看護部門に影響の大きい項目に絞り分かりやすい!
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& 本稿では,入院基本料の要件に関して大きく変わった項目と して,「重症度,医療・看護必要度」のほか,「病棟群単位の届け 出」や「在宅復帰率」,さらに看護業務にダイレクトに関係する 退院支援加算やインパクトの大きい外来部門・小児医療の要件 など,看護部門の関連項目に絞ってかみくだいて解説します! 平成28年度診療報酬改定(以下,今回改定)では,次の5点がポイントです。 7対1入院基本料における重症度,医療・看護必要度(以下,看護必要度)の内容厳格化 7対1入院基本料における重症患者割合の厳格化 7対1入院基本料における在宅復帰率の厳格化 病棟群単位における届け出 退院調整加算から退院支援加算へ 今回改定のキーワードは,「重症患者割合」と「退院支援」です。新入院患者をどこからどうとるか, 退院先をどうするか,看護部だけでなく病院全体が一丸となって対応することが必要です。ポ
イ
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メニースターズ
代表 中小企業診断士星 多絵子
医療政策かみくだき伝道師
平成28年度診療報酬改定 看護関連情報
改定内容“かみくだき”解説と
病棟での対応策
速報
平成28年度診療報酬改定の概要
今回改定について,平成28年2月10日,厚 生労働省中央社会保険医療協議会(以下,中医 協)にて答申されました。その内容はいわば 「超メリハリ」改定です。在宅医療や歯科医師 との連携による口腔ケア,認知症対策に手厚い 点数となっています。これらは医療政策で推進 したいものであり,点数を手厚くすることに よって各医療機関に実行させたいからです。 厚生労働省は7対1および10対1入院基本料 の病床を「急性期を担う病床」と位置付けてい ます。そして,急性期に特化した病床とするた め,一定程度の重症患者を受け入れ,早く退院 させたい意向があります。このため,今回改定 では7対1だけでなく,10対1にも厳格化の波 が押し寄せました。具体的には,①データ提出 加算を要件化し,②急性期看護補助体制加算, 看護職員夜間配置加算の算定に必要な重症患者 割合を5%以上から6%以上に引き上げました。 こちらは看護必要度の要件変更に伴うものとさ れています。超メリハリ改定の背景
背景には,超高齢社会(65歳以上の人口割合 が21%を超えた状態)に伴う医療費の高騰があ ります。これを抑えるため,全体で-0.84%の 改定率となりました。内訳は薬価-1.33%,本 体+0.49%です。医療費高騰で抑制が叫ばれる 中,本体がプラスなのは給与費の上昇への対策平成28年度診療報酬改定の概要
平成28年度診療報酬改定の概要
平成28年度診療報酬改定の概要
超メリハリ改定の背景
PROFILE ほし・たえこ●中小企業診断士。医療機関での受付・レセプト点検から一般企業経理・社会福祉法人の内部統制を経て医 療・介護・福祉コンサルタントへ。医療機関の医事課にて,診療報酬請求業務に携わる中で,診療報酬が医療政策の影響 を色濃く反映する法則に気づく。以来,厚生労働省の資料読み込みと中医協傍聴により,医療政策の流れを読み解いてい る。特技は資料からその背景・意図を探り当てる「医療政策のプロファイリング(推理)」。次の3点をメインに,医療看護 雑誌への執筆や経営セミナー講師など幅広く活躍中。①お金の出入り見える化,②経営者と現場の意識ギャップ埋め,③ワ クワクする次の目標設定。2015年10月より仁(をもって)・誠(を尽くし)・楽(をともに創り上げる)を理念として医療・介 護・福祉経営の支援とお金の流れを見える化するサービスを提供するため,メニースターズを立ち上げ代表に就任。■
図1 一般病棟入院基本料の病床数
亜急性期 17,551床 回復期リハ 64,881床〈現在の姿〉
7対1 10対1 13対1 15対1 療養病棟 357,569床 210,566床 26,926床 54,301床 216,653床〈2025年(平成37年)のイメージ〉
高度急性期 18万床 一般急性期 約35万床 亜急性期等 約26万床 長期療養 28万床 地 域 に 密 着 し た 病 床 24万 床 厚生労働省:中央社会保険医療協議会「入院医療等の調査・評価分科会」第8回(平成27年8月26日)中間とりまとめ資料 とされています。平成28年夏の参議院選挙に向 けての政治的配慮とも言われています。 今回も,前回の平成26年度改定に引き続き, 7対1入院基本料に大きくメスが入りました (後述)。7対1の病床数が増え続けているた め,2025年に向けて削減したい厚生労働省の 意向が強く反映されています(図1)。 次項では,具体的な改定の内容を解説します。改定内容と解説(抜粋)
改定点はとても多いのですが,本稿では大切 な5点に絞り,追加ポイントとして外来と小児 についても解説します。キーワードは「重症患 者割合」と「退院支援」です。①7対1入院基本料における
看護必要度の内容厳格化
7対1で使う一般病棟用の看護必要度の内容 が,がらりと変わります(表)。 ■看護必要度そのものの変更
A項目 ◦無菌治療室での治療 ◦救急搬送(2日間) 以上2点が追加されました。急性期医療をA 項目で評価し,よりカウントしやすくする趣旨 です。 B項目 ◦起き上がり ◦座位保持 以上2点が削除されます。寝返りができれ ば,起き上がりと座位保持もできるからです。 この相関関係により,起き上がりと座位保持は 寝返りでまとめてカウントしてはどうかとの議 論が行われてきました。したがって,従来どお りの付け方では,B項目の得点をアップするこ とが難しくなります。 ◦危険行動 ◦診療・療養上の指示が通じる 以上2点が追加されました。つまり,認知症, せん妄の患者を受け入れることでB項目がカウ ントしやすくなります。 C項目(新設) (手術等の医学的状況) ◦開頭の手術(7日間) ◦開胸の手術(7日間) ◦開腹の手術(5日間) ◦骨の観血的手術(5日間)改定内容と解説(抜粋)
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表 看護必要度基準の見直し(重症者の定義)
従来 改定後 A得点2点以上かつB得点3点以上 A得点2点以上かつB得点3点以上 A得点3点以上 C得点1点以上 いずれかを満たす◦胸腔鏡・腹腔鏡手術(3日間) ◦全身麻酔・脊椎麻酔の手術(上記を除く) (2日間) ◦救命等に係る内科的治療(2日間) C項目として項目そのものが新設されまし た。先述の7点がその内容です。これによって, 麻酔・手術をしている急性期病院がC項目のカ ウントで看護必要度を満たしやすくなります。 どちらかと言えば外科系で手術を多く行う病院 に有利です。しかし,内科的治療であっても, 救命救急治療についてはC項目でカウントでき ます。C項目はすべてに日数の制限があるた め,C項目のカウントから外れたら,A項目と B項目で重症患者かどうかを判断することにな ります。 ■
重症患者基準の見直し
従来,重症患者は看護必要度でA得点2点以 上かつB得点3点以上だけでした。しかし,今 回改定からは,こちらに加え,A得点3点以上, C得点1点以上の3つのうちいずれかに該当す れば,重症患者として扱われます(表)。 A得点3点以上の患者と,A得点2点以上か つB得点3点以上の患者では,医師の指示の見 直しや看護師による頻回の見回りが必要な割合 はほぼ同じか,A項目のみの患者の方がやや高 かったとのデータが示されたからです1)。 C項目(C得点)は,今までの議論でM項目 (M得点)と言われていたものです。開胸・開 腹手術や全身麻酔など大がかりな麻酔・手術を していれば,急性期医療そのものとして評価さ れます。外科系の診療科を持つ病院は,カウン トしやすい項目です。②7対1入院基本料における
重症患者割合の厳格化
従来,15%必要とされた重症患者割合を, 今回改定で25%まで引き上げました。ただし, 200床未満で7対1入院基本料のみの病棟の場 合(④で説明する10対1病棟を持たない場合), 平成30年3月31日までは23%を満たすことで クリアできます。 なぜ,200床未満と200床以上で基準が違う のでしょうか。これは,中医協にて重症患者割 合を決める際,委員から「基準値を一律に設定 するのではなく,状況を見て『病床規模別の設 定』や『内科系・外科系に分けた設定』などの 配慮をし,現場の混乱を避ける必要がある」と いう意見が出されたことによります。7対1の 中小病院では,外科手術や救急医療を積極的に 行わないと25%をクリアできない可能性が高 いからです。ただし,23%の基準は期限を区 切られているので,将来を見越して中小病院で あっても25%をクリアするよう努めた方がよ いでしょう。 もともと厚生労働省は,7対1の病床を「急 性期医療を担う病床」として位置付けたいとの 意向を示しています。病床数を多く抱える7対 1の病院は,重症患者をどこからどれだけ確保 できるかが今後の経営課題です。③7対1入院基本料における
在宅復帰率の厳格化
従来,7対1入院基本料を算定するためには, 在宅復帰率が75%以上でなければなりません でした。今回改定では,在宅復帰率が80%以 上でなければ7対1を算定できません。 ただし,分子となる「在宅」の範囲が広がり ます。従来からの,自宅及び居住系介護施設等, 地域包括ケア病棟(病床),回復期リハビリテー ション病棟,療養病棟入院基本料1(在宅復帰 機能強化加算を算定するものに限る)だけでな く,有床診療所入院基本料(在宅復帰機能強化 加算を算定するものに限る),有床診療所療養 病床入院基本料(在宅復帰機能強化加算を算定 するものに限る)も加わります。つまり,有床 診療所への転院であっても,在宅復帰機能が強 化されたと認められる診療所であれば,「在宅」 と同様の扱いをするということです。7対1の病床では治療が済んだら, 患者の症状に合わせて,次の転院先に つなぐことが必要です。次の転院先も できるだけ在宅復帰機能を強化してい る医療機関であることが求められます。
④病棟群単位における届け出
こちらは,7対1から10対1に引き 下げる場合の届け出です。本来,同じ 病院内で7対1の病棟と10対1の病棟 を混在させることはできません。しか し,今回改定では,7対1を算定する ことが基準の厳格化によって難しく なった場合,10対1を病棟単位で混在させてよ いことになります。全病棟を10対1に移行すれ ば,今まで必要だった看護師が多く余ります。 余った看護師分を解雇するのは非常に難しく, 病院の収入もガタ落ちしてしまいます。この激 変緩和措置として,一時的に7対1と10対1の 病棟の混在を認めるというものです(図2)。 混在が認められるのは,平成28年4月1日か ら2年間です。病棟群単位の新たな届け出は1 回に限り,平成28年4月1日から平成29年3 月31日の期間に行われることになっています。 平成29年4月1日以降,7対1入院基本料の 病床数は,届け出をした病院の一般病棟入院基 本料の病床数の100分の60以下としなければな らないとされています(特定機能病院は除く)。 つまり,病棟を混在させたら,7対1は病院全 体の病床数の60%以下まで減らさなければな らなくなります。 また,こちらの届け出をした場合,原則とし て7対1の病棟と10対1の病棟との間での転 棟はできません。 厚生労働省の7対1を減らしたいという強い 意向が垣間見えます。7対1は今後も真冬の状 態が続きます。⑤退院調整加算から退院支援加算へ
従来の退院調整加算は,今回改定で退院支援 加算に変わります。こちらは7対1や10対1に 限りません。退院支援をスムーズに行うことで, 医療費を抑制できるだけでなく,「院内感染の リスクを軽減する」「ADLの低下を防止する」 など,患者にとってもメリットがあります。 従来の退院調整加算 1 一般病棟の場合 イ 14日以内の期間340点 ロ 15日以上30日以内の期間150点 ハ 31日以上の期間50点 今回改定の退院支援加算2 イ 一般病棟入院基本料等の場合190点(新) このように,日数による区分がなくなってい ます。そして,従来の退院調整加算が退院支援 加算2になったということは,上位ランクの退 院支援加算1が新設されたということです。 退院調整加算は施設基準が緩かったため,多 くの病院で算定されていました。これを厳格化 し,点数を引き上げることで早期退院を促した いという厚生労働省の意向が反映されています。 退院支援加算1(新) イ 一般病棟入院基本料等の場合600点(退院 時1回) 点数が高く設定されていますが,要件も厳しい です。算定には,従来の退院調整加算での退院調 整に加えて,次の要件を満たす必要があります。■
図2 7対1入院基本料の経過措置
7対1の崖
10対1その他
経過措置の クッション 7対1の要件が 厳格になり, 満たせない! 経過措置が ない場合衝撃
◦退院支援職員が,他の医療機関や介護サービ ス事業所等の担当者と面会し,転院・退院体 制に関する情報の共有等を行う。 ◦各病棟に専任で配置された退院支援職員が, 入院後3日以内に新入院患者の把握及び退院 困難な患者の抽出を行う。 ◦退院困難な患者について,入院後7日以内に 患者及び家族と病状や退院後の生活も含めた 話し合いを行う。 ◦入院後7日以内に,病棟の看護師,病棟専任 の退院支援職員,退院調整部門の看護師,社 会福祉士が共同してカンファレンスを行い退 院調整する。 つまり,病棟で退院支援職員を専任で配置し て,退院支援について院内・院外で積極的に活 動していれば,高い方の点数を取れます。従来 から退院支援職員を病棟に置いていた病院は, 収入が純増します。 今後7対1として継続するには,新入院患者 を多く集め,充実した治療を行った上で,退院 支援を積極的に行うことが必要です。病床の回 転が速ければ,7対1として生き残ることがで きます(図3)。地域での自院の役割を病院全 体で見直す改定になっています。 ■追加ポイント
〈外来〉
紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入 特定機能病院と一般病床500床以上の地域医 療支援病院は,現行の選定療養に加え,初診 5,000円以上,再診2,500円以上の定額負担を 患者からもらうことが義務となります。ただ し,救急,公費負担,無料定額,HIV感染の患 者のほか,地域にその大病院しかない場合など やむを得ない事情がある場合は,対象外となり ます。 かかりつけ医の推進 算定の難しかった地域包括診療料の施設基準 を緩和します。従来は,救急告示病院等であり, かつ在宅療養支援病院でなければ届け出はでき ませんでした。しかし,今回改定で,救急告示 病院等の要件が外れました。 厚生労働省は大病院の外来縮小によって医師 の負担軽減を行い,外来機能は診療所や中小病 院がかかりつけ医を担うことで役割分担と連携 をさせたい意向があります。これは,大病院に患 者が集中し,本来大病院で診るべき重症患者への 対応が遅れることが問題視されているためです。 ■追加ポイント〈小児医療〉
小児がん拠点病院の体制を評価 がん拠点病院加算(入院初日) ◦小児がん拠点病院加算750点(新)■
図3 病床回転のイメージ
在院日数の
短い病院
入院 退院在院日数の
長い病院
A
入院 退院 入院 退院 入院 退院 入院 退院B
C
D
E
入院F
退院 入院 退院G
企画:1グループ 代表 岸田良平 発行所:日総研出版 1お客様センター 名古屋市中村区則武本通1−38日総研グループ縁ビル 〒453-0017 ・無断複写複製(コピー)やデータベース化は著作権・出版権の侵害となります。 ナースマネジャー&主任看護師 管理・教育・業務 年間購読会員限定特典 平成28年度診療報酬改定 看護関連情報 速報 改定内容“かみくだき”解説と病棟での対応策 2016年2月26日 発行 執筆: