大阪府建築行政マネジメント計画
平成 27 年 6 月
平成 29 年 6 月 改定 平成 30 年 11 月 改定
【目次】 Ⅰ 計画策定の背景・目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Ⅱ 計画の改定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 Ⅲ 計画の対象と役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 Ⅳ 計画の推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 Ⅴ 計画の実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 Ⅵ 施策の方向性と体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 Ⅶ 施策の取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 〔A〕適正・円滑な建築確認制度の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 〔B〕適正な建築設計の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 〔C〕適正な工事監理及び中間・完了検査の推進 ・・・・・・・・・・・・・9 1 工事監理制度の適正な実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 2 中間検査及び完了検査の確実な実施・・・・・・・・・・・・・・・・・10 〔D〕建築物の適切な維持管理による安全性の確保・・・・・・・・・・・・・11 1 定期報告の確実な実施による適切な維持管理 ・・・・・・・・・・・・11 2 既存建築物に関する安全性の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・13 〔E〕迅速・的確な違反建築物指導及び事故対応 ・・・・・・・・・・・・・14 1 違反建築物対策の総合的な推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 2 迅速・的確な事故対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 〔F〕府民への情報提供等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 【参考資料】 建築行政マネジメント計画策定指針の改訂について(技術的助言) (平成 27 年2月 20 日付け国住指第 4428 号)
1 Ⅰ 計画策定の背景・目的 阪神・淡路大震災において、施工不良等が原因とみられる建築物の被害が多数発生 したことから、平成 10 年の建築基準法改正で、中間検査制度が導入されるとともに、 確認検査体制強化のための建築確認・検査の民間開放が行われた。 平成 17 年には構造計算書偽装問題が発生し、建築物の安全性の根幹である耐震性が 偽装されていたことは国民に大きなショックを与えた。これを受け、平成 18 年に建築 基準法の改正(平成 18 年法律第 92 号)が行われ、建築確認手続きに「構造計算適合 性判定制度」が導入されたが、その手続きの厳格化ゆえ、建築確認の遅延、建築着工 数の減少が指摘された。この状況を改善するため、平成 22 年から関連規則・告示が順 次改正され、運用改善が図られてきたところである。 一方で、建築関連法規の合理化を目的とした度重なる法改正に伴い建築行政に係る 業務は多様化・複雑化し、また、建築確認・検査の民間開放やいわゆる団塊の世代の 職員の大量退職などの理由から、特定行政庁の建築確認・検査に係る技術力の低下が 懸念されている。 このような状況のもと、建築行政が直面する課題や制度改正に対応して、限られた 人員・予算のなかでも適正かつ効率的に業務を遂行し、法令遵守を徹底することが求 められるなか、平成 22 年に国土交通省は、都道府県及び特定行政庁に対し、技術的助 言(平成 22 年5月 17 日付け国住指 655 号「建築行政マネジメント計画策定指針の制 定について」)を示した。 大阪府内では、この技術的助言を受け、平成 22 年 12 月に大阪府建築安全マネジメ ント推進協議会を設置し、平成 11 年より建築基準法の実行性を高める取組みを推進し てきた「大阪府建築物安全安心計画」を発展させ、円滑な経済活動の確保を前提とし つつ、建築物の安全性を確保するための更なる取組みを推進するための「大阪府建築 安全マネジメント計画」を策定した。 「大阪府建築安全マネジメント計画」に基づく建築基準法・建築士法の適正かつ効 率的な運用により、建築確認・構造計算適合性判定制度の円滑化、中間・完了検査率 及び定期報告率の向上など、建築物のライフサイクルを通じた安全性の確保について 一定の成果をあげてきたところであるが、近年、建築基準法違反が原因とされる建築 物の火災事故やエレベーター事故、建築士の詐称事件など、建築物の安全性を脅かす 事件・事故があとを絶たない。 また、建築物を取り巻く様々な課題に対し、より合理的かつ実効性の高い制度構築 や業務の適正化を目的とする建築基準法の改正(平成 26 年法律第 54 号)や建築士法 の改正(平成 26 年法律第 92 号)が行なわれたところであり、大阪府内においても的 確に対応していかなければならない。 今般、「大阪府建築安全マネジメント推進協議会」を「大阪府建築行政マネジメント 推進協議会」に名称変更し、当計画が、限られた人員・予算のなか、特定行政庁、指定 確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関及び建築士団体等が連携して適正かつ効 率的に建築基準法・建築士法を運用することにより、建築物の安全性確保について最 大限の効果が得られるよう、その法運用を総合的にマネジメントするための計画であ ることを再認識したうえで、あらためて、「大阪府建築行政マネジメント計画」として 策定するものである。
2 Ⅱ 計画の改定 以下のとおり法律の改正や地震災害を踏まえて、本計画の見直し・改定を行った。 平成 29 年 6 月改定 ○経緯 平成 28 年 6 月に改正施行された建築基準法に基づく定期報告制度や平成 30 年 4 月に施行された建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下、建築物省 エネ法)を計画に反映させる。 ○主な改定の内容 Ⅶ施策の取組みの現状課題または具体的取組みに追加 Ⅶ 施策の取組み 現状課題または具体的取組み 追加項目 〔A〕適正・円滑な建 築確認制度の推進 (1)建築確認手続きの円滑化 [P.5] 建築物省エネ法に関すること 〔C〕適正な工事監理 及び中間・完了検査の 推進 工事監理制度の実効性の確保 [P.9] 平成 28 年 3 月に策定された基礎ぐい工事に おける工事監理ガイドラインに関すること 中間・完了検査の確実な実施 [P.10] 建築物省エネ法に関すること 〔D〕建築物の適切な 維持管理による安全性 の確保 (1)定期報告制度の実効性の 確保[P.11] 定期報告制度の法改正に伴う定期報告対象建 築物の変更に関すること 平成 30 年 11 月改定 ○経緯 平成 30 年6月 18 日に発生した大阪府北部を震源とする地震(M6.1)で、ブロッ ク塀の倒壊事故が発生し、基準を満たさないブロック塀及び傾きやひび割れ等の劣 化が著しいブロック塀の危険性が改めて認識された。今後もいつ発生するかわから ない大規模な地震に対して、ブロック塀の安全性を確保するための取組みを計画に 反映させる。 ○主な改定の内容 Ⅶ施策の取組みの具体的取組みに追加 Ⅶ 施策の取組み 具体的取組み 追加項目 〔A〕適正・円滑な建築 確認制度の推進 (8)新設するブロック塀の法 適合性の確保[P.7] ブロック塀に関する法適合性の確保に関する こと 〔D〕建築物の適切な維 持管理による安全性の確 保 (1)定期報告制度の実効性の 確保[P.11] ブロック塀に係る定期報告の適切な報告・ 調査に関すること (1)既存建築物に関する安全 性の確保[P.13] 著しく保安上危険な状態となっている ブロック塀の所有者等への指導に関すること 〔E〕迅速・的確な違反 建築物指導及び事故対応 (1)違反建築物の未然防止と 早期発見・早期是正[P.14] 違反ブロック塀の所有者等への指導に関する こと 〔F〕府民への情報提供 等 (6)ブロック塀の安全性確保 のための情報提供等[P.18] ブロック塀の安全性確保にかかる情報提供及 び相談体制の整備に関すること 本計画が対象とするブロック塀は、建築物に附属する補強コンクリートブロック造及び組積造の塀をいう。
3 Ⅲ 計画の対象と役割 「大阪府建築行政マネジメント計画」(以下、本計画)では、「建築基準法・建築士 法の運用及びそれに係る施策の推進」を建築行政の対象とする。 本計画は、特定行政庁をはじめとする建築行政の主体が自ら適正かつ効率的な法運 用をマネジメントするための基本指針である。 本計画に基づく取組みについて検証し、その結果を建築基準法・建築士法にかかる 日々の実務や現場の取組みにフィードバックさせることにより、建築行政の実効性確 保に資する。 Ⅳ 計画の推進体制 大阪府建築行政マネジメント推進協議会(以下、本協議会)において、「大阪府建築 行政マネジメント計画」を策定する。 特定行政庁、指定確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関、建築士団体等の実 施主体は、それぞれが本計画の施策の具体化に向けて主体的に取組み、大阪府内建築 行政連絡協議会(以下、大連協)等を活用し、相互に連携しながら計画を遂行してい く。 本協議会において、本計画の進捗や成果を把握するために調査・分析・評価を行い、 その結果に基づき、随時、本計画の見直し、改定を行う。 建 築 基 準 法 ・ 建 築 士 法 の 適 正 ・ 効 率 的 な 運 用 相 互 に 連 携 し て マ ネ ジ メ ン ト 計 画 を 推 進 指定構造計算適合性判定機関 特定行政庁 指定確認検査機関 大阪府建築行政マネジメント推進協議会 建築士会・建築士事務所協会 など 警察・消防 など関係団体 ○大阪府建築行政マネジ メント計画の策定 ○計画・取組みに係る 調査・分析・評価 ○実務担当に属さない 分野についての取組み 建築基準法・建築士法 の円滑・的確な実施のた めの取組み 大阪府内建築行政 連絡協議会等を活用 建築基準法・建築士法 に係る取組みに協力
4 Ⅴ 計画の実施期間 本計画の実施期間は、平成 27 年度から平成 31 年度までとする。 なお、計画の実施期間中、随時、計画の見直し・改定を行う。 Ⅵ 施策の方向性と体系 府民の生命、健康及び財産を保護するために、建築物の安全性を確保していくこと は建築行政の最優先課題であるが、建築行政の合理化を目的として建築基準法、建築 士法の度重なる改正がなされ、その複雑・膨大化した法令を行政・関係団体が連携・ 協力して運用・施行している。 このような状況において、本計画では、限られた人員・予算のなか、特定行政庁、 指定確認検査機関、指定構造計算適合性判定機関及び建築士団体等がそれぞれの役割 を意識し、建築基準法及び建築士法を適正かつ効率的に運用するための施策に取り組 むことにより、建築物のライフサイクルを通じた安全性を確保することを目指す。 〔D〕建築物の適切な 維持管理による 安全性の確保 段 階 建築確認 建築設計 工事監理 中間・完了検査 定期報告 違反是正指導 事故・災害対策 府民への情報提供 事 象 施 策 の 体 系 〔 A 〕 適 正 ・ 円 滑 な 建築確認制度の 推進 〔B〕適正な建築設計 の推進 〔C〕適正な工事監理 及び中間・完了 検査の推進 〔E〕迅速・的確な違反建築物指導 及び事故対応 〔F〕府民への情報提供等 計画段階 工事段階 維持保全段階
5 Ⅶ 施策の取組み 〔A〕適正・円滑な建築確認制度の推進 ○現状課題 建築確認制度は、違反建築物の現出を未然に防止するため、工事着手前に建築計画 をチェックする建築行政の根幹制度である。 平成 26 年6月4日に建築基準法の大改正(平成 26 年法律第 54 号)が行なわれ、建 築確認制度の合理化を目的として確認審査と構造計算適合性判定の並行審査が可能と なるなど、この新制度を適正・円滑に運用するための取組みが必要である。 また、大阪府内の建築確認の約 97%は指定確認検査機関が実施している状況であり、 特定行政庁は、自身の確認審査業務に加えて、指定確認検査機関との連携体制の整備、 指定確認検査機関への適切な指導をしていかなければならない。そして、指定確認検 査機関は、法令遵守を徹底し、府民に安全な建築物が提供されるよう的確に確認審査 を実施することが求められている。 こうした状況において、適正・円滑に建築確認制度を運用するためには、特定行政 庁、指定確認検査機関及び指定構造計算適合性判定機関が、それぞれの役割と責任分 担を意識し、連携を強化していくことが重要である。 ○目標 より合理的かつ実効性の高い制度構築や業務の適正化を目的とする建築基準法 及び建築士法の改正に適正かつ確実に対応するなど、確認審査や構造計算適合性 判定をより一層、迅速かつ的確に実施する。 ○具体的取組み (1)建築確認手続きの円滑化 平成 26 年6月4日改正の建築基準法(平成 26 年法律第 54 号)により、並行し て確認審査と構造計算適合性判定ができるようになったことに伴う課題について手 続き上のスキームを定めるとともに、円滑に審査と判定が行なわれるよう運用を通 じて改善していく。 また、従来から仮使用承認制度を運用している特定行政庁だけでなく、指定確認 検査機関も仮使用認定制度の認定主体となることから、仮使用認定制度が的確に運 用されるよう体制を整備する。 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下、建築物省エネ法)によ り、平成 29 年 4 月 1 日から非住宅 2000 ㎡以上の建築物の新築・増改築をしようと する場合、確認申請書への省エネ基準に対する適合判定通知書の添付が必要となっ たことから、審査が円滑に行なわれるよう運用を通じて改善していく。 (2)確認審査及び構造計算適合性判定に係る取扱い集の整備 特定行政庁・指定確認検査機関が建築基準法や関係法令の解釈について著しく異 なることなく運用し、また、建築士が適切な建築確認図書を作成することにより、
6 円滑な審査及び判定に資するよう、確認審査及び構造計算適合性判定に係る取扱い 集を整備する。 ・「建築基準法及び同大阪府条例 質疑応答集」(大阪府内建築行政連絡協議会監修) ・「大阪府構造計算適合性判定 指摘事例集 -よくある指摘事例とその解説-」 ・「既存建築物の増築等における法適合性の確認取扱要領」 など (3)確認審査及び検査に携わる職員・社員の能力の維持・向上 確認審査及び検査に携わる職員・社員の能力の維持・向上のための取組みを行う。 ・共同研修会の実施(近畿建築行政会議等) ・各内部研修会の実施 ・建築基準適合判定資格者等の有資格者の育成(資格取得への負担軽減及び必要 な実務経験等を考慮した人事配置など) など (4)特定行政庁と指定確認検査機関との連携 府内の確認検査業務が適切かつ円滑に実施されるよう特定行政庁と指定確認検 査機関の連携体制を整備する。 ・指定確認検査機関から特定行政庁への照会体制の整備 ・大連協などを通じた特定行政庁と指定確認検査機関との情報交換の推進 (5)特定行政庁による指定確認検査機関への指導 大阪府内を業務区域とする指定確認検査機関に適切な指導を実施し、特定行政庁 と指定確認検査機関の審査水準の同一性を確保する。 ・特定行政庁の効率的かつ効果的な立入検査(立入検査実施要領の活用) ・特定行政庁の立入検査結果を取りまとめ、指定確認検査機関へフィードバック ・確認審査報告書(建築計画概要書)のチェックや立入検査において指定確認検 査機関の不適切な確認検査が発覚した場合の指定権者への報告(確認検査に係 る情報の共有について(技術的助言)1)) など (6)大阪府による指定権者・委任権者としての指導監督の徹底 大阪府指定確認検査機関・構造計算適合性判定機関である一般財団法人大阪建築 防災センターに対し、指定権者として報告徴収・立入検査を効果的に行い、適切な 指導監督を行う。 大阪府が構造計算適合性判定を委任する指定構造計算適合性判定機関について は、報告徴収・立入検査等により適正に判定業務が実施されるよう指導監督を行う。 (7)指定確認検査機関の確認・検査の状況を踏まえた特定行政庁の組織体制の整備 と人材の確保 指定確認検査機関による確認・検査の割合が9割を超える実態を踏まえて、各特 定行政庁における確認審査、中間・完了検査に係る人材の育成や特定行政庁間の連 携を検討する。
7 (8)新設するブロック塀の法適合性の確保 建築確認申請の機会をとらえ、ブロック塀の安全確保について、周知・啓発を 行う。 ○評価指標 ・ 「構造計算適合性判定を要する物件の事前相談受付から確認済証交付までの日数」 (特定行政庁、指定確認検査機関) ・ 「構造計算適合性判定を要する物件の判定受付から適合判定通知書交付までの日 数」(指定構造計算適合性判定機関) ・ 特定行政庁から指定確認検査機関指定権者への不適切な確認検査業務に係る情報 提供件数 1)平成 23 年 3 月 30 日付国住指第 4905 号
8 〔B〕適正な建築設計の推進 ○現状課題 平成 17 年に明らかになった構造計算書偽装問題は、本来法令遵守すべき建築士が職 業倫理を逸脱して構造計算書を偽装するという建築士の信用を大きく失墜させた事件 であり、これを契機に、建築士の資質が改めて問われ、建築士業務の適正化を目的と して建築士法が随時改正されてきたところである。 しかし、建築士が適正な設計を行わなかったことが原因で違反建築物が現出する事 例や建築士詐称事件の発生など、建築士の不適切な行為により府民の安全・安心を脅 かす事例が発生していることから、建築士制度を確実に実施し、建築士の資質の向上 を図り、適正な建築設計活動を推進していく必要がある。 ○目標 建築士の資質の向上と法令遵守の徹底により、安全かつ質の高い建築物が建築 されることに資する。また、建築士事務所の業務の適正化を推進し、所属する建 築士の業務の適正化と消費者の保護に資する。 ○具体的取組み (1)建築士団体と連携した建築士の資質向上のための取組みの推進 建築士団体(建築士会や建築士事務所協会など)は、建築技術等に関する講習会 や研修会の開催やその他建築士の資質向上のための取組み(CPD制度など)を推 進する。 建築士法を所管する大阪府や特定行政庁は、建築士団体が開催する講習会や研修 会に講師を派遣するなどの支援を行う。 (2)建築士・建築士事務所の指導・監督の徹底 違反設計をはじめ、不適切な設計・工事監理業務等を行なった建築士・建築士事 務所に対しては、厳正に対処する。また、それらの建築士・建築士事務所について は、特定行政庁から監督権者へ通報を行う。 大阪府は、建築士が適正な設計等を行い、建築士事務所が適正な業務を行うよう 立入検査などを活用して指導・監督を徹底する。また、建築士定期講習受講の促進 など、建築士法の遵守を徹底する取組みを行う。 ○評価指標 ・講習会・研修会の実績 ・不適切な設計等を行なった建築士に係る監督権者への通報件数(建築基準法第9条 の3通知の件数、建築基準法第9条の3に準ずる情報提供の件数) ・建築士処分件数
9 〔C〕適正な工事監理及び中間・完了検査の推進 1.工事監理制度の適正な実施 ○現状課題 工事監理制度は、設計図書のとおりに工事が実施されているか、建築士である工事 監理者が専門的知見から判断・確認するものであり、建築物の品質の確保と違反建築 物対策の根幹をなすものである。 しかし、構造計算書偽装問題を踏まえた平成 18 年8月の社会資本整備審議会答申 において「工事監理が適切に機能していない実態が明らかになってきており、工事監 理の方法、内容、範囲等を明らかにして、工事監理者の責任を明確化すべき」との指 摘がなされ、これに対する取組みがなされてきたところではあるが、いまだ適正に工 事監理がなされない事例が発生している。 このような状況に対し、適正な工事監理がなされ、安全な建築物が建築されるよう、 さらなる工事監理制度の普及及び実効性の確保が求められている。 ○目標 適正な工事監理の実施を確保することにより、安全な建築物が建築されること に資する。 ○具体的取組み 工事監理制度の実効性の確保 工事監理制度の実効性を確保するため、下記の取組みを推進する。 ・建築確認申請書の工事監理者欄の明記の徹底。 ・不適切な工事監理者に対する行政指導・行政処分 ・工事監理ガイドライン2)及び基礎ぐい工事における工事監理ガイドライン3)の 活用の推進 など ○評価指標 設定なし 2)平成 21 年 9 月 1 日付国土交通省住宅局建築指導課長事務連絡 3)平成 28 年 3 月 4 日付国住指第 4239 号
10 2.中間検査及び完了検査の確実な実施 ○現状課題 建築基準法では、特定行政庁又は指定確認検査機関による中間検査及び完了検査を 建築主に義務づけ、建築物の法適合性を確保しているが、中間・完了検査を受検せず、 安全性が明確でないまま使用されている建築物が少なからず存在している状況にある。 これらの検査は建築物の安全性を確保するための最後の砦となるものであり、全て の建築主が中間・完了検査を受検することを目指し、特定行政庁、指定確認検査機関 及び関係団体が一体となって、受検促進の取組みを行うことが重要である。 また、平成 29 年 4 月からは、省エネ基準の適合性判定を受けた建築物の完了検査に あっては、円滑に実施されるよう注視する必要がある。 ○目標 中間・完了検査の受検を確実にし、建築物の安全性を確保する。 ○具体的取組み 中間・完了検査の確実な実施 中間・完了検査が確実に実施されるよう、下記の取組みを推進する。 ・確認済証交付時に中間検査対象物件である旨通知(大連協指示書様式の活用) ・特定行政庁による現場パトロール(日常・違反建築防止週間)による受検の周知 徹底 ・特定行政庁と指定確認検査機関が協力して検査受検の督促 ・指定確認検査機関への特定工程の周知徹底(他府県、特定行政庁の特定工程の違 いから指定確認検査機関が中間検査対象を誤認することを防ぐ方策の検討) など ○評価指標 ・中間検査率 ・完了検査率
11 〔D〕建築物の適切な維持管理による安全性の確保 1.定期報告の確実な実施による適切な維持管理 ○現状課題 既存建築物の適切な維持管理を進めることが、建築物の安全性を確保し、良好なス トックを形成することにつながる。 建築物の所有者や管理者は、建築物を適法に維持管理する義務がある。なかでも一 定規模以上の特殊建築物等については、定期的にその維持管理の状況を調査し、特定 行政庁に報告することが義務付けられている。しかし、その実効性は十分とはいえな い状況である。その上、平成 28 年 6 月に改正建築基準法が施行され、定期報告対象建 築物の変更や防火設備の定期報告が義務化された。 このような状況に対し、特定行政庁は指定確認検査機関や消防等の関係団体と連携 して定期報告制度を的確に実施していくことが重要である。 ○目標 所有者等が定期報告を確実に実施することにより、建築物の状態を把握し、建 築物の適切な維持管理がなされることを促進する。 ○具体的取組み (1)定期報告制度の実効性の確保 所有者等が建築物・建築設備の状態を把握することにより建築物の適切な維持管 理に資するよう、定期報告制度の実効性を確保するための下記の取組みを行う。 ・報告対象建築物の把握の精度を向上(消防部局のデータの活用等) ・定期報告提出年度に当たる建築物の所有者等への提出年度である旨のお知らせ ・定期報告書未提出の建築物所有者等への提出の督促 ・定期報告率向上を目的とした建築物所有者へのインセンティブとなるよう他制 度との連携や関係団体への働きかけを検討(新マル適マークなど) ・是正計画書を活用した不具合等の是正指導 ・「定期報告事務の手引き」による特定行政庁実務の円滑化 ・不適切な調査・報告を行った調査資格者への対処(処分権者への情報提供等) ・調査資格者及び所有者等へ向けた講習会・技術指導の実施 ・ブロック塀に関する報告書の記載例をホームページや説明会で示すなど建築物 所有者や調査者等に対して、適切な報告・調査を指導 など
12 (2)定期報告制度の周知啓発 所有者等に定期報告対象建築物であることを認識させ、適切に報告がなされるよ う、「定期報告制度の周知啓発」に関する取組みを行う。 ・確認済証・検査済証交付時のリーフレット配布 ・確認申請書副本・建築計画概要書への定期報告対象物件である旨の押印 ・関係団体を通じた定期報告制度の普及啓発方法の検討(不動産取引時の定期報 告制度の周知・啓発方法やホテル・病院等の業界団体への働きかけ等を検討) ・法改正された定期報告制度の周知 ○評価指標 定期報告率
13 2.既存建築物に関する安全性の確保 ○現状課題 オフィス等の用途に供していると称しながら多人数の居住実態があり、各部屋の仕 切りが燃えやすい材料でできているなど防火規定に違反している物件(違法貸しルー ム)など、既存建築物の管理・使用が適切になされず、その安全性が確保されていな い問題が発生している。 このように、適切な維持管理がなされず、建築基準法に適合しない状態になってい る建築物や損傷、腐食等の劣化により安全性が確保されていない建築物等に対しては、 良好なストックを形成する観点から、適切な対応・指導が求められている。 ○目標 適切な維持管理がなされていない既存建築物の安全性の確保に取り組む。 ○具体的取組み (1)既存建築物に関する安全性の確保 警察や消防などの関係部局との連携により、情報を共有しながら、既存建築物の 安全性確保のための取組みを協力して行う。 ・適切な維持保全により建築物の安全性を確保するため、防災査察を実施する。 ・建築物の所有者・管理者の方へ維持管理の重要性について理解を深めるための 啓発に取り組む。 ・傾きやひび割れ等の劣化が進み、著しく保安上危険な状態となっているブロッ ク塀の所有者等に対して、早期に改善するよう指導を行う。 (2)フォローアップ調査の活用 社会的影響の大きい事案に対し実施しているフォローアップ調査※を活用し、既存 建築物の安全性を確保する。また、関係部局と連携して効果的に指導を実施する。 ※フォローアップ調査の事例 ・個室ビデオ店等 ・認知症高齢者グループホーム ・有料老人ホーム・ホテル・旅館 ・違法貸しルーム ・病院・診療所 ・アスベスト、窓ガラス、外壁タイル、屋外広告板 ・違法設置エレベーター ○評価指標 設定なし
14 〔E〕迅速・的確な違反建築物指導及び事故対応 1.違反建築物対策の総合的な推進 ○現状課題 平成 24 年5月の福山市のホテル火災、平成 25 年 10 月の福岡市の病院火災で死傷 者が発生したように、建築確認の手続きがなされていなかったり、防火規定に適合し ていないなど、建築基準法に違反している建築物は、府民の生命・財産を脅かすこと になりかねない。 違反建築物が現出する経緯や原因は様々ではあるが、工事が着手され、建築物が完 成してしまうと、その是正は困難となることから、違反建築物を防止するためには、 違反建築物を早期に発見し、迅速に対応する体制を整備することが重要である。 また、違反建築物に関与した設計者や建築主に対しては、適切に指導・監督を行い、 同様の違反行為が行われないよう抑止力を働かせることにより、違反建築物現出の未 然防止を図っていくことが重要である。 ○目標 違反建築物の未然防止と早期発見・早期是正を効果的に実施して、違反建築物 を撲滅する。 ○具体的取組み (1)違反建築物の未然防止と早期発見・早期是正 特定行政庁における現場パトロールの実施や指定確認検査機関との連携強化及び 特定行政庁間の情報共有等により違反建築物を早期に発見し、是正指導を行う。 また、著しく保安上危険な状態となっている違反ブロック塀については、ブロッ ク塀の所有者等に対して、早期に是正するよう指導を行う。 指定確認検査機関は「違反が予見できる案件の指定確認検査機関と特定行政庁の 連携に関する実施要領」に基づき、特定行政庁に情報提供を行う。また、特定行政 庁は、指定確認検査機関から違反が予見できる物件の情報提供を受けた場合は、迅 速に調査・是正指導を行う。 (2)関係部局と連携した効果的な違反是正指導 建築物の違反等については、関係部局と連携し、効率的かつ効果的に是正指導を 行う。 ・市町村や消防等の関係部局と情報の共有化を図り、連携した是正指導を行う。 ・電気、ガス、水道の供給承諾前の違反建築物で供給事業者の協力を得られたも のについては、「違反建築物に対する電気等の供給保留の取扱い」に基づき、建 築主等に是正を促す。 ・悪質な違反建築物に関与した建築主や建設業者等については、警察との連携に より、告発を行う。 など
15 (3)違反建築物等に関与した建築士等に対する的確・迅速な対応 建築基準法第9条に基づく命令を行った違反建築物に関しては、建設業法、建築 士法、浄化漕法、宅地建物取引業法の所管部署への通知(建築基準法第9条の3) を徹底するとともに、当該施設の事業認可部局等との連携を強化する。 建築基準法第9条の命令を行なっていなくとも、違反建築物に関与した建築士・ 建築士事務所・建設業者に対しては迅速に特定行政庁から監督権者へ情報提供する。 (「違法行為もしくはその疑義に関する情報を把握した場合の初期対応と公表のあ り方について(技術的助言)4) 」や「建築基準法第9条の3に準ずる情報提供」事 務処理要領の運用等) ○評価指標 ・違反建築物摘発件数 ・勧告件数 ・命令件数 ・是正件数 ・供給保留依頼件数 ・告発件数 ・建築基準法第9条の3通知の件数 ・建築士等の所管行政庁・部署への通報件数 (建築基準法第9条の3に準ずる情報提供の件数) 4)平成 18 年 5 月 11 日付国住指第 541 号
16 2.迅速・的確な事故対応 ○現状課題 エレベーターの戸開走行事故など、設備の誤作動、使用者の利用方法の間違いや偶 発的な事象により、死傷者を伴う痛ましい事故が発生している。 このような建築設備や建築物の事故に対し、特定行政庁と警察・消防等の相互協力 体制を強化しながら、調査等を円滑に実施し、同種事故の再発防止に寄与することが 重要である。 ○目標 事故が発生した際には迅速な対応及び事故後のフォローアップを行い、府民の 安全性を確保する。 また、事故の未然防止を図るため、府民へ事故情報を積極的に提供していく。 ○具体的取組み (1)迅速な事故対応 事故が発生した場合、「大阪府建築物に附属する特定の設備等の安全確保に関する 条例」や「建築物等に係る事故防止のための対応等の運用について」5)に基づき情 報収集・調査・是正指導等迅速な事故対応を行う。 (2)建築物に係る事故情報の提供 設計者や建設業者、建築物の所有者・管理者・利用者に対しては、事故事例をホー ムページにおいて公表し、事故の未然防止に役立てる。 ○評価指標 事故届出件数 5)平成 20 年 4 月 16 日付国土交通省住宅局建築指導課建築安全調査室課長補佐事務連絡
17 〔F〕府民への情報提供等 ○現状課題 府民が安全にかつ安心して暮らせるためには、建築物の安全性を確保するための情 報を府民に提供し、府民の安全性に対する意識と知識を向上させることが重要である。 この際、建築基準法、建築士法の複雑な法体系に基づく制度を分かりやすく体系的に 伝えていく必要がある。 このためには、行政・民間の関係団体が連携し、府民目線に立って、建築物の安全・ 安心確保に関する情報提供や相談体制の充実に取り組んでいかなければならない。 ○目標 建築行政にかかる情報を体系的かつ効果的に提供し、府民の建築物にかかる安 全性に対する意識と知識を向上させる。 ○具体的取組み (1)安全な建築物を建てるための情報提供 住宅を建築する際の確認検査の必要性、住宅を購入する際の手続きの注意事項等 をとりまとめ、ホームページへの掲載やリーフレットの配布等により、府民への周 知啓発を図る。 ・確認制度の普及啓発 ・中間・完了検査の普及啓発 ・維持管理・将来の増築等のため図書保存 ・工事監理制度の普及啓発 など (2)処分等のネガティブ情報の提供 建築基準法第9条命令案件等の違反物件や、違反関与者の処分等に関する情報の 提供方法を検討する。 (違反建築物の取引防止、建築主が違反関与者を選ばない仕組み作り) (3)維持管理や既存建築物の活用のための情報提供 「建築計画概要書」、「処分等概要書」、「定期調査報告概要書」等の閲覧制度につ いて、制度周知と効率的な閲覧・提供方法を検討する。 (4)建築士・建築士事務所情報の提供 建築主が設計・工事監理を委託する際に、適切に建築士・建築士事務所を選定で きるよう、建築士・建築士事務所情報の閲覧制度の周知を行う。 (5)建築物にかかる相談体制の整備 各団体や公的機関の施設等を利用し、建築士関係団体が専門家を派遣するなどの 方法により、建築に関する様々な相談の場を設ける。
18 住宅関係に係る各種相談窓口を整理した「住宅関係相談窓口一覧表」を適宜更新 し、配布する。 (6)ブロック塀の安全性確保のための情報提供等 ブロック塀の安全点検の促進など安全性の確保のため、所有者等への周知啓発を 図るとともに、相談窓口を設置する。 ・「ブロック塀を点検しよう」などの安全点検のチェックポイントを示したリーフ レットを配布 ・関係団体と連携してブロック塀に関する相談窓口の設置 など ○評価指標 情報提供の実績