Author(s)
組原, 洋
Citation
沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL
OF LAW & ECONOMICS(10): 23-35
Issue Date
2008-03-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/5986
沖縄大学法経学部紀要 第1()早
フィンランドの地方行政と公共図書館
組 原 洋 キー ワー ド :フ ィンラン ド 地方 自治 公共 図書館 【研究 ノー ト】 まえがき 筆者は07年3月と9月にフ ィンラン ドを旅行 した。 いずれ も公共 図書館見学 のためである。 3月は単独で行 ったが、 これは、同年 3月21日に開催 されたシンポジウム 「図書館 の挑戦」 (主 催 :特定非営利活動法人ゆいベース ・エル、後援 :沖縄県 図書館協会)での記念講演 「分権型社会 における図書館 の役割 一東西比較の中で考 える-」準備 のためであった。講演 の題名か らも分かる よ うに, フ ィンラン ドを分権型社会 と考 え、その実態把握 のために行 ったのである。分権型 とい う 言葉か らは独立 した個 人の集合 といったイメージを抱 いていたが、実際に行 ってみて、相談すれば いろいろ柔軟に対応 して くれ るよ うな ソフ トな印象 を持 った。実際、相談が多 いこと、相談への対 応が充実 していることが フ ィンラン ドの公共図書館 の特徴 の1つとされている。 フィンラン ドの公 共図書館利用率は非常 に高 く、国民1人あた りの年間貸出数は平均20冊前後で、 日本の 4倍ぐ らい であるが、 これ には長 い陰欝な冬が続 くことも大いに影響 しているだ ろ う. まだ雪 と氷で真 っ白に おおわれた時期に訪問 してその ことを非常に強 く感 じた。 9月には 「フ ィンラン ドの図書館 に学ぶ旅」 とい う見学 ツアーに加わ って、 フ ィンラン ド南部の 公共図書館 を訪問 した。 フ ィンラン ドでは夏 には、都会の住民 も田舎 に居 を移 し、 自然 を満喫す る 人が多い。森 と湖 の国 と呼ばれ るだけあって、何時間車で走 って もシ ラカバの森が続 く。林業が盛 んであることもよ く分か った。平たい地面に木が生えているので、 日本 とは勝手が違 う。 フ ィンラ ン ドは 日本よ りち ょっと小 さい国土 に人 口約520万人で、都会 もそんなに大き くないし、田舎の方 は、特に北のラップ ラン ドは人 口もまば らで、対向車 にあ うの もまれである。 図書館訪問が終わ っ てか ら、個人的に、ラップラン ドの中心都市 ロヴァニエ ミか らレンタカーで北に向かい、ノル ウェー のアル タとい う町 まで片道約600kmを走 ったが、単調な風景が続 く。 フ ィンラン ドでは大型バスに よる移動図書館サービスが今 も健在であるo こうい う社会では、 インターネ ットも飾 りではな く必 需品であ り、 ノキアのよ うな企業が生まれたのももっともな ことと了解 された。 筆者は、07年の8月にはブータンを旅行 したが、フ ィンラン ドとの間に非常に似たものを感 じたo その共通性 についてあれ これ考 えているうちに考 えついた言葉が 「分散型社会」である。権 力構造 のあ り方などとは別 に、単純 に、集 中-分散 とい う枠組での発想である。 ブー タンもまた、人 口や 集落が まば らに分散 している。 ヒマ ラヤの裾野にある国なので、地形か らして大都会はできそ うに ない。人 口も、九州程度の面積 の国土にた ったの70万人ほどである。そ して人 々は気軽 に居 を移す のだそ うであるO冬 の寒 いときは高度 の低 い場所 に移動す るOそれ で、首都 もテ ィンプー とは別 に、冬の首都 といわれ るブナカとい う町がある。西部はチベ ッ ト系の人が多 く、農民であって ももともと移動牧畜民のよ うな側面を持 っている。 人々もよけいな ものは持たない人が多い。男性 の伝 統衣服であるゴは、懐がポケ ットにな るよ うた くし上げ るので、そ こに何でも入 って しまうO 政治形態 を見 ると、 フ ィンラン ドは地方分権化が世界で ももっとも進んだ民主的な国 として知 ら れているのに対 して、ブータンは王国で、 5代 目の若い国王にかわ ったばか りであるoそ して08年 に憲法 を制定す る準備 をしている。た またま優れた国王に恵 まれたのか、国王への国民の敬愛ぶ り は一通 りでな く、上か ら民主化 を進 めることへの戸惑 いも見 られ る (文献①参照)。政治的には この よ うに対照的で も、旅の途 中で揺す る人 々には共通のものを感 じた。 07年度の10月か ら12月にかけて、筆者の所属する沖縄大学地域研究所 「まちとむ らの関係形成」 班は沖縄大学土曜教養講座を企画す る機会 に恵 まれた. 「「む ら」と 「まち」」とい うテーマで連続5 回の講座 を行 った。 これは拙稿 「沖縄 における都会 と田舎」 (本紀要第6号 (06年)所収)で扱 った テーマについて、主 に現場で活躍 してお られ る方 々の話 を伺 ったのであるが、最終回で、 フ ィンラ ン ドとブー タンについて分散型社会 とい う観点か ら考 え、 フ ィンラン ドについてはツアー企画者の 西川馨氏 にお話 をお願 いし、ブータンについては筆者が担 当した。 フ ィンラン ドについては現在、 ツアーの仲間たちと一緒 に図書館紹介の本作 りをしているところ であるが、その作業で得 られた資料 をもとに、本稿では フ ィンラン ドの地方行政組織のあ り方 と、 図書館政策の特徴 について述べてみたい。 [1]フ ィンラン ドの地方 自治 見学 ツアー中か ら、 フ ィンラン ドの地方行政単位 とその仕組みが よ く分か らないとい う声がず っ とあ り、帰国後筆者がそれ を調べ ることにな った。 例えばwikipediaで調べてみ ると、フ ィンラン ドは6つの州 (laani)よ りな り、それが さらに20 の県 (maakunta)に分かれ るとされている。 図書館 については、PULMAN レポー ト (文献②) によると、市町村 図書館 のほかに、全国で19 のprovinciallibrariesと、公共図書館 の中央館 としてヘルシンキ市立図書館が あるが、provincial librariesとい うのを州立図書館 と訳せば いいのか県立図書館 と訳せばいいのか、非常 に迷 った。 ま た、regionalとい う言葉 とlocalとい う言葉の使 い分け もハ ッキ リせず、provincialとregionalは 同じ意味なのか違 うのか、 ツアーの仲間たちとかな り論議 をした。 これ について、文献③などをも とに調べた結果は以下の通 りである。 フ ィンラン ド憲法第121条は次のよ うに規定 している (インターネ ッ トで得 られ る英文憲法か らの 筆者訳)0 121条 市町村 自治 と他 の広域 自治 ① フ ィンラン ドは市町村 に分け られ、その行政は住民の 自治に基づ いてな されなければな らない。 ②市町村行政 と市町村 の責務 についての一般規定は法律 によって定 める。 ③市町村は市町村税 を課す権利 を有す る。税金支払義務 と税金の根拠、及び課税義務 を有す る人ま たは組織が利用可能な免除についての一般規定は法律 によって定める。 ④ 市町村 よ り広域 の行政 区域 における自治 についての規定は法律 によって定めるOサー ミはその原 ー
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沖縄大学法経学部紀要 第10号 住地域において法律 に定めるところによ り言語的文化的 自治権 を有す る。 この よ うに フ ィン ラ ン ドの地 方 自治 体 は、市 町 村 (フ ィン ラ ン ド語 で
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と、市町村連合な どの広域 自治体か らな っているO 市町村連合は、業務 に応 じて近隣市町村か らなる比較的小 さな ロー カル レベル のものか ら、全国 で2
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に分け られ る広域地域 (フ ィンラン ド語でma
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レベル のものまで、様 々な ものがある。 一方中央政府 の機関 として、全国に6
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と呼ばれ る行政単位がある。 そ して、1
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をさらに細分化す る形で、国の地方支部局がある。地方 自治法第8
条 によれば、国の 内務省は地方 自治体 の運営や財政 について監視す るとともに、国の地方支部局は地方 自治体 の運営 が法律に沿 って行われているかど うかを調査す ることができる。 また、地方 の行政や財政に関す る 国との調整については、国 と地方の交渉 によ って行われ る。 このよ うに、国の機関は市町村の運営 や財政が国の施策方針 に沿 っているかど うかを調査、監視す るが、市町村が法律違反 を犯 さない限 り市町村 の活動を縛 ることはない。 (1)市町村 フ ィンラン ドには2
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年現在、41
6
の市町村がある。市町村 の境界線は、1
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世紀半ば の教会区の区 分を引き継いだ ものが多い。市町村は、1
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40年代 には6
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余 り存在 したが、1
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年 までに統合が進ん で5
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未満 とな り、以降 も減少が続 いている。 さらに、今後 も市町村改革 によ り、2
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年には41
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ま で減少す る見込みだ と言われ る。 市町村は小規模 のものが多 く、 人 口4
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犯人未満 の市町村数が1
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人以上1
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自治体、5
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自治体 のみである。市町 村の人 口は、最低で1
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人、最高で5
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万人 (ヘルシンキ市)、平均で約1
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人である。 市町村が果たすべき役割 の中で、最 も重要な ものは、教育サービス、社会福祉 ・保健サービス、 インフラの維持管理の3点である。教育については、小 ・中学校
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のサービス提供に責任 を有す るo こ の他、図書館の運営、芸術教育、成人教育 ・一般教育、文化 レク リエーシ ョンサービスの提供など も市町村の役割 とな っている。 社会福祉 ・保健サービスについては、託児、高齢者福祉、障害者福祉、基礎的保健 ・予防サービ ス、専門家 による医療、歯科治療、健康的な生活環境の増進 に対 して責任 を有す る。 インフラの維持管理 については、土地利用及び建設の管理、水道光熱供給、廃棄物処理、道路管 理、環境保全、消防救助サービスに対 して責任 を有す る。 市町村は、 また、商業振興や雇用の確保 も追求 している。 フ ィンラン ドの市町村は、憲法 によって、世界で も最 も高い 自律性 を与え られているO 市町村は、議会(
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の メンバーを選定す る。理事会 の メンバーは、議会 の政党 勢力に比例 して選ばれているが、必ず しも議員でな くて もよい。少数政党は、連合 して理事会 にメンバーを送 り込む ことになる。
市町村長 (MunicipalManager)は、議会によ って選ばれ、理事会の下で業務を遂行す る。実際 の業務 の遂行 については、業務ご とに委員会 (MunicipalCommittee)が設置 され る。委員会の メ ンバー も議会が決定す る。 役所は、部局に分 かれ、 これ らの委員会 の意思決定 を支援す る。 市町村 の所掌範囲は,上記のよ うに、教育文化、社会福祉 と保健衛生、環境および インフラの整 備3つに大き く分かれ る。 (2)市町村連合 (JointMunlCPalAuthoritleS) 市町村はその責務 を果た して い く上で、単独でサービス提供に当た る場合 もあるが、他の市町村 と市町村連合 を組んでサービス提供 に当たることが多 く、 これが フ ィンラン ドの地方 自治体 におけ る公共サー ビス提供 の大きな特徴 とな っている。 例 えば、病院や多 くの教育訓練機関は、それぞれの業務毎 に組成 された市町村連合によって維持 されているDその中で、例えば、地域振興や土地利用計画 を策定 した り、EU の構造改革に対応する 作業を行 った りす るのは、全国に20ある地方区 (RegionalCouncils)と呼ばれ る市町村連合の業務 とな っている。 市町村連合は、任意で組 まれ る例 もあれば、義務 として組 まなければな らない例 もある。例 えば 職業訓練、地方企業の発展支援な どのサービスは、任意 に組 まれた市町村連合によ って執行 され る。 これ に対 して、病院サービスや障害者ケアは、市町村連合 を義務 として組む ことによって提供 され ているO上に挙げた地方 区における公共サ-ビス (地域振興や土地利用計画を策定、EU の構造改革 対応作業などを担 当) も、市町村連合 を組む ことによ って提供す ることが義務 とな っている。義務 とな っているとい うことは1層制の地方行政システムが事実上 2層制に近づいて行 っているという ことであろう。 市町村連合 には課税権は無いが、法人格 を持 ってお り、運営費および投資費用は中央政府か らの 補助金 を受けている。地方 自治体歳 出総額 の5分の 1は市町村連合による支出である。 うち、 4分 の3は病院運営のための費用である。市町村連合は、構成市町村か ら総支出の20%、 これ に加えて 料金収入.国か らの補助金 を財源 として活動 している。市町村連合は、議会 (議員は、構成 され る 市町村 によ り指名 され る) と理事会 によって統治 されているo地方 自治法 によれば、市町村連合に 対す る財政基盤の確保 については、連合に参加 している市町村 に責任がある。 なお、市町村が単独で、 または協 力 し合 った り、市町村連合 を組む ことによって公共サービスを 提供す ることができることは、地方 自治法第
2
条、および第7
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条の規定に基づ いている。 フィンラン ドには、2(カ5年現在、240の市町村連合が存在す る。 この理由として、市町村 の構造改 革 のペースが遅 いため、 その代替手段 として市町村間協力が機能 していること、また.サービス提 供 にお いては、市町村合併 よ りも連合 ・協力形態の方が早 く経済的で合理的であること等が挙げ ら れ る。市町村連合の絶対数は、1990年の350余 りか ら統廃合が進み、減少 している。特 に、社会福祉 や保健サー ビス分野で の市町村連合が解散 し、病院区 (HospitalDistrict)レベルでの連合 に移行 しつつある。その一方で、住民のニーズに応 えるため、新たに誕生 して いる市町村連合 も多い。-
26-沖縄大学法経学部紀要 第10号 (3)市町村のその他の協力形態 市町村は、市町村連合 を組む方法以外 に、他 の供給者か らサービスを購入す ることが認め られて いる. この場合、他 の市町村、市町村連合か らサービスを購 入 して もよいし、民間部門か ら購入 し て もよい。 また、公社や市町村間の協力、共通委員会 によるサービス提供形式 も存在す るo さらに、 例えば、ヘルシンキ大都市圏では、救助 ・緊急時サービス、廃棄物管理、公共交通機関の料金徴収、 大気汚染管理等については、協力委託
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という形式が取 られ ている。 近叶では、サービスをアウ トソーシング した り、市町村間で協力する例が増加 し、連合の形態は 多様化 している。 このよ うに, フ ィンラン ドでは、必要 とされ る住民サービスの大きさに比 して人 口規模 ・経済規 模の小 さな市町村が多 いため、市町村単独ではな く、協力 した り連合体 を組んだ りす ることでサー ビスを提供す る等の工夫が行われ るケースが、他 の北欧諸国 と比べて多 くな っているo しか し、提 供 され る公共サービスが、市町村 の管轄であった り、市町村連合 の管轄であった りす るなど、住民 サイ ドか らは、責任の所在が分か りに くい、 とい う欠点 も併せ持 っている。 以上の調査結果に基づいてPr
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は広域図書館 と訳す ことにした。 ツアーで見学中,全国 レベルでの図書館政策 についての説明は、 当然の ことなが ら、どこで も一 緒で、 これ に対 して、 当該図書館 の運営のあ り方 については説明がバ ラバ ラで混乱す るとい う感想 がた くさん出た。 こういった ことが起 こったのも、以上のよ うな前提で考 えれば よ く理解できる。 [2]フ ィンラン ドの図書館政策 公共図書館の活動は、現在、1999年 1月1日に施行 された図書館法 と図書館令によって規律 され ている (最初の図書館立法は1928年に実施 された)。 図書館法は12節か らなる簡潔なものであるが、I
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技術 を導入 した広域ネ ットワー クの形成、全市民 への平等なアクセス提供、有資格 の職員による運営、無料原則 と国の補助 について規定 している。 図書館令の主要な内容は、公共図書館の中央図書館及び広域図書館、及び、国の地方支部局の具体 的な仕事 の内容 と、図書館職員の資格要件の具体的内容が主要な ものであるO公共図書館運営の責 任主体である自治体 (市町村) の具体的活動内容 については触れ られていない。 このよ うに、世界的に高い評価 を得ている国の図書館法令 としては意外なぐ らい簡略であるが、 これは、分権化 を最大限に進め、 自治体 (市町村) の 自主性 を尊重 した結果 と理解できよ うo実際 に各地の公共図書館を見学 してみて も、上記のよ うにそれぞれが独 自に運営 をしていることが強 く 印象づけ られ、国の関与は最小限にとどま っていると思われ る。 国の図書館政策 を明 らかに した数年単位 の計画は継続 して発表 されている。現時点での教育省の 図書館政策 として、教育省のHP
には、 「図書館発展計画2
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」 と 「図書館戦略2
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」 とが挙 げ られている (これ らの文書は文献④の教育省HP
で得 られ る)。 「図書館戦略2
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」は 「知識 と文化へのアクセスのための戦略」とい う副題がついている。pdfファ イルで36頁か らなる大部のものであるが、基礎教育 と並んで公共図書館は、情報社会 における市民 精神の前提条件創出において、公共機関の最 も重要な道具であ り、文明文化推進のための不可欠のサービスであるとのヴ ィジ ョンのもとに、挑戦課題 と必要な措置について述べている。 中で も、全 市民に知識 と文化へのアクセ スを確保す るために広域聞及び図書館間の差異を解消し、均 一化すべ きことが強調 されている。 「図書館発展計画2006-2010」には、「都市 と田舎の統合サービスセンター としての図書館」とい う 副題がついていて、 内容 も、図書館計画 とい うよ り田舎 の開発計画のよ うな感 じのものにな ってい る。 これ に関す る社会変化 として この計画は次 のよ うに述べている。 「フ ィンラン ドの人 目は歴史的な理 由か ら分散 している。基礎的な インフラス トラクチ ャはほぼ 全国に建て られている。全国のどこにで も住 める。 フ ィンラン ドにおいては、憲法及び図書館法に おいて、財産 と出身地 にかかわ らず 自分 自身を向上 させ る平等な機会が各市民に保障 されている。 田舎の地域が発展す る中で変化は起 こった。農民の数は ドラスチ ックに減 ったが、休 日の住民と 一時的な住 民は増えた。都市住民は 1年の うちい くらかの時間を田舎で過ごす。ブ ロー ドバン ドの コネクシ ョンが 田舎の全地域 に届 いている。 インターネ ットのコネ クシ ョンも田舎で毎 E]利用 され ている。都市の混雑、上昇す る物価、安全の欠如及び類似 の現象 とつ り合いを取 って、平和で高い 質の居住環境 としての田舎の訴えかけは増 している。移住はまた新たな市民活動 を田舎に持 ち込ん でいる。 仕事 と研究は不断に変化 している。環境、習慣、施設は変わ り、公開性 とフレキシビ リテ ィは増 している。 インターネ ットの役割は強調 され、同時に、テ クノロジーは使 いやす くな り、転送速度 と転送 の質は向上 しているOマルチ メデ ィアは無線でモバ イル にな ってきている.様 々なタイプの コネクシ ョンが新 しい対話方式の可能性 を開いている。研究 と仕事 の相互補完的で代替的な機会は 発展 してい っている。 コミュニケーシ ョンコネクシ ョンがあるところではどこで も学習の機会があ り、そ して、 さらに多様な種類の仕事の機会がある
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は情報を検索 し問題解決す るのによ り -層利用 され るよ うにな っている。 ヘル スケアサービスのニーズは異な った方法で、異な った地 区で発展 していっている。 ライフス タイルは多様化 してい っている。人生は以前よ り色 々な側面 を持 っている ;仕事 と研究の時期は人 生を通 して交互 に起 こ りうる. 同様 に、異な った場所、国での生活があ り得 るC 人生の各期間に決 まった ライフスタイルはない0人生の価値 と選択 とは個人間、グループ間で異な っているO 老人に関 してのフ ィンラン ドの政策 の中心的な 目標は、可能な限 り長 く彼 らが家庭的な環境で生 活できるよ うにす ることである。最大の中心地 区に住んでいるフ ィンラン ドの将来の年金受給者の 16%までが田舎に転居す ることを計画 しているo さらに、 5分の 1は田舎のセカン ドホームで過ご す時間を増やす ことを計画 している。雇用 されている老人 と年金受給老人は彼 らのホーム コミュニ テ ィと家族ルーツへ戻 る道 を見つけつつあるO 自治体は受入 可能なサービス施設 とフ ィジカルな、 そ して コミュニケーシ ョンのコネクシ ョンを これ らの住民のために用意できなければな らないo 図書館運営方法 に影響を及ぼす変化 には、技術 とコミュニケーシ ョンにおける変化、人 口年齢の 分配の変化、雇用労働力の流動僅 の変化、そ して生活 のや りくりの仕方の変化が含まれ る。教育 と 専門的技能の中心 としての図書館 の役割 は田舎 においては特 に強調 され る。今 日の 一連のサービス で、図書館 は創造的な社会の専門的技能へのニーズ に立 ち向か っている。図書館は人生の全状況、 全時期 においてすべての人 々のための実在 のObjective広場 を提供す る。 図書館はビジネスの新 し ー2
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沖縄 大学 法経学部紀 要 第10E; -いや り方 と年金生活者のための顧客モデル を提供できるし、その他 の人生の状況 における新たな対 応方法を提供できる。図書館はナシ ョナルアイデンテ ィテ ィ、国民の言語、文学そ して多文化主義 を育てる。」 図書館職員のあ り方 としては、特殊な専門家資質 とゼ ネラ リス トの資質の双方が必要であるとし て、次のよ うに述べている。 「有能な職 員が図書館 ・情報サービスの高い質の発展のために要請 され るO 図書館 の技能への需要 は増大 している。情報マネジ メン ト、資料 と情報 の検索 ・選択 ・利用 ・評価は図書館 の中核的な専 門化 (された仕事)であるo 人々は今 日インターネ ッ トで簡単な質問への解答を探すo付加的に、 問題解決のため、情報専門家の情報検索 とガ イダンスのニーズが存在す る。 図書館職 員は図書館利用者がで きるだ け最高の資料 または情報 を見つけるのを助 け る。 ここで 「利 用者」 とは、 フ ィジカルなサ イ ト上でであれ インターネ ット上でであれ、一人でであれグルー プでであれ、図書館で資料 または情報 を探 している人の ことである。で きる限 り最高の情報 を見つ ける方法は、顧客 と話 し合 うこと及び情報源 についての専 門的知識 をつなげ る ことを通 してで あ るo よ く組織 された最新 のコレクシ ョンと図書館サービスは、 自分では図書館 に来 ることができな い利用者を考慮 に入れなが ら、広域地域 によって適応 させ られ る。 図書館の一連の仕事は広が ったO新 しい資料 とコレクシ ョン、新 しいテ ク ノロジーへの利用者の 技能及びネ ットワー クサービスの絶え間ない更新マネジ メン トは、図書館職員にとって も利用者 に とっても挑戦である。 田舎、発展地 区、及び小図書館 の図書館被用者は特 に情報 と文化 のジェネラ リス トでなければな らない。 図書館労働者の仕事は ます ます先生、編集者、情報提供者の仕事のよ うにな ってきている。 自治体 において図書館 の中核 となる専門化は特 に、教えること、アーカ イブ、 博物館 において特 に必要 とされ るが、それだけでな く、他 の 自治体行政の情報マネジ メン ト、 ビジ ネス、ゾーニング、環境マネジメン ト及び意思決定準備 において も必要である。EU、その加盟国及 び (BU の)決定 についての情報 もまた図書館で得 られ る。」 図書館がどのよ うな場であるべきかについては、「出会 いの場 としての図書館」として、次 のよ う に述べている。 「自治体住民は様 々な活動 ・学習環境、徹底的な仕事 のための設備、 コンピュータ、 コネ クシ ョン を必要 とす るO適切 に手段が整え られた図書館は インターネ ット活動センターのための場 としてす ぼ らしく適合するD情報テ クノロジー器具に加 えて図書館は他 の資料 とよ り広範な情報 を得 るため の専門的な援助 を提供す る。 挑戦は田舎の区域で強め られている。そ こでは近 くに他の組織、文化的な機関、 または特殊な専 門家が存在 しない。広域図書館の重要な仕事は物理的な場所、 出会 いの場 を提供す ることであ り、 広域図書館はすべての人のためにレク リエーシ ョンと自発的な学習のための楽 しい場 を提供す る。」 学校 ・図書館間協力が緊密 にな されていることは、 ツアーで も十分感 じられたO学校 と公共図書
館が一緒 にな った施設 も2カ所訪問した。 これについては次のように述べている。 「図書館 にとって最大の挑戦は学習 の焦点 を情報マネジ メン トに導 くことである。 基礎学校、高校、そ して部分的 に職業教育機 関の基礎教育 にお いて、強 い情報サー ビスネ ッ ト ワー クが欠けている。公共図書館 を通 じてそれ らは、田舎 と発展地区において、接合の協定 によ り、 図書館ネ ッ トワー クサービスを使 うことができる。 カ リキ ュラムにおける情報処理技能の量はまだ 十分ではない。 もう1つ別の挑戦 もまた教師の情報マネジメン ト技能を増 し、図書館職員の教育学 的技能 を相 当ます ものである。 実行可能な計画、協力と図書館の インフラス トラクチ ャで もって、質 の良い図書館サービスは比 較的わずかな追加投資ですべての年齢 の学生に提供できる。住む場所 を選択す るにあた って重要な 誘 因にもな るサービスが全年齢の学生のためにつ くられ る。 協 力は必要な資金 も得 られ、そ して、建物 と器具の共同利用についても協定 も結ばれれば もっと うま くい く.情報テクノロジーコースは地域的 に発展 させ られ、一般 の教育学的インフォ-マントが雇 われ るであろ う。情報獲得 の協力は実施 され るであろう (データベース資料の競買、購入、記録)。」 広域ネ ッ トワークサービスは国境 を越えて発展 していっている. 北欧諸国間の国際協力は、国家の構造的融合への志向がほ とんどな く、ほぼ同時期 に同一内容の 行為特 に国内立法を行 う 「並行的国家行為」 と呼ばれ る方式が主流である。 同一ない し近似の国内 法 を持つ ことによ り、国家 としては別 々に存在す るが社会 としては高度の均質件 を達成す るという ものである (文献⑤参照)。 歴 史的 にはNGOが先行 し、国家横断的な協力はまず非政府的な市民レベルか ら始 まった。社会 的融合が進んで も国家的融合の動きは少ない。 政府間の協 力がは じま り、1951年、議 員間国際機構 である北欧審議会が成立 した。1962年には協力条約が結ばれた。法、文化、社会,交通 ・通信、環 境等広 い範囲にわた っている。それ とは別 に、北欧閣僚理事会がある。 超 国家化抑制の理 由としては、閣僚間の接触 は 日常的にあ り、あえて堅固な制度 を作 る必要はな い し、堅固な制度だ とそれ に縛 られ るとい うこともある。EUにおける統一国家建設意思のような ものはな く、経済統合は核心ではない。 フィンラン ド、 スウ ェーデンは1995年に EU に加盟 してい るが、 ノルウ ェーは加盟 して いないし、 スウェーデ ンの通貨はユー ロではない。 図書館分野 において も、北欧の図書館 に責任 を持つ政府 当局者は、全国的な発展 と共同プ ロジェ ク トについて情報交換す るために毎年会合 を持 つ。共 同プ ロジ ェク トの1例がtheScandinavian PublicLibraryQuarterly (季刊誌)である (文献@)。 フ ィンラン ド教育省は編集委員会に代表者 を送 っているO
今 回のフ ィンラン ド訪 問中に紹介 された、 「Nordicpubliclibrariesintheknowledgesociety」 (文献(∋) も北欧協力の1つであろう。 ラップラン ドにおける北欧ブックモービル協同組合が この 報告書で も紹介 されている。 フ ィンラン ドのムオニオのブ ックモービルは同国のエ ノンテキオとス ウェーデ ン (Kirunaと Pajala)及び ノル ウェー (Kautokeino)も訪れ る。 この協同組合は1979年 に3カ国にまたが った 5自治体間で出発 した。 このブ ックモービルはフ ィンラン ド語、スウェーデ ン語、 ノル ウェー語、サー ミ語 のコレクシ ョンを有す る。 9月の旅行で ラップラン ドを ドライブ旅
30-沖縄大学法経学部紀 要 第10号 行 したそ もそものきっかけはムオニオの図書館 を直接見てみたいとい うことであ った。 [3]日本の広域行政のあ り方 との関連で 平成の市町村合併で
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CX)あま りあった市町村 は2
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に減少 した。現在 も緩やか に進行 していて、2
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年初めに1
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00足 らず までに減 ると予想 され る。 目標は1αX)まで減 らす とい う ことであ ったか ら,それか らすれば成功 した とは言 えないであろ う。特 に、5(刀もの人 口1万人未満 の町村が残 った。結果的には 日本の基礎 自治体 の平均人 口は3万80α)人か ら6万杖XX)人に増えた。 合併推進 の大きな背景 に7(氾兆 円以上 もの累積債務 を減 らす とい うことが あげ られたが、無惨な結 果に終わ っているCそ して、2CK)7年に入 って道州制論議が急 ににぎやかにな っている. 振 り返 ってみ ると、平成期 の地方 自治制度改革は、そ もそ もは地方分権化か ら始 ま ったのである が、市町村合併、自治体民営化、「三位 -・体改革」等が抱 き合わせ状態 にな っていき、さらに道州制 導入が論議 され るよ うにな っている。分権化 と自治体 の広域化 ・総合化は同じではない。む しろ抵 触す る可能性 もある。 自治体 の 自己決定権 は拡大 した ととい うが、財源は枯渇 してお り、事実上 「破 綻への 自己決定」
「合併への 自己決定」しか残 されていないとして、文献⑧ は、日本での動 きを 「地 方分権改革」 とは言わず、 「地方 自治改革」 と言 っている。 道州制 については、第28次地方制度調査会答 申 (2(X厄年2月)、 自民党、経 団連 の案 は平均 人 口 1∝沿万人の州 を8つか ら1
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設けて広域区域 とし、都道府県は廃止 し、基礎 自治体 の調整や補完 も道 や州が行 うとい うものである。 しか し、 これで望 ましい地方 自治が可能であろ うか。 まず、サ イズの問題であるが、連邦制をとるアメ リカの州 の平均人 口が580万人、ドイツの州 の平 均人 口520万である.単一国家制における広域 自治体 としての州は、 フランスで平均200万人、 イタ リア2EXj万人である。 いずれ も基礎 自治体 と州 との間に県 のよ うな組織が残 され基礎 自治体 の調整 ・ 補完に当た っている。 ヨー ロッパなどでも リージ ョンの時代 といって、広域行 政組織が作 られて い るが、その形態は 自治体組合、 自治体連合か ら州政府 に至 るまで様 々である。 次に政策内容 との関連で、なぜ20世紀後半は 自治体 区域の問題が これ までにな くクロ-ズア ップ されたのかを考えてみ る必要性がある。それ には新 しい社会変化が背景にある。20世紀後半の前期 は都市化が進んだ。交通通信手段 も急速 に発達 し.地域的な公共サー ビスも拡大 ・大規模化 した。 これ に対 して、20世紀後半の後期は工業期 に行 き詰 ま り、経済成長 もペースダ ウンした時期である。 都市化にブ レーキがかか り、福祉国家的な公共部門の抑制 ・縮小が始 まった。 いわゆるグローバル 化が進展 し、少子高齢化、都市 の空洞化 と地方 の過疎化などの問題が同時的 に発生 している。 このよ うな問題には、各国 とも共通 に直面 しているが、 自治体改革 には2つのパターンがあ り、 自治体 区域の統合 ・拡大 と分割 ・縮小が並行的に進展 している。 「合併派」 と 「分裂容認派」論争が 起 こっている。 日本におけ るもっとも極端な合併 ・統合事例 として文献⑧ に挙げ られているのは、 面積2㈱ mzをはるかに超え、香川 ・大阪 ・東京などの都府県域 よ り広 い岐阜県高山市のケースであ る。 これ に対 し、後者の代表が フランスで,「プ ロクシ ミテ」(近接性)がキー ワー ドである。 「ヨー ロッパ地域 ・地方 自治憲章」(Euro㌍anCharterofRegionalandLocalGovernment)では、公 務は住民にもっとも身近な公共団体が優先的に提供 し、そ こで出来ないことは国や広域団体が補完 するという 「近接性」 と 「補完性」 の原則をとっている。 日本では基礎 自治体が総合的な行政サー ビスが 出来 る規模 ・能 力を持つべきだ ということばか りが強調 されて近接性が無視 され る傾向が強い。50年代は単一国家、連邦国家を問わず2層制が多か ったが、その後、 イタ リアやフランスなど が
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年代、8
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年代 に3
層制に転換 している。 フ ィンラン ドも、 これ まで述べてきたよ うに、市町村 合併の進展 とあわせ市町村連合 の統廃合が進み、1層制が事実上2層制に改革 されてきている。 イ タ リア、 フランス、米国、 スウェーデ ンなど多 くの国で、60年代以降、規模の大 きな 自治体 に 「近 隣政府」的な 自治体内分権制度が設け られ るよ うにな ってお り、実質的 に4層、 5層 にな っている 国 も多 い。 基礎 自治体数は大幅に減 った ところと、ほ とんど減 っていないか増えているところに大き く分け られ る。今 日、北欧や 日本では 自治体 の合併 ・大規模化が進 もうとしているが、 フランスやイタ リ ア、スイスでは小規模 コミューンを維持 して いこうとする考え方が続 いている。 しか し、合併派 と 分裂容認派 とい う2分論では単純すぎ る。実質的な選択肢は、「合併かネ ッ トワー ク自治体 (自治体 間協 力)か」であるO単なる小規模 自治体 の維持だけでは、世界的に進んでいる社会変化 に対応で きず、サービス供給が縮小す るのは明 らかだか ら、合併は しな くて も自治体間協 力は想定せざるを 得ない。 この面では フランスが特 に進んで いて、総人 口の5/6をカバー している。 このよ うに、広域行政単位 も多層化す る方向にある。 日本の道州制論議は以上のよ うな検討か ら すれば、多層化 の流れ とその背景にある社会変化 にむ しろ逆行 している可能性がある。 [4]フ ィンラン ド生徒乱射事件 と公共 図書館の歴史 ヘルシンキ北部 の ヨケラ(
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中等高等学校で0
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年11月7
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歳の男子生徒が銃 を乱射 し て、男子 生徒5
人、女子生徒 1人と女性の校長 と看護師を殺害 し、事件 を起 こした男子生徒 もその 後 自身の頭部 を撃 ち自殺 したO われわれ も見学 ツアーで事件発生地そばの図書館 を訪問 したが、誰 もこのよ うな事件が起 こると は想像 もできなか った。過去は ともか く、現在は、平和 でのんび りした国だ としか思 っていなか っ た。事件が起 こってみれば いろいろビ ック リす るよ うな ことが分か ってきた。 フ ィンラン ドの銃所 有は人 口100人あた り56丁で、所有率は米国等 に続 き3位なのだ とい う。そ して、フ ィンラン ドには 徴兵制があ り、1
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歳以上に徴兵義務があるとい うのである。 ロヴ ァニエ ミにお住 まいの沖縄出身者喜納政和氏にメールで尋ねてみた ら次 のよ うな返事があ っ た(
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午 前9:
10受信) 「組原様 お久 しぶ りです。 私 もそ して フ ィンラン ドの国民が この事件 に関 しましては非常 に驚 き、 シ ョックを受 けていま す。そ してなぜ このよ うな事件が起 きたのか政府 も含 めて皆で考 えています。 た しかに新 聞に書かれているよ うに銃の数は多いで しょうけど、ほとんどが猟銃なんです。 田舎 に住んで いる人達は秋 にな って猟が解禁にな ると雷鳥やオオライチ ョウ、 ウサギ、ヘラジカを追 っ て森 を歩 き回 ります。 これは田舎に住む人達 の趣味であ りスポー ツで もある訳です。猟をす る人は 銃 を大事 に します し、 ちゃん と鍵 をかけて保管 します。ですか ら銃が多 いと言 うことで銃 による殺 人事件が多いか とい うとそ うで もあ りませんo それか ら男子 に対 しては徴兵が あ りますが、 これは去 る冬戦争や継続戦争の教訓で 自分の国は 自 -32-沖縄大学法経学部紀要 第10号 分達で守るんだ という教えをお爺 さん、お父 さんか ら教え られて育つので当然だ と考 えるのです。 お爺 さん、お父 さんが頑張 ったので今の 自由があって独立があるのだ と。 18-19の若い子供達 もロシアが攻 めて来た ら戦 うんだ と言 います。 中には軍隊に行 くのが イヤだ と 言 う青年 もいますが、彼 らは兵役 の代わ りに公共 の施設で働 きます。稀 には、それ も兵役の一種だ と言 うことで施設で働 くことさえ拒否する若 い人が いますが、そのよ うな人は刑務所 に収容 され ま す。 とにか く兵役があるか ら銃 による殺 人が起 こるとい うのは間違 っています。 この悲 しい事件は殺 人を犯 した彼が精神的に病んでいて抗蜜剤 を服用 して いた と言 うことで、その薬の副作用 によるも のではないのかな ? と言 うことです。実際アメ リカ合衆国で起 きた生徒 による学校での殺人事件 なども、その犯人は同じ抗影剤 を服用 していた との情報 もあ りますo子供達 に簡単 に医者が抗彰剤 などの薬を処方す るのも問題だ と思 います。 日本 における子供達の 自殺 もこのよ うな薬 によるもの もあるか もしれ ませんね ?
NetでYoutubeに銃 を構えた りオ レンジを撃つ動画 を載せていますが、USAのWestVirginia
の大学で韓国入学生が起 こした事件に似ていますね、真似 をす る人が出ないことを願 います。 簡単ですが、私 の感 じたことを書いてみ ました。 喜納政和」 喜納氏は
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年代 か らフ ィンラン ドに居住 してお られ る方で、沖縄では県庁勤務 の獣 医師であ っ た。 この善納氏 と知 り合いにな ったのは,元鹿児島短期大学図書館長 を してお られた伊藤松彦氏 を 通 してである。伊藤氏 もかつて フ ィンラン ド図書館 の研究 のため ロヴ ァニエ ミ市立図書館 を訪問さ れたが、その時に、同図書館が書納氏 と引き合わせて くれたのだ とい う (文献⑲参照)。その後音信 不通にな っていたところ、筆者が07年3月にロヴ ァニエ ミ市立図書館 を訪問 した際に館 内で催 され ていた絵の展示会の作者の娘 さん とメールでや りと りをす るよ うにな り、 この娘 さんが菖納氏 を見 つけて くれたのだ った。 図書館は まさに 「出会 いの場」だ ったのである。 徴兵制 との関連では、 フ ィンラン ドの公共図書館の歴史が参考 になると思われ る。 フ ィンラン ド の公共図書館の歴史 については、適 当な資料がなかなか見つか らず、公共 図書館 の中央館であるヘ ルシンキ市立図書館が運営 しているAskaLibrarianサー ビスを利用 して メールで質問 してみた と ころ、すぐに次のよ うな返事 をもらえた (原文は英語)0 フ ィンラン ドにおける最初 の公共図書館は1794年 に開かれた。 フ ィンラン ド西部のヴ ァ-サ広域 控訴裁判所の メンバーは読書会 と読書図書館 を彼 ら自身の楽 しみ のために設立 したが、彼 らはまた 町の他の人々に有料で本を貸 しもした。 図書館はすべての人に開かれて いるものであるか ら、 これ が フ ィンラン ドにお け る公共 図書館活動 のは じま りだ とい うのは正 しい。最初 の いわ ゆ る教 区 (parish)の 自治体 図書館は1830年代 と40年代 に設立 された。 これ らは近代 のフ ィンラン ド公共図 書館の純正な先駆者 と見なす ことができる。 「公共」とい う言葉は20世紀初めに米国か ら借 りてきた ものである。 スウェーデ ンとロシアの間にあるフ ィンラン ドの地理的な位置は社会全体、歴史 と文化 に影響 を 与えて きているが、図書館制度 も例外ではない。伝統 的 には フ ィンラン ドはバ イ リンガル の国であった (フ ィンラン ド語94%、フ ィンラン ド語 とスウェーデン語6%)o歴史的にはフ ィンラン ドは 最初約
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年間スウェーデ ンの州で、その後、1
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年か ら1
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年の独立宣言 まで帝政 ロシアの 自治権 のある大公国 とな った。新聞、学校、公共 図書館は独立への渇望 と、国民のアイデ ンテ ィテ ィを形 成促進 しよ うとす る望み、教育の一般的なレベル向上の必要性か ら1
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世紀の間につ くられた。 フ ィ ンラン ドにおける基本的、基礎的な図書館 イデオ ロギー思想 の1つは、すべての人は平等に取 り扱 われ るべ きだ とい うことである。 公共 図書館 の 目的は1
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年間変化 していない。すなわ ち、情報 と文学的経験への 自由なアクセス をすべての人に提供す ることである。 これ らの基礎的な 目的 と思想は教育の一般的な レベル向上の 必要性 とか、平等の要請 とかのた くさんの要因によ って影響 されてきた。1
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年以来、 どのよ うな 形であれ図書館 のコレクシ ョンの利用 と貸出は法の規定 によ り無料である。 今 日フ ィンラン ドの図書館 システムは、情報 とコミュニケーシ ョン技術及び情報ネ ットワークの 大規模な利用 に基づ いた対話方式の組織化 されたネ ットワー クである. 自治体/公共図書館、研究 図書館、専門家の図書館並び に様 々な教育機関の図書館は全国及び国際的情報サービスネ ットワー クの一部である。公共図書館 と研究図書館 とが緊密な協力の もとに活動 していること、及び、研究 図書館 はすべての人々に無料で開放 されていることは ここで言及 してお くに値す る。 全国情報社会戦略において図書館は、情報ネ ットワー クへの民主的支援チ ャンネルであるとみ ら れているO 図書館はまた、市民の様 々なニーズに応 える不可欠な機関であるともみ られているo と い うのは、 図書館はすべての人 々のために知識への 自由なアクセスとすべての種類の市民的な事柄 における積極的な参加 の機会 を提供す るか らである。 近年、 フ ィンラン ド政府 は図書館ネ ットワーキングの促進 と小 さな 自治体 図書館 と学校 の設備 に 多量に投資 している。他 の多 くの国 々と比べて フィンラン ドの図書館は技術的によい設備 を備えて いる。1
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日か ら施行 されている新 しい図書館法は、公共 図書館は図書館 ・情報サービスを提 供 に責任があるとす るとともに、 これ らのサービスを広域的、全国的に促進すべきであると規定 し ている. 図書館の活動はまたヴ ァーチ ャルで対話方式のネ ットワー クサービスと、その教育的、文 化的な コンテ ンツを増進す ることをも目指す。 今 日、 フ ィンラン ドの公共図書館は、利用者にマルチ リンガルな資料 を提供す ることによって、 フ ィンラン ドに住んでいる増えつつある外国人 (の需要) を反映 している. また、ヴ ァーチ ャル図 書館サービスは、今 日、す っか り公共 図書館活動の一部 にな って しまっている。 さらなる情報は、次 のウエブポー タルを参照 して くだ さい。 ここには、 フ ィンラン ドの公共図書 館活動に関連す るた くさんの情報が収容 されています。 返答者 :a
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文献一覧 ①朝 日新 聞0
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東京版朝刊 「ブータン、来年に初の総選挙」記事②
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-沖縄大学法経学部紀要 第10号
③財務総合政策研 究所 「主要諸外国 におけ る国 と地方 の財政役割 の状況」報告書 (2(X格年)
%10% http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zkO79.htm
④ フ ィンラン ド教育省のHP http://www.minedu.fi/OPM/?lang=en
⑤最上敏樹 「国際機構論 第2版」 (東大 出版会 ・2(X冶年)第6章
@http://www.sDlq.info/
⑦Nordicpubliclibrariesintheknowledgesociety
http://www.bs.dk/publikationer/english/nnpl/index.htm
⑧加茂利男 「日本型地方 自治改革 と道州制」 (自治体研 究社 ・07年) ⑨朝 日新聞071109東京版 朝刊 「フ ィン ラン ド生徒乱射」記事
⑬伊藤松彦 「北欧 の公共 図書館 フ ィンラン ドを中心 に」 (み んなの図書館132号・88年 5月所収)