• 検索結果がありません。

北海道の飲食店におけるチャオビゴキブリの発生事例

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "北海道の飲食店におけるチャオビゴキブリの発生事例"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

〔ペストロジー 35(1):11-13(2020)〕 11 DOI: 10.24486/pestology.35.1_11 事例報告

北海道の飲食店におけるチャオビゴキブリの発生事例

高 山 俊 彦

1)

・伊 東 拓 也

2)

・高 橋 健 一

3)* 1)株式会社札幌サニター 〒007-0893 札幌市東区中沼西3条2丁目1-15 2)北海道立衛生研究所医動物グループ 〒060-0819 札幌市北区北19条西12丁目 3)(一社)北海道ペストコントロール協会 〒063-0829 札幌市西区発寒9条10丁目1-7 キーワード:チャオビゴキブリ,発生事例,飲食店,厨房,北海道 (受領:2019年8月27日;登載決定:2019年12月18日)

Occurrence of the brown-banded cockroach, Supella longipalpa (Fabricius) (Blattodea: Blattellidae),

in a restaurant in Hokkaido, Japan

Toshihiko TAKAYAMA

1)

, Takuya ITO

2)

and Kenichi TAKAHASHI

3)*

Corresponding author: [email protected]

1) Sapporo Sanita Co., Ltd.,

3-2-1-15 Nakanuma Nishi, Higashi-ku, Sapporo, Hokkaido 007-0893, Japan 2) Medical Zoology Group, Hokkaido Institute of Public Health, Kita 19, Nishi 12, Kita-ku, Sapporo, Hokkaido 060-0819, Japan

3) Hokkaido Pest Control Association,

9-10-1-7 Hassamu, Nishi-ku, Sapporo, Hokkaido 063-0829, Japan

Abstract: The presence of Supella longipalpa in Hokkaido has been reported for the third time. An apparently established colony was

found in a restaurant in Yubari City. The cockroaches were found primarily in warm and low-humidity areas of the restaurant kitchen. A total of 83 individuals were collected during survey and pest control activities, including adult males, adult females and nymphs; 24 oothecae were also collected. The cockroaches were apparently reproducing at the collection site.

Key words: Supella longipalpa, occurrence record, restaurant, kitchen, Hokkaido.

は じ め に  熱帯アフリカ原産のチャオビゴキブリSupella longipalpa (Fabricius)は,現在では世界に広く分布する家屋害虫の 1種である.本種はチャバネゴキブリと比較してより乾燥 条件に適応し(Nasirian, 2016),生息場所が厨房や台所に 局限されず建物の各所に出現するため,防除の困難さが指 摘されている(Gould and Deay, 1938; 佐々,1970).  日本では1972年に小笠原諸島父島から初めて報告され たが(高橋,1973),その他の地域での分布は知られてい なかった(朝比奈,1991).しかし,2010年に東京都内の 集合住宅で生息が確認されて以降, 神奈川,福岡,長崎, 沖縄でも分布が確認された(木村ら, 2016; 小松ら,2016). 更に,北海道でも苫小牧市(松平ら,2017)と札幌市(間 瀬ら,2017)で相次いで生息が確認され,国内での分布の 拡大が懸念されている(小松ら, 2016; 間瀬ら,2017).今 回,北海道夕張市の飲食店で道内3例目となる本種の発生 事例が確認されたので,その状況について報告する. 経   緯  当該飲食店では2016年頃よりゴキブリ類の発生がみら れ,過去何度か店舗事業者が燻煙剤やエアゾール剤で駆除 を試みた.しかし,完全な駆除が困難で発生が継続したこ とから,著者のひとりが勤務する害虫駆除会社に対策の依 頼があった. 発生状況および種の同定  2018年11月2日に発生状況の調査を行った.方法は目 視により,厨房内やカウンター,客席部分を調査した.厨 房内では天井から吊り下げられた棚や暖房機の下回りに徘 徊する個体が認められた.また,冷蔵庫裏モーター部,電 P11-14_34-11.indd 11 2020/03/18 9:55

(2)

12 高山俊彦・伊東拓也・高橋健一 子レンジ,電源付近,暖房機近くの台の下,冷蔵庫横の調 理台の裏,流し台の下に糞によるローチスポットが見られ た.客席側ではカウンターの裏面にローチスポットが見ら れた.卵鞘は暖房機近くに置かれた台の裏側,厨房内の棚 の裏面上部,物陰の壁面,電化製品の配線コードなどに産 み付けられていた.店内で雄成虫2,雌成虫4,幼虫3の合 計9個体の死骸と卵鞘12個を採集した.これらの標本につ いて,朝比奈(1991)に基づき同定を行った.その結果, 雌雄成虫の前翅の斑紋,雄成虫の生殖下板,雌成虫の前翅 長および肛上板などの形態的特徴からチャオビゴキブリと 同定された (Fig.1).標本は高山俊彦が採集し,高山俊彦, 伊東拓也,高橋健一がそれぞれ保管している. 防除方法・効果判定  防除に使用した薬剤は,ベイト剤(製品名:マックス フォースジェルK,有効成分:ヒドラメチルノン2.15%) とマイクロカプセル(以下MC)剤(製品名スミチオン MC剤,有効成分:フェニトロチオン20%)で,それぞれ 用法用量に従い使用した.作業は11月2日にベイト剤を ローチスポットが見られた冷蔵庫の横や裏面などに配置 し,11月28日と12月7日にベイト剤の追加配置とともに, 厨房に置かれた台の裏面や壁と床面が接するコーナーなど にMC剤を処理した.その後,2019年1月から6月まで毎 月1回,前回と同様の場所にMC剤のみ散布した.効果判 定として,店内4カ所に粘着トラップを配置して2019年8 月まで捕獲状況を調査した.その結果,11月28日に42個 体(雄成虫5,雌成虫10,幼虫27),12月7日に17個体(雄 成虫1,雌成虫1,幼虫15),1月18日に4個体(雄成虫1, 雌成虫1,幼虫2),2月から6月までの期間に,各月それ ぞれ1,2,6,1,1個体の幼虫が捕獲された.その後,7 月と8月の調査では捕獲個体は認められなかったため防除 作業を終了した.調査期間中に本種以外のゴキブリ類は認 められなかった.生息状況調査および防除効果判定時に採 集された個体数は,雄成虫9,雌成虫16,幼虫58の合計 83個体であった.また,卵鞘24個が採集された. 考   察  本種の発生は商店や飲食店より,一般住居,アパート, ホテル,病院などに多いとされている(佐々,1970).船 舶内での事例(富岡ら,2016)を除くと,近年国内で発生 が確認された建物としては,ホテルが7例(小松ら,2016; 松平ら,2017)と最も多く,集合住宅が1例(小松ら, 2016),一般住宅が1例(間瀬ら,2017)で,飲食店での 発生は,小笠原諸島父島で2例(Komatsu et al., 2013)と福 岡県で1例(木村ら,2016)が報告されている.今回の事 例は国内で4例目の飲食店での発生となる.  本種の建物内における生息場所は,台所では少なく居間 などそれ以外の場所が多いと報告されている(Gould and Deay, 1938;佐々, 1970)).一方で,Nasirian (2016)はト イレや浴室,台所も本種の生息場所となり,また,テレビ など熱を発生する電化製品の中やその周囲に生息すること を好むとしている.今回の事例は床面が乾燥状態に保たれ た厨房内での発生で,流し台周辺にも生息の形跡は見られ たが,冷蔵庫裏のモーター部や電子レンジ等の電化製品と その周囲,暖房器具(パネルヒーター)周辺の棚などの暖 かな湿気の少ない場所にローチスポットが多く,同様の傾 向が認められた.なお,今回の調査は主として11月以降 の外気温が低下している時期に行われており,室内の暖か い場所に生息がより集中していたことも考えられる.  今回調査を開始した2018年11月の夕張市の月平均気温 は3.7℃で,最高気温7.9℃,最低気温は-0.1℃であった (気象庁,2019).間瀬ら(2017)は,北海道札幌市の高気 密高断熱住宅で本種の生息および繁殖を確認し,室内環境 が好適であれば寒冷地でも分布が可能であることを示して いる.今回の事例でも,寒冷期に加温された室内で本種が 生存し繁殖活動を行っていたと考えられた.2015年以降, 北海道では苫小牧市(松平ら,2017)と札幌市(間瀬ら, 2117)で生息が報告され,今回更に夕張市でも確認された ことから,今後も本種の発生動向に十分な注意を払う必要 がある. 摘   要  北海道で3例目となるチャオビゴキブリの発生を夕張市 で確認した.発生場所は飲食店で,厨房内の乾燥した暖か な所で多く見つかった.防除を含めた調査期間中に雄成虫, 雌成虫,幼虫合計83個体と24個の卵鞘が採集され,飲食 店内で繁殖していたと考えられた. 引 用 文 献 朝比奈正二郎(1991)日本産ゴキブリ類,253 pp.中山書店,東京. Gould, G.E. and H.O. Deay (1938) Notes on the bionomics of roaches

inhabiting houses. Proc. Indiana Acad. Sci., 47: 281-284.

木村悟朗,井上 剛,谷川 力(2016)福岡県の複合商業施設内の 飲食店におけるチャオビゴキブリの定着.衛生動物,67: 37-38. 気象庁(2019)月ごとの値夕張 2018年(月ごとの値)主な要

素.https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_a1.

Fig. 1. Adult male (left) and female (right),

Supella longipalpa (scale bar: 10 mm).

(3)

13

北海道の飲食店におけるチャオビゴキブリの発生事例 php?prec_no=15&block_no=0049&year=2018&month=11&day=&vi

ew= (2019.8.3. 確認)

Komatsu, N., T. Kishimoto, A. Uchida and H. K. Ooi (2013) Cockroach fauna in the Ogasawara Chain Islands of Japan and analysis of their habitats. Trop. Biomed., 30: 141-151.

小松謙之,黄 鴻堅,内田明彦(2016)日本本土で生息が確認され たチャオビゴキブリSupella longipalpa (Fabricius).衛生動物, 67: 79-82.

間瀬信継,青山修三,青山達哉,池滝宜征,川村桃子(2017)北海 道札幌市内の高気密高断熱住宅内に発生したチャオビゴキブリ

Supella longipalpa (Blattaria: Blattellidae).ペストロジー,32: 73-76.

松平卓也,渋川和彦,北口 寛,諏訪将良,伊東拓也(2017)北海 道でのチャオビゴキブリ Supella longipalpa (Blattaria: Blattellidae) の生息事例.ペストロジー,32: 19-20.

Nasirian, H. (2016) New aspects about Supella longipalpa (Blattaria: Blattellidae). Asian Pac. J. Trop. Biomed., 6: 1065-1075.

佐々 学(1970)ペストコントロール必携,140 pp. 日本PCO連合 会, 東京. 高橋純雄(1973)小笠原諸島の衛生害虫とくにカおよびゴキブリ類 について. 衛生動物, 24: 143‒153. 富岡康浩,長谷川利行,谷川 力(2016)千葉港に停泊中の船舶に おけるチャオビゴキブリの発生および防除事例.都市有害生物 管理,6: 25-27. P11-14_34-11.indd 13 2020/03/18 9:55

Fig. 1.    Adult male (left) and female (right),   Supella longipalpa (scale bar: 10 mm).

参照

関連したドキュメント

高効率熱源機器の導入(1.1) 高効率照明器具の導入(3.1) 高効率冷却塔の導入(1.2) 高輝度型誘導灯の導入(3.2)

最近一年間の幹の半径の生長ヰま、枝葉の生長量

海に携わる事業者の高齢化と一般家庭の核家族化の進行により、子育て世代との

最近の電装工事における作業環境は、電気機器及び電線布設量の増加により複雑化して

この間,北海道の拓殖計画の改訂が大正6年7月に承認された。このこと

(3)原子力損害の賠償に係る偶発債務 東北地方太平洋沖地震により被災

手動投入 その他の非常用負荷 その他の非常用負荷 非常用ガス処理装置 蓄電池用充電器 原子炉補機冷却海水ポンプ

 冷凍庫及び冷蔵庫周辺の温度を適正な値に設定すること。