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特集にあたって (特集2 開発途上国・新興国の「臥龍鳳雛」)

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Academic year: 2021

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特集にあたって (特集2 開発途上国・新興国の「臥

龍鳳雛」)

著者

佐藤 幸人

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

262

ページ

18-18

発行年

2017-07

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00049265

(2)

特集2

開発途上国・新興国の「臥龍鳳雛」

特集にあたって

佐 藤 幸 人

三国志の愛好者には説明するまでもないが、特集の タイトルにある「臥がりょう( がりゅう)龍」とは諸葛亮孔明のことであり、 「鳳ほう雛すう」とは龐統士元のことである。ともに劉備玄徳 に軍師として仕えたが、世に出る前、その大器をこの ように称されていた。この特集では、発展途上国や新 興国で今後、プレゼンスを増しそうな臥した龍、鳳凰 の雛にアプローチする。 この特集の書き手たちは、発展途上国や新興国に深 く入り込み、社会のトレンドを探っている。探索のな かで、これから大きな影響力を発揮しそうな人物が目 に留まることがある。ここで取り上げた人たちは、劉 備の三顧の礼に応じて出廬する前の諸葛亮と比べれば、 既にそれぞれの国や領域でその名を広く知られている が、日本ではまだ一般にあまり知られていない、そし て将来さらなる活躍が期待される面々である。 ●16年前の「新しい世紀を駆ける人々」を顧みる といっても先を見越すことはなかなか難しい。『ア ジ研ワールド・トレンド』では16年前、2001年3月号 で「新しい世紀を駆ける人々」という特集を組み、11 カ国の11人と1組の人物を取り上げた。今から振り返 ると、その後、期待していたほどには活躍しなかった 人も少なくない。わたしが取り上げた殷琪という台湾 の女性企業家は、親から受け継いだ大陸工程という建 設会社の会長は今も続けているが、自らが設立を主導 した台湾高速鉄路の経営からは2009年に退き、その後 は目立った動きはしていない。 一方、韓国の2人のベンチャー企業家について書い た安倍誠は慧眼だった。企業家の1人のアン・チョル スはその後、政界に転じ、先日の大統領選挙では、最 後は第3位の得票に終わったものの、支持率は途中ま で当選したムン・ジェインに肉薄していた。 半分負け惜しみになってしまうが、見通しが外れた から意味がないわけではない。なぜ、現実の展開が見 込みとは違ったのかを考えることで、その社会に対す る理解を深めることができる。わたし自身についてい えば、殷琪の活躍の前提として暗黙に想定していた民 進党政権の安定や、社会の進歩に対する党派を超えた コンセンサスと支持が、実際にはいかに脆弱なもので あったかを思い知らされることになった。 ●新しい時代の龍や鳳凰を探して 2001年の特集で取り上げた人物は政治家と企業家ば かりだった。南アフリカの判事がやや毛色が違ったく らいである。今回も7カ国8人中、政治家3人、企業家2 人と多い。しかし、フィリピンの障害者のリーダーと、 ブラジルのユーチューバーのカップルもいるところが、 16年前の特集にはない新しさである。 こういった人たちを取り上げたのは、一面では社会 の変化の現れである。二宮康史がブラジルの候補とし て、ユーチューバーのプリッチ&ローガンを示してき たとき、「これはいい」と思った。2001年にブログは 既にあったが、ブロガーを政治家や企業家と並べるよ うな発想は誰からも出てこなかった。二宮のあげた候 補には政治家もいたが、迷わず2人について書いてほ しいとお願いした。他面、意図的に新しいタイプの人 物に目を向けようともした。山形辰史に紹介したい社 会活動家はいないかと尋ねたら、是非、フィリピンの アブナール・N・マンラパスについて、森壮也と書き たいと言ってきた。これはわたしたちの視野の広がり がもたらした成果である。 この特集の読み方は読者しだいだが、一つのオプ ションとして、社会の変化を観察するフォーカスとし て読むことをお勧めする。上でも述べたように、彼/ 彼女たちの今後は、その置かれた環境にもかかってい るからだ。期待したような活躍ができない場合、環境 が変わってしまったからかもしれない。さらに、もし かしたら彼/彼女たちが環境を変えていくのをウォッ チできるかもしれない。誰かが将来、赤壁に東風を吹 かせるならば、これほど痛快なことはない。 (さとう ゆきひと/アジア経済研究所 新領域研究 センター)

18

アジ研ワールド・トレンド No.262(2017. 8)

参照

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︽参考文献︾ ①  Ellis ,  S tephen  2 0 0 9 .  W est  A

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