Table 2. Average maximum and minimum temperatures in the unheated glasshouse during the period of study ( ) Table 3. Fresh weight of 100 anther

全文

(1)

花 粉 退 化 の 細 胞,組

織 な ら び に 生 理 学 的 研 究(第2報)

低温に よる果菜類 の花 粉退化 と鶏組織に含 まれ る遊離 ア ミノ酸 との関係

(大阪府立大学農学部)

N. FUJISHITA On the free caused

Cytological, histological and physiological studies on the pollen degeneration. II.

amino acids with reference to pollen degeneration by low temperature in fruit vegetable crops

Summary

The present investigation

was undertaken

in an

attempt to elucidate the physiological basis of pollen

degeneration

caused by low temperature

in some

vegetable crops, such as green pepper, tomato,

egg-plant, melon and strawberry.

The vegetables

were

grown

in an unheated

glasshouse

during

winter

season, and green pepper and eggplant

were grown

also in a growth cabinet maintained

at 20°C (Table

1). Temperature

in the unheated glasshouse

during

the period of study was shown in Table 2.

Just

prior to anther dehiscence,

one anther

was taken

from each flower for the determination

of pollen

fertility,

and the remaining

ones were

used for

chromatographic

analyses of free amino acids.

The

analyses

were repeated

several

times during

the

period of growing.

1.

Pollen fertility,

estimated

by percentage

of

apparently

viable pollen grains stainable with

aceto-carmine,

decreased with the fall of temperature

in

vegetables

grown

in the unheated glasshouse,

as

shown in Table 4. The anthers of flowers blooming

in the period from December or January to March

was reduced in weight

and contained only empty

pollen grains or degenerating

sporogenous tissue as

well as in the case of hereditary

male sterile plants

reported in the previous paper (Fig. 2 and 3 ; Table

3 and 4). In April, however, the apparently

viable

pollen grains increased in number according

to the

rise of temperature,

and the pollen fertility

reached

more than eighty per cent. On the other hand, the

anthers of vegetables

grown in the growth cabinet

of 20°C contained sufficient pollen grains of viable

appearance,

even in the severe cold season (Table

4).

2.

Thirteen

to fifteen ninhidrin-positive

spots

were detected in the chromatograms

from fertile

anthers

of the vegetables

grown

in the growth

cabinet of 20°C or in optimum temperature

season

(Fig. 1). Chromatographic

differences were detected

visually in the composition of some free amino acids

between the fertile anthers and sterile

ones caused

by low temperature

in the unheated glasshouse.

3.

In every

vegetable

tested,

correlation

was

found between pollen fertility

and content of proline

(Table 4).

The chromatograms

of fertile

anthers

had a amazingly

large spot of proline,

which was

either lacking or very faint

in the chromatograms

of sterile

anthers

(Fig. 1).

The result

was

in

general agreement

with that of the previous

paper

refering

to the quantitative

difference

of proline

recognized

between

fertile

and

hereditary

male

sterile anthers.

4.

In addition,

sterile anthers

had smaller

spot

of alanine than fertile ones in tomato, and a larger

spot of asparagine

in green pepper (Fig. 1 ; Table

4-1 and 4-2).

Such relations

between

the pollen

fertility

and content of alanine or asparagine

were

not recognized in the other vegetable crops tested.

5.

In conclusion,

it may be assumed

that the

low content of proline in mature anthers is related

with the pollen degeneration,

and amino acids play

an important role for development

of pollen grains

in the vegetable crops tested in the present study.

1.緒 言 ハ ウス や トンネ ル を利 用 した 果 菜 類 の 不 時 栽 培 で は , 低 温,高 温,光 線 不 足 な どに よる 落 蕾,落 花,奇 形 果 の 本 研 究 の一 部 は 園芸 学 会1963年 度 秋 季 大 会 に お い て 発 表 。1965年2月10日 受 理 。 出 現 が しば しば み られ る。 筆 者 は 花 粉 退 化 の資 料 を 求 め て,こ れ らの 異 常 環 境 に よる 不 稔 の 機 構 を,遺 伝 的 な 雄 性 不 稔 性,雑 種 や 倍 数 性 に 由 来 す る不 稔 性 な ど と対 比 し なが ら,追 求 を進 め て い る。 低 温 に よ る花 粉 退 化 の機 構 を,成 熟 分裂 時 の 染 色体 の

(2)

114 園 芸 学 会i雑 誌 第34巻 第2号 行 動 や,タ ペ ー ト細 胞 の 消長 か ら調 べ た もの は 多 く,本 報 で 扱 つ た 果菜 類 で も,タ ペ ー ト細 胞 の異 常 肥 大 が花 粉 退 化 の お もな 原 因 に な つ て い た(続 報)。 一 方,花 粉退 化 と ア ミノ酸 との 関 係 が つ ぎつ ぎ 明 らか に さ れ つ つ あ る け れ ど も(2・6∼12),低温 に よる 花 粉 退 化 を 生 理 学 的 に 追 求 し た もの は ほ とん どみ あ た らな い 。 そ こで 本報 で は トウガ ラ シ,ト マ ト,ナ ス,メ ロ ンお よび イ チ ゴを,無 暖 房 の ガ ラ ス室 で10月 か ら4月 まで 越 年 栽 培 し,そ の 間 自然 の 低 温 に あ つ て 花 粉 退 化 を 起 した 不 稔 覇 の ア ミノ酸 組 成 を,露 地 作 の適 温 期 や 冬 季 加 温 され た 生 育 箱 内 で,発 育 開 花 した 稔 性 正 常 覇 の そ れ と比 較 した とこ ろ,proline を は じめ とす る2,3の ア ミノ酸 含 量 と花 粉 退 化 との 間 に 興 味 あ る関 係 が み い だ され た の で 報 告 す る 。 種 々の 助 言 と指 導 を 賜 つ た 今 津 正 教 授 に 感 謝 の 意 を表 し ます 。 II.材 料 お よ び 方 法 供 試 材 料 お よび 栽 培 方 法 は 第1表 に 示 す とお りで あ る。 材 料 は いず れ も本 学 研 究 室 で 維 持 中 の 自殖 系 を 用 い た 。 ナ ス は2月 中 旬 ごろ か ら菌 核 が,メ ロ ンは12月 下 旬 か ら蔓 枯 れ 病 が ひ ど くなつ た の で,以 後 の 調 査 は 中 止 した 。 ガ ラス室 の天 窓 と側 窓 は11月 上 旬 よ り全 部 閉 じ た が,室 温 を あげ るた めの 加 温 は 行 な わ な か つ た 。 実 験 期 間 中 の ガ ラス室 内 の最 高 お よび 最 低 気 温 は 月 平 均 して 第 2表 に示 した 。 地 下 部 は 地 温 の 低 下 に よつ て お こ る萎 凋 (吸水 不 能)を 防 ぐた め,温 度 調 節 器 を つ け た 温 床 線 を ベ ッ ドの地 表 下10cmに 張 り,11月 上 旬 よ り通 電 しほ ぼ 15。Cに 保 つ よ うに した。 な お,こ の程 度 の 地 下 部 の加 温 で は,着 蕾 部 位 の気 温 に影 響 の ない こ とを,あ らか じ め電 子管 式 自動 温度 記 録 計 で確 か め て お いた 。 冬 季 加 温 栽 培 用 の 生 育 箱 は,容 積 ほ ぼ1・5m3の ビ ニ ー ル2重 張 りの もの で,天 井 に換 気 扇 をつ け底 部 に温 床 線 を は り, 温 度 調 節 器 で 箱 内 の 温 度 を20。Cに 保 つ よ うに した も の で,こ れ を ガ ラス 室 内 に設 置 した 。 花 粉 稔 性 お よび ア ミノ酸 組 成 の 調 査 に あ た つ て は,開 繭 直 前 の 花 か ら(メ ロ ンの み 開 花 前 日の 夕 方 の 花)1本 ず つ 繭 を とつ て稔 性 調 査 の材 料 と し,残 りの満 を ア ミノ 酸 分 析 の 材 料 に した 。 花 粉稔 性(正 常 花 粉 率)は,ア セ トカ ー ミン滴 下 に よる 常法 で1花 ご とに300∼500粒 の 花 粉 に つ い て 形,大 き さ と も正 常 で,内 容 の よ く充 実 し た もの を 正 常 花 粉 と し,調 査 花 粉 の 総 数 に対 す る これ ら 正 常 花 粉 数 の 百 分 率 を 求 め,調 査 日 ご とに そ れ らの 平 均 値 で 示 した 。気 温 の 下 降 お よび稔 性 低 下 に よる 開 繭 不 能 花 で は,繭 を ス ライ ドグ ラス の上 に お き,ピ ンセ ッ トで 花 粉 が つ ぶ れ な い よ うに 注 意 しな が ら,満 の 内 容 を 押 し だ して そ の稔 性 を 調 べ た 。 満 組 織 に 含 ま れ る遊 離 ア ミノ酸 は,ペ ー パ ー ク ロマ ト

Table

2.

Average

maximum

and

minimum

temperatures

in the unheated

glasshouse

during the period of study (19621963)

Table 3. Fresh weight of 100 anthers in mg

(3)

藤 下:花 粉 退 化 の細 胞,組 織 な らび に生 理 学 的 研 究(第2報) 115 グ ラ フ法 に よ り検 出 した 。 各 果 菜 と も,供 試 繭 の 生 体 重 (50∼150mg)お よび ろ紙 の 原 点 に つ け る試 料 の 量(0.03 ∼0・06mZ)は 比 較 の 対 象 ご とに 一 定 に した が ,不 稔覇 と正常 繭 とで は 生 体 重 が か な り違 つ た の で(第3表),供 試 覇 数 を加 減 して両 者 の生 体 重 を そ ろ えた 。 抽 出,展 開, 同 定 の方 法 は いず れ も第1報 の とお りで あ る 。 III.実 験 結 果 供試 した果 菜 類 の稔 性 正 常 繭(花 粉 稔 性80%以 上 の もの を 正 常綱 と した)か らは13∼15種 の遊 離 ア ミノ酸 お よび ア マ イ ドが検 出 され た 。 これ らの のroline は,一 温 の 季 節 的 変 化 に 訊 の 高 低 に と もな つ て,い ず れ の 果 菜 で もそ の 含 量 が せ alanineやasparagineも ア 苗 る ロ ノ、 ・ 。・ し た ほ カ , 類 ・ア 、つ て は,稔{ (1)Proline トウガ ラシ,ト マ ト,ナ ス,メ ロ ンお よび イ チ ゴ と も 低 温 に よる 花 粉稔 性 の 低 下 に と もな つ て,病 組 織 に 含 ま れ るprolineの 量 は顕 著 に 減 つ た 。 す なわ ち,11月 初 旬 ま で や4月 以 降 に,あ るい は 冬 季20。Cに 加 温 さ れ た 生 育 箱 内 で,発 育 開 花 した 稔 性 正 常 繭 か らは,ク ロマ ト グ ラ ムの うち で 最 大 も し くは そ れ に 近 い 大 きなproline の スポ ッ トが 検 出 され た(第4表,第1図)。 しか し,気 温 の 下 降 に と もな つ て 内容 の 充 実 した 正 常 花 粉 が 減 り, 逆 に 空 虚 花 粉 が ふ え て い くと,そ れ らの満 のprolineの ス ポ ッ トは 小 さ くな つ て い つ た(第4表)。 そ の 後 さ らに 気 温 が 下 が つ て,遺 伝 的 な雄 性 不 稔 同様 に繭 胞 内 に 空 虚 花 粉 また は 退 化 した 組 織 しか 認 め られ ない 完 全 な 不 稔 繭 に な つ て し ま うと,ナ ス,メ ロ ンお よび イ チ ゴの 繭 か ら はprolineの ス ポ ッ トは 認 め る こ とが で きず,ト マ トか らの そ れ も こん 跡 程 度 とな つ た 。 トウ ガ ラ シ だ け は な お prolineの ス ポ ッ トが 検 出 で きた が,ス ポ ッ トの 大 き さは 正 常繭 に く らべ る と著 し く小 さ くな つ て い た(第1図 一a, 第4表)。 病 虫 害 に お か され ず に 越 冬 で きた トウガ ラシ, トマ トお よび イ チ ゴで は,花 粉 稔 性0%の 状 態 が続 い た 1月 中 旬 か ら4月 は じめ まで の間,prolineの 蓄 積 され る兆 候 は 全 く認 め られ な かつ た 。 しか し,4月 上 中 旬 に な つ て,気 温が 上 が り,正 常 花 粉 が 認 め られ だ す と,

Fig. 1. Chromatograms of amino acids in

39

(4)

116 園 芸 学 会 雑 誌 第34巻 第2号

Table 4.

Relations among the

in mature anthers.

;1)

Green pepper

(5)

藤 下:花 粉 退 化 の細 胞,組 織 な らび に 生理 学 的 研究(第2報) 117 prolineの ス ポ ッ トも また 検 出 で き る よ うに な り,4月 末 に は 再 び ク ロマ トグ ラ ムの うちで 最 も大 きい ス ポ ッ トに な つ て い た(第4表)。 この よ うな 花 粉 稔 性 と薪 組 織 のproline含 量 と の関 係 は,一 次 元 展 開 後 に イ サ チ ンを 噴 霧 す る方 法 を と る とい つ そ う明 り ょ うに 確 認 で きた 。 (2)Alanineお よ びasparagine 低 温 に よ る花 粉 稔 性 の 低 下 に とも なつ て,ト マ トの繭 に 含 まれ るalanineの 量 が 減 り,ト ウガ ラ シ のasparagine は 逆 に ふ え る傾 向を 示 した 。 しか し,花 粉 稔 性 の変 化 に と もな うalanineやasparagine含 量 の増 減 は,proline ほ ど著 し くな く,ま た 普 遍 性 も乏 し く,大 部 分 の果 菜 で は稔 性 が 上 下 して も,そ れ らの 含量 には 変 化 が 認 め られ な か つ た 。 トマ トのalanineの ス ポ ッ トは,低 温 に よつ て 正 常 花 粉 が 減 つ て くる と小 さ くな り,花 粉 稔 性 が0%に お ち た 1月 中 旬 か ら3月 の 下 旬 に か け て 開 い た 花 の繭 か らは こ ん跡 程 度 しか 検 出 で きな か つ た(第1図 一b,第4表 一2)。 しか し,そ の 後 は 気 温 の 上 昇 に と もな う稔 性 の 回 復 に つ れ て スポ ッ トは しだ い に 大 き くな り(第4表2),花 粉 稔 性 とalanine含 量 との 関 係 はprolineの そ れ と よ く似 て い た 。 同 様 な 傾 向 は トウ ガ ラ シ とナ スの ク ロマ トグ ラム に も うか が え た が,ト マ トほ ど 明 り ょ うで は な か つ た 。 トウ ガ ラ シのasparagineの スポ ッ トは,低 温 に よつ て 正 常 花 粉 が 減 つ て くる と しだ い に 大 き くな り,稔 性 が 0%に お ちた1月 下 旬 か ら2月 いつ ば いに か け て開 いた 花 の繭 か らは,ク ロ マ トグ ラ ム の うちで 最 大 も し くは そ れ に 近 い 大 きな もの とな り,同 時 期 に 加 温 され た 生 育 箱 内 で開 い た 花 の,稔 性 正 常 満 のasparagineの ス ポ ッ ト とは 著 し く大 き さが 違 つ て い た(第1図 一a,第4表 一1)。 こ の よ うな繭 組 織 に含 まれ るasparagineの 花 粉 稔 性 低 下 に と もな う増 量 は,prolineや トマ トのalanineが 稔 性 低 下 に と もなつ て減 量 す る の と全 く逆 の現 象 で あ つ た 。 IV.考 察 堺 市(大 阪府 下)近 郊 で,ナ ス,ト マ ト,ト ウガ ラシ な どを冬 季 無 暖房 の ガ ラス 室 で 栽 培 す る と,と くに 寒 い 冬 で な い か ぎ りつ ぎつ ぎ と開 花 しな が ら越 冬す る の で, この よ うな立 地 条 件 と果 菜 の 性 質 を 利 用 して,低 温 に よ る花 粉退 化 の機 構 を 調 査 して い る。 一 般 に,果 菜 類 の 花 粉 稔 性 は11月 後 半 か らお ち は じめ,1月 か ら3月 末 に か け て は 正 常 花 粉 が 全 く認 め られ ず,ほ とん どが 空 虚 花 粉 で 繭 自体 の 重 量 も減 り,外 観,内 容 と も遺 伝 的 な雄 性 不 稔 覇 そ つ く りの 不 稔 絹 と な るが,4月 に 入 る と不 思 議 な ほ ど急 激 に 稔 性 は 回復 した 。 こ の よ うな花 粉 稔 性 の 季 節 的 な うつ りか わ りは,今 回 の 実験 も含 め て 供 試 品 種 や 試 験 年 度 に よる 多少 のず れ は あ つ て も,各 果 菜 と も実 験 の た び に ほ ぼ 同様 な経 過 を た どつ た(続 報 参 照)。 一 方 20。Cの 生 育 箱 内 は ガ ラ ス 屋 根 と2重 ば りの ピ●ニー ル の 下 に あ る た め 光線 量 は 減 つ て お り,そ の うえ 灌 水 時 以 外 は ほ とん ど しめ きつ て い る た め,炭 酸 ガ ス 量 も不 足 し て い る もの と想 像 され るが,こ の 中 で 生 育 した 花 の 柄 は 露 地 作 の 適 温 期(5月 ∼6月,9月 ∼10月)に 発 育 した 花 の繭 同様 に,常 に80%以 上 の 高 い 花 粉 稔 性 を もち 続 け て い た 。 これ らの こ とか ら冬 季 無 暖 房 の ガ ラ ス室 で み ら れ る 果 菜 類 の 花粉 退 化 は,お もに 低 温 に よる もの と考 え られ る 。 この よ うな 自然 の低 温 遭 遇 に よつ て起 きた 不 稔 緬 と, 適 温 条 件 下 で 発 育 した稔 性 正 常 繭 の ア ミノ酸 組 成 を比 較 す る と,既 報(3)の遺 伝 的 雄 性 不 稔 繭 と正 常 繭 との間 に 認 め られ た 結 果 同様 に,prolineは 正 常繭 に 多 量 に 含 ま れ てい た に もか か わ らず,不 稔 繭 か らは ほ とん ど検 出 で き ない ほ どそ の含 量 の 減 つ て い る こ とが す べ て の果 菜 に 共 通 してみ られ た 。prolineは 成 熟 花 粉 の 主 要 な ア ミノ酸 で あ る と もいわ れ て お り(13),花 粉 稔 性 の高 低 とproline の ス ポ ッ トの 大小 との 間 に は 平 行 関 係 が み られ た が,は た して正 常絹 と不 稔 鶏 のproline含 量 の 差 が,繭 胞 内に 含 ま れ る 正 常 花粉 そ の もの の 多 少 の み に 由 来 して い る か ど うか は まだ 明 らか で な い 。 この 点,繭 組織 と花 粉 と を 別 々に分 け て分 折 す る 必要 も あ ろ う。 他 方,proline含 量 の 差 は,花 粉 形成 の過 程 に 生 じた 異 常 の 程 度 に 由来 す る もの と も考 え られ る の で,花 粉 と鶏 組 織 の 発 育 段 階 別 の ア ミノ酸 組 成 を,正 常繭 と不 稔 繭 とで 比 べ た い と思 つ て い る○ 低 温 に よ る不 稔覇 で はprolineの 含 且 ミ'ほ か に alanineが ト マ ト で 減 り,asaragineミ "ラ シ で ふ え ・を 示 したalanine含 量 の 花 粉 稔 性 低 下 に な う ・ノ」、をま ウ ガ ラ シ の 高 日(4) F 0几(5)こ ・ 念 、 い はsorhumの 宏 性 不 琳 、(2)・ 認 め て い 。 し か し,水 稲(9)で は 稔 性 とalanine含 量 との 関 係 は 認 め られ て お らず,紺 イ(8)や ト ウ モ ロ コ シ(10)の 雄 性 不 芯繭 で は,逆 にalanine が 脚 系、 且 に 含 まれ 且 の稔 幽 ことも な う増 加 は , ・一とし・うo皇§嘆 ト ウ"一 み に ら れ △ 口の 低 日 プ る 不 稔 摘,お よ び 古 日(4)FW-450処 (5)による ・&繭 で も 明 らか な ほ か,そ の雄 性不 稔 繭 に

竺 ・不繍 の生体郵 け ガラシ

の み 正 常 鶏 よ り重 かつ た 事 実 と あわ せ み る と,植 物 の 種 類 に よ る特 異 性 と も思 わ れ る。そ ・以 の の でa ineの 増 加 の み とめ られ た も の には コ"(6・7)と トウ モ 官 コ"(6・10)の"・ 導鯵 41

(6)

118 園 芸 学 会 雑 誌 第34巻 第2号 ineが 。 ・ い う の に は タ マ ネ ギ の 雄 性 不 、庶 、・(3) が あ る 。

繭 組 織 に 含 まれ るprolineの 量 と 花 粉 稔 性 との関 係 は,か な り広 範 囲 の 植 物 に 共 通 して 認 め られ た のに 対 し, alanineやasparagineの 含 量 と花 粉 稔 性 との 関 係 の有 無 や 強 弱 は 植 物 の 種 類 に よつ て ま ち まち で あ り,さ らに 同一 研 究 者 の 分 析 した 同 種 類 の 植 物 で も,供 試 した 不 稔 の 系 統 や 品 種 に よつ て 違 つ た 結 果(10)ので て い る もの も あ る。 この よ うな 不 稔繭 の ア ミノ酸 組 成 の 品 種 や 系 統 に よ る ち が い は,染 色 体 の 対 合 異 常 や タペ ー ト細 胞 の 消長 異 常 な どの,不 稔 の 機 構 上 の 差 異 に よつ て も生 じる の で に な ろ うかo 既 報 の 雄 性 不 稔 繭 と今 回 の 低 温 に よ る不 稔 繭 とは,前 者 が 遺 伝 に よ る もの で あ る のに 対 し,後 者 は 環境 に よる もの で あ る とい う点 で 大 き く違 つ て いた が,そ の ア ミ ノ 酸 組 成 や タペ ー ト細 胞 の 消 長 過 程 に は 類 似 性 が あ つ た 。 ア ミノ酸 組 成 で は,両 方 の 不稔 覇 と もproline含 量 がす べ て の ぞ 菜 で例 外 な く,著 し く減 少 して い た こ とか ら, 不 稔 繭 で は そ の 生合 成 に 関 係 す る 代 謝 過 程,た とえ ば P「01ine自91utamicacidの い ろ い ろ な 段 階 にblock が あ つ た り(雄 性不 稔),blockが 生 じて(低 温 や 高 温 に よ る不 稔),そ の蓄 積 が 妨 げ られ た のか も しれ な い 。 た だ し,prolineの 減 量 と花 粉 退 化 の 二 者 間 の 因 果 関 係 を 裏 ず け る資 料 は まだ 得 られ て い な い 。prolineの 減 つ て い た 雄 性 不稔 繭 も低 温 に よる不 稔 繭 も,と もに タペ ー ト 細 胞 の 消長 過 程 に異 常 が み られ,そ れ が花 粉退 化 の お も な 要 因 とな つ て いた が(続 報 参 照),筆 者 が い ま まで に 扱 つ た 材 料 の うち,同 様 な 機構 で 花粉 が退 化 した 別 の 不稔 覇 か ら も,や は りprolineは ほ とん ど検 出 で きな か つ た 。 これ らの 事 実 と,稔 性 正 常 、ヲで+い 執 オ こ prolineは ほ とん ど検 さ れ"'∠1 粉 が ふ え,12月 また は1月 か ら3月 末 に か け て 開 い た 花 の繭 内 に は,ほ とん ど空 虚 花 粉 しか み られ ず,満 の生 体 重 も減 少 した 。 しか し,4月 に 入 る と気 温 の 上 昇 に と も な つ て 稔 性 は 急 激 に 回 復 した 。20。Cに 調 節 され た 生 育 箱 内 で 発 育 した 繭 は,厳 寒 期 に も80%以 上 の 花 粉稔 性 を もち つ づけ て いた 。 2・ 開満 直 前 の稔 性 正 常 繭 の ク ロマ トグ ラム か らは, 13∼15個 の ス ポ ッ トが 検 出 さ れ た が,そ の うち2,3の ア ミ ノ酸 は不 稔 繭 の ク ロマ トグ ラム に く らべ る と,量 的 に違 つ て い た0 3.各 そ 菜 と も稔 性 正 常 満 か らのprolineの ス ポ ヅ ト は 非 常 に 大 きか つ た が,花 粉 稔 性 の 低 下 に と もな つ て 小 さ くな り,空 虚 花 粉 ば か りに な つ た 不 稔 覇 か らは ほ とん ど検 出で きな くな るほ どそ の 含 量 は 減 つ た 。 4.ト マ トの 不 稔 覇 で はalanineが 減 り,ト ウガ ラシ の 不 稔 満 で はasparagineが ふ え る傾 向 が そ れ ぞ れ 認 め られ た が,こ れ らア ミノ酸 含 量 の 増 減 と花 粉 稔 性 との 関 係 はprolineほ ど顕 著 で な く,ま た 他 の 果 菜 類 に は 認 め られ な か つ た 。 5.そ 菜 で は 雄 性 不 稔 覇 で も,低 温 に よ る不 稔 絹 で も proline含 量 が 著 し く減 つ て い た か ら,prolineの 生 合 成 に 関 係 の あ る ア ミノ酸 代 謝 と花 粉 の 退 化 との 間 に は 密 接 な つ なが りが あ る もの と推 察 され る。 引 用 文 献

つ て急 に そ の 蓄 積 が 認 め られ る とい う事 実 とを 照 合す る

震Σ三==充代謝との間に櫨 オ

関係があるように思われる。

V,摘 要 低 温 に よ る 果 菜 類 の 花 粉退 化 の機 構 を 生 理 学 的 に 追 求 し よ う と して,ト ウガ ラシ,ト マ ト,ナ ス,メ ロ ンお よ び イ チ ゴ を,無 暖 房 の ガ ラス 室 内 で 越年 栽 培 し,適 温 条 件 下 で 発 育 した 稔 性 正 常 覇 と,低 温 で 花 粉 の 退 化 した 不 稔 繭 に 含 ま れ る遊 離 ア ミノ酸 を ペ ー パ ー ク ロマ トグ ラ フ 法 に よ り分 析 し比較 した 。 1.い ず れ の 果菜 と も気 温 の 下 降 に と もな つ て 退 化 花 1 2 Q U ∠ τ ド 0 ρ 0 7 ` n 6 Q V ∩ V 1 11. 12. 13. BRITIKOV,E.A,etal.1864.H.F.LINSKENS (editor):Pollenphysiologyandfertilization, 77-v85.NorthHollandPub.Comp.,Amsterdam BROOKS,M.H.1960.Genetics45:978. 藤 下 典 之.1964.園 学 雑.33:133∼139. .1964.園 芸 学 会 秋 季 大 会 研 究 発 表 要 旨. .1965.園 芸 学 会 秋 季 大 会 研 究 発 表 要 旨. FuKAsAwA,H.1954.Jap.J.Genet.29:135∼ 137. 深 沢 広 祐 ・三 藤 勝 弘.1956.科 学26:313∼314。 細 川 定 治 ・津:田 用 弥 ・武 田 竹 雄.1963.育 学 雑. 13:117.124. 片 山 平.1961.育 学 雑.11:291∼294. KHOO,U.andH.T.STINSONJr.1957.Proc. Nat.Acad.Sci.43:603一 一607. 尾 崎 清 ・ 田 井 喜 三 男.1957.日 土 肥 学 会 講 演 要 旨 第3集:40. ・ ・五 島 皓.1962.農 及 園. 31:1340. TUPY,J.1964.H.F.LINSKENS(editor) Pollenphysiologyandfertilization,86∼94. NorthHolland.Pub.Comp.,Amsterdam 42

(7)

藤 下:花 粉 退化 の細 胞,組 織 な らび に 生 理 学 的 研 究(第2報) 119

Fig.

2.

Photomicrographs

of apparently

viable pollen grains

(left)

pollen grains caused by low temperature

(right).

From upper

green pepper, tonato, eggplant,

m°lon and str awberry.

and to

empty lower

(8)

120 園 芸 学 会 雑 誌 第34巻 第2号

Fig. 3, Photomicrographs of cross section of Sterile anthers contained degenerating upper to lower : green pepper, tomato,

AA

fertile (left) and sterile anthers

sporogenous tissue or empty pollen.

eggplant,

melon and strawberry.

(right).

From

Table  3. Fresh  weight  of  100  anthers  in  mg

Table 3.

Fresh weight of 100 anthers in mg p.2
Table 2.  Average  maximum  and  minimum

Table 2.

Average maximum and minimum p.2
Table  1. Materials  and  cultural procedures

Table 1.

Materials and cultural procedures p.2
Fig.  1. Chromatograms  of amino acids in
Fig. 1. Chromatograms of amino acids in p.3
Fig. 2.  Photomicrographs  of  apparently  viable  pollen  grains  (left)    pollen  grains  caused  by  low  temperature  (right)
Fig. 2. Photomicrographs of apparently viable pollen grains (left) pollen grains caused by low temperature (right) p.7
Fig.  3,   Photomicrographs  of  cross  section  of  Sterile  anthers  contained  degenerating  upper  to  lower  :  green  pepper,  tomato,
Fig. 3, Photomicrographs of cross section of Sterile anthers contained degenerating upper to lower : green pepper, tomato, p.8

参照

Updating...

関連した話題 :

Scan and read on 1LIB APP