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都市の縮退を考慮した東京大都市圏における住み替えモデルの構築

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(1)

1

都市の縮退を考慮した東京大都市圏における住み替えモデルの構築

*

Residential choice mode in Tokyo metropolitan

taking account of the shrink of the city*

中江 翔** 中川義英***

By Sho NAKAE

** And Yoshihide NAKAGAWA***

1. はじめに

(1) 研究の背景と目的

2015

年がピークと予測されている東京大都市圏の人 口1)も、1都

3

県の279市区町村のうち約4割の

117

市 区町村において2000年から2005年にかけて人口が減少 しており2)、郊外化は終焉を迎えている。このような状 況のもと、国土交通省社会資本整備審議会答申(2006)3) においても「都市機能を効果的、効率的に集約するため には、対象となる拠点を適切に選択した上で、関係施策 を集中的に導入するという『選択と集中』の考え方が重 要である」と示されており、郊外から都市活動の撤退を 考えていく必要が高まっている。しかし、郊外も含めた 街なかへの住み替え支援が浸透していないこと4)や、地 権者からの用地取得における利害調整が困難であること

5)等から、効果的な撤退方法が確立されているとは言え ないのが現状である。

この問題を立地論の観点から言及すれば、

Alonso

の住 宅立地モデルに代表されるように宅地の地代が農地の地 代より高く評価されてきたことに一因がある。日本の不 動産鑑定評価においても、宅地は街路条件や環境条件に 基づいて、農地は日照りの状況や面積等の生産条件に基 づいて評価されている6)。この評価方法の違いにより、

例えば宅地から農地に転換する等の用途転換が困難にな る。このような従来の土地評価手法が住み替え支援及び 土地利用計画の阻害になっていると言える。

国土審議会において国土利用の目指すべき方向として は「都市的土地利用と自然的土地利用の適切な配置と組 み合わせによる『調和ある土地利用』を進めること」7) と示されているにとどまっており、その具体的な実現方 法を把握するためにも、人口減少、高齢化社会における 市民の住み替え行動に着目し、居住環境を考慮した新た な住宅立地の手法が求められている。

以上のような背景を踏まえ、東京大都市圏を対象とし

て、効率的な都市活動の撤退を展開し、適切な住宅立地 を目指すための世帯の住み替えモデルを構築することを 本研究の目的とする。本研究では、

1980

年代から発展し てきた都市経済学の分野で用いられてきた効用関数に着 目する。具体的には、住宅が撤退した際に生じた空地や 緑地の価値を導入し、効用関数に空地や緑地の指標を設 定する。最終的に郊外からの住み替え促進に繋がる住み 替えモデルを構築することを目指す。対象は東京大都市 圏とし、人口減少や高齢化に伴う市民の住み替え行動を 住宅立地モデルで表現し、実証的な分析を試みる。

(2) 既存研究の整理と研究の位置づけ

a) 既存研究の整理

本研究に関連する既存研究は、土地利用、住宅立地モ デルに関する研究及び都市撤退に関する研究である。

土地利用モデルの開発は1970年代後半から1980年代 前半にかけて中村8)や森杉9)、林10)らの研究を代表とす る土木計画学の分野を中心に進められてきた。その後、

わが国の地価への関心の高さや市町村の税収の約半分が 固定資産税を始めとする不動産関連税であったことを背 景に、

1980

年代後半から開発されてきた土地利用モデル には、共通の方向性が見られる。①ロジットモデルの利 用、②土地市場のモデル化、③都市経済学や一般均衡理 論への立脚、の

3

点である。特に着目すべきは効用関数 の概念を導入したことである。それぞれの研究によって 効用関数の定義は様々であるが、土地と通勤費用を除く すべての消費財を表す

z

と住宅の敷地面積

h

を用いて

U(z,h)と表すことができる。土地利用、住宅立地モデル

に関する研究の経緯は

2

章で述べる。

都市撤退に関する研究は都市撤退の進行を評価するた めの指標を構築している研究11)

Social HazardとSocial

Value

という指標を用いてこれらの定量評価に基づき、

撤退地区を特定している研究12)がある。

b) 本研究の位置付け

本研究は

1980

年代後半以降の都市経済学の分野の研 究をベースに、郊外からの撤退を意図した住み替えモデ ルを構築する。その際効用関数に着目し、人口減少や高 齢化に伴う、説明変数や係数の変化により住み替えを促 進するモデルを構築している点に特徴がある。また宅地 の評価体系に周辺の空地や緑地の指標を導入している。

*キーワーズ:住宅立地、住み替え

**

学生非会員、早稲田大学大学院創造理工学研究科

(東京都新宿区大久保 3-4-1 TEL: 03-5286-3000)

***

フェロー、工博、早稲田大学理工学術院教授

(東京都新宿区大久保 3-4-1 TEL: 03-5286-3000)

(2)

2 2

章で土地利用及び住宅立地モデルに関する近年の既 存研究をまとめた。その研究の多くは政策を実施するた めの立地分析と位置づけられており、交通施設整備によ る地域への経済波及効果の計測や土地利用規制等のイン パクト分析、人口の社会移動を分析している。人口が減 少し、都市活動の撤退を考えていく必要があるという社 会的背景の下、人々の住み替え行動に着目し、居住環境 を考慮した効用関数を構築している点が本研究の新規性 と言える。

(3) 研究の方法

a) 研究の概要

1

章では研究の背景と目的、既存研究の整理及び本研 究の位置付け、研究の方法を述べる。2 章では既往の居 住地選択モデルの開発経緯や課題点を抽出する。それを 基に本研究で構築するモデルの位置づけを明確にし、枠 組みを定める。3章では住宅・土地統計調査及び住宅需 要実態調査のデータを用いて東京大都市圏における住み 替え傾向を把握する。それをもとに住み替え促進要因及 び阻害要因を抽出する。

4

章では市区町村単位でデータ を収集する。それぞれの市区町村において効用関数と予 算制約式を定める。効用関数から、それぞれの市区町村 の効用を算出する。

5

章では4章で構築した効用関数と、

ロジットモデルを用いて居住地選択確率

P

を求める。そ れぞれの市区町村において、平成

10

年、

15

年、

20

年に おける

P

を算出し、人口減少や高齢化による効用や

P

の 変化を分析する。

6

章では

5

章の結果から、東京大都市 圏における住み替えモデルを提示する。

b) 研究の流れ

図1に研究のフローチャートを示す。

図1 研究のフローチャート

2. 本研究の居住地選択モデルの概念

(1) 既往の居住地選択モデルの整理

本研究で居住地選択モデルを構築するために、1980 年代から現在まで蓄積されてきた居住地選択及び住み替 えに関する研究の経緯を整理する。多岐に渡る分野から

27

の研究に焦点を当てて、その研究背景と分析方法から

4

つのタイプに類型化を行った。この結果を表1に示す。

表 1 居住地選択に関する既往研究の類型化

A)、 B)、 C)と類型化した居住地選択モデルに関する既

往研究を概観する。

A)では計画策定のために住宅需要を

把握しているものが多く、住民の居住環境を考慮してい る研究は少ない。交通整備が進み、大都市と地方、都心 と郊外間で地域格差が生じた時代背景を持つ

B)の研究

では、人口の移動に着目した研究が多い。政策やプロジ ェクト前後の変化を分析するインパクト分析がメインで ある。C)では、人口減少や高齢化といった社会問題に対 応した、住民の行動を解明するモデルを構築している。

住民の住み替え決定には居住環境が重要なウエイトを占 めることから、居住地選択モデルに緑地や交通の利便性、

生活施設の存在を導入している研究もある。また

D)はモ

デルを用いずに住み替え実態を把握している研究である。

モデルよりも詳細な地域特性や世帯属性に着目してヒア リング調査やアンケート調査を基に住民の住み替え意向 を解明している。

(2) 古典的住宅立地論の限界

以上より既往研究では、住民が居住地選択や住み替え の際に居住環境を重視していることを

1980

年代の居住 地選択モデルから表現しようと努めてきたことが分かる。

Alonso

らに代表される古典的住宅立地理論では土地利

用パターンの規則性を都心への近接性(accessibility)と 住宅の広さ(space)とのトレードオフ問題とみなすこと ができた。しかし実際の居住地選択モデルでは、既往研 究でも述べられていた通り、居住地周辺の様々な都市環 境を考慮すべきであり、必ずしもトレードオフの関係で はないと言える。効用関数の説明変数として、居住環境 指標を任意に抽出するだけでは郊外からの撤退を促進す ることはできないため、本研究では住み替え実態を把握 してから、市区町村別に効用関数の説明変数を設定し、

住み替え促進モデルを構築する。

1-1 研究の背景と目的 1-2 既存研究の整理     本研究の位置付け 1-3 研究の方法

1章 はじめに

3-1 東京大都市圏の住宅立地 3-2 住み替え世帯の特性把握 3-3 住み替え要因の抽出

3章 住み替え実態の把握

4-1 指標の決定

4章 住み替えモデルの構築

4-2 効用関数の係数決定 4-3 市区町村単位での効用算出

5-1 居住地選択確率Pの算定 5-2 各年の選択確率Pの比較分析

5章 シミュレーション分析

A)平成10年、15年、20年の選択確率Pの分布 B)住み替えによる効用低下の緩和状況

6章 考察と結論 2-1 既往の居住地選択モデルの整理 2-2 古典的住宅立地論の限界 2-3 本モデルの枠組み

2章 本研究の居住地選択モデルの概念

A)初期将来予測型モデル B)社会変動対応型モデル C)住民意向反映型モデル D)住み替え実態分析

年代 1984~1988 1991~1996 1998~ 1988~

論文数 7 6 8 6

代表論文 森杉・広瀬13)、林、富田14) 森杉ら9)、青山、近藤15) 吉田ら16)、佐藤、大田17) 木下ら18)、平田ら19)

研究背景

・都市圏の土地利用計画や 交通計画の上位計画にお いて住宅需要を求める必要 があった。

・市場均衡の概念を導入 し、土地供給者をモデルで 表現した。

・理論上の住宅立地モデル はほぼ完成した。

・大規模な交通プロジェクト や大都市への人口集中、地 方の過疎化など、人口の移 動や地価の変動が大きかっ た。

・住み替えの概念が浸透し、

その便益を表現した研究や 生活の質の重要性を説く研 究も見られる。

・高所得者や高齢者等、世帯 タイプによって効用関数が変 化した。

・居住環境も含め、住民の複 雑な意思決定過程をモデルで 表現した。

・人口減少、高齢化を背景 に地方都市や郊外の住宅 供給方法の見直しが必要 となった。

・住宅立地モデルで解明で きることに限界があった。

居住環境の考え方

居住環境の必要性は考え られていたものの、モデル に導入したものは少なかっ た。

住宅地の質的側面を住宅立 地モデルに導入する必要性 が説かれていたものの、実 現させている研究はまだ少 ない。

都心への近接性や住宅の広 さだけで居住地選択を行うの ではなく、周辺の居住環境も 考慮することが重要視され た。

利便性と共に生活の質を 重要視している。

住み替え促進要因/阻害要因 日当たり、公共サービス、

騒音 区画形状、緑地の豊富さ 緑地、大学本部設置数、商業

施設 交通のサービス水準、費用

(3)

3

(3) 本モデルの枠組み

a) 効用関数と予算制約式の定義

本研究で構築するモデルは、都市経済学の古典的住宅 立地モデルを基盤としている。一般的に都市経済学では 消費者の効用関数を合成財、及び住宅の敷地面積で表さ れる。しかし本研究では効用を図る単位を世帯ではなく 市区町村で計るため、市区町村の生活水準を

u、可処分

所得から世帯の定常支出を差し引いた純可処分所得*1

z、市区町村における住宅敷地面積の総和を h

とおいた

1

を効用関数と定義する。

u=U(z,h)…式 1

図1は効用水準uの時の効用関数の無差別曲線である。

直線は所得

y

の消費者の予算制約式であり、

y=z+R(x)h+t(x)…式 2

R(x):

地点

x

の地代、

t(x):CBD(

中心業務地区

)

から

x

の距離にあ る地点に住んでいる人の通勤費用

と表すことができる。

y- t(x)を純所得 I(x)とおく。純

所得

I(x)と生活水準 u

が与えられた時に、地代

R(x)を最

大化するためには、無差別曲線と接する予算制約式の勾 配を最大にすることになり、図

2

K

点(敷地面積

h*、

純可処分所得

z*)が効用最大化の解となる。

図 2 消費者の効用最大化

b) 居住環境指標の導入

既存研究を基に、郊外から都心への住み替えを促進す る概念を示す。図

3

に既存研究及び本研究の効用関数の 変化の概念を示した。図の変化は人口減少による効用関 数の変化及びそれに伴って変化する世帯の予算制約式で ある。郊外は人口減少によって住宅の敷地面積

h

が上昇 し、それに伴ってβも上昇する

*

2。zは

h

とトレードオ フの関係であるため減少するが、z 以外の要因は人口減 少によって影響を受けない要因である。結果的に郊外の 生活水準は

U

から

U’

に増加したとする(U→U’)。変化し た郊外の生活水準

U’

から都心の生活水準

U

に住み替え ることは、世帯の効用を低下させてしまうことになる。

そのため住み替えが進まない。

本研究では、説明変数として人口減少や高齢化に影響 を受ける説明変数

M

を導入する。Mの減少によりγも 減少し、結果的に生活水準は

U

*

( U< U

*

< U’)となる。郊

外から都心への住み替えに伴う、世帯の効用の低下は既

存研究と比較して小さく、理論上は住み替えが進む。

本研究では既存研究と同様に、居住地選択確率

P

を用 いて世帯の住み替え行動を記述する。ロジットモデルを 用いて、ゾーン

i

を居住地として選択する確率は式

3

で 表すことができる。効用関数

U

iは各市区町村の説明変数

(z、h、M)を用いる。

P µU

µU

…式3

U’>U*であるから式 3

より

P’>P*となり、郊外の居住

地選択確率は低下する。よって都心への住み替えが促進 される。

図 3 居住環境の指標を導入した場合の効用関数の変化

c) 緑地や空地面積指標の導入

既存研究および本研究における効用関数の経年変化 (U1

→U

2及び

U

1

→U

2

→U

3

)を図4

に示した。既存研究の 効用関数を居住地選択モデルに適用すると、郊外の人口 減少による空地や未利用地の増加が、直接敷地面積

h

の 増加(

h

1

→h

2

→h

3)に繋がる。敷地面積の増加により、

z

は減少する。ここでも結果的に効用が増加したとする。

(

U

1

→U

2)。この変化を受けて式

3

に基づく住み替え行動 が阻害される。そのため本研究では、空地や未利用地の 増加を敷地面積

h

の増加とせず、空地や緑地面積

G

の増 加とし、効用関数の説明変数に導入する。また郊外の生 活水準低下のために、緑地税を導入する。図

4

において

U

2と接していた世帯の予算制約線は、緑地税によって

z

が低下する。この影響を受けて、敷地面積を一定とすれ ば郊外の生活水準は低下(U2

→U

3)し、住み替えが促進す る。

図 4 空地や緑地の面積を導入した場合の効用関数の変化

h Z

0

K

h*

Z*

U(z,h)=u I(x)

‐R(x)

既存研究 本研究

h Z

0

U U U=αZ+βh+γL U’=α’Z’+β’h’+γL

h Z

0

U U U=αZ+βh+γM U*=α’Z’+β’h’+γ’M’

U*

既存研究 本研究

h Z

0

U U U=αZ+βh+γL U’=α’Z’+β’h’+γL

h Z

0

U3

U1 U2

U1=αZ1+βh1+γL U3=αZ3+βh3+γL+δG3

U2=αZ2+βh2+γL

(4)

4

3. 住み替え実態の把握

(1) 東京大都市圏の住宅分布

本研究では東京大都市圏を東京都、神奈川県、埼玉県、

千葉県の

1

3

県として分析を進める。

1995

年、2000 年、

2005

年について都心からの距離別

1

戸当たり平均 畳数を図

5

に示した。どの年も都心からの距離が遠くな るにつれ、敷地面積が大きくなるという古典的住宅立地 論が成立していることがわかる。ところで式

3

から、住 み替えが進まない原因は郊外の効用が高いことにある。

住民の所得が変化しないとすれば、敷地面積の広さ

h

が 郊外での定住率を高めることになる。しかし図

5

で都心

から

50~70km

の距離帯で、敷地面積は増えているわけ

ではない。つまり敷地面積の増加以外にも郊外の効用を 高めてしまう要因があると考えることができる。

図5 都心からの距離別

1

戸当たり平均畳数

(東京大都市圏)

(2) 住み替え世帯の特性把握

a) 住み替え世帯(郊外から都心)の従前居住特性

東京圏における住み替え要因を探るために平成

20

年 住宅・土地統計調査20)を用いた。平成

16

年以降で東京

23

区に住み替えを行った世帯数の中で、都内の23区外 から住み替えた世帯、及び神奈川県、埼玉県、千葉県の

3

県から住み替えた世帯数を表

2

に示した。

表 2 郊外から東京 23 区に住み替えた世帯の住宅タイプ

2

より都内の他市区町村、

3

県からの住み替えにお いて、いずれも従前住宅タイプでは民営借家(非木造

)が 50%前後を占めていた。つまり民営借家(非木造)が多い

地域では

23

区への住み替えが多く、人口減少が生じや すい傾向があることがわかる。本研究でも各市区町村の 民営借家(非木造)率*3を説明変数に導入する。

b) 住み替え世帯(高齢者)の従前居住特性

本研究では高齢化の影響を市区町村の生活水準に表現 するため、どのような高齢者が住み替えを行っているの

かを平成

15

年住宅需要実態調査21)を用いて把握する。

まず、

65

歳以上の単身世帯は

61.9%が持家、 19.3%が民

営借家に居住している。

65

歳以上の夫婦世帯は

86.1%が

持家、

4.6%が民営借家に住んでいる。その中でリフォー

ムニーズの増大とともに、借家への住み替え意向をもつ 高齢単身世帯も増えている(平成

10

年:0.5%→平成

15

年:2.5%)。

65

歳以上の世帯で住み替え行動が見られるの は民営借家から民営借家への住み替えであった。

(3) 住み替え要因の抽出

東京大都市圏の市区町村の転出入世帯数を把握し、全 ての市区町村について民営借家(非木造

)率を算出する。

それらに相関のあることが確認できれば、住み替え要因 を民営借家(非木造)として効用関数に導入する。また住 宅以外の居住環境指標も検討する。

4. まとめ

3

章までの分析で得られた知見をまとめる。居住地選 択モデルに居住環境指標を導入する必要性を既往研究か らの経緯を整理することで示した。また、居住環境指標 や緑地の指標を効用関数に導入することで郊外から都心 への住み替えを促進させるモデルの枠組みを提示するこ とができた。今後は各市町村で効用関数を設定し、住み 替え促進を実証的に示していく。

<注釈>

※1 純可処分所得とは、可処分所得から基本生活費(食費・光熱費・通信費)、教育費、そ の他一時的な費用(旅行費等)を差し引いたもの。可処分所得とは所得から所得税、住民税、

社会保険料を差し引いたもの。

※2 ラグランジュの未定乗数法により、βはhに依存する変数である。

※3 民営借家率=民営借家に住んでいる世帯数/総世帯数

<参考文献>

1) 国立社会保障・人口問題研究所:日本の将来推計人口,首都圏(1都3県)では、2000年の

3,342万人から2015年の3,465万人までは増加傾向が継続するものの、2020年に3,450万

人に減少することから、2015年前後に人口のピークを迎えると予測されている。2) 藤井

多希子:東京大都市圏ミクロレベルの世代交代と市街地特性,日本建築学会計画系論文集

No.633 pp.2399-2407,2008 3) 国土交通省社会資本整備審議会:「社会資本整備審議会答 申 新しい時代に対応した都市計画はいかにあるべきか」2006,2 4) 陣内雄次・上田由美 子:街なか居住と住み替え支援に関する研究―宇都宮市を事例に(2)―,宇都宮大学学術情 報,2010 5) 谷下雅義:公共事業用用地取得における利害調整システムに関する考察,日本 都市計画学会学術研究論文集No.73 ,pp. 433-438,1995 6) 財団法人資産評価システム 研究センター:固定資産税関係資料集 7) 国土交通省:第二回持続可能な国土の創造小委

員会 8) 中村英夫・林良嗣・宮本和明広域都市圏土地利用交通分析システム,土木学会論文

報告集,335,1983 9) 森杉壽芳・大野栄治・宮城俊彦:住環境整備による住み替え便益の

定義と計測モデル,土木学会論文集,第425号Ⅳ-14, pp117-125,1991 10) 林良嗣・土井健 司:交通改善に伴う通勤者の便益の土地への帰着モデル,土木計画学研究・論文集No6,1988 11) 谷口守・松中亮治・妹尾一慶:都市撤退に関する計測手法の開発とその適用,土木計画 学研究・論文集No24 12) 氏原岳人・谷口守・松中亮治:市街地特性に着目した都市撤 退(リバース・スプロール)の実態分析,日本都市計画学会学術論文集,No.41-3,pp.977-982

13) 森杉寿芳・岩瀬広:住宅立地行動の予測と住環境の便益評価の統合手法の提案,土木

計画学研究・論文集,Vol1, No.0, pp131-138 14) 林良嗣・冨田安夫:マイクロシミュレー ションとランダム効用モデルを応用した世帯のライフサイクル-住宅立地-人口属性構成 予測モデル,土木学会論文集,第395号, Ⅳ-9, pp85-94, 1988 15) 青山吉隆・近藤光男:地 域間効用差に基づく人口の社会移動モデルに関する研究,土木計画学研究・論文集, No10, pp

151- 158,1991 16) 吉田明弘・宮本和明・北詰恵一:住宅地区別年齢階層別人口予測のた

めの世帯構成遷移と住み替え行動分析,日本都市計画学会学術論文集,No.37,pp.379-384 17) 佐藤仁志・太田充:首都圏における通勤家計の居住地選択モデル, 地域学研究, Vol. 36, No. 4, pp.885-897, 2006 18) 木下貴弘・浦山益郎・小川宏樹・神吉順子:大都市圏周縁 都市における郊外団地の住み替え構造に関する研究, 都市計画227, pp.89- 94 , 2000 19) 平田菜八佳・樋口秀・中出文平:地方都市における高齢者の中心市街地への住み替えと高齢 者用住宅整備の課題に関する研究,日本都市計画学会,No41-3,pp1055-1060,2006 20) 平 成20年住宅・土地統計調査 21) 平成15年住宅需要統計調査

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0~10  km

10~20  km

20~30  km

30~40  km

40~50  km

50~60  km

60~70  km

都心からの距離

1998年 2003年 2008年

35,400 7,600 27,800 700 900 5,400 18,100 2,800

100 21.5 78.5 2.0 2.5 15.3 51.1 7.9

35,200 8,600 26,500 0 1,500 5,100 17,400 2,600

100 24.4 75.3 0.0 4.3 14.5 49.4 7.4

33,200 7,600 25,600 1,100 4,300 17,600 2,600

100 22.9 336.8 3.3 13.0 53.0 7.8

47,200 9,900 37,300 100 1,100 6,500 24,000 5,600

100 21.0 79.0 0.2 2.3 13.8 50.8 11.9

借 家 (世帯数)

(%)

- 都内他市区町村

埼玉県

千葉県

神奈川県

総 数 持家

(世帯数) (%)

総 数 公営の借家 都市再生 機構・

公社の借家 家計を主に支える者の

従前の居住地 民営借家

(木造) 民営借家 (非木造)

給与住宅

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