 図7から分かるように,最終破壊状況は,Model-NR と. 著でない.水平耐力が1層柱の引張降伏もしくは基礎. 同じく1層の層崩壊となる.. の浮き上がりのいずれかによって決定されたとしても,.  Model-RF では,図6と図7に示すとおり,1層の風. 建物全体の耐震性能は大きく変化しないことが予測さ. 上柱が引張降伏し,全体降伏型の破壊形式となった.こ. れる. 47-3.

(4) 4. 動的解析. 構造モデルを圧縮ブレースで補強した建物モデル.  前節で示した解析モデルの地震時の挙動を比較する. (Model-RB,Model-RF,Model-RR)の水平耐力は,ベー. ために,Newmark のβ法を用いて時刻歴の動的応答解. スシアー係数で,0.45,0.54,0.52 に増加した.. 析を行う.減衰は 2% の Rayleigh 型とする.入力波は,. 3) Model-RB では,1 層部分のブレースの座屈により水. El Centro,Taft,八戸の NS 成分で,これらの最大速度. 平耐力が低下する荷重−変形関係となったが,Model-. を 50kine に増幅して用いた.図8に各地震動に対する. RF と Model-RR では,全体降伏機構を形成しつつ最. 応答結果を示す.図の縦軸は層位置で,横軸は層間変形. 大耐力発揮以降も安定した変形性能を示す荷重−変. 角の最大応答値である.なお,せん断柱の限界変形角を. 形関係が得られた.. 0.005rad. と仮定して図に示し,変形量の目安としてい. 4) El Centro 波,Taft 波,八戸波を 50kine に増幅させた地. る.. 震動を入力した動的応答解析の結果,Model-NR では.  静的解析の結果から推察できるように Model-NR は,. 1層に変形が集中し最大応答層間変形角は 0.021rad.. 各波において1層が大きく変形し,層崩壊が危惧され. となった.Model-RB は,ブレースの座屈により1層. る結果となった.1層の最大応答層間変形角はそれぞ. において若干変形が大きくなるが,最大応答層間変. れ 0.021rad.,0.013rad.,0.006rad. であった.Model-RB. 形角は 0.008rad. となった。Model-RF と Model-RR は. は,ブレースによる補強効果によって1層の最大変形. 応答変位が各層ほぼ一定となるとともに最大層間変. をそれぞれ 0.008rad.,0.007rad.,0.004rad. に低減するこ. 形角もおよそ 0.005rad. 以下の応答に留まった.. とができている.しかしながら,1層ブレースに座屈が. 5) 本補強法を適用した建物は,破壊形式が1層柱の引. 生じることを考慮すれば,大地震において1層に変形. 張降伏から基礎の浮き上がりに変化しても応答性状. が集中することを避けることはできない.一方でModel-. は大きく変化しないことがわかった.. RF,及び Model-RR は,各層ともに最大応答層間変形角 が一様化され,且つおよそ 0.005rad 以内に留めることが. 参考文献. でき,補強によって層崩壊を防止することが可能であ. 1)北島幸一郎,宮西紀彰,下畠啓志,永瀬慎治,中原浩之,崎 野健治:圧縮抵抗ブレースによる既存 RC 造架構の耐震補強法. ることが示された.また,破壊形式が1層柱の引張降伏. の開発研究(その1−4) ,日本建築学会大会学術講演梗概集,. から基礎の浮き上がりに変化しても,応答性状は大き. C-2,pp.781-788,2008.8.. く変化しないことが分かった.. 2)日本コンクリート工学協会九州支部,九州・沖縄の地域特性 に配慮した RC 造建築物の恒久・応急的な耐震補強法の開発研 究に関する研究専門委員会:九州・沖縄地区における既存鉄. 5. まとめ. 筋コンクリート建物の耐震性能と耐震補強法開発,2004.2..  本研究では,著者らが提案する CFT 圧縮抵抗型ブ. 3)Kawano, A., Griffith, M.C., Joshi, H.R. and Warner, R.F.:Analysys. レースをRC造建物に適用した際の耐震補強効果につい. of the Behavior and Collapse of Concrete Frames Subjected to Severe Ground Motion , Reserch Report No.R163 , Department of Civil and. て静的および動的解析により調べた.解析対象とした. Environmental Engineering , The Univercity of Adelaide, Australia ,. 建物は,3階建ての既存不適格 RC 造学校校舎を模擬し. Nov. 1998.. たもので,この構造モデルを基本として,補強を施した. 4)Popovics, S.,: Numerical Approach to Complete Stress-Strain Curve of Concrete, Cement and Concrete Research, Vol.3, pp.583-599, 1973.. 3種類の建物モデルを作成した.得られた結果を以下. 5)孟令樺,大井謙一,高梨晃一:鉄骨骨組地震応答解析のため. に列挙する.. の耐力劣化を伴う簡易部材モデル,日本建築学会構造系論文. 1) 既存不適格建物を模擬した構造モデル(Model-NR). 集,第 437 号,pp.115-124,2002.8.. においては,水平耐力が 3. ベースシア係数で0.27と うとしたプッシュオー バー解析では1層の層崩. 層. なり,外力が Ai 分布に従. Model-NR Model-RB Model-RF Model-RR. Model-NR Model-RB Model-RF Model-RR. Model-NR Model-RB Model-RF Model-RR. 2. 壊現象を起こした. 2) ブレースの座屈,風上柱 の引張降伏,基礎の浮き 上がりにより最大耐力が 決定するように,上記の. 1 0 0.5 1 1.5 0 0.5 1 1.5 0 0.5 1 1.5 最大応答層間変形角(10-2rad) 最大応答層間変形角(10-2rad) 最大応答層間変形角(10-2rad). El Centro 波. Taft 波. 図8 層間変形角の最大応答値 47-4. 八戸波.

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