<付録1>原子炉等利用に関する共同研究報告書
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(2) 平成 26年 度 研 究 所 だ よ り. 原子炉物理・原子炉応用に関する研究 研究総括責任者. 大阪大学大学院工学研究科 教授堀池寛. 平 成 26年 度 に 実 施 さ れ た 物 理 系 研 究 課 題 の 概 要 に つ い て 、 こ こ に総 括 い た し ま す。本年度は当原子炉の定期点検時における新規制基準による規制庁の審査が長 引いたため、主に施設そのものや施設にある機器、中性子源、 X線 源 を 利 用 し た 研 。 究が実施されました。そのため実施された物理系課題は 9 課題に留まりまし た 研 究 課 題 で は Pu-Be中 性 子 源 を 利 用 さ れ た も の が 多 数 を 占 め ま す 。 従 来 よ り中性 子の検出と計測に関する実験研究が多く行われて来たも のが中性子源 を 利 用す る ことで発展されています。中性子科学はこれから発展の可能性のある魅力的な分 野ですが、それには感度が高くエネ ル ギー識別の可能な中性子計測法の研究と開 発が重要なテーマとして挙げられ、その課題の解決 に向けての先駆的な実験が こ の場 で 実 施 さ れ て い る こ と は 注 目 に 値 し ま す。 今 後 は 順 調 な 原 子 炉 の 運 転 が 確 保 さ れ る こ と に よ っ て 、 こ れ ま で培 わ れ て き た 原子炉ならではの実験研究が安定的に行われ、原子炉物理の理解の増進と人材育 成に活用されることを願って止みません。. 7 2.
(3) ) 5 1 0 2 2( .5 l o V. 近畿大学原子力研究所年報. (1)単一減速球型中性子スペクトロメータの特性評価に関する研究 代表者:瓜谷章(名古屋大学大学院工学研究科) 〔要約〕 従来のボナー球型中性子スペクトロメータで用いられている検出器は、球形ポリエチレン減 速材の中心に熱中性子検出素子を配置したもので、ポリエチレン減速材球の直径が異なる複数 の検出器で構成される。これまでに我々の研究グループで、一つのポリエチレン球内に複数の 熱中性子検出素子を球殻状に配置した単一減速材球多重球殻等方検出器配置型中性子スベクト ロメータが提案され、その開発を進めてきた。本研究では、熱中性子検出素子として、従来用 いてきた不透明なLiF-ZnS:Agシンチレータに代え、透明で柔軟性があり波高分布内に特徴的な )シンチレータを採用してし、 eLiCAF p y tRUbberSheeTt n e r a p s n a r T 形状を示すTRUST-LiCAF ( る。今回、 TRUST-LiCAFを用いた単一減速材球多重球殻等方検出器配置型中性子スペクトロ メータのプロトタイプ検出器を作製し、その方向依存性を評価した。光電子増倍管を設置した 方向を除き、非常に高い感度の方向一様性が確認され、光電子増倍管を設置した方向を含めて も、感度のばらつきは5%以下であることが示された。. (2)原子炉遠隔実験実習システムの整備と実践 代表者:山本淳治(摂南大学理工学部) 〔要約〕 近畿大学炉を用いて行われる原子炉の実験実習に対して、インターネット等のネットワーク を利用して遠隔で実施するために必要なしくみと機器を検討することを毎年継続して行ってい る。今年度は、昨年度に製作して原子炉実習に使用した炉内中性子東空間分布測定の実験シス テムを改良した。 この実験は、小型の中性子検出器を炉内で移動させながら空間の中性子を計数する測定装置 を用いて行う。近畿大学炉の中央ストリンガーの空間分布測定を 2013年度に実施した。そして、 測定後にこの実験方法および測定装置に関して実習生にアンケートを行った。実験の分かりや 、 すさ、測定に要する時間、測定装置の操作性などに対しては、肯定的な回答で、あった。一方 システムの安定性、中性子測定の精度については及第点には至らず、課題を残す結果となった。 このため、今年度はシステムの見直しを行った。近畿大学炉が停止中のため、基本的な動作試 験を行った結果、昨年度の空間分布測定で課題となったシステムの安定性と中性子測定の精度 が、今回のシステムの見直しによって改善される見通しが得られた。. 円 。 t 円.
(4) 平成 26年 度 研 究 所 だ よ り. (3)粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いた小規模医療用加速器 施設における漏洩中性子線イメージング評価の基礎データ取得 代表者:阪間 稔(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部) 〔要約〕 当該年度の共同研究目的は、小規模医療用加速器施設、特に電子リニア ック放射線治療施設. における漏洩中性子線並びに中性子束密度評価に関わるモンテカルロ・シミュレーショ ン計算 使用を視野に入れた基礎的検討を行った。これまでの共同研究の系統的な分析結果から、近畿 大学原子力研究所の原子炉炉心と電子リニアック放射線治療施設のガントリー周辺部の中性子 0 7cm-2s-1)レベルで、あることが、金属箔による箔放射化法によって明 束密度値がほぼ同桁(∼ 1 らかにされてきた。 この結果を踏まえて、多角的なデータの解釈並びに箔放射化法による点在化する測定ポイン トでの実験的中性子束密度値から、治療室内部並びに原子炉炉心内の中性子束密度分布(イメ ージング)の評価を行っていく上で、相補的なデータを提供できる粒子・ 放射線輸送計算コー ド PHITS利用の妥当性やその利用特性について調べることを目的とした。そこで、共同利用 期間では、まず原子炉臨界に達する時に使用される中性子源を用いて、それを覆っている中性 子源容器からの漏洩中性子束密度を、金属箔による箔放射化法での評価中性子束密度計測を行 った。さらに、その幾何学的な要素を PHITS計算コードの入力設定ファイルに記述するため の寸法測定を実施し、可能な限り実状態に近い環境状況を PHITS計算内で再現することとし た。炉心内部と燃料板が収納されている燃料板収納プール(両側)の幾何学的な配置を示 した 設計図をもとに、 PHITS計算コードにおける入力ファイルを適切に設定し、粒子輸送計算を行 った。その計算結果から 、PHITS計算コード利用の有効性を確認すると同時に、原子炉炉心の 中性子束密度分布イメージング(飛跡モード T-Ttrack評価)図を作成することができた。. (4)シンチレータの自己放射化を用いた高感度中性子検出方法の研究 代表者:納冨 昭弘(九州大学大学院医学研究院) 〔要約〕. 昨年度の研究では、 C s lシンチレーの自己放射化により、中性子検出が可能であることを確 認した。今年度は異なる大きさのポリエチレン減速材を用いた場合の応答の変化を調べた。近 大炉のPu-Be線源および lOMVライナックで、照射実験を行った。 PuBe 線源の場合は、ポリエチ レン減速材のサイズが増加するにつれて、単調に計数率が増加するのに対 して、 lOMVライナ ックの場合には、 13cmφ の減速材を装着すると顕著な計数率の増加が見られるものの、 20cm oの減速材を装着すると逆に計数率が減少する。両者の応答の差は、測定を行った場の中性子 エネノレギーの情報を反映していると考えられる。そこで、 PHITSを用いて、単色中性子入射に ・1 2 8の生成量を計算し、 2 0 c m φ と1 3 c m < pの減速材を使用した場合の比を求めた。この評 対する I 価をもとに、それぞれの場の実効中性子エネルギーを見積ると、 Pu-Be線源で∼ l.5MeV、 lOMVライナッ クで∼ lOOkeVとなった。 この結果は、 Pu-Be 線源の放出する中性子エネノレギー (平均4MeV程度)および、医療用ライナックからの光中性子の平均的なエネルギー範囲(数 lOOkeV 程度)とコンシステントで、あった 。 『. 44 i 円.
(5) V o l .5 2( 2 0 1 5 ). 近畿大学原子力研究所年報. (5)熱蛍光体を利用した中性子イメージングデ、バイスの開発 代表者:虞正浄光(首都大学東京大学院人間健康科学研究科) 〔要約〕 画像上で確認できない微小ながん病巣も周囲の正常細胞を損傷せずに破壊で、きるホウ素中性 子補足療法(BNCT)は、生活の質の高いがん治療法として大いに期待されている。次世代治 療法として発展していくにはガン細胞を選択的に効率よく標的化できるホウ素薬剤の開発と、 薬剤効果やBNCTの有効性に対する検証法の開発が不可欠である。現在、薬剤投与後の 10B分 布や濃度の定量、腫場部内の線量計測は、 CR39プラスチック飛跡検出器によって行われてい 目. る。これは、中性子と、体内に投与された薬剤に含まれる 10Bとの反応によって生じる α線を 検出しているため、生体中の 10B分布や濃度の定量、腫蕩部内の線量計測が行える。しかし、 中性子線には感度を有していないため中性子線の分布や線量評価は難しい。 そこで我々は、様々な形状に成形が可能で、かっ目的の元素を比較的自由に組み込める板状 型の熱蛍光(TLs l a b )線量計の開発に取り組んでいる。中性子捕獲断面積の大きい元素を取り込 んだTLs l a b 線量計や、これと中性子” α線コンパーターなどを組み合わせたTLs l a b 線量計に よる中性子イメージングデ、パイスの開発を進めている。 26 年度は、 TL 特性の優れたAl203板にPu-Be 線源を照射して、中性子ー α線コンパーターの 種類と厚さについて、検討した。. (6)近畿大学原子炉起動用中性子源利用による炉室内空間線量率分布測. 定に基づく放射線教育に関する研究 代表者:吉田. 茂生(東海大学工学部). 〔要約〕 これまで原子炉運転実習時には、原子炉起動時の炉室内炉周辺での空間線量率の測定があり、 レムカウンタによる中性子線量率測定、電離箱による γ線線量率測定を行っていた。 γ線エネ ルギーの分布状態は、原子炉停止時のパックグラウンドでは、 γ線エネルギーが 3MeV以下の みで波高分布が構成されるのに対し、原子炉起動時にあっては、熱中性子と周辺物質との相互 γ)反応から放出される高エネルギー誘発 γ線の発生が検出される。それ故に原 作用である(n,. 子炉起動時・停止時の状況で原子炉室内環境中の γ線エネルギー分布を比較することで、中性 子の挙動まで認識できるものと考える。 今回、 Pu-Be中性子源による模擬体型周辺にて、測定された γ線波高分布を構成する多数の 高エネルギー即発 γ線の生成、その全吸収ピーク以下のシングル・ダブルエスケープ、それら に伴ったコンプトン成分と、波高分布全体に大きく寄与することとなる。このPu-Be中性子源 の周辺物質を様々に変化させつつ、それによって形成される誘発 γ線分布と既存の原子炉起動 時空間 γ線分布との比較・相違から、 2次 γ線の生成過程を、さらには中性子挙動を推測、考 察できる教材要素の可能性を検討した。. i ヴ. Fhu.
(6) 平成 26年 度 研 究 所 だ よ り. (7)中性子照射高分子材料の高電界電気特性に関する研究 代表者:光本真一. (豊田工業高等専門学校). 〔要約〕 原子力発電所や宇宙おいて使用される制御系電気ケーブルに、ポリエチレン材料が使用され る場合、放射線がポリエチレンに絶えず照射されるため、放射線照射とポリエチレンの電気特 性の関係について調べることは非常に重要である。 ポリエチレンの電気特性に対するガンマ線照射の影響や電子線照射の影響に関する研究は多 く存在するが、原子力発電所や宇宙空間で発生する中性子線照射とポリエチレンの電気特性、 特に空間電荷特性の関連について調べた報告例は、見当たらないため、本研究では、中性子線 が照射されたポリエチレンの空間電荷測定を行っている。これまでの研究において、次の結果 が得られた。 lOkV印加後に中性子照射試料に形成されている正極性の空間電荷分布の大きさ は、未照射試料に形成される正極性の空間電荷分布よりも大きくなる傾向が確認された。中性 子照射後から空間電荷測定実験開始までの時聞が変化しても、検出される正極性の空間電荷量 は顕著に変化しないことがわかった。中性子照射量が大きいほど、試料内に形成されている正 極性の空間電荷分布の大きさは大きくなる傾向があることが分かつた。しか LPu-Beを用いた 中性子照射試料と未照射試料における空間電荷量の大きな違いは現時点では確認できていない。. (8) BNCTのための3次元ゲ、ノレ線量計の低エネルギーガンマ線影響の検討 代 表 者 : 林 慎一郎(広島国際大学保健医療学部) 〔要約〕 近年、ホウ素凶中性子捕捉療法(BNCT:BoronN e u t r o nC a p t u r eT h e r a p y )が臨床利用へ大きく前 四. 進してきている。しかし、 BNCTにおいて与えられる線量はホウ素線量以外に、原子炉からの ガンマ線や生体内の様々な元素と中性子との反応に起因する反跳核や即発ガンマ線などの非ホ ウ素線量も含んでおり、これらの分布を正しく評価することは未だ容易ではない。 一方で、粒 子線治療や強度変調放射線治療等、目的の病巣に線量を集中させる高精度放射線治療が可能と なってきていることに伴い、治療計画や線量評価においてその 3次元線量分布を直接測定でき 次元ポリマーゲ、ル線量計が注目を る線量計の開発が求められており、その候補のーっとして 3 集めている。 今回、ポリマーゲ、ノレ線量計をBNCTにおける 3次元吸収線量分布評価のためのツールとして 適用を試みるにあたり、その予備実験として、低エネルギーX線に対するメタクリル酸ベース のポリマーゲ、ル線量計(MAGAT)の線量率、および、エネルギー依存’性を調べた。今回の結果 から、 lOOkV 前後のX線に対して、エネルギー依存性はみられなかったが、 線量率依存性が確 認された。. 7 6.
(7) ) 5 01 2 2( .5 l o V. 近畿大学原子力研究所年報. (9)実験施設における安全衛生・防災等の効果的な対応と対策に関する. 研究 代表者:飯本武志(東京大学環境安全本部) 〔要約〕 平成26年度は核物質であるワラン、 トリウムを含む物質の法的な位置づけと特徴、その安全 管理について、概要と留意点の整理をした。特に、大学等での実験施設の安全管理に直結する 少量核燃料物質の使用と管理に関する現状調査にテーマを絞った。 少量の核燃料物質は、一般的な核燃料物質使用事業所に課される安全管理に関する法的要件 の大部分が要求されず、主に計量管理を軸とした国際規制物資としての規制のみを受けるため、 使用の現場としては非常に手軽で扱いやすい物質である。このような特徴を生かし、ひき続き 広い分野で、核燃料物質が適切かっ有効に利用されることが期待される。自然鉱石に代表される 核原料物質も、希少鉱物を抽出する過程などで濃縮が起こり、副次的な産物として、ウラン、 トリウムの濃度が高い物質が生成されることもある。大学等では、このような物質の扱いや管 理に苦慮、している現状も見受けられる。たとえ少量で、あっても核物質は「核」 という用語のも つ語感がゆえに、なんらかの問題が発生した場合には社会的インパクトが極めて大きくなるこ と、また、そもそも国際的な約束に基づく数量的な出入管理が厳しく要求されている物質であ ることを、関係者全員が十分に認識しておくことが重要である。. 7-7.
(8) 平成 26年 度 研 究 所 だ よ り. 原子炉化学・放射化学に関する研究 研究総括責任者. 大阪大学大学院工学研究科 教授山中伸介. 原子炉化学・放射化学に関する研究では、平成 26年度は下記の l件の研究が採択、 実施された。 (1) 原子炉起動用中性子源を活用した中性子放射化分析手法の開発. これまで本研究では、近大原子炉を活用し、中性子フラックスの低い条件において、 古代エジプトガラス質遺物(ファイアンス等)の主元素・微量元素等の構成元素を特 定できる可能性について検討を行い、含有構成元素の分布状態から、時代性・地域性 の考古学的特徴を示唆できる指標を見出すことを目的として、実験・研究を行ってき た。原子炉活用が不可となる条件で、起動用中性子源を用いた簡易的な方法にてこれ に類似した分析方法が可能かを検討し、可能な条件を明確とすることを検討する 。 分 析方法として、中性子放射化法を検討する。通常は原子炉を中性子源とする手法であ るが、これを原子炉起動用中性子源( Pu-Be)である RI線源を活用した場合の利用条 件を検討し、有効となる分析条件を導出し、元素分析が可能な手法として確立を目指 すものである。 今 回 、アクリルブロック・板等に て簡易熱中性子場を構成し、熱中性子束分布の測 定を行い、線源から 15∼35[mm]の範囲で 104[n/cm2/s]程度の熱中性子束の照射から この領域に分析試料をセットし、中性子放射化法による分析の可能性を検討する 。 以上のように、原子炉化学・放射化学に関する研究は、中性子放射化法による非破 壊分析の考古学分野への応用という点から、重要な研究であり、今後のさらなる発展 を期待する。. i 円. n δ.
(9) ) 5 1 0 2 2( .5 l o V. 近畿大学原子力研究所年報. (1)原子炉起動用中性子源を活用した中性子放射化分析手法の開発 代 表 者 :吉田茂生(東海大学工学部) 〔要約〕 これまで本研究では、近大原子炉を活用し、中性子フラックスの低い条件にお いて、古代エジプトガラス質遺物(ファイアンス等)の主元素・微量元素等の構. 成元素を特定できる可能性について検討を行い、含有構成元素の分布状態から、 時代性・地域性の考古学的特徴を示唆できる指標を見出すことを目的として、実 験・研究を行ってきた。原子炉活用が不可となる条件で、起動用中性子源を用い た簡易的な方法にてこれに類似した分析方法が可能かを検討し、可能な条件を明 確にすることを検討する。分析方法として中性子放射化法を検討する。通常は原 子 炉 を 中 性 子 源 と す る 手 法 で あ る が 、 こ れ を 原 子 炉 起 動 用 中 性 子 源 ( Pu・Be)であ る RI線 源 を 活 用 し た 場 合 の 利 用 条 件 を 検 討 し 、 有 効 と な る 分 析 条 件 を 導 出 し 、 元 素分析が可能な手法として確立を目指すもので ある。 今回、アクリルブロック・板等にて簡易熱中性子場を構成し、熱中性子束分布 s]程度の熱中性子 東 の 照 / 2 m c / n 4[ 0 5∼35[mm]の範囲で 1 の測定を行い、線源から 1 射から、この領域に分析試料をセットし、中性子放射化法による分析の可能性を 検討する。. 9-7.
(10) 平成 26年 度 研 究 所 だ よ り. 生物の放射線影響に関する研究 研究総括責任者広島大学大学院理学研究科 准教授谷口研至 平成 26年度の生物の放射線に関する研究は、 7件の課題で実施された。生物系の課題は次のと おりである。. 3 1 谷口研至ほか 2名. 速中性子による植物細胞の突然変異研究 E. 3 2 高井明徳ほか 2名. 中性子線による魚類細胞における小核誘発に関する研究. 3・3 根岸友裏ほか 3名. ショウジョウパエおよびマウスを用いた放射線誘発傷害ならびに傷害 を修飾する因子に関する研究. 3 4 河井一明ほか 2名. 放射線被曝による生体内酸化的損傷とその防御. 3・5 松本義久ほか 4名. 中性子線による DNA損傷とその修復の分子機構. 3・6 小堂直彦ほか 1名. 心筋細胞の分化に放射線が与える影響. 3 7 弓場俊輔ほか 1名. 色素性乾皮症 i PS細胞の神経分化に与える放射線照射影響の評価. )放射線の生物作用の解明、および(2 )放射線の生物モニター系 これらの生物系の研究課題は、(1 の開発に大別されるが、以下に平成 26年度の研究成果の概要を示す。 ( 1 )放射線の生物作用の解明. 谷口ら(3 ・1 )は、キク属の同質四倍数体の遺伝的分配機構を解明するために、放射線により人為 突然変異系統を作成し、これらの系統から人為四倍体を誘導して、四倍体の遺伝的分離を調べよ うとしてきた。今回、これまで、に確立してきた突然変異誘導条件によって作成した、突然変異第 1 (ml)世代と第 2 (m2 )世代子孫の解析を行った。前年度の栄養成長期の変異に加え、明確に形 態的に区別できる自殖系統の 2変異体(劣性ホモと考えられる舌状花が線状に 5裂する変具体と 無舌状花の変異体)のラインを確立した。 これらの系統から既に確立している倍数体作出法によ り人為四倍体を作成し、遺伝的分離を解析してし、く。 根岸ら(3 3 ) は 、 X 線の生物影響とその防御について継続して解析してきた。今回は、 X 線照射 による突然変異誘発に関与している . DNA損傷を明らかにするために、ショウジョウバエを用い て DNA二本鎖切断の指標となるヒストンリン酸化の検出をショウジョウパエ γ−H2AvD抗体を 用いてウエスタンプロットにより検出した。その結果、尿酸欠損株も野生株も照射直後からほぼ 同程度のリン酸化が観察され、照射後 3-5時間後に発現の減少が見られた。同様に照射直後から 二重鎖切断が見られる長波長紫外線(UVA )では尿酸欠損株の方が野生株より有意に高いリン酸 化を検出した。以上の点から DNAの二本鎖切断を誘導する要因には UVAと X 線で違いがある と考えた。 河井ら(3 4 )は、放射線被曝によって生体内に生じる活性酸素種は、放射線被曝による生体の有 80.
(11) ) 5 1 0 2 2( .5 l o V. 近畿大学原子力研究所年報. 害影響に深く関わっているとされている。本研究では、抗酸化成分の一つであるグルタチオンの 減少が、放射線で誘発される酸化的 DNA損傷に与える影響について検討した。その結果、グル タチオン合成阻害剤 BSO処理による各臓器のグルタチオンレベルの低下は、脳を除いたいずれの 程度で、あった。一方で、放射線被曝によるマウス 組織においても認められ、その低下率は約 50% 臓器 DNAの 8-0HdG値の増加に対する、グルタチオンレベルの低下は限定的で、あったことを示 した。 )は、中性子線の DNA損傷の特徴とその DNA修復機構を明らかにすることを目的に、 5 松本ら(3 原子炉放射線照射によって生じた DNA損傷の修復について調べてきた。最近 DNA修復タンパク 質 XRCC4のあるセリンのリン酸化が放射線( γ線)照射によって著しく増加することを見いだ した。そこで、この部位のリン酸化の中性子線に対する応答を調べたいと考えた。また、このリ ン酸化部位のセリンをアラニンに置換した変異体を導入した細胞の諸性質を調べることにより、 リン酸化の意義を明らかにしたいと考えた。この考えに基づいて、まず正常 XRCCおよび変異型. XRCC4発現細胞の X線照射に対する基礎的データの収集を行った。 )は、心筋細胞に分化する過程に放射線照射を行い分化に与える影響を評価する実験 小堂ら(3-6 系の作成をめざし、まず iPS細胞の至適培養条件の確立と放射線照射条件の検討を行った。iPS 細胞の培養には、初期段階でフィーダー細胞を使用し、毎日の培地交換が必要とされていた。原 子力研究所の実験室で培養を可能にするために、フィーダー細胞フリーの状態で至適培養条件を. l使用することにより l e w / g 確立した。フィーダー細胞の代わりにコーテイング剤 Lamin5 を 2μ 良好な結果を得た。 、 XP (色素性乾皮症)患者由来の iPS細胞から神経細胞へ分化する過程において は ) 7 弓場ら(3 放射線を照射し、分化に与える影響を評価する実験系を作成することを目指している。今回は、. iPS細胞の培養法の見直し及び、至適条件の検討を行った。原子力研究所内で iPS細胞が培養可能 であることを確認した。今後、同条件培養時の XPA-iPS細胞を神経細胞に分化させ、分化誘導時 の X線、中性子線照射の影響を評価していくことを考えている。 )放射線の生物モニター系の開発 2 ( 高井ら(3・2)は、水環境中における環境変異原の検出系として、ヒメダカの小核試験によるモニ タリング技術の確立を目指してきた。そのための変異原として中性子線と X 線をヒメダカに照射 して、偲細胞と腎臓細胞により誘発される小核頻度を解析した。個体間の体重や性差に関しては いずれの細胞も小核出現感受性に関して影響を受けないことを確かめた。さらに、放射線のよう な直接変異原だけでなく、代謝活性を必要とする間接変異原や、異数性誘発剤に対しても小核試 験は有効であることを示した。. δ n.
(12) 平成 26年 度 研 究 所 だ よ り. (1) 速 中 性 子 に よ る 植 物 細 胞 の 突 然 変 異 研 究 E 代表者:谷口研至(広島大学大学院理学研究科) 〔要約〕 キク属は東アジアで二倍体から十倍体までの同質倍数体によるゲノ ム分化をしてきた一群で、園芸上も世界で最も多く利用されている六 倍体の栽培ギクを含む重要なグループである 。 これまで細胞遺伝学的 には多くの研究がなされてきたが、自家不和合性であること、および 栽培ギクが六倍体であることから、遺伝学的な研究はほとんどなされ ていない。 最近、我々は二倍体キクタニギクの野生集団から自殖系統を発見し (谷口ら 2014) 、 モ デ ル 実 験 植 物 化 を 進 め て い る 。 こ の 一 環 と し て 、 発芽から幼百の早い時期と花期に区別できる外部形態の遺伝的変異株 のコレクションをおこなっている。すでに、野生集団からいくつかの 変異株を分離している。さらに効率的に変異を集めるために、我々が 確立した培養細胞(組織培養苗条原基)による突然変異選抜技術を種 苗に応用し、突然変異株の分離に取り組んできた。播種苗の本葉形成、 第 1本 葉 と 第 2 本 葉 の 対 称 性 と 非 対 称 性 の 頻 度 変 化 を 調 べ る こ と に よ り、放射線量の個体におよぼす影響を調べる解析技術を確立した。キ ク タ ニ ギ ク に お い て は 、 播 種 18 時 間 後 に 25.8Gy の X 線 照 射 条 件 で 、 突然変異の最大効率が再現性をもって得られることを確かめた。突然 変 異 第 1世 代 ( ml 世 代 ) と 第 2 世 代 ( m2世 代 ) の 子 孫 の 解 析 を 行 い 、 前年度の栄養成長期の変異に加え、明確に区別できる劣性ホモと考え ら れ る 頭 状 花 の 自 殖 系 統 の 2変 異 個 体 〈 舌 状 花 が 線 状 に 5 裂 す る 変 異 体と無舌状花の変異個体)のラインを確立した。. (2) 中 性 子 線 に よ る 魚 類 細 胞 に お け る 小 核 誘 発 に 関 す る 研 究 代 表 者 : 高 井 明徳(大阪信愛女学院短期大学) 〔要約〕 我々は近畿大学原子炉等利用共同研究において、水環境中における 環境変異原の理想的な検出系としてメダカの小核試験の開発と確立に 関する基礎研究として、中性子線並びに X 線照射による小核誘発特性 の 解 析 を 行 っ て き た 。 最 初 に ヒ メ ダ カ に X線 照 射 を 行 い 、 鯨 細 胞 に お ける小核頻度を求め、小核試験を行う上で重要な要因となる体重や性 差について放射線の偲細胞における小核出現に対する感受性に影響し ないことを示した。次いで、中性子線および X 線照射実験を行い、鯨 細胞の小核誘発について、中性子線の X 線に対する相対的生物効果比 (RBE) は 4.3 で あ る こ と を 明 ら か に し 、 メ ダ カ に お け る 小 核 は 主 に DNA二 本 鎖 切 断 に よ り 生 じ る こ と を 示 し 、 メ ダ カ の 小 核 試 験 の 有 用 性 を示した。一方、造血組織である腎臓の細胞についても、偲細胞同様、 体重や性差は放射線や変異原物質の小核出現に対する感受性に影響し ないことを示し、また、偲細胞と腎臓細胞における小核は独立して生 じることを示した。さらに、メダカの鯨細胞を用いる小核試験は、直 接変異原だけでなく、代謝活性を必要とする間接変異原や、異数性誘 発剤にも適用できることを示した。. 82.
(13) ) 5 1 0 2 2( .5 l o V. 近畿大学原子力研究所年報. (3) シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ お よ び マ ウ ス を 用 い た 放 射 線 誘 発. 傷害ならびに傷害を修飾する因子に関する研究 代表者:根岸友恵(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科). 〔要約〕 X線 の 生 物 影 響 と そ の 防 御 に つ い て 研 究 を 継 続 し た 。 X線 照 射 に よ る 突 然 変 異 誘 発 に 関 与 し て い る DNA傷 害 を 明 ら か に す る た め に 、 DNA 二 本 鎖切断の指標となるヒストンリン酸化の検出を試みた。ショウジョウ パ エ に お け る ヒ ト H2AX ホ モ ロ グ で あ る H2AvD に 対 す る 特 異 抗 体 を 用 い たウエスタンブロティングを行った結果、尿酸欠損株も野生株も、照 射直後からほぼ同程度のリン酸化が観察された。照射後の時間経過を 検 討 し た と こ ろ 、 3-5 時 間 後 に 発 現 量 の 減 少 が み ら れ た が 、 減 少 し 始 め る時間や、より早く減少が見られるショウジョウパエ株について再現 性 が 得 ら れ て お ら ず 、 今 後 の 検 討 課 題 で あ る 。 X線 と 同 様 に 照 射 直 後 か ら リ ン 酸 化 が 見 ら れ る 長 波 長 紫 外 線 ( UVA) で は 、 尿 酸 欠 損 株 の 方 が 野 生 株 よ り 有 意 に 高 い リ ン 酸 化 が 検 出 さ れ て い る 。 し た が っ て 、 ATR欠 損 株 の 感 受 性 が 高 い な ど の 共 通 点 も あ る が 、 DNA の 二 本 鎖 切 断 を 誘 導 す る 要 因 に は UVA と X 線 で は 違 い が あ る と 考 え ら れ る 。 H2AvD の リ ン 酸 化 は DNA 二 本 鎖 切 断 の 指 標 と さ れ て い る が 、 要 因 と な る 傷 害 が す べ て DNA 二 本鎖切断によるものではないので、さらに検討が必要である。. (4) 放 射 線 被 曝 に よ る 生 体 内 酸 化 的 損 傷 と そ の 防 御 代 表 者 : 河 井 一 明 ( 産 業 医 科 大学 産 業 生 態 科 学 研 究 所). 〔要約〕 放射線被曝によって生体内に生じる活性酸素種は、放射線被曝によ る生体の有害影響に深く関わっているとされている。本研究では、抗 酸化成分の lつであるグルタチオンの減少が、放射線で誘発される酸 化 的 DNA 損 傷 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 グ ノ レ タ チ オ Oの 処 理 に よ る 各 臓 器 の グ ル タ チ オ ン レ ベ ル の 低 下 は 、 ン 合 成 阻 害 剤 Bs 脳 を 除 い た い ず れ の 組 織 に お い て も 認 め ら れ 、 そ の 低 下 率 は 約 50% 程 度 で あ っ た 。 一 方 で 、 放 射 線 被 曝 よ る マ ウ ス 臓 器 DNA の 8-0HdG値 の 増 加に対する、 グルタチオンレベルの 影 響 は 限 定 的で あった。今後 、グ ルタチオン以外の抗酸化物質の影響を含めた検討が必要と考えられる 。. 3-8.
(14) 平成 26年 度 研 究 所 だ よ り. (5) 中 性 子 線 に よ る DNA損 傷 と そ の 修 復 の 分 子 機 構 代表者:松本義久(東京工業大学原子炉工学研究所) 〔要約〕 本 研 究 の 目 的 は 、 中 性 子 線 の DNA 損 傷 の 特 徴 と そ の DNA 修 復 機 構 を 明らかにすることである。これまでの結果から、近大原子炉照射場で 生 じ た DNA損 傷 の 修 復 に お け る XRCC4 の 調 節 に DNA-PK と ATM の 両 方 が 相補的に関わっていること さ ら に 、 原 子 炉 で で き た DNA 損 傷 は X 線 で で き た も の に 比 べ て DNA PK、ATM、XRCC4 の 連 携 に よ る 修 復 が 難 し い、 あるいは修復しても間違いを起こしやすいことが示唆された。最近、 XRCC4 の あ る セ リ ン の リ ン 酸 化 が 放 射 線 ( γ 線 ) 照 射 に よ っ て 著 し く 増 加することを見出した。そこで、この部位のリン酸化の中性子線 に対 する応答を調べたいと考えている。また、当該リン酸化部位セリンを ア ラ ニ ン に 置 換 し た 変 異 体 を MlO 細 胞 に 導 入 し た 細 胞 の 諸 性 質 を 調 べ ることにより、リン酸化の意義を明らかにしたいと考えている。平成 26 年 度 は 、 新 た な 変 異 型 XRCC4 発 現 細 胞 を 今 後 解 析 す る に あ た り 、 X 線 照 射 を 行 い 、 基 本 的 デ ー タ を 収 集 し た 。 X線 照 射 、 γ 線 照 射 の い ず れ に お い て も 、 変 異 型 XRCC4 発 現 細 胞 の 感 受 性 は 、 正 常 XRCC4 発 現 細 胞 と XRCC4 欠 損 細 胞 の 中 間 で あ っ た が 、 正 常 XRCC4 発 現 細 胞 と の 差 は 現 時点では有意でなく、さらにデータを収集する必要がある。. (6) 心 筋 細 胞 の 分 化 に 放 射 線 が 与 え る 影 響 代表者:小堂直彦(近畿大学医学部) 〔要約〕. 心臓の発生異常は、小児の先天性疾患の中でも頻度が高く、また様々 な種類のものが知られている。心筋の発生段階において、様々なスト レ ス の 結 果 と し て の 発 生 異 常 を 研 究 す る こ と が 望 ま れ て い る 。 iPS細 胞 は、再生医療の実用化に関して大きく期待されているところであるが、 細胞の分化の課程を試験管内で再現することができるという大きな利 点 を 持 つ 。 ipS 細 胞 は 、 試 験 管 内 で 分 化 さ せ る こ と に よ り 、 心 筋 細 胞 を 作成することが可能である。本研究では、心筋細胞への分化の過程に お い て 放 射 線 ( X線 、 中 性 子 線 ) を 照 射 し 、 分 化 に 与 え る 影 響 を 評 価 す る 実 験 系 を 作 製 す る こ と を 目 指 す 。 iPS細 胞 の 培 養 に は 、 初 期 段 階 で は フィ ー ダ ー 細 胞 を 使 用 し 、 毎 日 の 培 地 交 換 が 必 要 と さ れ て い た 。 平 成 26 年 度 で は 、 フ ィ ー ダ ー 細 胞 フ リ ー の 条 件 下 で ipS 細 胞 の 至 適 培 養 条 件を確立し、今後の実験における放射線照射条件を検討した。. 84.
(15) ) 5 1 0 2 2( .5 l o V. 近畿大学原子力研究所年報. (7) 色 素 性 乾 皮 症 iPS細 胞 の 神 経 分 化 に 与 え る 放 射 線 照 射影響の評価 代表者:弓場俊輔(独立行政法人産業技術総合研 究所) 〔要約〕. 色 素 性 乾 皮 症 ( Xeroderma Pigmentosum:XP) は 、 紫 外 線 感 受 性 を 示 す ヒ ト 遺 伝 性 疾 患 で あ る 。 XP 患 者 の 細 胞 は 、 紫 外 線 や 活 性 酸 素 に よ る DNA 損 傷 を 修 復 す る ヌ ク レ オ チ ド 除 去 修 復 に 異 常 を 持 つ 。 XP 患 者 は 、 日光露出部位に高頻度に皮膚がんを発症するが、種々の神経症状を発 症 す る 。 特 に 、 A 群 XP 患 者 は 、 重 篤 な 精 神 神 経 症 状 を 呈 す る 。 紫 外 線 に よ る 皮 膚 が ん の 発 症 は 、 DNA損 傷 に 対 す る 修 復 機 能 の 異 常 の た め と 考 えられているが、神経異常の原因は未だ明らかではない。神経異常の 解 明 を 期 待 し 作 製 さ れ た XPA 遺 伝 子 ノ ッ ク ア ウ ト マ ウ ス で は 、 紫 外 線 照射により皮膚がんの発生が見られたが、神経異常は見られなかった。 我 々 は 、 XP 患 者 の 神 経 異 常 の 原 因 を 明 ら か に す る た め に 、 XP 患 者 の 細 胞 か ら 、 ipS細 胞 を 作 製 し た 。 ipS細 胞 は 、 再 生 医 療 の 実 用 化 に 関 し て大きく期待されているところであるが、細胞の分化の過程を試験管 内 で 再 現 す る こ と が で き る と い う 大 き な 利 点 を 持 つ 。 iPS 細 胞 は 、 試 験 管内で分化させることにより、神経細胞を作成することが可能である。 本 研 究 で は 、 XP 患 者 由 来 の iPS 細 胞 か ら 神 経 細 胞 へ の 分 化 の 過 程 に お い て 放 射 線 ( X線 、 中 性 子 線 ) を 照 射 し 、 分 化 に 与 え る 影 響 を 評 価 す る 実験系を作製することを目指す。. 戸 d h. δ n.
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