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論文 乳房診断装置 Dimensions バイオプシーガイドシステム Affirm の使用経験 Clinical application of using biopsy system Affirm (Selenia Dimensions) 片寄伊藤 1) 喜久 2) 誠司 3) 鈴木奈々子 Yosh

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Academic year: 2021

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(1)

乳房診断装置Dimensions、

バイオプシーガイドシステムAffirmの使用経験

Clinical application of using biopsy system “Affirm” (Selenia Dimensions)

論 文

Key Words: Breast Tomosynthesis, Mammography, Biopsy system, Digital Image, Breast Cancer

乳房診断装置Selenia※ DimensionsとバイオプシーガイドシステムAffirmは、デジタル化されたシステムを用いたステレオ下

マンモトーム生検に最適な機器である。このシステムにより生検は効率よく短時間で施行可能であり、患者により負担の少ない生 検法である。トモシンセシスによる画像は撮影されたデータを再構成するため、通常撮影に比べまれに石灰化が鑑別しにくい症例 も存在するが、多くの症例ではトモシンセシスの併用により、さらに正確な石灰化形状診断が可能となり、ステレオ下マンモトー ム生検の適応がより正確となったため、負担の多い不要なステレオ下マンモトーム生検を減らすことに貢献できると思われた。

The Selenia※ Dimensions digital mammography system in combination with the Affirm biopsy guidance system is the

optimum configuration of equipment for a digital stereotactic Mammotome biopsy. This system and biopsy technique enables biopsies to be carried out efficiently and in a short time and give less stress to patients. Since images taken by tomosynthesis are reconstructions of photographed data, on rare occasions, it is difficult to differentiate calcification com-pared to conventional imaging; however, in many cases, combined use of tomosynthesis enables more accurate diagnosis of calcified forms, which results in the more precise adaptation of stereotactic mammotome biopsy, and thus it can be consid-ered that the system contributes to decrease unnecessary stereotactic Mammotome biopsies and the consequent patient stress.

1.はじめに

乳腺疾患診断法の中でも乳房撮影(マンモグラフィ)は超音 波検査同様必須の検査法である。マンモグラフィは乳房を圧 迫して撮影しても少なからず乳腺の重なりが生じてしまう。 X線吸収係数が近い乳癌(0.85cm-1)と乳腺組織(0.80cm-1)の 鑑別が困難な症例は少なからず存在する。特に40歳代の乳 癌が好発する年代では高濃度乳腺症例が多く、乳癌が発見で きない原因の一つと考えられる。これはマンモグラフィがデ ジタル化されても克服できない問題点である。乳房デジタル トモシンセシスは、最新の技術を駆使した断層撮影が可能な マンモグラフィ装置で、乳房を断層撮影し画像を再構成する ことで乳腺の重なりを排除し、乳癌の鑑別を容易にする装置 である1)~4)。撮影原理の詳細は既刊書を参照していただきた 1)市立秋田総合病院 乳腺・内分泌外科 2)市立秋田総合病院 外科 3)市立秋田総合病院 放射線科 片寄 喜久1) Yoshihisa Katayose 齊藤絵梨子1) Eriko Saito

伊藤 誠司2) Seiji Ito 東海林 綾3) Aya Shouji

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いが5)、撮影原理を簡単に説明すると、圧迫した乳房を正中 から左右7.5度の角度合計15°の幅を1°間隔で15回乳房を撮 影し、コンピュータで解析後、1mmの幅で画像を再構成する 装置である。仮に50mmの厚さの乳房であれば、原則50枚の 画像を作成し専用ビューワで動画のように乳房を観察するこ とができる。通常撮影では乳癌か乳腺の重なりか鑑別困難な 陰影も、トモシンセシスにより多くの症例は鑑別が可能とな る6)。当科で行ったレトロスペクティブな解析では、一次検診 でFADカテゴリー 3 要精査となった症例に対し、トモシンセ シスを用いた二次検診精査を行った結果、約65%の症例が乳 腺の重なりあるいは非対称性乳腺カテゴリー 1と診断でき、 トモシンセシスの有用性が強く示唆された7)。また、MLO方 向のみの通常撮影では乳房の内側か外側かの判断に迷うこと も多いが、トモシンセシスのスライス画像の位置から内側・ 外側の鑑別は画面上容易に確認でき、超音波での精査の際非 常に役立つ。特に石灰化などが広く分布する場合、トモシン セシスで石灰化を注意深く観察することで区域性か領域性の 鑑別が容易となる。以上からトモシンセシスの性能は腫瘤の みならず石灰化病変の描出や分布を検討する上で有効と考え られる。 今回、当施設で石灰化症例に対して、Selenia※ Dimensions とバイオプシーガイドシステムAffirmを用いて行ったステレ オガイド下マンモトーム生検の経験を紹介し、トモシンセシ ス並びにAffirmの有用性と改良点につき報告する。

2.バイオプシーガイドシステムAffirm

当院ではSelenia Dimensions、バイオプシーガイドシステ ムAffirmとステレオ下マンモトーム生検専用ベッド(EX-MGT TAKARA BELMONT)を用いた側臥位での生検を基 本としている(図1)。Affirmの生検装置は斜め方向に10°の 角度がついており、生検針を乳房に刺入したままでも位置確 認の撮影の際、生検針が映りにくい構造となっているため不 必要な撮像が増えないことも利点の一つと考えられる(図1、 図2)。Selenia DimensionsとAffirmは生検に対して完全に マッチングした機器であり、3Dでの位置決めなどすべてデジ タル化した装置である。また側臥位での生検は、腹臥位に比 べてベッドが格安であること、座位に比べ安定した体位で生 検が可能であることなどの利点が挙げられる。腹臥位に比べ て生検装置が見える点が患者の不安を助長する可能性はある が、座位に比べバイオプシー装置からの圧迫は非常に少なく 患者の不安は軽減されている。さらに、EX-MGTの特徴は、 テーブルの片側に2 ヶ所落とし込み部分があり、被検者の体 型や石灰描出のためのポジショニングの状況に合わせてどち らかの落とし込み部分を用いることで、肩や腕への圧迫を解 消することが可能となる点である。側臥位のため過度の緊張 による血圧低下などの体調不良は起こりにくいと思われる。

3.ステレオガイド下マンモトーム生検法のポイント

実際の生検法は既刊書に譲るとして8)~10)、当システムでの 生検法のポイントを挙げてみる。生検部位は石灰化の位置を 確認し、その部位に最も近接した部位から行う方針としてい る。そのため最初のポジショニングは非常に重要であり、事 前に撮影したマンモグラフィを詳細に検討し穿刺部位を決定 している。右乳房の石灰化病変に対して、外側に石灰化が位 置すれば生検は左側臥位とし、右乳房の外側から穿刺するこ ととなる。逆に右乳房の内側に位置すれば、穿刺は右側臥位 で乳房の内側からとなる。また石灰化が内側、胸壁よりの場 合、側臥位での穿刺は困難な症例が多く、このような場合は 当初から座位での穿刺を行っている。一方、乳房厚の薄い症 例では生検の距離を稼ぐため、乳房背部にスポンジ板をセッ トすることや生検装置が斜め方向に10°の角度があることな どで、ほとんどの症例で生検が可能である(図1、図2)。さら にSelenia Dimensionsはステレオ撮影時、左右の撮影と管球 の移動を自動的に行うことも時間短縮に役立っている。 図 1:Selenia DimensionsとバイオプシーガイドシステムAffirm 全体像 図 2:側臥位での生検方法

(3)

4.ステレオ下マンモトーム生検の成績

2012年7月 Selenia Dimensions導入以来、約10 ヶ月間で マンモグラフィは約2,600件、トモシンセシスは二次精査症 例と一次検診で了承の得られた患者に撮影し、およそ700件 行った。石灰化病変に対してステレオ下マンモトーム生検は 15例行っており、成績を表1に掲示した。 ポジショニングまでの時間はおよそ15分、局所麻酔開始か ら検査終了までは10.9分であった。以前のCRの時間と比べ るとおよそ半分以下の時間に短縮されていた。側臥位から座 位へ変更となった症例は、すべて石灰化病変が内側・胸壁寄 りに位置し、側臥位でのポジショニングが困難で体位変換な どの技術的な工夫が必要と思われた。内側に石灰化のある症 例が生検予定となった際、ML方向の撮影を行い位置の確認 を行うなどの工夫や、それでもポジショニングが困難と思わ れる症例は事前に座位での生検で、不要な検査時間の延長を 防ぐことが可能と思われる。この際事前に患者に座位での生 検が良いことを説明することで、術中に体位変換などをする 必要がなく患者の不安軽減につながるものと思われる。ポジ ショニングと穿刺が適切であれば、採取本数は5本で十分で あり、15症例中13例は5本の採取で診断に必要な目的の石灰 化が採取されていた。摘出組織標本の最終組織結果は表の如 く、DCISが3例、ADHが3例、FEAが2例、fibrous disease などの良性疾患が7例であった。ADH、FEAは病変が小さい ためDCISの診断がつかなかった症例であり、石灰化病変に 対するステレオ下生検の適応としてはほぼ妥当と思われた。

5.症例提示

(1)症例1 Sclerosing adenosis(図3) 50歳、女性。外来経過観察中右乳房MO領域に、通常撮影 では微少円形から一部淡く不明瞭な石灰化が集簇性に分布、 カテゴリー3の診断であった。しかしトモシンセシスを撮像し てみると、分布に変化はなかったが石灰化がより明瞭に観察 され、一部多形性の石灰化も混在し、カテゴリー 4と診断し た。生検の結果は硬化性腺症、良性であった。 表1:ステレオ下マンモトーム生検例 石灰化 15病変 平均(分) 範囲(分) 全所要時間 25.9 17 〜 45 ポジショニングまでの時間 15.0 11 〜 25 局麻から終了まで 10.9 6 〜 20 採取本数(本) 5.4 5 〜 8 最終組織型 DCIS 3 ADH 3 FEA 2 良性 7 DCIS : ductal carcinoma in situ、ADH : atypical ductal hyperplasia、 FEA : flat epithelial atypia

図3:症例1 50歳代 女性  組織診断:Sclerosing adenosis

右乳房MLO撮影

(4)

(2)症例2 DCIS (図4) 60歳、女性。検診マンモグラフィで右乳房MO領域に微少 円形・集簇性の石灰化 カテゴリー 3を認めた。トモシンセシ スでは分布は変わりなかったが、石灰化の性状は多形性が明 瞭に観察され、一部淡く不明瞭な石灰化もより明瞭に判別で きカテゴリー 4の診断も可能と思われた。組織型はDCISで あった。またこの症例は右MI領域にFADと構築の乱れを伴 い、生検で浸潤癌の診断で重複癌の診断であった。 (3)症例3 ADH(図5) 41歳、女性。検診マンモグラフィで右乳房MI領域に大小 不同、淡く不明瞭な集簇性石灰化、カテゴリー 3を認めた。ト モシンセシスでは一部多形性に見える集簇性石灰化と鑑別で きカテゴリー 4とした。組織型はADH(DCIS疑い)であった。

図5:症例3 40歳代 女性  組織診断:Atypical ductal hyperplasia

右乳房MLO撮影

生検標本撮影

MLO拡大図 MLOトモシンセシス拡大図

図4:症例2 60歳代 女性  組織型:Ductal carcinoma in situ

右乳房MLO撮影

(5)

粗大石灰化は画像を1mmで再構成することから性状判断 は困難になるが、このような石灰化はもともと通常撮像で鑑 別は可能であることから、問題は生じない。淡く不明瞭な石 灰化なのか、それとも多形性の石灰化なのかを区別すること は非常に困難な場合があるが、トモシンセシスを併用するこ とでより詳細な石灰化の境界情報が得られる症例が多くな り、カテゴリー分類もより的確になると思われる。これは不必 要なステレオ下マンモトーム生検の減少につながると思わ れ、患者の利益にもつながる。

6.Selenia Dimensions、バイオプシーガイドシス

テムAffirmの有用性と改良点

当院では以前 CRシステムによるマンモグラフィ撮影を 行っていた。この方式の撮影ではステレオ下マンモトーム生 検を行う際、ポジショニング、圧迫後、麻酔後、ピアス後な ど各場面での撮像後にパネルを読み取り、ハードコピーして いたため、次のステップ移行へ非常に時間を要していた。待 ち時間が長いため患者の疲労も蓄積し、圧迫した乳房がずれ ることが多々あった。Selenia Dimensionsは直接変換方式の Flat panel detector(FPD)方式のデジタルマンモグラフィで あり、撮影後画像はほぼリアルタイムでモニターに表示され るため、撮影確認のための待ち時間はほぼ無くなった。また バイオプシーガイドシステムAffirmはSelenia Dimensions 専用装置であり、両者は相補的な働きをし、生検に対しての 機器的な問題点は無用と思われる。さらに側臥位で生検を行 うことにより、より効率的な検査が可能となった。これは表1 のように乳房圧迫後に石灰化を確認し、生検のための局所麻 酔を行ってから、生検終了までの時間が平均10.9分(6~20 分)と短時間で生検が終了したことが証明している。全生検 時間(平均25.9分)のうちポジショニングまでがほぼ全体の6 割を占めており、この時間短縮が全生検時間の短縮につなが る。石灰化部位が胸壁に近い症例、内側の症例、乳房の厚み が少ない症例ではポジショニングに時間を要していたが、側 臥位のポジショニングは患者への機器による圧迫感が少な く、技術的に乳房圧迫に多少の慣れは必要であるが、EX-MGTの使用も時間短縮につながる要因であった。側臥位で ポジショニングが不良なため座位に変更になった症例は2例 で、体位変換による生検時間の延長を認めたが、生検の時間 には大きな変化はなかった。この経験から石灰化が内側方向 や胸壁に近い場合、ポジショニングが側臥位では困難と思わ れる症例では当初より座位で行うことで、時間延長を防ぐこ とが可能となった。さらに事前に放射線技師から生検を座位 で行うとの情報で、患者への説明も十分にでき、検査に対す る不安が軽減し生検がスムーズに進んだ。メディカルスタッ フとのコミュニケーションは診療を円滑に進める際、非常に 重要と思われる。石灰化の位置、薄い乳房、その他生検にお ける問題点は今まで多くの施設で検討され、問題点は改良さ れている。現時点では当システムにおける根本的な改良点は 見あたらず、経験を重ねることで、さらにより良い短時間の 生検が可能と思われる。しかしステレオ下マンモトーム生検 は患者にとって侵襲のある検査法であり、安易な生検症例の 選択には十分留意する必要がある。

7.まとめ

Selenia Dimensionsとバイオプ シーガイドシステム Affirmを用いた乳房石灰化病変に対するステレオ下マンモ トーム生検を報告した。システムのデジタル化、バイオプ シー専用装置、EX-MGTの使用で患者に負担の少ない、短時 間での生検が可能であった。石灰化病変に対しては、最近超 音波ガイド下生検も積極的に行われているが、超音波で見え ない石灰化も多く存在している。通常撮影に比べトモシンセ シスで石灰化が見えにくくなる症例もあったが、多くはトモ シンセシスによってより正確な石灰化診断が可能であった。 ステレオ下マンモトーム生検は乳房を圧迫し固定された体位 で患者に負担のかかる検査であり、短時間で生検が終了可能 な精神的・身体的負担の軽減できる生検法は必須である。そ の点、当院で使用している乳房診断装置Selenia Dimen-sions、バイオプシーガイドシステムAffirmは、デジタル化の 恩恵を受けた最適な生検システムと言える。 ※ Seleniaはホロジック・インコーポレイテッド社の登録商標です。

参考文献

1) HakimCM, et al. : Digital breast Tomosynthesis in the diagnostic environment: A subjective side-by-side review. AJR 195 : 172-176, 2010.

2) Gennaro G, et al. : Digital breast Tomosynthesis ver-sus digital mammography : a clinical performance study. Eur Radiol. 20 : 1545-1553, 2010.

3) Park JM, et al. : Breast Tomosynthesis : present con-siderations and future applications. Radiographics. 27 : 231-240, 2007. 4) 角田博子, ほか : 乳房トモシンセシスSelenia Dimen-sionsの初期使用経験. MEDIX, 55 : 24-29, 2011. 5) 落合是紀, ほか : 乳房トモシンセシス-マンモグラフィの 性能向上-. MEDIX, 54 : 30-36, 2011. 6) 鯉淵幸生, ほか : トモシンセシスの臨床使用経験 . イン ナービジョン, 27(8) : 12-15, 2012. 7) 片寄喜久, ほか : 乳房トモシンセシスを用いた乳癌診断- 検診への応用-第10回日本乳癌学会東北地方会 演題14. 8) 霞富士雄, ほか : マンモトーム生検 改訂第2版, 2002. 9) 角田博子, ほか : 実践マンモトーム生検 基本テクニック からトラブルシューティングまで, 中山書店, 2008. 10) 関根進, ほか : 乳房石灰化に対するステレオガイド下マ ンモトームの検討 日本乳癌検診学会誌, 21(2) : 169-174, 2012.

参照

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