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(1)

五 四

法 条 競 合 と 包 括

︵ 三 ︶

法条競合と包括一罪の罪数論的意義 はじめに

日 従 来 の 罪 数 学 説

口構成要件標準説の意義︵以上二巻一号︶

法条競合論の再構成

日法条競合の本質︵以上二巻二号︶

口法条競合の現象形式︵以上本号︶

包括一罪の類型化

おわりに

六 五

4‑1‑65 (香法'84)

(2)

ところで︑現在の多くの学説は︑特別関係︑補充関係等の四つの関係を︑法条競合の﹁場合﹂ないし﹁種類﹂とし が問われなければならない︒ 当

た っ

て ︑

しかし︑学説の中には︑択一関係は法条競合の場合ではないとし︑法条競合としては︑特別関係︑補充関係︑吸収

(l ) 

関係という三つの場合に限定するものも多い︒また︑さらに︑補充関係を否定し︑法条競合として︑特別関係と吸収

( 2 ) ( 3 )  

関係のみを認めるものもあれば︑吸収関係を否定し︑特別関係と補充関係のみを認めるものもある︒一方︑それらの

個々の関係の中に︑具体的に如何なる事例を含ませるかについても︑学説上一致しておらず︑例えば︑いわゆる不可

(4 )

5 3

)  

罰的事後行為は︑多くの場合︑法条競合の吸収関係とされているが︑これを補充関係とするものもあれば︑法条競合

( 6 ) ( 7 )  

における独自の類型として論ずるものもある︒さらに︑これは︑法条競合ではない一罪の場合であるとするものもあ

(8 ) 

り︑我国では︑それを包括一罪として把握する学説も近時有力になりつつある︒このように︑法条競合の分類とその

内容については︑学説上区々に分かれているのが現状である︒そこで︑如何なるものが法条競合となるかを考えるに

まず︑従来からあげられる︑特別関係︑補充関係等の四つの関係は︑そもそも何を意味するものであるか

といわれている︒

法条競合の現象形式

四つの関係の意義 口

法条競合の場合として︑通常︑四つの関係があげられる︒すなわち︑特別関係

( S p e

z i a l

i t a t

)

補 充

関 係

( S u b

s i d i

a r i t

a t )

吸収関係

( K

o n

s u

m t

i o

n )

︑択一関係

( A l t

e r n a

t i v i

t a t )

である︒そして︑特別関係の場合︑﹁特別法は一般法を排除す

る ﹂

( L

e x

s p e c

i a l i

s   d

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o g

a t

  l e g

g e i  

n e r a

l i )

︑神叩充関係の場合︑﹁基本法は補充法を排除する﹂

( L

e x

p r

i m

a r

i a

  d e

r o

g a

t  

l e g i

u b   s

s i d i

a r i a

e )

︑吸収関係の場合︑﹁吸収法は被吸収法を排除する﹂

( L

e x

c o

h s

u m

e n

s   d

e r

o g

a t

  l e g

i   c

o n

s u

m p

t a

e )

 

六 六

4‑1‑66 (香法'84)

(3)

法条競合と包括一罪(三)(虫明)

関係が存在することを認めているものと思われる︒

六 七

(9 )

1 0 )

 

てあげ︑これらを︑法条競合の﹁形式

( F o r m )

﹂ないし﹁現象形式

( E

r s

c h

e i

n u

n g

s f

o r

m )

﹂と考えている︒そして︑こ

のことは︑これらの関係が︑法条競合内における分類概念︑すなわち︑法条競合に対する下位概念と考えられている

( 1 1 )  

ことを意味している︒

この点に関して︑ホーニッヒは︑法条競合と四つの関係とを切り離して考えるという︑興味深い見解を示している︒

すなわち︑ホーニッヒによると︑特別関係︑補充関係等の四つの関係は︑異なる刑罰法規相互の関係に関する基準で

( 1 2 )  

あり︑外見上当てはまる法規の一方又は他方の適用を排除するという作用をもつものであって︑﹁特別関係︑補充関係︑

吸収関係︑択一関係という解釈基準

( A

u s

l e

g u

n g

s r

e g

e l

)

は︑一般に示されているように︑法条競合の下位事例なので

( 1 3 )  

はなく︑反対に︑法条競合が︑それらの原則の適用事例にすぎない﹂とされるのである︒これは︑結局︑法条競合以

外にも︑特別関係︑補充関係等の四つの関係は認められることを示したことに他ならない︒もっとも︑この見解は︑

( 1 4 )  

ホーニッヒが︑法条競合を一個の行為の場合に限定することから︑数個の行為が存在するために法条競合とはなりえ

ない︑不可罰的事前

1

1

事後行為の一罪性を基礎づけようとして導かれた帰結であった︒すなわち︑不可罰的事前

11

後行為は︑法条競合の場合ではなく︑四つの関係として表わされる解釈基準によって一罪性が決定されるものであり︑

( 1 5 )  

﹁法条競合と同格のもの﹂とされるのである︒そして︑ホーニッヒ以外にも︑法条競合を一個の行為の場合に限定し︑

不可罰的事前

11

事後行為等の数個の行為が存在する場合は︑法条競合の一事例とみず︑補充関係︑吸収関係等の観点

( 1 6 )  

から一罪性が認められるとする学説も多く︑これらは︑同じく︑法条競合以外の場合にも︑補充関係︑吸収関係等の

以上の見解は︑

そもそも︑法条競合を一個の行為の場合に限定することから主張されるものであるが︑そのような

( 1 7 )  

前提自体に問題があることは前に述べた通りである︒しかし︑反面︑例えば︑特別関係として疑いのない尊属殺人罪

4‑1‑67  (香法'84)

(4)

で は

と普通殺人罪も︑また︑一般に補充関係とされる殺人未遂罪と殺人既遂罪も︑場合によっては︑観念的競合にも併合

( 1 8 )  

罪にもなりうることを考えると︑特別関係︑補充関係等の四つの関係は︑法条競合以外の場合にも見出すことができ

るとする点は首肯できる︒もっとも︑ホーニッヒは︑補充関係︑吸収関係︑択一関係は︑法条競合ではない不可罰的

( 1 9 )  

事前

11

事後行為としても現われることを示したにすぎないが︑それらの関係は︑特別関係も含めて︑さらに広く︑あ

らゆる種類の罪数形態をとりうるものといわなければならない︒この点︑ホーニッヒの見解は︑狭すぎるものであっ

このように考えると︑特別関係等の四つの関係は︑多くの学説が考えているように︑法条競

合の下位概念ととらえることは妥当でなく︑ さらに︑法条競合の現象形式として表わすことも不適当であることにな

る︒すなわち︑法条競合と四つの関係とは︑全く別の概念であるといわなければならない︒

一体︑特別関係︑補充関係等の四つの関係は︑如何なる意義をもつものであろうか︒これについては︑ホー

( 2 0 )  

ニッヒのように︑一方の刑罰法規が他方の刑罰法規の適用を排除する機能をもつとするものもあれば︑実際上何の機

( 2 1 )  

能もなく︑単に法条競合の分類としての意味しかもたないとするものもある︒しかし︑上述のように︑特別関係等の

と も

い ︒

む し

ろ ︑

四つの関係と認められる刑罰法規も︑法条競合のみでなく︑あらゆる罪数形態をとりうるものと考えると︑ホーニッ

ヒのいうような排除機能を認めることはできないし︑法条競合の分類としての意味もないといわなければならない︒

すなわち︑これら四つの関係は︑単に︑特別法と一般法︑基本法と補充法︑吸収法と被吸収法等の︑刑罰法規相互の

( 2 2 )  

関係を示すに止まり︑この意味で︑単なる抽象的な﹁関係﹂概念にすぎないのではなかろうか︒従って︑また︑﹁特別

法は一般法を排除する﹂︑﹁基本法は補充法を排除する﹂︑﹁吸収法は被吸収法を排除する﹂という排除機能は︑少なく

一般的に︑特別関係︑補充関係︑吸収関係という﹁関係﹂概念自体から派生するものと考えるのは妥当ではな

( 2 3 )  

そのような排除機能は︑それらの﹁関係﹂概念とは別の︑法条競合自体の効果と考えるべきである︒ たといえよう︒そして︑

六八

4 ‑ 1‑68 (香法'84)

(5)

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(lll)

︵笞壬︶

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母)臣〇ロ益戸

達田廿選・垢~~坦さ8::::(苦正臣臣母)ヰばギlrn:::j¥L‑'Maurach‑Gossel‑Zipf,Strafrecht, Alig. Teil, Teilband 2, 5. Aufl., 1978, 

S. 315ff. ; Jescheck, Lehrbuch des Strafrechts, Alig. Teil, 3. Aufl., 1978, S. 600ff. ; Baumann, Strafrecht, Alig. Teil, 8. Aufl., 

1977, S. 691ff.; Schmidhauser, Strafrecht, Allg. Teil, 2. Aufl., 1975, S. 73lff.; Eser, Strafrecht II, 3. Aufl., 1980, S. 229ff.; 

Geerds, Zur Lehre von der Konkurrenz im Strafrecht, 1961, S. 179ff. ; Vogler, Strafgesetzbuch, Leipziger Kommentar, 10. 

Aufl., 5. Lieferung, 1978, S. 36ff. ; Samson, Systematischer Kommentar zum Strafgesetsbuch, Bd. 1, Alig. Teil, 2. Aufl., 1977, 

S. 375ff. 

(N) M.E. Mayer, Der allgemeine Teil des deutschen Strafrechts, 2. Aufl., 1923, S. 501ff. ; Mezger, Strafrecht, 3. Aufl., 1949, S. 

471ff. ; Lent, Die Gesetzeskonkurrenz im btirgerlichen Recht und Zivilprozess, 1912, S. 9ff. 

(M) Schonke‑Schrooer (Stree), Strafgesetzbuch, Kommentar, 20. Aufl., 1980, S. 598ff. ; Hippe!, Deutsches Strafrecht 2, 1930, S. 

523ff.; U. Klug, Zurn Begriff der Gesetzeskonkurrenz, ZStW., Bd. 68, 1956, S. 414ff. 

(-.::I')芭凄誓栄・臣坦賑聡蕊浬〔封口器〕(苦品ば臣母)臣1兵口益\L-'-K~U・臣坦軍塞(霙縄)(聟~)(苦品ば〇母)11I 111直益¥L‑'

華田社・涵堵臣坦甜縄(苦品ば1母)1111臣寓益戸澄知«~・臣坦鯉瑯蕊縄(羞品ば〇母)11

Ii

賦描'Jescheck,a.a.O., S. 602f. ; 

Vogler, a.a.O., S. 45ff.; Samson, a.a.O., S. 378f.; Geerds, a.a.O., S. 205ff. usw. 

(i.n) Schonke‑Schroder (Stree), a.a.O., S. 600; R. Schmitt, Die Konkurrenz im geltenden und ktinftigen Strafrecht, ZStW., Bd. 

75, 1963, S. 55; Stratenwerth, Strafrecht, Alig. Teil I, 2. Aufl., 1979, S. 323; H. Mayer, Strafrecht, Allg. Teil, 1953, S. 413. 

浜溢呼︶ (Voo

│IIV  69 

K 兵

(6)

や O

((.0) Preisendanz, Strafgesetzbuch, 29. Aufl., 1975, S. 221. 

(i:‑) Maurach-Gossel•Zipf, a.a.O., S. 337 Baumann, a.a.O., S. 709; Mosl, Strafgesetzbuch, Leipziger Kommentar, 9. Aufl., 4. 

Lieferung, 1970, S. 21 usw. 

(00) 

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盆群1• ¢ 坦謡縄::::(苦品ば0母)自11菰益\L-'溢*~謳・「器姦縄」~~¢坦竪函掘111都(皆品ば目母)

1・ロ唄臣坦霙縄(智品ば111母)ば01llim: 帥゜

(O'>)回遜・活凜攣臣110直,

‑K

藤・i忌翠釦1111111嵐'嘩田・苺喪璽

I

I屯Ilim:裔Baumann,a.a.O., S. 691. 

ぼ)ヨ~.i忌寂涸以工1lim:'Geerds, a.a.O., S. 176 Preisendanz, a.a.O., S. 221 Schmidhauser, a.a.O., S. 730 Bockelmann, 

Strafrecht, Allg. Teil, 3. Aufl., 1979, S. 257. 

(;::::) Vgl. Honig, Straflose Vor‑und Nachtat, 1927, S. 4. 

(~) Honig, a.a.O., S. 11. 

ぼ)Honig, a.a.O., S. 12. 

(;:!;) Honig, a.a.O., S. 1. 

ほ)

Honig, a.a.O., S. 12. 

ぼ)Baumann, a.a.O., S. 711 f.; M.E. Mayer, a.a.O., S. 512; Wessels, Strafrecht, Allg. Teil, 10. Aufl., 1980, S. 178; Lackner, 

Strafgesetzbuch, 12. Aufl., 1978, S. 238; Frank, Das Strafgesetzbuch filr das Deutsche Reich, 18. Aufl., 1931, S. 241f. 

Gerland, Deutsches Reichsstrafrecht, 2. Aufl., 1932, S. 213. 

(~)曲三坦牲11@11I1 iくは4¾,\匪゜

(芝)~::::坦牲I1l曲II臣ロ益)L-4¾,\匪゜

ぼ)Honig, a.a.O., S. 115. 

(~) Honig, a.a.O., S. 11 vgl. Schonke‑Schroder (Stree), a.a.O., S. 598 Vogler, a.a.O., S. 36 Sam on, a.a.O., S. 37 4. 

ば)Stratenwerth, a.a.O., S. 320; Geerds, a.a.O., S. 177. 

(斜)V gl. Binding, Handbuch des Strafrechts, Bd. 1, 1885, S. 349ff. Beling, Die Lehre vom Verbrechen, 1906, S. 303ff. 

(笈).lJ~、~rl\'~ヽ忍もヨ※・菰任匡癒駆岱'淀戻~~S「~~」皿社如挑誕忌足ふ心•1-<'~菜旦感‑OtJll迅祖S匝l起如念献心1"'l',Q芯'

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ヨ圭

函守如︶ (Voo

│IIt  OL 

(7)

法条競合と包括一罪(三)(虫明)

特別関係は︑法条競合の最も基本的なものとして︑占来より認められてきたものであるが︑端的にいうと︑ニ 特別関係

つの刑罰法規が一般法•特別法の関係にある場合に認められる。この特別関係のより明確な定義として、ホーニッヒ

(3 ) 

は︑﹁特別法の中に一般法の全ての構成要件要素を含んでおり︑しかもなお︑一個又は数個の特別な要素を含んでいる﹂

場合という基準を示し︑多くの学説の支持するところとなっている︒これは︑構成要件の概念要素の分析から︑構成

要件の内包における包摂関係の認められる場合を特別関係と把握しようとするものである︒それに対して︑

U

・ク

ークは︑特別関係を︑構成要件相互の概念関係として﹁包摂﹂の関係にある場合︑すなわち︑﹁概念

A

に属するすべて

(6 ) 

の事柄が︑概念

B

にも属するが︑その逆は成立しない場合﹂と定義する︒これは︑構成要件の外延における包摂関係

の認められる場合を特別関係とするものである︒従って︑前者の定義によると︑特別法が一般法を包摂することにな

り︑後者の定義によると︑一般法が特別法を包摂することになるという違いが出てくる︒しかし︑いずれも構成要件

の包摂関係のある場合を特別関係とする点で一致しており︑両者は視点の相違にすぎないといってよい︒しいていう

ならば︑特別法に該当する全ての場合は一般法に該当するが︑その逆はいえないということは︑特別法が一般法のす

べての要素を含んでおり︑さらに一個又は数個の特別な要素を含んでいるからであり︑

U

・クルークの定義は︑ホー

(7 ) 

ニッヒの定義からくる効果を示したものということができる︒その意味で︑基本的には︑ホーニッヒの定義に従うべ

(8 ) 

きであるともいえよう︒もっとも︑特別関係の発見において︑場合によっては︑

U

・クルークの定義による方が理解

(2) 

条競合自体についてである︒

H i r s c h b e r g Z , ur   Le hr e  v

on e   d r  G e s e t z e s k o n k u r r e n z ,   ZS tW ., d   B

.   5

3,   19 34 , 

S .  

41 

山火・前掲論文

日四一頁以下︑鈴木・前掲論文二八八頁︒なお︑香川法学二巻二号一八頁以下参照︒

4‑1‑71  (香法'84)

(8)

しやすいものもあり︑明確性の点ではいずれも優劣がつけがたいと思われる︒

このように︑特別関係を︑基本的に︑構成要件相互にその内包における包摂関係の認められる場合と定義すると︑

これは︑構成要件を抽象的に比較することによって︑論理的に決定できることになる︒そして︑これは︑主として︑

( 1 0 )  

基本構成要件と加重構成要件又は減軽構成要件との間に認められる︒すなわち︑基本構成要件と加重構成要件とは︑

( 1 1 )  

具体的には︑我国では︑普通殺人罪と尊属殺人罪︑単純横領罪と業務上横領罪等であり︑ドイツでは︑故殺罪

( 1 2 )  

(T ot sc hl ag )  (§ 21 2  S tG B)

と謀殺罪

(M or d) (§ 21 1  S tG B)

︑単純窃盗罪

(§ 24 S2 tG B)

と持凶器窃盗罪

(§ 24 4S tG B)

( 1 3 )  

単純傷害罪︵て

22 3S tG B)

と加重傷害罪︵て

22

4S

tG B)

等である︒また︑基本構成要件と減軽構成要件とは︑我国で

( 1 4 )  

は︑例えば︑殺人罪と嘱託.承諾殺人罪︑窃盗罪と森林窃盗罪等であり︑ドイツでは︑単純窃盗罪︵て

24 2S tG B)

( 1 5 )  

困窮窃盗罪︵て

24 8a a•

F.   St GB )

又は消費窃盗罪︵ァ

37 0N 

i f f .  

a . F .   St GB )

故 殺

罪 ︵

21 2S tG B)

と嘱託殺人罪

( 8

21 6  S tG B)

又は嬰児殺人罪

(§ 21 7 St GB )

等である︒これらの場合︑いずれも︑基本構成要件に何らかの加重的要

素又は減軽的要素が付加されて︱つの特別構成要件が形成されているのであり︑当然︑後者の構成要件の内包は︑

前者の構成要件の内包を包摂しており︑これを特別関係と考えるにつき何の支障もない︒また︑同様の観点から︑い

( 1 8 )

1 9 )  

わゆる結合犯とそれに含まれる構成要件︑及び︑結果的加重犯とその基本犯との間にも特別関係が認められる︒

ところで︑特別関係は︑構成要件の内包における包摂関係のある場合であるから︑特別法に該当する事実が発生す

れば︑必然的に︑一般法にも該当しているという現象が生ずる︒すなわち︑例えば︑尊属殺人罪に該当する事実が発

生すれば︑必然的に︑普通殺人罪にも該当しており︑嘱託殺人罪に該当する事実が発生すれば︑必然的に︑普通殺人

罪にも該当しているわけである︒これらの場合︑尊属殺人罪又は嘱託殺人罪と︑普通殺人罪との両者の犯罪の成立を

認めると︑具体的事実に対する二重評価となることは明らかである︒従って︑ここに法条競合の存在を認識できるの

4‑1‑72 (香法'84)

(9)

法条競合と包括一罪(三)(虫明)

こ う

し て

( 7

)  

本質的に法条競合の認められるものであったということが確認できる︒

(1)山火•前掲論文日二四頁、村崎・前掲論文四0頁参照。

( 2

)

小野清一郎・新訂刑法議義総論︵昭和︱一三年︶二六六頁︑大塚・前掲書三ニニ頁︑福田・前掲書ニニ四頁︑平野・前掲書四一

0

頁 ︑

鈴木・前掲論文二八七頁等︒

( 3

)  

H o n i g ,   a . a . O . , S .     1 9 .   (4)山火•前掲論文H二七頁、村崎・前掲論文四七頁、鈴木・前掲論文二八七頁、不破武夫11井上正治・刑法総論(昭和五六年)ニ―

九頁

︑ M e z g e r a . , a . O . S . ,     4 7

2   ; 

Ba um an n,   a. a . O . , .     S 6 9

1   ; 

J e s c h e c k ,   a . a . O . ,   S .   6 0

0 ; S   am so n,   a . a . O . , .     S 3 7 5 ;  

E s e r ,   a . a . O . S . ,     2 2 9   ;  L e n t ,   a . a . O . S . ,     1 2 ;   B l e i S ,   t r a f r e c h t  

I,

 A l

l g .   T e i l 1 7 ,   .   A u f l . , 1   9 7 7  

̀ 

S .

  3 2 2 .   (5)U•

K l u g ,   a . a . O . ,   S .   4 1 4 .   (6)U•

K l u g ,   a . a . O . ,   S .   4 0 4 .  

ここから︑両者の定義を併用して説明する学説もある︒

J e s c h e c k , a . a . O . S . ,     6 0 0 ;   W e s s e l s ,   a . a . O . ,   S . 1 7 6 ;   v g l .   V o g l e r , . a   a . 0 . ,   S .   3 7

;   M o s l ,   a . a . O . ,   S . 1 7 .  

( 8 )

山火・前掲論文日二六頁以下︑村崎・前掲論文四四頁参照︒

( 9

)

高田・前掲書五五七頁︑不破

1

井上・前掲書ニ︱九頁以下︑荘子邦雄・刑法総論︹新版︺︵昭和五六年︶七九四頁︑山火正則・刑1

法②総論

1 1

︵有斐閣双書︶︵昭和五二年︶︱‑八頁︑吉川経夫・改訂刑法総論︵昭和四七年︶二七五頁︑

M . E . Ma ye r,   a. a . O . , .     S 5 0

5   ; 

M e z g e r ,   a . a . O . ,   S .   4 7 1

;   Ba um an n, . a   a . O . ,   S .   6 9 3

;   B l e i ,   a . a . 0 . S . ,     3 2 2 ;   H o n i g ,   a . a . O . ,   S .   2 3 ;   S a u e r ,   A l l g e m e i n e   S t r a f r e c h t s l e

h   , 

r e ,   3 .   A u f l . ,   1 9 5 5 S . ,     2 3 9

;   L i s z t   , S c h m i d t ,   L eh rb uc h  d e s   D e u t s c h e n   S t r a f r e c h t s ,   2 6 .   A u f l . ,   1 9 3 2 S . ,     3 5 7 .  

( 1 0 )

但し

︑ O t t o G , ru nd ku rs   S t r a f r e c h t ,   Al l g e m e i n e   S t r a f r e c h t s l e h r e ,   1 9 7 6 S . ,     2 7 6 は︑これを疑問視する︒

( 1 1 )

高田・前掲書五五七頁以下︑荘子・前掲書四七

0

頁注

( 1

) ︑不破

1

1井上・前掲書ニ︱九頁等参照︒

重評価という観点から︑

従 来

多くの学説によって︑ 法条競合の特別関係としてあげられてきた事例は︑

で あ

り ︑

特別法たる尊属殺人罪又は嘱託殺人罪の一罪が成立するのである︒

具体的事実に対する

4 ‑1‑73 (香法'84)

(10)

付加されて第一の加重又は減軽構成要件が形成され︑ 件とが競合する場合に︑ 別関係の認められることの明らかな場合は問題はない︒

す な

わ ち

法条競合が認められるであろうか︒

( 1 2 )

但し

k l ︑ u s i v i U i t

)   L i

s z t   , S

c h m i d t ,   a . a . O . ,   S .   3 5 8 は ︑ の場 合と する

基本構成要件と加重・減軽構成要件が︑

に対する二つの加重構成要件が競合する場合︑

も っ

と も

加重構成要件相互又は減軽構成要件相互に特

基本構成要件に何らかの加重事由又は減軽事由が

それに何らかの加重事由又は減軽事由が付加されて第二の加重 減軽構成要件相互が競合する場合︑

及 び

法条競合となりうることは上述した通りであるが︑

( 1 3 )

V  

g l .   G e e r d s ,   a . a . O . ,   S .   1 9 5 f t

.   ; 

E s e r ,   a . a . O . S . ,     2 2 9

  ; K

o h l e r , i   D e   G r e n z l i n i e n   z w i s c h e n   I d e a l k o n k u r r e n z   u nd   Ge s e t z e s k o n k u r

  , 

r e n z 1 9 ,   0 0 ,   S .   1 2 4 f t .  

( 1 4 )

高田・前掲書五五七頁︑山火・前掲論文

H

二八頁以下︑平野・前掲書四一

0

頁等

参照

( 1 5 )

現行ドイツ刑法典では︑竺

2 4 8 a

は改正され}

3 7

0 は削除されている︒

( 1 6 )

V  

g l .   G e e r d s ,   a . a . O . ,   S .   1 9 8 f .

  ; E s

e r ,   a . a . O . ,   S .   2 2 9

;   K o h l e r ,   a . a . O . ,   S .   1 1 6 f f .  

( 1 7 )

村崎博士は︑特別関係においても︑可罰的違法内容の包摂を問題とされるので︑基本構成要件と減軽構成要件の間に特別関係を認

めない︒村崎・前掲論文四九頁以下参照︒

( 1 8 )

高田・前掲書五六四頁以下︑山火・前掲論文

H

四一

頁︑

Ba um an n, a . a . O . ,   S .   6 9 2

  ; S

c h m i d h a u s e r ,   a . a . O . , .     S

7 3 1   ; 

R i p p e l ,   a . a . O . ,   S .   5 2 4   A nm

.  1 ; 

V o g l e r ,   a . a . O . ,   S .   3

7   ; 

S a u e r , . a   a . O . ,   S .   2 3

1   ; 

K o h l e r ,   a . a . O . ,   S .   1 4 2 f

f .   ; 

W e l z e l ,   Da s  D e u t s c h e   S t r a f r e c h t ,   1 1 .   A u f l . ,   1 9 6 9 S . ,     2 3 4 .  

( 1 9 )

結合犯を吸収関係としてあげるもの二平野・前掲書四︱一頁︑内田文昭・刑法I

︵総 論︶

︵昭 和五 二年

︶三 二三 頁︑ M a u r a c h ' G o s s e l

Z i p f a . ,   a . O . ,   S .   3 1

7   ; 

F r a n k ,   a . a . O . , .     S 2 3 2

H   ; 

ir 咎 h b e r g , a . a . O . ,   S .   4

4   ; 

D r e h e r   , T r o n d l e ,   S t r a f g e s e t z b u c h   u nd   N e b e n g e s e t z e ,   3 9 .   A u f l . ,   1 9 8 0 S . ,     2 7 1 .  

これを択一関係とし︑

L e n t .   a . a . O . S . ,     4 1 f .   は ︑

同一基本構成要件

加重構成要件と減軽構成要

これを法条競合ではなく︑排他性

(E x

七四

4 ‑ 1‑74 (香法'84)

(11)

法条競合と包括一罪(三)(虫明)

場合は問題である︒

七 五

又は減軽構成要件が形成されている場合には︑第二の加重又は減軽構成要件に該当する事実が発生すれば︑必然的に︑

基本構成要件及び第一の加重又は減軽構成要件にも該当しており︑これらが法条競合となりうることは疑いない︒こ

のように︑加重又は減軽の方向が同一である場合は別として︑異なる方向における加重又は減軽構成要件が競合した

まず︑加重構成要件相互が競合した場合について考察する︒この問題については︑ ドイツにおいて︑判例と学説の

対立がみられる︒すなわち︑判例は︑法条競合を認める傾向にあり︑例えば︑単純傷害罪︵を

223

S t

G B

)

に対する加

重構成要件としての︑危険な傷害罪︵て

223a

S t

G B

)

と加重傷害罪︵竺

224

S t

G B

)

との競合︑自己の保護下にある者

に対する虐待の罪

(§223b

S t

G B

)

と傷害致死罪︵て

226

S t

G B

)

との競合の場合や︑単純強盗罪︵ァ

249

S t

G B

)

に 対

する加重構成要件としての︑加重強盗罪︵セ

250

S t

G B

)

と強盗致死罪︵ぞ

251

S t

G B

)

との競合の場合等に︑重い犯罪

( 6 )  

のみの成立を認めている︒それに対して︑学説は︑これらの事例につき︑判例の立場を支持するものもあるが︑むし

ろ︑観念的競合とするものの方が有力である︒そして︑その理由は︑もしこの場合を法条競合として一個の犯罪のみ

(8 ) 

の成立を認めると︑﹁他の加重事由が充足されていることを明らかにすることができ﹂ず︑﹁適用されない法規の特別

(9 ) 

な不法内容が失われてしまう﹂からである︒従って︑この問題については︑﹁一方の加重事由の犯罪的無価値が︑他の

加重事由によってすでに完全にくみつくされているか︑又は︑他の構成要件の無価値以外にまだ存在するかどうかと

( 1 0 )  

いうことによって決定される﹂といわれるのである︒しかし︑ここでも︑不法内容を考慮する以前に︑具体的事実に

対する構成要件的二重評価の存否という観点から︑法条競合となるか否かを決定しうると思われる︒

ところで︑我国では︑強盗致死罪と尊属傷害致死罪とが競合した場合が︑加重構成要件相互の競合と考えられるの

で︑これを素材として︑この問題を考えてみよう︒すなわち︑傷害致死罪を基本構成要件と考えると︑強盗致死罪は︑

4‑1‑75 (香法'84)

(12)

( 1 1 )  

主体が強盗であるという加重事由が付加されて形成されたものであり︑

という加重事由が付加されて形成されたものとみることができる︒そして︑

ら形成された加重構成要件であるといわなければならない︒しかも︑強盗致死罪を規定した刑法二四

0

条は

強盗尊属傷害致死罪という構成要件をも規定したものと解釈することは困難であろうし︑また︑反対に︑尊属傷害致

死罪を規定した刑法二

0

五条二項も︑そのような構成要件をも規定したものと解釈することは不可能であろう︒その

結果︑例えば︑強盗が尊属を傷害し︑死に至らしめたという事実が発生した場合は︑主体が強盗であるという点は強

盗致死罪でしか評価できず︑

両者による評価を行っても︑二重評価になるわけではない︒ここから︑この場合は︑法条競合とならず︑観念的競合

が成立すると考えるのが妥当であろう︒

このように︑異なる方向における加重構成要件が競合した場合︑法条競合の成否は︑

法条競合にもなりうるし︑ 含めて規定したものと解釈できるか否かにかかっているといってよい︒すなわち︑そのような解釈が可能であるなら︑

そのような解釈が不可能であれば︑法条競合にはなりえず︑原則として観念的競合となる

と思

われ

る︒

また︑客体が尊属であるという点は︑尊属傷害致死罪でしか評価しえないことになり︑

次に︑同一の基本構成要件に対する二つの減軽構成要件が競合した場合について考えてみよう︒この場合について

も︑ドイツでは︑学説上の対立がある︒すなわち︑ゲールズは︑現行刑法典上はすでに改正又は削除されたものであ

るが︑困窮窃盗罪︵て

2 4 8 a a . F .   S t G B )

と消費窃盗罪︵夕370

if f.

 

a . F .   S t G B )

との競合に関し︑例えば︑困窮から

少量の食料品を即時に消費するために奪った場合︑両構成要件に該当するが︑一方が他方を必然的に前提としていな

( 1 3 )  

いため︑特別関係は認められず︑結局︑両者によって処罰されるとする︒この見解は︑異なる方向における減軽構成 一方の法規が他方の法規をも

いわば

このように︑両者は︑全く異なる趣旨か 一方︑尊属傷害致死罪は︑客体が尊属である

七 六

4 ‑ 1 ‑76 (香法'84)

(13)

法条競合と包括一罪(三)(虫明)

要件が競合した場合は︑観念的競合を認めようとするものであるが︑

で処罰されることになり︑他方のより軽い減軽構成要件︵消費窃盗罪︶の意味が失われてしまうのではないかという

( 1 4 )  

疑問が生ずる︒そこから︑多くの学説は︑最も軽い刑罰を適用しようとするが︑その理由はまちまちである︒まず︑

( 1 5 )  

ベーリングは︑この場合︑﹁数個の減軽類型は︑相互に︑いわば裏がえされた観念的競合の関係にある﹂とし︑﹁構成

( 1 6 )  

要件は両者とも確定されるが︑軽い刑が重い刑を吸収する﹂としている︒しかし︑﹁軽い刑が重い刑を吸収する﹂とい

う 結

論 は

にわかに賛成しがたい︒この点ベーリングは︑

( 1 7 )  

するものとするが︑なお根拠薄弱といわざるをえない︒

七 七

そうすると︑結局重い方︵困窮窃盗罪︶

これを観念的競合の規定

(§73

a . F .

  S

t G

B )

 

の刑罰

の趣旨に合致

一方︑ヒッペルは︑同じ事例につき︑﹁困窮窃盗罪に関する規

定は︑窃盗罪を軽く処罰すべきものであるが︑困窮からの消費窃盗罪を重く処罰すべきものではない﹂とし︑困窮窃

( 1 8 )  

盗罪は消費窃盗罪に対して補充的であり︑この場合︑最も軽い法律である消費窃盗罪のみが適用されるとする︒しか

し︑この見解に対しても︑重い規定の方が軽い規定に対して補充的であるという結論を︑

確かに︑ドイツ刑法典旧規定における︑困窮窃盗罪と消費窃盗罪との関係については︑多くの学説の認めるように︑

消費窃盗罪に該当する行為を︑それが困窮により行われたという理由で︑重い困窮窃盗罪で処罰するのは妥当といえ

いわば困窮消費窃盗罪という構成要件をもあわせて規定した

ものと解釈することはできないからであり︑反対に︑消費窃盗罪の規定は︑そのような構成要件をもあわせて規定し

( 1 9 )  

たものと解釈できるからではなかろうか︒このように考えると︑例えば︑困窮から少量の食料品を即時に消費するた

めに奪った場合には︑困窮窃盗罪と消費窃盗罪との両構成要件に該当するが︑後者は前者をも含めて規定していると

解釈できるため︑両方の犯罪の成立を認めると二重評価になり︑法条競合として︑両者を包摂している軽い消費窃盗 ないであろう︒これは要するに︑困窮窃盗罪の規定は︑ ないといわなければならない︒ 一般的に認めることはでき

4‑1‑77 (香法'84)

(14)

( 2 6 )  

一方︑この場合︑端的に減軽法が優先することを認め︑それを︑﹁軽い構成要件の阻止作用﹂と呼ぶものもある︒し

かし︑例えば︑故殺罪︵て

212

S t G B )

を基本構成要件として︑その加重構成要件である謀殺罪︵竺〜

1 1  

S t G B )

と︑減

4

0

罪の一罪が成立すると考えてよい︒このように︑異なる方向における減軽構成要件が競合した場合にも︑ をも含めて規定したものと解釈できるか否かで︑法条競合の成否が決せられるといってよい︒そして︑そのような解

( 2 0 )  

釈が不可能な場合には︑原則として︑観念的競合となることは認めざるをえない︒

ところで︑我国では︑減軽構成要件の競合の場合として︑森林窃盗罪と親族相盗例との関係があげられている︒そ

して︑この場合︑特別関係が否定され︑これはむしろ罪数問題ではなく︑森林窃盗罪にも刑法二四四条が適用できる

( 2 2 )  

かどうかという︑適用問題であるとされる︒しかし︑親族相盗例は︑窃盗罪についての一身的刑罰阻却事由を定めた

ものであって︑窃盗罪に対する減軽構成要件ではない︒従って︑この場合を減軽構成要件の競合の事例としてあげる

( 2 3 )  

のは︑妥当でないといわなければならない︒

の場合についても︑

では︑次に︑同一基本構成要件に対する加重構成要件と減軽構成要件が競合した場合について考察してみよう︒こ

ドイツの学説は区々に分かれている︒まず︑

認めるが︑加重類型の刑罰と基本犯の刑罰との差と︑減軽類型の刑罰と基本犯の刑罰との差を比較して︑前者の方が

後者より大きいときは観念的競合として重い方の刑が適用されるとし︑反対の場合には︑﹁裏がえされた観念的競合﹂

として軽い方の刑が適用されるとする︒また︑ ヘプナーは︑加重事由による刑の加重作用と︑減軽事由による刑の減

軽作用との両者を考慮することから︑加重犯の刑の枠と減軽犯の刑の枠との重なり合う部分の刑を科すべきものと主

張する︒しかし︑いずれの見解も︑きわめて技巧的であり︑そのような刑の形成が論理的に出てくるものとは思えな ベーリングは︑この場合にも︑二つの犯罪の成立を

七 八

一 方

が 他

4 ‑ 1 ‑78 (香法'84)

(15)

法条競合と包括一罪(三)(虫明)

のではなかろうか︒ 軽構成要件である嬰児殺人罪︵て

217

S t G B )

とが競合した場合に︑軽い犯罪のみの成立を認めることは是認できるか

もしれないが︑例えば︑窃盗罪を基本構成要件として︑その加重構成要件である強盗罪と︑減軽構成要件である消費

( 2 7 )  

窃 盗

罪 ︵

370

Z i f f .  

a . F .   S t G B )

とが競合した場合にも︑軽い犯罪の成立のみを認めてよいかは疑問である︒従っ

て︑原則的に︑﹁軽い構成要件の阻止作用﹂を認めるのは︑妥当とは思えない︒そこで︑ゲールズは︑﹁軽い構成要件

の阻止作用﹂を一応認めつつも︑それを︑同一の基本構成要件についての特別構成要件に関する場合に限定しようと

する︒すなわち︑例えば︑浮浪者がある家の台所に侵入し︑即時の消費のために食料品を奪った場合︑侵入窃盗罪

(8

243 

A b s .  

i f f .

 

a . F .   S

t G B )  

七 九

一方が他方に対して適用できるかどう

と消費窃盗罪︵ァ

37

Z i f

f .  

a .

F .   S

t G B )

とが競合するが︑両者の基本構成要件は同一

( 2 9 )  

の窃盗罪であり︑この場合は︑減軽構成要件が優位を占めるとする︒それに対して︑例えば︑激しい食欲をもった行

為者が︑即時に消費するために︑暴力を用いて他人から果物袋をひったくった場合︑強盗罪と消費窃盗罪とが競合す

るが︑窃盗罪と強盗罪とは基本的に異なる種類のものであるとし︑軽い構成要件の阻止作用を認めず︑両者とも適用

されなければならないとする︒しかし︑加重構成要件と減軽構成要件が︑基本的に同じ種類のものであるかどうかの

区別は容易でなく︑同一の基本構成要件に関する場合であるか否かを基準とすることは︑不明確とならざるをえない

それに対して︑山火教授は︑加重構成要件と減軽構成要件が競合した場合︑

( 3 1 )  

かを問題にすべきであるとされる︒そして︑これによると︑例えば︑尊属殺人罪と嘱託・承諾殺人罪が競合した場合︑

すなわち︑嘱託.承諾を得て尊属を殺害した場合には︑嘱託.承諾殺人罪の規定が︑尊属殺人罪にも適用できるとい

( 3 2 )

3 3 )

 

う形で議論され︑結局︑この場合は刑法二 0 二条のみが適用されることになる︒しかし︑この事例においても︑尊属

殺人罪と嘱託.承諾殺人罪の両構成要件該当性が認められるのであり︑ここにやはり罪数問題が生ずるわけである︒

4‑1‑79 (香法'84)

(16)

たんに一方が他方に適用できるかどうかを問題にしても︑

ところで︑加重構成要件と減軽構成要件とが競合した場合も︑前述の︑加重構成要件相互の競合及び減軽構成要件

相互の競合の場合と同様に考えてよいと思われる︒すなわち︑例えば︑嘱託.承諾を得て尊属を殺害した場合は︑尊

属殺人罪と嘱託.承諾殺人罪との競合が問題になるが︑後者に関する刑法二 0 二条は︑いわば尊属に対する嘱託.承

( 3 5 )  

諾殺人罪をも規定したものと解釈できるため︑法条競合となり︑軽い嘱託.承諾殺人罪のみが成立する︒それに対し

( 3 6 )  

て︑例えば︑森林の産物に対する強盗行為は︑森林窃盗罪と強盗罪との構成要件該当性があるが︑前者の規定は後者

をも含めて規定しているとは解釈しがたく︑反対に︑後者の規定が前者をも含めて規定したものと解釈できるため︑

( 3 7 )  

法条競合として︑重い強盗罪のみが成立すると考えられる︒そして︑このように︑一方が他方をも含めて規定したも

のと解釈できないかぎり︑加重構成要件と減軽構成要件との競合も︑原則として︑観念的競合と考えざるをえないで

あ ろ

う ︒

( 3 4 )  

この罪数問題は解決されていないのではなかろうか︒

(1)このようなものとして、我国では、窃盗罪—_'強盗罪ー~習凶器携帯強盗罪(盗犯等防止法二条一号)の関係があげられ、ドイ

ツでは︑単純傷害罪︵竺223

St GB ) 

1加重傷害罪︵竺224

St GB ) 

│̲l傷害致死罪︵て226

St GB )

の関係があげられる︒なお︑

減軽構成要件についての同様の関係はみあたらない︒山火・前掲論文日三二頁︑三六頁︑村崎・前掲論文五

0

頁参 照︒

V g l . Ko hl ra us ch

  , L

an ge ,  S t r a f g e s e t z b u c h ,  

43 . 

A u f l . ,  

19 61 , 

S .  

25 2.  

( 2 )  

R G S t . , d   B .  

6 3

̀ 

 

S .   423; 

BGH 

N J

W .

,  

19 67 , 

S .  

29 7.  

( 3 )  

R G S t . , d   B .   7

0,

S .  

  3 57 . 

( 4 )  

BG HS t. ,  B d .   2

1,

S .  

  1 83 . 

( 5 )

その他︑危険な傷害罪と傷害致死罪につき︑

R G S t . , B d

.   3

6,

S .  

  277; 

R G S t . ,   B d .   7

4,

S .  

  309 243(3lp. 強盗罪と加重窃盗罪︵て

St GB )  につ き︑

BG HS t. , B d

.   2

0,

S .  

  2

35 . 

八 〇

4‑1‑80 (香法'84)

(17)

(111)

︵宙岳︶

誤ー垢団心如器咲坦

(<.0) Frank, a.a.O., S. 231 ; Welzel, a.a.O., S. 236 ; Preisendanz, a.a.O., S. 221 ; Binding, a.a.O., S. 527 ; R. Schmitt, a.a.O., S. 50. 

(i:‑‑) Schonke‑Schroder (Stree), a.a.O., S. 600; Vogler, a.a.O .. S. 38; ders., Funktion und Grenzen der Gesetzeseinheit, Fest‑

schrift fur Paul Bockelmann zum 70. Geburtstag, 1979, S. 724 ; Geerds, a.a.O .. S. 200; Samson, a.a.O., S. 375; Jescheck, 

a.a.O., S. 600; Kohlrausch‑Lange, a.a.O., S. 252; Hippel, a.a.O., S. 523 Anm. 6; Beling, a.a.O., S. 311; Wachenfeld, Theorie 

der Verbrechenskonkurrenz, 1893, S. 56; Hopfner, Einheit und Mehrheit der Verbrechen, Bd. 2, 1908, S. 116. 

(ao) Samson, a.a.O., S. 375. 

(a>) Jeschek, a.a.O., S. 600; Vogler, LK., S. 38; ders., Bockelmann‑Festschrift, S. 724. 

ぼ)Schonke‑Schroder (Stree), a.a.O., S. 599; Vogler, LK., S. 38; ders., Bockelmann‑Festschrift, S. 724. 

(::::::)~

11回〇咲旦泣芯1‑Q,「~I\菰入ぷミ」,JJ竺’唖f;:!,i-0苦水榮函如如洲戸令f;:!,"'f心や略しヒQ~!ll虹サ訊こ掟~.,;;;0"'./~J..i..1w

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心)ヨ~.i忌翌計農似こl匹]m('~富・

i

忌翠縄以ば〇直載邁姜゜

(~) Geerds, a.a.O., S. 199. 

(~) Binding, a.a.O., S. 527 ; Beling, a.a.O., S. 312f. ; Frank, a.a.O., S. 231 ; Hopfner, a.a.O., S. 118 ; Hippel, a.a.O., S. 523 Anm. 6 ; 

Welzel, a.a.O., S. 236. 

ぼ)Beling, a.a.O., S. 312f. 

ぼ)Beling, a.a.O., S. 313. 

(~) Beling, a.a.O., S. 313. 

(芝)Hippel, a.a.O., S. 523 Anm. 6. 

ぼ)莱螂お娃誤旦謡罪ヤ如ヒ捉ざ~t遥坦,00媒恕娃朕呈全器罪̲)¥Jこ心刈さ;,

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坦如︶

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(18)

( 2 2 )

山火・前掲論文曰三三頁︑村崎・前掲論文五三頁︒

( 2 3 )

もっとも︑森林窃盗罪と親族相盗例との関係については︑前者にも後者の適用があるかどうかという問題であるとする点に異論が

あるわけではない︒

ヘプナー自身も認めている︒

( 2 4 )  

B e l i n g a . ,   a . O . ,   S . 

3 1 3 .  

( 2 5 )  

H op fn er

̀ 

 

a . a . O . ,  

S.  1 1 7 .   なお︑刑の枠に重なりあう部分がない場合には︑困難が生ずることは︑

( 2 6 )  

M a u r a c h ' G o s s e l ' Z i p f ,   a . a . O . ,  

S.  3 1 7

  ; P r

e i s e n d a r 1 z  

̀ a .

a . O   ••

S.  2 2

1   ; 

v g l . O t   t o ,   a . a .

O   •.

S.  2 7 6 .  

( 2 7 )  

V g l .   G e e r d s  

̀ 

a .

a . O .

` 

 

S.

2 0  

l f .  

( 2 8 )  

G e e r d s ,   a . a . O . ,

S 

. 

2 0 2 .  

( 2 9 )  

G e e r d s .   a . a . O . , S   .  2 0 0 f .   なお︑ゲールズは︑この場合︑加重構成要件のみを適用すると︑減軽事由が考慮されなくなるのに対し︑

減軽構成要件に侵位を認めても︑侵人窃盗罪における加屯事由については︑別に︑住居侵人罪又は器物損壊罪についての処罰をざ またげないとする︒これは︑侵人窃盗罪と住居侵人罪又は器物損壊罪とが吸収関係︵随伴行為︶とされるためであろう︒

( 3 0 )  

G e e r d s ,

  a . a . O . ,

S 

. 

2 0 1 f .   なお︑村騎・前掲論文五

. .

.  

頁は︑とくに結合犯に対しては︑﹁減軽構成要件の科刑における阻止機能﹂を徹 底させることに疑問を呈しておられるが︑ゲールズと同趣旨であろう︒

( 3 1 )

山火・前掲論文

1こじ頁︒なお︑村崎・前掲論文五三頁以下参照︒V

g l . W   a c h e n f e l d ,   a . a . O . ,

S 

. 

5 3 .  

( 3 2 )

山火・前掲論文︵四

0

頁 ︒

( 3 3 )

村崎・前掲論文五.こ頁︑高田・前掲書五五九頁参照︒

( 3 4 )

なお︑我国では︑加重構成要件と減軽構成要件の競合の事例にも︑強盗罪と親族相盗例との関係があげられている︵村崎・前掲論 文五三頁︑高田・前掲書五五九頁︶が︑妥喝でないことは前述の通りである︒

( 3 5 )

ドイツにおける︑謀殺罪と嬰児殺人罪の競合の事例侵入窃盗罪と消費窃盗罪との競合の事例でも︑同様に考えてよい︒

( 3 6 )

村崎・前掲論文五四頁参照︒

( 3 7 )

ドイツにおける︑強盗罪と消費窃盗罪の競合の事例についても︑同様に考えてよいであろう︒これに対して︑山火・前掲論文(︱︱

1

八頁は︑﹁暴行を手段とし﹂行われた﹁少斌又は些細な価値の食料品﹂に対する侵害行布について︑そもそも消費物﹁窃盗﹂行為 と考えることはできないとされるが︑強盗行為についても窃盗罪の構成要件該崎性はあると解する限り︑この場合も消費窃盗罪の 構成要件該当性はあると考えるべきではなかろうか︒

‑ 1 ‑ 82 (香法'84)

(19)

法条競合と包括一罪(三)(虫明)

の法規に対する補充規定であることは条文上明らかである︒そこから︑従来︑

識できるものと把握されてきたのである︒しかし︑本質的に法条競合といえるかどうかは︑法条競合の本質と関連せ

( 1 2 )  

しめて︑具体的・個別的に検討する必要があると思われる︒ あげられている︒これらの場合︑いずれも︑当該規定で定められた刑罰は︑

!¥ 

これらの場合︑法条競合を疑いなく認 一定の場合には適用されず︑これらは他 二つの刑罰法規が基本法と補充法の関係にある場合であり︑他の法規が侵害さ

れていない場合に︑補充的にのみ一方の法規が適用される場合であるとされている︒また︑より実質的には︑数個の

刑罰法規によって︑同一法益が︑異なる攻撃段階において保護されている場合とか︑同一の攻撃方向の枠内において︑

犯罪の程度が異なった強さを示している場合とかいわれている︒そして︑このようなものとして︑通常︑明示的補充

関係

( a

u s

d r

t i

c k

l i

c h

e

S u

b s

i d

i a

r i

t a

t )

と黙示的補充関係

( s

t i

l l

s c

h w

e i

g e

n d

e

S u

b s

i d

i a

r i

t a

t )

とが区別されている︒

このうち︑明ホ的補充関係とは︑当該法規が補充的にのみ適用されることが︑法規の文言上明らかな場合である︒

そのうち︑全ての刑罰法規に対して補充的なものが︑絶対的明示的補充関係とよばれ︑特定の刑罰法規に対してのみ

補充的なものは︑相対的明示的補充関係とよばれる︒そして︑前者の例として︑我国では︑食糧緊急措置令︵昭和二

(6 ) 

一年勅令八六号︶一

0

条における︑﹁刑法二正条アルモノハ刑法二依ル﹂という規定があげられ︑ドイツでは︑﹁他の

規定において︑別の刑が定められているときは︑この規定を適用しない﹂

(

§ 1 4

A 3

bs

a .

F .  

St

 G

B)

という条文があ

げられる︒また︑後者の例としては︑我国では︑あへん法五六条︑破壊活動防止法四一条︑爆発物取締罰則︱二条︑

(8 ) 

決闘罪二関スル件六条における︑﹁重きに従って処断する﹂という規定があげられ︑ドイツでは︑﹁他の規定でより重

(9 ) 

い刑が定められていない限り⁝⁝に処する﹂とか︑﹁

00

条で刑が定められていない限り⁝⁝に処する﹂という条文が 補充関係とは︑端的にいうと︑

③ 補 充 関 係

4 ‑1‑83 (香法'84)

(20)

みが適用されることになる︒すなわち︑令一〇条は︑ まず︑我国において︑絶対的明示的補充関係としてあげられる︑食糧緊急措置令一〇条︵以下令一〇条と略称する︶は︑﹁主要食糧ノ配給二関シ不実ノ申告ヲ為シ其ノ他不正ノ手段二依リ主要食糧ノ配給ヲ受ケ又ハ他人ヲシテ受ケシメタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金二処ス其ノ刑法二正条アルモノハ刑法二依ル﹂と規定していた︒従って︑この規定は︑主食の不正受配につき︑刑法上の構成要件に該当しないときにのみ適用されることが明文上明らかであり︑刑法に対する補充規定であることは疑いない︒そこで︑例えば︑欺岡手段を用いて主食の配給を受けた場合︑

( 1 3 )  

そもそも詐欺罪の構成要件に該当しないという解釈をとれば別であるが︑通説・判例のように︑詐欺罪に当たるとい

う解釈をとれば︑刑法二四六条と令

1 0

条との関係が間題となる︒これにつき︑山火教授は︑﹁もし令一〇条が前段だ

けをもって規定されていたとすれば︑主食の不正受配について詐欺罪との観念的競合を考えるべきばあいもありえよ

( 1 4 )  

う﹂とされながら︑その後段における︑﹁其ノ刑法二正条アルモノハ刑法二依ル﹂という文言から︑﹁数個の構成要件

を充足する行為があるにもかかわらず︑一個の犯罪だけが成立する﹂とされ︑これを︑基本的な法条競合の場合と把

( 1 6 )  

握されている︒しかし︑令一〇条は︑主食の配給統制違反を処罰するものであり︑詐欺罪は個人の財産権に対する侵 害を処罰するものである︒この意味において︑両者はその保護法益を異にするので︑例えば︑欺岡手段を用いて主食 の配給を受けたときに︑両者による評価を行っても二重評価の問題は生じない︒従って︑この場合︑本質的には法条

競合ではなく︑観念的競合となり︑二個の犯罪が成立すると解すべきではなかろうか︒ところが︑令一〇条は︑﹁刑法

二正条アルモノハ刑法二依ル﹂と規定しているため︑観念的競合に関する刑法五四条は適用されず︑刑法二四六条の

このような場合の処罰に関する準則を定めたものであり︑観念

的競合の処断の仕方に対する例外規定であると解すことができる︒

次に︑我国において︑相対的明示的補充関係とされるものに︑あへん法五六条がある︒あへん法は︑あへんの輸出

八四

‑ 1‑‑84  (香法'84)

参照

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