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IoTプラットフォームを用いた機器制御アプリケーションの実装

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 78 回全国大会. 4C-02. IoT プラットフォームを用いた機器制御アプリケーションの実装 森. 郁海†. 鷲尾 元太郎†. 田村 孝之†. 三菱電機株式会社 情報技術総合研究所† 1. はじめに 近年、様々なモノに通信機能を持たせ、イン ターネットを経由し相互に通信することにより、 遠隔計測や自動制御等を実現する IoT(Internet of Things)/M2M(Machine to Machine) が 注 目 さ れている。IoT の用途は、(1)監視、(2)制御、 (3)最適化、(4)自律性の 4 段階を経て発展する [1]。IoT システムの大規模・複雑化に伴い、各 機器の振る舞いの違いが課題となる。アプリケ ーションが個別に機器の差異を吸収するのは好 ましくなく、機器に対する抽象的なインタフェ ースをアプリケーションに提供する IoT プラッ トフォームが求められる。 本稿では、IoT プラットフォームを用いた機器 制御アプリケーションの実装例を挙げ、機器の 振る舞いの差異への対応の重要性を示す。 2. 課題 機器の振る舞いの差異の例を図 1、図 2 に示 す。機器に直接命令するタイプのもの(図 1)で は、アプリケーションからの命令を受けてから 処理を実行するので、命令の結果と実際の機器 の状態が乖離することがないが、機器の命令処 理性能がシステムの応答性能に直接影響する。 【操作シーケンス】. 【情報取得シーケンス】 正しい状態を取得 App※ 機器. 取得. 成功. 状態変化 実行 ※App:アプリケーション. 操作. 失敗. App タイムアウト 機器 電源OFF. 図 1 機器の振る舞いの差異(機器直接命令) 一方、中継器を介すタイプのもの(図 2)は、 応答性能を高めるために中継器が以下のような 処理を実行する場合がある。 (1) 機器の状態をポーリングし、アプリケーショ ンからの要求を受けた時点で即時応答する (2) 操作命令を受けた時点では機器を操作せず、 命令を受信した旨を即時応答する (1)では、ポーリング間隔によっては、実際の. 機器の状態と異なる状態が取得され、システム の挙動に異常をきたす場合がある(図 2 情報取得 シーケンス)。 (2)では、操作命令の応答だけでは機器への操 作の成否を判断することができない問題がある (図 2 操作シーケンス)。 【情報取得シーケンス】 実際と異なる状態を取得 正しい状態を取得 App 中継器 機器. 取得 成功 取得 成功 取得 成功 即時応答 即時応答 実行 状態変化. 取得 成功 実行. 【操作シーケンス(成功例)】 App 中継器 機器. 操作 成功 正規化 即時応答. 操作命令後の状態を確認後、成功と判断. 取得 成功 取得 成功 即時応答 実行. 実行 電源ON 【操作シーケンス(失敗例)】 失敗と判断後、Appで適宜リトライ処理等を実施 App 中継器 機器. 取得 失敗 操作 操作 成功 失敗 取得 失敗 正規化 即時応答 即時応答 リトライ リトライ 電源OFF. 図 2 機器の振る舞いの差異(中継器経由) 3. 機器の振る舞いの差異の吸収方式 本機器制御アプリケーションでは、アプリケ ーションと機器の間に IoT プラットフォームを 配置する。制御アプリケーションは、IoT プラッ トフォーム経由で情報を交換することで、アプ リケーション-機器間のネットワーク構成を意 識することなく、機器と通信できる。IoT プラッ トフォーム内部の通信は、ロングポーリング[2] を利用している。なお、通信プロトコル部分は、 IoT プラットフォームによって隠蔽されており、 アプリケーション側では通信プロトコルを意識 することなく、通信機能を利用可能である。 2.課題で述べた(1)に起因する問題を解決する には、中継器と機器間のポーリング間隔を短く する必要があるが、今回使用した中継器にはポ ーリング間隔を設定する API が存在しなかった。 前記の対策を講じても、機器の状態が変化して からポーリングする間にアプリケーションから 情報取得要求を受けると状態が乖離してしまう。 根本的には、中継器が要求を受けてから機器の 情報を取得するものを使用するか、運用でカバ ーする必要がある。. Implementation of Device Control Applications on an IoT Platform † Ikumi MORI, Gentaro WASHIO, Takayuki TAMURA Information Technology R&D Center, Mitsubishi Electric Corporation. 3-3. Copyright 2016 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 78 回全国大会. (2)に起因する問題は、機器への到達性の確認 を実施してから操作命令を実行することで解決 できる(図 3)。到達性の確認は、(1)に起因する 問題を含むが、命令する直前の機器の状態を確 認することで、操作命令が成功する確率が上が る。 【操作シーケンス(成功例)】. 操作. 成功. 操作. 失敗. App 成功 到達性確認 成功 操作 IoT PF※ 取得 完了 中継器 応答 応答 正規化 機器 実行 実行 電源ON ※IoT PF:IoTプラットフォーム 【操作シーケンス(失敗例)】 App 到達性確認 失敗 IoT PF 失敗 取得 失敗 中継器 応答 機器 適宜リトライ 電源OFF リトライ. 図 3 課題解決法の一例 4. 評価と考察 IoT プラットフォームの応答性能を評価するた めに、機器の操作/情報取得の所要時間を計測し た(表 1)。機器に直接命令するタイプのものと して、ネットワーク表示灯(パトライト社製 NHL5FV1)、中継器を介すタイプのものとして、照明 (Philips Hue)を使用した。表中の値は、10 回の 計測値の平均である。測定は、制御アプリケー ションに測定用コードを埋め込んで実施した。 参考値として、アプリケーションとネットワー ク表示灯間の ping の所要時間を併記する。 表 1 評価結果 所要時間 機器操作 機器情報取得 機器操作 照明 機器情報取得※ アプリ⇔IoTPF 間通信(往復) Ping(アプリ⇔ネットワーク表示灯) ネットワーク 表示灯. 129 1011 1122 821 15 2. ms ms ms ms ms ms. ※ 到達性確認にも使用 表 1 から IoT プラットフォームの通信が占め る割合は、機器の操作/情報取得の所要時間に対 して少ない(1.3~11.4%)ため、機器の命令実行 処理がボトルネックとなっている事がわかる。 ネットワーク表示灯の場合、操作より情報取 得の所要時間が長い。これは、機器内部の操作 処理負荷より状態取得処理負荷の方が高いため である。. 3-4. 一方、照明の場合、情報取得より操作の所要 時間が長い。情報取得では、要求を受けた時点 でポーリングデータを即時応答するが、操作で は、要求を受けてから制御を実行するためであ る。また、本稿での操作処理は、3.提案方式で 述べたように到達性確認後に実行されるので、 制御アプリケーションとしての操作成功時の所 要時間は 1943ms(821ms+1122ms)となる。情報取 得については、機器の電源を ON→OFF にした場 合、正しい状態が取得できるまで最大 30 秒程度 要した。 以上のことから、機器の応答性能や中継器の API の仕様(実際の機器状態との乖離等)がシステ ムの挙動に強く影響することがわかる。特に、 機器の情報取得のポーリング間隔のように IoT プラットフォームでは吸収できないものがある ため、システムの要求条件を満たせない場合に は、運用でカバーするか、要求条件を満たせる 機器に交換する必要がある。 5. まとめ 本稿では、IoT プラットフォームを用いた機器 制御アプリケーションの実装例を挙げ、機器の 振る舞いの差異への対応の重要性を示した。 機器に直接命令するタイプでは、機器の応答 性能がシステムの応答時間に直接影響するため、 要求定義を満足する応答性能を持つ機器を設計 段階から選定する必要がある。 中継器を介すタイプでは、中継器-機器間の ポーリング処理により、中継器の API から取得 した情報と実際の機器の状態の乖離が発生する ため、システムの要件に合わせた対応(機器の再 選定や運用でのカバー等)が必要となる。 今後は、IoT プラットフォームの適用機器の拡 充や、機器共通機能のライブラリ化等に取り組 んでいく。 参考文献 [1] Michael E. Porter, James E. Heppelmann: How Smart, Connected Products Are Transforming Competition, HBR, November 2014 [2] D.Guinard et al.:"Cloud Computing, REST and Mashups to Simplify RFID Application Development and Deployment", WoT 2011, pp.1-8 (2011-6). Copyright 2016 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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