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AI ブームに学会は何を残せばよいのか

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Academic year: 2021

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481 人 工 知 能  31 巻 4 号(2016 年 7 月) この度,本学会の会長の任を拝命致しました,山田誠二でございます.よろしくお願いいたします.就任にあたり, 一言ご挨拶申し上げます. 人工知能 AI は,数年前から第 3 次ブームを迎えているといわれています.正直なところ,私が会長に就任する頃には, このブームもピークアウトしているのでは,と予想していました.しかし,幸いにもその予想は外れ,AI ブームは続 いており,マスコミでは AI の研究成果,企業の AI 応用などに関するニュースが連日伝えられています.研究のブー ムもそうですが,日本でのブームはアメリカでのブームから数年のタイムラグがあるので,まだあと数年,つまり私 の在任中は日本の AI ブームが続きそうです.さて,このような AI ブームのときに本学会は何をし,何を残すべきな のでしょうか.これを考え実行することが,私の会長在任中の第一の職務と考えています.と言っても,今ゼロから 考え始めたのでは,2 年の任期中の実現には間に合いませんので,いくつかアイディアを思索中です.ただし,アイディ アレベルなので実行を保障するものではありませんし,明言したことに縛られるのも嫌なのであくまでも達成目標と いうことでお話しさせていただきます. 現在 AI ブームであることもあり,お陰様で本学会も会員数の増加が続いています.そのため,学会の収入は安定 してきており,財政的にも会員の皆様の研究・開発活動をサポートできる余裕が出てきています.そこで,これは私 自身と多くの心ある日本人 AI 研究者が重要と感じている,世界に先駆けたオリジナリティーの高い日本発進の研究 を促進する枠組みの構築,財政的なテコ入れを学会として実行していければ,と考えています.このことは,本誌 Vol. 30, No. 1(2015 年 1 月)の巻頭言でも述べたことであり,考えの詳細や方法論はそちらをご覧いただければと思 いますが,とにかく日本の AI 研究は新しい枠組みを提案する研究,強力なオリジナリティーで新研究分野を創出で きるような研究がまだ十分ではないということです.実際,AI 研究の研究トレンドは,そのほとんどが欧米発であり, 日本の AI 研究はすでに流行っている研究トレンドを周回遅れで追いかけているという印象が拭えません.このよう な状況の打破に,本学会が貢献することは学会の最重要課題であると認識しています. 次に,日本の大学の研究と企業での応用開発のマッチングを促進するシステムをつくりたいと思っています.偏見 かもしれませんが,日本のメーカの場合,AI の応用研究をする場合に国内の大学や研究機関よりも海外の大学や研究 機関と共同研究・開発を指向する傾向が強いように感じています.それから,現在の IT ベンチャーでやられている AI応用のデモを見ると,研究レベルでは日本の大学や研究機関で 10 年以上前にいろいろやられていた枠組みのデジャ ブが感じられます.つまり,現在そして今後も日本の企業と日本の大学・研究機関が共同研究・開発をすることには 大きな可能性があると感じます.ただ,その仲介をするシステムがないため,まだまだ活性化の余地を残していると 思われます.おそらく日本の AI 研究者・開発者が所属する最大の組織の一つは本学会ですので,そこでそのようなマッ チメイキングをシステマティックに行うことには大きな意味があると考えています. ほかにも,この場では公にできないような学会運営の方針についての方針転換についても,徐々に考え始めている ところではありますが,それについては追々に学会執行部,理事会,事務局の皆様のご協力を得つつ,進めていけれ ばと思っている段階です. 最後に,これは私の個人的な目標ではありますが,会長職と研究職を両立させる,つまり会長になると研究できな い,研究を止めてしまうというよくあるパターンから脱却し,会長任期中もこれまでどおり,あるいはできればこれ まで以上に自分の携わる研究を推進していければと考えています.もちろん,いろいろな方からご指摘いただくように, 会長の職務をおろそかにせずに研究を推進することは非常に難しいことだとは思いますが,自分自身の残りの研究人 生を考えると,この 2 年間の停滞はなんとか避けるべきと感じるからです.これは,ほとんどわがままな目標ではあ りますが,共同研究者の皆様,学会の皆様のお力を借りながら実現の道を探っていければと考えています. 以上,学会のこと,個人のことなどについて抱負を語ってきましたが,すべてベースとなる考えは,「学会は会 員のために」という精神を再認識しつつ,正会員,賛助会員,学生会員の皆様からのニーズを吸い上げて最大限に 応えていけるような本学会でありたいということでございます.理事の方々,事務局を通してでも結構ですし,私 [email protected] まで直接メールもいただくことも歓迎ですので,会員の皆様のご意見を気軽に学会にお知らせ願 えればと存じます.なにとぞ今後とも本学会をよろしくお願いいたします.

AI ブームに学会は何を残せばよいのか

山田 誠二

(国立情報学研究所,国立大学法人総合研究大学院大学,東京工業大学)

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