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高齢者の医療経済∼迷走する後期高齢者医療制度の現状と課題

川渕 孝一

要 約 どの国も経験したことのないスピードと人口規模で未曾有の超高齢社会に突入する日本.その解決 策として 2008 年 4 月にスタートした後期高齢者医療制度.これほど政治の駆け引きに使われ,めまぐるし く変わる制度も珍しい.先の衆議院選挙で同制度の廃止をマニフェストに明記した民主党が政権をとったこ とで着地点はますます不透明になった.確かに後期高齢者の保険料が今の年間 7.2 万円が 2030 年には約 3 倍にはね上がるという点でこの制度の持続可能性が懸念される.しかし,その一方で同制度がスタートして 約 5 年も経過した 2013 年に見直すという選択肢も制度改変リスク・コストを考えると得策ではない.そこ で提案したいのが後期高齢者医療制度と介護保険を統合するという「日本モデル」.というのは,後期高齢 者になると,「要医療」と「要介護」の区別が相当難しくなるからである.両者をドッキングすることで効率 化を図る一方で,両保険の併給を認めれば真の意味での「地域包括ケア」が実現できるのではないだろうか. Key words:後期高齢者医療制度,介護保険,社会的入院,日本モデル,特定健診・保健指導 (日老医誌 2010;47:495―504) 08 年 4 月にスタートした後期高齢者医療制度.これ ほど政治の駆け引きに使われ,めまぐるしく変わる制度 も珍しい.先の衆議院選挙で同制度の廃止をマニフェス トに明記した民主党が政権をとったことで着地点がます ます見えなくなった.何事にも慎重な長妻昭前厚労相. 09 年 11 月に立ち上げた「高齢者医療制度改革会議」で じっくり後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度設計を 検討するという.同改革会議の「基本的な考え方」は① 後期高齢者医療制度は廃止,②「地域保険としての一元 的運用」の第一段階として,高齢者のための新たな制度 を構築,③年齢で区分するという問題の解消,④市町村 国保などの負担増に十分配慮,⑤高齢者の保険料急増や 不公平にならないようにする,⑥市町村国保の広域化に つながる見直しをする―の 6 点. 厚生労働省(以下,厚労省)が 2010 年 7 月にまとめ た「議論の整理」ではその基本的枠組みとして,都合 6 原則によって高齢者の独立制度を設けないとしている. このため,高齢者は国保か被用者保険に入ることになり 被用者の高齢者及びその被扶養者は被用者保険に,それ 以外の高齢者は国保に加入する.高齢者が現役世代と同 じ保険に加入することで,保険証も変わらず,保険料や 高額療養費等でメリットがあるとしている.より具体的 には従来,個人に保険料の納付義務が課せられていたが, 世帯主以外の高齢者は納付義務がなくなる.また,サラ リーマンの高齢者は被用者保険に入るため,傷病手当等 を受けられるとともに,保険料は事業主と折半負担で, 被扶養者の保険料負担はなくなる. しかし,この案とて技術的・政治的に導入は困難を極 める.その理由は,費用負担について高齢者が各保険者 に偏在して加入することから,保険者間の調整の仕組み が必須になるからだ.負担増となる保険者から相当の反 対が予想される.当局は①現行の後期高齢者医療制度の ように,高齢者の保険料は高齢者の医療給付費に直接充 て,その高齢者保険料と公費で賄えない分を各保険者が 現役世代の加入者数等に応じて支援する,②老人保健制 度や現行の前期高齢者の財政調整のように,各保険者が その加入者数等に応じて費用負担を行う(高齢者の保険 料は加入する各保険者にそれぞれ納められる)―の 2 つ の方法を示した. 前者の方法は,高齢者の保険料が高齢者医療給付費に 直接充てられることから,調整対象給付費が小さくなる. ただし,市町村国保は前期高齢者の保険料が入らないこ とで負担増となる.一方,後者は,高齢者の保険料が各 保険者に入るため,調整対象給付費は大きくなる.どち らも一長一短があり,一筋縄ではいかない.

Economics of healthcare for the elderly―Healthcare system for the old-old in deep confusion

Koichi Kawabuchi:東京医科歯科大学大学院医療経済 学分野

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トーンダウンした舛添検討会

実は,前自公政権時代から「75 歳での線引きはおか しい」,「年金天引きするな」という批判はあった.そこ で高齢者を中心に起こった制度への批判をかわすため, 政府は「後期高齢者医療制度」を「長寿医療制度」と名 称変更した.08 年 6 月には保険料軽減を柱とする対策 を与党と共にまとめ,10 月からは当面の措置,09 年 4 月からは恒久措置として実施すると約束した.口座振替 の対象者拡大などもあり,自治体は事務作業と加入者へ の説明に追われたが,これで一件落着かと思われた. しかし,08 年 9 月の自民党総裁選中に制度の旗振り 役だった舛添要一元厚生労働大臣(現在,新党改革の党 首)が,突如,制度の見直しを表明.市町村が運営する 国民健康保険を都道府県単位の「県民健康保険」に再編 し,長寿医療制度と国保の運営主体を一体化する私案を 発表した.塩川正十郎元財務相をトップとする先述の厚 労省直属の検討会も発足させ,抜本改革を目指すことに なった. 筆者も委員としてこの検討会に加わったが,議論は次 第にトーンダウン.舛添氏のスタンドプレーともみえる 行動に,現行の枠組み維持が大勢意見である自民党の厚 生労働関係議員が反発したからだ.制度の見直しは政 府・与党が一体で行うこととして政府側に押し戻し,3 月末までに案をまとめることにしたが,最終結論は結局, 将来に先送りとなった.都合 7 回開催された「高齢者医 療制度に関する検討会」で一番争点になったのは,75 歳で線引きをしたことの是非.確かに,従来の老人保健 制度も 70 歳で線引きしていたが,独立型ではなかった. 高リスクグループを一塊にして,持続可能かどうかがポ イントになった. そこで浮上したのが 2 つの意見.一つは,同じ地域保 険である国保と長寿医療制度をドッキングする案.いま 一つは,75 歳ではなく,65 歳で線引きする案.65 歳と したのは年金支給開始年齢であるのみならず原則として 介護保険の給付もスタートするからだ. 実は,先出の現政権下で有力視されているのも,この 折衷案.まさに,“政治主導”ならぬ“官僚主導”で事が 進んでいるわけだが,それぞれ課題がある.たとえば, 前者は都道府県単位の「県民健康保険」を新設するとい うが実績のない都道府県に保険料の徴収を任せることは 困難.おそらく長寿医療制度の広域連合と同様に市町村 に委託することになるが,これで果たして保険者と言え るだろうか. 第 3,4 回目の検討会では,都道府県単位にして保険 料の徴収が可能かどうか,先行的な取り組みのある高知, 福岡,北海道,滋賀県の関係者からヒアリングを行った が,結局満足いく回答は得られなかった.多くの方が力 説したのは「スタートしたばかりの長寿医療制度をあま り変えないで欲しい」ということ.やはり一旦作った制 度はどんなに“悪法”であろうと,改変コスト・リスク は相当大きいということだろうか. 一方,後者の 65 歳で線引きするという案だが,一番 の課題は,多額の公費が必要になるということ.65 歳 以上の前期高齢者医療を長寿医療制度と同様の仕組みに した場合の財源構成の変化を見ると,それぞれの保険者 は一定の恩恵を享受する一方で 2.4 兆円もの公費が必要 になる.消費税に換算すると 1% だが,今の経済情勢か らして,増税は政治的に難しい.次の衆議院選挙まで消 費税を上げないと公約していた民主党も方針転換した が,去る 2010 年 7 月の参院選の大敗北で当面,消費税 アップは棚上げ.仮に有力視されている 65 歳で線引き したとして財源は確保できるのだろうか. さらに,民主党の先のマニフェストによれば,「後期高 齢者医療制度・関連法は廃止する.廃止に伴う国民健康 保険の負担増は国が支援する」,「被用者保険と国民健康 保険を段階的に統合し,将来,地域保険として一元的運 用を図る」とある.とても所要額 8,500 億円が実現でき るとは思えないが,実現すれば 1961 年の国民皆保険創 設以来の悲願の達成である. ちなみに,従来から国保や市町村長会が主張してきた 「保険者の一元化」については,筆者が第 1 回目の検討 会で韓国やドイツの先行事例を参考に検討してはどうか と提案したが,「各保険者間で所得形態・所得捕捉の状況 や保険料算出方法等に大きな差異がある状況では,諸外 国の状況を踏まえても困難であると考える」と一笑され た.ここは是非,政治主導で今一度,同制度のあり方を 検討して欲しいものだ.

求められる実証データによる検証

それにしても,同じ年金天引きの介護保険がソフトラ ンディングできたのに長寿医療制度は何故反感を買った のか.それは,介護保険は負担増に見合う新しい保険給 付があったが,長寿医療制度は見返りがほとんどなかっ たからである.事実,唯一の“目玉”とされた後期高齢 者診療料も当局は必要な医療給付は制限しないとしてい たが,この点数は全く普及せず,2010 年度の診療報酬 改定で廃止された.表 1 はその届出件数を都道府県別に 見たものだが,驚くべきことに 10 数件以下の県が散見 される.実際,中医協の診療報酬改定結果検証部会によ

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表 1 後期高齢者診療料の届出状況(速報値) 割合(診療所のみ) 内科診療所数 届出件数 対主たる 対総数 主たる 総数 25.3% 14.9% 37,356 63,286 9,478 全国 15.9% 9.2% 1,202 2,069 200 北海道 0.0% 0.0% 342 670 0 青森 38.9% 16.7% 262 612 103 岩手 9.7% 5.6% 580 995 56 宮城 0.7% 0.3% 297 599 2 秋田 3.3% 1.9% 363 646 12 山形 30.3% 17.1% 620 1,099 188 福島 6.1% 3.4% 657 1,188 40 茨城 4.5% 2.6% 579 1,000 27 栃木 44.9% 24.6% 590 1,079 265 群馬 18.9% 11.2% 1,439 2,438 272 埼玉 11.4% 6.2% 1,214 2,228 139 千葉 28.3% 17.3% 4,907 8,024 1,388 東京 25.3% 15.8% 2,254 3,598 570 神奈川 17.1% 8.8% 615 1,188 105 新潟 12.6% 6.5% 270 522 35 富山 32.8% 17.3% 299 566 98 石川 12.0% 6.3% 217 410 26 福井 38.2% 22.9% 262 436 100 山梨 60.0% 38.6% 657 1,022 395 長野 29.7% 19.2% 723 1,117 216 岐阜 45.5% 26.1% 905 1,581 412 静岡 28.6% 18.0% 1,932 3,074 553 愛知 42.1% 26.1% 606 978 257 三重 7.5% 4.5% 399 669 30 滋賀 10.1% 6.1% 985 1,631 99 京都 22.4% 14.3% 3,319 5,183 742 大阪 5.0% 3.2% 1,727 2,726 87 兵庫 14.3% 9.3% 497 764 71 奈良 24.1% 13.9% 469 813 113 和歌山 16.3% 11.1% 263 386 43 鳥取 12.2% 6.9% 328 581 40 島根 29.7% 18.1% 674 1,105 202 岡山 14.5% 8.1% 934 1,666 135 広島 4.8% 2.7% 482 849 23 山口 52.6% 31.7% 365 606 193 徳島 57.7% 33.9% 286 487 166 香川 75.9% 42.7% 415 738 317 愛媛 6.3% 3.3% 224 423 14 高知 49.0% 27.3% 1,364 2,450 669 福岡 28.3% 16.8% 272 459 77 佐賀 35.1% 20.9% 502 844 177 長崎 17.0% 9.1% 548 1,026 93 熊本 50.0% 26.3% 354 672 179 大分 9.2% 5.0% 325 602 31 宮崎 89.5% 50.9% 562 989 505 鹿児島 4.8% 2.7% 270 478 13 沖縄 (平成 20年 5月 1日現在の速報値.保険局医療課調べ) 注 1 届出数は,平成 20年 5月 1日現在の速報値 注 2 内科診療所数は,平成 17年 10月 1日現在(医療施設調査) 注 3 割合は,病院の届出件数 29件を除いた診療所の届出件数のみで算出

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表 2 後期高齢者と若年者との医療費比較モデル式 Ln医療費= a× 非後期高齢者ダミー+ b× 生存ダミー+ c× 非後期高齢者ダミー × 生存ダミー+ d× 性別ダミー+定数項 医療費:DPC医療費,出来高換算医療費 1日あたり DPC医療費,1日あたり出来高換算医療費 非後期高齢者ダミー:後期高齢者(75歳以上)を 0,非後期高齢者(75歳未満)を 1 生存ダミー:死亡退院を 0,生存退院を 1 性別ダミー:男を 0,女を 1 表 3 医療保険制度別の患者 1人当たり医療費(2009年 3月診療分) 患者 1人当たり 医療費(円) 月に 1回でも医療機 関を利用した人の割 加入者 (万人) 8万 5,412 85.8 1,345.8 後期高齢者 4万 4,711 52.6 3,718.5 国民健康保険 2万 8,442 45.7 3,470.5 協会けんぽ 2万 5,487 43.1 2,531.2 組合健保 れば実際に届出した診療所のうち,実際にこの点数を算 定しているのは全体の 1 割だという.これでは「保険(制 度)あって,サービスなし」だ. 同制度は,75 歳以上の患者が選んだ高齢者担当医(総 合的に診る医師)が,病気だけではなく,気分が落ち込 んでいないか,日常生活に支障はないかなど心と体の全 体を診て,外来,入退院,在宅医療まで継続して関わる 仕組みだった.そのコンセプトはすばらしいが,2008 年 6 月における 1 件当たり長寿医療費(外来)が 19,026 円と一般医療の 1.56 倍であることを考えると,1 カ月に 600 点という金額は余りに低かったと言える. そもそも 75 歳で線引きして新しい診療報酬体系を作 成したのはどうしてだろうか.これはひとえに,後期高 齢者の方が医療費が高いからである.特に終末期医療は その傾向が高いとされるが,本当にそうなのだろうか. 2005 年から本分野で展開している「病院可視化ネッ トワーク」で回収した約 56 万の DPC(=Diagnosis Pro-cedure Combination)データを使って検証してみると意 外な知見を得た.より具体的には表 2 のようなモデル式 で実際に入院した患者を 75 歳以上と 75 歳未満,さらに 死亡・生存退院に分けて,差の検定を行った. すると,脳梗塞の死亡症例については,後期高齢者の 方が高いが,肺の悪性腫瘍,急性心筋梗塞・再発性心筋 梗塞の死亡症例は,後期高齢者の方が一入院あたり医療 費が低いことがわかった. ちなみに,後期高齢者については,肺の悪性腫瘍,脳 梗塞の死亡症例のほうが医療費が高いが,急性心筋梗塞, 再発性心筋梗塞では死亡の方が低かった. つまり,DPC 適用患者に限定すると「後期高齢者だ から終末期医療費が高い」という仮説もあやしいという ことだ.おそらく,これに外来・在宅医療費を加えると, 両者は逆転するかもしれないが,今一度,実証データを 使って「高齢者医療費はどうあるべきか」を根本から考 え直してはどうか. 実際,こうした批判に触発されてか,国も保険者別医 療費分析を開始した.厚労省の 2008 年度医療給付実態 調査報告によると,加入者のうち,09 年 3 月の 1 カ月 間に 1 度でも医療機関にかかった人の割合は「後期医療」 では 85.8%,74 歳以下の高齢者が多い「国民健康保険 (国保)」で 52.6%,中小企業の従業員らが入る「全国健 康保険協会管掌健保(協会けんぽ)」で 45.7%,大企業の 従業員らの「組合健保」で 43.1% だったという.「後期 医療」では 44% が 1 カ所の医療機関に, 26% が 2 カ所, 11% が 3 カ所,5% が 4 カ所以上にそれぞれかかってい た.患者 1 人当たりの月額医療費を医療保険別に比較す る と,「後 期 医 療」が 8 万 5,412 円,「国 保」が 4 万 4,711 円,「協 会 け ん ぽ」が 2 万 8,442 円,「組 合 健 保」が 2 万 5,487 円.「後期医療」は「組合健保」の 3.35 倍になって いる. 厚労省では「これらの結果のほか,外来,入院などの 医療費も患者別,年齢別,病名別に細かく分析しており, 医療制度改革論議に役立てたい(2010 年 6 月 22 日の読 売新聞)」という.確かに保険者別の調査は意義があるが, 高齢者の場合,平均値だけでは判断できない.死亡前な のか,急性期なのか,さらには疾病特性なども把握した うえで,将来の制度設計に向けて患者別推計も試みるべ きである.

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図 1 一般病床における要入院患者数の将来予測 中長期的な超高齢化を睨んでも,少なくとも 25万床程度の過剰な一般病床が存在

「日本モデル」構築に向けて

後期高齢者医療制度の見直しに際して留意すべきはそ の持続可能性だろう.というのは,第 6 回目の検討会で 行った老人クラブのヒアリングでもわかったように介護 保険と合わせて,年金天引きで 1 万円を超えた保険料徴 収は,給付費増加に対する耐性が小さいからだ.仮に厚 生年金の給付額を 22 万円とすると,その約 5% を占め る. さらに,後期高齢者の保険料は増え続け,国立社会保 障人口問題研究所 2006 年推計をベースとした民主党試 算では,今の年間 7.2 万円が 2030 年に 19.9 万円(軽減 措置がない場合 23.2 万円)になるという.仮に医療・ 介護サービスを利用すると 1∼3 割の自己負担(2.28∼ 5.25 万円)がかかり,これにホテルコスト(1∼6 万円) と食費 4.2 万円を加えると,月額 7.5∼14 万円の自己負 担となる. これに対して,国は 09 年 4 月の介護報酬 3% アップ に伴う介護保険料負担の増加を軽減するため,約 1,200 億円の公費を投入している.さらに長寿医療制度の保険 料軽減分を合わせると,その額は約 2,369 億円に上る. つまり社会保障費の自然増分を毎年 2,200 億円抑制する という基本方針は前自公政権下でも崩壊していたわけ だ. この点については民主党のマニフェストも「自公政権 が続けてきた社会保障費 2,200 億円の削減方針は撤回す る」としている.しかし,その一方で公的債務残高が国 内総生産(GDP)の 200% に迫る日本の財政状況を考 えると安定した社会保障財源が必要で,短期的には今 10 月からのタバコ税の引上げで賄うことができても中長期 的には困難を極める. そこで筆者が 09 年 10 月 16 日に長妻前大臣の他 2 政 務官に直言したのが後期高齢者医療制度と介護保険を統 合するという案.同案は 2055 年に 75 歳以上の人口が 27% を占める超高齢社会に突入するわが国の将来を考 えると,まさに前厚労大臣が提唱した「日本モデル」と 言える.というのは,後期高齢者になると,「要医療」と 「要介護」の区別が相当難しくなるからである.それを 当局は,いわゆる「社会的入院」解消という幻想のもと, なるべく分断しようとしている. それでは入院医療の“ムダ”はどのくらいあるのだろ う.世界的な経営コンサルティング会社であるボスト ン・コンサルティンググループとの共同研究によれば, 現在の全病院病床 160.9 万床のうち 29.9 万床は物理的に 空いているという.特に一般病床は,19 万床も空いて おり,在院日数の間延びが発生していることから,これ に在院日数短縮余地(31.2∼34.8%)を加味すると,さ らに約 22∼25 万床の削減可能病床が存在する.これは 先述の「病院可視化ネットワーク」のデータを使った推 計結果である.なお,今後の中長期的な超高齢化を睨む と,2040 年で 3.6 万床の一般病床が不足するが,一定の 在院日数短縮余地も考慮すると,約 25∼29 万床が過剰

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表 4 訪問看護ステーションの料金表 A:訪問看護療養費(医療保険) 料金 医療保険 5,550円 週 3日目まで 基本療養費 I (1日につき) 週 4日目以降 6,550円 1,600円 1~ 3時間 基本療養費 II (1日につき) 1時間増す毎に 400円 4,300円 週 3日目まで 基本療養費 III (1日につき) 週 4日目以降 5,300円 7,300円 1日目 管理療養費 (1日につき) 2日目~ 12日目 2,950円 0円 13日目以降 500円 3歳未満 乳幼児加算 加 算 500円 3歳~ 6歳未満 幼児加算 4,500円 1日 2回 難病等複数回 8,000円 1日 3回以上 訪問加算 2,650円 緊急訪問看護加算(在宅療養支援診療所・ 病院の医師の指示の下,緊急訪問 1日につ き) 4,300円 5,200円 複数名訪問看護加算(週 1回迄) 2,500円 長時間訪問看護加算(週 1回迄) 5,400円 24時間連絡体制加算(月 1回) 5,000円 24時間対応体制加算(月 1回) 2,500円 欄外※の方 重症者管理加算 (月 1回) それ以外の方 6,000円 6,000円 退院時共同指導加算(適応時) 3,000円 退院支援指導加算(適応時) 2,000円 在宅患者連携指導加算(適応時/月 1回迄) 1,500円 在宅患者緊急時等カンファレンス加算(適 応時/月 2回迄) 20,000円 情報提供療養費(月 1回) ターミナルケア療養費(適応時) ※ステー ションの 自由設定 長時間(2時間超)料 金,休 日 料 金,時 間 外料金 差額費用 交通費,日常生活上 必要な物品,指定訪 問看護と連続して行 われる死後の処置 実費費用 B:訪問看護費(介護保険) (1単位 10円~ 10.83円) 金額(円) 単位数 サービス内容略称 介護保険 2,850~ 3,086 285 訪問看護 A 20分未満 訪 問 看 護 費 4,250~ 4,602 425 訪問看護 1 30分未満 8,300~ 8,988 830 訪問看護 2 30分以上 1時間未満 11,980~ 12,974 1,198 訪問看護 3 1時間以上 1時間半未満 4,250~ 4,602 425 訪問看護 71 30分未満 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 30分以上 1時間未満 訪問看護 72 830 8,300~ 8,988 ※早朝(午前 6時~午前 8時)・夜間(午後 6時~午後 10時)は 25%増 深夜(午後 10時~午前 6時)は 50%増.但し,緊急訪問の場合は特別管理加算対象者にのみ 2回目以降加算される ※准看護師の訪問の場合,所定単位数の 90%で算定 5,400~ 5,848 540 緊急時訪問看護加算 1 緊急時訪問看護加算(月 1回) 加 算 2,500~ 2,707 250 特別管理加算 特別管理加算(月 1回) 20,000~ 21,660 2,000 ターミナルケア加算 ターミナルケア加算(適応時) 3,000~ 3,249 300 長時間訪問看護加算 長時間訪問看護加算(1回につき) 2,540~ 2,750 254 複数名訪問加算 30分未満 複数名訪問加算 (1回につき) 30分以上 402 4,020~ 4,353 60~ 64 6 サービス提供体制強化加算 サービス提供体制強化加算(1回につき)

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図 2 介護療養型医療施設の転換に係る経済的試算 A:介護療養病床の転換と収支(年額)の増減 (差額分析)~シミュレーションの前提条件 ・介護療養病床数 76.3(平成 20年介護事業経営実態調査結果の概要) ・利用率 93.4%(平成 20年介護サービス施設・事業所調査) ・1日在所者数 71人(=76.3×93.4%)・人員基準看護職員 6:1介護職員 4:1 ・賃金(年額,賞与を含む)(平成 21年賃金構造基本統計調査) 医師 11433.4千円 看護職員 4425.6千円(看護師と准看護師の賃金の加重平均値) 看護補助者 2814.1千円 介護職員 看護補助者の額を準用 ・療養病床(医療保険),2008年度の患者の ADL・医療区分別割合 (中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会(第 141回)資料(診― 1) 「平成 20年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査報告書」(平成 21年 9月 18日)図表 3) 15.0% 26.4% 10.4% ADL区分 3 3.3% 13.0% 9.5% ADL区分 2 1.5% 8.9% 11.9% ADL区分 1 医療区分 3 医療区分 2 医療区分 1 ・介護保険施設((経過型)介護療養型医療施設・介護(療養型)老人保健施設)入所者の要介護度割合 (平成 19年度介護保険事業報告;施設介護サービスの給付件数の比率を準用) 要介護 5 要介護 4 要介護 3 要介護 2 要介護 1 30.1% 29.8% 22.4% 12.2% 5.5% B:療養病床の転換と収支(年額)の増減(差額分析)~多床室の場合 介護老人保健施設 【従来型】 (多床室) 介護療養型老人保健施設(多床室) 介護療養型医療 施設【通常型】 (多床室) 介護 6:1 介護 4:1 看護+介護 3:1 6:1 6:1 6:1 看護 うち看護職員 2/7 4:1 6:1 4:1 介護 人員基準(人) 1 1 1 3 医師 7 13 13 13 看護職員 19 20 13 20 看護補助者/介護職員 - 59,276 - 25,444 - 32,441 0 診療(介護)報酬(千円) 人件費 0 0 0 0 人員整理不可の場合 - 52,234 - 22,867 - 42,566 0 人員整理可の場合 収支差額 - 59,276 - 25,444 - 32,441 0 人員整理不可の場合 - 7,042 - 2,577 10,124 0 人員整理可の場合 になることも明らかになった(図 1 参照).これを金額 に換算すると約 1.4∼1.6 兆円のムダとなるが,そのうち, いわゆる「社会的入院」によるものは驚くなかれ 0.2 兆 円しかなかった. にもかかわらず,医療保険を担当する保険局と介護保 険を所管する老健局は両者を“分断”しようとしている. その最たるものが,①医療・介護保険に細分化された訪 問看護ステーション(表 4 参照),②“日本版ナーシン グホームたる”療養病床の再編,③リハビリの不明確な 医療・介護保険適用区分,④介護施設(特に老人保健施 設)における医療給付の制限などである. 例えば,①の訪問看護ステーションは,訪問看護管理 療養費の単価について,2010 年度診療報酬改定で安全 管理体制の整備を要件に加えた上で,引上げが行われた. 月の初日の場合は 7,050 円が 7,300 円に,月の 2 日目以 降の訪問の場合は 2,900 円が 2,950 円になった.また, 同月に訪問看護療養費を算定できる訪問看護ステーショ ン数の制限が緩和された.具体的には①末期の悪性腫瘍 等の利用者で訪問看護が毎日必要な利用者の場合は,2 カ所から 3 カ所に,また②特別訪問看護指示期間中(急 性増悪や終末期等による)に限り,1 カ所から 2 カ所に なった.これで国の言う「地域包括ケア」が実現される

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かどうかは不明だが,訪問看護は医療保険(表 4A)と 介護保険(表 4B)双方にまたがるので大変わかりにく い(表 4 参照).2012 年度の診療・介護報酬同時改定に は看護師という専門職能に着目して医療保険に一本化し てはどうか. また,②は未だ解決の糸口すら見つからない.それは, 当局が勧める介護療養型医療施設(介護療養病床)から 介護療養型老人保健施設(以下,療養型老健)へのシフ トは人員整理ができなければ依然として利益率の悪化を もたらすからである.図 2 は直近の公表データを使って 一定の試算を行ったものだが,多床室の場合,患者と介 護職員の比率が 6:1 で人員整理が可能な場合のみ増益 になることがわかる. 政権交代があって介護療養病床の廃止は“とりあえず 延期”となりそうだが,当該経営者は最終的に二者択一 の選択に迫られるだろう.それは,①人員整理をして療 養型老健に転換するか,②医療区分 2・3 の割合を上げ て医療療養病床に転換するかである.実際,療養病床(入 院基本料 2)のうち,1 日 7,220 円にしかならない医療・ ADL 区分 1 の患者は減少している.医療必要度の低い 患者が一体どこに行ったのか,いわゆる“医療・介護難 民”が存在していないかどうか,その追跡調査が望まれ る. ちなみに,1992 年に“脱病院化”を目指してエーデ ル改革を実施したスウェーデンでは,県立病院に入院し ている患者が臨床上退院可能となった場合に市が担当の ケア付き住宅を用意できない場合,一定の課徴金を市か ら県に支払うことになった.しかしこんな政策が断行で きたのも全医療機関の患者情報がクラウド・コンピュー ターで連結され,“継ぎ目のない”医療・介護が実現され ているからだ. 同様の制度は,デンマークにもある.コペンハーゲン 大学の山田ゆかり研究員によれば,コペンハーゲン市内 の公的病院に,治療が終了したのにもかかわらず入院し, 病床を占領している高齢者が常に 50 人から 70 人いるそ うだ.これらの高齢者は,ナーシングホームや在宅ケア の体制が整って退院できるまで平均 13 日から 28 日間待 機入院しているという.待機中は市が病院に 1 日 DKK 1,771(3 万 5 千円程度)支払う義務があり,この値段は 3 日間ごとに高くなる仕組みである.したがって治療が 終了したにもかかわらず,患者を 8 日間入院させておく と,市の負担は 28 万円∼60 万円程度にもなる. スウェーデンやデンマークのように消費税率が 25% の福祉国家でもこれだけの構造改革を行っているとは驚 きだが,わが国も負担増を国民に求めるならば,まずは 高齢者医療・介護の「見える化」から始めてはどうか.

「口から食べたい」を支える歯科医師との連携

この他,“供給過剰”に直面している歯科医師と連携す ることで在宅患者の経口摂取を促す方策も検討に値する のではないか.実は,08 年の診療報酬改定で「在宅療 養支援歯科診療所」が新設されている.これは「在宅ま たは社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援 する歯科診療所の整備を図る」ことを目的としたもので ある. 確かにその要件は「24 時間体制」,「近隣医療機関と連 携し入院病床の確保」が前提となっている医師の在宅療 養支援診療所(在支診)に比べてはるかに低い.しかし 在支診では,在宅時医学総合管理料(4,200 点!月 1 回) が算定可能であるが,在宅療養支援歯科診療所ではそれ に対応するような診療報酬は設定されておらず,訪問診 療では,訪問診療料(830 点あるいは 380 点)と後期高 齢者在宅療養口腔機能管理料(180 点!月 1 回)あるい は居宅療養管理指導料(500 単位!月 2 回)が算定でき るのみである.そのせいか,人口当たりの歯科診療所数 と訪問診療を実施している歯科診療所の比率には一定の 相関はなく単純に歯科のマーケットが飽和しても,在宅 医療の分野に進出するわけではないことが示唆される. 一方,一般内科医の在宅療養患者において,脳血管障 害患者では発症直後は経管栄養が必要であるが,時間経 過とともに経口摂取再開が可能になる症例もある.その 場合は,経管栄養から経口摂取再開に向けた定期的な評 価が求められる.また,神経難病患者や高齢者では徐々 に経口摂取が困難になり,誤嚥しているが経口摂取を継 続している場合もある.当該ケースでは,喉頭内視鏡 (ファイバー)を使用した検査画像を本人・家族に提示 し,食物形態の変更や経口摂取の開始・中止を勧めるこ とがある.しかしいずれの場合も検査時間が 1 時間を超 えることが多く,医師が通常の訪問診療業務内へ組み込 むことは困難である.そのため診療時間後に別枠を設け て行う必要があり,その経済的負担は大きい. また歯科訪問診療では,医科と異なり在宅時医学総合 管理料が算定できないため,検査・診療が長時間にわた る場合にはコスト割れし,経営的に大きな負担になると 考えられる(口腔機能評価や嚥下評価の診療報酬は設定 されておらず,摂食機能療法と喉頭内視鏡の検査料のみ 算定可).そのため喉頭内視鏡による嚥下機能評価の研 修を受ける医師・歯科医師は少なくないが,実施件数は なかなか増えない. そこで筆者らは「NPO 法人 摂食介護支援プロジェ

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クト」(DHP:Dysphagia Support and Health Care Pro-ject)(http:!!npo-dhp.org!)の指導の下,医療法人拓海 会神経内科クリニックとの取り組みを通じて,医師と歯 科医師が連携して専門的な口腔機能評価や嚥下機能評価 を行った時の医療費削減効果を算出した. その結果,脳血管障害を基礎疾患とし,経管栄養を実 施している患者は 58,500 人から 1,864,300 人に達すると 推計された.さらにそのうちの 8.3% が離脱可能と仮定 すると,喉頭ファイバーを用いた嚥下機能評価や歯科衛 生士による嚥下訓練に係るコストを控除しても,年間 26 億∼1,340 億円の医療費が削減可能なことがわかった. しかし,その一方で医師・歯科医師連携の新モデル構 築には,喉頭ファイバーによる嚥下評価を実施する歯科 医師の養成や嚥下訓練を実施する歯科衛生士の育成など 克服すべき課題も見えてきた.医師・歯科医師との連携 で浮いた医療費を新モデル構築に向けたインフラ整備の 財源に活用することが求められる.

特定健診・保健指導は 75 歳以上にも

義務付けられるのか?

医療費適正化と言えば疾病予防も忘れてはならない. 実は,先の改革会議がまとめた試案では「40 歳以上 75 歳未満の現役世代に義務づけられていた特定健診・保健 指導は高齢者も国保や被保険者保険に加入するため,現 役世代と同様に各保険者に義務化すべき」としている. 確かに「予防に勝る良薬なし」と言われて久しいが, 疾病予防に関する経済評価はあまりなされてこなかっ た.そうした中で,米国では Medicare Coordinated Care Demonstration(MCCD)という無作化比較試験が始まっ ている.折しも,わが国でも特定健診・特定保健指導が 08 年 4 月に開始された. そこで筆者らは 2008 年度の特定健診によって保健指 導(積極的支援)の判定を受けたトヨタ健保組合員(本 人・家族)を対象に,保健指導への参加状況と,その後 の医療費への影響を考察した.ここで留意すべきはトヨ タ健保では積極的支援判定の中でもリスク因子数が一定 数以上の受診者に対し,優先的に保健指導を導入してい る(女性 216 名;男性 2,433 名)点である.2008 年度の 積極的支援判定を受けた受診者は 11,915 名(女性 641 名;男性 11,274 名)いたが,08 年度は保健指導導入初 年度のため被保険者の勤務地や検診の種目に応じて段階 的に保健指導を勧奨した.その結果,積極的支援判定を 受けた者の中で,介入群(Treatment Group:保健指導 の勧奨が行われた者;7,321 名,但し,実質的な保健指 導の対象者は優先積極的支援判定を受けた 2,649 名)と, 対照群(Control Group:保健指導の勧奨が行われなかっ た者;4,594 名)に区分できた. 肝心の結果だが,保健指導の勧奨の有無だけで両者を 比較した所,医療費には十分に有意といえる差はなかっ た.しかしながら,ここで言う介入群は,保健指導の実 施案内を行うという介入を行った集団に過ぎない.実際 の保健指導への参加状況には,完了・中断・不参加など といった個人差がある.また,対照群は,実際には 2008 年中には保健指導の対象にはならなかったが,仮に,保 健指導の実施案内を送ったとしても,保健指導を完了し ない者も存在すると考えられる.そこで,Propensity Score Matching という手法を用いて介入群から,保健 指導を完了したものを選び,生活習慣や勤務形態の違い など,保健指導を完了するのか否かを決定する個人的な 属性を推定した.その上で,この推定結果に基づき,対 照群の中で仮に保健指導を勧奨した場合に保健指導を完 了すると思われる個人的属性を有する者と,介入群の中 で保健指導を完了した者とを比較した.その結果,保健 指導に参加した者の医療機関受診行動に関しては,受診 確率,診療実日数,総医療点数が有意に減少しているこ とがわかった.これは,保健指導が医療機関受診の代替 として,健康管理や生活改善,医療費の低減に寄与して いる傾向を示唆するものといえる. 本研究は未だ中間報告の域を出ないが,今後はサンプ ル数を増やして,継続研究を行う予定である.しかし, 諸外国と異なり,わが国の特定健診・保健指導制度は一 次予防に重点を置いて,生活習慣に関する行動変容を促 すものであり,医療費適正化効果を得るには相当の時間 がかかる. 幸か不幸か,後期高齢者医療制度の廃止により,その 支援金の加減算(最大で 10%)が特定健診・保健指導 の成否で決まるという仕組みはなくなるようだが,その 一方でがん検診の受診率の低下が著しい.今後は,高齢 者への肺炎球菌による重症感染症予防や(新型)インフ ルエンザワクチンの接種なども含めた総合的な疾病予防 戦略の策定が求められる. 参考文献 1)川渕孝一:医療制度改革の今後の課題や展望について. 東京の国保 2009; 50(590):10―14. 2)舛添要一:迷走する後期高齢者医療制度.中央公論 2009; 12: 68―89. 3)村上正泰:医療崩壊の真犯人.PHP 新書,2009. 4)川渕孝一:後期高齢者を取り巻く医療,介護保険制度の 現状と問題点.治療 2010; 92(01). 5)川渕孝一:「実現へムダ・ムラ・ムリ排せ」,日本経済新 聞,「経済教室」,4 月 7 日,2010.

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6)川渕孝一,藤田拓司,小島哲也:平成 21 年度 8020 推進 財団公募研究報告書「摂食・嚥下における歯科・医科連 携と医療費に関する研究」,財団法人 8020 推進財団, 2010. 7)川渕孝一,伊藤由希子,津下一代:「生活習慣病予防事 業による医療費に及ぼす効果の検討」,平成 21 年度厚生 労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総 合研究事業)「地域・職域における生活習慣病予防活動・ 疾病管理による医療費適正化効果に関する研究」,2010.

表 1 後期高齢者診療料の届出状況(速報値) 割合(診療所のみ)内科診療所数 届出件数 総数 主たる 対総数 対主たる 25. 3%14.9%37,35663,2869,478全国 15
表 2 後期高齢者と若年者との医療費比較モデル式 Ln医療費= a× 非後期高齢者ダミー+ b× 生存ダミー+ c × 非後期高齢者ダミー × 生存ダミー+ d× 性別ダミー+定数項 医療費:DPC医療費,出来高換算医療費 1日あたり DPC医療費,1日あたり出来高換算医療費 非後期高齢者ダミー:後期高齢者(75歳以上)を 0,非後期高齢者(75歳未満)を 1 生存ダミー:死亡退院を 0,生存退院を 1 性別ダミー:男を 0,女を 1 表 3  医療保険制度別の患者 1人当たり医療費(2009年 3月診療分
図 1  一般病床における要入院患者数の将来予測 中長期的な超高齢化を睨んでも,少なくとも 25万床程度の過剰な一般病床が存在 「日本モデル」構築に向けて 後期高齢者医療制度の見直しに際して留意すべきはそ の持続可能性だろう.というのは,第 6 回目の検討会で 行った老人クラブのヒアリングでもわかったように介護 保険と合わせて,年金天引きで 1 万円を超えた保険料徴 収は,給付費増加に対する耐性が小さいからだ.仮に厚 生年金の給付額を 22 万円とすると,その約 5% を占め る. さらに,後期高齢者の保険
表 4 訪問看護ステーションの料金表 A:訪問看護療養費(医療保険) 料金医療保険 5, 550円週 3日目まで基本療養費 I (1日につき) 週 4日目以降 6, 550円 1, 600円1~ 3時間 基本療養費 I I (1日につき) 1時間増す毎に 400円 4, 300円週 3日目まで 基本療養費 I I I (1日につき) 週 4日目以降 5, 300円 7, 300円 管理療養費 1日目 (1日につき) 2日目~ 12日目 2, 950円 0円13日目以降 500円3歳未満乳幼児加算 加 算 5
+2

参照

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