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特集「コンピュータグラフィクスの新展開」の編集にあたって

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Academic year: 2021

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(1)Vol. 42. No. 5. May 2001. 情報処理学会論文誌. 特集「コンピュータグラフィクスの新展開」の編集にあたって 岡. 稔†. 田. コンピュータグラフィクス( CG )はベクトルグラフィク ス,ラスタグラフィクスの基礎理論から始まり,20 世紀のラ ストディケードにおいて急成長を遂げた.光線追跡法による 24 ビットのフルカラー高精細画像を生成するのに大型計算機 で数時間掛け,その画像を表示するのに箪笥程の大きさのフ レームバッファを持つグラフィクス専用表示装置と格闘した のはほんのひと昔のことであった.それが少なくともハード ウェア的には掌中のノートパソコン,ゲーム機でこと足りる 御時世である.CG は今や,雑誌,ポスターなどの静止画広 告媒体ではその威力をいかんなく発揮し ,TV-CF,CG 映 画,3D ゲームなどでは目を見張るような精細さ,リアルさ, スピード 感で我々を楽しませてくれている. このように,CG を取り巻くハード ウェア的環境と生み出 された画像には格段の進歩を見たのであるが,その制作・利 用においては,人海戦術による CG 映画制作,大量のコン テンツの洪水・氾濫に悩むインターネットに代表されるよう に,与えられたハード ウェアの能力をいかんなく発揮してい るのか,その制作過程は相応しいものであるのか,利用方法 は最適なのか,というと疑問の念を禁じ得ない.また,新し い利用形態に則したハード ウェア基礎技術も必要となろう. CG は,マルチメディアの中心的メディアでもあり,マルチ メディア関連の学会,研究会が新生してきているが,本学会 グラフィクスと CAD 研究会は,その基幹研究領域を中心的 に担う必要があろう.本研究会では,年に数回の研究発表会 ( 夏の集中研究集会を含む)に加え,画像電子学会との共催 による Visual Computing/グラフィクスと CAD 合同シン ポジウム等を開催し,国内でのグラフィクス関連研究者のよ りどころ,オピニオンリーダとしての役割を担ってきた. 今,21 世紀をここに迎え,コンピュータ,インターネット が専門家のものではなくもはや「家電」と化した今日,それ らの社会環境の中でこれからの CG はど うあるべきなのか, ど う利用できるのか,など ,ハード ウェア技術,ソフトウェ ア技術,応用技術,利用技術,の各側面から新しい可能性を 模索する必要がある.そこで,本学会グラフィクスと CAD 研究会を中心として『コンピュータグラフィクスの新展開』 をテーマとして,論文誌特集号編集委員会が組織された.本 特集では,21 世紀の CG 研究の新たな分野を創成するべく, 斬新なアイディアに満ちた創造的研究論文を掲載することを 目的としている.特集という,限られたスケジュールにもか かわらず,合計 26 件もの投稿があったことは特集号編集委 員会としてなによりも嬉しいことである.精選された査読者 の並列査読により,14 編の論文が採録( 採録率 約 54% )さ れ,ここに皆様のお手元に届けられた次第である. 採録論文 14 編の内訳とその概要は以下のとおりである. 形状の表現技術として,曲面生成・ポリゴン生成・応用が 5 編である.ボリューム表現と処理が 2 編である.自由曲面の 生成技術を志向したモデリングが 4 編である.World-Wide. Web での利用を目論んだ研究,あるいは服飾への応用研究 であるメディア利用・応用が 3 編である.全体としては,レ ンダリング関連の処理技術に比較して,幾何処理・形状処理 に関する論文が目立つ結果となっているのは興味深い.最近 になって IBR: Image Based Rendering による簡易レンダ リングに関する研究,複合現実感による実写画像と CG 画像 の合成に関する研究がさかんに行われるようになってきてお り,それに対応した幾何形状処理技術が望まれていることも 一因としてあろう. さて,本特集の編集委員会会議は,編集方針の確認・査読 者割当てのなどために中部大学で開催された第 1 回をのぞき, 電子メール,Web データベースのアクセスによる on-line で 行われたことも特筆すべきことである.これにより,レビュー 依頼・同報告,メタレビュー・同報告,採録判定,事務処理 などのかなりの部分が郵便,実会議を経ずに on-line で迅速 に行われたため,その分を査読・審議に費やすことができた. 21 世紀の CG 研究はどのように展開されるのか,現時点 ではまだ未知数である.しかし,本特集が「コンピュータグ ラフィクスの 21 世紀のファーストデ ィケード における新た なる展開の布石となり,関連諸分野の研究活動の活性化とグ ローバル化の一助となれば幸いである. 最後に,本特集号をゲストエディタ制により企画する機会 をいただいた論文誌編集委員会に感謝する.また,優れた多 数の論文を投稿していただいた方々に特集編集委員一同より 心から謝意を表する.さらに,逼迫したスケジュールにもか かわらず,迅速・丁寧なレビューをいただいた査読者の方々 には,御芳名を記して敬意を表するのが本来であるが,ここ に特集編集委員一同より心から謝意を表することで代えさせ ていただきたい. [コンピュータグラフィクスの新展開]特集号編集委員会. † 中部大学工学部情報工学科. 1063. • 編集長 岡田   稔( 中部大学工学部情報工学科) • 編集委員( 順不同) 青野   雅樹( 日本アイビーエム( 株)東京基礎研究所) 大野  義夫( 慶應義塾大学理工学部情報工学科) 金田   和文( 広島大学大学院工学研究科情報工学専攻) 栗山   繁( 豊橋技術科学大学情報工学系) 小堀  研一( 大阪工業大学情報科学部情報処理学科) 近藤  邦雄( 埼玉大学工学部情報システム工学科) 斎藤  隆文( 東京農工大学工学部情報コミュニケーショ ン工学科) 多田村克己( 山口大学工学部感性デザイン工学科) 土井  章男( 岩手県立大学ソフトウェア情報学部) 藤代  一成( お茶の水女子大学理学部情報科学科) 安田  孝美( 名古屋大学情報文化学部自然情報学科).

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参照

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